JP2017218550A - 樹脂補強用混合物、繊維強化樹脂混合物、並びに、繊維強化樹脂及びその製造方法 - Google Patents

樹脂補強用混合物、繊維強化樹脂混合物、並びに、繊維強化樹脂及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 硬化体の強度が十分に高められた繊維強化樹脂を簡易に形成し得る樹脂補強用混合物等を提供する。【解決手段】 ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)と、セルロース繊維(C)と、アニオン性の界面活性剤(D)またはシリコーン系またはアセチレン系のノニオン性界面活性剤(E)とを含有する、樹脂補強用混合物(X1)。【選択図】 なし

Description

本発明は、樹脂補強用混合物、繊維強化樹脂混合物、並びに、繊維強化樹脂及びその製造方法に関する。
従来、熱可塑性樹脂にセルロース繊維を含有させることによって、該熱可塑性樹脂の強度が向上されてなる繊維強化樹脂が用いられている。
この種の繊維強化樹脂として、例えば、特定の異なる2種類の溶媒を用いて、シート状のセルロース繊維に熱可塑性樹脂を含浸させ、該熱可塑性樹脂を溶融して硬化させてなる繊維強化樹脂が提案されている(特許文献1参照)。また、熱可塑性樹脂と、特定の表面処理が施されたセルロース繊維とを溶融混練して硬化させてなる繊維強化樹脂(特許文献2参照)が提案されている。
特開2005−42283号公報 特開2006−241450号公報
しかし、特許文献1に記載された繊維強化樹脂では、繊維強化樹脂を得るために、特定の2種類の溶媒を用いる必要があり、また、特許文献2に記載された繊維強化樹脂では、繊維強化樹脂を得るために、セルロース繊維に特定の表面処理を施す必要があるため、繊維強化樹脂が簡易に製造できるとはいい難い。
また、特許文献1、2に記載された繊維強化樹脂では、硬化体の強度が十分に高められているとはいい難い。
上記事情に鑑み、本発明は、硬化体の強度が十分に高められた繊維強化樹脂を簡易に形成し得る樹脂補強用混合物及び繊維強化樹脂混合物、並びに、硬化体の強度が十分に高められ、且つ、簡易に形成された繊維強化樹脂及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、イソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)と、セルロース繊維(C)と、アニオン性界面活性剤(D)、または、シリコーン系若しくはアセチレン系のノニオン性界面活性剤(E)と、熱可塑性樹脂(X2)とを用いて繊維強化樹脂(Y)を作製することにより、繊維強化樹脂(Y)の硬化体の強度が十分に高められることを見出して、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る樹脂補強用混合物(X1)は、
ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)と、
セルロース繊維(C)と、
アニオン性界面活性剤(D)、または、シリコーン系若しくはアセチレン系のノニオン性の界面活性剤(E)とを含有する。
ここで、樹脂補強用混合物(X1)がブロックイソシアネート化合物(A)を含有する場合には、「樹脂補強用混合物」とは、ブロックイソシアネート化合物(A)のブロック基が解離されていない状態で、ブロックイソシアネート化合物(A)と、セルロース繊維(C)と、上記界面活性剤(D)または上記界面活性剤(E)とが混合されているものを意味する。
また、樹脂補強用混合物(X1)がポリウレタン化合物(B)を含有する場合には、「樹脂補強用混合物」とは、ポリウレタン化合物同士が融着されていない状態で、ポリウレタン化合物(B)と、セルロース繊維(C)と、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)とが混合されているものを意味する。
さらに、「ポリウレタン化合物(B)」には、水酸基及び/またはアミノ基など、イソシアネート基以外の置換基を末端に有するものが含まれる一方、ポリウレタン化合物の該イソシアネート基がブロック化されたものは含まれない。かかるブロック化されたものは、「ブロックイソシアネート化合物(A)」に含まれる。
かかる構成によれば、ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)と、セルロース繊維(C)と、アニオン性界面活性剤(D)、または、シリコーン系若しくはアセチレン系のノニオン性界面活性剤(E)とを含有する樹脂補強用混合物(X1)を、繊維強化樹脂(Y)用の原料として用いることができる。
このとき、繊維強化樹脂(Y)を作製する際に、樹脂補強用混合物(X1)と熱可塑性樹脂(X2)とを、熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上で加熱し、且つ、混合することによって、イソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)と、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)とが、セルロース繊維(C)内の水素結合による相互作用を緩和するため、セルロース繊維(C)を微細化して、その分散を促進できる。
例えば、樹脂補強用混合物(X1)がブロックイソシアネート化合物(A)を含有する場合には、繊維強化樹脂(Y)を作製する際に、ブロックイソシアネート化合物(A)のブロック基が解離しつつ熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上で加熱し、且つ、混合することによって、ブロックイソシアネート化合物(A)と、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)とが、セルロース繊維(C)内の水素結合による相互作用を緩和し得る。
また、例えば、樹脂補強用混合物(X1)がポリウレタン化合物(B)を含有する場合には、繊維強化樹脂(Y)を作製する際に、ポリウレタン化合物(B)同士が融着しつつ熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上で加熱し、且つ、混合することによって、ポリウレタン化合物(B)と、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)とが、セルロース繊維(C)内の水素結合による相互作用を緩和し得る。
このようにして、セルロース繊維(C)を、十分にほぐし、且つ、十分に分散させることができる。
さらに、上記した加熱混合の際、樹脂補強用混合物(X1)がブロックイソシアネート化合物(A)を含有する場合には、ブロックイソシアネート化合物(A)のイソシアネート基が、セルロース繊維(C)を取り込むようにして重合するため、繊維強化樹脂(Y)中で、樹脂成分とセルロース繊維(C)との密着性を向上させ得る。
また、樹脂補強用混合物(X1)がポリウレタン化合物(B)を含有する場合には、ポリウレタン化合物(B)同士が、セルロース繊維(C)を取り込むようにして融着するため、繊維強化樹脂(Y)中で、樹脂成分とセルロース繊維(C)との密着性を向上させ得る。
しかも、繊維強化樹脂(Y)の作製の際、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)が存在することによって、セルロース繊維(C)に対するブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)の濡れ性が向上し、これによって、セルロース繊維(C)に対してブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)が浸透または均一に付着することができる。
またセルロース繊維(C)の間に上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)が存在することによって、セルロース繊維(C)に滑り性が付与される。
その結果、セルロース繊維(C)が、上記したブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)によるセルロース繊維(C)の分散作用と相俟って、繊維強化樹脂(Y)中で、樹脂成分とセルロース繊維(C)との密着性を、一層向上させ得ると推察される。
また、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)の添加によってセルロース繊維(C)に滑り性が付与されることに起因して、混練されることによって、セルロース繊維(C)が損傷することなく、熱可塑性樹脂(X2)に均一に分散することができ、これによって、繊維強化樹脂(Y)の硬化体の強度を十分に発現させることができる。
このように、セルロース繊維(C)が、イソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)と、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)とを介して熱可塑性樹脂(X2)に分散されるため、繊維強化樹脂(Y)の硬化体の強度を、十分に高めることができる。
これにより、セルロース繊維(C)を、十分にほぐし、且つ、十分に分散させることができる。よって、繊維強化樹脂(Y)の硬化体の強度を、十分に高めることができる。
また、セルロース繊維(C)に表面処理工程を施さなくても、複数種類の溶媒を用いなくても、上記のように硬化体の強度が十分に高められた繊維強化樹脂(Y)を、簡易に形成することが可能となる。
上記構成の樹脂補強用混合物(X1)においては、
前記ブロックイソシアネート化合物(A)または前記ポリウレタン化合物(B)が、親水性基を有していてもよい。
ここで、「前記ブロックイソシアネート化合物(A)または前記ポリウレタン化合物(B)が親水性基を有する」とは、「前記ブロックイソシアネート化合物(A)が親水性基を有する、または、前記ポリウレタン化合物(B)が親水性基を有する」を意味する。また、「親水性基」とは、アニオン性基、カチオン性基、又はノニオン性基を意味する。
アニオン性基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基等が挙げられ、さらに、それらの一部又は全部が塩基性化合物等によって中和されたカルボキシレート基、スルホネート基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基等も挙げられる。
カチオン性基としては、例えば3級アミノ基が挙げられ、3級アミノ基の酸中和塩、または4級化剤で4級化した4級アミノ基等も挙げられる。
ノニオン性基としては、例えば、ポリエチレングリコール鎖等が挙げられる。
かかる構成によれば、ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)が、親水性基を有することによって、繊維強化樹脂(Y)を作製する際、ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)が、セルロース繊維(C)内の水素結合による相互作用をより緩和するため、セルロース繊維(C)の分散を、より促進し得る。
これにより、熱可塑性樹脂(X2)中に、セルロース繊維(C)を、より十分に分散できる。
従って、繊維強化樹脂(Y)の硬化体の強度を、より十分に高めることができる。
また、上記構成の樹脂補強用混合物(X1)においては、
さらに水(F)を含有していてもよい。
かかる構成によれば、水(F)を含有していることによって、繊維強化樹脂(Y)を作製する際、より十分にセルロース繊維(C)を分散できる。
これにより、繊維強化樹脂(Y)の硬化体の強度を、より十分に高めることができる。
本発明の繊維強化樹脂混合物(X)は、
前記樹脂補強用混合物(X1)と、熱可塑性樹脂(X2)とを含有する。
