JP2017221970A - アルミニウム多孔質体のろう付方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アルミニウム多孔質体の機能を維持しつつ、相手部材との接合部の面積を広くすることができるろう付方法を提供する。【解決手段】開気孔と、該開気孔に連通する複数の気孔とを備えた連続気孔を有するアルミニウム多孔質体2と、アルミニウム材からなる心材32と、Al−Si系合金からなり、心材32の一方の板面上に配置された第1ろう材31と、心材32の他方の板面上に配置された第2ろう材33とを含む両面クラッド板からなり、心材32のクラッド率が30%以下であるブレージングシート3と、アルミニウム材からなる相手部材4とを準備する。アルミニウム多孔質体2と相手部材4との間に、第1ろう材31がアルミニウム多孔質体2側に配置されるようにブレージングシート3を介在させて被処理物4を組み立てる。その後、被処理物4をろう付する。【選択図】図1
Description
本発明は、アルミニウム多孔質体のろう付方法に関する。
金属多孔質体は、その内部に存在する多数の気孔の形や大きさ等に応じて様々な性質を示すため、超軽量材料、電池用材料、衝撃吸収材料、吸音材料、医療用材料、熱交換器用材料などの、様々な用途への適用が期待されている。この種の金属多孔質体としては、連続気孔、即ち、金属多孔質体の表面に開口した開気孔と、この開気孔に連なる複数の気孔とを備えたものが知られている。
金属多孔質体は、補強のための板材やケースなどの、相手部材とろう付により接合されることがある。例えば、特許文献1には、ニッケル多孔質体とニッケル圧延板とがろう付されてなる複合板が記載されている。この技術においては、ニッケル多孔質体とニッケル圧延板とのろう付に、粉末状のニッケルろう粉末を含むろう付ペーストが用いられている。
近年では、金属多孔質体として、アルミニウムやアルミニウム合金からなるアルミニウム多孔質体を採用することが検討されている。アルミニウム多孔質体は、ニッケル多孔質体に比べて軽量であり、電気伝導性や熱伝導性に優れている。そのため、より広範な分野への応用が期待されている。
しかし、アルミニウム多孔質体のろう付は、ニッケルのろう付とは対象とする母材の融点や、接合に用いるろう材の融点の温度差に違いがある。また、ニッケルのろう付は還元性の水素雰囲気や真空中で実施されるのに対して、アルミニウムのろう付では窒素雰囲気中でフラックスを用いてろう付する方法が主流である。フラックスはアルミニウム表面の酸化皮膜を効率よく破壊するため、溶融したアルミニウムろうは母材に対して非常に良く濡れる。
そのため、連続気孔を備えたアルミニウム多孔質体とアルミニウム材(アルミニウム及びアルミニウム合金を含む。以下同じ。)からなる相手部材とをろう付ペーストによりろう付しようとすると、ろう付加熱時に生じた溶融ろうが、表面張力によって連続気孔の内部に吸い上げられやすい。その結果、連続気孔の内部に多量のろうが充填され、アルミニウム多孔質体の性能の低下を招くおそれがある。
さらに、アルミニウムのろう付においては、母材とろう材の融点が近い。そのため、大量の溶融ろうがアルミニウム多孔質体の内部に吸い上げられると、隣り合う気孔を隔てるセル壁が溶融ろう中に溶解し、アルミニウム多孔質体の消失を招くおそれがある。
また、溶融ろうが表面張力によって連続気孔の内部に吸い上げられると、アルミニウム多孔質体と相手部材との接合部に供給されるろうの量が不足しやすくなる。その結果、アルミニウム多孔質体と相手部材との接合性の悪化を招くおそれがある。
また、アルミニウム多孔質体の被接合面、即ち、相手部材に接合される面には、その製造過程において、例えば不規則な凹凸やうねりなどが形成されることがある。このようなアルミニウム多孔質体のろう付を行うと、被接合面と相手部材表面との当接部に優先的に接合部が形成される。一方、被接合面と相手部材表面との隙間が比較的大きい箇所にはろうが充填されにくく、未接合部となりやすい。そのため、アルミニウム多孔質体は、相手部材との接合部の面積を広くすることが難しいという問題がある。また、未接合部の面積が過度に大きくなると、接合強度や熱伝導性の低下を招くおそれがある。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、アルミニウム多孔質体の機能を維持しつつ、相手部材との接合部の面積を広くすることができるろう付方法を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、開気孔と、該開気孔に連通する複数の気孔とを備えた連続気孔を有するアルミニウム多孔質体と、
