JP2017222608A - ミルタザピンの製造方法 - Google Patents

ミルタザピンの製造方法 Download PDF

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隆行 宮奥
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隆行 宮奥
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Abstract

【課題】本発明の目的は、抗うつ剤として有用なミルタザピンを、高品質且つ高製造収率で製造しうる方法を提供することにある。
【解決手段】2−(4−メチル−2−フェニル−1−ピペラジニル)−3−ピリジンメタノールと硫酸とを、撹拌体を備えた反応容器内で撹拌混合することにより反応させてミルタザピンを製造する方法において、撹拌時における撹拌体の先端部の速度であるチップ速度を1.0m/s以上として撹拌混合することを特徴とするミルタザピンの製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、医薬品原薬として有用なミルタザピンの新規な製造方法に関する。
下記式(1)で示される1,2,3,4,10,14b−ヘキサヒドロ−2−メチル−ピラジノ[2,1−a]ピリド[2,3−c][2]ベンザゼピン)は、一般名でミルタザピンと呼ばれる医薬品原薬化合物であり、うつ病、うつ状態の患者に処方される極めて有用な抗うつ剤として利用されている。
Figure 2017222608
このミルタザピンの製造方法としては、下記反応式で示されるように、2−(4−メチル−2−フェニル−1−ピペラジニル)−3−ピリジンメタノール(以下、「ピリジンメタノール化合物」ともいう。)と硫酸とを反応させる方法が、最も簡便で効率的であることから広く用いられている(特許文献1)。
Figure 2017222608
上記反応は、硫酸にピリジンメタノール化合物を添加し、得られた混合物を20〜50℃で3〜10時間撹拌することにより実施される。当該反応の終了後、反応混合物を水中に滴下し、次いで、塩基を加えて中和する。有機溶媒により、生成したミルタザピンを抽出した後、当該ミルタザピン溶液に貧溶媒を添加して、ミルタザピンを結晶化させることにより、ミルタザピンの粗体を得る。最後に、再結晶等により粗体を精製し、精製ミルタザピンを得ることができる。当該方法は、操作が非常に簡便であり、また、ピリジンメタノール化合物のミルタザピンへの変換効率も高いことから有用である。
特許第5192707号公報
しかしながら、当該方法では、反応時に複数の不純物が副生すること、また、それらの不純物は、反応後の後処理やミルタザピンの精製操作によって除去困難であることが分かった。そのため、当該方法では、医薬品原薬として許容される品質とするためには、複数回のミルタザピンの精製が必要であり、操作性、および収率という点で改善の余地があった。
従って、本発明の目的は、非効率な精製操作を必要とせず、医薬品原薬として許容される品質のミルタザピンを効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた。その結果、上記製造方法において、硫酸へのピジンメタノール化合物の添加、及び、その後の反応における撹拌速度を厳密に制御することで、反応時の不純物の副生量を顕著に抑制できることを見出した。具体的には、撹拌速度はチップ速度を指標として制御することができ、チップ速度を1.0m/s以上とすることで、不純物の副生量を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
2−(4−メチル−2−フェニル−1−ピペラジニル)−3−ピリジンメタノールと硫酸とを、撹拌体を備えた反応容器内で撹拌混合することにより反応させてミルタザピンを製造する方法において、
