JP2017218768A - 土砂構造物の補強方法、土砂構造物の補強構造、及び土砂構造物用の受圧用具 - Google Patents

土砂構造物の補強方法、土砂構造物の補強構造、及び土砂構造物用の受圧用具 Download PDF

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正道 澤石
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Abstract

【課題】土砂構造物の傾斜面を確実に補強する。【解決手段】土砂構造物の傾斜面11を補強する土砂構造物の補強方法は、傾斜面11に、鉛直方向に沿う側面13aを有する小段部13を形成する工程と、小段部13の側面13aに受圧部材17を配置する工程と、小段部13の側面13aに排水部材19を打込む工程と、受圧部材17を排水部材19に固定する工程と、を備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、土砂構造物の補強方法と、土砂構造物の補強構造と、土砂構造物用の受圧用具とに関する。
従来より、切土や盛土などの土砂構造物により形成された斜面の広い範囲に土留構造物を構築することで、地滑りや斜面の崩壊などが防止されている。
土留壁などを支持するためにアースアンカー工法などが採用されており、例えば特許文献1等に記載されているアンカー用受圧板等が使用されている。この工法では、斜面に沿って配置された受圧板をアンカーにより強固に地盤に固定して使用されている。
また、土砂構造物の傾斜面を補強する方法として、例えば特許文献2に記載されているような排水部材を採用する方法がある。この方法では、土砂構造物に浸透する水を排水部材が排出することにより、土のせん断抵抗力を向上させて土砂構造物の安定を図る。排水部材は、土砂構造物内の水を外部に排出するため、水平となるように、または地表側の端部に向けて下り勾配となるように、土砂構造物に配設される。
特開2005−133510号公報 特開2012−2012号公報
前記従来の土留構造物は、例えば、切土や盛土により形成された斜面が急勾配な場合に使用されている。この場合、土砂構造物が変状するときに生じる土圧を土留構造物が支持し、土留構造物が土砂構造物の安定性を高める。
一方、緩斜面(例えば、縦:横=1:0.5よりも緩い勾配の斜面)の場合には、急勾配な場合に比べ土圧が小さいため、土留構造物を配設せず、土砂構造物内に排水部材を配置するのが一般的である。この場合、土砂構造物を構成する土自体の耐力で安定性を保つように土砂構造物が構築される。つまり、排水部材の排水により、雨水等の浸透により土の自重が増加することを抑制し、かつ、土の間隙水圧が上昇することで土のせん断強さが低下することを抑制する。
しかしながら、緩斜面の場合には、時間あたりの降水量が多い場合等に、土砂構造物への給水量が、排水部材の排水能力を上回ることがある。この場合、土の強度低下等が進んだり、土砂構造物内の排水が進む前に地震等による作用を受けたりすることがあり、傾斜面を効果的に補強することが容易でなかった。
本発明は前述した事情に鑑みてなされたものであって、土砂構造物の傾斜面を確実に補強することが可能な土砂構造物の補強方法と、土砂構造物の補強構造と、土砂構造物用の受圧用具と、を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る土砂構造物の補強方法は、土砂構造物の傾斜面を補強する土砂構造物の補強方法であって、前記傾斜面に、鉛直方向に沿う側面を有する小段部を形成する工程と、前記小段部の側面に受圧部材を配置する工程と、前記小段部の側面に排水部材を打込む工程と、前記受圧部材を前記排水部材に固定する工程と、を備えたことを特徴とする。
この発明によれば、土砂構造物の傾斜面にそのまま受圧板を配置するのではなく、土砂構造物の傾斜面に小段部を形成して土砂構造物を補強するので、傾斜面が緩斜面であってもしっかりと補強することができる。
特に鉛直方向に沿うように形成した小段部の側面に受圧部材を配置するので、受圧部材から傾斜面の土砂が逃げ難い。また土砂構造物のうち排水部材が打込まれた部分では排水が促進されることから、排水部材の周辺の土はせん断強さが高まり易い。そして排水を促進できる排水部材に土砂が逃げ難い受圧部材を固定するので、排水部材及び受圧部材により傾斜面の土砂を強固に支持することができる。
従って土砂構造物の傾斜面を確実に補強することが可能である。
また、前記受圧部材を配置する工程は、前記小段部を形成する工程の後で、前記小段部の側面に前記受圧部材を対向当接させることで実施することであってもよい。
この場合、小段部の側面を形成した後で、小段部の側面に受圧部材を対向当接させるので、受圧部材を適切な向きで設置する作業が容易である。
また、前記傾斜面における前記小段部の形成予定部位に前記受圧部材を打込む工程を備え、前記小段部を形成する工程および前記受圧部材を配置する工程は、前記受圧部材を打ち込む工程の後、前記形成予定部位に土砂を充填すること、または前記形成予定部位から土砂を除去することで実施してもよい。
この場合、小段部の形成予定部位に受圧部材を打込んで側面形状を形成してから、小段部を形成するので、傾斜面が崩れやすくても鉛直方向に沿う側面を有する小段部を形成することができる。
本発明に係る土砂構造物の補強構造は、傾斜面を有する土砂構造物の補強構造であって、前記傾斜面に形成された小段部が有する鉛直方向に沿う側面に配置された受圧部材と、前記小段部の側面に打込まれた排水部材と、を有し、前記受圧部材が前記排水部材に固定されていることを特徴とする。
この発明によれば、土砂構造物の傾斜面にそのまま受圧板を配置するのではなく、土砂構造物の傾斜面に小段部を形成して土砂構造物を補強しているので、傾斜面が緩斜面であってもしっかりと補強することができる。
特に鉛直方向に沿うように形成した小段部の側面に受圧部材を配置するので、受圧部材から傾斜面の土砂が逃げ難い。また土砂構造物のうち排水部材が打込まれた部分では排水が促進されることから、排水部材の周辺の土はせん断強さが高まり易い。そして排水を促進できる排水部材に土砂が逃げ難い受圧部材を固定するので、排水部材及び受圧部材により傾斜面の土砂を強固に支持することができる。