アルミニウム材からなる心材と、Al−Si系合金からなり、上記心材の一方の板面上に配置された第1ろう材と、上記心材の他方の板面上に配置された第2ろう材とを含む両面クラッド板からなり、上記心材のクラッド率が30%以下であるブレージングシートと、
アルミニウム材からなる相手部材とを準備し、
上記アルミニウム多孔質体と上記相手部材との間に、上記第1ろう材が上記アルミニウム多孔質体側に配置されるように上記ブレージングシートを介在させて被処理物を組み立て、
該被処理物をろう付する、アルミニウム多孔質体のろう付方法にある。
アルミニウム材からなる心材と、Al−Si系合金からなり、上記心材の一方の板面上に配置された第1ろう材と、上記心材の他方の板面上に配置された第2ろう材とを含む両面クラッド板からなり、上記心材のクラッド率が30%以下であるブレージングシートと、
アルミニウム材からなる相手部材とを準備し、
上記アルミニウム多孔質体と上記相手部材との間に、上記第1ろう材が上記アルミニウム多孔質体側に配置されるように上記ブレージングシートを介在させて被処理物を組み立て、
該被処理物をろう付する、アルミニウム多孔質体のろう付方法にある。
上記ろう付方法においては、上記アルミニウム多孔質体と、上記相手部材とのろう付を、上記両面クラッド板からなる上記ブレージングシートにより行っている。また、上記両面クラッド板は、上記心材と、上記ブレージングシート側に配置される上記第1ろう材と、上記相手部材側に配置される上記第2ろう材とを有しており、これら複数の層がクラッド圧延により互いに接合されている。
上記ブレージングシートにおいては、上記第1ろう材と、該第1ろう材に隣接する層との界面に存在する酸化皮膜がクラッド圧延時に破壊されているため、両者が金属接合されている。そのため、ろう付の初期段階において上記第1ろう材が溶融したときに、溶融ろうが上記心材上に留まりやすい。
また、上記心材は、ろう付の進行に伴って徐々にろう中に溶解し、後述するように、最終的にはその大部分が消失する。このとき、上記相手部材の表面に存在していた酸化皮膜は、フラックス等の作用によって十分に破壊されている。そのため、上記相手部材への溶融ろうの濡れ性が向上し、溶融ろうが上記相手部材上に留まりやすくなる。
このように、上記ろう付方法によれば、ろう付の初期段階においては溶融ろうが上記心材上に留まりやすく、上記心材が消失した後は上記相手部材の表面に留まり易い。そのため、ろう付中の全段階に亘って、表面張力によって上記連続気孔内へ溶融ろうが吸い上げられることを抑制できる。
また、ろう付中に溶融ろうに接触したアルミニウム材の溶解反応は、Al−Si状態図上で溶融ろうが液相線上の組成になるまで進行する。従来のように連続気孔中にろうが吸い上げられる場合には、溶融ろうの大部分がアルミニウム多孔質体に接触するため、アルミニウム多孔質体が急速にろう中に溶解していた。これに対し、上記ろう付方法においては、ろう付中に、溶融ろうが上記心材及び上記アルミニウム多孔質体の両方に接触するため、上記心材及び上記アルミニウム多孔質体の両方において上記の溶解反応が進行する。その結果、上記アルミニウム多孔質体のろう中への溶解を抑制することができる。
また、上記心材のクラッド率は30%以下である。上記心材のクラッド率を上記特定の範囲とすることにより、ろう付中に上記心材を容易に変形させることができる。そのため、上記アルミニウム多孔質体と上記相手部材との隙間を小さくすることができる。
さらに、上記心材のクラッド率を上記特定の範囲とすることにより、ろう付の最終段階において、上記心材の大部分を溶融ろう中に溶解させることができる。そして、この溶融ろうに上記アルミニウム多孔質体の被接合面が埋没することにより、上記アルミニウム多孔質体と上記相手部材との当接部だけでなく、両者の隙間にもろうを供給することができる。
