JP2017218986A - 筒内直接噴射式内燃機関の制御方法及び制御装置 - Google Patents

筒内直接噴射式内燃機関の制御方法及び制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】燃圧が低い状態でも燃焼安定度を確保し得るように筒内直噴式内燃機関を制御する。【解決手段】本制御方法は、筒内にガス流動を形成し、点火プラグ周りで燃焼させる燃料を噴射する燃料噴射を圧縮行程以降に行い、燃料噴射で噴射された燃料が形成する混合気に火花点火する。さらに、本制御方法は、圧縮行程中であって点火プラグ周りで燃焼させる燃料を噴射する燃料噴射の前に実行する、ガス流動を燃焼が安定する方向に変化させるための圧縮前期噴射と、圧縮前期噴射だけでは燃焼安定度を確保できるところまでガス流動を変化させることができない場合に実行する、筒内直接噴射式内燃機関の有効圧縮比を変更する圧縮比制御と、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、筒内直接噴射式内燃機関の制御に関する。
筒内に直接燃料を噴射する内燃機関の制御として、圧縮行程中に燃料を噴射し、筒内ガス流動としてのタンブル流動を利用して点火プラグ周りに混合気を偏在させて成層燃焼を行う制御が知られている。このような成層燃焼を行うことで、筒内全体としては理論空燃比よりリーンとすることができるので、燃費改善を図ることができる。また、特許文献1には、排気浄化用の触媒の暖機促進等を目的として、上記の成層燃焼を行う際に点火タイミングを大幅に(例えば圧縮上死点以降まで)遅角させる制御が記載されている。
特許第3963088号公報
しかしながら、筒内ガス流動を利用して混合気を点火プラグ周りまで運ぶ構成では、点火プラグ周りに運ばれた混合気が筒内ガス流動によって流され易い。特に、上記文献に記載の制御のように点火タイミングを遅角する場合には、点火タイミングまで混合気を点火プラグ周りに停滞させておくことは難しい。つまり、上記文献に記載の制御では成層燃焼を行なうことが難しく、燃焼安定性が低下してしまう。
そこで本発明では、点火タイミングを大幅に遅角させた場合にも安定した燃焼を可能にすることを目的とする。
本発明のある態様によれば、筒内にガス流動を形成し、点火プラグ周りで燃焼させる燃料を噴射する燃料噴射を圧縮行程以降に行い、燃料噴射で噴射された燃料が形成する混合気に火花点火する、筒内直接噴射式内燃機関の制御方法が提供される。この制御方法は、圧縮行程中であって点火プラグ周りで燃焼させる燃料を噴射する燃料噴射の前に実行する、ガス流動を燃焼が安定する方向に変化させるための圧縮前期噴射と、圧縮前期噴射だけでは燃焼安定度を確保できるところまでガス流動を変化させることができない場合に実行する、筒内直接噴射式内燃機関の有効圧縮比を変更する圧縮比制御と、を含む。
上記態様によれば、点火タイミングまで混合気を点火プラグ周りに停滞させておくことが可能となり、その結果、点火タイミングを大幅に遅角させた場合にも安定した燃焼が可能となる。
図1は、筒内直接噴射式内燃機関の燃焼室付近の概略構成図である。 図2は、燃料噴射タイミングとタンブル流動強度との関係を示す図である。 図3は、燃料噴霧とタンブル流動との関係の一例を示す図である。 図4は、燃料噴霧とタンブル流動との関係の他の例を示す図である。 図5は、タンブル流動強度のタイミングチャートである。 図6は、圧縮前期噴射の実施タイミングの例を示すタイミングチャートである。 図7は、燃料噴霧の運動量について示すマップである。 図8は、エンジン始動時における油圧の挙動を示す図である。 図9は、燃圧と燃焼安定度との関係を示す図である。 図10は、圧縮比によるタンブル流動強度の違いを示す図である。 図11は、圧縮比と燃焼安定度との関係を示す図である。 図12は、圧縮比毎の燃圧と燃焼安定度との関係を示す図である。 図13は、本実施形態にかかる制御ルーチンを示すフローチャートである。 図14は、第1実施形態の制御を実行した場合のタイミングチャートである。 図15は、圧縮比とHC排出量との関係を示す図である。 図16は、油水温と燃焼安定度との関係を示す図である。 図17は、第1実施形態の制御ルーチンの変形例を示すタイミングチャートである。 図18は、第2実施形態にかかる制御ルーチンを説明するための図である。 図19は、吸気バルブの閉タイミングと有効圧縮比との関係を示す図である。 図20は、バルブオーバーラップ期間と燃焼安定度との関係を示す図である。 図21は、第2実施形態にかかる制御ルーチンの変形例を説明するための図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態を適用する筒内直接噴射式内燃機関(以下、「エンジン」ともいう)1の、燃焼室周辺の概略構成図である。なお、図1はひとつの気筒についてのみ示しているが、本実施形態は多気筒エンジンにも適用可能である。
エンジン1のシリンダブロック1Bはシリンダ2を備える。シリンダ2にはピストン3が収められている。ピストン3は可変圧縮比機構VCRにより駆動されてシリンダ2内を往復動する。
可変圧縮比機構VCRは出願人により公知にされた機構である。クランクシャフト14のクランクピン14Aに、ロアリンク13が回転自由に固定されている。ロアリンク13とピストン3とはアッパーリンク12を介して連結されている。また、ロアリンク13とコントロールシャフト16とがコントロールリンク15を介して連結されている。コントロールリンク15は、コントロールシャフト16の回転軸からずれた位置に連結されている。コントロールシャフト16は、例えばラックアンドピニオン機構等を介して電動モータ17により回転駆動される。
