JP2017219342A - 計測装置、計測方法、加工装置、および被加工物の生産方法 - Google Patents
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Abstract
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ハイパワーレーザーの場合、一般的にビーム品質が良いとはいえず、ガウシアンビームのようにビーム径(1/e2)のみで評価することは難しい。ハイパワーレーザーは、ビーム径(1/e2径)が小さくても、サイドローブ光などの周辺光量が大きいと、加工品質が悪いことが知られている。
しかしながら、ハイパワーレーザーの場合、ビーム品質が悪いため、周辺への広がりが大きく、周辺光量が1/10000以下の微弱光であっても広い範囲露光されると積分光量は非常に大きくなる。このように、中心強度と周辺強度の差が大きく異なる場合、高いSN比(信号対雑音比)を確保する必要があり、広い周辺領域の積分光量を計測するには適していない。加えて、パルスレーザーの場合、厳密にはパルス毎にビーム品質が異なっている。
また、特許文献2には、ピンホールを用いて、メインビーム成分とサイドローブ成分を反射、回折、屈折等の方法を用いて光学的に分離する方式が開示されている。しかしながら、この方式ではピンホールからの反射光の一部しか検出できず、周辺の積算光量を正確に計測することができない。
分離手段は、レーザー光の光路に遮光部材を搭載して、メイン光と周辺光との少なくとも一方に分離する分離手段である。
測定手段は、メイン光と周辺光との少なくとも一方の光量を検出・測定する測定手段である。
また、計測装置は、測定された光量を用いて、メイン光量(メイン光の光量)に対する周辺光量(周辺光の光量)の割合を算出する算出手段を備えていてもよい。
以下、具体的な実施形態を説明する。
図1に、本発明の実施形態1に係る計測装置の構成例を示す。
計測装置1は、遮光部材11、第1検出器13、第2検出器14、第1積分球15、第2積分球16および算出部17を備える。図1では、集束手段として集光レンズ9を用いた例を示している。
第1検出器13、第2検出器14、第1積分球15および第2積分球16は、測定手段を構成する。
第1積分球15は、ビーム進行方向に対して、遮光部材11より前方(光源側)に配置される。
第1検出器13は、遮光部材11で反射及び後方散乱された光量を検出、測定する。
第2積分球16は、ビーム進行方向に対して、遮光部材11より後方(遮光部材11を挟んで第1積分球15と対向する位置)に配置される。
第2検出器14は、遮光部材11を通過した透過光及び前方散乱された光量を検出、測定する。
また、第1検出器13および第2検出器14は、測定した測定値を、算出部17に供給するように構成される。例えば、算出部17が参照可能な記録領域に供給(書き込む)する。
遮光部材11は、図2のような中心が空洞のピンホール111であり、周辺が遮光板であってもよい。遮光部材11は入射ビームに対して吸収が少ない材質であることが好ましい。具体的には、乱反射材料でコーティングされているとより好ましい。
レーザービームは、集光レンズ9により、遮光部材11付近に集光される。遮光部材11の空洞(ピンホール111)を通過したレーザービームは、第2積分球16と反射散乱を繰り返し第2検出器14に達する。このとき、遮光部材11の位置はレーザービームに対して調整可能な構成となっており、遮光部材11の位置を調整して、第2検出器14の光量が最大になるように遮光部材11を配置する。
算出部17は、周辺光量とメイン光量とを用いて、周辺光量の割合を計測する。
Amb=PD1/PD2・・・・・(式1)
なお、ピンホール111径でのレーザービームのビーム集光度Concは以下の式で表現することができる。
Conc=1−PD1/(PD1+PD2)・・・・・(式2)
実施形態2では、反射散乱光を測定せずに、周辺光を簡易的に測定する実施例について説明する。
図3は、実施形態2に係る計測装置の構成例を示すである。計測装置2は、異なる二つの条件(以降、条件A、条件Bという)で測定した光量を用いて周辺光量の割合を計測する。図1と同様に、集束手段として集光レンズ9を用いた例を示している。