従って土砂構造物の傾斜面を確実に補強することが可能である。
また、前記受圧部材とは別部材からなり前記受圧部材を背面側から支持する支持部材と、前記支持部材と前記排水部材とを固定する固定部材と、を有していてもよい。
この場合、受圧部材を背面側から支持する支持部材が受圧部材とは別部材からなるので、受圧部材を強固に支持する支持部材を設けても、受圧部材を軽量に形成できる。そのため十分な補強強度を確保できる補強構造であっても、施工時の作業性を向上できる。
また、前記支持部材は、前記受圧部材の背面側に当接するリブ部と、前記リブ部に固定されて前記排水部材を挿通するリング部と、を有し、前記固定部材は、前記リング部と前記排水部材との間に打ち込むくさび部を有してもよい。
この場合、支持部材が受圧部材の背面側に当接するリブ部にリング部を固定した構造のため、受圧部材を強固に支持する支持部材を軽量化できる。固定部材のくさび部も、リング部と排水部材との間に打ち込んで固定できればよいため軽量化できる。そのため作業性の更なる向上を図れる。
また、前記受圧部材は、複数層積層されていてもよい。
この場合、受圧部材は、複数層積層されているので、単体重量の増加を防止して受圧部材全体の強度を向上することができる。
本発明に係る土砂構造物用の受圧用具は、土砂構造物の傾斜面における小段部の側面に配置可能な受圧部材と、前記小段部の側面に打込み可能な排水部材と、前記受圧部材とは別部材からなり前記受圧部材の背面側を支持する支持部材と、前記排水部材と前記支持部材とを固定する固定部材と、を備え、前記支持部材は、前記受圧部材の背面側に当接するリブ部と、前記リブ部に固定されて前記排水部材を挿通するリング部と、を備え、前記固定部材は、前記リング部と前記排水部材との間に打ち込むくさび部を有することを特徴とする。
この発明によれば、受圧部材を背面側から支持する支持部材が受圧部材とは別部材からなるので、受圧部材を強固に支持する支持部材を設けても、受圧部材を軽量に形成できる。支持部材が受圧部材の背面側に当接するリブ部にリング部を固定した構造のため、受圧部材を強固に支持する支持部材を軽量化できる。固定部材のくさび部も、リング部と排水部材との間に打ち込んで固定できればよいため軽量化できる。
そのため十分な補強強度を確保できる補強構造であっても、施工時の作業性を向上できる。
本発明によれば、土砂構造物の傾斜面に小段部を形成して土砂構造物を補強するので、傾斜面が緩斜面であってもしっかりと補強することができる。また鉛直方向に沿うように形成した小段部の側面に受圧部材を配置するので、受圧部材から傾斜面の土砂が逃げ難い。さらに排水を促進できる排水部材に土砂が逃げ難い受圧部材を固定するので、排水部材及び受圧部材により傾斜面の土砂を強固に支持することができる。
その結果、土砂構造物の傾斜面を確実に補強することが可能な土砂構造物の補強方法と、土砂構造物の補強構造と、土砂構造物用の受圧用具と、を提供することが可能である。
第1実施形態の補強構造の断面図である。 第1実施形態の補強構造の背面図である。 第1実施形態の補強方法における手順の概略を示すフローチャートである。 第1実施形態の補強方法における小段部の形成工程を説明する断面図である。 第1実施形態の補強方法における排水部材の打込工程を説明する断面図である。 第1実施形態の補強方法における受圧部材の配置工程を説明する断面図である。 第1実施形態の補強方法における支持部材の配置工程を説明する断面図である。 第1実施形態の補強方法における固定部材による固定工程を説明する断面図である。 第2実施形態の補強構造の断面図である。 第2実施形態の補強構造の背面図である。 第2実施形態の補強方法における手順の概略を示すフローチャートである。 第2実施形態の補強方法における小段部の形成工程及び打込み受圧部材の配置工程を説明する断面図である。 第2実施形態の補強方法における排水部材の打込工程を説明する断面図である。 第2実施形態の補強方法における定置受圧部材の配置工程及び支持部材の配置工程を説明する断面図である。 第2実施形態の補強方法における固定部材による固定工程を説明する断面図である。 第3実施形態の補強構造の断面図である。 第3実施形態の補強方法における手順の概略を示すフローチャートである。 第3実施形態の補強方法における打込み受圧部材の配置工程を説明する断面図である。 第3実施形態の補強方法における小段部の形成工程を説明する断面図である。 第3実施形態の補強方法における排水部材の打込工程、定置受圧部材の配置工程、及び支持部材の配置工程を説明する断面図である。 第3実施形態の補強方法における固定部材による固定工程を説明する断面図である。 第4実施形態の補強構造の断面図である。 第4実施形態の補強方法における手順の概略を示すフローチャートである。 第4実施形態の補強方法における打込み受圧部材の配置工程を説明する断面図である。 第4実施形態の補強方法における小段部の形成工程を説明する断面図である。 第4実施形態の補強方法における排水部材の打込工程を説明する断面図である。 第4実施形態の補強方法における定置受圧部材の配置工程及び支持部材の配置工程を説明する断面図である。 第4実施形態の補強方法における固定部材による固定工程を説明する断面図である。
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態にかかる土砂構造物の補強構造及び補強方法を説明する。
補強対象とする土砂構造物の傾斜面とは、盛土や切土の鉛直に対し斜めに傾斜した面である。各実施形態では道路、鉄道や宅地等の切土や盛土において、上下方向に傾斜して左右となる横方向に連続した傾斜面、あるいはその傾斜面において補強を行うある一部分の断面の例となっている。
(第1実施形態)
第1実施形態の土砂構造物の補強構造では、図1及び図2に示すように、土砂構造物の傾斜面11に小段部13が形成され、この小段部13に鉛直方向に沿う側面13aが形成されている。そして小段部13の側面13aに受圧用具15が設置されることで土砂構造物の傾斜面11が補強されている。
受圧用具15は、小段部13の側面13aに配置可能な定置受圧部材(受圧部材)17と、小段部13の側面13aに打込み可能な排水部材19と、を有し、定置受圧部材17と排水部材19とが互いに固定されている。