上記の構成により、コントロールシャフト16が回転してコントロールリンク15が引き下げられると、ロアリンク13はクランクピン14Aを軸として回転し、アッパーリンク12が押し上げられる。その結果、ピストン3の上死点位置が上昇する。この反対に、コントロールリンク15が押し上げられると、アッパーリンク12は引き下げられ、ピストン3の上死点位置が下降する。このように、可変圧縮比機構VCRは、ピストン3の上死点位置を変更することによって、いわゆる機械圧縮比を変更することが可能である。
また、ピストン3は冠面3A(以下、ピストン冠面3Aともいう)に後述するキャビティ10を備える。
エンジン1のシリンダヘッド1Aは凹状の燃焼室11と、燃焼室11とエンジン外部とを連通する吸気通路4及び排気通路5と、を備える。燃焼室11は、いわゆるペントルーフ型に構成されており、吸気通路4の開口部には一対の吸気バルブ6が、排気通路5の開口部には一対の排気バルブ7がそれぞれ配置されている。そして、これら一対の吸気バルブ6及び一対の排気バルブ7に囲まれた燃焼室11の略中心位置に、点火プラグ8がシリンダ2の軸線に沿うように配置されている。
吸気通路4は、燃焼室11へ流入する吸気がタンブル流動を形成する形状になっている。つまり、吸気通路4がガス流動生成装置としての機能を果たす。
また、シリンダヘッド1Aの、一対の吸気バルブ6に挟まれた位置には、燃料噴射弁9が燃焼室11に臨むように配置されている。燃料噴射弁9から噴射される燃料噴霧の指向性については後述する。
本実施形態の燃料噴射装置は、いわゆるコモンレール式である。高圧ポンプ41が、燃料タンク43から低圧ポンプ42により吸い上げられた燃料を昇圧してコモンレール40に供給する。これによりコモンレール40は所定の高圧状態となるので、燃料噴射弁9は高圧で燃料を噴射することができる。低圧ポンプ42は、例えば電動モータにより駆動される。高圧ポンプ41は、エンジン1の吸気側または排気側のカムシャフトシャフトにより駆動される。
吸気バルブ6及び排気バルブ7は、バルブオーバーラップ期間調整機構としての可変動弁機構20により駆動される。可変動弁機構20は、吸気バルブ6及び排気バルブ7がいずれも開弁したバルブオーバーラップ期間が生じるように、吸気バルブ6及び排気バルブ7のバルブタイミング、つまり開弁タイミング及び閉弁タイミング、を変化させ得るものであれば足りる。なお、開弁タイミングとは開弁動作を開始するタイミング、閉弁タイミングとは閉弁動作を終了するタイミングである。本実施形態では、吸気バルブ6を駆動するカムシャフト及び排気バルブ7を駆動するカムシャフトの、クランクシャフト14に対する回転位相を変化させる公知の可変動弁機構20を用いる。なお、回転位相だけでなく吸気バルブ6及び排気バルブ7の作動角も変化させ得る公知の可変動弁機構を用いてもよい。また、可変動弁機構20としては、吸気バルブ6と排気バルブ7の開閉タイミングの両方が調整できるものに限らず、いずれか一方のみを調整できるものでもよい。例えば、吸気バルブ6の開閉タイミングのみが調整できるものであっても吸気バルブ6の開期間と排気バルブ7の開期間とのバルブオーバーラップ期間を長くしたり短くしたり調整できれば他の機構を採用してもよい。
排気通路5の排気流れ下流側には、エンジン1の排気ガスを浄化するための排気浄化触媒が介装されている。排気浄化触媒は、例えば三元触媒である。
ピストン3は、上述したようにピストン冠面3Aにキャビティ10を備える。キャビティ10は、ピストン冠面3Aにおいて吸気側に偏った位置に設けられている。そして、燃料噴射弁9は、ピストン3が圧縮上死点近傍にあるときに燃料噴射すれば燃料噴霧がこのキャビティ10を指向するように配置されている。キャビティ10は、衝突して跳ね返った燃料噴霧(図中のB)が点火プラグ8の方向へ向かうような形状になっている。
なお、キャビティ10は、燃料噴霧が衝突するという条件を満たすのであれば、ピストン冠面3Aの中央やその他の位置にあっても構わない。
エンジン1の燃料噴射量、燃料噴射タイミング、及び点火タイミング等は、コントローラ100によりエンジン1の運転状態に応じて制御される。コントローラ100は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ100を複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。
また、ここでいう燃料噴射タイミングとは、燃料噴射を開始するタイミングである。また、これらの制御を実行するために、エンジン1はクランクシャフト角度センサ、冷却水温センサ32、吸入空気量を検出するエアフローメータ、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセル開度センサ31、排気浄化触媒の温度を直接的に又は間接的に検出する触媒温度センサ33等の各種検出装置を備える。アクセル開度センサ31は、ドライバーの加速要求を検出する加速要求センサとして機能するが、加速要求センサはこれに限られない。例えば、手でアクセル操作するものも適用でき、加速要求量を検出できれば操作子の形態にはこだわらない。
なお、本実施形態ではキャビティ10を利用して点火プラグ8の周りに成層混合気を形成する構成について説明するが、これに限られるわけではない。例えば、燃料噴射弁9を点火プラグ8に隣接するよう配置し、燃料噴射弁9から短い駆動パルスで噴射された燃料が点火プラグ8の周りに留まって成層混合気を形成する構成であってもよい。