このように、上記心材のクラッド率を上記特定の範囲とすることにより、上記アルミニウム多孔質体と上記相手部材との接合部の面積を広くすることができる。
以上のように、上記ブレージングシートを用いてろう付を行うことにより、ろう付中における上記連続気孔内へのろうの吸い上げや、上記アルミニウム多孔質体のろう中への溶解を抑制することができる。また、ろう付の最終段階において、上記アルミニウム多孔質体の被接合面を溶融ろう中に埋没させることにより、上記アルミニウム多孔質体と上記相手部材との接合部の面積を広くすることができる。そのため、上記ろう付方法によれば、上記アルミニウム多孔質体の機能を維持しつつ上記アルミニウム多孔質体と上記相手部材との接合面積を広くすることができる。
上記ろう付方法において、上記アルミニウム多孔質体は、表面に開口した開気孔と、この開気孔に連通する複数の気孔とを備えた連続気孔を有している。これらの気孔のサイズや隣り合う気孔を隔てるセル壁の肉厚は、アルミニウム多孔質体の用途や要求される機能に応じて適宜設定することができる。
気孔のサイズは、通常、球相当直径において数nm〜数mmの範囲にある。ろう付性の観点からは、気孔の球相当直径が0.5〜3.0mmであることが好ましい。
上記ブレージングシートとしては、心材の両面にろう材がクラッドされた3層構造を有する両面クラッド板や、心材及びろう材に加えて、これら以外の層を含む4層以上の多層構造を有する両面クラッド板を用いることができる。心材やろう材以外の層としては、例えば、心材とろう材との間に介在する中間層や、上記ブレージングシートの最表面に設けられた表面層などがある。これらの層の化学成分は、その機能に応じて適宜設定すればよい。
ブレージングシートにおける、アルミニウム多孔質体側に配置された第1ろう材と、相手部材側に配置された第2ろう材とは、同一の構成を有していてもよいし、異なる構成を有していてもよい。例えば、第2ろう材の化学成分及び/または厚みは、第1ろう材と同一であってもよく、異なっていてもよい。
心材は、アルミニウム材から構成されている。心材の材質は、ろう付後に要求される機械的特性や電気伝導性、熱伝導性等に応じて公知のアルミニウム及びアルミニウム合金から選択することができる。
心材のクラッド率は、30%以下とする。この場合には、上述したように、ろう付の初期段階において心材を残存させるとともに、ろう付の最終段階において心材の大部分を溶融ろう中に溶解させることができる。その結果、アルミニウム多孔質体の機能を維持しつつアルミニウム多孔質体と相手部材との接合面積を広くすることができる。
心材のクラッド率が高くなると、ろう付の最終段階において、アルミニウム多孔質体と相手部材との間に残存する心材の量が多くなり、ろう付温度等の条件によっては心材が板状に残存する。その場合、多孔質体の機能に悪影響を与えるおそれがある。また、ろう付中に心材が変形しにくくなるため、多孔質体と心材との隙間が大きくなりやすい。そして、この隙間に溶融ろうが誘導される結果、ろうの供給量が減少するなどの問題が生じ、接合部の面積の減少を招くおそれがある。
また、一般的に用いられているブレージングシートにおける心材のクラッド率は、75%以上であることが多い。このように心材のクラッド率が過度に高い場合には、ろう付中に発生する熱応力によって心材が変形し、アルミニウム多孔質体とブレージングシートとの間に隙間が生じ易くなる。その結果、接合部の面積の更なる減少を招くおそれがある。
これらの問題を回避するため、心材のクラッド率は30%以下とする。アルミニウム多孔質体と相手部材との接合面積をより広くする観点からは、心材のクラッド率を15%以下とすることが好ましい。
第1ろう材は、例えば、Si:4〜13質量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分を有していてもよい。この場合には、アルミニウム多孔質体と相手部材との接合部に十分なろうを供給することができる。その結果、アルミニウム多孔質体と相手部材とのろう付性をより向上させることができる。