定置受圧部材17と排水部材19との固定構造としては、定置受圧部材17とは別部材からなり、定置受圧部材17の背面側を支持する支持部材21と、排水部材19と支持部材21とを固定する固定部材23と、を備えている。
定置受圧部材17は、土砂を支持し易いように薄板を扁平形状に加工したもので、人手により運搬可能なものとなっている。正面側が小段部13の側面13aと対向当接して配置され、背面側が支持部材21により支持されている。
定置受圧部材17の中央部には排水部材19を挿通する貫通孔17aが形成されている。貫通孔17aは排水部材19に対して大きく形成されており、定置受圧部材17(側面13a)に対して排水部材19が大きく傾倒可能となっている。
排水部材19は、土砂構造物中の水を小段部13の側面13aより外側へ排出するための部材である。排水部材19は管状部材からなり、排水部材19において地中に埋設される頭部側には、土砂構造物に強固に固定するための螺旋状の羽部20が設けられている。排水部材19の側周囲には土砂中の水分を排水部材19内に侵入させるための開口が設けられており、土砂中の水分を排水部材19の後端部(土砂構造物から突出する端部)から排水させる構成となっている。
支持部材21は、定置受圧部材17の背面側に当接するリブ部21aと、リブ部21aに固定されて排水部材19を挿通するリング部21bと、を有している。
リブ部21aは、定置受圧部材17の正面側に土砂構造物からの圧力が負荷された際、定置受圧部材17の変形を防止するものである。リブ部21aは、定置受圧部材17の正面視において中央部から周囲へ放射方向に延びる板状体からなり、一方の側縁が定置受圧部材17の背面側に当接している。
リング部21bは、定置受圧部材17の背面側における貫通孔17aに対応する位置に配置されている。リング部21bの内部は排水部材19を挿通可能であり、リング部21bが排水部材19に対して大きく形成されることで、リング部21bに対して排水部材19が大きく傾倒可能となっている。
固定部材23は、リング部21bと排水部材19との間に打ち込むくさび部23aを有する。
リング部21bと排水部材19の後端側との間に、周囲に分散して複数のくさび部23aが打ち込まれている。くさび部23aは周方向に略均等に配置されている。リング部21bに対する排水部材19の位置や傾きに応じてくさび部23aの打込み位置や打込み量が調整されることで、排水部材19と定置受圧部材17及び支持部材21とを強固に固定することが可能である。
次に、このような受圧用具15を用いて土砂構造物を補強する方法について説明する。
図3は第1実施形態の補強方法における手順の概略を示すフローチャートであり、図4〜図8は第1実施形態の各工程を説明する断面図である。
この補強方法では、前述のような補強構造を構築することで土砂構造物を補強する。
まず小段部13の形成工程S11において、傾斜面11を部分的に掘削することで、図4に示すように、鉛直方向に沿う側面13aを形成しつつ小段部13を形成する。側面13aを鉛直方向に沿うように形成するとは、少なくとも傾斜面11よりも鉛直方向に沿わせることが必要であり、側面13aが実質的に鉛直方向に形成されるのが望ましい。
この実施形態では、小段部13を横方向に断続あるいは連続するように形成する。小段部13の側面13aは上下方向が定置受圧部材17と同等以上の幅となるように形成する。
小段部13を形成した後、排水部材19の打込工程S12において、図5に示すように、小段部13の側面13aに排水部材19を打込む。このとき、例えば前記羽部20を側面13aに向けた状態で排水部材19をその軸線回りに回転させ、羽部20により推進力を得ながら小段部13に排水部材19を打込むことができる。排水部材19は後端側を小段部13の側面13aから突出させる。
小段部13が横方向に断続あるいは連続して形成されているため、排水部材19を小段部13の連続方向に沿って所定の間隔で打込む。各排水部材19は水平乃至水平よりも後端側が下り勾配となるように配設する。
定置受圧部材17の配置工程S13において、図6に示すように、小段部13の側面13aに定置受圧部材17を配置する。排水部材19の後端側が突出した状態で配置されているため、定置受圧部材17の貫通孔17aに排水部材19を貫通させた状態とし、定置受圧部材17の正面側を小段部13の側面13aに対向当接する。小段部13の連続方向に沿って複数の定置受圧部材17を並べて配置する。
なお定置受圧部材17が人力により運搬可能な大きさに形成されているため、各定置受圧部材17を人力施工により配置することができる。
支持部材21の配置工程S14において、図7に示すように、リブ部21aとリング部21bとが接合されている支持部材21を、定置受圧部材17の背面側に配置する。このときリング部21bに排水部材19を挿通させるとともにリブ部21aの側縁を定置受圧部材17の背面側に当接させる。
支持部材21も人力により運搬可能な大きさのため、各支持部材21を人力施工により配置することができる。
固定部材23による固定工程S15において、図8に示すように、定置受圧部材17と排水部材19とを固定する。リング部21bと排水部材19の後端側との間の間隙に、周囲に分散して複数のくさび部23aを打ち込む。
定置受圧部材17及び支持部材21に対し排水部材19は傾斜して配置されており、リング部21bと排水部材19の後端側との間の間隙が周方向の各位置で異なる。そのため複数のくさび部23aの挿入量を各位置における間隙の大きさに応じて調整して打込むことで、定置受圧部材17及び支持部材21と排水部材19とを、その状態のままで固定することが可能である。ただし、排水部材19の打設精度を高めたり、打設された排水部材19の位置に合せて、小段部13の側面13aを形成し直したりすることで、リング部21bと排水部材19の後端側との間の間隙が周方向の各位置で同等になる場合は、以下に示す方法を実施することも可能である。例えば、くさび部23aとしてリング形状をした単体の構成を用いることや、リング部21bおよび排水部材19にねじ部を設けて両者をナットにより固定することも可能である。これらの方法は、以降に示す実施形態についても同様である。