次に、上記のような構成のエンジン1の制御について説明する。
まず、従来から知られている冷間始動時における制御について説明する。
冷間始動時における制御としては、排気浄化触媒の活性化を促進させるための超リタード成層燃焼が知られている(例えば特開2008−25535号公報)。この際、冷間始動時には、低温という燃焼安定性の観点からは厳しい条件下で燃焼が行われることとなるので、燃焼安定性を確保し得るような制御が望まれる。
超リタード成層燃焼では、コントローラ100は点火タイミングを膨張行程の前半の、例えば圧縮上死点後10−30degに設定する。また、コントローラ100は1サイクルあたりに必要な燃料量を複数回に分けて噴射する、いわゆる多段噴射を実行する。2段噴射の場合には、コントローラ100は1回目の燃料噴射タイミングを吸気行程の前半に設定し、2回目の燃料噴射タイミングを、圧縮行程の後半の、燃料噴霧が点火タイミングまでに点火プラグ8の周辺に到達し得るタイミングに設定する。
ここで、2段噴射の場合における1回目の燃料噴射量と2回目の燃料噴射量(成層噴射量)とについて説明する。
上述した超リタード成層燃焼で排出される排気ガスの空燃比はストイキ(理論空燃比)である。コントローラは一般的な燃料噴射量設定方法と同様に、1サイクル当たりの吸入空気量で完全燃焼させ得る燃料量(以下、トータル燃料量ともいう)を算出する。このトータル燃料量のうちの一部、例えば20−90重量%を1回目の噴射量とし、残りを2回目の噴射量とする。
なお、超リタード成層燃焼において、排気ガスの空燃比はストイキよりもリーンであっても構わない。
上記のように燃料噴射量を設定すると、1回目の燃料噴射で噴射された燃料噴霧は、キャビティ10に衝突することなくシリンダ2内に拡散し、空気と混合して燃焼室11の全域にストイキよりもリーンな均質混合気(図中のA)を形成する。そして、2回目の燃料噴射(成層噴射)で噴射された燃料噴霧(図中のB)は、キャビティ10に衝突し、巻き上げられることによって点火プラグ8の近傍に到達し、点火プラグ8の周りにストイキよりもリッチな混合気を集中的に形成する。これにより燃焼室11内の混合気は成層状態となる。この状態で点火プラグ8により火花点火すれば、失火が抑制された外乱に強い燃焼が行われる。ところで、上述した燃焼は成層燃焼であるが、点火タイミングが圧縮上死前である一般的な成層燃焼と区別するために、超リタード成層燃焼と称する。
なお、上述した1回目の燃料噴射を2回に分割して、1サイクルあたりに必要な燃料量を吸気行程に2回、圧縮行程に1回の合計3回に分けて噴射する3段噴射としてもよい。この場合、3回目の噴射が成層噴射となる。
ここで、超リタード成層燃焼における燃料噴射タイミングについて図2を参照して説明する。図2は、横軸がクランク角度のタイミングチャートである。図中のIT1は1回目の燃料噴射タイミング、IT2は成層噴射の燃料噴射タイミング、実線Aはタンブル流動の強度、実線Bはピストン3への燃料付着特性、を示している。なお、図中のTDCは上死点を、BDCは下死点を意味する。
タンブル流動が燃費性能の向上や排気低減に有効であることは知られている。タンブル流動は吸気バルブ6の開弁後に燃焼室11に流入する吸気によって形成されるため、タンブル流動の強度は吸気行程中に徐々に高まる。しかし、ピストン3の下降に伴って燃焼室11の容積が増大すると、タンブル流動の流速は低下する。このため、タンブル流動の強度は吸気行程中に最初のピーク(1stピーク)を迎え、低下に転じる。
圧縮行程に入ると、ピストン3の上昇に伴って燃焼室11の容積が縮小することでタンブル流動の流速が上昇に転じ、これに応じてタンブル流動の強度も上昇に転じて2回目のピーク(2ndピーク)を迎える。その後、ピストン3が更に上昇するとタンブル流動は押し潰されるので、タンブル流動の強度は徐々に低下し、やがてタンブル流動は消滅する。
ピストン3への燃料付着特性は、噴射された燃料がピストン3に衝突した場合に、どの程度の燃料がピストン3の冠面3Aに付着するのかを示している。図示するように、ピストン3が上死点に近くなるほど燃料付着量は多くなる。これは、ピストン3が上死点に近づくほどピストン3と燃料噴射弁9との距離が縮まり、より多くの燃料がピストン3に衝突するためである。
ピストン3に付着した燃料が当該サイクル中に気化や燃焼をせずに次サイクルに持ち越されることが繰り返されると、ピストン3に液状化した燃料が蓄積されることとなる。この状態で排気浄化触媒の暖機終了や加速要求等に応じて通常の燃焼モードに切り替わると、蓄積していた燃料がピストン3まで伝播してきた燃焼火炎によって燃焼し、PM排出量が増加してしまう。なお、ここでいう通常の燃焼モードとは、吸気行程または圧縮行程にて燃料噴射を行ない、MBT(最適点火タイミング)またはこれに近い点火タイミングで火花点火を行なう燃焼モードである。
PM排出量を抑制する観点から、燃料噴射タイミングを設定可能なクランク角度範囲は、ピストン3への燃料付着量に基づいて制限される。図2のNG範囲が燃料噴射タイミングの設定が禁止されるクランク角度範囲の一例である。なお、吸気上死点側は圧縮上死点側に比べて、許容される燃料付着量が多くなっている。これは、吸気上死点側でピストン3に付着した場合は、圧縮上死点側で付着した場合に比べて、点火タイミングまでの時間が長く、付着してから点火までに蒸発・気化する量が多いからである。
上述した通り、成層噴射の燃料噴射タイミングは、燃料噴霧がキャビティ10に衝突し、かつ、衝突した燃料噴霧が点火タイミングまでに点火プラグ8の周りに成層混合気を形成する時間的余裕がある範囲内で、ピストン3への燃料付着量を考慮して設定される。
