第1の実施の形態.
<全体構成>
図1は無線通信システムの概念的な構成の一例を示している。無線通信システムは外部装置の一例たる基地局2と、無線装置(例えば携帯無線端末)1とを有している。携帯無線端末1は使用者によって操作される。携帯無線端末1は基地局2と無線通信を行なうことができる。携帯無線端末1は送信信号Tx1を基地局2へと送信し、基地局2はこれを受信信号Rx2として受信する。また基地局2は送信信号Tx2を携帯無線端末1へと送信し、携帯無線端末1はこれを受信信号Rx1として受信する。
携帯無線端末1は例えばスマートフォン等の携帯電話機、あるいはPDA(Personal Data Assistance)、タブレット端末等の携帯情報端末である。基地局2は、上位のネットワーク(電話網またはインターネット網など)或いは他の基地局と、携帯無線端末1との通信を中継する。これにより、基地局2は異なる携帯無線端末1同士の通信も中継することができる。
<基地局>
基地局2は、無線通信部210と、制御部21とを備えている。無線通信部210はアンテナ211を備えている。無線通信部210はアンテナ211を介して携帯無線端末1へと送信信号Tx2を送信し、またアンテナ211を介して携帯無線端末1から受信信号Rx2を受信する。
制御部21は基地局2の全体を制御する。制御部21は例えばCPU等の演算処理装置と、メモリ等の記憶部とを備えている。記憶部には、基地局2を制御するプログラムが格納されており、演算処理装置がプログラムを実行することにより、基地局2を制御する。
例えば制御部21は送信信号Tx2を生成し、無線通信部210およびアンテナ211を介して携帯無線端末1へと送信信号Tx2を送信する。また制御部21は、アンテナ211および無線通信部210を介して受け取った受信信号Rx2を解析し、その内容に応じた制御を実行する。
また図1に示すように、制御部21は受信レベル測定部22と受信レベル判定部23と送信レベル増大要求部24とを備える。なおこれらの機能は、制御部21のプログラムの実行によって形成されてもよく、あるいは、これらの一部または全部をハードウェアで形成しても構わない。
図2は制御部21の動作の一例を示す図である。ステップS1にて、受信レベル測定部22は受信信号Rx2を入力し、その受信レベル(電力値)を測定する。次にステップS2にて、受信レベル判定部23は受信レベルが基準値よりも大きいか否かを判定する。この判定は周知の比較器を用いて行なうことができる。この基準値としては、受信信号Rx2を解析するのに必要な受信レベルの値(受信感度)が採用される。よって受信レベルが基準値よりも小さいときには、適切な解析を行なうことが難しい。
そこでステップS2にて受信レベルが基準値よりも小さいと判定されたときには、ステップS3にて、送信レベル増大要求部24は、送信信号Tx1の送信レベルの増大を携帯無線端末1に要求する。より具体的には、送信レベルの増大を要求する要求信号を送信信号Tx2に含めた上で、これを、アンテナ211および無線通信部210を介して携帯無線端末1に送信する。この要求信号には、送信レベルの増大量を含めても良い。
なお以下では、所定の信号を送信信号Tx2に含め、アンテナ211および無線通信部210を介して送信信号Tx2を送信することを、単に信号を送信する、とも表現する。同様に受信信号Rx2に含まれた所定の信号を、アンテナ211および無線通信部210を介して受信することを、単に信号を受信する、とも表現する。携帯無線端末1においても同様である。
携帯無線端末1がこの要求信号を受信すると、当該要求信号に応じて送信信号Tx1の送信レベル(電力値)を増大させる。要求信号に増大量が含まれている場合には、その増大量の分、送信レベルを増大させる。より大きい送信レベルで送信信号Tx1が送信されるので、基地局2で受信する受信信号Rx2の受信レベルも増大する。よって、適切な受信レベルで受信信号Rx2を受信することができる。
他方、ステップS2にて受信レベルが基準値よりも大きいときには、ステップS3を行なわずに処理を終了する。つまり、既に受信レベルが十分であるときには、要求信号を送信しない。大きい送信レベルでの送信信号Tx1の送信によって消費電力が増大するところ、これにより、携帯無線端末1における消費電力の増大を回避しているのである。
<携帯無線端末>
図3は、携帯無線端末1の電気的構成の一例を概略的に示すブロック図である。図3に示されるように、携帯無線端末1には、制御部10、無線通信部110、表示装置20、タッチパネル30、LED表示部40、操作キー50、電池60、充電検出部70、電荷量検出部78、充電部80、マイク150、前面側撮像部160、裏面側撮像部170、スピーカー180、圧電振動素子190および近接無線通信部90が設けられている。携帯無線端末1に設けられた、これらの構成要素は、携帯無線端末1の筐体内に収められている。
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)101、DSP(Digital Signal Processor)102および記憶部103等を備えている。制御部10は、携帯無線端末1の他の構成要素を制御することによって、携帯無線端末1の動作を統括的に管理する。記憶部103は、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等で構成されている。記憶部103には、携帯無線端末1を制御するための、具体的には携帯無線端末1が備える無線通信部110、表示装置20等の各構成要素を制御するための制御プログラムであるメインプログラムおよび複数のアプリケーションプログラム(例えば通話、電子メールおよびインターネットなどのプログラム)等が記憶されている。制御部10の各種機能は、CPU101およびDSP102が記憶部103内の各種プログラムを実行することによって実現される。
無線通信部110は、アンテナ111を有している。無線通信部110は、携帯無線端末1とは別の携帯無線端末あるいはインターネットに接続されたウェブ基地局等の通信装置との通信信号の送受信を、基地局2を介してアンテナ111を用いて行う。
近接無線通信部90は、アンテナ91を有している。近接無線通信部90は、無線通信部110の通信対象(基地局2)に比べて近い位置に存在する通信端末との通信を行なう。近接無線通信部90は、例えばBLUETOOTH(登録商標)規格などに則って通信を行なう。
この近接無線通信の利用方法としては、例えばヘッドセット4(図1)を用いて通話を行なう方法が挙げられる。携帯無線端末1は近接無線通信部90およびアンテナ91を介してヘッドセット4と通信する。
ヘッドセット4は、イヤホン、マイク、操作部および近接無線通信部を備え、使用者に装着可能である。携帯無線端末1は、通話相手の携帯無線端末1から音声信号を、基地局2を介して受信し、これをヘッドセット4へと送信する。ヘッドセット4はこの音声信号をイヤホンで音に変換して出力する。使用者が発した音声はヘッドセット4のマイクによって音声信号に変換されて、これが携帯無線端末1へと送信される。携帯無線端末1はこの音声信号を、基地局2を介して通話相手の携帯無線端末へと送信する。また使用者がヘッドセット4の操作部を介して通話の応答または終了を入力すると、これらの情報が携帯無線端末1へと送信される。このようにして使用者はヘッドセット4を用いて通話を行なうことができる。またヘッドセット4は使用者に装着されるので、携帯無線端末1およびヘッドセット4を把持する必要がなく、両手を自由にすることができる。
