JP2017218624A - 硬質膜の成膜方法 - Google Patents

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【課題】高真空とする真空槽を不要としながら、中空部を有する基材に対して均質な非晶質炭素膜を成膜できる成膜方法を提供する。【解決手段】本発明の硬質膜の成膜方法は、中空部を有する基材の内壁面に硬質膜を成膜する方法であって、該方法は、被処理材となる上記基材の内壁面と所定の間隔を空けて該内壁面に追従する形状を有する電極と、原料ガス導入管と、排気管とを有する複合電極を用いて、上記複合電極と上記基材の内壁面との間の空間を真空封止した状態で、上記複合電極および上記基材のいずれか一方を接地し、他方に対してRF電圧またはパルス電圧を印加して、上記複合電極と上記基材の内壁面との間において、上記原料ガス導入管より導入された原料ガスのプラズマを発生させて、上記基材の内壁面に硬質膜を成膜する【選択図】図1

Description

本発明は、真空槽を用いずにシリンダー内径や金型内径に非晶質炭素膜を成膜するための成膜方法に関する。
基材に形成させる被膜として非晶質炭素膜が知られている。非晶質炭素膜は、一般にダイヤモンドライクカーボン(以下、DLCと記す)と呼ばれている硬質膜である。DLC膜の本質は、構造的にはダイヤモンドとグラファイトが混ざり合った両者の中間構造を有するものである。すなわち、sp結合およびsp結合の両方から構成されている。sp結合された炭素原子に対するsp結合された炭素原子の相対量を制御することによってDLC膜の特性を変えることができる。sp結合された炭素原子の個数の割合を高くすると、被膜は軟らかく黒色であって導電性を示し、逆にsp結合された炭素原子の個数割合を高くすると、被膜は硬く透明であって絶縁性を示す。
また、基材の摩耗を防ぐことなどを目的としてDLC膜を適用するために硬度を高くすると、成膜に起因して高い残留応力が発生してしまうため、基材に対する密着性が低下してしまう。そこで、上記の相対量に分布幅をもたせて、直接あるいは中間層を介して、基材上に成膜すれば硬度傾斜を有する被膜となり、硬度と基材に対する密着性とに優れた被膜とすることができる。
非晶質炭素膜の成膜方法には多くの方法があるが、大別すると、PVD(物理気相堆積法)やCVD(化学気相堆積法)に分けられる。PVDでは、基材に電位を供給し、電界により炭素イオンを基材に衝突させて成膜する。PVDでは、ターゲットに高エネルギーの希ガスや希ガスイオンを衝突させて、原子を放出させ、該原子を目的の基材表面に層状に堆積させて被膜を形成する。PVDによる成膜は、一般的には高真空下で行われる。CVDでは、原料ガスに対して加熱や光照射を行うことでエネルギーを与えたり、高周波電圧を印加することでプラズマ化させたりすることにより、原料物質がラジカルまたはイオンなどの活性種に変化して反応性が高まることを利用して、基材上に吸着・堆積させて被膜を形成する。
非晶質炭素膜は、さまざまな製品に対して適用できることから、そのニーズは非常に高く、コストを抑えて生産性を改善することが需要に応える上で不可欠な要素の1つとなっている。また、成膜工程のサイクルタイムの短縮化を行ったり、成膜工程と製品製造に係る他の工程とのスループットの差を小さくしたりすることによって、成膜工程と他の工程のインライン化を実現することが望まれている。
このような要望に対して、安価な装置で安定的に非晶質炭素膜を成膜することが従来より試みられている。例えば、特許文献1では、バイポーラ型のPBII装置用電源を用いた低真空下での非晶質炭素膜の成膜方法が開示されている。この成膜技術では、チャンバー内に、PBII装置用電源に接続される電源側電極と、該電極と対向するアース側電極とを設け、電源側電極およびアース側電極のいずれか一方に基材を配置し、該基材と、該基材を配置しない電極との間において、希ガスと炭化水素系ガスのプラズマを発生させて、基材表面に非晶質炭素膜を成膜しており、チャンバー内の真空度が1000〜30000Pa程度の低真空下においても、非晶質炭素膜を成膜し得る。このため、ターボポンプや密閉性の高いチャンバーが不要となり、装置コストなどを低くでき、製造コストの低減が図れる。また、大型部品への成膜にも容易に利用可能である。