第1ろう材中のSi量が4質量%未満の場合には、ろう材が溶融してからろう付温度に到達するまでに生じる溶融ろうの量が不足するおそれがある。そのため、アルミニウム多孔質体と相手部材とのろう付性が低下するおそれがある。第1ろう材中のSi量が13質量%を超える場合には、溶融ろうの量が多くなるため、ろう中へのアルミニウム多孔質体の溶解量の増大を招くおそれがある。また、この場合には、両面クラッド板の製造過程において割れが生じ易くなり、場合によってはブレージングシートの製造が困難となるおそれもある。
第2ろう材は、ろう材用として公知のAl−Si系合金から適宜選択することができる。例えば、第2ろう材は、Si:4〜13質量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分を有していてもよい。この場合には、アルミニウム多孔質体と相手部材との接合部に十分なろうを供給することができる。その結果、アルミニウム多孔質体と相手部材のろう付性をより向上させることができる。
第2ろう材中のSi量が4質量%未満の場合には、ろう材が溶融してからろう付温度に到達するまでに生じる溶融ろうの量が不足するおそれがある。そのため、アルミニウム多孔質体と相手部材とのろう付性が低下するおそれがある。第2ろう材中のSi量が13質量%を超える場合には、両面クラッド板の製造過程において割れが生じ易くなり、場合によってはブレージングシートの製造が困難となるおそれもある。
ブレージングシートを介してアルミニウム多孔質体に接合される相手部材としては、例えば、ジャケットやケース等の熱交換器の本体や、補強材、電池に用いるための電極板などがある。相手部材の材質は、その用途に応じて公知のアルミニウム材から適宜選択することができる。
上記ろう付法においては、上述の構成を有するアルミニウム多孔質体、ブレージングシート及び相手部材を準備した後、アルミニウム多孔質体、ブレージングシート及び相手部材を順次積層することにより、被処理物を組み立てる。その後、被処理物をろう付温度まで加熱してろう付を行う。
ろう付温度は、580〜600℃とすることができる。この場合には、ろう付時に適度な量の溶融ろうを生じさせることができる。その結果、気孔内部への溶融ろうの吸い上げ及びアルミニウム多孔質体のろう中への溶解をより効果的に抑制することができる。
上記ろう付方法において、ろう中へのアルミニウム多孔質体の溶解をより効果的に抑制する観点からは、溶融ろう中に、溶解していない固相が適度に含まれていることが好ましい。かかる状態を容易に実現するためには、第1ろう材は、Si:4〜9質量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分を有しており、上記ろう付において、上記被処理物を、上記第1ろう材の液相率が30質量%以上となるろう付温度まで加熱してろう付を行うことが好ましい。
第1ろう材中のSi量を9質量%以下とすることにより、アルミニウム多孔質体が溶融ろう中へ過度に溶解することを抑制できる。そして、Si量が上記特定の範囲内である第1ろう材を、その液相率が上記特定の範囲となるろう付温度まで加熱することにより、溶解していない固相が溶融ろう中に適度に含まれた状態をより容易に実現することができる。その結果、ろう中へのアルミニウム多孔質体の溶解をより効果的に抑制することができる。
また、ろう付温度が、第1ろう材の液相率が30質量%となる温度よりも低い場合には、溶融ろうの量が不十分となり、固相中に溶融ろうが閉じ込められる危険性が高くなる。その結果、健全なろう付接合が得られなくなるおそれがある。
上述したろう付温度の好ましい範囲の下限は、第1ろう材の化学成分に応じて変化する。これらの温度は、第1ろう材を単独で加熱したときの液相率に基づいて決定される。即ち、第1ろう材と同一の化学成分を有するAl−Si系合金を単独で加熱したときに、その液相率が30質量%となる温度をろう付温度の下限とする。なお、ろう付温度の好ましい範囲の上限は特に限定されることはないが、溶解していない固相を溶融ろう中に残存させ、多孔質体の溶解を抑制する観点からは、液相率が100質量%となる温度未満であればよい。