表示装置20は、例えば、液晶ディスプレイあるいは有機ELディスプレイである。表示装置20によって表示された各種情報は、携帯無線端末1の表示領域を通じて外部から視認される。
タッチパネル30は、例えば、投影型静電容量方式のタッチパネルであり、表示装置20に対向して配置される。タッチパネル30は、互いに対向配置されたシート状の二つの電極センサを備えている。使用者が指等の操作子で表示領域に対して接触すると、タッチパネル30における、当該操作子と対向する部分の静電容量が変化する。そして、タッチパネル30は、静電容量の変化に応じた電気的な信号を制御部10に出力する。このように、タッチパネル30は、操作子の表示領域に対する接触を検出することができる。
操作キー50は、押下されることで、電気的な指示信号を制御部10に出力する。操作キー50およびタッチパネル30はいずれも携帯無線端末1への操作を受け付けるという点で共通する。
スピーカー180は、制御部10から入力される電気的な音信号を音に変換して出力することで、携帯無線端末1から離れた場所に存在する使用者に着信音などを提供する。
マイク150および圧電振動素子190は例えば通話に用いられる。この通話は上述したヘッドセット4を用いた通話とは異なる態様の通話である。ここでは、使用者はマイク150を口元に、圧電振動素子190を耳元にそれぞれ近接させて通話を行う。マイク150には、通話等の際に使用者の音声等が入力され、入力された音声等を電気的な信号に変換して制御部10に出力する。
圧電振動素子190は、制御部10から与えられる駆動電圧によって振動させられる。制御部10は、音信号に基づいて駆動電圧を生成し、当該駆動電圧を圧電振動素子190に与える。圧電振動素子190が、制御部10によって音信号に基づいて振動させられることによって、携帯無線端末1(より詳細には、使用者の耳が近接される表面)が音信号に基づいて振動する。その結果、使用者に受話音が伝達される。この受話音の音量は、使用者が耳を携帯無線端末1に近づけた際に適切に聞こえる程度の音量となっている。
図3の例示では、使用者への受話音の伝達のために圧電振動素子190を採用しているものの、圧電振動素子190の代わりに、例えば、制御部10からの電気的な音信号を音に変換して出力するダイナミックスピーカーを採用してもよい。ダイナミックスピーカーを採用する場合には、携帯無線端末1にレシーバ穴が設けられる。ダイナミックスピーカーから出力される音は、レシーバ穴から外部に出力される。レシーバ穴から出力される音の音量は、スピーカー180から出力される音の音量よりも小さくなっている。
LED表示部40は発光素子(例えばLED:発光ダイオード)を有しており、その発光が制御部10によって制御される。LED表示部40は、例えば後述する電池60の充電を行っているとき、あるいは、未応答の着信もしくは未読の電子メールがあるときに、これを使用者に報知すべく発光する。
前面側撮像部160および裏面側撮像部170は、静止画像および動画像を撮像する。裏面側撮像部170は携帯無線端末1の裏面側に設けられる。
電池60はいわゆるバッテリーであり、携帯無線端末1の動作電源として機能する。電池60は、携帯無線端末1において電源を必要とする各部(図3に例示する各部)へと直流電源を供給する。
電荷量検出部78は電池60に蓄積された電荷量を検出し、これを制御部10へと出力する。制御部10は例えば電池60の電荷量(バッテリー残量)を表示装置20に表示する。
充電部80は外部の充電器から電力を受け取り、これを用いて電池60を充電する。より具体的には充電部80は非接触充電部82と充電用コネクタ(接続部)84とを有している。非接触充電部82および充電用コネクタ84は後に述べるように、それぞれ非接触充電器および接触充電器から電力を受け取り、それぞれ電池60を充電することができる。制御部10は非接触充電部82および充電用コネクタ84の一方を選択し、選択した一方が電池60を充電する。
充電検出部70は充電部80が充電器から電力を受け取っているか否かを検出する。より具体的には、非接触充電部82が非接触充電器から電力を受け取っているか否か、および、充電用コネクタ84が接触充電器から電力を受け取っているか否かを検出する。その検出結果は制御部10に入力される。
制御部10は充電検出部70の検出結果に応じて、非接触充電部82および充電用コネクタ84の一方を選択して、これを用いて電池60を充電する。
<充電>
以下では、図4および図5を用いて、非接触充電部82による電池60の充電を説明し、図6を用いて充電部80および充電検出部70の内部構成の具体的な一例を説明する。
図4では、携帯無線端末1と非接触充電器8との一例が斜視図で示されている。携帯無線端末1は例えば平板状の形状を有している。またその前面には表示領域2aが形成されている。
非接触充電部82は充電用コイル82aを備えている。充電用コイル82aは所定の巻回軸の周りを巻回する導線を有しており、その巻回軸が表示領域2aに略直交する姿勢で配置されている。
非接触充電器8は例えば略平板状の形状を有しており、その内部に充電器側コイル8aを備えている。充電器側コイル8aは所定の巻回軸の周りを巻回する導線を有しており、その巻回軸が非接触充電器8の主面に略直交する姿勢で配置される。非接触充電器8は不図示の電源に接続されており、当該電源を用いて充電器側コイル8aに電流(例えば交流電流)を流すことができる。これにより、充電器側コイル8aは磁界(例えば交番磁界)を発生する。
使用者は、充電用コイル82aを充電器側コイル8aに対向させるように、携帯無線端末1を非接触充電器8の主面の上に載置する。図5は携帯無線端末1を非接触充電器8の主面に載置したときのこれらの断面の一例を概念的に示している。この状態において、充電器側コイル8aから発生した磁束は充電用コイル82aに鎖交する。これにより、充電用コイル82aには誘導起電力が発生する。つまり、充電用コイル82aは充電器側コイル8aからの磁界を受けたときに、誘導起電力を発生させる。この誘導起電力は交流電圧である。非接触充電部82は後に述べるように、当該誘導起電力を整流して電池60を充電する。
以上のように、非接触充電部82は非接触充電器8との磁気的な接続により電力を受け取って電池60を充電する。つまりこの充電では、携帯無線端末1と非接触充電器8との電気的な接続を必要としない。よって、このような充電方法は非接触充電またはワイヤレス充電と呼ばれる。或いは電磁誘導を用いて充電が行なわれることから、この充電方法は電磁誘導充電とも呼ばれる。
充電用コイル82aが充電器側コイル8aから受け取る電力の効率(伝送効率)を向上させるために、非接触充電部82は磁性シート(不図示)を備えていても良い。なおここでいう伝送効率は、充電器側コイル8aの電力に対する充電用コイル82aの電力の比である。磁性シートは空気よりも高い透磁率を有する材料によって形成される。充電用コイル82aは、その巻回軸が当該磁性シートに略直交する姿勢で、当該磁性シートの一方の面に設けられる。磁性シートの透磁率は高いので、磁束の量を増大することができる。ひいては充電用コイル82aの誘導起電力を増大できる。逆にいえば、充電用コイル82aで必要な電圧を発生させるのに要する充電器側コイル8aの電力を低減できる。なお磁性シートを設けることで、充電用コイル82aを通る磁束が外側に漏れることも抑制できる。