ところで、図2に示すように、成層噴射の燃料噴射タイミングにおいて、タンブル流動はまだ強度を保っていると、成層噴射で噴射された燃料噴霧はタンブル流動により流され、点火プラグ8の周りに成層混合気を形成することが困難となる。したがって、燃費性能の向上や排気低減のためにタンブル流動を強めるように吸気通路4を形成することで、成層混合気を形成することが困難となり、超リタード成層燃焼における燃焼安定度が低下してしまう。
タンブル流動は上述したように圧縮上死点に近づくほど強度が低下するので、成層噴射の燃料噴射タイミングを遅くするほど成層混合気を形成し易くなる。しかし、燃料噴射タイミングを遅くするほどピストン3への燃料付着量が増加してしまう。このため、従来から知られている一般的な燃料噴射制御においては、成層噴射の燃料噴射タイミングは、成層混合気の形成し易さとピストン3への燃料付着量とのバランスを考慮したものとなっていた。
これに対し本実施形態では、以下に説明する燃料噴射制御を実行することにより、燃費性能の向上や排気低減のためにタンブル流動を強化した場合にも、超リタード成層燃焼の燃焼安定度を確保する。また、本実施形態の燃料噴射制御によれば、燃焼安定度を確保するためにピストン3への燃料付着量が増加することはない。
図3、図4は、本実施形態にかかる燃料噴射制御の概要を説明するための図である。
圧縮行程中に燃料噴射をする場合、図3に示すようにタンブル流動の主流の渦中心(以下、単に「タンブル流動の渦中心」または「渦中心」ともいう)が燃料噴霧よりも低い位置にある場合と、図4に示すようにタンブル流動の渦中心が燃料噴霧よりも高い位置にある場合がある。なお、図4は図3の状態からピストン3が上昇した状態である。ピストン3の上昇に伴いタンブル流動の渦は潰されるので、タンブル流動の渦中心は図3よりも図4の方が高くなっている。
図3の場合には、燃料噴霧とタンブル流動の渦との衝突位置において、燃料噴霧の進行方向のベクトルとタンブル流動の渦の回転方向のベクトルとの合成によって、タンブル流動強度が高まる。
一方、図4の場合には、燃料噴霧とタンブル流動の渦との衝突位置において、燃料噴霧の進行方向のベクトルとタンブル流動の渦の回転方向のベクトルとが対向するので、タンブル流動強度は低下する。なお、ここでいう「対向する」とは、両ベクトルがタンブル流動の渦の回転を阻害する角度をなすことを意味しており、両ベクトルのなす角度が180°の場合に限られるわけではない。
図5は、図2の2ndピーク付近からタンブル流動が消滅するまでを拡大した図である。図中の破線は図2のタンブル流動強度を示し、実線は図4の燃料噴射タイミングで燃料を噴射した場合のタンブル流動強度を示している。図示するように、図4の燃料噴射タイミングで燃料を噴射すると、2ndピークの高さが抑制され、タンブル流動強度が低下するタイミングも早まる。
そこで本実施形態では、成層噴射の前に、点火プラグ8の周りに成層混合気を形成可能な程度までタンブル流動の強度を弱めるための燃料噴射を行う。すなわち、図4のような状態にあるときに、火花点火による燃焼が安定する方向にタンブル流動を変化させるための燃料噴射(以下、「圧縮前期噴射」ともいう)を行なってから成層噴射を行う。
なお、圧縮前期噴射を行なう場合も、トータル燃料量は変化させない。例えば、吸気行程中に行う1回目の燃料噴射の噴射量を、圧縮前期噴射で噴射する分だけ減量する。圧縮前期噴射で噴射された燃料噴霧は、タンブル流動と衝突することにより拡散・混合が促進されるので、圧縮前期噴射を行うことによってピストン3への燃料付着量が増加することはない。なお、成層噴射の噴射量を減少させて圧縮前期噴射で噴射するようにしても構わない。また、排出性能が許容範囲に収まるのであれば、1回目の燃料噴射及び成層噴射の噴射量は変化させずに、トータル燃料量が圧縮前期噴射の分だけ増加するようにしてもかまわない。
ここで、圧縮前期噴射の燃料噴射タイミングについて説明する。
図6は、圧縮前期噴射のタイミングの例を示すタイミングチャートである。図6では(a)と(b)の2例を示している。
タンブル流動強度のチャートは、実線が圧縮前期噴射を実行しない場合、破線が圧縮前期噴射の燃料噴射タイミングが(a)の場合、一点鎖線が圧縮前期噴射の燃料噴射タイミングが(b)の場合を示している。また、本チャートでは、成層噴射の噴射タイミングは遅角側限界のタイミングである。成層噴射の遅角側限界は、成層噴射で噴射された燃料が成層混合気を形成するのに要する期間を考慮して、点火タイミングに基づいて定まる。
タイミングt1は、タンブル流動強度の2ndピークよりも前のタイミングである。タイミングt1で圧縮前期噴射を実行すれば、図示するようにタンブル流動の2ndピークが低下して、成層噴射開始時におけるタンブル流動の強度が低下するので、成層燃焼の燃焼安定度が向上する。
タイミングt2は、タンブル流動強度の2ndピークより後のタイミングである。2ndピークを過ぎたタイミングt2で圧縮前期噴射を実行した場合でも、図示するようにタンブル流動の強度の低下速度が速まるので、成層燃焼の燃焼安定度が向上する。
したがって、圧縮前期噴射の燃料噴射タイミングが(a)、(b)のいずれであっても、成層燃焼の燃焼安定度を向上させることができる。
なお、圧縮前期噴射は、燃料噴霧とタンブル流動の渦との衝突位置において、燃料噴霧の進行方向のベクトルとタンブル流動の渦の回転方向のベクトルとが対向することになる範囲内で進角することができる。また、圧縮前期噴射は、成層噴射の燃料噴射タイミングまでに圧縮前期噴射を終了できる範囲内で遅角することができる。