本実施形態では、条件Aは、メイン光および周辺光の光量を測定し、条件Bは、メイン光の光量を測定するように構成している。
遮光部材21、22は、分離手段の一例であり、所定のピンホール径(ピンホールサイズ)PHA、PHBを有するピンホール211、221が形成されている。
検出器23、24は、測定手段の一例である。
算出部27は、算出手段の一例であり、検出器23が測定した光量と、検出器24が測定した光量とを用いて、周辺光量の割合を算出する。検出器23、24は、測定した光量を算出部27へ供給するように構成される。
条件Aでは、条件Bよりも大きなピンホール径PHA(PHA>PHB)のピンホール211を有する遮光部材21を配置して透過光及び散乱光を測定する。
算出部27は、条件Aで測定されたメイン光および周辺光の光量PD3と、条件Bで測定されたメイン光の光量PD4とを用いて、周辺光量の割合を算出する。
周辺光量=PD3−PD4・・・・・(式3)
すなわち、メイン光に対する周辺光の割合Ambは、以下の計算式により算出することができる。
Amb=(PD3−PD4)/PD4・・・・・(式4)
実施形態3では、周辺光を遮光部材の背面側から測定する実施例について説明する。
図4は、実施形態3に係る計測装置の構成例を示すである。図1と同様に、集束手段として集光レンズ9を用いた例を示している。
計測装置3は、遮光部材31、検出器23および算出部37を有する。
遮光部材31は、分離手段の一例であり、遮光部材31の中心付近を遮光する構成となっている。この構成では、メイン光は遮光部材31によってカットされ、検出器33に到達しない。その結果、周辺光のみが検出器33に達する。
図5(A)に示す遮光部材は白色部が空洞となっており、中心部材をワイヤーでつるした状態(メインローブカットタイプ)となっている。周波数が355nmや266nmのような短い波長の場合、レーザー波長に対して吸収のない材料は極めて少ない。このような場合に図5(A)の方式が有効である。
図5(B)に示す遮光部材は、ガラスなどのレーザー光を透過させる透明部材を用い、透明部材の表面に不透過領域を付着させたものである。図中、白色部が透明部材である。
本実施形態では、複数の周辺光量を測定し、測定した光量を周辺光量の割合として利用している。これは、メイン光の光量が一定であるという前提で、ピンホール径が異なる周辺光量の比較を、周辺光量の割合の度合いとして用いることができるからである。
また、図7は、1枚ないし複数枚の羽根(セクター)を円形に組み合わせて光路を開閉する可変型のピンホールである。このように、複数枚の羽根構造とすることで、1つの遮光部材でピンホール径をフレキシブルに変更することができる。
本発明の一実施形態に係る計測装置をレーザー加工装置に適用することにより、加工プロセスをモニタリングすることもできる。
図8は、一実施形態の計測装置をレーザー加工装置に搭載したときのシステム構成例を示す図である。
レーザー加工装置100のシステム構成は、光源40、コリメーターレンズ41、アパーチャ42、走査光学系50、光量検出器(計測装置)60、試料を置くための試料テーブル71、試料を移動させるための移動ステージ72、およびホストコンピュータ80からなる。
図8では、光量検出器60として、図3に示す計測装置2の構成例をレーザー加工装置100に搭載する場合を示す。
光量検出器60は、遮光部材21、22、検出器23、24、および算出部27を備える。また、図8では、検出器23が測定する光量をPD6、検出器24の測定する光量をPD7として表している。算出部27は、光量PD6、PD7を用いて周辺光量の割合を算出する。図8では、算出部27は算出結果を外部に出力するように表しているが、算出結果をホストコンピュータ80に供給するように構成してもよい。
光源40は露光条件設定手段81(光源選択手段)で分担された変調信号に基づき光を点灯・消灯させる。光源40から出力されたレーザービームはコリメーターレンズ41とアパーチャ42を通過し、走査光学系50に達する。
走査光学系50により、ポリゴンミラーやガルバノミラーなどの光偏向器52で反射され、走査レンズ53を介して試料面に照射される。
光源40は、像面上であらかじめ指定されたビーム径を有するように調整されている。