図5の例示では、携帯無線端末1の裏面3bを非接触充電器8に向けて、携帯無線端末1を非接触充電器8に載置する。よって図4の例示では、充電用コイル82aを、携帯無線端末1の筐体3の裏面3b側の部分に貼り付けている。これにより、充電用コイル82aを充電器側コイル8aに近づけることができる。このように充電用コイル82aと充電器側コイル8aとの間の距離を短縮することで、充電用コイル82aに有効に鎖交する磁束の量を向上できる。したがって充電用コイル82aの誘導起電力の大きさを向上でき、ひいては伝送効率を向上することができる。
また、平面視において、充電用コイル82aの中心Q1および充電器側コイル8aの中心Q2がずれていれば、そのズレ量(距離)に応じて、充電用コイル82aに有効に鎖交する磁束の量が低減する。つまり、この距離が長いほど、充電用コイル82aに発生する誘導起電力が低減するのである。これにより、伝送効率が低減する。よって、使用者は、平面視において、充電用コイル82aの中心Q1と充電器側コイル8aの中心Q2との間の距離が短くなるように、携帯無線端末1を載置することが望ましい。
なお図4の例示では、充電用コネクタ84も図示されている。充電用コネクタ84は携帯無線端末1の例えば側面に設けられている。この充電用コネクタ84には接触充電器(不図示)が電気的に接続されて、接触充電器から直流電圧が印加される。接触充電器はAC−DCアダプタを有している。AC−DCアダプタは外部から交流電圧を受け取り、これを適切な直流電圧に変換し、当該直流電圧を充電用コネクタ84に印加する。
図6は充電部80と充電検出部70との具体的な内部構成の一例を示すブロック図である。充電部80は例えば、充電用コネクタ84と、非接触充電部82と、選択部86と、電流調整部88とを備えている。非接触充電部82は充電用コイル82aと整流部82bと電圧調整部82cとを備えている。充電用コイル82aは上述のように非接触充電器8からの磁界を受けて誘導起電力を発生させる。充電用コイル82aからの誘導起電力(交流電圧)は整流部82bに入力される。整流部82bは誘導起電力を整流し、整流後の直流電圧を電圧調整部82cに入力する。電圧調整部82cは例えば定電圧回路であり、安定した直流電圧を出力する。
選択部86は制御部10の制御を受けて、充電用コネクタ84からの電圧および充電用コイル82aからの誘導起電力の一方を選択し、当該一方を用いて電池60を充電する。例えば選択部86はスイッチであり、充電用コネクタ84の電圧および非接触充電部82の出力電圧の一方を選択し、この一方を電流調整部88に入力する。
電流調整部88の出力は電池60に接続されている。電流調整部88は出力電流を調整して出力する。
充電検出部70は例えば電圧検出部72,74を備えている。電圧検出部72は非接触充電部82の出力電圧を検出して、その検出結果を制御部10へと出力する。電圧検出部74は充電用コネクタ84の電圧を検出して、その検出結果を制御部10へと出力する。非接触充電部82の出力電圧が電圧基準値よりも大きいときには、非接触充電部82が非接触充電器8から電力を受け取っていると判定でき、同様に、充電用コネクタ84の電圧が電圧基準値よりも大きいときには、充電用コネクタ84が接触充電器から電力を受け取っていると判定できる。
制御部10は判定部14とスイッチ制御部15とを備えている。判定部14およびスイッチ制御部15は制御部10によるプログラムの実行によって形成されてもよく、あるいは、その一部または全部がハードウェアで形成されてもよい。なお制御部10に備わる、後述する各種機能についても同様であるので、以下においては繰り返しの説明を避ける。
判定部14は、非接触充電部82および充電用コネクタ84の出力電圧がそれぞれ電圧基準値よりも大きいか否かを判定する。スイッチ制御部15はその判定結果に応じて選択部86を制御する。具体的には、充電用コネクタ84の電圧が電圧基準値よりも大きく、非接触充電部82の出力電圧が電圧基準値よりも小さい場合には、制御部10は選択部86を制御して、充電用コネクタ84の電圧を電流調整部88へ入力する。つまりこの場合には、非接触充電器8が用いられておらず、接触充電器からの電圧が充電用コネクタ84に入力されているので、充電用コネクタ84の電圧を用いて電池60を充電するのである。
一方で、充電用コネクタ84の電圧が電圧基準値よりも小さく、非接触充電部82の出力電圧が電圧基準値よりも大きい場合には、制御部10は選択部86を制御して、非接触充電部82の出力電圧を電流調整部88へ入力する。つまりこの場合には、接触充電器が用いられておらず、非接触充電器8の上に携帯無線端末1が載置されているので、充電用コイル82aの誘導起電力を用いて電池60を充電するのである。
充電用コネクタ84の電圧および非接触充電部82の出力電圧の両方が電圧基準値よりも大きい場合には、制御部10は選択部86を制御して、例えば充電用コネクタ84の電圧を用いて電池60を充電する。つまり接触充電器および非接触充電器8の両方が用いられている場合には、例えば接触充電器を優先的に採用するのである。
なお非接触充電部82は非接触充電器8と近接無線通信を行なうことができる。この通信により、非接触充電器8は携帯無線端末1が載置したこと、および、携帯無線端末1が離れたことを了知することができる。また携帯無線端末1が非接触充電器8の上に載置された状態で、接触充電器が充電用コネクタ84に接続されているときには、非接触充電部82は非接触充電を終了するための信号を非接触充電器8に送信してもよい。これを受け取った非接触充電器8は、充電器側コイル8aへの交流電圧の印加を終了する。これにより、非接触充電器8における不要な電力の消費を回避できる。
<基地局との通信>
制御部10は送信信号Tx1を生成し、無線通信部110およびアンテナ111を介して送信信号Tx1を基地局2へと送信する。また制御部10はアンテナ111および無線通信部110を介して受信信号Rx1を受信し、これを解析する。制御部10は受信信号Rx1の内容に応じて携帯無線端末1を制御する。
また制御部10は、図7に例示するように、判定部14と受信レベル測定部11と送信レベル決定部12と最大値設定部13と受信確認処理部17とを備えている。判定部14は上述の通りである。
受信レベル測定部11は受信信号Rx1を入力し、その受信レベルを測定する。送信レベル決定部12は受信信号Rx1の受信レベルに基づいて、送信信号Tx1の送信レベルの初期値を決定する。より具体的には、受信信号Rx1の受信レベルが小さいほど、送信信号Tx1の送信レベルの初期値をより大きく決定する。これは以下の理由に依る。
即ち、受信信号Rx1の受信レベルが小さいことは、基地局2で送信された送信信号Tx2が携帯無線端末1に届くまでに、大きな電力を失ったことを意味する。よってこの通信状態において、携帯無線端末1が送信信号Tx1を基地局2へと適切に届かせるためには、より大きい送信レベルで送信する必要がある。したがって、送信レベル決定部12は受信信号Rx1の受信レベルが小さいほど、送信信号Tx1の送信レベルの初期値を大きく決定しているのである。