次に、圧縮前期噴射の燃料噴射量と燃料噴射圧力(以下、「燃圧」ともいう)について説明する。
成層燃焼の燃焼安定度は、成層噴射を実行する際におけるタンブル流動強度が低いほど向上する。そこで本実施形態においては、コントローラ100は、タンブル流動強度が高いほど、タンブル流動強度を大きく低下させるように圧縮前期噴射を制御する。
圧縮前期噴射によりタンブル流動強度が低下するのは、タンブル流動の渦と圧縮前期噴射で噴射された燃料噴霧とが衝突することで、タンブル流動の渦の角運動量が減少するからである。したがって、タンブル流動強度が高いほど、コントローラ100は圧縮前期噴射で噴射される燃料噴霧の運動量を大きくする。
図7は、燃料噴霧の運動量と、燃料噴射量及び燃圧との関係を示すマップである。図示するように、燃圧が高くなるほど、そして燃料噴射量が多くなるほど、燃料噴霧の運動量は大きくなる。すなわち、燃料噴霧の運動量を増大させる方法としては、例えば燃料噴射量を増量させてもよいし、燃圧を上昇させてもよい。もちろん、燃料噴射量を増量させ、かつ燃圧を上昇させてもよい。
タンブル流動強度は、吸気量が多いほど、つまりスロットルバルブ開度が大きいほど高くなる。そこで、スロットルバルブ開度が大きいほど、コントローラ100は燃圧または燃料噴射量の少なくとも一方を増大させる。
また、スロットルバルブ開度が一定の場合には、エンジン回転速度が高いほどタンブル流動強度は高くなる。したがって、エンジン回転速度が高いほど、コントローラ100が燃圧または燃料噴射量の少なくとも一方を増大させるようにしてもよい。
以上説明した通り、本実施形態では、エンジン始動時に排気浄化触媒を早期活性化させるために超リタード成層燃焼を実行する。そして、超リタード成層燃焼の燃焼安定度を確保するために、圧縮前期噴射を行うことによりタンブル流動強度を低下させる。
ところで、高圧ポンプ41はエンジン1により駆動されるので、エンジン始動してから燃圧が上昇するまでに時間を要する。
図8は、縦軸を燃圧、横軸を時間とした燃圧の挙動を示すタイミングチャートである。なお、図8の破線はエンジン回転速度を示している。
タイミングT0でクランキングを開始すると、高圧ポンプ41も作動開始する。タイミングT1は、高圧ポンプ41が加圧を一回行ったタイミングであり、タイミングT2は高圧ポンプ41が加圧を二回行ったタイミングである。燃圧はタイミングT1、タイミングT2で徐々に上昇する。タイミングT2の時点で、燃圧はエンジン始動のための燃料噴射が可能な大きさに到達しているものとする。
タイミングT2以降に燃料噴射を開始すると、燃圧は上下する。これは、多気筒のうちいずれかの燃料噴射弁9が開弁している間は燃圧が低下し、すべての燃料噴射弁9が閉弁している間は高圧ポンプ41によって燃圧が上昇するためである。
タイミングT3の直前にエンジン1が運転を開始してエンジン回転速度が上昇すると、これに伴い燃圧も上昇する。
このように、エンジン1が始動してから燃圧が上昇を開始するので、エンジン始動直後は燃圧が低い。そして、燃圧が低い状態では燃料噴霧の運動量が小さいため、圧縮前期噴射を行なってもタンブル流動強度を低下させる効果は小さい。
また、燃圧が低くなるほど、成層混合気を形成するために噴射した燃料は、ピストン3のキャビティ10に衝突した後に点火プラグ8の周りまで移動し難くなる。これらにより、燃圧が低い状態で超リタード成層燃焼を実行すると、燃焼安定度を確保できないおそれがある。一方、燃圧が十分に上昇するまで超リタード成層燃焼の開始を待つと、排気浄化触媒の活性化が遅れて排気性能が低下する。上述した燃焼安定度と燃圧との関係をまとめたものが図9である。
図9は、圧縮比を一定として上述した超リタード成層燃焼を行う場合における、燃焼安定度と燃圧との関係を示した図である。上述した通り、燃圧が低くなるほど燃焼安定度は低下する。図9の縦軸は燃焼安定度、横軸は燃圧である。ここでは、燃焼安定度が許容限界であるときの燃圧をP1とする。すなわち、図8におけるタイミングT3以降に、燃圧がP1に到達すれば安定して超リタード成層燃焼を行うことができる。
次に、燃焼安定度と圧縮比との関係について説明する。
図10は、燃圧を一定とした場合におけるタンブル流動の強度と圧縮比との関係を示す図である。図10の縦軸はタンブル比、横軸はクランク角度である。なお、ここでいう「タンブル比」はタンブル流動の強度を示す指標である。図10の実線は圧縮比(ε)が10.5の場合を示し、破線は圧縮比(ε)が8の場合を示している。
圧縮比が低いほどタンブル流動は生成され易く、また、強度が維持され易い。したがって、図10に示すように、1stピーク及び2ndピークのいずれも、圧縮比の低い方が高くなる。また、圧縮比の低い方がタンブル流動の強度が遅角側まで維持される。すなわち、燃焼安定度を確保するためには、圧縮比が低いほど圧縮前期噴射で噴射される燃料噴霧の運動量を大きくする必要がある。換言すると、圧縮比が高いほど燃焼安定度は向上する。
図11は、燃圧を一定として上述した超リタード成層燃焼を行う場合における、燃焼安定度と圧縮比との関係を示した図である。図11の縦軸は燃焼安定度、横軸は圧縮比である。図11に示す通り、圧縮比が高いほど燃焼安定度は向上する。ここでは、燃焼安定度が許容限界であるときの圧縮比をε1とする。つまり、圧縮比がε1より高ければ燃焼安定度を確保できる。
図12は、縦軸を燃焼安定度、横軸を有効燃圧として、上記の燃焼安定度、燃圧、及び圧縮比の関係をまとめた図である。図12において、ε1<ε2<ε3とする。