撹拌時における撹拌体の先端部の速度であるチップ速度を1.0m/s以上として撹拌混合することを特徴とするミルタザピンの製造方法である。
本発明において、ミルタザピンの収率を向上するためには、前記チップ速度が、1.0m/s以上3.0m/s以下とすることが好ましい。
さらに、よりミルタザピンの収率を高めるためには、前記反応容器において、
内周壁で囲まれた反応部の水平方向の断面(横方向の断面)が円形であり、
該反応部の内径の中心と前記撹拌体の中心とが垂直方向(縦方向)において一致し、
該撹拌体の長さが、該撹拌体が位置する高さの反応部の内径の30〜90%の長さとすることが好ましい。
また、不純物の副生量をより抑制し、より純度の高いミルタザピンを得るためには、前記硫酸の使用量が、2−(4−メチル−2−フェニル−1−ピペラジニル)−3−ピリジンメタノール1.0モルに対して、8.0モル以上15.0モル以下とすることが好ましい。
本発明によれば、反応時の不純物の副生量を抑制することができ、その結果、医薬品原薬として好適に使用できる高品質なミルタザピンを、煩雑な精製操作を必要とせずに製造することができる。
ピリジンメタノール化合物は、硫酸中に滴下すると、溶解せずに粘稠な塊を形成する。この塊が撹拌下、硫酸中に徐々に溶解した後、ミルタザピンへの反応が進行する。撹拌体のチップ速度が1.0m/s未満の場合、硫酸中への溶解速度が遅く、硫酸中のピリジンメタノール化合物の溶解量が低い。そのために、ピリジンメタノール化合物に対して硫酸が大過剰となり、不純物の副生量が増加すると推定される。
副生不純物の中でも、実施例に記載の高速液体クロマトグラフィーによる分析において、保持時間が20.3分付近を示す不純物と26.6分付近を示す不純物との2つの不純物は、本発明により特に顕著に副生量が抑制できる。当該不純物等は、下記条件の液体クロマトグラフ質量分析(LC−MS)において、いずれも分子量が530であったことから、下記式(3)、および下記式(4)で示されるミルタザピンの二量体構造(ダイマー)の構造異性体であると推測される(以下、保持時間が20.3分付近を示す不純物は「ダイマー1」、26.6分付近を示す不純物は「ダイマー2」ともいう。)。当該ダイマー1、2の不純物は、反応後の後処理やミルタザピンの精製において、除去が困難であり、それらの副生量を抑制できることの効果は、ミルタザピンの純度向上に大きく寄与する。
Figure 2017222608
Figure 2017222608
(LC−MSの測定条件)
装置:液体クロマトグラフ装置及び質量分析計(Waters Corporation
製)
検出器:紫外吸光光度計(Waters Corporation製)
測定波長:240nm
カラム:内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラ
フィー用オクタデシルシリル化シリカゲルが充填されたもの。
移動相a:酢酸アンモニウム0.39gを水1000mLに添加し溶解させた混合液。
移動相b:アセトニトリル。
移動相の送液:移動相A及びBの混合比を表1のように変えて濃度勾配制御する。
Figure 2017222608
流量:毎分0.3mL。
カラム温度:40℃付近の一定温度。
イオン化法:エレクトロスプレーイオン化法(ESI)。
検出モード:正イオンモード。
上記のように、1.0m/s以上のチップ速度で撹拌することにより、不純物の副生量を抑制することができるが、3.0m/sを超えるチップ速度とした場合、反応混合物が激しく撹拌され、粘稠なピリジンメタノール化合物は反応容器壁面へと付着する場合がある。その結果、壁面へと付着したピリジンメタノール化合物は、硫酸中に溶解しないため、ミルタザピンの反応収率が低下する場合がある。よって、本発明において、チップ速度は1.0m/s以上3.0m/s以下とすることで、高品質且つ高収率でミルタザピンを製造することができる。