特開2012−233257号公報
非晶質炭素膜の成膜技術は、摺動部材や軸受や金型などのような内径部や凹部、中空部を有する立体形状物にも高い需要があり、高品質で安価な製品を生産するには成膜手法の改良と成膜コストの低減を同時に達成する必要がある。
しかしながら、上記の中空部などを有する基材に対して安価な装置で安定的に成膜を施す技術ことは容易ではない。非晶質炭素膜の成膜方法としては、上述のとおり、種々の技術が開発されているが、一般的なチューブ状の対象物に対して成膜を施す場合、PVDにしてもCVDにしてもそれぞれ難点がある。
まず、スパッタやイオンプレーティングなどのPVDの場合、付近と中心部での膜原料粒子やイオンとの衝突によりある程度散乱が生じるものの、固体ターゲットから原料が成膜対象に向かって高い方向性をもって照射されるため、粒子の進行方向に対して垂直方向の平面であるチューブ内径には粒子が付着し難い。次に、CVDについては、装置中のイオンガン付近で炭化水素ガスをイオン化・ラジカル化し成膜対象に照射するタイプの装置と、成膜対象に対して高周波やパルス電圧を印加し成膜対象周囲で炭化水素ガスをイオン化・ラジカル化し被膜を得る装置がある。前者については、PVDと同様に指向性を有するため、内径での膜厚および膜質の均質化は難しい。後者についても、チューブの中心と開口部との電界分布の差異や中心部での原料ガス枯渇などの影響で均質化は難しい。
実際には内径部にも被膜は形成されるが、いずれの成膜方法においてもシリンダー内径や金型内径への成膜にあたっては、開口部厚の差異やイオン照射量の差異から硬度・密着力の差異が生じてしまう。
また、特許文献1で記載されている技術は主に平板状または略平板状の基材に成膜を施す方法である。その他、飲料品用容器などのPET製の立体形状物に硬質炭素膜を施す手法も知られているが、高真空下または高真空に近い中真空下で実施する必要があるため装置が高価である。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、高真空とする真空槽を不要としながら、中空部を有する基材に対して均質な非晶質炭素膜を成膜できる成膜方法を提供することを目的とする。
本発明の硬質膜の成膜方法は、中空部を有する基材の内壁面に硬質膜を成膜する方法であって、該方法は、被処理材となる上記基材の内壁面と所定の間隔を空けて該内壁面に追従する形状を有する電極と、原料ガス導入管と、排気管とを有する複合電極を用いて、上記複合電極と上記基材の内壁面との間の空間を真空封止した状態で、上記複合電極および上記基材のいずれか一方を接地し、他方に対してRF電圧またはパルス電圧を印加して、上記複合電極と上記基材の内壁面との間において、上記原料ガス導入管より導入された原料ガスのプラズマを発生させて、上記基材の内壁面に硬質膜を成膜することを特徴とする。
上記複合電極と上記基材との間の一部に絶縁体のスペーサーを介在させることを特徴とする。また、上記複合電極を接地し、上記基材に対して負パルス電圧のみを印加することを特徴とする。
上記基材が略円筒状または多角筒状の内壁面を有し、上記電極が略円柱状または多角柱状であり、上記原料ガス導入管は、上記電極内に該電極と同軸に設けられていることを特徴とする。また、上記原料ガス導入管は、上記電極の一端側に上記空間内へのガス導入口を有し、上記排気管は、上記電極の他端側に上記空間内からのガス排出口を有することを特徴とする。
上記原料ガスに少なくとも炭化水素系ガスと希ガスとを含み、上記硬質膜として非晶質炭素膜を成膜することを特徴とする。
本発明の硬質膜の成膜方法は、被処理材となる上記基材の内壁面と所定の間隔を空けて該内壁面に追従する形状を有する電極と、原料ガス導入管と、排気管とを有する複合電極を用いて、上記複合電極と上記基材の内壁面との間の空間を真空封止した状態で成膜を行なうので、内径内部での電界分布を均質化できる。これにより、一般的に均質成膜が難しいとされるシリンダー内径などの部位に対しても均質な被膜を成膜できる。