ここで、樹脂補強用混合物(X1)がブロックイソシアネート化合物(A)を含有する場合には、「繊維強化樹脂混合物」とは、ブロックイソシアネート化合物(A)と、セルロース繊維(C)と、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)とが、ブロックイソシアネート化合物(A)のブロック基が解離し、且つ、熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上で加熱混合される前において混合しているものを意味する。
また、樹脂補強用混合物(X1)がポリウレタン化合物(B)を含有する場合には、「繊維強化樹脂混合物」とは、ポリウレタン化合物(B)と、セルロース繊維(C)と、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)とが、ポリウレタン化合物(B)同士が融着し、且つ、熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上で加熱混合される前において混合しているものを意味する。
かかる構成によれば、繊維強化樹脂混合物(X)を、加熱するだけで、繊維強化樹脂(Y)を作製することができる。すなわち、樹脂補強用混合物(X1)を、繊維強化樹脂(Y)用の原料として用いることができる。
このとき、上記の通り、樹脂補強用混合物(X1)と、熱可塑性樹脂(X2)とを、熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上で加熱し、且つ、混合することによって、繊維強化樹脂(Y)は、硬化体の強度が十分に高められ、且つ、簡易に形成されたものとなる。
例えば、樹脂補強用混合物(X1)がブロックイソシアネート化合物(A)を含有する場合には、樹脂補強用混合物(X1)と、熱可塑性樹脂(X2)とを、ブロックイソシアネート化合物(A)のブロック基が解離しつつ熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上で加熱し、且つ、混合することによって、繊維強化樹脂(Y)は、硬化体の強度が十分に高められ、且つ、簡易に形成されたものとなる。
また、例えば、樹脂補強用混合物(X1)がポリウレタン化合物(B)を含有する場合には、樹脂補強用混合物(X1)と、熱可塑性樹脂(X2)とを、ポリウレタン化合物(B)同士が融着しつつ熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上で加熱し、且つ、混合することによって、繊維強化樹脂(Y)は、硬化体の強度が十分に高められ、且つ、簡易に形成されたものとなる。
本発明の繊維強化樹脂混合物(X)は、
前記水(F)を含有する樹脂補強用混合物(X1)と、熱可塑性樹脂(X2)とが混合されて、乾燥されてなる。
かかる構成によれば、繊維強化樹脂(Y)が作製されるとき、水を除去する必要がないため、繊維強化樹脂(Y)が、より簡便に形成されたものとなる。
また、本発明の繊維強化樹脂(Y)は、
前記繊維強化樹脂混合物(X)が、前記熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上に加熱され、且つ、混合されてなる。
例えば、繊維強化樹脂混合物(X)がブロックイソシアネート化合物(A)を含有する場合には、繊維強化樹脂(Y)は、繊維強化樹脂混合物(X)が、ブロックイソシアネート化合物(A)のブロック基が解離しつつ熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上で加熱し、且つ、混合されてなる態様を採用し得る。
また、例えば、繊維強化樹脂混合物(X)がポリウレタン化合物(B)を含有する場合には、繊維強化樹脂(Y)は、繊維強化樹脂混合物(X)が、ポリウレタン化合物(B)同士が融着しつつ熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上で加熱し、且つ、混合されてなる態様を採用し得る。
かかる構成によれば、上記の通り、繊維強化樹脂(Y)は、硬化体の強度が十分に高められ、且つ、簡易に形成されたものとなる。
本発明の繊維強化樹脂(Y)の製造方法は、
ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)と、セルロース繊維(C)と、アニオン性界面活性剤(D)、または、シリコーン系若しくはアセチレン系のノニオン性界面活性剤(E)と、熱可塑性樹脂(X2)とを含有する繊維強化樹脂混合物(X)を、前記熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上に加熱し、且つ、混合する工程を備える。
例えば、繊維強化樹脂混合物(X)がブロックイソシアネート化合物(A)を含有する場合には、上記加熱し、且つ、混合する工程においては、繊維強化樹脂混合物(X)を、ブロックイソシアネート化合物(A)のブロック基が解離しつつ熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上で加熱し、且つ、混合する態様を採用し得る。
また、例えば、繊維強化樹脂混合物(X)がポリウレタン化合物(B)を含有する場合には、上記加熱し、且つ、混合する工程においては、繊維強化樹脂混合物(X)を、ポリウレタン化合物(B)同士が融着しつつ熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上で加熱し、且つ、混合する態様を採用し得る。
かかる構成によれば、上記の通り、硬化体の強度が十分に高められた繊維強化樹脂(Y)を、より簡易に形成できる。
上記構成の繊維強化樹脂(Y)の製造方法においては、
前記繊維強化樹脂混合物(X)が、前記ブロックイソシアネート化合物(A)を含有し、
前記繊維強化樹脂混合物(X)を、前記ブロックイソシアネート化合物(A)のブロック基が解離しつつ前記熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上に加熱し、且つ、混合する工程を備えてもよい。
かかる構成によれば、上記の通り、硬化体の強度が十分に高められた繊維強化樹脂(Y)を、より簡易に形成できる。
上記構成の繊維強化樹脂(Y)の製造方法においては、
前記繊維強化樹脂混合物(X)が、前記ポリウレタン化合物(B)を含有し、
前記繊維強化樹脂混合物(X)を、前記ポリウレタン化合物(B)同士が融着しつつ前記熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上に加熱し、且つ、混合する工程を備えてもよい。
かかる構成によれば、上記の通り、硬化体の強度が十分に高められた繊維強化樹脂(Y)を、簡易に形成できる。
上記構成の繊維強化樹脂(Y)の製造方法においては、
前記繊維強化樹脂混合物(X)が、さらに水(F)を含有していてもよい。
かかる構成によれば、上記の通り、硬化体の強度がより十分に高められた繊維強化樹脂(Y)を、より簡易に形成できる。
以上の通り、本発明によれば、強度が十分に高められた繊維強化樹脂を簡易に形成し得る樹脂補強用混合物及び繊維強化樹脂混合物、並びに、強度が十分に高められ、且つ、簡易に形成された繊維強化樹脂及びその製造方法が提供される。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態の樹脂補強用混合物(X1)は、
ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)と、
セルロース繊維(C)と、
アニオン性界面活性剤(D)、または、シリコーン系若しくはアセチレン系のノニオン性界面活性剤(E)とを含有する。
前記樹脂補強用混合物(X1)が、イソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)と、セルロース繊維(C)と、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)とを含有していることによって、該樹脂補強用混合物(X1)を、繊維強化樹脂(Y)用の原料として用いることができる。
このとき、繊維強化樹脂(Y)を作製する際に、樹脂補強用混合物(X1)と熱可塑性樹脂(X2)とを、熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上で加熱し、且つ、混合することによって、イソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)と、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)とが、セルロース繊維(C)内の水素結合による相互作用を緩和するため、セルロース繊維(C)を微細化して、その分散を促進できる。
例えば、樹脂補強用混合物(X1)がブロックイソシアネート化合物(A)を含有する場合には、繊維強化樹脂(Y)を作製する際に、ブロックイソシアネート化合物(A)のブロック基が解離しつつ熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上で加熱し、且つ、混合することによって、ブロックイソシアネート化合物(A)と、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)とが、セルロース繊維(C)内の水素結合による相互作用を緩和し得る。
また、樹脂補強用混合物(X1)がポリウレタン化合物(B)を含有する場合には、繊維強化樹脂(Y)を作製する際に、ポリウレタン化合物(B)同士が融着しつつ熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上で加熱し、且つ、混合することによって、ポリウレタン化合物(B)と、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)とが、セルロース繊維(C)内の水素結合による相互作用を緩和し得る。
このようにして、セルロース繊維(C)を、十分にほぐし、且つ、十分に分散させることができる。
さらに、上記した加熱混合の際、樹脂補強用混合物(X1)がブロックイソシアネート化合物(A)を含有する場合には、ブロックイソシアネート化合物(A)のイソシアネート基が、セルロース繊維(C)を取り込むようにして重合するため、繊維強化樹脂(Y)中で、樹脂成分とセルロース繊維(C)との密着性を向上させ得る。
また、樹脂補強用混合物(X1)がポリウレタン化合物(B)を含有する場合には、ポリウレタン化合物(B)同士が、セルロース繊維(C)を取り込むようにして融着するため、繊維強化樹脂(Y)中で、樹脂成分とセルロース繊維(C)との密着性を向上させ得る。
しかも、繊維強化樹脂(Y)の作製の際、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)が存在することによって、セルロース繊維(C)に対するブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)の濡れ性が向上し、これによって、セルロース繊維(C)に対してブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)が浸透または均一に付着することができる。
またセルロース繊維(C)の間に上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)が存在することによって、セルロース繊維(C)に滑り性が付与される。
その結果、セルロース繊維(C)が、上記したブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)によるセルロース繊維(C)の分散作用と相俟って、繊維強化樹脂(Y)中で、樹脂成分とセルロース繊維(C)との密着性を、一層向上させ得ると推察される。