逆にいえば、受信信号Rx1の受信レベルが大きいときには、送信レベルが小さくても、送信信号Tx1を基地局2へと適切に届かせることができる。よって受信レベルが大きいほど送信レベルの初期値を小さく決定することで、不要な送信レベルでの送信信号Tx1の送信を回避でき、携帯無線端末1の消費電力を低減しているのである。
表1は、受信信号Rx1の受信レベルと、送信信号Tx1の送信レベルの初期値との対応関係の一例を示している。表1において、受信レベルが大きいほど送信レベルの初期値が小さい。
このテーブルは記憶部(例えば記憶部103)に予め記憶されていても良い。送信レベル決定部12は、記憶部に格納されたテーブルと、受信レベル測定部11によって測定された受信レベルとに基づいて、送信レベルの初期値を決定する。なおこのテーブルにおいて受信レベルの値が存在しない領域では、適宜に補間処理を行なって送信レベルの初期値を決定すればよい。
一方で上述のように、基地局2から要求信号(送信レベルの増大を要求する信号)PR1が送信されることがある。送信レベル決定部12は要求信号PR1に応じて送信レベルを増大させる。図8は基地局2からの要求信号PR1に応じた送信レベルの決定動作の一例を示すフローチャートである。
図8に示すように、まずステップS10において、制御部10は要求信号PR1を受信したか否かを判定する。要求信号PR1を受信していないと判定したときには、ステップS10を再び実行する。ステップS10にて要求信号PR1が含まれていると判定したときには、ステップS11において、送信レベル決定部12はこの要求信号PR1に応じて送信レベルを増大させる。例えば表1において、受信信号Rx1の受信レベルが−97[dBm]であるときには初期的には送信信号Tx1の送信レベルを17[dBm]に決定するところ、要求信号PR1を受信した場合には、これに応じて送信レベルを例えば1[dBm]だけ増大させる。或いは、もし送信レベルの増大量についての情報が要求信号PR1に含まれている場合には、送信レベル決定部12はその増大量の分、送信レベルを増大させる。
次に、ステップS12において、送信レベル決定部12は増大した送信レベルが最大値を超えているか否かを判定する。送信レベルが最大値を超えているときには、ステップS13において、送信レベル決定部12は送信レベルを最大値に制限し、処理を終了する。ステップS12において送信レベルが最大値以下であるときには、そのまま処理を終了する。
つまり、送信レベル決定部12は、送信レベルが最大値以下となる範囲内で、要求信号PR1に応じて送信レベルを増大させるのである。
最大値設定部13は送信レベルの最大値を設定する。より具体的には、非接触充電が行われているか否かに基づいて、送信レベルの最大値を設定する。非接触充電が行われているか否かは、判定部14の判定結果に基づいて判定される。
非接触充電が行われていないときには、送信レベルの最大値を次のように設定する。すなわち、表1を参照して、受信レベルの最小値に対応する送信レベルの初期値以上の値に最大値を設定する。表1の例示では、受信レベルの最小値を−104[dBm]に設定しており、このとき送信レベルの初期値は24[dBm]である。よって非接触充電が行われていないときの最大値はこの24[dBm]以上に設定される。
図9は最大値設定部13の動作の一例を示すフローチャートである。ステップS20において、最大値設定部13は、非接触充電が行われているか否かを判定する。非接触充電が行われていないと判定したときには、ステップS20を再び実行する。ステップS20にて非接触充電が行われていると判定したときには、ステップS21にて、最大値設定部13は送信レベルの最大値を低減して設定する。つまり非接触充電時の送信レベルの最大値として、非接触充電が行われていないときの送信レベルの最大値よりも小さい値を採用する。例えば最大値設定部13は送信レベルの最大値を21[dBm]に設定する。
次にステップS22において最大値設定部13は非接触充電が終了したか否かを判定する。この判定も、判定部14の判定結果に基づいて行なうことができる。非接触充電が終了していないと判定したときには、再びステップS22を実行する。非接触充電が終了したと判定したときには、ステップS23において最大値設定部13は送信レベルの最大値を元の値(例えば24[dBm])に戻す。
以上のように、最大値設定部13は、非接触充電が行われているときの送信レベルの最大値を、非接触充電が行われていないときの送信レベルの最大値よりも小さく設定する。この技術的な意義を述べるに際して、まず非接触充電中の通信の一例について述べる。
<非接触充電における受信確認動作>
例えば制御部10は、受信確認処理部17を備えている(図7参照)。受信確認処理部17は、基地局2からの通信があるか無いかを確認する受信確認動作を、所定時間(例えば5秒)毎に行なう。つまり受信確認動作を間欠的に繰り返し行なう。所定期間の計時は周知のタイマー回路を用いて行なうことができる。この受信確認動作は、電池60を充電するときにも行われる。よって非接触充電中においても、受信確認動作が行なわれる。
受信確認動作は携帯無線端末1と基地局2との間のルールに則って行なわれればよいものの、例えば次のように行なってよい。すなわち、受信確認処理部17は確認信号を送信し、この確認信号を受け取った基地局2は、携帯無線端末1へと送信すべき信号(例えば他の携帯無線端末1からの通話用の着信信号、電子メールなど)があるか否かを確認し、その確認結果を送信する。受信確認処理部17は確認結果を受け取ると、当該確認結果に応じた制御を行なう機能部へとその旨を通知する。例えば、通話相手の携帯無線端末1からの通話用の着信信号を受け取ると、通話処理部(後述)へとこれを通知する。通話処理部は基地局2に対して当該着信信号を受け取ったことを送信するとともに、使用者に対して着信を報知する。例えばスピーカー180からの着信音などにより使用者に報知する。
以上のように、携帯無線端末1は非接触充電中においても基地局2と通信を行なう。
<非接触充電時の受信感度>
非接触充電が行われるときには、上述のように非接触充電器8の充電器側コイル8aに交流電圧が印加されて交流電流が流れる。よって非接触充電器8は電波CW1を生じさせることとなる。この電波CW1は、例えば充電器側コイル8aに流れる交流電流の周波数を基本波成分とした電磁波であり、高次の周波数成分を含む。
電波CW1が、送信信号Tx1の周波数と受信信号Rx1の周波数との差とほぼ一致する周波数成分を含む場合、この周波数成分と送信信号Tx1との相互変調歪みにより、受信信号Rx1に対する妨害波が生じる。
例えば送信信号Tx1および受信信号Rx1の周波数帯域が1900MHz帯(送信帯域が1851.25〜1908.75[MHz]、受信帯域が1931.25-1988.75[MHz])であり、充電器側コイル8aの交流電圧の周波数が例えば200[kHz]である場合について考慮する。この周波数帯域は例えばCDMA(Code Division Multiple Access)2000によって規定されている。