さらに、硫酸の使用量を、ピリジンメタノール化合物1.0モルに対して、8.0モル以上15.0モル以下とすることがより好ましい。上記の通り、ピリジンメタノール化合物に対する硫酸の量を大過剰としないことで、反応における不純物の副生量がより抑制できる。
本発明で使用する反応容器の垂直方向の断面(縦方向の断面)の一態様を示す図である。 図1におけるA−A’断面(水平方向の断面:横方向の断面)における図である。
本発明は、ピリジンメタノール化合物と硫酸とを撹拌体のチップ速度を1.0m/s以上で撹拌し反応させることを特徴とするミルタザピンの製造方法である。反応後、後処理操作及び精製操作を行い、高品質なミルタザピンを製造することができる。また、当該チップ速度は、3.0m/s以下とすることで、不純物の副生量を抑制しつつ、高い反応収率を得ることができる。
(ピリジンメタノール化合物)
本発明に使用するピリジンメタノール化合物は、特に制限されることなく、公知の方法により製造することができる。公知の方法の一例として、特公昭59−042678号公報等に記載されているように、2−(4−メチル−2−フェニル−1−ピペラジニル)−3−ピリジンカルボン酸(以下、「ピリジンカルボン酸化合物」ともいう。)を有機溶媒中、金属水素化物と反応させて還元する方法が挙げられる。具体的には、ピリジンカルボン酸化合物とテトラヒドロフランとの溶液を得る。次いで、窒素雰囲気下、還元剤である金属水素化物、例えば、水素化リチウムアルミニウムと、テトラヒドロフランとを含む懸濁液に、当該溶液を徐々に加える。還流温度まで加温し、HPLC等によりピリジンカルボン酸化合物の消失が確認されるまで反応させる。反応終了後、水を加え、析出した固体を濾別し、ピリジンメタノール化合物を含む溶液を得る。当該溶液を濃縮する、或いは、濃縮残渣をエーテル等の溶媒による再結晶で精製することでピリジンメタノール化合物を単離することができる。単離後、乾燥することにより、残留する有機溶媒や水等を除去でき、高純度なピリジンメタノール化合物を製造できる。
上記方法において、還元剤である金属水素化物として、水素化リチウムアルミニウムの他に、ソジウムジヒドロビス(2−メトキシエトキシ)アルミネートやジイソブチルアルミニウムヒドリド等を使用することもできる。反応温度は、使用する金属水素化物の種類や量により適宜決定すれば良いが、通常、−30℃以上80℃以下である。また、反応溶媒や再結晶溶媒は、テトラヒドロフラン以外にも、反応を阻害しない、ピリジンカルボン酸化合物やピリジンメタノール化合物を溶解することができる溶媒を使用することができる。具体的には、トルエン等の芳香族炭化水素類、酢酸イソプロピル等の酢酸エステル類等、およびテトラヒドロフランを含むこれらの混合溶媒も使用できる。
このようにして製造されるピリジンメタノール化合物は、通常、その純度が97.0%以上100.0%以下であるが、再結晶による精製を実施した場合は、98.5%以上100.0%以下であり、より好適に使用することができる。
(硫酸)
本発明において、硫酸は、特に制限されるものではないが、一般的に濃硫酸と言われるものを使用することが好ましい。この濃硫酸は、試薬或いは工業用等、特に制限なく使用することができる。ただし、濃硫酸の濃度は、85.0質量%以上であることが好ましい。85.0質量%未満の場合、水の含有量が多いために、反応速度が大幅に低下する傾向にある。中でも、反応時間を考慮すると、濃硫酸の濃度は、87.0質量%以上が好ましく、90.0質量%以上がさらに好ましく、92.0質量%以上が最も好ましい。濃硫酸の濃度の上限は、硫酸100質量%であってもよいが、工業的な使用を考慮すると、99.5質量%である。
濃硫酸の使用量は、ピリジンメタノール化合物1.0モルに対して、硫酸が8.0モル以上15.0モル以下であることが好ましい。ここで、当該使用量が15.0モル以下の場合、反応時の不純物の副生量をより抑制できる。一方、8.0モル以上の場合、反応初期における反応混合物のスラリー濃度が適度であり、撹拌不良が起こらず、効率的に反応を効率的に進行させることができる。また、ピリジンメタノール化合物が概ね定量的にミルタザピンへと変換され、ミルタザピンの製造収率がより高くなる。