また、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)の添加によってセルロース繊維(C)に滑り性が付与されることに起因して、混練されることによって、セルロース繊維(C)が損傷することなく、熱可塑性樹脂(X2)に均一に分散することができ、これによって、繊維強化樹脂(Y)の硬化体の強度を十分に発現させることができる。
このように、セルロース繊維(C)が、イソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)と、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)とを介して熱可塑性樹脂(X2)に分散されるため、繊維強化樹脂(Y)の硬化体の強度を、十分に高めることができる。
これにより、セルロース繊維(C)を、十分にほぐし、且つ、十分に分散させることができる。よって、繊維強化樹脂(Y)の硬化体の強度を、十分に高めることができる。
また、セルロース繊維(C)に表面処理工程を施さなくても、複数種類の溶媒を用いなくても、上記のように硬化体の強度が十分に高められた繊維強化樹脂(Y)を、簡易に形成することが可能となる。
前記ブロックイソシアネート化合物(A)は、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基をブロック剤と反応させてなる反応生成物であって、加熱することによりイソシアネート基を再生するものである。
前記樹脂補強用混合物(X1)が、ブロックイソシアネート化合物(A)を含有していることによって、該樹脂補強用混合物(X1)を、セルロース繊維(C)と、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)と共に、繊維強化樹脂(Y)用の原料として用いることができる。
このとき、繊維強化樹脂(Y)を作製する際に、樹脂補強用混合物(X1)と熱可塑性樹脂(X2)とを、ブロックイソシアネート化合物(A)のブロック基が解離し、且つ、熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上で加熱し、且つ、混合することによって、ブロックイソシアネート化合物(A)がセルロース繊維(C)内の水素結合による相互作用を緩和するため、セルロース繊維(C)を微細化して、その分散を促進できる。
このようにして、セルロース繊維(C)を、十分にほぐし、且つ、十分に分散させることができる。
また、ブロックイソシアネート化合物(A)のブロック基が解離し、イソシアネート基が再生し、セルロース繊維(C)を取り込むようにして重合するため、繊維強化樹脂(Y)中で、樹脂成分とセルロース繊維(C)との密着性を向上させ得る。
このように、セルロース繊維(C)が、ブロックイソシアネート化合物(A)と、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)とを介して熱可塑性樹脂(X2)に分散されるため、繊維強化樹脂(Y)の硬化体の強度を、十分に高めることができる。
また、セルロース繊維(C)に表面処理工程を施さなくても、複数種類の溶媒を用いなくても、上記のように硬化体の強度が十分に高められた繊維強化樹脂(Y)を、簡易に形成できる。
前記ポリイソシアネート化合物としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートが挙げられ、また、該ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーも挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わされて用いられ得る。
前記脂肪族ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート等が挙げられる。
前記脂環族ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
前記芳香族ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
前記芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
また、前記ポリイソシアネート化合物としては、上記のポリイソシアネートの2量体もしくは3量体、ビューレット化イソシアネートなどの変性体、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)等も挙げられる。
前記ポリイソシアネート化合物としては、強度および弾性率の観点から、TDI、MDI、ヘキサメチレンジイソシアネート、またはその変性体と、ポリオール化合物とを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーが好ましく、ポリメリックMDIと、ポリオール化合物とを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーがより好ましい。
前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーに用いられるポリオール化合物としては、特に限定されないが、例えば、分子量400以下の低分子量ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ひまし油系ポリオール、ポリカーボネートポリオール、又は炭化水素系ポリオール等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わされて用いられ得る。
前記低分子量ポリオールは、分子量400以下のものであれば、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチルペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ビスフェノールF、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、又はトリメチロールプロパン等が挙げられる。なかでも、トリメチロールプロパンが好ましい。
前記ポリエステルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、前記低分子量ポリオールと多価カルボン酸とを反応させてなる水酸基末端エステル化縮合物等が挙げられる。前記多価カルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、テトラヒドロフラン酸、エンドメチンテトラヒドロフラン酸、又はヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。これらの中で強度および弾性率の観点から、芳香族環式構造を有するフタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸が好ましい。
前記ポリエーテルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどの前記低分子量ポリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、又はショ糖などにアルキレンオキサイドを付加重合したもの等があげられる。前記アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられる。これらの中で強度および弾性率の観点から、芳香族環式構造を有するもの、すなわち、ビスフェノールAおよびビスフェノールFにアルキレンオキサイドを付加重合したものが好ましく、ビスフェノールAにエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドを付加重合したものがより好ましい。
前記ひまし油系ポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、ひまし油、ひまし油に水素付加した水添ひまし油、ひまし油脂肪酸又はこれに水素付加した水添ひまし油脂肪酸を用いて製造されたポリオール等が挙げられる。また、ひまし油と他の天然油脂とのエステル交換物、ひまし油と多価アルコールとの反応物、ひまし油脂肪酸と多価アルコールとのエステル化反応物、又はこれらにアルキレンオキサイドを付加重合したポリオール等が挙げられる。
前記ポリカーボネートポリオールとしては、特に限定されず、従来公知のものが挙げられる。このようなポリカーボネートポリオールは、例えば、前記低分子量ポリオールとジフェニルカーボネートとの反応により、または、前記低分子量ポリオールとホスゲンとの反応により得られる。
前記炭化水素系ポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、又は水添ポリイソプレンポリオール等が挙げられる。
前記ブロック剤としては、特に限定されず、従来公知のものが挙げられる。例えば、オキシム系ブロック剤、フェノール系ブロック剤、ラクタム系ブロック剤、アルコール系ブロック剤、活性メチレン系ブロック剤、アミン系ブロック剤、ピラゾール系ブロック剤、重亜硫酸塩系ブロック剤、イミダゾール系ブロック剤等が挙げられる。かかるブロック剤は、1種又は2種以上を組み合わされて用いることができる。
前記オキシム系ブロック剤としては、特に限定されないが、例えば、ホルムアミドオキシム、アセトアミドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトンオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム等が挙げられる。これらの中で強度および弾性率の観点から、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシムが好ましい。かかるブロック剤を用いた場合、ブロック基の解離温度は、130〜190℃である。
前記フェノール系ブロック剤としては、特に限定されないが、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール等が挙げられる。これらの中で強度および弾性率の観点から、オルト−セカンダリーブチルフェノールが好ましい。かかるブロック剤を用いた場合、ブロック基の解離温度は、120〜180℃である。
前記ラクタム系ブロック剤としては、特に限定されないが、例えば、カプロラクタム、バレロラクタム、ブチロラクタム、プロピオラクタム等が挙げられる。これらの中で強度および弾性率の観点から、カプロラクタムが好ましい。かかるブロック剤を用いた場合、ブロック基の解離温度は、130〜200℃である。
前記アルコール系ブロック剤としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。これらの中で強度および弾性率の観点から、メタノール、エタノールが好ましい。かかるブロック剤を用いた場合、ブロック基の解離温度は、150〜210℃である。
前記活性メチレン系ブロック剤としては、特に限定されないが、例えば、マロン酸ジエチル、マロン酸ジメチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトン等が挙げられる。かかるブロック剤を用いた場合、ブロック基の解離温度は、80〜160℃である。
前記アミン系ブロック剤としては、特に限定されないが、例えば、ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、イソプロピルエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等が挙げられる。かかるブロック剤を用いた場合、ブロック基の解離温度は、140〜220℃である。
前記ピラゾール系ブロック剤としては、特に限定されないが、例えば、ピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール等が挙げられる。これらの中で強度および弾性率の観点から、3,5−ジメチルピラゾールが好ましい。かかるブロック剤を用いた場合、ブロック基の解離温度は、110〜180℃である。