非接触充電器8は、例えば200[kHz]を基本波成分とした電波CW1を発生させ、その高次の周波数成分として、80[MHz]の周波数成分を含む。1900MHz帯域において、送信信号Tx1と受信信号Rx1と周波数の差は約80[MHz]であるので、このとき、受信信号Rx1に対する妨害波が生じる。これにより、携帯無線端末1の受信感度は劣化する。
なおここでいう受信感度とは、受信信号Rx1を適切に解析するために必要な受信レベルである。例えば受信信号のビットエラーレートが基準値(例えば0.5%)となるときの受信レベルである。受信信号Rx1の解析に必要な受信レベルが小さいほど、受信信号Rx1を受信しやすいので、このとき、受信感度は優れていることとなる。
<送信レベルの最大値>
さて、通信を行う際には、基地局2は携帯無線端末1へと送信レベルの増大を要求することがある。これは既に述べたとおりであり、非接触充電中であっても通信の際に行われることがある。よって非接触充電中に、送信レベル決定部12が基地局2からの要求信号PR1に応じて送信レベルを増大させることがある。この場合、送信レベルの増大に応じて携帯無線端末1の受信感度が劣化する。ある程度まで受信感度が劣化すると、携帯無線端末1は基地局2からの受信信号Rx1を適切に受信(解析)できなくなり得る。
例えば表1によれば、受信信号Rx1の受信レベルが−99[dBm]であるとき、送信信号Tx1の送信レベルの初期値は19[dBm]に決定される。ここで、一例として、このときの受信感度が例えば−101[dBm]である場合を想定する。この状況では、受信信号Rx1の受信レベル(−99[dBm])が受信感度(−101[dBm])よりも大きいので、受信信号Rx1を適切に解析できる。
そして、基地局2が要求信号PR1を送信すると、送信レベル決定部12は送信レベルを19[dBm]よりも大きい値に決定する。これにより、受信感度が劣化する。もし、この送信レベルの増大に伴って受信感度が−99[dBm]を超えると、受信信号Rx1を適切に解析できなくなる。つまり、送信レベルの増大によってある程度の受信感度の劣化は許容できるものの、必要な受信感度よりも劣化することは避けたい。
そこで、非接触充電中の送信レベルの最大値を、非接触充電が行われていないときの送信レベルの最大値よりも小さく設定するのである。これにより、受信感度がある程度以上に劣化することを回避できる。よって受信感度が受信レベルを超える可能性を低減でき、ひいては受信信号Rx1の適切な受信(解析)に資するのである。
以下に、より詳細な一例を説明する。非接触充電が行われていないときの送信レベルの最大値は、例えば受信レベルが最小となるときの送信レベル(24[dBm])以上であり、ここでは24[dBm]であると仮定する(表1)。
以下に、より詳細な一例を説明する。非接触充電が行われていないときの送信レベルの最大値は、例えば受信レベルが最小となるときの送信レベル(24[dBm])以上であり、ここでは24[dBm]である(表1)。
さて、非接触充電が行われると受信感度は劣化する。しかも送信レベルが増大するほど受信感度が劣化する。図10は、表1の関係(受信レベルと送信レベルの初期値との関係)、および、非接触充電中の送信レベルと受信感度との関係の一例を模式的に示す図である。グラフG1は前者の関係を示し、グラフG2は後者の関係を示す。図10では、横軸が送信レベルを表し、縦軸が受信感度および受信レベルを表している。
図10の例示では、非接触充電中において、送信レベルが21[dBm]のときに受信感度が−98[dBm]である(点P3)。なお図10では図示されないが、送信レベルがほぼ零であるときの受信感度(つまり受信感度の最小値)は、表1の受信レベルの最小値(−104[dBm])よりも大きく、例えば−102[dBm]である。また表1の受信レベルの最小値とは、例えば非接触充電が行われていないときに携帯無線端末1が適切に受信できる最小値であり、仕様によって決定される。
さて、非接触充電中に携帯無線端末1が基地局2から受信レベル−98[dBm]の受信信号Rx1を受信した場合を想定する。受信レベル測定部11はこの受信レベルを測定する。そして、送信レベル決定部12は、表1に則り、受信レベルに応じて送信レベルの初期値を18[dBm]に決定する(図10の点P1参照)。
送信レベルが18[dBm]の場合には受信感度は−98[dBm]よりも小さく、例えば−99.5[dBm]である(図10の点P2参照)。つまり、送信レベルが18[dBm]であるときには、受信信号Rx1の受信レベル(−98[dBm])が受信感度(−99.5[dBm])よりも大きくなり、携帯無線端末1は適切に受信信号Rx1を解析できる。
この状態で、携帯無線端末1が基地局2からの要求信号PR1を受信すると、送信レベル決定部12は送信レベルを18[dBm]よりも大きく設定する。例えば送信レベルを21[dBm]に決定すると、受信感度は−98[dBm]となる(図10の点P3参照)。よって送信レベルを21[dBm]よりも大きく決定すると、受信感度が受信レベル(−98[dBm])よりも大きくなる。このとき、携帯無線端末1は適切に受信信号Rx1を解析することが難しい。
そこで、最大値設定部13は非接触充電中においては、送信レベルの最大値を、非接触充電が行われていないときの最大値(24[dBm])よりも小さい値(ここでは21[dBm])に設定する。これにより、受信感度が受信レベルよりも大きくなることを回避でき、適切に受信信号Rx1を受信することができる。
以上のように、送信レベル決定部12が基地局2からの要求信号PR1に応じて送信レベルを増大させることによって、受信感度が劣化するところ、最大値設定部13が送信レベルの最大値を小さく設定することで、受信感度のある一定以上の劣化を回避するのである。
なお送信レベルの最大値は予め決められていてもよく、或いは、受信レベル測定部11によって測定された受信レベルに基づいて決定されてもよい。なぜなら、受信レベルが大きければ、受信感度が劣っていても適切に受信信号Rx1を受信しえる。つまり受信レベルが大きいほど、送信レベルの増大に伴う受信感度の劣化が許容される。よって、受信信号Rx1の受信レベルが大きいほど、送信レベルの最大値をより大きく設定してもよい。逆に言えば、受信レベルが小さいほど送信レベルの最大値を小さく設定してもよい。
測定された受信レベル(例えば−98[dBm])と一致する、或いはこれよりも小さい受信感度を与える送信レベル(例えば21[dBm])を、送信レベルの最大値とすればよい。これにより、受信信号Rx1を適切に受信することができる。
このような受信レベルと送信レベルの最大値との関係は、例えば予め決められて記憶部(例えば記憶部103)に記憶されていれば良い。
次に図11のタイミングチャートを参照して制御部10の動作の一例を説明する。なお図11のタイミングチャートでは、後に詳述するように通話が行なわれる。よって、まず通話に関する動作の一例について簡単に説明する。図12に示すように、制御部10は通話処理部18と表示制御部19とを備えている。表示制御部19は表示装置20の表示を制御する。
通話処理部18は例えば使用者の操作に基づいて、通話画面を表示するように表示制御部19に指示する。表示制御部19は通話画面を適宜に表示装置20に表示する。この通話画面には、通話相手を選択するための選択ボタン、電話番号を入力するための入力ボタン、通話相手の携帯無線端末1に発呼するための発呼ボタン、通話相手からの着信に対して応答するための応答ボタン、通話を終了するための終了ボタン、等が適宜に配置される。これらのボタンに対する操作は、タッチパネル30によって検出される。