(原料混合条件)
(反応容器)
本発明においては、撹拌体を備えた反応容器内で撹拌混合することにより、ピリジンメタノール化合物と硫酸とを反応させて、ミルタザピンを製造する。
図1、図2に、本発明で使用できる反応容器の一態様を示した。この図をもとに説明する。図1は、反応容器1の垂直方向の断面図(縦方向の断面図)であるが、該反応容器1は、撹拌体2を備え、内周壁3で囲まれた反応部4を有する。ピリジンメタノール化合物と硫酸とは、この反応部4において、撹拌混合されて反応してミルタザピンとなる。撹拌体2の形状は、特に制限されず、後述するチップ速度を指標として撹拌速度を制御して撹拌すれば良い。撹拌体2の長さ8は、撹拌体2の一方の先端部5から他方の先端部までの最も長くなる部分を指す。
該反応容器1の内周壁3は、ガラス、ステンレス、テフロン(登録商標)、グラスライニング等で形成されることが好ましい。また、撹拌体2は、特に制限されるものではないが、メカニカルスターラー等を用いて撹拌軸7を回転させて撹拌体2が回転する構造を採用することが好ましい。
また、本発明において、前記反応容器1は、該内周壁2で囲まれた反応部4の水平方向の断面(横方向の断面)が円形であることが好ましい(図2参照)。反応部4の水平方向の断面(横方向の断面)が円形であることにより、撹拌混合を効率よく行うことができ、ミルタザピンの収率、純度を向上できる。また、均一な攪拌混合を行うためには、該反応部4の内径9の中心6と前記撹拌体2の中心6とが反応容器1の垂直方向(縦方向)で一致することが好ましい。さらに、下記にも詳述するが、チップ速度との関係で、反応容器1の内周壁3に原料であるピリジンメタノール化合物の付着物を少なくするためには、該撹拌体2の長さが、該撹拌体2が位置する高さの反応部4の内径9の30〜90%の長さとなることが好ましい。チップ速度が1m/s以上の場合、撹拌体2が位置する高さと同じ高さ付近の内周壁3の周辺に付着する付着物を低減できる。より付着物を低減し、ミルタザピンの収率を向上するためには、撹拌体2の長さ8は、該撹拌体が位置する高さの反応部4の内径9の40〜80%の長さとすることがより好ましい。
前記反応容器1において、内周壁3で囲まれた反応部4の形状は、前記の通り、水平方向の断面(横方向の断面)が円形であることが好ましい。具体的には、反応部4は、球状、あるいは円柱状であればよい(図1は円柱状の反応部4を示した図である。)。また、反応部4における撹拌体2の位置は、撹拌混合が十分に実施できる位置であればよい。具体的には、反応部4の底部10(底面)から反応溶液(原料、および反応溶媒等の全ての成分を含む)の上面11までの高さにおいて、該底部10(底面)から該高さ11の0.1%以上50%以下の高さとなる箇所に位置させればよい。
(撹拌混合の方法 添加順序・雰囲気)
ピリジンメタノール化合物と硫酸との混合は、混合順序は制限されないが、ピリジンメタノール化合物を硫酸中に逐次滴下し混合することが好ましい。ピリジンメタノール化合物は、硫酸中において、粘稠な塊を形成するが、チップ速度を調整することにより、大きな塊が形成され難くなる。そして、反応時の不純物の副生量や反応速度等が影響しているものと考えられるが、再現性良く、高収率で高純度のミルタザピンを製造できる。また、混合の際に発熱を伴うことから、混合物の温度を制御し易い点からも、ピリジンメタノール化合物を硫酸中に逐次滴下することがより好ましい。
また、当該混合及び以降の反応においては、大気下ではなく、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で実施することが好ましい。そうすることで、酸化体の副生を抑制できる。また、大気からの水の混入を防止でき、製造毎の反応時間等の再現性がより高まる。
(撹拌条件)