前記重亜硫酸塩系ブロック剤としては、特に限定されないが、例えば、重亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。これらのブロック剤を用いた場合、ブロック基の解離温度は、80〜170℃である。
前記イミダゾール系ブロック剤としては、特に限定されないが、例えば2−メチルイミダゾール2−エチル−4−メチルイミダゾール等が挙げられる。かかるブロック剤を用いた場合、ブロック基の解離温度は80〜150℃である。
これらのブロック剤の中では、強度および弾性率の観点から、オキシム系ブロック剤、フェノール系ブロック剤、ラクタム系ブロック剤、ピラゾール系ブロック剤、イミダゾール系ブロック剤および、アルコール系ブロック剤からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、オキシム系ブロック剤、フェノール系ブロック剤、ラクタム系ブロック剤、ピラゾール系ブロック剤、イミダゾール系ブロック剤がより好ましい。
前記ブロックイソシアネート化合物(A)のブロック基の解離温度は、強度および弾性率の観点から、70℃〜210℃であることが好ましく、80℃〜190℃であることがより好ましい。ブロック基の解離温度がこの範囲となるようなブロック剤としては、メチルエチルケトンオキシム、オルト−セカンダリーブチルフェノール、カプロラクタム、重亜硫酸ナトリウム、3,5−ジメチルピラゾール、2−メチルイミダゾール等が挙げられる。
前記ポリウレタン化合物(B)は、ポリオール化合物と、ポリイソシアネート化合物とを反応させて生成させた反応生成物である。
ポリウレタン化合物(B)の生成に用いられるポリオール化合物は、特に限定されるものではない。
かかるポリオール化合物としては、例えば、例えば、前述したブロックイソシアネート化合物(A)におけるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの生成に用いられるポリオール化合物が挙げられる。
ポリウレタン化合物(B)の生成に用いられるポリイソシアネート化合物は、特に限定されるものではない。
かかるポリイソシアネート化合物としては、例えば、前述したブロックイソシアネート化合物(A)の生成に用いられるポリイソシアネート化合物が挙げられる。
また、かかるポリイソシアネート化合物としては、前述したイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、前述したポリオール化合物とをさらに反応させて生成した反応生成物も挙げられる。
また、必要により、上記プレポリマーのイソシアネート基と反応し得る活性水素化合物を、鎖伸長剤として使用することも可能であり、鎖伸長剤としては、アミン化合物が挙げられる。アミン化合物としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ピペラジン、イソホロンジアミンなどのジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリアミン等が挙げられる。これらは、1種または2種以上の混合物として用いられ得る。
ポリウレタン化合物(B)は、ポリオール化合物と、ポリイソシアネート化合物とを用いて反応させて生成させたポリウレタン樹脂を、水に乳化させてなる水性ポリウレタン化合物であってもよい。
本実施形態の樹脂補強用混合物(X1)においては、前記ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)は、繊維強化樹脂(Y)の硬化体の曲げ強度、曲げ弾性率といった強度の観点から、親水性基を有することが好ましい。親水性基を有するブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)が曲げ強度、曲げ弾性率に優れる理由は定かではないが、セルロース繊維(C)同士間の水素結合による相互作用を緩和し、ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)中でのセルロース繊維(C)の分散を促進するという作用によるものと推察される。
親水性基は、上記アニオン性基、カチオン性基、またはノニオン性基のいずれであっても良く、特に限定されないが、これらのうち、曲げ強度、曲げ弾性率といった強度の観点から、アニオン性基またはカチオン性基が好ましい。
ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)に親水性基を含有させて導入するための親水性基化合物としては、特に限定されないが、例えば、(ジ)アルカノールカルボン酸又はスルホン酸の3級アミン又はアルカリ金属による中和物、(メトキシ)ポリアルキレンオキサイド、(ジ)アルカノールアミンの有機・無機酸中和物、これらにハロゲン化アルキル又はジアルキル硫酸を反応させた第4級アンモニウム塩等が挙げられる。これらのうち、(ジ)アルカノールカルボン酸又はスルホン酸の3級アミン又はアルカリ金属による中和物、(ジ)アルカノールアミンの有機・無機酸中和物、これにハロゲン化アルキル又はジアルキル硫酸を反応させた第4級アンモニウム塩が好ましい。
なお、前記(メトキシ)ポリアルキレンオキサイドは、アルキレンオキサイドとして、少なくともエチレンオキサイドを含有していればよく、他にプロピレンオキサイド及びブチレンオキサイド等のエチレンオキサイド以外のアルキレンオキサイドを含有していてもよい。複数種類のアルキレンオキサイドを含有する(メトキシ)ポリアルキレンオキサイドを用いる場合の付加形態(親水性基の導入形態)としては、ブロック付加であってもランダム付加であっても、いずれであってもよい。
これらの親水性基を導入し得る化合物として、以下のものを例示することができる。
例えば、アニオンタイプとして、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、乳酸、グリシン等のカルボン酸化合物、アミノエチルスルホン酸、スルホイソフタル酸とジオールからなるポリエステルジオール等のスルホン酸化合物を、トリエチルアミン、NaOH、ジメチルアミノエタノール等の3級アルカノールアミンにより中和することによって得られる塩を挙げることができる。複合材の曲げ強度、曲げ弾性率の観点から、これらのうち、ジメチロールプロピオン酸、グリシン、アミノエチルスルホン酸のナトリウム塩が好ましい。
例えば、カチオンタイプとして、ジメチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミンを、ギ酸、酢酸などの有機カルボン酸、塩酸、硫酸等の無機酸で中和した塩、塩化メチル、臭化メチルなどのハロゲン化アルキル、ジメチル硫酸等のジアルキル硫酸により4級化したものを挙げることができる。これらのうち、メチルジエタノールアミンと有機カルボン酸との組合せ及びメチルジエタノールアミンとジメチル硫酸との組合せが、工業的に製造することが容易であるという理由により好ましい。
前記ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)中の親水性基の含有量は、特に限定されない。例えば、かかる含有量は、0.07〜2.10mmol/gが好ましく、0.12〜1.80mmol/gがより好ましく、0.17〜1.60mmol/gがさらに好ましい。
上記親水性基の含有量が0.07〜2.10mmol/gであることによって、繊維強化樹脂(Y)を作製するとき、ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)を介して、セルロース繊維(C)を、一層十分にほぐし、且つ、一層分散することができる。
よって、繊維強化樹脂(Y)の硬化体の曲げ強度、曲げ弾性率といった強度を一層高めることができる。
かかる親水性基の含有量は、後述する実施例に記載された測定方法によって測定された値である。
前記ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)は、繊維強化樹脂(Y)の硬化体の曲げ強度、曲げ弾性率といった強度の観点から、芳香族環式構造を有することが好ましい。ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)中の、前記芳香族環式構造の含有量は、4質量%〜80質量%が好ましく、8質量%〜70質量%がより好ましい。
なお、後述する実施例に示すように、前記芳香族環式構造の含有量は、前記ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)の全質量に対する、前記ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)中に含まれる芳香族環式構造の割合を示し、前記ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)の製造に使用するポリオール化合物やポリイソシアネート化合物等の全原料の合計質量と、前記ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)の製造に使用した、例えば芳香族環式構造含有ポリオールや芳香族環式構造含有ポリイソシアネート等の芳香族環式構造含有が有する芳香族環式構造の含有量に基づいて算出した値である。前記芳香族環式構造としては、例えばフェニル基、ナフタレン基等が挙げられる。
前記ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)は、短鎖ポリオール基を有する(短鎖ポリオール基が導入されている)ことも好ましい態様である。短鎖ポリオール基を有することによって、ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)が水分散体である場合に、分子内でウレタン結合を局在化、分岐構造を導入することができる。前記ウレタン結合を局在化させるための短鎖ポリオール基としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等が挙げられる。分岐構造を導入するための短鎖ポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられる。これらは、1種または2種以上の混合物として用いられ得る。
前記ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)には、鎖伸長剤を導入することも好ましい態様である。鎖伸長剤を導入することによって、ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)が、後述するように水分散体である場合に、分子量を増大させることができる。前記鎖伸長剤としては、特に限定されないが、例えば、水、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ピペラジン、イソホロンジアミンなどのジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリアミン等が挙げられる。これらは、1種または2種以上の混合物として用いられ得る。
前記アニオン性界面活性剤(D)は、アニオン性の置換基を有する界面活性剤である。
アニオン性界面活性剤(D)は、特に限定されない。
アニオン性界面活性剤(D)としては、例えば、硫酸エステル基を有する硫酸エステル系、リン酸エステル基を有するリン酸エステル系、カルボン酸基を有するカルボン酸系、スルホン酸(硫酸)基を有するスルホン酸系のアニオン性界面活性剤等が挙げられる。
硫酸エステル系のアニオン性界面活性剤(D)としては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、第一工業製薬社製の商品名:モノゲン、ハイテノール、アクアロン(例えば、アクアロンBC、アクアロンHS、アクアロンKH)で表されるもの等が挙げられる。