使用者が通話相手を選択して発呼ボタンを操作すると、通話処理部18は基地局2を介して通話相手の携帯無線端末1へと発呼信号を送信する。通話相手の携帯無線端末1は、当該発呼信号を着信信号として受信する。そして通話相手が応答すると、通話処理部18は基地局2を介して通話相手の携帯無線端末1から応答信号を受信し、使用者と通話相手との携帯無線端末1においてコネクションを確立する。また逆に、通話相手からの発呼信号を着信信号として受信すると、受信確認処理部17がこれを通話処理部18へと通知する。通話処理部18は着信があったことを例えば着信音等により使用者に報知する。そして使用者が応答ボタンを操作すると、その旨を通話相手の携帯無線端末1に送信して、コネクションを確立させる。
通話処理部18は、通話相手の携帯無線端末1から音声信号を受信し、これを例えば圧電振動素子190を介して使用者に出力する一方で、マイク150を介して使用者から音声を入力し、これを通話相手の携帯無線端末1へと送信する。また、使用者が終了ボタンを操作すると、通話処理部18はこれを通話相手の携帯無線端末1に送信するとともに、コネクションを開放して通話を終了する。通話相手の携帯無線端末1から通話の終了信号が送信されたときにも、通話処理部18はコネクションを開放して通話を終了する。
また、通話処理部18はハンズフリー通話を行なうことができる。例えば表示制御部19はハンズフリー通話を行なうか否かを入力可能なボタンを表示する。使用者が当該ボタンを操作すると、通話処理部18は通話相手の携帯無線端末1からの音声信号を、スピーカー180から比較的大きな音量で出力し、またマイク150の感度を高めて、比較的離れた使用者からの音声を入力する。これにより、使用者は携帯無線端末1から離れた位置で通話を行なうことができる。よって、携帯無線端末1を非接触充電器8に載置した状態で、通話を行なうことができる。
或いは、近接無線通信可能なヘッドセット4を用いてハンズフリー通話を行なってもよい。例えば使用者は、このヘッドセット4を用いた通話を行なうか否かの設定を携帯無線端末1に対して行う。このヘッドセット4は使用者に装着される。そして通話相手からの着信があったときに、使用者はヘッドセット4に設けられた通話応答用のボタンを操作する。これにより、ヘッドセット4は携帯無線端末1へと応答信号を送信する。通話処理部18は近接無線通信部90を介して当該応答信号を受信すると、通話相手の携帯無線端末1へと応答信号を送信し、通話を開始する。通話処理部18は通話相手の携帯無線端末1から音声信号を受信して、これをヘッドセット4へと送信する。また使用者からの音声信号をヘッドセット4から受信して、これを他の携帯無線端末1へと送信する。これにより、通話を行なうことができる。使用者はヘッドセット4を装着して通話を行なうので、携帯無線端末1を非接触充電器8の載置した状態で通話を行なうことができる。
図11のタイミングチャートでは、各動作が行なわれた状態を信号の活性状態で示し、各動作が行なわれていない状態を信号の非活性状態で示している。例えば「載置」とは携帯無線端末1を非接触充電器8に載置した状態であり、時点t1において使用者が携帯無線端末1を非接触充電器8に載置したことを、時点t1における信号の非活性状態から活性状態への遷移で示している。
次に、時点t2において、非接触充電器8は充電器側コイル8aに交流電圧を印加し始める。時点t1,t2の間の期間は、非接触充電器8が携帯無線端末1の載置を了知するのに要する期間である。時点t2において充電器側コイル8aの磁束が充電用コイル82aに鎖交し、充電用コイル82aの誘導起電力により、電池60が充電される。つまり、非接触充電が開始する。
次に、時点t3において、通話相手の携帯無線端末1が通話のための発呼信号を基地局2に送信する。図11で示す「発呼通話」とは、発呼者にとっての通話であり、発呼信号の送信から通話終了まで動作である。基地局2は発呼信号を受け取り、これを着信信号として携帯無線端末1へと送信する。
時点t4において、通話処理部18は基地局2からの着信信号を受信し、基地局2へと着信信号を受信した旨を応答する。このとき、通話処理部18は着信信号を受信した旨を送信レベル決定部12に通知する。非接触充電中に当該通知を受けた送信レベル決定部12は、送信信号Tx1の送信レベルの最大値を低減する。つまり図11の例示では、非接触充電において通話を開始するときに、送信レベルの最大値を低減している。
なお図11の例示とは異なって、最大値設定部13は非接触充電の開始(時点t2)において、送信レベルの最大値を低減してもよい。
次に時点t5において、携帯無線端末1は着信があったことを使用者に報知する。例えば着信音などにより報知する。次に時点t6において、使用者が携帯無線端末1を非接触充電器8から持ち上げて、応答ボタンを操作する。図11で示す「応答通話」とは、使用者が応答ボタンを操作してから通話の終了までの動作である。
図11の例示では時点t6において、「載置」、「非接触充電」、「最大値低下」および「報知」が非活性に遷移する。つまり、携帯無線端末1が非接触充電器8から離れて非接触充電が終了するので、「載置」および「非接触充電」が非活性に遷移し、また非接触充電の終了により送信レベルの最大値を元に戻すので、「最大値低下」が非活性に遷移する。また通話に応答するので着信の報知も終了させる(「報知」が非活性に遷移する)。
このとき非接触充電なしに通話を行うので、非接触充電に伴う受信感度の劣化が生じずに、適切に通信(通話)を行なうことができる。
次に時点t7において通話が終了し、時点t8において、再び使用者は携帯無線端末1を非接触充電器8に載置する。時点t9において非接触充電が開始され、時点t10において通話相手の携帯無線端末1が発呼信号を送信する。次に時点t11において、通話処理部18は基地局2に応答信号を送信するとともに、最大値設定部13は送信レベルの最大値を低減させる。次に時点t12において、着信を使用者に報知する。なお図11の例示とは異なって、最大値設定部13は非接触充電の開始(時点t9)において、送信レベルの最大値を低減してもよい。
次に、時点t13において、使用者は、非接触充電を行った状態で通話に応答する。このような応答は、例えばハンズフリー通話(ヘッドセット4を用いた通話を含む)により行なうことができる。
非接触充電が行われつつ通話が行なわれる期間(時点t13から時点t14)では、送信レベルの最大値は低減したままである。これにより適切に受信信号Rx1を受信することができ、良好な通話に寄与する。そして、時点t14において通話が終了すると、最大値設定部13は送信レベルの最大値を元に戻す。
なお、図11の例示では、通話の終了を契機として送信レベルの最大値を元に戻しているが、通話が終了しても非接触充電が行われるときには、送信レベルの最大値を低減させたままでもよい。そして、非接触充電の終了を契機として送信レベルの最大値を元に戻しても良い。これによって、非接触充電中に受信確認動作を行う際に、より適切な受信感度で受信信号Rx1を受信できる。
第2の実施の形態.