真空封止する空間が最小限であり、ロータリーポンプなどの真空排気容量が小容量である真空ポンプにより排気を行えるので、従来技術で行われていたターボポンプによる排気と比較すると真空操作に要する時間を抑制できる。これにより、プロセス全体のサイクルタイムが短縮され、高い生産性が得られる。また、真空排気部容量を小容量化したことにより、原料ガスおよび放電ガスの循環効率を高め、ガス枯渇の発生を抑制でき、結果、膜質の不均質を抑制できる。
被処理材である基材自体を真空容器内壁として利用することで真空槽が不要となり、成膜時間が短くなることと合わせて、連続生産(ライン処理)への適合性が高くなる。また、真空槽が不要とすることで、装置の低コスト化が可能となる。
本発明の成膜方法に用いる成膜装置の概略図である。
非晶質炭素膜を成膜する場合、通常、高真空下(10Pa未満)で成膜を行っている。チャンバー内をこのような高真空とすれば、チャンバー内壁と、処理対象となる基材との間で安定してプラズマを発生させることができ、基材近傍に該プラズマを集中させて成膜することが可能となる。本発明の硬質膜の成膜方法は、このような高真空下ではない、低真空下での成膜を可能とするものである。本発明が対象とする「低真空下」とは、例えば、10〜1000Paである。10Pa未満であると、ターボポンプなどの高真空用のポンプを用いずに短時間で到達するのは難しく、1000Paを超えると炭酸水素ガスの乖離およびラジカル化が不十分となる場合がある。より好ましい範囲としては、50〜500Paである。
本発明に成膜方法に係る装置構成について図1を参照して説明する。図1は、本発明の成膜方法に使用する装置の概略図である。本発明の成膜方法では、チャンバーを用いず、その代わりに、被処理材となる基材8の内壁面(中空円筒内壁面)を真空容器内壁として利用している。この基材8の中空部に、円柱状の複合電極10を電極フランジ6で固定した状態で挿入する。複合電極10は、原料ガスのフロー経路となるガス導入管10aと排気管10bとを備えている。この構成において、基材8または複合電極10の一方をパルス電源またはRF電源(単に、電源11ともいう)に接続し、他方を接地している。該図では、基材8に電源11を接続し、複合電極10を接地している。電源11は、公知の電源装置を利用できる。
基材8の底面には封止蓋9を設け、複合電極10と基材8との間の一部には絶縁スペーサー兼封止材7を介在させて、複合電極10と基材8の内壁面との間の空間を真空封止している。同時に絶縁スペーサー兼封止材7により、短絡を防止している。低真空下での成膜処理後、基材8に係る密閉された中空部における空間内の圧力を大気圧にもどせば、基材8は、絶縁スペーサー兼封止材7と封止蓋9と電源11から容易に分離できる。
原料ガスを構成する材料ガスと放電ガスの流量を調整するために、材料ガスボンベ3および放電ガスボンベ4に接続されたガスラインには、それぞれマスフローコントローラ5が取り付けられている。それぞれのガスボンベより流れるガスの所定の流量範囲に応じたフルスケールを有するマスフローコントローラを用いる。さらに、流量調整後、混合されて得られたガスのガス圧などを調整するために真空ポンプ1が取り付けられている。なお、本発明の成膜方法における真空度を確保できる真空ポンプとしては、ロータリーポンプ、スクロールポンプ、ドライポンプなどが挙げられる。
原料ガスのフロー経路は、特に限定されず、任意の形態を選択できる。図1に示す形態では、ガス導入管10aは、円柱状の複合電極10内において該電極と同軸に設けられている。これにより、複合電極10の近傍におけるガス濃度を高くすることができる。また、ガス導入管10aは、複合電極10において封止蓋9側(円柱一端側)にガス導入口を有し、排気管10bは、円柱他端側の電極フランジ6に真空ポンプ1に繋がるガス排気口を有する。また、ガス導入管10aと排気管10bは同軸となる構造がより好ましい。このような構造により、基材8に係る密閉された中空部におけるガス濃度分布の均質化を図ることができる。
硬質膜として非晶質炭素膜(DLC膜)を成膜する場合、原料ガスに炭化水素系ガス(材料ガス)と希ガス(放電ガス)とを含むものを用いる。放電ガスとなる希ガスとしては、プラズマが発生するものであれば、特に限定されないが、ヘリウムおよびアルゴンから選ばれる少なくとも1種以上からなるガスを用いることが好ましい。これらの中でも、低真空下でプラズマが発生しやすいことから、ヘリウムガスが特に好ましい。