リン酸エステル系のアニオン性界面活性剤(D)としては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、第一工業製薬社製の商品名:フライサーフで表されるもの等が挙げられる。
カルボン酸系のアニオン性界面活性剤(D)としては、市販品を用いることができ、該市販品として、例えば、第一工業製薬社製の商品名:ネオハイテノール、DKカリソープで表されるもの等が挙げられる。
スルホン酸系のアニオン性界面活性剤(D)としては、市販品を用いることができ、該市販品として、例えば、第一工業製薬社製の商品名:ネオゲン、ネオコールで表されるもの等が挙げられる。
前記シリコーン系若しくはアセチレン系のノニオン性界面活性剤(E)は、イオン性(アニオン性及びカチオン性)の置換基を有しない界面活性剤であって、シリコーン基若しくはアセチレン基を置換基として有する界面活性剤である。
これらのうち、シリコーン系のノニオン性界面活性剤(E1)は、シロキン結合のケイ素に有機基が結合して形成されたオルガノシロキサン基を有するノニオン性界面活性剤であれば、特に限定されない。
シリコーン系のノニオン性界面活性剤(E1)としては、例えば、ポリエーテル変性シロキサンが好ましい。
ポリエーテル変性シロキサンとしては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、ビックケミー社製の商品名:BYK−349、信越シリコーン社製の商品名:変性シリコーンオイル(例えば、KF−351A、KF−615)で表されるもの等が挙げられる。
アセチレン系のノニオン性界面活性剤(E2)は、アセチレン基を有するノニオン性界面活性剤であれば、特に限定されない。
アセチレン系のノニオン性界面活性剤(E2)としては、例えば、ポリエーテルアセチレンが好ましく、エチンオキシド変性アセチレンがより好ましい。
エチレンオキシド変性アセチレンとしては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、日信化学工業社製の商品名:サーフィノール(例えば、サーフィノール440)で表されるもの等が挙げられる。
樹脂補強用混合物(X1)が、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)を含有していることによって、繊維強化樹脂(Y)の作製の際、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)が存在することによって、セルロース繊維(C)に対するブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)の濡れ性が向上し、これによって、セルロース繊維(C)に対してブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)が浸透または均一に付着することができる。
またセルロース繊維(C)の間に上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)が存在することによって、セルロース繊維(C)に滑り性が付与される。
その結果、繊維強化樹脂(Y)の作製の際、セルロース繊維(C)が、上記したブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)によるセルロース繊維(C)の分散作用と相俟って、繊維強化樹脂(Y)中で、樹脂成分とセルロース繊維(C)との密着性を、一層向上させ得ると推察される。
また、上記界面活性剤(D)または(E)の添加によってセルロース繊維(C)に滑り性が付与されることに起因して、混練されることによって、セルロース繊維(C)が損傷することなく、熱可塑性樹脂(X2)に均一に分散することができ、これによって、繊維強化樹脂(Y)の硬化体の強度を十分に発現させることができる。
上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)の添加量は、特に限定されるものではなく、適宜設定し得る。
例えば、上記のように、セルロース繊維(C)に十分な滑り性を付与し得る点を考慮すれば、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)の添加量は、ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)の固形分100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましい。
一方、得られる繊維強化樹脂(Y)の曲げ強度および曲げ弾性率といった強度に悪影響が及ぼされることを抑制し得る点を考慮すれば、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)の添加量は、ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)の固形分100質量部に対して30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。
本実施形態の樹脂補強用混合物(X1)においては、前記ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)は、水に分散されることなく樹脂補強用混合物(X1)に含有されていても、水(F)に分散された水分散体として、樹脂補強用混合物(X1)に含有されていてもよい。
このように、前記樹脂補強用混合物(X1)は、ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)と、セルロース繊維(C)と、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)と、水(F)とを含有していてもよい。
このように、水(F)を含有していることによって、繊維強化樹脂(Y)を作製する際、より十分にセルロース繊維を分散させ易くなる。
これにより、繊維強化樹脂(Y)の硬化体の強度を、より十分に高めることができる。
また、前記ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)は、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)を含有する水(F)に分散された水分散体として、セルロース繊維(C)と混合された後、乾燥されることによって、樹脂補強用混合物(X1)に含有されていてもよい。
すなわち、前記樹脂補強用混合物(X1)は、ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)と、セルロース繊維(C)と、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)と、水(F)とが混合された後、乾燥されたものであってもよい。
このように、混合した後、乾燥されたものであることによって、繊維強化樹脂(Y)を作製する際、水(F)を除去する必要がないため、繊維強化樹脂(Y)が、より簡便に形成されたものとなる。
前記ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)が水分散体である場合、上記強度の観点から、前記ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)の平均粒子径は、0.3μm以下が好ましく、0.15μm以下がより好ましい。
かかる平均粒子径は、後述する実施例に記載された方法で測定された値である。
なお、樹脂補強用混合物(X1)は、ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)と、セルロース繊維(C)と、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)とを含有していれば、その形態は、特に限定されない。
前記セルロース繊維(C)としては、特に限定されないが、例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、綿、ビート、農産物残廃物、布、紙等の天然植物原料から得られるパルプ;レーヨン、セロファン等の再生セルロース繊維などがあげられる。これらの中で、パルプが好ましい。前記木材としては、特に限定されないが、例えば、シトカスプルース、スギ、ヒノキ、ユーカリ、アカシア等が挙げられる。前記紙としては、特に限定されないが、例えば、脱墨古紙、段ボール古紙、雑誌、コピー用紙等が挙げられる。
前記パルプとしては、植物原料を化学的、若しくは機械的に、又は両者を併用してパルプ化することで得られるケミカルパルプ(クラフトパルプ(KP)、亜硫酸パルプ(SP))、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグランドパルプ(CGP)、ケミメカニカルパルプ(CMP)、砕木パルプ(GP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、及びこれらのパルプを主成分とする脱墨古紙パルプ、段ボール古紙パルプ、雑誌古紙パルプ等が挙げられる。これらの原材料は、必要に応じ、脱リグニン処理されたものであってもよく、漂白を行い、当該パルプ中のリグニン量を調整されたものであってもよい。
これらのパルプの中でも、繊維の強度が強い針葉樹由来の各種クラフトパルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(以下、NUKPということがある)、針葉樹酸素晒し未漂白クラフトパルプ(以下、NOKPということがある)、針葉樹漂白クラフトパルプ(以下、NBKPということがある))が、特に好ましい。
前記パルプは、主にセルロース、ヘミセルロース、リグニンから構成される。パルプ中のリグニン含有量は、特に限定されるものではないが、通常0〜40重量%程度、好ましくは0〜10重量%程度である。リグニン含有量は、Klason法により測定され得る。
セルロース繊維(C)としては、解繊処理されたものが使用され得るが、その他、解繊処理がされていないものも、好適に使用され得る。
前記樹脂補強用混合物(X1)中の、ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)と、セルロース繊維(C)との含有比としては、特に限定されないが、繊維強化樹脂(Y)の硬化体の曲げ強度及び曲げ弾性率といった強度の観点から、セルロース繊維(C)1質量部に対し、ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)が0.01〜4.0質量部であることが好ましく、0.03〜3.0質量部であることがより好ましく、0.05〜2.5質量部であることがさらに更に好ましい。
前記樹脂補強用混合物(X1)中の、水(F)の含有量としては、1〜99質量%が好ましく、2〜95質量%がより好ましい。水(F)の含有量が1〜99質量%であることにより、樹脂補強用混合物(X1)と熱可塑性樹脂(X2)との混合性が良好になる。
本実施形態の繊維強化樹脂混合物(X)は、樹脂補強用混合物(X1)と、熱可塑性樹脂(X2)とを含有する。
前記熱可塑性樹脂(X2)としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、熱可塑性ポリウレタン、ポリアセタール、ナイロン樹脂、ビニルエーテル樹脂、ポリスルホン系樹脂、トリアセチル化セルロース、ジアセチル化セルロース等のセルロース系樹脂等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上が組み合わされて用いられ得る。これらの中でも、ウッドプラスチックとして、木粉などの木質材料と混合されて強度を高め易い点で、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリスチレン等のポリオレフィンが好ましい。また構造部材等の汎用性の観点から、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリアミド樹脂が好ましい。また、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン及びスチレンの共重合合成樹脂)は、その一成分であるポリアクリロニトリルとセルロース系材料の相容性パラメーターが近接していることから相容性に優れるという点で、好ましい。前記熱可塑性樹脂(X2)としては、上記例示された樹脂の中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン又はABS樹脂が好ましく、ポリプロピレンがより好ましい。