第2の実施の形態では、非接触充電を行うときに電池60へと流れる充電電流を調整する。図13の例示では、図6に例示する構成と比較して、電流検出部76が更に設けられている。電流検出部76は非接触充電における充電電流を検出する。より具体的には、電流検出部76は例えば充電部80から出力される電流を検出する。
制御部10は電流制御部16を更に備えている。電流制御部16は電流検出部76によって検出される電流を入力し、この電流が所望の値に近づくように、電流調整部88を制御する制御信号を出力する。
図14は、非接触充電における充電電流と、非接触充電中の受信感度との関係の一例を模式的に示すグラフである。ここでは送信レベルは一定である。図14の例示では、周波数帯域を異ならせたときの、3つのグラフが示されている。グラフ1a〜1cは1900Hz帯域のうち低帯域、中帯域および高帯域での関係をそれぞれ示している。
図14から理解できるように、充電電流が零から200[mA]までの小さい領域IR1においては、充電電流の増大に伴って受信感度は増大する。つまり受信感度が劣化する。この領域IR1を超えてさらに充電電流が増大すると、受信感度は充電電流に対して単調非増加で低減する(領域IR2)。さらに充電電流が増大すると受信感度は充電電流に対して単調非減少で増大する(領域IR3)。
このように非接触充電における受信感度は充電電流にも依存する。図14の例示では、受信感度についての極小値が存在している。つまり優れた受信感度を与える極値が存在する。
さて、受信信号Rx1の受信レベルが比較的大きいときには、受信感度が劣っていても受信信号Rx1を適切に受信できる。他方、受信信号Rx1の受信レベルが小さいと、より優れた受信感度が必要となる。
そこで、電流制御部16は、受信レベル測定部11によって測定された受信レベルと基準値との大小関係に基づいて充電電流を決定する。図15は制御部10の動作の一例を示すフローチャートである。まずステップS30において、電流制御部16は非接触充電が行われているか否かを判定する。この判定は判定部14の判定結果に基づいて行われる。非接触充電が行われていないと判定したときにはステップS30が再び実行される。非接触充電が行われていると判定されたときには、ステップS31において、電流制御部16は、受信レベル測定部11によって測定された受信レベルが基準値(例えば−97[dBm])よりも大きいか否かを判定する。
受信レベルが基準値よりも大きいと判定したときには、ステップS32において充電電流を例えば比較的大きな第1電流値で制御する。つまり、受信レベルが大きいときには、優れた受信感度は必要とされないので、受信感度を考慮せずに第1電流値で充電電流を制御する。具体的な第1電流値は、例えば充電時間および各部の電流許容値などを考慮して決定される。ここでは一例として、受信感度が極値を採るときの電流値(例えば500mA)よりも大きく、電流の増大に伴って受信感度が劣化する領域IR3から、第1電流値を決定する。例えば充電電流として領域IR3の最大値900mAを採用する。この第1電流値は例えば予め定められて記憶部(例えば記憶部103)に格納されている。電流制御部16は電流検出部76によって検出された電流が第1電流値(例えば900mA)に近づくように、電流調整部88を制御する。
他方、ステップS31において、測定された受信レベルが基準値よりも小さいと判定されたときには、ステップS33において、電流制御部16は受信感度がステップS32における受信感度より向上するように充電電流を第2電流値で制御する。図14を参照して、第2電流値としては、例えば受信感度の極値を与える電流値(例えば500mA)を採用する。これにより、ステップS32における受信感度よりも優れた受信感度で、受信信号Rx1を受信できる。この第2電流値も例えば予めされて記憶部(例えば記憶部103)に格納されている。
ステップS32またはステップS33の次に、ステップS34において電流制御部16は非接触充電が終了した否かを判定する。非接触充電が終了していないと判定されたときには再びステップS31を実行する。このようにステップS31〜S33を再び実行するのは、受信レベルが通信状態によって変動すること(いわゆるフェージング)を考慮した処理である。つまり非接触充電中に受信レベルが変動しえるので、ステップS31〜S33を繰り返し実行して、受信レベルの変動に応じて充電電流を制御するのである。他方、ステップS34において非接触充電が終了したと判定したときには、電流制御部16は電流調整部88の動作を終了させる。
以上のように、第2の実施の形態では、受信信号Rx1の受信レベルが大きく、優れた受信感度が要求されない場合には、受信感度よりも充電を優先して充電電流を第1電流値に決定する。一方で、受信信号Rx1の受信レベルが小さく、優れた受信感度が要求される場合には、受信感度が第1電流値での受信感度よりも向上するように、充電電流を調整する(第2電流値に決定する)のである。つまり、電流調整部88は、電流制御部16の制御を受けて、受信レベルが基準値よりも小さいときに、受信感度が、受信レベルが前記基準値よりも大きいときの受信感度よりも向上するように、充電用コイル82cから電池60へと流れる充電電流を調整する。これにより、受信レベルが小さいときでも受信信号Rx1を適切に受信しやすい。
また上述の例では、受信レベルが基準値よりも大きいときの第1電流値として、受信感度が基準値よりも小さいときの第2電流値よりも、大きい値を採用している。したがって、受信レベルが基準値よりも大きいときの充電時間を短縮できる。
また上述の例では、受信レベルが基準値よりも小さいときでも、充電電流を零にしているわけではないので、このときであっても非接触充電を継続することができる。
ただし、上述の例とは異なって、受信レベルが基準値よりも小さいときに、充電電流を零にしてもよい。つまり受信レベルが小さいときには非接触充電を中断しても構わない。この中断は、例えば電流調整部88の動作を停止させることによって行なってもよく、あるいは非接触充電器8へと動作の中断を送信し、非接触充電器8が動作を中断することで、非接触充電を中断してもよい。図14の例示では、極値での受信感度よりも、充電電流が零であるときの受信感度のほうが小さいので、受信レベルが基準値よりも小さいときには、最も優れた受信感度で受信信号Rx1を受信することができる。ただし、このとき充電は行われない。つまり充電を犠牲にして受信信号Rx1の適切な受信を優先しているのである。
また受信レベルは通信状態によって変動するので、基準値にヒステリシスを持たせても良い。即ち、受信レベルが第1基準値よりも大きいときには、充電電流として第1電流値(例えば900mA)を採用し、受信レベルが第2基準値(<第1基準値)よりも小さいときには、受信感度を向上する第2電流値(例えば500mA)を採用する。これにより、受信レベルが第1基準値と第2基準値との間の範囲で変動したとしても、この変動に起因して充電電流が切り替わることを抑制できる。
また、受信レベルが基準値よりも小さいときに、電流制御部16は受信レベルに応じて充電電流を制御しても構わない。より具体的には、受信レベル測定部11によって測定された受信レベルと一致する、或いは、この受信レベルよりも小さい受信感度を与える電流値を、第2電流値として採用する。例えばグラフ1bにおいて、受信レベルが−98[dBm]であるときには第2電流値として800[mA](受信感度−98.5[dBm])を採用し、受信レベルが−99[dBm]であるときには第2電流値として700[mA](受信感度−99[dBm])を採用する。受信レベルに応じた電流値は例えば予め記憶部(記憶部103)に格納される。
これによっても受信信号Rx1を適切に受信することができる。しかも、受信レベルに応じて第2電流値を決定しているので、必要以上の受信感度を与える小さな電流値を採用する必要がない。したがって、第2電流値の選択性を向上でき、受信レベルに応じて比較的大きな第2電流値を採用することができる。これにより充電時間を短縮できる。
<受信確認動作>
上述のように、非接触充電が行われているときにも、受信確認動作が間欠的に行なわれる。受信確認動作は間欠的に行なわれるので、通信を行なわない期間が存在する。そこで(i)この通信を行なわない期間においては、電流制御部16は充電電流を比較的大きな電流値(例えば第1電流値、900mA)で電流調整部88を制御してもよい。なぜなら、通信を行なわない場合には、受信感度が劣化しても構わないからである。