また、非晶質炭素膜の炭素供給源となる材料ガスとしては、炭化水素系ガスを用いる。炭化水素系ガスとしては、ラジカル化もしくはイオン化しやすいものが好ましい。メタン、アセチレン、およびトルエンから選ばれる少なくとも1種以上からなるガスが好ましい。これらの中でも、原料コストおよび取り扱い性の点からメタンガスが特に好ましい。
以下、原料ガスに炭化水素系ガスと希ガスとを含み、硬質膜として非晶質炭素膜を成膜する場合の成膜手順について説明する。原料ガス(炭化水素系ガス)および放電ガス(希ガス)を、材料ガスボンベ3と放電ガスボンベ4とから供給する。ガス流量は、得られる膜の機械的特性を考慮して適宜設定できる。また、基材8に係る密閉された中空部におけるガス圧が、上述の所定の圧力になるように真空ポンプ1を用いて調整する。ガス圧は真空計2でモニタリングすることができる。
装置の電源11をONにして、負パルス電圧を基材8に印加する。これにより、基材8と複合電極10との間で、該空間内の材料ガスと放電ガスがプラズマ化して、該空間内に、イオン・ラジカルが生成され、浮遊するようになる。該空間内で生じる化学反応により、非晶質炭素膜が基材8の内壁面上に吸着・堆積して形成される。ここで、正パルス電圧は印加せず、負パルス電圧のみを印加することが好ましい。これにより、本来低真空下で生成される電子によるラジカル生成量を抑制し、成膜速度を稼ぎつつ密着強度を改善することができる他、非晶質炭素膜が形成されずにポリマー化してしまうことを防止できる。また、複合電極10側への被膜堆積による電極の汚染を抑制できるため、連続処理に適している。
印加される負パルス電圧は、周波数が1〜100kHzであることが好ましく、電圧が0.5〜2.0kVであることが好ましく、パルス幅が5μs以下であることが好ましい。これらの条件をすべて満たす負パルス電圧がさらに好ましい。
電極間距離は、基材8の中空円筒内壁面と、円柱状の複合電極10の外周表面との距離である。基材8と複合電極10を同軸で配置することで、この電極間距離を成膜面一体にわたり一定とできる。この電極間距離は、プラズマ(グロー放電)を維持でき、かつ短絡を防止できる範囲であれば特に限定されないが、例えば、1〜50mm程度とする。
複合電極10の外周表面形状は、電界分布均一化のため、基材8の内壁面と所定の間隔を空けて該内壁面に追従する形状とする。上記した図1に示す形状の他、例えば、基材8の内部形状が正多角形である場合は、複合電極の外表面をそれに倣った正多角形とすることが好ましい。
基材8としては、導電性材料からなるものであれば、特に限定されず使用できる。例えば、超硬合金材料または鉄系材料からなる基材が挙げられる。超硬合金材料としては機械的特性が最も優れるWC−Co系合金の他に、耐酸化性を向上させた、WC−TiC−Co系合金、WC−TaC−Co系合金、WC−TiC−TaC−Co系合金などを挙げることができる。鉄系素材としては、炭素工具鋼、高速度工具鋼、合金工具鋼、ステンレス鋼、快削鋼などが挙げられる。
基材が鉄系材料などである場合、基材と非晶質炭素膜(または後述の中間層)との密着層を高めるために、これらの膜形成前に基材表面に窒化処理を施すことができる。窒化処理としては、基材表面に密着性を妨げる酸化層が生じ難いプラズマ窒化処理を施すことが好ましい。
非晶質炭素膜を成膜する際に、該膜の基材側に、基材側から硬度が連続的または段階的に高くなる硬度傾斜部分を形成することが好ましい。高硬度な膜であると、膜自体の膨張・収縮などにより大きな内部応力が発生しやすく、被膜と基材とで良好な整合性を確保できなくなるおそれがある。硬度傾斜により内部応力の大きさの分布を制御すれば、上記の整合性を改善することができ、被膜の剥離を防止できる。