光偏向器52よりも光源側にはカップリングレンズとしてのコリメーターレンズ41、アパーチャ42、シリンドリカルレンズ51が配置される。そして光偏向器52よりも試料側には、走査レンズ53、面倒れ補正レンズ54、同期検知手段55などが配置される。光偏向器52による光ビームの偏向にともなって試料上に走査線が描画されるが、この方向を主走査方向、主走査方向と垂直な方向を副走査方向と呼ぶ。試料の進む方向は副走査方向である。
光偏向器52の機能は、光源の進行方向を時間的に変化させて、光ビームを試料面上に走査させることである。主な光偏向器としては、ガルバノミラーと、正多角柱の側面が反射鏡に加工されたポリゴンミラーがある。図9では、ポリゴンミラーを適用した構成例を示している。このポリゴンミラーが等速で回転することで、光源から射出された光ビームを反射により偏向走査させる。
アパーチャ42の重要な機能は、カップリングレンズ(コリメーターレンズ41)通過後の光束周辺部をカットすることで、所望の大きさのビームスポットを試料上に形成することである。試料面上のビームスポット径は、画像品質と直結する重要なファクターであり、所望の大きさで安定的に形成することが求められている。一般的に、ビームスポット径は、アパーチャサイズが大きくなるにしたがい、小径化するという逆比例の関係にある。したがって、所望のビームスポット径は、アパーチャサイズで設計することができる。
走査レンズ53の機能は、主にポリゴンミラー(光偏光器52)の回転に対して試料上で等速に走査されるように補正することにある。ポリゴンミラーを駆動するポリゴンモータは、等角速度運動をしている。このため、走査レンズ53がないと、像高をH、走査レンズの焦点距離をf、ポリゴンミラーの回転角をθとしたとき、関係式H=ftanθの特性となってしまう。すなわち、試料の中心から離れて像高Hが高くなるほど走査速度が速くなってしまう。図9で示されるように、ポリゴンミラーにより偏向走査される光ビームを走査レンズで補正することにより、関係式H=fθの特性にすることが可能になり、主走査方向に対して、ポリゴンミラーの回転に比例した位置に光ビームを集光させることができる。
ポリゴンモータは高速で回転されるため、回転ムラや面毎の加工精度にばらつきがあると、走査毎に露光位置がずれを生じてしまう不具合がある。このため、試料面上の有効走査領域外に同期検知手段を配置して、走査された光ビームが同期検知素子を通過する際に、同期検知信号を光源駆動制御装置(図示していない)に出力するようにしている。光源駆動制御装置は、同期検知信号を基準にして、光ビームの発光タイミングを決定する。これにより、複数ビームに対して位置ずれのない画像を出力することが可能となる。このように、同期検知信号は、発光タイミングだけでなく、画素クロック生成や光源制御の基準となる重要な役割を果たしている。
試料テーブル71に検出器23、24を配置し、試料面に、前述のピンホールが一致するように遮光部材21、22を配置する。ピンホールの大きさは遮光部材21と遮光部材22とでは異なっている。二つの検出器23、24は近接していることが望ましい。なお、光量検出器60は、積分球を使ったタイプ(実施形態1の計測装置)でも、簡易型タイプ(実施形態2、3の計測装置)であっても良いが、ここでは、実施形態2で説明した簡易型タイプの計測装置を搭載する場合を説明する。
レーザービームがピンホール径を走査することにより、検出器23と検出器24には異なる光量が検出される。レーザービームを走査させながら、検出器23と検出器24も移動ステージにより走査方向に移動させる。これにより、座標xでの検出器23での光量PD6(x)、座標xでの検出器24での光量PD7(x)を計測することができる。
Amb(x)={PD6(x)−PD7(x)}/PD7(x)・・・・・(式5)
周辺光量の割合Amb(x)は、0(ゼロ)に近い方が良いことは勿論だが、ピンホール径がビームスポット径(1/e2径)の場合、理想的なガウシアンビーム形状でも、周辺光量の割合は約13.5%存在する。27%以下であれば、ビーム品質は良好に属するといえる。
一般的には、中心に比べて周辺は斜入射のため、走査レンズの光学特性が低下する。このため、周辺光量割合がレンズ中心に比べて、周辺側だと悪くなる傾向にある。
図10は、周辺光量の割合と有効走査範囲の関係を示している。座標xに対してばらつきが少ないほどよい。このような条件から、許容限界の上限と下限が設定される。