図12に示す通り、圧縮比が高くなるほど、燃焼安定度が許容限界となるときの燃圧は低くなる。すなわち、燃圧が低い状態でも、圧縮比を高めることによって燃焼安定度を確保し易くなる。そこで本実施形態では、エンジン始動直後のように燃圧が低い場合には、可変圧縮比機構を用いて圧縮比を上昇させることによって超リタード成層燃焼を速やかに開始する。
図13は、エンジン始動後に超リタード成層燃焼を速やかに開始するための制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンはエンジン始動後に、例えば数ミリ秒周期で繰り返し実行される。以下、フローチャートのステップにしたがって説明する。
ステップS100で、コントローラ100は超リタード成層燃焼(FIR)の実行が許可されるか否かを判定する。超リタード成層燃焼が許可されるための条件は、例えば次の通りである。
まず、エンジン回転速度が一定になっていることが必要である。つまり、クランキングから初爆を経て上昇したエンジン回転速度が、アイドル回転速度に収束していることが必要である。また、油水温が所定温度以上であることが必要である。ここでいう所定温度は、いわゆる極低温か否かの閾値となる温度である。極低温の環境下では、エンジン1のフリクションが大きく、燃焼安定度が低下するため、超リタード成層燃焼を行わない。この他に、大気圧が所定圧以下であることも必要である。大気圧が低くなるほど、エンジン1に吸入される酸素量は減少するので、燃焼安定度は低下する。そこで、高地のように大気圧が低い場所では超リタード成層燃焼を行わない。なお、ステップS100の判定においては、上述した燃圧の不足については判定しない。
コントローラ100は、超リタード成層燃焼の実行が許可されればステップS110の処理を実行し、許可されなければ本ルーチンを終了する。
ステップS120で、コントローラ100は差圧ΔPがゼロより大きいか否かを判定する。差圧ΔPとは、圧縮比を増大させずに超リタード成層燃焼の燃焼安定度を確保し得る燃圧として設定する目標燃圧と、実燃圧との差である。なお、本ステップは、実燃圧が、エンジン始動時の圧縮比のまま超リタード成層燃焼の燃焼安定度を確保できる大きさになっているか否かを判定するものであればよい。例えば、エンジン始動時の圧縮比のまま超リタード成層燃焼の燃焼安定度を確保できる下限の燃圧よりも大きい燃圧を目標燃圧として設定した場合には、実燃圧が目標燃圧になっていなくても超リタード成層燃焼を許可し得る。目標燃圧と上記の下限の燃圧との差圧を所定値αとして、差圧ΔPが所定値αより大きいか否かを判定するようにしてもよい。
ステップS120で、コントローラ100は、タンブル流動強度を低下させるのに不足するエネルギ(不足エネルギβ)を演算する。ここで、不足エネルギβについて説明する。
タンブル流動は筒内におけるガスの回転運動なので、タンブル流動の運動エネルギEairは、吸入空気の慣性モーメントIと各加速度ωとを用いて、式(1)で表される。
Eair=1/2 Iω2 ・・・(1)
一方、燃料噴霧は直線運動するので、圧縮前期噴射された燃料噴霧の運動エネルギEsprayは、燃料噴霧の重量m及び速度vを用いて、式(2)で表される。
Espray=1/2 mv2 ・・・(2)
目標燃圧で圧縮前期噴射した場合の燃料噴霧の運動エネルギをEspray_tとすると、圧縮前期噴射により燃焼安定度を確保し得る程度まで強度が低下したタンブル流動の運動エネルギEtum1は、式(3)で表される。
Etum1=Eair−Espray_t ・・・(3)
これに対し、実燃圧で圧縮前期噴射した場合の燃料噴霧の運動エネルギをEspray_rとすると、圧縮前期噴射により強度が低下したタンブル流動の運動エネルギEtum2は、式(4)で表される。
Etum2=Eair−Espray_r ・・・(4)
すなわち、不足エネルギβは、Etum1とEtum2との差ということになる。
上記のようにして不足エネルギβを算出したら、コントローラ100はステップS130において不足エネルギβに応じた圧縮比を演算する。具体的には、図13に示すような不足エネルギβと圧縮比εとの関係を設定したテーブルを予め作成しておき、これを検索することによって圧縮比εを求める。なお、不足エネルギβが大きくなるほど圧縮比εは大きくなる。
ステップS140で、コントローラ100は、ステップS130で演算した圧縮比εを目標圧縮比として設定する。
可変圧縮比機構VCRは、原則的には本制御ルーチンと並行して実行される別の制御ルーチンによって設定された基本目標圧縮比に基づいて制御される。ステップS100やS110において判定結果がnoの場合には、コントローラ100は基本目標圧縮比に基づいて可変圧縮比機構VCRを制御する。しかし、ステップS110の判定結果がyesの場合には、コントローラ100は基本目標圧縮比に替えて、ステップS140で設定した目標圧縮比に基づいて可変圧縮比機構VLEを制御する。
図14は、上述した制御を実行した場合のタイミングチャートである。なお、燃圧及びエンジン回転速度のチャートは、図8に比べて簡略化してある。
タイミングT1でクランキングを開始し、タイミングT2で火花点火を行うと、エンジン回転速度が上昇し、これに伴って燃圧も上昇する。タイミングT3でエンジン回転速度がアイドル回転速度に収束し、超リタード成層燃焼が許可される。ただし、タイミングT3においては燃圧が目標燃圧に達していないので、圧縮比は図13のステップS140で設定された目標圧縮比に制御される。
タイミングT4で燃圧が目標燃圧に達すると、図13のステップS110における判定結果がnoになるので、圧縮比は基本目標圧縮比に制御される。
