JP2017219828A - 三味線等の胴皮用人口皮革及び三味線 - Google Patents

三味線等の胴皮用人口皮革及び三味線 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来の胴皮用人工皮革は本物の皮とは異なる構造であるため、音の質に違和感があること。【解決手段】 本発明の三味線の胴皮用人工皮革200では、三味線の木胴の表又は裏の開口部に展着する織布の表面のうちから音の抜け部2を構成する部位を除いた部分に、伸展性のある樹脂被膜10を積層形成したことで、本物の皮に近い品質を得ることができた。長唄用三味線と津軽三味線に本皮と胴皮用人工皮革200を張り、開放弦の音の周波数分析を行ったところ、両者は音色や減衰の態様が近似したものとなり、その差異を聞き分けるのは極めて困難であった。【選択図】 図8

Description

本発明は、人口皮革を用いた三味線等の胴皮用人口皮革及び三味線に関するものである。
従来から特許文献1に記載されているような三味線等の胴皮用人工皮革が知られている。この胴皮用人工皮革は、絹織布に、植物性又は鉱物性の油脂分と、ゼラチン、ケラチン、シスチンなどの膠状物質を含浸させ、鞣して皮風にした構造である。この表面には、ウレタン、ポリエチレン、ナイロンなどの合成樹脂フィルムを貼着し、通気処理を施すこともできる。この胴皮用人工皮革を三味線の胴に展張することで、全面にわたり無数の通気孔が形成され、動物の皮に相当する音色を出すようにしている。
特開平5−279966号公報
しかしながら、上記従来の胴皮用人工皮革は、全体にわたり無数の通気孔を設けるように三味線の胴に展着することから、音色が実際の猫や犬の皮革と比べて異なるという問題点があった。実際、猫や犬の皮革は、その部位により毛穴の大きさや数、厚さが異なっており、係る事情から三味線には小動物の皮革が良いと伝統的にされている。これは、三味線の音の抜けが毛穴の大きさや分布の存在によるからである。このため、上記従来の胴皮用人工皮革の場合は全体にわたり均一な通気孔を形成することから、好ましい音色を出す構造にはなっていない。本発明は、係る問題点を解決するためになされたものである。
本発明に係る三味線等の胴皮用人工皮革は、三味線等の木胴の表又は裏の開口部に展着する織布の全面に伸展性のある被膜を積層形成し且つ当該被膜の表面には研磨面が形成されることを特徴とする。また、前記織布の面のうちから音の抜け部を構成する部位を除いた部分に、伸展性のある被膜を積層形成しても良い。
また、前記被膜は、シアノアクリレート系瞬間接着剤によって形成される又は酢酸ビニル樹脂としても良い。更に、前記抜け部を構成する一部が、三味線等の弾き姿勢において木胴の上側に位置するようにしても良い。
また、三味線等の弾き姿勢において木胴の上側の厚さが、下側の厚さより薄くなるようにしても良い。更に、三味線等の弾き姿勢において木胴の下側に位置する部分に膜で形成したガード部を設けても良い。更に、裏面に、キチンキトサンを混合した被膜を形成しても良い。
この発明の実施の形態1に係る三味線等の胴皮用人工皮革を示す構成図である。 図1に示した胴皮用人工皮革の一部断面図である。 胴皮用人工皮革を三味線の木胴に張り付けた状態を示す説明図である。 被膜の形成の工程を示す説明図である。 胴皮用人工皮革を三味線の木胴に張り付ける工程を示す説明図である。 この発明の実施の形態2に係る三味線等の胴皮用人工皮革を示す構成図である。 図6に示した胴皮用人工皮革の一部断面図である。 胴皮用人工皮革を三味線の木胴に張り付けた状態を示す説明図である。 樹脂被膜の形成の工程を示す説明図である。 胴皮用人工皮革を三味線の木胴に張り付ける工程を示す説明図である。 この発明の実施の形態3に係る三味線等の胴皮用人工皮革を三味線の木胴に張り付けた状態を示す説明図である。 前記ガード部の形成方法を示す説明図である。 ガード部の形状の別の例を示す説明図である。 この発明の実施の形態4に係る三味線等の胴皮用人工皮革を三味線の木胴に張り付けた状態を示す説明図である。 図14の一部断面図である。 この発明の実施の形態5に係る三味線等の胴皮用人工皮革を三味線の木胴に張り付けた状態を示す説明図である。