Amb(x,y)={PD6(x,y)−PD7(x,y)}/PD7(x,y)
・・・・・(式6)
具体的には、加工プロセスの条件出しや、加工プロセスのモニタリングすること、レーザー加工に最適な条件でのビーム品質を維持することが可能になる。これは、高品質加工を提供する生産方法及び加工装置を提供するものであり、特にハイパワーのパルスレーザーのビーム品質評価に有効である。
実施形態5では、積分球を用いる計測装置を搭載したレーザー加工装置の構成例を説明する。
図11は、積分球を2台用いて、メイン光と周辺光とを同時に高精度に計測可能な実施例である。レーザー加工装置200は、図1の計測装置1を搭載している。
図11に示すように、レーザー加工装置200の試料面位置に、遮光部材11を搭載してメイン光と周辺光とに分離して測定する手段(第1検出器13、第2検出器14、第1積分球15および第2積分球16)を用いて、メイン光量に対する周辺光量の割合を計測する。
算出部17は、光量PD1、PD2を用いて、上述した式1の計算式を用いてメイン光量に対する周辺光量の割合を算出する。また、算出部17は、算出結果をホストコンピュータ80に供給するように構成してもよい。
11、21、22、31 遮光部材
13 第1検出器
14 第2検出器
15 第1積分球
16 第2積分球
17、27、37 算出部
23、24 検出器
100、200 レーザー加工装置
Claims (11)
- レーザー発振器から出力され、所望の位置に集束させたレーザー光の光量を計測する計測装置であって、
前記レーザー光の光路に遮光部材を搭載して、メイン光と周辺光との少なくとも一方に分離する分離手段と、
前記メイン光と前記周辺光との少なくとも一方の光量を測定する測定手段と、
を備える計測装置。 - 前記測定手段は、前記遮光部材に照射された光量を検出する積分球を備えることを特徴とする請求項1記載の計測装置。
- 前記測定手段は、前記光路の前記遮光部材より前方と後方とに、光量を計測する二つの検出器を配置し、前記メイン光および前記周辺光の光量を同時に計測することを特徴とする請求項1または2記載の計測装置。
- 前記遮光部材は、前記光路を遮光するピンホール径の大きさを複数段階で変更可能に構成され、前記レーザー光のビーム中心から距離に応じて、前記周辺光量を測定することを特徴とする請求項1記載の計測装置。
- 前記遮光部材は、前記メイン光を遮光するように形成されていることを特徴とする請求項4記載の計測装置。
- 前記測定手段は、前記ピンホール径の異なる複数条件での光量を計測し、前記ピンホール径が大きい条件で測定した光量と、前記ピンホール径が小さい条件で測定した光量との差分により前記周辺光量を測定することを特徴とする請求項1または4記載の計測装置。
- 前記測定された光量を用いて、メイン光量に対する周辺光量の割合を算出する算出手段を、さらに備える請求項1乃至6のいずれか一項に記載の計測装置。
- 前記レーザー発振器は、レーザー光源としてパルスレーザーを用い、
前記光量を測定する手段は、一パルス毎に前記光量を測定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の計測装置。 - レーザー発振器から出力されたレーザー光を、所望の位置に集束させ、
前記レーザー光の光路に遮光部材を搭載して、メイン光と周辺光との少なくとも一方に分離し、
前記メイン光と前記周辺光との少なくとも一方の光量を測定する計測方法。 - 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の計測装置を備える加工装置であって、
前記分離手段は、前記遮光部材を試料面位置に搭載し、
前記測定手段は、レーザー加工前後の前記光量を測定するように制御される加工装置。 - 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の計測装置を備える加工装置による被加工物の生産方法であって、
前記遮光部材を試料面位置に搭載して、メイン光と周辺光との少なくとも一方に分離し、
前記測定手段がレーザー加工前後の前記光量を測定し、
測定した前記光量を用いて加工前後のビーム品質をモニタリングする被加工物の生産方法。
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