なお、図13のステップS130に示した不足エネルギβと圧縮比εとの関係を示すテーブルは、燃焼安定度に基づいて設定したものである。しかし、図15に示す通り、圧縮比を高めるほどHC排出量[ppm]が増大する。これは、圧縮比が高くなるほど筒内のガスボリュームが小さくなるので、HCの生成量が同じでもガスボリューム当たりのHC量で評価するHC排出量[ppm]が増大するためである。そこで、燃焼安定度が確保できる範囲で、HC排出量がより少なくなるように目標圧縮比を補正するようにしてもよい。
また、図13の制御ルーチンでは、ステップS110の判定結果がnoになるまで、つまり燃圧が目標燃圧に達するまで、目標圧縮比は一定の大きさに維持される。しかし、ステップS140で設定した目標圧縮比を、演算の度に油水温に応じて補正するようにしてもよい。図16は、油水温と燃焼安定度との関係を示す図である。ここでいう油水温とはエンジン1の潤滑油または冷却水の温度である。図16に示すように、油水温が高くなるほど燃焼安定度は向上する。これは油水温が高いほどエンジン1のフリクションが低下するためである。エンジン1を冷機始動した場合、油水温は始動後の経過時間に応じて上昇するので、燃焼安定度はエンジン始動後の経過時間に応じて徐々に向上する。そこで、ステップS140で設定した目標圧縮比を、演算の度に油水温に応じて補正することで、圧縮比を低下させることができる。これにより、HC排出量を低減することができる。
図17は、目標圧縮比を油水温に基づいて補正する場合のタイミングチャートの一例である。ここでは、タイミングT3で設定した目標圧縮比1が、タイミングT3.5において目標圧縮比1よりも低い目標圧縮比2に補正されている。なお、図17のようなステップ的な変化に限定されるわけではなく、タイミングT3からタイミングT4まで連続的に低下するように変化させてもよい。
以上のように本実施形態の制御は、筒内にガス流動を形成し、点火プラグ周りで燃焼させる燃料を噴射する燃料噴射を圧縮行程以降に行い、燃料噴射で噴射された燃料が形成する混合気に火花点火するものである。当該制御では、圧縮行程中であって燃料噴射の前に実行する、ガス流動を燃焼が安定する方向に変化させるための圧縮前期噴射を行う。そして、圧縮前期噴射だけではガス流動を燃焼が安定するところまで変化させることができない場合に、有効圧縮比を変更する圧縮比制御を実行する。具体的には、圧縮比制御として、ガス流動を燃焼が安定するところまで変化させるために必要な所定燃圧と実燃圧との差に応じて有効圧縮比を上昇させる。これにより、エンジン始動直後のように燃圧が低い状態でも燃焼安定度の低下を抑制することができる。
本実施形態では、エンジン1は機械圧縮比を変更する可変圧縮比機構VCRを備える。そして、圧縮比制御として、コントローラ100は可変圧縮比機構VCRにより機械圧縮比を上昇させる。機械圧縮比が上昇すれば、当然、有効圧縮比が上昇するので、燃焼安定度の低下を抑制できる。
本実施形態では、上昇させた有効圧縮比を、実燃圧が上昇したら低下させてもよい。圧縮比が低下することで排気温度が上昇するので、超リタード成層燃焼による排気浄化触媒の暖機促進効果が高まる。また、HCやPNの排出量を低減することもできる。
本実施形態では、一旦上昇させた有効圧縮比を低下させる際に、実燃圧の上昇に応じて段階的に低下させるようにしてもよい。これによれば、燃圧が目標燃圧に到達する前に燃焼安定度を確保しつつ有効圧縮比を低下させることができるので、上記の排気浄化触媒の暖機促進やHC等の排出量低減といった効果をより高めることができる。
(第2実施形態)
本実施形態は、燃圧が低い状態において圧縮比を高めることによって燃焼安定度を確保するという技術的思想においては第1実施形態と同様であるが、圧縮比を変更する方法が第1実施形態とは異なる。すなわち、図13のステップS140で設定した目標圧縮比を実現する方法が第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
第1実施形態では、可変圧縮比機構VCRを用いて機械圧縮比を変化させるが、本実施形態では、可変動弁機構20を用いてバルブタイミングを変更することによって、有効圧縮比を変化させる。
図18は、バルブタイミング図である。図中のIVOは吸気バルブ6の開タイミング、IVCは吸気バルブ6の閉タイミング、EVOは排気バルブ7の開タイミング、EVCは排気バルブ7の閉タイミングである。図18の左図は、一般的なエンジン制御と同様に冷却水温等に基づいて設定される基本バルブタイミングを示している。基本バルブタイミングは、図13の制御ルーチンと並行して実行される別の制御ルーチンによって設定される。
この基本バルブタイミングから、図18の右図のように吸気バルブ6の閉タイミングを下死点側へずらすと、つまり進角させると、いわゆる有効圧縮比が上昇する。これにより、機械圧縮比を上昇させる第1実施形態と同様の効果が得られる。
図19は、有効圧縮比と吸気バルブ6の閉タイミングとの関係を示す図である。図19に示す通り、吸気バルブ6の閉タイミングが下死点に近づくほど有効圧縮比は上昇する。そこで本実施形態では、コントローラ100は、図13のステップS140で設定した目標圧縮比となるように、吸気側の可変動弁機構20を用いて吸気バルブ6の閉タイミングを制御する。