これにより前述のような補強構造を構築して土砂構造物を補強することができる。
なお、この補強構造はそのまま設置していてもよいが、図8に仮想線(二点鎖線)で示すように、排水部材19の後端部を突出させた状態で、小段部13を土砂により埋め戻して再び傾斜面11を形成してもよい。
以上のような第1実施形態の受圧用具15を用いた土砂構造物の補強構造及び補強方法によれば、土砂構造物の傾斜面11にそのまま受圧板を配置するのではなく、土砂構造物の傾斜面11に小段部13を形成して土砂構造物を補強するので、傾斜面11が緩斜面(例えば、縦:横=1:0.5よりも緩い勾配の斜面)であってもしっかりと補強することができる。
さらに鉛直方向に沿うように形成した小段部13の側面13aに定置受圧部材17を配置するので、定置受圧部材17から傾斜面11の土砂が逃げ難い。また土砂構造物のうち排水部材19が打込まれた部分では排水が促進されることから、排水部材19の周辺の土はせん断強さが高まり易い。そして排水を促進できる排水部材19に、土砂が逃げ難い定置受圧部材17を固定するので、排水部材19及び定置受圧部材17により傾斜面11の土砂を強固に支持することができる。
従って土砂構造物の傾斜面11を確実に補強することが可能である。
第1実施形態の土砂構造物の補強方法によれば、小段部13の側面13aを形成した後で、小段部13の側面13aに定置受圧部材17を対向当接させるので、定置受圧部材17を適切な向きで設置する作業が容易である。
第1実施形態の土砂構造物の補強構造によれば、定置受圧部材17を背面側から支持する支持部材21が定置受圧部材17とは別部材からなるので、定置受圧部材17を強固に支持する支持部材21を設けても、定置受圧部材17を軽量に形成できる。そのため十分な補強強度を確保できる補強構造であっても、施工時の作業性を向上できる。
第1実施形態の受圧用具15を用いた土砂構造物の補強構造によれば、支持部材21が定置受圧部材17の背面側に当接するリブ部21aにリング部21bを固定した構造のため、定置受圧部材17を強固に支持する支持部材21を軽量化できる。固定部材23のくさび部23aも、リング部21bと排水部材19との間に打ち込んで固定できればよいため軽量化できる。そのため作業性の更なる向上を図れる。
また、リング部21bと排水部材19との間にくさび部23aを打ち込むことで、定置受圧部材17を支持する構造なので、定置受圧部材17と排水部材19との相対角度や相対位置が大きくばらついても確実に強固に固定することができる。
さらにリング部21bと排水部材19の後端部との間に、周囲に分散して複数のくさび部23aが打ち込まれているため、定置受圧部材17と排水部材19との相対角度や相対位置が大きくばらついていても、周囲のくさび部23aにより均等に圧力を負荷して安定に固定することが可能である。
なお第1実施形態では、排水部材19の打込工程S12の後で定置受圧部材17の配置工程S13を行ったが、定置受圧部材17の配置工程S13の後で排水部材19の打込工程S12を行うことも可能である。
(第2実施形態)
第2実施形態の土砂構造物の補強構造では、図9及び図10に示すように、土砂構造物の傾斜面11に小段部13が形成され、この小段部13に鉛直方向に沿う側面13aが形成されている。そして小段部13の側面13aに受圧用具15が設置されることで土砂構造物の傾斜面11が補強されている。
受圧用具15は、小段部13の側面13aに配置可能な定置受圧部材(受圧部材)17及び打込み受圧部材(受圧部材)25と、小段部13の側面13aに打込み可能な排水部材19と、を有し、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25と排水部材19とが互いに固定されている。
定置受圧部材17及び打込み受圧部材25と排水部材19との固定構造としては、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25とは別部材からなり、定置受圧部材17の背面側を支持する支持部材21と、排水部材19と支持部材21とを固定する固定部材23と、を備えている。
定置受圧部材17、排水部材19、支持部材21、及び固定部材23は、それぞれ第1実施形態の定置受圧部材17、排水部材19、支持部材21、及び固定部材23と同様である。
打込み受圧部材25は、平坦な板等から構成された矢板からなる。この打込み受圧部材25は定置受圧部材17より上下方向に長く形成されている。打込み受圧部材25は、1つの定置受圧部材17に対して左右方向に複数配置されている。打込み受圧部材25の下端部は、土砂構造物に打込まれている。打込み受圧部材25は定置受圧部材17と複数積層した状態で、土砂構造物からの荷重を強固に支持している。
次に、このような受圧用具15を用いて土砂構造物を補強する方法について説明する。
図11は第2実施形態の補強方法における手順の概略を示すフローチャートであり、図12〜図15は第2実施形態の各工程を説明する断面図である。
この補強方法では、第2実施形態の補強構造を構築することで土砂構造物を補強する。
まず小段部13の形成工程S21において、第1実施形態と同様に傾斜面11を部分的に掘削することで、図12に示すように、鉛直方向に沿う側面13aを形成しつつ、小段部13を横方向に断続あるいは連続するように形成する。
打込み受圧部材25の配置工程S22において、図12に示すように、打込み受圧部材25を小段部13の側面13aに配置する。小段部13の連続方向に沿って複数の打込み受圧部材25を互いに間隔を空けて並べて配置し、各打込み受圧部材25の正面側を小段部13の側面13aに対向当接させる。このとき、例えば、打込み受圧部材25を側面13aに沿わせた状態で、打込み受圧部材25の上端部に上方から押圧力を加えることで、打込み受圧部材25を土砂構造物に対して打込むことができる。
小段部13を形成して打込み受圧部材25を配置した後、排水部材19の打込工程S23において、図13に示すように、小段部13の側面13aに排水部材19を打込む。排水部材19は互いに隣り合う打込み受圧部材25の間隙の位置に打込んで配置し、後端側を小段部13の側面13aから突出させる。