ポリプロピレンとしては、マレイン酸変性ポリプロピレンを併用することが、上記曲げ弾性率及び曲げ強度といった強度の観点から、好ましい。この際のマレイン酸変性ポリプロピレンの含有量としては、熱可塑性樹脂(X2)に対し、5〜40質量%が好ましく、8〜30質量%がより好ましい。マレイン酸変性ポリプロピレンの併用により、上記曲げ弾性率及び曲げ強度といった強度が十分に高められる理由は定かではないが、セルロース、ブロックイソシアネートおよびマレイン酸変性ポリプロピレンが相互に架橋または相溶化することによるものと推察される。
前記熱可塑性樹脂(X2)の平均粒子径としては、特に限定されないが、セルロース繊維の凝集を低減できるという理由から、1〜1000μm程度が好ましく、1〜500μm程度がより好ましく、1〜100μm程度が更に好ましい。
かかる平均粒子径は、後述する実施例に記載された方法で測定された値である。
前記繊維強化樹脂混合物(X)におけるセルロース繊維(C)と熱可塑性樹脂(X2)との配合比は、特に限定されない。例えば、力学的特性、耐熱性、表面平滑性及び外観に優れるという観点を考慮すれば、セルロース繊維(C)の配合量は、熱可塑性樹脂(X2)100質量部に対し、1〜300質量部程度が好ましく、1〜200質量部程度がより好ましく、1〜100質量部程度がさらに好ましい。
前記繊維強化樹脂混合物(X)における、ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)と、熱可塑性樹脂(X2)との配合は、特に限定されない。例えば、力学的特性、耐熱性、表面平滑性及び外観に優れるという観点を考慮すれば、ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)の配合量は、熱可塑性樹脂(X2)100質量部に対し、1〜300質量部程度が好ましく、1〜200質量部程度がより好ましく、1〜100質量部程度が更に好ましい。
前記繊維強化樹脂混合物(X)は、さらに任意の添加剤を含有していてもよい。任意の添加剤は、特に限定されない。例えば、かかる添加剤として、相溶化剤;界面活性剤;でんぷん類、アルギン酸などの多糖類;ゼラチン、ニカワ、カゼインなどの天然たんぱく質;タンニン、ゼオライト、セラミックス、金属粉末などの無機化合物;着色剤;可塑剤;香料;顔料;流動調整剤;レベリング剤;導電剤;帯電防止剤;紫外線吸収剤;紫外線分散剤;消臭剤等が挙げられる。
かかる添加剤の配合割合は、得られる繊維強化樹脂(Y)の効果が損なわれない範囲で、適宜設定され得る。例えば、繊維強化樹脂混合物(X)に10質量%程度以下が好ましく、5質量%程度以下がより好ましい。
上記の通り、本実施形態の繊維強化樹脂混合物(X)は、上記した前記樹脂補強用混合物(X1)と、熱可塑性樹脂(X2)とを含有する。
かかる構成によれば、繊維強化樹脂混合物(X)を、加熱するだけで、繊維強化樹脂(Y)を作製することができる。すなわち、樹脂補強用混合物(X1)を、繊維強化樹脂(Y)用の原料として用いることができる。
このとき、上記の通り、樹脂補強用混合物(X1)と、熱可塑性樹脂(X2)とを、熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上で加熱し、且つ、混合することによって、繊維強化樹脂(Y)は、硬化体の強度が十分に高められ、且つ、簡易に形成されたものとなる。
例えば、樹脂補強用混合物(X1)がブロックイソシアネート化合物(A)を含有する場合には、樹脂補強用混合物(X1)と、熱可塑性樹脂(X2)とを、ブロックイソシアネート化合物(A)のブロック基が解離しつつ熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上で加熱し、且つ、混合することによって、繊維強化樹脂(Y)は、硬化体の強度が十分に高められ、且つ、簡易に形成されたものとなる。
また、例えば、樹脂補強用混合物(X1)がポリウレタン化合物(B)を含有する場合には、樹脂補強用混合物(X1)と、熱可塑性樹脂(X2)とを、ポリウレタン化合物(B)同士が融着しつつ熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上で加熱し、且つ、混合することによって、繊維強化樹脂(Y)は、硬化体の強度が十分に高められ、且つ、簡易に形成されたものとなる。
ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)が水分散体であるような場合には、繊維強化樹脂混合物(X)は、ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)と、セルロース繊維(C)と、上記界面活性剤(D)または上記界面活性剤(E)と、水(F)とを含有していてもよい。
上記の通り、水(F)を含有していることによって、ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)に、セルロース繊維(C)を、より十分に分散できる。
これにより、繊維強化樹脂(Y)の硬化体の強度を、より十分に高めることができる。
また、ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)が水分散体であるような場合において、繊維強化樹脂混合物(X)は、樹脂補強用混合物(X1)と、熱可塑性樹脂(X2)とが混合されて、乾燥されてなるものであってもよい。
これによれば、繊維強化樹脂(Y)を作製するとき、水を除去する必要がないため、繊維強化樹脂(Y)が、より簡易に形成されたものとなる。
本実施形態の繊維強化樹脂(Y)は、前記繊維強化樹脂混合物(X)が、前記熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上に加熱され、且つ、混合されてなる。
例えば、繊維強化樹脂混合物(X)がブロックイソシアネート化合物(A)を含有する場合には、繊維強化樹脂(Y)は、繊維強化樹脂混合物(X)が、ブロックイソシアネート化合物(A)のブロック基が解離しつつ熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上で加熱し、且つ、混合されてなる態様を採用し得る。
また、例えば、繊維強化樹脂混合物(X)がポリウレタン化合物(B)を含有する場合には、繊維強化樹脂(Y)は、繊維強化樹脂混合物(X)が、ポリウレタン化合物(B)同士が融着しつつ熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上で加熱し、且つ、混合されてなる態様を採用し得る。
かかる構成によれば、上記の通り、繊維強化樹脂(Y)は、硬化体の強度が十分に高められ、且つ、簡易に形成されたものとなる。
本実施形態の繊維強化樹脂(Y)の製造方法は、
ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)と、セルロース繊維(C)と、アニオン性界面活性剤(D)、または、シリコーン系若しくはアセチレン系のノニオン性界面活性剤(E)と、熱可塑性樹脂(X2)とを含有する繊維強化樹脂混合物(X)を、前記熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上に加熱し、且つ、混合する工程(加熱混合工程)を備える。
かかる構成によれば、上記の通り、硬化体の強度が十分に高められた繊維強化樹脂(Y)を、簡易に形成できる。
例えば、繊維強化樹脂混合物(X)がブロックイソシアネート化合物(A)を含有する場合には、上記加熱混合工程においては、繊維強化樹脂混合物(X)を、ブロックイソシアネート化合物(A)のブロック基が解離しつつ熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上で加熱し、且つ、混合する態様を採用し得る。
この態様によれば、硬化体の強度が十分に高められた繊維強化樹脂(Y)を、より簡易に形成できる。
また、例えば、繊維強化樹脂混合物(X)がポリウレタン化合物(B)を含有する場合には、上記加熱混合工程においては、繊維強化樹脂混合物(X)を、ポリウレタン化合物(B)同士が融着しつつ熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上で加熱し、且つ、混合する態様を採用し得る。
この態様によれば、硬化体の強度が十分に高められた繊維強化樹脂(Y)を、より簡易に形成できる。
また、本実施形態の繊維強化樹脂(Y)の製造方法では、繊維強化樹脂混合物(X)が、さらに水(F)を含有していてもよい。
このように、水(F)を含有していることによって、上記の通り、硬化体の強度がより十分に高められた繊維強化樹脂(Y)を、より簡易に形成できる。
本実施形態で用いるブロックイソシアネート化合物(A)の製造方法は、特に限定されないが、必要に応じてポリオール化合物を反応させたポリイソシアネート化合物の、イソシアネート基をブロック剤で封鎖する方法を採用し得る。
ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基とポリオール化合物の水酸基の当量比は特に限定されないが、1:0.3〜1.2であることが好ましい。このとき、イソシアネート基に対して不活性な、有機溶剤にて任意の固形分に希釈されているほうが、撹拌効率などの観点から好ましい。
有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、シクロヘキサン、イソホロンなどの脂環族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテルエステル系溶剤、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤等が使用される。
これらの反応は、20〜100℃、好ましくは30〜90℃の通常のブロック化反応条件に従って行うことができる。このとき、公知のウレタン化触媒を用いてもよい。
ブロックされたイソシアネート基量は、上記強度の観点から、0.1mmol/g〜5mmol/gが好ましく、特に0.3mmol/g〜4.7mmol/gが好ましい。
その反応系において、親水性基を含有させるためには、さらに親水性基含有化合物を反応させる。
また、ブロックイソシアネート化合物(A)の水分散体を得るためには、ブロックイソシアネート化合物(A)を製造した後、例えば、さらに必要に応じて界面活性剤とともに水を加え、その後、脱溶剤を行なえばよい。
本実施形態で用いるポリウレタン化合物(B)の製造方法は、特に限定されない。例えば、従来公知のポリオール化合物とポリイソシアネート化合物と反応させる方法を採用し得る。
これらポリオール化合物及びポリイソシアネート化合物は、イソシアネート基、水酸基、アミノ基に対して不活性な、有機溶剤にて任意の固形分に希釈されているほうが、撹拌効率などの観点から好ましい。
有機溶媒としては、前述した、ブロックイソシアネート化合物(A)の製造方法で用いられる有機溶媒が使用される。
これらの反応は、20〜100℃、好ましくは30〜90℃の通常のウレタン生成反応条件に従って行うことができる。このとき、公知のウレタン化触媒を用いてもよい。
本実施形態で用いる樹脂補強用混合物(X1)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)と、セルロース繊維(C)と、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)とを、公知の方法で混合する方法を採用し得る。