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1に係る三味線等の胴皮用人工皮革を示す構成図である。図2は、図1に示した胴皮用人工皮革の一部断面図である。図3は、胴皮用人工皮革を三味線の木胴に張り付けた状態を示す説明図である。この胴皮用人工皮革100は、全体が織布30で構成され、この織布30の表面に被膜1を形成した構造である。
三味線50は、各辺が外側に膨らみをもった略四角形状であり且つその内部が空洞となった木胴51と、当該木胴51の一部から直線状に延出した棹52と、当該棹52の先端に設けられ且つ3つの糸巻を有する天神(図示省略)とから構成される。前記木胴51の表又は裏面の開口部51aには胴皮用人工皮革100が張られ、その上に駒54が設けられる。糸55は、木胴51の根緒53から前記駒54の上を渡されて棹52の先の糸巻まで張られる。
前記織布30は、平織、綾織、ドビー織、ジャガード織等から適宜選択できる。また、織布30の糸には、絹糸、柞蚕糸、天蚕糸を用いることができる。織布30の目の大きさは、木胴51に展着したときの拡がりを考慮して素材毎、又は、織り毎に選定するものとする。
前記被膜1は、シアノアクリレート系瞬間接着剤により層形成する。例えば、人口大理石用の瞬間接着剤を前記織布30の表面に塗布し、乾燥させてから研磨することで研磨面を形成する。当該研磨面を設けることで指が当たっても皮膚への負担が少なくて済む。このようにして形成した被膜1は、一定の伸展性を備えているので、後述するように、胴皮用人工皮革100を木胴51に張り付けた際にも当該被膜1に破れが生じ難く、本物の皮に近い質が得られる。なお、前記被膜1は、上記接着剤の他に、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤,ウレタン樹脂塗料又は紫外線硬化樹脂等によって形成してもよい。また、研磨方法は、平面研磨に通常用いられる方法が採用できる。例えば、バフ,サンドペーパー,研磨パッド,研磨布紙,遊離砥粒研磨剤等を適宜用いて行う。研磨面の平均粗さは、Ra1.6a以下とするのが好ましい。
図4は、被膜の形成の工程を示す説明図である。まず同図(a)に示すように、所定の織布30を木胴51の外周縁形状と略相似形で且つ当該外周縁形状より大きめに切り出し、これを作業板の上に平に置く。続いて、同図(b)に示すように、織布30の表面に人口大理石用瞬間接着剤をローラ21で均一に塗布し、乾燥させる。乾燥後、サンドペーパー等で塗布面を研磨する。
上記工程により、織布30の目が被膜1により塞がれ、これにより小動物の皮の質を再現できる。また、被膜1の層の厚さにより音の質を調整することができる。具体的には、ローラ21での塗布回数を多くし被膜1を厚く形成した場合(図2(a))には、音の質が丸くなり、塗布回数を減らし被膜1を薄く形成した場合(図2(b))には、音の質が硬くなる。
また、胴皮用人工皮革100の裏面に、キチンキトサンの粉末をシアノアクリレート系瞬間接着剤に混合し、層形成するようにしても良い。このキチンキトサン混入層の形成方法は、上記被膜1の形成方法と同じである。発明者の研究によれば、裏面にキチンキトサン混入層を形成することで、音がまろやかになることが確認されている。キチンキトサンとしては、フローナックC−60M(日本水産株式会社 商品名)を用いるのが好ましい。
また、胴皮用人工皮革100は着色しても良い。着色することで今までの伝統的な三味線のデザインをモダンなデザインにすることができる。第一に、顔料により着色する場合、生地に対して前処理として湯洗いを行い、カチオン化処理を行う。続いて、所定の比率で前処理剤を水に溶かして所定時間撹拌し且つ所定温度まで昇温させる。そして、その中に生地を投入して全体を撹拌し、生地を取出した後に当該生地を水洗いし、脱水する。その後、顔料からなる着色剤を所定比率で水に溶かし、その着色液の中に生地を投入する。そして、この着色液の温度を上げた状態で浸漬する。浸漬から所定時間経過後、生地を取り出し、水洗いを行う。水洗いが完了したら、再び着色された生地を、固着剤を入れた水の中に入れ、所定時間経過後に取出して脱水し、タンブラーで乾燥させる。その後、所定温度と時間をもって熱処理を行い、着色を固定する。