排水部材19は小段部13の連続方向に沿って所定の間隔で複数打込む。各排水部材19は水平乃至水平よりも後端側が下り勾配となるように配設する。
定置受圧部材17の配置工程S24において、図14に示すように、小段部13の側面13aに配置された打込み受圧部材25の背面側に定置受圧部材17を配置する。定置受圧部材17は排水部材19の両側に配置されている複数の打込み受圧部材25の背面側に当接して配置される。
排水部材19の後端側が突出しているため、定置受圧部材17の貫通孔17aに排水部材19を貫通させた状態とし、定置受圧部材17の正面側を打込み受圧部材25の背面側に対向当接させる。複数の定置受圧部材17を小段部13の連続方向に沿って並べて配置する。
支持部材21の配置工程S25において、図14に示すように、リブ部21aとリング部21bとが接合されている支持部材21を定置受圧部材17の背面側に配置する。このときリング部21bに排水部材19を挿通させるとともにリブ部21aの側縁を定置受圧部材17の背面側に当接させる。
固定部材23による固定工程S26において、図15に示すように、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25と排水部材19とを固定する。リング部21bと排水部材19の後端側との間の間隙に、周囲に分散して複数のくさび部23aを打ち込む。複数のくさび部23aの挿入量を各位置における間隙の大きさに応じて調整して打込むことで、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25と支持部材21と排水部材19とが、その状態のままで固定される。
これにより前述のような補強構造を構築して土砂構造物を補強することができる。
なお、この補強構造はそのまま設置していてもよいが、前記第1実施形態と同様に、排水部材19の後端部を突出させた状態で、小段部13を土砂により埋め戻して再び傾斜面11を形成してもよい。
また補強構造を構築する際は、打込み受圧部材25、排水部材19、定置受圧部材17、支持部材21及び固定部材23のくさび部23aがそれぞれ人力により運搬可能であるため、各工程を人力施工により配置することができる。
以上のような第2実施形態の受圧用具15を用いた土砂構造物の補強構造及び補強方法でも、土砂構造物の傾斜面11に小段部13を形成して土砂構造物を補強するので、傾斜面11が緩斜面であっても補強できる。
また鉛直方向に沿う小段部13の側面13aに定置受圧部材17及び打込み受圧部材25を配置するので、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25から傾斜面11の土砂が逃げ難い。また排水を促進できる排水部材19に土砂が逃げ難い定置受圧部材17及び打込み受圧部材25を固定するので、傾斜面11の土砂を強固に支持することができる。
従って土砂構造物の傾斜面11を確実に補強することが可能である。
この補強方法では、小段部13の側面13aを形成した後で、小段部13の側面13aに定置受圧部材17及び打込み受圧部材25を対向当接させるので、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25を適切な向きで設置する作業が容易である。
この補強構造では、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25を背面側から支持する支持部材21が定置受圧部材17及び打込み受圧部材25とは別部材なので、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25を軽量に形成できる。そのため十分な補強強度を確保できる補強構造であっても、施工時の作業性を向上できる。
この補強構造では、支持部材21が定置受圧部材17の背面側に当接するリブ部21aにリング部21bを固定した構造のため、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25を強固に支持する支持部材21を軽量化でき、固定部材23のくさび部23aも軽量化できる。そのため作業性の更なる向上を図れる。
さらにリング部21bと排水部材19との間にくさび部23aを打ち込むことで、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25を支持する構造なので、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25と排水部材19との相対角度や相対位置が大きくばらついても確実に強固に固定することができる。定置受圧部材17及び打込み受圧部材25と排水部材19との相対角度や相対位置が大きくばらついていても、周囲のくさび部23aにより均等に圧力を負荷して安定に固定することが可能である。
また第2実施形態の土砂構造物の補強構造によれば、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25が複数層積層されているので、単体重量の増加を防止して定置受圧部材17及び打込み受圧部材25全体の強度を向上することができる。
なお第2実施形態では、打込み受圧部材25の配置工程S22後で定置受圧部材17の配置工程S24前に、排水部材19の打込工程S23を行ったが、打込み受圧部材25の配置工程S22の前に排水部材19の打込工程S23を行ってもよく、さらに定置受圧部材17の配置工程S24の後に排水部材19の打込工程S23を行ってもよい。
また第2実施形態では、打込み受圧部材25の配置工程S22よりも後に定置受圧部材17の配置工程S24を行ったが、定置受圧部材17の配置工程S24後に打込み受圧部材25の配置工程S22を行うことは可能である。例えば排水部材19、定置受圧部材17、支持部材21を固定部材23のくさび部23aにより固定した後で、小段部13の側面13aと定置受圧部材17との間に打込み受圧部材25を打ち込んで設置してもよい。
(第3実施形態)
第3実施形態の土砂構造物の補強構造では、図16に示すように、土砂構造物の傾斜面11に小段部13が形成され、この小段部13に鉛直方向に沿う側面13aが形成されている。そして小段部13の側面13aに受圧用具15が設置されることで土砂構造物の傾斜面11が補強されている。