また、ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)と、セルロース繊維(C)と、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)と、水(F)とを公知の方法で混合する方法を採用し得る。
なお、水(F)は、前述したようにブロックイソシアネート化合物(A)水分散体またはポリウレタン化合物(B)水分散体として添加しても良いし、これとは別途、添加しても良い。
本実施形態の繊維強化樹脂(Y)の加熱混合工程においては、例えば、樹脂補強用混合物(X1)と熱可塑性樹脂(X2)とを、溶融混練することができる。
これらの配合量は、前述したように、調整すればよい。
また、樹脂補強用混合物(X1)と熱可塑性樹脂(X2)の他、前述したように、任意の添加剤を配合してもよい。
樹脂補強用混合物(X1)がブロックイソシアネート化合物(A)を含有する場合には、溶融混練する際の温度は、ブロックイソシアネート化合物(A)のブロック基が解離し、且つ、熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上であれば、特に限定されるものではない。例えば、その温度は、ブロック基の解離温度及び熱可塑性樹脂(X2)の融点等に応じて適宜設定できる。例えば、溶融混練する際の温度は、80〜250℃が好ましく、100〜230℃がより好ましく、120〜220℃がさらに好ましい。
また、溶融混練する際には、この分野で通常使用される装置を使用することができる。
樹脂補強用混合物(X1)がポリウレタン化合物(B)を含有する場合には、溶融混練する際の温度は、ポリウレタン化合物(B)同士が融着し、且つ、熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上であれば、特に限定されるものではない。例えば、その温度は、ポリウレタン化合物(B)の融着温度及び熱可塑性樹脂(X2)の融点等に応じて適宜設定できる。例えば、溶融混練する際の温度は、80〜250℃が好ましく、100〜230℃がより好ましく、120〜220℃がさらに好ましい。
また、溶融混練する際には、この分野で通常使用される装置を使用することができる。
上記のように、繊維強化樹脂混合物(X)が水(F)を含有している場合には、例えば、前述したように、ブロックイソシアネート化合物(A)の水分散体またはポリウレタン化合物(B)の水分散体と、セルロース繊維(C)と、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)とを混合し、この混合物を直接、または、この混合物を乾燥した後、熱可塑性樹脂(X2)と混合し、溶融混練することができる。
このように、ブロックイソシアネート化合物(A)の水分散体またはポリウレタン化合物(B)の水分散体を用いることによって、前述したように、セルロース繊維(C)を十分に分散させる分散媒として水(F)が作用し、これにより、熱可塑性樹脂(X2)中にセルロース繊維(C)をより均一に分散することができる。
また、溶融混練する際に、さらに水(F)と相溶性のある有機溶媒を加えても良い。かかる溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン(THF)、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のエーテル類のジメチル、ジエチル化物等のエーテル系溶媒等が挙げられる。
樹脂補強用混合物(X1)と、熱可塑性樹脂(X2)と、その他の成分とを混合する方法は、特に限定されない。例えば、混合方法として、ミキサー、ブレンダー、単軸スクリュー混練機、二軸スクリュー混練機、ニーダー、ラボプラストミル、ホモジナイザー、高速ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、遊星攪拌装置、3本ロール等の混合又は攪拌できる装置を用いて混合、攪拌する方法が挙げられる。
本実施形態の繊維強化樹脂(Y)は、公知慣用の樹脂成形体の成型方法を用いて、所望の形状の樹脂形成体に成型され得る。このような成型としては、例えば圧縮成型、射出成型、押出成型、発泡成形等が挙げられる。成型の条件は樹脂の成型条件を必要に応じて適宜調節して適応すればよい。
なお、繊維強化樹脂混合物(X)が水(F)を含有している場合には、成型に先立って、予め、繊維強化樹脂混合物(X)を乾燥することが好ましい。
このように乾燥することによって、得られる繊維強化樹脂(Y)中のセルロース繊維(C)の均一分散性が向上し、繊維強化樹脂(Y)が、強度等の物性に一層優れたものとなる。
繊維強化樹脂(Y)の硬化体の曲げ強度は、特に限定されない。例えば、繊維強化樹脂(Y)中にセルロース繊維(C)が10質量%含有されている場合には、60MPa以上であることが好ましく、62MPa以上であることが、より好ましい。例えば、繊維強化樹脂(Y)中にセルロース繊維(C)が20質量%含有されている場合には、67MPa以上であることが好ましく、69MPa以上であることが、より好ましい。
また、例えば、ブロックイソシアネート化合物(A)及びポリウレタン化合物(B)を含有していない繊維強化樹脂と比較して、曲げ強度が3%以上向上していることが好ましく、5%以上向上していることがより好ましい。
なお、かかる曲げ強度は、後述する実施例に記載の方法で測定された値である。
繊維強化樹脂(Y)の曲げ弾性率は、特に限定されない。例えば、繊維強化樹脂(Y)中にセルロース繊維(C)が20質量%含有されている場合には、2850MPa以上であることが好ましく、2900MPa以上であることが、より好ましい。
また、例えば、ブロックイソシアネート化合物(A)を含有していない繊維強化樹脂と比較して、曲げ弾性率が3%以上向上していることが好ましく、5%以上向上していることがより好ましい。
なお、かかる曲げ弾性率は、後述する実施例に記載の方法で測定された値である。
本発明の樹脂補強用混合物、繊維強化樹脂混合物、繊維強化樹脂、及びその製造方法によって得られる繊維強化樹脂の硬化体は、高強度かつ高弾性であるため、例えば、セルロース繊維の成型物、ミクロフィブリル化植物繊維含有樹脂成型物が使用されていた分野に加え、より高い機械強度(曲げ強度等)が要求される分野にも使用できる。例えば、自動車、電車、船舶、飛行機等の輸送機器の内装材、外装材、構造材等や、パソコン、テレビ、電話等の電化製品等の筺体、構造材、内部部品等、建築材、文具、OA機器等の事務機器等の筐体、スポーツ・レジャー用品、構造材として有効に使用できる。
本発明について、実施例および比較例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。なお、以下において、「部」、「%」は、特に明示した場合を除き、「質量部」、「質量%」をそれぞれ表す。
(ブロックイソシアネート化合物の製造)
(合成例1:ブロックイソシアネート化合物A−1)
撹拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、表1に示すように、下記の原料を加え、75℃で1時間反応させ、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。メチルエチルケトン溶液を40℃まで冷却し、メチルエチルケトンオキシム200質量部をブロック剤として反応させた後、アミノエチルスルホン酸ナトリウムの40%水溶液を325質量部加えて、不揮発分に対する遊離のイソシアネート基に親水性基を導入した。その後ホモジナイザーで撹拌しながら水2700質量部を徐々に加えて乳化分散させた。これを減圧下、50℃で脱溶剤を行い、ブロックイソシアネート化合物(A−1)を30質量%含有する水分散体を得た。
<使用原料>
・ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(ポリエーテルポリオール)
商品名「ニューポールBP−3P」(三洋化成社製、Mw=約400) 130質量部
・ポリメリックMDI
商品名「PAPI−27」(ダウ・ケミカル日本社製、イソシアネート基含有量32質量%) 540質量部
・メチルエチルケトン 300質量部
(合成例2:ブロックイソシアネート化合物A−2)
原料として、表1に示すように、下記を使用した。ブロック剤としてo−sec−ブチルフェノールを300質量部使用したこと、アミノエチルスルホン酸ナトリウムの40%水溶液の添加量を275質量部としたこと以外は全て、上記ブロックイソシアネート化合物(A−1)と同様の方法で行い、ブロックイソシアネート化合物(A−2)を30質量%含有する水分散体を得た。
<使用原料>
・ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(ポリエーテルポリオール)
商品名「ニューポールBPE−40」(三洋化成社製、Mw=約400) 110質量部
・ポリメリックMDI
商品名「PAPI−27」(ダウ・ケミカル日本社製、イソシアネート基含有量32質量%) 480質量部
・メチルエチルケトン 300質量部
(合成例3:ブロックイソシアネート化合物A−3)
原料として、表1に示すように、下記を使用した。ブロック剤として重亜硫酸ナトリウムの10%水溶液を1200質量部使用したこと、溶媒として酢酸エチルを300質量部使用したこと以外は全て、上記ブロックイソシアネート化合物(A−1)と同様の方法で行い、ブロックイソシアネート化合物(A−3)を30質量%含有する水性分散体を得た。
<使用原料>
・ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(ポリエーテルポリオール)
商品名「ニューポールBP−3P」(三洋化成社製、Mw=約400) 545質量部
・ヘキサメチレンジイソシアネート
商品名「デュラネート50M」(旭化成ケミカルズ製、イソシアネート基含有量50質量%) 335質量部
・酢酸エチル 300質量部
(ポリウレタン化合物の製造)
(合成例4:ポリウレタン化合物B−1)
撹拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、表1に示すように、下記の原料を加え、75℃で1時間反応させ、ポリウレタンのメチルエチルケトン溶液を得た。メチルエチルケトン溶液を40℃まで冷却し、水酸化ナトリウムの10%水溶液を100質量部加えて、ポリウレタン中のジメチロールプロピオン酸を中和した。その後ホモジナイザーで撹拌しながら水2700質量部を徐々に加えて乳化分散させた。これを減圧下、50℃で脱溶剤を行い、ポリウレタン化合物(B−1)を30質量%含有する水分散体を得た。
<使用原料>
・3−メチル−1,5−ペンタンジオール、アジピン酸、及びイソフタル酸からなるポリエステルポリオール
商品名「クラポールP−2012」(クラレ社製、Mw=約2000) 820質量部
・モノメリックMDI
商品名「ミリオネートMT、イソシアネート基含有量32質量%」(東ソー社製) 140質量部
・ジメチロールプロピオン酸 40質量部
・メチルエチルケトン 1000質量部
(製造例1〜4:繊維強化樹脂混合物および繊維強化樹脂(成型体)の製造)
表2に示す組成(使用原料と配合部)に従って、セルロース繊維(C)(針葉樹クラフトパルプ)に、ブロックイソシアネート化合物(A)と、水(F)とを添加し、さらに熱可塑性樹脂(X2−1)(PPパウダー)と熱可塑性樹脂(X2−2)(マレイン酸変性PP(MAPP))とを添加して、自動公転ミキサー(シンキー社製、商品名:泡取り練太郎)を用いて混合した。得られた混合物を、80℃で6時間乾燥させて、製造例1の繊維強化樹脂混合物(X)を得た。
得られた繊維強化樹脂混合物(X)に、さらに熱可塑性樹脂(X2−3)(PPペレット、融点 167℃)を混合し、二軸押出機(テクノベル社製、商品名:KZW15−60MG)によって溶融混練して、ペレット状の成型体を得た。二軸押出機のシリンダー温度を、上流側から140℃、150℃、160℃、170℃、170℃、170℃、170℃、170℃に設定した。