本発明において、上記のようにして得られた、ピリジンメタノール化合物と硫酸との混合物を、撹拌しながら所定の温度範囲で反応させる。上記混合、及び、反応において、撹拌速度を制御することが、本発明において最も重要である。当該撹拌速度は、チップ速度を指標として制御できる。ここで、チップ速度とは、撹拌時における最大の長さ8(撹拌体が回転して描く円の最大直径)をもつ撹拌体2(撹拌翼)の先端部5の速度のことである。そして、チップ速度は、撹拌体2(撹拌翼)が描く円周の長さと1秒あたりの回転数を掛け合わせて算出される数値である。
チップ速度を1.0m/s以上とすることにより、1.0m/s未満の場合と比較して、反応時の不純物の副生量を顕著に抑制することができる。その結果、不純物の含有量が少ない、高純度のミルタザピンを製造することができる。その結果、ミルタザピンの過度な精製を必要とせず、操作効率や製造収率の点から優位となる。
チップ速度は、上記範囲の中でも、1.0m/s以上3.0m/s以下とすることがより好ましい。3.0m/s以下とすることで、撹拌時に、ピリジンメタノール化合物が反応容器の内周壁面に付着することを抑制し、使用したピリジンメタノール化合物のほぼ全量をミルタザピンへと変換することができる。その結果、より高い収率でミルタザピンを製造できる。
上記範囲の中でも、不純物の副生量やミルタザピンの製造収率の点から、チップ速度は、1.1m/s以上2.7m/s以下とすることがより好ましく、1.2m/s以上2.5m/s以下とすることがさらに好ましい。
(その他の反応条件)
上記のようにして撹拌混合する混合物は、該混合物の温度を25℃以上80℃以下とすることが好ましい。25℃以上とすることで反応が十分に進行し、高いミルタザピンの製造収率を得ることができる。一方、80℃以下とすることで不純物の副生量をより抑制することができる。上記範囲の中でも、反応性や不純物の副生量の観点から、30℃以上75℃以下が好ましく、35℃以上70℃以下がより好ましい。なお、原料の混合時も、混合物の温度が当該範囲となるように実施すれば良い。
反応時間は、原料であるピリジンメタノール化合物の残存量を、HPLC等で確認しながら、適宜決定すれば良い。濃硫酸の濃度や使用量、反応温度等よるが、通常、5時間以上30時間以下で反応は完結する。
以上のようにして反応を行うことで、反応時の不純物の副生量をより抑制できる。特に、ダイマー1及び2の副生量は、顕著に抑制することができる。
(後処理及び精製条件)
本発明において、反応終了後、公知の方法により、後処理及び精製を行うことにより、ミルタザピンを製造することができる。
後処理の方法は、例えば、特許文献1のように、反応終了後の反応混合物を冷却し、水を加え希釈した後、水酸化ナトリウムを加え中和する。さらに、トルエンを加え、析出したミルタザピンをトルエン中に溶解させ抽出する。当該トルエン層を水層と分離し、ヘプタンを加えて結晶化させ、結晶を固液分離により単離し、粗体のミルタザピンを得ることができる。
粗体のミルタザピンの精製方法は、例えば、特許文献1のように、粗体のミルタザピンを、メタノールに溶解させ、活性炭により脱色した後、水を加えて結晶化させ、結晶を固液分離により単離し、乾燥することでミルタザピンを得ることができる。
当該後処理及び精製において、それらの条件に関わらず、反応時に副生する不純物は、低減効率が低い。特に、ダイマー1及び2は、低減が困難であり、反応時の副生量が最終的なミルタザピンの品質に直接的に影響する。その理由は、ミルタザピンと構成する分子骨格が類似しているため、精製溶媒への溶解性等の物性がミルタザピンと同等であるためと推測される。よって、本発明の方法により、反応時の副生量を抑制することで、医薬品原薬として好適に使用できる品質のミルタザピンを得ることができる。
かくして、本発明の方法により、反応時の不純物の副生量を、抑制することができ、高品質のミルタザピンを得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何等制限されることはない。なお、実施例及び比較例における各種測定および評価方法は以下の通りである。