受圧用具15は、小段部13の側面13aに配置可能な定置受圧部材17及び打込み受圧部材25と、小段部13の側面13aに打込み可能な排水部材19と、を有し、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25と排水部材19とが互いに固定されている。
定置受圧部材17及び打込み受圧部材25と排水部材19との固定構造としては、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25とは別部材からなり、定置受圧部材17の背面側を支持する支持部材21と、排水部材19と支持部材21とを固定する固定部材23と、を備えている。
定置受圧部材17及び打込み受圧部材25、排水部材19、支持部材21、及び固定部材23は、それぞれ第2実施形態の定置受圧部材17、排水部材19、支持部材21、及び固定部材23と同様である。
次に、このような受圧用具15を用いて土砂構造物を補強する方法について説明する。
図17は第3実施形態の補強方法における手順の概略を示すフローチャートであり、図18〜図21は第3実施形態の各工程を説明する断面図である。
この補強方法では、第3実施形態の補強構造を構築することで土砂構造物を補強する。
まず打込み受圧部材25の配置工程S31において、図18に示すように、傾斜面11における小段部13の形成予定部位に、打込み受圧部材25を傾斜面11に鉛直方向に沿うように打ち込む。この打込み受圧部材25に隣接する土砂部分が、小段部13を形成した際に小段部13の側面13aとなる。断続あるいは連続した小段部13を形成した際に、側面13aに沿って複数の打込み受圧部材25が排水部材19を打設できる間隔を空けて並ぶように、複数の打込み受圧部材25を打ち込む。
小段部13の形成工程S32において、傾斜面11の打込み受圧部材25に隣接する部位を掘削することで、図19に示すように、横方向に断続あるいは連続する小段部13を形成する。各打込み受圧部材25は下端部が土砂中に埋設された状態に保つ。
各打込み受圧部材25の下端部を除く残部では、一方面が土砂に対向当接して小段部13の側面13aを形成する。他方面は小段部13に露出される。
打込み受圧部材25を配置して小段部13を形成した後、排水部材19の打込工程S33において、図20に示すように、小段部13の側面13aに排水部材19を打込む。排水部材19は互いに隣り合う打込み受圧部材25の間隙の位置に打込んで配置し、後端側を小段部13の側面13aから突出させる。
排水部材19は小段部13の連続方向に沿って所定の間隔で複数打込む。各排水部材19は水平乃至水平よりも後端側が下り勾配となるように配設する。
定置受圧部材17の配置工程S34において、図20に示すように、小段部13の側面13aに配置された打込み受圧部材25の背面側に定置受圧部材17を配置する。定置受圧部材17は排水部材19の両側に配置されている複数の打込み受圧部材25の背面側に当接して配置される。
排水部材19の後端側が突出しているため、定置受圧部材17の貫通孔17aに排水部材19を貫通させた状態とし、定置受圧部材17の正面側を打込み受圧部材25の背面側に対向当接させる。複数の定置受圧部材17を小段部13の連続方向に沿って並べて配置する。
支持部材21の配置工程S35において、図20に示すように、リブ部21aとリング部21bとが接合されている支持部材21を定置受圧部材17の背面側に配置する。このときリング部21bに排水部材19を挿通させるとともにリブ部21aの側縁を定置受圧部材17の背面側に当接させる。
固定部材23による固定工程S36において、図21に示すように、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25と排水部材19とを固定する。リング部21bと排水部材19の後端側との間の間隙に、周囲に分散して複数のくさび部23aを打ち込む。複数のくさび部23aの挿入量を各位置における間隙の大きさに応じて調整して打込むことで、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25と支持部材21と排水部材19とが、その状態のままで固定される。
これにより前述のような補強構造を構築して土砂構造物を補強することができる。
なお、この補強構造はそのまま設置していてもよいが、図21に仮想線で示すように、排水部材19の後端部を突出させた状態で、小段部13を土砂により埋め戻して再び傾斜面11を形成してもよい。
また補強構造を構築する際は、打込み受圧部材25、排水部材19、定置受圧部材17、支持部材21及び固定部材23のくさび部23aがそれぞれ人力により運搬可能であるため、各工程を人力施工により配置することができる。
以上のような第3実施形態の受圧用具15を用いた土砂構造物の補強構造及び補強方法でも、土砂構造物の傾斜面11に小段部13を形成して土砂構造物を補強するので、傾斜面11が緩斜面であっても補強できる。
また鉛直方向に沿う小段部13の側面13aに定置受圧部材17及び打込み受圧部材25を配置するので、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25から傾斜面11の土砂が逃げ難い。また排水を促進できる排水部材19に土砂が逃げ難い定置受圧部材17及び打込み受圧部材25を固定するので、傾斜面11の土砂を強固に支持することができる。
従って土砂構造物の傾斜面11を確実に補強することが可能である。
この第3実施形態の土砂構造物の補強方法によれば、小段部13の形成予定部位に打込み受圧部材25を打込んで側面13aの形状を形成してから、土砂を除去することで小段部13を形成するので、傾斜面11が崩れやすくても鉛直方向に沿う側面13aを有する小段部13を形成することができる。
この補強構造では、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25を背面側から支持する支持部材21が定置受圧部材17及び打込み受圧部材25とは別部材なので、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25を軽量に形成できる。そのため十分な補強強度を確保できる補強構造であっても、施工時の作業性を向上できる。