被処理物のろう付は、フラックスを用いて行ってもよく、フラックスを用いずに行ってもよい。フラックスを用いてろう付を行う場合には、被処理物の組み立て時に、ブレージングシートの表面や相手部材の表面等に、接合部表面に存在する酸化皮膜を破壊する作用を備えたフラックスを塗布した後、不活性ガス雰囲気下において被処理物のろう付を行えばよい。この場合には、比較的広いろう付条件において、良好なろう付接合を形成することができる。
フラックスとしては、例えば、KF(フッ化カリウム)、AlF3(フッ化アルミニウム)、CsF(フッ化セシウム)、LiF(フッ化リチウム)等を含むフッ化物系フラックスを使用することができる。
また、フラックスを用いずにろう付を行う場合には、ブレージングシートの積層構造における少なくとも1つの層中に、Mg(マグネシウム)やLi(リチウム)等の酸化皮膜を破壊する作用を備えた元素が添加されていればよい。このようなブレージングシートを含む被処理物を真空中あるいは不活性ガス雰囲気中において加熱することにより、ろう付を行うことができる。フラックスを用いずにろう付を行う場合には、ろう付後にフラックス残渣が残らないため、フラックス残渣の悪影響や有害性が懸念される電子部品や医療機器へのさらなる応用を期待することができる。
上記ろう付方法の実施例について、以下に説明する。なお、本発明のろう付方法の態様は以下の態様に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲において適宜構成を変更することができる。
(実験例1)
本例は、フラックスを用いて被処理物のろう付を行った例である。本例においては、アルミニウム多孔質体2と、第1ろう材31、心材32及び第2ろう材33がこの順に積層されたブレージングシート3と、相手部材4とを準備した。そして、図1に示すように、アルミニウム多孔質体2と第1ろう材31とが当接し、相手部材4と第2ろう材33とが当接するようにして、アルミニウム多孔質体2、ブレージングシート3及び相手部材4を順次重ね合わせて被処理物1を作製した。その後、フラックスを用いて被処理物1のろう付を行った。以下に、以下に、本例において用いたアルミニウム多孔質体及びブレージングシートの構成を説明する。
本例は、フラックスを用いて被処理物のろう付を行った例である。本例においては、アルミニウム多孔質体2と、第1ろう材31、心材32及び第2ろう材33がこの順に積層されたブレージングシート3と、相手部材4とを準備した。そして、図1に示すように、アルミニウム多孔質体2と第1ろう材31とが当接し、相手部材4と第2ろう材33とが当接するようにして、アルミニウム多孔質体2、ブレージングシート3及び相手部材4を順次重ね合わせて被処理物1を作製した。その後、フラックスを用いて被処理物1のろう付を行った。以下に、以下に、本例において用いたアルミニウム多孔質体及びブレージングシートの構成を説明する。
・アルミニウム多孔質体
本例のアルミニウム多孔質体は、外部空間に連通する開気孔と、この開気孔に連通する複数の気孔とを備えた連続気孔を有している。本例においては、アルミニウム多孔質体の厚み及び気孔のサイズが異なる2種類の多孔質体を準備した。なお、いずれの多孔質体についても、縦寸法:25mm、横寸法:25mmとした。
多孔質体A1 気孔の球相当直径の中央値:1mm、厚さ:2.5mm
多孔質体A2 気孔の球相当直径の中央値:0.5mm、厚さ:0.7mm
本例のアルミニウム多孔質体は、外部空間に連通する開気孔と、この開気孔に連通する複数の気孔とを備えた連続気孔を有している。本例においては、アルミニウム多孔質体の厚み及び気孔のサイズが異なる2種類の多孔質体を準備した。なお、いずれの多孔質体についても、縦寸法:25mm、横寸法:25mmとした。
多孔質体A1 気孔の球相当直径の中央値:1mm、厚さ:2.5mm
多孔質体A2 気孔の球相当直径の中央値:0.5mm、厚さ:0.7mm
・ブレージングシート
本例においては、以下の手順により表1に示すブレージングシート(供試材B1〜B10)を準備した。
本例においては、以下の手順により表1に示すブレージングシート(供試材B1〜B10)を準備した。