(ミルタザピンの純度及びダイマー不純物の含有量の評価)
HPLCによるミルタザピンの純度及びダイマー不純物の含有量は、下記の装置、条件により測定した。当該条件によるHPLC分析において、ミルタザピンの保持時間は14.0分付近、ダイマー1は20.3分付近、ダイマー2は26.6分付近、ピリジンメタノール化合物は5.5分付近である。なお、ミルタザピンの純度とは、得られたクロマトグラムにおけるミルタザピンのピーク面積値の、全てのピークの面積値の合計に対する百分率で示した値である。また、ダイマー1及び2の含有量は、各不純物のピーク面積値の、全てのピークの面積値の合計に対する百分率で示した値である。
装置:ウォーターズ社製2695。
検出器:紫外吸光光度計(ウォーターズ2489)。
検出波長:240nm。
カラム:内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリカゲルが充填されたもの。
移動相及び送液方法:以下に示す移動相A及びBを用い、試料注入後の経過時間に従い、両者の混合比を下記表2に示す様に制御し、送液した。
移動相A:リン酸水素二ナトリウム12水和物7.2gを水1000mLに溶解し、リン酸を加えてpH7.4とした。
移動相B:アセトニトリル。
流量:毎分1.0mL。
カラム温度:40℃付近の一定温度。
Figure 2017222608
製造例1(ピリジンメタノール化合物の製造)
撹拌体、温度計を取り付けた2Lの四口フラスコに、1mol/L水素化リチウムアルミニウム/テトラヒドロフラン溶液1618mL(1618mmol)を加え、ピリジンカルボン酸化合物120g(404mmol)をテトラヒドロフラン1800mLに溶解させた溶液を内温25℃付近に保持しながら30分かけて滴下して加えた後、25℃で3時間撹拌した。反応液を水冷しながら水70mLを加えて撹拌した後、有機層と水層を分液し、得られた有機層を15wt%水酸化ナトリウム水溶液70mL、次いで、水200mLで順次洗浄、分液した。得られた有機層を減圧下で濃縮し、ピリジンメタノール化合物の粗体を得た。
ピリジンメタノール化合物の粗体に対し、酢酸イソプロピル840mLを加え、60℃に加熱し、該粗体を溶解させた後、ヘプタン840mLを内温50℃以上で滴下した。該溶液を5℃まで冷却をおこない、ピリジンメタノール化合物のスラリー液を5℃付近で2時間熟成した後、減圧ろ過により、該スラリー溶液をろ過した。ろ別した結晶を酢酸イソプロピル60mLとヘプタン60mLの混合液により洗浄した後、得られた白色結晶を40℃で5時間減圧乾燥し、白色結晶としてピリジンメタノール化合物102g(363mol、製造収率:89.9%)を得た(純度:99.53%、水分量:320ppm)。
実施例1(ミルタザピンの製造)
(反応工程)
最大長さ8(回転した撹拌体2が描く円の最大直径)8.5cmの撹拌体2、温度計を取り付けた500mLの四口フラスコ(反応容器1;内周壁3はガラス製、内周壁3により形成される反応部4は球状)に、窒素雰囲気下、濃度が93.0質量%の濃硫酸93.05g(882.0mmol)を入れ、1分間の回転数が250となるように撹拌した。即ち、チップ速度が1.1m/sで撹拌した。15℃付近に冷却した後、製造例1で得られたピリジンメタノール化合物25.0g(88.20mmol)を、35℃以下で20分間かけて少しずつ加えた。得られた混合物を55℃に加温し、7時間反応させた。反応混合物(溶液部)をHPLCで測定した結果、ダイマー1及びダイマー2の副生量はそれぞれ0.06%、0.05%であり、不純物の合計副生量は5.23%であった。本値を反応時の副生量とし、チップ速度、濃硫酸の濃度及び使用量と共に表3に示した。