この補強構造では、支持部材21が定置受圧部材17及び打込み受圧部材25の背面側に当接するリブ部21aにリング部21bを固定した構造のため、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25を強固に支持する支持部材21を軽量化でき、固定部材23のくさび部23aも軽量化できる。そのため作業性の更なる向上を図れる。
さらにリング部21bと排水部材19との間にくさび部23aを打ち込むことで、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25を支持する構造なので、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25と排水部材19との相対角度や相対位置が大きくばらついても確実に強固に固定することができる。定置受圧部材17及び打込み受圧部材25と排水部材19との相対角度や相対位置が大きくばらついていても、周囲のくさび部23aにより均等に圧力を負荷して安定に固定することが可能である。
また第3実施形態の土砂構造物の補強構造によれば、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25が複数層積層されているので、単体重量の増加を防止して定置受圧部材17及び打込み受圧部材25全体の強度を向上することができる。
なお第3実施形態では、定置受圧部材17の配置工程S34前に排水部材19の打込工程S33を行ったが、定置受圧部材17の配置工程S34の後に排水部材19の打込工程を行ってもよい。
(第4実施形態)
第4実施形態の土砂構造物の補強構造では、図22に示すように、土砂構造物の傾斜面11に小段部13が突出形状に形成され、この小段部13に鉛直方向に沿う側面13aが形成されている。そして小段部13の側面13aに受圧用具15が設置されることで土砂構造物の傾斜面11が補強されている。
受圧用具15は、小段部13の側面13aに配置可能な定置受圧部材17及び打込み受圧部材25と、小段部13の側面13aに打込み可能な排水部材19と、を有し、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25と排水部材19とが互いに固定されている。
定置受圧部材17及び打込み受圧部材25と排水部材19との固定構造としては、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25とは別部材からなり、定置受圧部材17の背面側を支持する支持部材21と、排水部材19と支持部材21とを固定する固定部材23と、を備えている。
定置受圧部材17及び打込み受圧部材25、排水部材19、支持部材21、及び固定部材23は、それぞれ第2実施形態の定置受圧部材17、排水部材19、支持部材21、及び固定部材23と同様である。
次に、このような受圧用具15を用いて土砂構造物を補強する方法について説明する。
図23は第4実施形態の補強方法における手順の概略を示すフローチャートであり、図24〜図28は第4実施形態の各工程を説明する断面図である。
この補強方法では、第4実施形態の補強構造を構築することで土砂構造物を補強する。
まず打込み受圧部材25の配置工程S41において、図24に示すように、傾斜面11における小段部13の形成予定部位に、打込み受圧部材25の下端部を傾斜面11に鉛直方向に沿うように打ち込む。これにより打込み受圧部材25の下端部を除く全体を傾斜面11の上方に突出させて設置する。複数の打込み受圧部材25を互いに間隔を空けて並ぶように打込んで設置する。
小段部13の形成工程S42において、図25に示すように、突出して配置された打込み受圧部材25と傾斜面11との間の空間に土砂を充填して土盛りする。これにより打込み受圧部材25に当接する土砂で側面13aが構成される小段部13を横方向に断続あるいは連続するように形成する。
打込み受圧部材25を配置して小段部13を形成した後、排水部材19の打込工程S43において、図26に示すように、小段部13の側面13aに排水部材19を元の傾斜面11の内部に進入するように打込む。排水部材19は互いに隣り合う打込み受圧部材25の間隙の位置に打込んで配置し、後端側を小段部13の側面13aから突出させる。
排水部材19は小段部13の連続方向に沿って所定の間隔で複数打込む。各排水部材19は水平乃至水平よりも後端側が下り勾配となるように配設する。
定置受圧部材17の配置工程S44において、図27に示すように、小段部13の側面13aに配置された打込み受圧部材25の背面側に定置受圧部材17を配置する。定置受圧部材17は排水部材19の両側に配置されている複数の打込み受圧部材25の背面側に当接して配置される。
排水部材19の後端側が突出しているため、定置受圧部材17の貫通孔17aに排水部材19を貫通させた状態とし、定置受圧部材17の正面側を打込み受圧部材25の背面側に対向当接させる。複数の定置受圧部材17を小段部13の連続方向に沿って並べて配置する。
支持部材21の配置工程S45において、図27に示すように、リブ部21aとリング部21bとが接合されている支持部材21を定置受圧部材17の背面側に配置する。このときリング部21bに排水部材19を挿通させるとともにリブ部21aの側縁を定置受圧部材17の背面側に当接させる。
固定部材23による固定工程S46において、図28に示すように、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25と排水部材19とを固定する。リング部21bと排水部材19の後端側との間の間隙に、周囲に分散して複数のくさび部23aを打ち込む。複数のくさび部23aの挿入量を各位置における間隙の大きさに応じて調整して打込むことで、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25と支持部材21と排水部材19とが、その状態のままで固定される。
これにより前述のような補強構造を構築して土砂構造物を補強することができる。