染料により着色する場合、まず、生地の汚れを洗剤で落とし、その洗剤を水洗いにより落とす。続いて、染料による着色剤を水に溶かして撹拌し、所定のphになるまで調整する。そして、この着色液を昇温させてから前記生地を入れ、撹拌する。所定時間撹拌後、生地を取り出して水洗いし、乾燥させる。
このようにして着色すると、従来の動物の皮では作れないような色鮮やかな色彩の胴皮となる。なお、これらの着色は、インクジェットにより行うようにしても良い。
図5は、胴皮用人工皮革を三味線の木胴に張り付ける工程を示す説明図である。本発明は、三味線50の木胴51の表及び裏の開口部50aに、前記動物の皮の代わりに上記胴皮用人工皮革100を張り付けた構造である。胴皮用人工皮革100の周縁に接着剤を塗布し木胴51の開口部50aの端周縁に張り付ける。
張り付けの際に胴皮用人工皮革100が引っ張られることで、生地の目が拡がることになるが、被膜1が伸展性を有することから、生地の目は完全に開口するのではなく、被膜1により閉じた状態を維持する。これにより、胴皮用人工皮革100が好ましい状態で振動する。即ち、目が開いた状態で振動させると糸55が振動している状態となり、空間に十分な振動を伝えることができないが、本発明に係る胴皮用人工皮革100であれば、織布30の目の部分は被膜1により閉じているので、空間に生地全体の面振動を伝えることになる。それにより、音の質は本物の皮に近いものとなる。
更に、三味線50の弾き姿勢において木胴51上側U1(換言すれば、糸55より弾き姿勢で上側)の被膜1の厚さを、下側U2の被膜1の厚さよりも薄くするようにしても良い。このようにすれば、薄い部分で抜けの良い音が得られる。厚さの差は、接着剤等の塗布量により調整すれば良い。具体的には、ローラによる塗布回数を増やすことで実施できる。厚さの分布は、本物の皮の一般的な厚さの差に準じて決定する。このようにすれば、より本物の皮に近い音が得られるようになる。
また、胴皮用人工皮革100は、被膜1の厚さだけでなく、極微細な孔を設けても良い。当該孔により音の質を調整することができる。例えば直径0.60mm〜0.02mmの孔を胴皮用人工皮革100に複数設けることで、音の質の調整を行う。具体的には、直径0.18mmの孔を木胴51の上側U1に複数設けることで、内部の音が外部に出やすくなる(図示省略)。そして、この複数の孔は、本物の皮の毛穴が分布する領域に相当する領域を形成することから、本物の皮を振動させたときの状態と同じような状態を再現できるようになり、より本物の皮に近い音を再現できるようになる。
本出願人は、上記製造方法により製作した胴皮用人工皮革100を三味線50に張り付けた状態で本物の皮との音の差を実験により検証した。具体的には、長唄用三味線と津軽三味線に本皮と胴皮用人工皮革100を張り、開放弦の音の周波数分析を行った。使用する糸55は同じものとした。その結果、両者は音色や減衰の態様が近似したものとなり、その差異を聞き分けるのは極めて困難であった。
(実施の形態2)
図6は、この発明の実施の形態2に係る三味線等の胴皮用人工皮革を示す構成図である。図7は、図6に示した胴皮用人工皮革の一部断面図である。図8は、胴皮用人工皮革を三味線の木胴に張り付けた状態を示す説明図である。この胴皮用人工皮革200は、全体が織布30で構成され、この織布30の表面に樹脂被膜10を形成すると共に、その一部に抜け部2を構成する部位が形成された構造である。実施の形態1と同じ構成要件には同じ番号を付し、その説明を省略する。
前記抜け部2は、他の領域3との比較において通気性が高い領域である。この通気性は、他の領域3は一様に膜が形成され空気が通らない状態であるのに対し、抜け部2では織布30の目が展着の際に開くことにより大きくなって通気性が高くなっている状態をもって確保される。また、他の領域3に微小の孔が存在する場合でも、当該抜け部2の孔が他の領域3の孔よりも大きい又は孔の数が多いことによって、通気性が確保される。