得られた成型体を、射出成型機(日精樹脂工業、NPX7)に投入し、厚さ4mm、幅10mm、長さ80mmの平板型の金型に注入し、製造例1の樹脂成型体(試験片)を得た(成型温度180℃〜185℃、金型温度30℃)。
また、表2に示す組成に従って、ブロックイソシアネート化合物(A)の種類を変更し、また、ブロックイソシアネート化合物(A)に代えてポリウレタン化合物(B)を用いること以外は製造例1と同様にして、製造例2〜4の繊維強化樹脂混合物(X)及び繊維強化樹脂(Y)の成型体(試験片)を得た。
結果を表2に示す。
(製造例5〜14:繊維強化樹脂混合物および繊維強化樹脂(成型体)の製造)
表2、3に示す組成(使用原料と配合部)に従って、セルロース繊維(C)(針葉樹クラフトパルプ)に、ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)と、水(F)と、さらに、アニオン性界面活性剤(D)またはシリコーン系若しくはアセチレン系のノニオン性界面活性剤(E)とを添加したこと以外は製造例1〜4と同様にして、製造例5〜14の繊維強化樹脂混合物(X)及び繊維強化樹脂(Y)の成形体(試験片)を作製した。
結果を表2、表3に示す。
(製造例15、16:繊維強化樹脂混合物および繊維強化樹脂(成型体)の製造)
表3に示す組成(使用原料と配合部)に従って、アニオン性界面活性剤(D)も、シリコーン系若しくはアセチレン系のノニオン性界面活性剤(E)も用いず、代わりに、高級アルコール系のノニオン性界面活性剤(G)を用いたこと以外は製造例5〜14と同様にして、製造例15、16の繊維強化樹脂混合物及び繊維強化樹脂の成型体(試験片)を得た。
結果を表3に示す。
(製造例17、18:繊維強化樹脂混合物および繊維強化樹脂(成型体)の製造)
表3に示す組成(使用原料と配合部)に従って、ブロックイソシアネート化合物(A)もポリウレタン化合物(B)も用いず、且つ、上記界面活性剤(D)、(E)、(G)も用いないこと以外は製造例1〜4と同様にして、製造例17の繊維強化樹脂混合物及び繊維強化樹脂の成型体(試験片)を得た。
また、表3に示す組成(使用原料と配合部)に従って、ブロックイソシアネート化合物(A)もポリウレタン化合物(B)も用いず、一方、上記界面活性剤(E)を用いること以外は製造例5〜14と同様にして、製造例18の繊維強化樹脂の成型体(試験片)を得た。
結果を表3に示す。
ブロックイソシアネート化合物中の親水性基の含有量、ブロック基の含有量、及び、芳香族環式構造の含有量については、下記のように測定した。
(親水性基の含有量の測定方法)
親水性基の含有量(mmol/g)を、ブロックイソシアネート化合物またはポリウレタン化合物の全質量に対する親水性基化合物のモル(仕込み量)の比として、下記計算式を用いて計算した。
親水性基含有量(mmol/g)={(親水性基化合物の仕込み量(g)/親水性基化合物の分子量)/ブロックイソシアネート化合物またはポリウレタン化合物の全質量(g)}×1000
なお、本実施例では、アミノエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロールプロピオン酸、重亜硫酸ナトリウムが、親水性基化合物に相当する。
(ブロック基の含有量の測定方法)
ブロック基の含有量(mmol/g)を、ブロックイソシアネート化合物の全質量に対するブロック剤のモル(仕込み量)の比として、下記計算式を用いて計算した。
ブロック基含有量(mmol/g)={(ブロック剤の仕込み量(g)/ブロック剤の分子量)/ブロックイソシアネート化合物(A)の全質量(g)}×1000
なお、本実施例では、メチルエチルケトンオキシム、o−sec−ブチルフェノール、重亜硫酸ナトリウムが、ブロック化剤に相当する。
また、化合物A−3を用いる製造例3、9では、重亜硫酸ナトリウムが、親水性基化合物とブロック化剤との双方に相当する。
(芳香族環式構造の含有量の測定方法)
芳香族環式構造の含有量(質量%)を、ブロックイソシアネート化合物またはポリウレタン化合物の全質量(g)に対する、これら化合物の製造に用いた原料中の芳香族環式構造(ベンゼン環:分子量78)の全質量(g)の比として、計算した。
本実施例では、具体的には、芳香族環式構造の含有量(質量%)を、ブロックイソシアネート化合物またはポリウレタン化合物の全質量に対する、ポリイソシアネート化合物中の芳香族環式構造(フェニル基)の質量と、ポリオール化合物中の芳香族環式構造の質量と、ブロック剤中の芳香族環式構造の質量との合計の比として、下記計算式を用いて計算した。なお、ポリウレタン化合物中のブロック剤の質量は0gとして計算した。
芳香族含有量(質量%)={(ポリイソシアネート化合物中の芳香族環式構造の質量(g)+ポリオール中の芳香族環式構造の質量(g)+ブロック剤中の芳香族環式構造の質量(g))/ブロックイソシアネート化合物の全質量(g)}×100
具体的には、例えばブロックイソシアネート化合物A−1では、ブロック剤が芳香族環式構造を有しないため、ポリイソシアネート化合物中の芳香族環式構造の質量(g)と、ポリオール化合物中の芳香族環式構造の質量(g)とを、下記のようにして計算した。
ポリイソシアネート化合物中の芳香族環式構造の質量(g)については、PAPI−27は、イソシアネート基を32質量%有し、また、PAPI−27においては、イソシアネート基のモル数と、ベンゼン環のモル数とは約等量であるため、下記式を用いて計算した。なお、フェニル基の分子量としてベンゼンの分子量(78)を用いた。また、ナフチル基の分子量としてナフタレンの分子量(128)を採用し得る。
イソシアネート化合物中の芳香族環式構造の質量(g)=(イソシアネート基のモル数)×(フェニル基としてのベンゼンの分子量78)=〔{イソシアネート化合物の仕込み量540(g)×(32(質量%)/100)}/42〕×78=320.9(g)
また、ポリオール化合物中の芳香族環式構造の質量(g)は、例えば、ニューポールBP−3Pは、芳香族環式構造を38質量%有するため、下記式を用いて計算した。
ポリオール化合物中の芳香族環式構造の質量=(ポリオール化合物の仕込み量(g))×(38(質量%)/100)=130×0.38=49.4(g)
よって、上記より、ブロックイソシアネート化合物A−1中の芳香族環式構造の含有量(質量%)は、{(320.9g+49.4g)/1000}×100=37.0%と計算される。
なお、ブロック剤が、芳香族環式構造を有する場合には、芳香族環式構造の質量(g)を、下記式を用いて計算したうえで、その結果を上記式に代入すればよい。
ブロック剤中の芳香族環式構造の質量(g)=ブロック剤の仕込み量(g)×(ブロック剤中の芳香族環式構造の比(質量%)/100)
(評価方法)
得られた試験片を用いて、下記方法により、評価を行った。
(曲げ強度、曲げ弾性率)
オートグラフ万能試験機(島津製作所製、ロードセル100kg)を用いて、試験速度10mm/min、支点間距離64mmで、JIS K 7017(繊維強化プラスチック−曲げ特性の求め方)に準じて、測定した。
(平均粒子径測定方法)
得られた水分散体におけるブロックイソシアネート化合物及びポリウレタン化合物の平均粒子径については、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装社製)を用いて測定した。
Figure 2017218550
Figure 2017218550
Figure 2017218550
<評価結果>
表1〜3より、ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)と、セルロース繊維(C)と、アニオン性界面活性剤(D)、または、シリコーン系若しくはアセチレン系のノニオン性界面活性剤(E)とを含有する製造例5〜14は、界面活性剤(D)、(E)、(G)を含有しない製造例1〜4よりも、曲げ強度及び曲げ弾性率が高いことが分かった。
また、製造例5〜14は、高級アルコール系のノニオン性界面活性剤(G)を含有する製造例15、16よりも、曲げ強度及び曲げ弾性率が高いことが分かった。
さらに、製造例5〜14は、ブロックイソシアネート化合物(A)も、ポリウレタン化合物(B)も、上記界面活性剤(D)、(E)、(G)も含有しない製造例17(すなわち、セルロース繊維(C)のみを含有する試料)よりも、曲げ強度及び曲げ弾性率が高いことが分かった。
加えて、製造例5〜14は、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)を含有するものの、ブロックイソシアネート化合物(A)もポリウレタン化合物(B)も含有しない製造例18よりも、曲げ強度及び曲げ弾性率が高いことが分かった。
これらの結果、製造例5〜14は、ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)と、セルロース繊維(C)と、上記界面活性剤(D)または界面活性剤(E)とを含有することによって、高い曲げ強度及び曲げ弾性率を奏し、しかも、この効果が相乗的なものであることが分かった。

Claims (10)

  1. ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)と、
    セルロース繊維(C)と、
    アニオン性界面活性剤(D)、または、シリコーン系若しくはアセチレン系のノニオン性界面活性剤(E)とを含有する、樹脂補強用混合物(X1)。
  2. 前記ブロックイソシアネート化合物(A)または前記ポリウレタン化合物(B)が、親水性基を有する、請求項1に記載の樹脂補強用混合物(X1)。
  3. さらに水(F)を含有する、請求項1または2に記載の樹脂補強用混合物(X1)。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂補強用混合物(X1)と、熱可塑性樹脂(X2)とを含有する、繊維強化樹脂混合物(X)。
  5. 請求項3に記載の樹脂補強用混合物(X1)と、熱可塑性樹脂(X2)とが混合されて、乾燥されてなる、繊維強化樹脂混合物(X)。
  6. 請求項4または5に記載の繊維強化樹脂混合物(X)が、前記熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上に加熱され、且つ、混合されてなる、繊維強化樹脂(Y)。
  7. ブロックイソシアネート化合物(A)またはポリウレタン化合物(B)と、セルロース繊維(C)と、アニオン性界面活性剤(D)、または、シリコーン系若しくはアセチレン系のノニオン性界面活性剤(E)と、熱可塑性樹脂(X2)とを含有する繊維強化樹脂混合物(X)を、前記熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上に加熱し、且つ、混合する工程を備えた、繊維強化樹脂(Y)の製造方法。
  8. 前記繊維強化樹脂混合物(X)が、前記ブロックイソシアネート化合物(A)を含有し、
    前記繊維強化樹脂混合物(X)を、前記ブロックイソシアネート化合物(A)のブロック基が解離しつつ前記熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上に加熱し、且つ、混合する工程を備えた、請求項7に記載の繊維強化樹脂(Y)の製造方法。
  9. 前記繊維強化樹脂混合物(X)が、前記ポリウレタン化合物(B)を含有し、
    前記繊維強化樹脂混合物(X)を、前記ポリウレタン化合物(B)同士が融着しつつ前記熱可塑性樹脂(X2)が溶融する温度以上に加熱し、且つ、混合する工程を備えた、請求項7に記載の繊維強化樹脂(Y)の製造方法。
  10. 前記繊維強化樹脂混合物(X)が、さらに水(F)を含有する、請求項7〜9のいずれかに記載の繊維強化樹脂(Y)の製造方法。
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