まず、表1に示す化学成分を有する心材、第1ろう材及び第2ろう材の元板を準備した。心材の元板については、連続鋳造により造塊した鋳塊を、縦寸法、横寸法及び厚さが所定の寸法となるように面削した。なお、縦寸法及び横寸法は163mmとした。第1ろう材及び第2ろう材の元板については、連続鋳造により造塊した鋳塊を熱間圧延した後、圧延面を面削した。その後、所定の厚さとなるまで再度熱間圧延を行い、縦寸法及び横寸法が心材の元板と同一になるように切断した。
これらの元板を表1に示す積層構造の通りに重ね合わせ、常法によりクラッド圧延を行って厚さ0.2mmまたは0.1mmの軟質クラッド板とした。このクラッド板を縦寸法:25mm、横寸法:25mm以上に切断し、ブレージングシート(供試材B1〜B10)を得た。
・相手部材
相手部材としては、JIS A3003合金の軟質材からなる、縦寸法30mm、横寸法30mm、厚さ1mmの板材を準備した。
相手部材としては、JIS A3003合金の軟質材からなる、縦寸法30mm、横寸法30mm、厚さ1mmの板材を準備した。
・被処理物の組み立て及びろう付
供試材の両板面にフッ化物系のフラックスを塗布し、乾燥させた。フラックスの塗布量は、乾燥後において3g/m2であった。相手部材、供試材及びアルミニウム多孔質体を表2に示すように組み合わせ、被処理物を組み立てた。治具を用いて被処理物を固定した後、ろう付を行った。
供試材の両板面にフッ化物系のフラックスを塗布し、乾燥させた。フラックスの塗布量は、乾燥後において3g/m2であった。相手部材、供試材及びアルミニウム多孔質体を表2に示すように組み合わせ、被処理物を組み立てた。治具を用いて被処理物を固定した後、ろう付を行った。
ろう付加熱には内容積0.4m3の予熱室とろう付室を備えた二室型炉からなる窒素ガス炉を使用した。予熱室にて被処理物の温度が450℃に達したところで被処理物をろう付室に移動し、表2に示すろう付温度まで加熱してろう付を行った。ろう付条件としては、窒素ガス炉の各室に20m3/hの窒素ガスを送り込み、450℃に達してから580℃に達するまでの所要時間が約11分となるように昇温を行う条件を採用した。また、加熱終了時のろう付室の酸素濃度は10〜15ppmであった。被処理物の温度が表2に示すろう付温度に到達した時点で直ちに被処理物を予熱室に移動し、予熱室中で570℃まで冷却した。その後、被処理物を炉外へ取り出して大気中で冷却した。以上により表2に示す試験体C1〜C16を得た。
また、第1ろう材の化学成分(表1参照)及び各試験体のろう付温度(表2参照)に基づいて、ろう付温度に達した時点での第1ろう材の液相率をAl−Si状態図に基づいて算出した。各試験体における、ろう付温度に達した時点での第1ろう材の液相率は、表2に示したとおりであった。
ろう付後の試験体における接合状態の評価を、以下の要領により実施した。
・アルミニウム多孔質体内部へのろうの吸い上げ
試験体の中央を切断し、アルミニウム多孔質体と心材との接合部を断面観察した。その結果、アルミニウム多孔質体の連続気孔内部にろうがほとんど吸い上げられていない場合には、表2中の「ろうの吸い上げ」の欄に記号「A+」を、連続気孔内部に若干ろう材が若干吸い上げられたが、セル壁の溶解が軽微であった場合には記号「A」を、連続気孔内部にろう材が多量に吸い上げられた場合には記号「B」を、連続気孔内部にろう材が多量に吸い上げられたことに加え、セル壁の溶解が顕著に認められた場合には記号「C」を記載した。そして、溶融ろうの吸い上げが十分に抑制されている「A+」または「A」の場合を合格と判定した。
試験体の中央を切断し、アルミニウム多孔質体と心材との接合部を断面観察した。その結果、アルミニウム多孔質体の連続気孔内部にろうがほとんど吸い上げられていない場合には、表2中の「ろうの吸い上げ」の欄に記号「A+」を、連続気孔内部に若干ろう材が若干吸い上げられたが、セル壁の溶解が軽微であった場合には記号「A」を、連続気孔内部にろう材が多量に吸い上げられた場合には記号「B」を、連続気孔内部にろう材が多量に吸い上げられたことに加え、セル壁の溶解が顕著に認められた場合には記号「C」を記載した。そして、溶融ろうの吸い上げが十分に抑制されている「A+」または「A」の場合を合格と判定した。
・相手部材との接合状態