なお、前記反応においては、反応部4の内径9の中心6と撹拌体2の中心6とを垂直方向(縦方向)において一致させた。また、該撹拌体2が位置する高さの反応部4の内径は11.0cm(撹拌体2の最大長さ8/該高さの内径=77%)とした。また、撹拌体2の最も高い位置は、全反応溶液の高さ11 の30%の高さに位置させた。
反応終了後、5℃付近まで冷却し、水175mLを35℃以下で少しずつ加えた。次いで、23質量%水酸化ナトリウム水溶液206.0gを35℃以下で少しずつ加えた後、トルエン100mLを加えた。さらに、23質量%水酸化ナトリウム水溶液61.0gを加え中和した(pH14)。60℃付近で15分間撹拌した後、水層を分液した。有機層に水50mLを加え、60℃付近で15分間撹拌した後、水層を分液し、ミルタザピンのトルエン溶液として有機層を得た。この有機層に55℃付近でヘプタン125mLを加えて結晶化させ、55℃付近で1時間熟成した。さらに、5℃付近に冷却し、5℃付近で1時間熟成した後、減圧ろ過により、該スラリー溶液をろ過した。ろ別した結晶をトルエン25mLとヘプタン25mLの混合液により洗浄した後、得られた褐色結晶を60℃で減圧下、15時間乾燥し、褐色結晶として粗体のミルタザピンを得た。
(精製工程)
撹拌体、温度計を取り付けた500mLの四口フラスコに、得られた粗体のミルタザピン、メタノール60mLを加え溶解させた。5℃付近に冷却下後、活性炭2.5gを加え、5℃付近で30分間撹拌した。減圧ろ過により、活性炭をろ別し、得られた溶液に25℃付近で水250mLを少しずつ加えて結晶化させ、25℃付近で1時間撹拌した。さらに、5℃付近に冷却し、5℃付近で1時間熟成した後、減圧ろ過により、該スラリー溶液をろ過した。ろ別した結晶をメタノール5mLと水5mLの混合液により洗浄した後、得られた白色結晶を60℃で減圧下、15時間乾燥し、白色結晶としてミルタザピン19.5g(73.49mmol、製造収率:83.3%)を得た(純度:99.90%、ダイマー1:0.05%、ダイマー2:0.04%)。これら結果をミルタザピンの製造結果として表3に示した。
実施例2〜11
チップ速度、及び、濃硫酸の濃度、使用量を変えたこと以外は実施例1と同様の方法でミルタザピンを得た。製造条件及び反応の結果、およびミルタザピンの製造結果を表3に示した。
比較例1〜5
チップ速度、及び、濃硫酸の濃度、使用量を変えたこと以外は実施例1と同様の方法でミルタザピンを得た。製造条件及び反応の結果、およびミルタザピンの製造結果を表3に示した。
Figure 2017222608
1 反応容器
2 撹拌体
3 内周壁
4 反応部
5 撹拌体の先端部
6 反応部、及び撹拌体の中心(軸)
7 撹拌軸
8 撹拌体の長さ(最大長)
9 反応部の内径
10 反応容器の底部
11 反応溶液の上面(全反応溶液の高さ)

Claims (4)

  1. 2−(4−メチル−2−フェニル−1−ピペラジニル)−3−ピリジンメタノールと硫酸とを、撹拌体を備えた反応容器内で撹拌混合することにより反応させてミルタザピンを製造する方法において、
    該撹拌体の先端部の速度であるチップ速度を1.0m/s以上として撹拌混合することを特徴とするミルタザピンの製造方法。
  2. 前記チップ速度が、1.0m/s以上3.0m/s以下である請求項1に記載のミルタザピンの製造方法。
  3. 前記反応容器において、内周壁で囲まれた反応部の水平方向の断面が円形であり、
    該反応部の内径の中心と前記撹拌体の中心とが垂直方向において一致し、
    該撹拌体の長さが、該撹拌体が位置する高さの反応部の内径の30〜90%の長さであることを特徴とする請求項1又は2に記載のミルタザピンの製造方法。
  4. 前記硫酸の使用量が、2−(4−メチル−2−フェニル−1−ピペラジニル)−3−ピリジンメタノール1.0モルに対して、8.0モル以上15.0モル以下である請求項1〜3の何れかに記載のミルタザピンの製造方法。
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