このような硬度傾斜部分は、負パルス電圧を連続的または段階的に変化させることで得られる。硬度を連続的または段階的に上昇させることによって、非晶質炭素膜のDLC構造におけるグラファイト構造とダイヤモンド構造との構成比率が電圧の上昇により後者に偏っていくためである。これにより、非晶質炭素膜の外表面付近に高い硬度を確保して高い耐久性を確保しつつ、基材表面と非晶質炭素膜の基材側表面との硬度差を小さくでき、これらの間の密着性にも優れた被膜となる。
また、非晶質炭素膜と基材との間に中間層を設けることによっても被膜の剥離を防止できる。例えば、有機ケイ素化合物ガス単独、または、有機ケイ素化合物ガスと炭化水素系ガスとを用いて、上記と同じ方法により中間層となる膜(Si含有型)を成膜することができる。この中間層の表面に、上述のように、炭化水素系ガスを単独で材料ガスとして用いてSi非含有型の非晶質炭素膜を成膜することで、膜全体として密着性と高硬度性を備えた被膜とすることができる。
特に、中間層において、C元素に対するSi元素の存在比が、基材側から外側表面へ向けて連続的に低下する(傾斜組成)ように成膜することが好ましい。これにより層内および層間の剥離を抑制できる。上記のような傾斜した組成の積層被膜は、印加電圧、原料ガスの混合比や流量などを連続的に変化させることで成膜できる。
この方法では、ガスラインを切り替えるだけで同一装置によって中間層および非晶質炭素膜を形成できるため、中間層成膜後に基材を装置から取り外す必要がない。このため、別装置を用いて中間層を成膜する場合に比べて製品製作に係るサイクルタイムの短縮化や製造コストの削減ができる。
中間層形成に用いる有機ケイ素化合物ガスは、テトラメチルシラン、または、ヘキサメチルジシロキサンであることが好ましい。これらを用いることで、非晶質炭素膜との密着性に優れる。
本発明の硬質膜の成膜方法は、高真空とする真空槽を不要としながら、中空部を有する基材に対して均質な非晶質炭素膜を成膜できるので、各種摺動部材、軸受などの機械部品、射出成型金型やプレス金型などに適用でき、特にシリンダー内径や金型内径への成膜に好適である。
1 真空ポンプ
2 真空計
3 材料ガスボンベ
4 放電ガスボンベ
5 マスフローコントローラ
6 電極フランジ
7 絶縁スペーサー兼封止材
8 基材
9 封止蓋
10 複合電極
10a ガス導入管
10b 排気管
11 電源

Claims (6)

  1. 中空部を有する基材の内壁面に硬質膜を成膜する方法であって、
    該方法は、被処理材となる前記基材の内壁面と所定の間隔を空けて該内壁面に追従する形状を有する電極と、原料ガス導入管と、排気管とを有する複合電極を用いて、
    前記複合電極と前記基材の内壁面との間の空間を真空封止した状態で、
    前記複合電極および前記基材のいずれか一方を接地し、他方に対してRF電圧またはパルス電圧を印加して、前記複合電極と前記基材の内壁面との間において、前記原料ガス導入管より導入された原料ガスのプラズマを発生させて、前記基材の内壁面に硬質膜を成膜することを特徴とする硬質膜の成膜方法。
  2. 前記複合電極と前記基材との間の一部に絶縁体のスペーサーを介在させることを特徴とする請求項1記載の硬質膜の成膜方法。
  3. 前記基材が略円筒状または多角筒状の内壁面を有し、前記電極が略円柱状または多角柱状であり、
    前記原料ガス導入管は、前記電極内に該電極と同軸に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の硬質膜の成膜方法。
  4. 前記原料ガス導入管は、前記電極の一端側に前記空間内へのガス導入口を有し、前記排気管は、前記電極の他端側に前記空間内からのガス排出口を有することを特徴とする請求項3記載の硬質膜の成膜方法。
  5. 前記複合電極を接地し、前記基材に対して負パルス電圧のみを印加することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項記載の硬質膜の成膜方法。
  6. 前記原料ガスに少なくとも炭化水素系ガスと希ガスとを含み、前記硬質膜として非晶質炭素膜を成膜することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項記載の硬質膜の成膜方法。
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