樹脂被膜10は、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤により酢酸ビニル樹脂層として形成する。当該樹脂被膜10は、例えば水性の木工ボンドを表面に塗布して乾燥させることで形成する。このようにして形成した樹脂被膜10は、一定の伸展性を備えているので、後述するように、胴皮用人工皮革200を木胴51に張り付けた際にも当該樹脂被膜10に破れが生じ難く、本物の皮に近い質が得られる。なお、前記樹脂被膜10は、上記接着剤の他に、ウレタン樹脂塗料又は紫外線硬化樹脂等によって形成してもよい。
図9は、樹脂被膜の形成の工程を示す説明図である。まず同図(a)に示すように、所定の織布30を木胴51の外周縁形状と略相似形で且つ当該外周縁形状より大きめに切り出し、これを作業板の上に平に置く。続いて、同図(b)に示すように、織布30のうち抜け部2を形成したい部分に、当該抜け部2の形状を模った型紙20を仮接着する。この抜け部2は、猫や犬の本革のうち、他の領域3に比べて、脇部等の大きめの毛穴が分布する領域に相当するものである。この状態で、同図(c)に示すように、織布30の表面に木工用ボンドをローラ21で均一に塗布し、乾燥させる。乾燥後、同図(d)に示すように、前記型紙20を取り外す。
上記工程により、織布30の一部に樹脂被膜10が形成されていない「抜け部2」が形成され且つその他の部分3において織布30の目が樹脂被膜10により塞がれる。これによって小動物の皮のように、大きな毛穴の分布する領域(脇部分等)による抜け部2が再現され、且つ、全体として本物の皮の質を再現できる。また、小動物の皮は部位によりその厚さが異なるため、重ね塗り等により樹脂被膜10の塗布を一部で厚くなるようにし、実際の皮のような厚さの分布を再現することもできる。具体的には、木胴51の糸55に対して三味線50の弾き姿勢で下側U2の厚さを、その上側U1の厚さより大きくする。このようにすれば、より本物の皮に近い質が得られる。
また、胴皮用人工皮革200の裏面に、キチンキトサンの粉末を酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤に混合し、酢酸ビニル樹脂層として形成するようにしても良い。この場合も、前記抜け部2には、当該酢酸ビニル樹脂層は形成しないようにする。このキチンキトサン混入層の形成方法は、上記樹脂被膜の形成方法と同じである。発明者の研究によれば、裏面にキチンキトサン混入層を形成することで、音がまろやかになることが確認されている。キチンキトサンとしては、フローナックC−60M(日本水産株式会社 商品名)を用いるのが好ましい。
また、胴皮用人工皮革200は着色しても良い。着色方法については、実施の形態1と同様なので説明を省略する。
図10は、胴皮用人工皮革を三味線の木胴に張り付ける工程を示す説明図である。本発明は、三味線50の木胴51の表及び裏の開口部50aに、前記動物の皮の代わりに上記胴皮用人工皮革200を張り付けた構造である。胴皮用人工皮革200の周縁に接着剤を塗布し木胴51の開口部50aの端周縁に張り付ける。この張り付けた状態で、前記抜け部2は、木胴51の糸55に対して三味線50の弾き姿勢で上側U1かつ当該上側U1領域の略中央付近に位置する。
張り付けの際に胴皮用人工皮革200が引っ張られることで、生地の目が拡がることになるが、樹脂被膜10の伸展性が高いことから、生地の目は完全に開口するのではなく、樹脂被膜10により閉じた状態を維持する。これにより、胴皮用人工皮革200が好ましい状態で振動する。即ち、目が開いた状態で振動させると糸55が振動している状態となり、空間に十分な振動を伝えることができないが、本発明に係る胴皮用人工皮革200であれば、織布30の目の部分は樹脂被膜10により閉じているので、空間に生地全体の面振動を伝えることになる。これは、細かい毛穴を有する本物の皮に似た状態であり、よって音の質は本物の皮に近いものとなる。
また、胴皮用人工皮革200を木胴51に一定の張力をもって張り付けることで、前記樹脂被膜10が形成されていない抜け部2の目が若干拡がり、内部の音が外部に出やすくなる。この抜け部2は、上述のように、脇部等の大きめの毛穴が分布する領域に相当する領域を形成することから、本物の皮を振動させたときの状態と同じような状態を再現できるようになり、より本来の音に近い音を再現できるようになる。