ところで、可変動弁機構20が、クランクシャフト14に対するカムシャフトの回転位相を変化させる構成の場合には、吸気バルブ6の閉タイミングを進角させると、その進角量だけ吸気バルブ6の開タイミングも進角する。その結果、バルブオーバーラップ期間が増大する。バルブオーバーラップ期間が増大するほど、燃焼後に筒内に残留するガス(以下、「残留ガス」ともいう)の量が増加する。残留ガスが多くなるほど燃焼安定度は低下する。したがって、図20に示す通り、バルブオーバーラップ期間が長くなるほど燃焼安定度は低下する。
すなわち、吸気バルブ6の閉タイミングを進角して有効圧縮比を上昇させることで、タンブル流動強度を低下させて燃焼安定度を高める効果が得られるが、残留ガスの増加という、その効果を弱める要因も発生する。
そこで、吸気バルブ6の閉タイミングを進角する場合には、バルブオーバーラップ期間が変化しないように、排気側の可変動弁機構20を用いて排気バルブ7の開タイミングを進角させるようにしてもよい。これによれば、吸気バルブ6の閉タイミングの進角に伴う残留ガスの増加を抑制することができる。
以上のように本実施形態では、可変動弁機構20により吸気バルブ6の閉タイミングを進角して有効圧縮比を上昇させる。これにより、可変圧縮比機構VCRを用いて機械圧縮比を変更する場合と同様の効果が得られる。
本実施形態では、吸気バルブ6の閉タイミングを進角するとともに、吸気バルブ6の閉タイミングの進角によるバルブオーバーラップ期間の増大を抑制するように排気バルブ7の開タイミングを遅角するようにしてもよい。これによれば、バルブオーバーラップ期間の増大による残留ガスの増加を抑制することができる。
なお、上述した各実施形態では超リタード成層燃焼を実行する場合について説明したが、これに限られるわけではない。厳密には成層状態になっていなくても、点火プラグ周りに集中的に混合気を形成して点火する燃焼形態であれば、上述した実施形態と同様の作用効果が得られる。
また、本発明は上記の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。
1 筒内直噴式内燃機関(エンジン)
3 ピストン
6 吸気バルブ
7 排気バルブ
8 点火プラグ
9 燃料噴射弁
20 可変動弁機構
40 コモンレール
100 コントローラ

Claims (8)

  1. 筒内にガス流動を形成し、
    点火プラグ周りで燃焼させる燃料を噴射する燃料噴射を圧縮行程以降に行い、
    前記燃料噴射で噴射された燃料が形成する混合気に火花点火する、
    筒内直接噴射式内燃機関の制御方法において、
    圧縮行程中であって前記燃料噴射の前に実行する、前記ガス流動を燃焼が安定する方向に変化させるための圧縮前期噴射と、
    前記圧縮前期噴射だけでは燃焼安定度を確保できるところまで前記ガス流動を変化させることができない場合に実行する、前記筒内直接噴射式内燃機関の有効圧縮比を変更する圧縮比制御と、
    を含むことを特徴とする筒内直接噴射式内燃機関の制御方法。
  2. 請求項1に記載の筒内直接噴射式内燃機関の制御方法において、
    前記圧縮比制御は、前記ガス流動を燃焼が安定するところまで変化させるために必要な所定燃圧と実際の燃圧との差に応じて、前記有効圧縮比を上昇させる制御である筒内直接噴射式内燃機関の制御方法。
  3. 請求項2に記載の筒内直接噴射式内燃機関の制御方法において、
    前記筒内直接噴射式内燃機関は、機械圧縮比を変更する可変圧縮比機構をさらに備え、
    前記圧縮比制御は、前記可変圧縮比機構により機械圧縮比を上昇させる制御である筒内直接噴射式内燃機関の制御方法。
  4. 請求項2に記載の筒内直接噴射式内燃機関の制御方法において、
    前記筒内直接噴射式内燃機関は、バルブタイミングを変更する可変動弁機構をさらに備え、
    前記圧縮比制御は、前記可変動弁機構により吸気バルブの閉タイミングを進角して有効圧縮比を上昇させる制御である筒内直接噴射式内燃機関の制御方法。
  5. 請求項4に記載の筒内直接噴射式内燃機関の制御方法において、
    前記圧縮比制御は、前記吸気バルブの閉タイミングを進角するとともに、前記吸気バルブの閉タイミングの進角によるバルブオーバーラップ期間の増大を抑制するように排気バルブの開タイミングを遅角する制御である筒内直接噴射式内燃機関の制御方法。
  6. 請求項2から5のいずれかに記載の筒内直接噴射式内燃機関の制御方法において、
    前記圧縮比制御は、上昇させた前記有効圧縮比を、前記実際の燃圧が上昇したら低下させる制御である筒内直接噴射式内燃機関の制御方法。
  7. 請求項6に記載の筒内直接噴射式内燃機関の制御方法において、
    前記圧縮比制御は、前記有効圧縮比を低下させる際に、前記実際の燃圧の上昇に応じて段階的に低下させる制御である筒内直接噴射式内燃機関の制御方法。
  8. 筒内にタンブル流動が形成されるよう配置した吸気通路と、
    筒内に燃料を噴射する燃料噴射弁と、
    前記燃料噴射弁から噴射された燃料が形成する混合気に火花点火する点火装置と、
    点火プラグ周りで燃焼させる燃料を噴射する燃料噴射を圧縮行程以降に行う制御部と、
    を備える筒内直接噴射式内燃機関の制御装置において、
    前記制御部が、圧縮行程中であって前記燃料噴射の前に実行する、前記タンブル流動を燃焼が安定する方向に変化させる圧縮前期噴射と、前記圧縮前期噴射だけでは前記タンブル流動を燃焼が安定するところまで変化させることができない場合に実行する、前記筒内直接噴射式内燃機関の有効圧縮比を変更する圧縮比制御と、
    を行うことを特徴とする筒内直接噴射式内燃機関の制御装置。
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