上記の断面を観察し、アルミニウム多孔質体と相手部材との間にろう付接合が形成されている箇所の数を数えた。多孔質体A1を用いた試験体においては、ろう付接合が形成されている箇所が20箇所以上の場合に、表1中の「相手部材との接合状態」欄に記号「A++」を、15〜19箇所の場合に記号「A+」を、10〜14箇所の場合に記号「A」を、5〜9箇所の場合に記号「B」を、4箇所以下の場合に記号「C」を記載した。そして、ろう付接合が十分に形成されている「A++」「A+」「A」の場合を合格と判定した。
上記の断面を観察し、アルミニウム多孔質体と相手部材との間にろう付接合が形成されている箇所の数を数えた。多孔質体A1を用いた試験体においては、ろう付接合が形成されている箇所が20箇所以上の場合に、表1中の「相手部材との接合状態」欄に記号「A++」を、15〜19箇所の場合に記号「A+」を、10〜14箇所の場合に記号「A」を、5〜9箇所の場合に記号「B」を、4箇所以下の場合に記号「C」を記載した。そして、ろう付接合が十分に形成されている「A++」「A+」「A」の場合を合格と判定した。
一方、多孔質体A2は、多孔質体A1に比べて気孔のサイズが小さいため、ろう付前の被接合面、即ちブレージングシートに面している表面に露出しているセル壁の数が多い。それ故、多孔質体A1とは異なる基準で接合状態を評価する必要がある。具体的には、多孔質体A2を用いた試験体においては、ろう付接合が形成されている箇所が40箇所以上の場合に記号「A++」を、30〜39箇所の場合に記号「A+」を、20〜29箇所の場合に記号「A」を、10〜19箇所の場合に記号「B」を、9箇所以下の場合に記号「C」を記載した。そして、ろう付接合が十分に形成されている「A++」「A+」「A」の場合を合格と判定した。
表1及び表2に示すように、試験体C1〜C11においては、心材のクラッド率が30%以下であるブレージングシート(供試材B1〜B6)を用いてアルミニウム多孔質体と相手部材とのろう付を行った。そのため、これらの試験体は、連続気孔内へのろうの吸い上げや、ろう中へのセル壁の溶解を抑制しつつ、相手部材とアルミニウム多孔質体との接合部の面積を広くすることができた。
これらの試験体の中でも、特に、第1ろう材中のSi量が4〜9質量%である供試材B3〜B5は、試験体C3〜C8等に示すように、アルミニウム多孔質体へのろうの吸い上げをより効果的に抑制することができた。また、第1ろう材中のSi量が4〜7.5質量%である供試材B4及びB5を用い、第1ろう材の液相率が30質量%以上となる温度でろう付を行った試験体C4、C6〜C7及びC10〜C11は、相手部材とアルミニウム多孔質体との接合部の面積をより広くすることができた。
試験体C12〜C16は、心材のクラッド率が30%を超えるブレージングシート(供試材B7〜B10)を用いてろう付を行った。そのため、アルミニウム多孔質体と相手部材との間に隙間にろうが十分に供給されず、接合部の面積を十分に広くすることができなかった。
(実験例2)
本例は、フラックスを用いずに被処理物のろう付を行った例である。本例においては、表3に示すブレージングシート(供試材D1〜D3)を準備した後、表4に示す組み合わせでアルミニウム多孔質体、ブレージングシート及び相手部材を順次積層することにより被処理物を作製した。なお、本例においては、ブレージングシートへのフラックスの塗布は行っていない。
本例は、フラックスを用いずに被処理物のろう付を行った例である。本例においては、表3に示すブレージングシート(供試材D1〜D3)を準備した後、表4に示す組み合わせでアルミニウム多孔質体、ブレージングシート及び相手部材を順次積層することにより被処理物を作製した。なお、本例においては、ブレージングシートへのフラックスの塗布は行っていない。
本例においては、被処理物のろう付に、実施例1において用いた窒素ガス炉または内容積0.5m3の一室型真空炉のいずれかを使用した。窒素ガス炉を用いたろう付は、実施例1と同様の条件により行った。真空炉を用いたろう付においては、被処理物を炉内へ配置した後、真空排気を開始し、炉内圧力が0.4Paに達した時点で加熱を開始した。加熱開始から被処理物の温度が580℃に到達するまでの所要時間が約23分となる条件で、被処理物の温度が表4に示すろう付温度に達するまで昇温した。被処理物の温度が表4に示すろう付温度に達した時点で加熱を終了し、直ちに窒素ガスで復圧した。炉内において400℃まで冷却した後、被処理物を炉外へ取り出して大気中で冷却した。以上により表4に示す試験体E1〜E3を得た。