更に、三味線50の弾き姿勢において木胴51の上側U1の樹脂被膜10の厚さを下側U2の樹脂被膜10の厚さよりも薄くするようにしても良い。このようにすれば、薄い部分で抜けの良い音が得られる。厚さの差は、樹脂の塗布量により調整すれば良い。具体的には、ローラ21による塗布回数を増やすことで実施できる。厚さの分布は、本物の皮の一般的な厚さの差に準じて決定する。このようにすれば、より本物の皮に近い音が得られるようになる。
本出願人は、上記製造方法により製作した胴皮用人工皮革200を三味線50に張り付けた状態で本物の皮との音の差を実験により検証した。具体的には、長唄用三味線と津軽三味線に本皮と胴皮用人工皮革200を張り、開放弦の音の周波数分析を行った。使用する糸55は同じものとした。その結果、両者は音色や減衰の態様が近似したものとなり、その差異を聞き分けるのは極めて困難であった。
(実施の形態3)
図11は、この発明の実施の形態3に係る三味線等の胴皮用人工皮革を三味線の木胴に張り付けた状態を示す説明図である。この三味線50aは、実施の形態2に係る三味線50と略同一であるが、胴皮用人工皮革200の一部にガード部201を設けた点に特徴がある。その他の構成要件は実施の形態2と同一であるためその説明を省略する。このガード部201は、シアノアクリレート系瞬間接着剤により層形成するものとする。ガード部201は、胴皮用人工皮革200のうち、バチの当たる場所に形成するものとする。具体的には、ガード部201は、胴皮用人工皮革200を木胴51の表及び裏の開口部51aに貼り付けた状態で、木胴51の糸55に対して三味線50aの弾き姿勢で下側U2かつ中央から棹52にかけて位置する。なお、このガード部201の大きさや位置は、三味線の種類によって適宜設定できるものであり、同図に示したのは津軽三味線である。津軽三味線の場合、演奏中のバチの移動があるため、比較的大きめのガード部201を形成する必要がある。
図12は、前記ガード部201の形成方法を示す説明図である。まず、実施の形態2と同様に所定の織布30に樹脂被膜10を形成すると共に前記抜け部2を形成しておく。次に、同図(a)に示すように、机上に広げて置いた織布30に対してガイドプレート60を載せ、仮固定する。ガイドプレート60は、プラスチック製の板からなり、ガード部201を形成する部分に切欠き部60aを設けた構造である。切欠き部60aは、実際のガード部201より大きめに設けられる。
次に、同図(b)に示すように、形成したガード部201の端を画定する。前記切欠き部60aと織布30との間に渡るようにしてマスキングテープ61を貼り付ける。このマスキングテープの端61aがガード部の端201aを構成するように、コの字形状に貼り付けるものとする。そして、このマスキングテープ61の内側に、シアノアクリレート系瞬間接着剤を塗布し、所定時間かけて硬化させる。硬化した後、マスキングテープ61を付けたまま、目の細かい紙やすりやバフ研磨で表面を研磨し、ガード部201の表面を平滑化するのが好ましい。これにより、指が当たっても皮膚への負担が少なくて済む。研磨面の平均粗さは、Ra1.6a以下とするのが好ましい。最後に、同図(c)に示すように、ガイドプレート60を織布30から取り外すと、ガード部201が形成される。
図13は、ガード部の形状の別の例を示す説明図である。ガード部301は、三味線の種類により様々な形状を選択できるものとし、同図に示したのは、長唄の三味線である。長唄の三味線はバチの移動が少ないことから、バチが胴皮用人工皮革200の特定の場所に集中して当たることになる。具体的には、木胴51の糸55に対して三味線50aの弾き姿勢で下側U2かつ棹52側に位置する。ガード部301の形成方法や素材ないし構造は、前記ガード部201と同じである。
以上から、この実施の形態3に係る三味線50aは、ガード部を設けることによりバチによる胴皮用人工皮革200の損傷を防止できる。また、指の保護にも役立つものとなる。
(実施の形態4)