なお、補強構造を構築する際は、打込み受圧部材25、排水部材19、定置受圧部材17、支持部材21及び固定部材23のくさび部23aがそれぞれ人力により運搬可能であるため、各工程を人力施工により配置することができる。
以上のような第4実施形態の受圧用具15を用いた土砂構造物の補強構造及び補強方法でも、土砂構造物の傾斜面11に小段部13を形成して土砂構造物を補強するので、傾斜面11が緩斜面であっても補強できる。
また鉛直方向に沿う小段部13の側面13aに定置受圧部材17及び打込み受圧部材25を配置するので、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25から傾斜面11の土砂が逃げ難い。また排水を促進できる排水部材19に土砂が逃げ難い定置受圧部材17及び打込み受圧部材25を固定するので、傾斜面11の土砂を強固に支持することができる。
従って土砂構造物の傾斜面11を確実に補強することが可能である。
この補強方法では、小段部13の形成予定部位に打込み受圧部材25を打込んで側面13aの形状を形成してから、土砂を充填して小段部13を形成するので、傾斜面11が崩れやすくても鉛直方向に沿う側面13aを有する小段部13を形成することができる。
この補強構造では、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25を背面側から支持する支持部材21が定置受圧部材17及び打込み受圧部材25とは別部材なので、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25を軽量に形成できる。そのため十分な補強強度を確保できる補強構造であっても、施工時の作業性を向上できる。
この補強構造では、支持部材21が定置受圧部材17及び打込み受圧部材25の背面側に当接するリブ部21aにリング部21bを固定した構造のため、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25を強固に支持する支持部材21を軽量化でき、固定部材23のくさび部23aも軽量化できる。そのため作業性の更なる向上を図れる。
さらにリング部21bと排水部材19との間にくさび部23aを打ち込むことで、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25を支持する構造なので、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25と排水部材19との相対角度や相対位置が大きくばらついても確実に強固に固定することができる。定置受圧部材17及び打込み受圧部材25と排水部材19との相対角度や相対位置が大きくばらついていても、周囲のくさび部23aにより均等に圧力を負荷して安定に固定することが可能である。
また第4実施形態の土砂構造物の補強構造によれば、定置受圧部材17及び打込み受圧部材25が複数層積層されているので、単体重量の増加を防止して定置受圧部材17及び打込み受圧部材25全体の強度を向上することができる。
なお第4実施形態では、定置受圧部材17の配置工程S44前に排水部材19の打込工程S43を行ったが、定置受圧部材17の配置工程S44の後に排水部材19の打込工程S43を行ってもよい。
11…傾斜面
13…小段部
13a…側面
15…受圧用具
17…定置受圧部材(受圧部材)
17a…貫通孔
19…排水部材
21…支持部材
21a…リブ部
21b…リング部
23…固定部材
23a…くさび部
25…打込み受圧部材(受圧部材)

Claims (8)

  1. 土砂構造物の傾斜面を補強する土砂構造物の補強方法であって、
    前記傾斜面に、鉛直方向に沿う側面を有する小段部を形成する工程と、
    前記小段部の側面に受圧部材を配置する工程と、
    前記小段部の側面に排水部材を打込む工程と、
    前記受圧部材を前記排水部材に固定する工程と、
    を備えたことを特徴とする土砂構造物の補強方法。
  2. 前記受圧部材を配置する工程は、前記小段部を形成する工程の後で、前記小段部の側面に前記受圧部材を対向当接させることで実施することを特徴とする請求項1に記載の土砂構造物の補強方法。
  3. 前記傾斜面における前記小段部の形成予定部位に前記受圧部材を打込む工程を備え、
    前記小段部を形成する工程および前記受圧部材を配置する工程は、前記受圧部材を打ち込む工程の後、前記形成予定部位に土砂を充填すること、または前記形成予定部位から土砂を除去することで実施することを特徴とする請求項1に記載の土砂構造物の補強方法。
  4. 傾斜面を有する土砂構造物の補強構造であって、
    前記傾斜面に形成された小段部が有する鉛直方向に沿う側面に配置された受圧部材と、
    前記小段部の側面に打込まれた排水部材と、を有し、
    前記受圧部材が前記排水部材に固定されていることを特徴とする土砂構造物の補強構造。
  5. 前記受圧部材とは別部材からなり前記受圧部材を背面側から支持する支持部材と、
    前記支持部材と前記排水部材とを固定する固定部材と、を有している、請求項4に記載の土砂構造物の補強構造。
  6. 前記支持部材は、前記受圧部材の背面側に当接するリブ部と、前記リブ部に固定されて前記排水部材を挿通するリング部と、を有し、
    前記固定部材は、前記リング部と前記排水部材との間に打ち込むくさび部を有することを特徴とする請求項5に記載の土砂構造物の補強構造。
  7. 前記受圧部材は、複数層積層されていることを特徴とする請求項4乃至6の何れか1項に記載の土砂構造物の補強構造。
  8. 土砂構造物の傾斜面における小段部の側面に配置可能な受圧部材と、
    前記小段部の側面に打込み可能な排水部材と、
    前記受圧部材とは別部材からなり前記受圧部材の背面側を支持する支持部材と、
    前記排水部材と前記支持部材とを固定する固定部材と、を備え、
    前記支持部材は、前記受圧部材の背面側に当接するリブ部と、前記リブ部に固定されて前記排水部材を挿通するリング部と、を備え、
    前記固定部材は、前記リング部と前記排水部材との間に打ち込むくさび部を有することを特徴とする土砂構造物用の受圧用具。
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