得られた試験体E1〜E3について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果は表4に示したとおりであった。
表3及び表4に示したように、フラックスを用いずにろう付を行う、いわゆるフラックスレスろう付法においても、心材のクラッド率が30%以下であるブレージングシートを用いてアルミニウム多孔質体のろう付を行うことにより、連続気孔内へのろうの吸い上げや、上記アルミニウム多孔質体のろう中への溶解を抑制しつつ、アルミニウム多孔質体と相手部材との接合部の面積を広くできることが容易に理解できる。
(比較例)
本例は、ブレージングシートを用いずにアルミニウム多孔質体と相手部材とのろう付を行った例である。本例においては、表5に示す化学成分を有するろう箔(供試材F1〜F3)を準備した。そして、ブレージングシートに換えてこのろう箔を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりアルミニウム多孔質体と相手部材とのろう付を行った。以上により、表6に示す試験体G1〜G5を得た。
本例は、ブレージングシートを用いずにアルミニウム多孔質体と相手部材とのろう付を行った例である。本例においては、表5に示す化学成分を有するろう箔(供試材F1〜F3)を準備した。そして、ブレージングシートに換えてこのろう箔を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりアルミニウム多孔質体と相手部材とのろう付を行った。以上により、表6に示す試験体G1〜G5を得た。
表6に示したように、ブレージングシートを用いずにろう付を行った場合、実施例1や実施例2に比べて連続気孔内部に多量のろうが吸い上げられる、あるいはろう中へのセル壁の溶解が激しくなることが理解できる。これは、相手部材の表面に溶融ろうの濡れ性が低い酸化皮膜が存在しているため、溶融ろうが相手部材の表面上に留まりにくいことが原因と考えられる。
また、本例の試験体G1〜G5は、連続気孔内部に多量のろうが吸い上げられた結果、相手部材とアルミニウム多孔質体との接合部に供給されるろうの量が不足した。そのため、相手部材とアルミニウム多孔質体との接触部分にほとんどフィレットを形成することができなかった。
1 被処理物
2 アルミニウム多孔質体
3 ブレージングシート
31 第1ろう材
32 心材
33 第2ろう材
4 相手部材
2 アルミニウム多孔質体
3 ブレージングシート
31 第1ろう材
32 心材
33 第2ろう材
4 相手部材
Claims (3)
- 開気孔と、該開気孔に連通する複数の気孔とを備えた連続気孔を有するアルミニウム多孔質体と、
アルミニウム材からなる心材と、Al−Si系合金からなり、上記心材の一方の板面上に配置された第1ろう材と、上記心材の他方の板面上に配置された第2ろう材とを含む両面クラッド板からなり、上記心材のクラッド率が30%以下であるブレージングシートと、
アルミニウム材からなる相手部材とを準備し、
上記アルミニウム多孔質体と上記相手部材との間に、上記第1ろう材が上記アルミニウム多孔質体側に配置されるように上記ブレージングシートを介在させて被処理物を組み立て、
該被処理物をろう付する、アルミニウム多孔質体のろう付方法。 - 上記第1ろう材は、Si:4〜13質量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分を有している、請求項1に記載のアルミニウム多孔質体のろう付方法。
- 上記第1ろう材は、Si:4〜9質量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分を有しており、上記ろう付において、上記第1ろう材の液相率が30質量%以上となるろう付温度まで上記被処理物を加熱する、請求項1または2に記載のアルミニウム多孔質体のろう付方法。
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