図14は、この発明の実施の形態4に係る三味線等の胴皮用人工皮革を三味線の木胴に張り付けた状態を示す説明図である。この三味線50bは、実施の形態3に係る三味線50aと略同一であるが、胴皮用人工皮革200の一部に指の保護構造401を形成した点に特徴がある。その他の構成要件は実施の形態3と同一であるためその説明を省略する。この保護構造401を形成するには、織布としてナイロン等の化繊の織布70を用い、この織布70に対して半田ごて等により所定位置を加熱する。これにより、織布70が柔らかくなって、図15の一部断面図に示すように、緩みが形成される。この緩みにより指が当たっても指への負担が緩和されるので、演奏時の指と胴皮用人工皮革200との摩擦な衝撃を緩和して、指を保護できる。
保護構造401の範囲は、少なくとも三味線の種類に合わせて、指が胴皮用人工皮革200に当たる部分に設定するものとする。緩みの程度も、演奏者の技量や特徴に合わせて適宜設定するようにしても良い。また、加熱の方法は半田ごての他、ヒーター等の既知の技術を用いることができる。
(実施の形態5)
図16は、この発明の実施の形態5に係る三味線等の胴皮用人工皮革を三味線の木胴に張り付けた状態を示す説明図である。この三味線50cは、実施の形態3に係る三味線50aと略同一であるが、胴皮用人工皮革200と木胴51との接着に用いる接着剤が織布の広範囲501にはみ出した点に特徴がある。このため、樹脂被膜10が省略される。その他の構成要件は実施の形態3と同一であるためその説明を省略する。
このように、樹脂被膜10の機能を、はみ出した接着剤により代替しても良い。胴皮用人工皮革200と木胴51とはシアノアクリレート系瞬間接着剤により接着される。このとき、織布30に接着剤が滲みだして胴皮用人工皮革200の裏面の広範囲501を覆うことになる。また、胴皮用人工皮革200にはガード部201が形成されている。これにより、実質的に抜け部2aが木胴51の糸55に対して三味線50cの弾き姿勢で上側U1に形成されることになる。このようにしても、実施の形態2及び3と同様の作用効果を得ることができる。
以上、本願発明の実施の形態について説明したが、本願はこれに限定されるものではない。すなわち、上記実施の形態では三味線を用いて説明をしたが、本願発明は類似の楽器についても適用可能である。具体的には、三線,三弦,二胡,胡弓,サロッド,バンジョー,タール等にも適用可能である。
1 被膜
2 抜け部
3 他の領域
10 樹脂被膜
30 織布
50 三味線
201 ガード部
401 保護構造

Claims (9)

  1. 三味線等の木胴の表又は裏の開口部に展着する織布の全面に伸展性のある被膜を積層形成し且つ当該被膜の表面には研磨面が形成されることを特徴とする三味線等の胴皮用人工皮革。
  2. 前記被膜は、シアノアクリレート系瞬間接着剤によって形成されることを特徴とする請求項1に記載の三味線等の胴皮用人工皮革。
  3. 前記織布の面のうちから音の抜け部を構成する部位を除いた部分に、伸展性のある被膜を積層形成したことを特徴とする請求項1に記載の三味線等の胴皮用人工皮革。
  4. 前記被膜は、酢酸ビニル樹脂であることを特徴とする請求項1又は3に記載の三味線等の胴皮用人工皮革。
  5. 前記抜け部を構成する一部が、三味線等の弾き姿勢において木胴の上側に位置することを特徴とする請求項3又は4に記載の三味線等の胴皮用人工皮革。
  6. 前記被膜は、三味線等の弾き姿勢において木胴の上側の厚さが、下側の厚さより薄いことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の三味線等の胴皮用人工皮革。
  7. 三味線等の弾き姿勢において木胴の下側に位置する部分に膜で形成したガード部を設けたことを特徴とする請求項3〜6のうちいずれか一つに記載の三味線の胴皮用人工皮革。
  8. 裏面に、キチンキトサンを混合した被膜を形成したことを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか一つに記載の三味線等の胴皮用人工皮革。
  9. 上記請求項1〜8のいずれか一つに記載の胴皮用人工皮革を、前記木胴に張り付けたことを特徴とする三味線。
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