一方で、非接触充電中の受信確認動作においては、受信レベルおよび受信感度を考慮して充電電流を決定するとよい。しかしながら、この受信確認動作に費やされる期間は例えば数十ms程度と短い。よって、受信レベルと基準値との大小関係に応じた充電電流の決定を、当該期間内に行うことが難しい場合がある。この場合、(ii)受信確認動作においては受信レベルが基準値よりも大きいか否かに関わらず、第2電流値(例えば500mA)を採用してもよい。
(ii)の動作は具体的には例えば次のようにして実行される。受信確認処理部17は受信確認動作を開始すること、および、受信確認動作を終了することを、電流制御部16に通知する。また着信信号の受信があったときにもこれを電流制御部16に通知する。電流制御部16は、受信確認動作の開始から、終了(或いは着信信号の受信)までの期間において、第2電流値で充電電流を制御する。これにより、受信信号Rx1の受信レベルが不明な受信確認動作中においても、優れた受信感度で受信確認動作を行なうことができ、受信信号Rx1を適切に受信しやすい。
一方で、受信確認動作において受信確認処理部17が着信信号を受信したと判定したときには、通話処理部18が通話処理を開始する。より具体的には使用者への報知(着信音または振動による報知)を行ない、使用者が応答すれば、通話を開始する。この通話処理を行なう期間は受信確認動作に比して長いので、(iii)この通話期間において、電流制御部16は受信レベルと基準値との大小関係に応じた充電電流の決定を行なってもよい。なお使用者が通話相手を選択して発呼ボタンを操作して通話処理を開始したときにも、その通話期間において、電流制御部16は受信レベルと基準値との大小関係に応じた充電電流の決定を行なう。
図16は制御部10の動作の一例を示すタイミングチャートである。図11との相違点として、「受信レベルと基準値との大小関係に応じた充電電流の決定」の有無が示されている。図11の例示では、受信レベルと基準値との大小関係に応じて充電電流の値を決定する場合には、信号が活性状態で示され、予め決められた値を採用する場合には、信号が不活性状態で示されている。
図16の例示では、非接触充電が行われた状態での通話期間(時点t4から時点t6までの期間、および、時点t11から時点t14までの期間)において、受信レベルと基準値との大小関係に応じて充電電流の値が決定される。その一方で他の期間では、充電電流として予め決められた値を採用する。より具体的には、上述のように、(i)通信が行なわれていないときには第2電流値を採用し、(ii)受信確認動作において第2電流値を採用する。
纏めると、非接触充電において次のように充電電流を制御しても良い。(i)通信を行なっていない期間では第1電流値を採用し、(ii)受信確認動作(着信信号なし)の期間では第2電流値を採用し、(iii)通話期間においては、受信レベルと基準値との大小関係に応じて充電電流の電流値を決定する。
なお図13の例示では、電流制御部16は、電流検出部76によって検出された電流を入力し、これが所望の値に近づくように電流調整部88を制御している。つまり、電流をフィードバックして制御している。しかるに、必ずしもフィードバック制御を行なう必要はなく、フィードフォワード制御を行なってもよい。この場合、電流検出部76は不要である。
<第1の実施の形態と第2の実施の形態との組み合わせの一例>
図23は、送信レベルの最大値の制御および充電電流の制御と、その条件の一例とを示している。図23の例示では、周波数帯域が800MHzである場合には、送信レベルの最大値を低減させる制御を行わない。つまり、ここでは、800MHz帯において、受信感度と送信レベルとの相関関係が小さい場合を想定している。
また、周波数帯域が800MHzである場合には、受信確認動作おいて、受信信号Rx1の受信レベルの大小に依らずに、非接触充電を停止させる。つまり、充電電流を零とする。これにより、より優れた受信感度で受信確認動作を行うことができる。
一方で、通信中においては、受信レベルが基準値よりも大きいか小さいか否かによって、充電電流の大きさを異ならせる。より具体的には、受信レベルが基準値よりも大きいときには、受信感度に無関係に決定した充電電流(例えば900mA)で非接触充電を行う。他方、受信レベルが基準値より小さいときには、非接触充電を停止させる。
このように、通信中における受信レベルが十分に高いときには、受信感度が要求されないので、通常の電流値で非接触充電を行い、受信レベルが小さいときには、受信感度を優先して、非接触充電を停止させるのである。
なおここでは、800MHz帯域において、図18のように、受信感度が充電電流に対してステップ状に劣化する場合を想定している。よって、ここでは受信でレベルが小さいときに、充電電流を零にしているのである。
以上のように、受信確認動作では受信レベルの大小に依らずに充電を停止させ、通信中においては、受信レベルの大小に応じて充電電流を異ならせている。これは、受信確認動作に要する期間は短いことに依る。つまり、受信レベルの大小を判別するのに十分な期間がないので、受信確認動作では、受信レベルの大小に依らずに、充電電流を零にするのである。
次に、周波数帯が1900MHzである場合について説明する。図23の例示では、受信確認動作と通信中との区別に依らず、および、受信レベルが基準値よりも大きいか否かに依らず、非接触充電中に送信信号Rx1を送信するときには、送信レベルの最大値を下げる。つまり、ここでは1900MHz帯において、受信感度が、送信レベルの増大に伴って劣化する場合を想定している。このように、送信レベルの最大値を下げることで、非接触充電において、より優れた受信感度で受信信号Rx1を受信することができる。
また、周波数帯域が1900MHzである場合には、受信確認動作において、受信信号Rx1の受信レベルの大小に依らずに、受信感度を向上できる電流値(例えば500mA)で非接触充電を行う。これにより、より優れた受信感度で受信確認動作を行うことができる。
一方で、通信中においては、受信レベルが基準値よりも大きいか小さいか否かによって、充電電流の大きさを異ならせる。より具体的には、受信レベルが基準値よりも大きいときには、受信感度とは無関係に決定した第1電流値(例えば900mA)で非接触充電を行う。他方、受信レベルが基準値より小さいときには、受信感度を向上できる第2電流値(例えば500mA)で非接触充電を行う。なお、ここでいう受信感度を向上できる第2電流値とは、第1電流値を採用したときの受信感度よりも高い受信感度を与える電流値である。
以上のように通信中における受信レベルが十分に高いときには、受信感度が要求されないので、通常の第1電流値で非接触充電を行い、受信レベルが小さいときには、受信感度を優先した第2電流値で非接触充電を行うのである。
第3の実施の形態.
第1の実施の形態では、非接触充電器8からの電波CW1の高次の周波数成分と送信信号Tx1とが、受信信号Rx1の妨害波を生じることについて説明した。ここでは、そのような妨害波をほとんど生じない周波数帯域について考慮する。このような周波数帯域の一例として、例えば送信信号の周波数および充電器側コイル8aから発生する電磁波の高次の周波数の和のいずれもが、受信信号と一致しない周波数帯域がある。ここでいう「一致しない」とは、例えば当該和と受信信号の周波数との差が、受信信号の信号幅(周波数幅)よりも広いことを意味する。
ここでは妨害波をほとんど生じない周波数帯域として、800MHz帯(送信帯域が824.7〜848.31[MHz]、受信帯域が869.7〜893.31[MHz]、もしくは送信帯域が817.9〜823.1[MHz]、受信帯域が862.9〜868.1[MHz])を例示する。
このとき、非接触充電中の送信レベルの増大と受信感度の劣化との間の相関は、第1の実施の形態で述べた周波数帯域に比して小さい。つまり、この周波数帯域おいて、送信レベルを増大させても受信感度はあまり劣化しない。そこで最大値設定部13は、この周波数帯域においては、非接触充電の有無によって送信レベルの最大値を変更しない。
図17の制御部10は、図7に比して周波数帯域特定部104を更に備えている。周波数帯域特定部104は送信信号Tx1および受信信号Rx1の周波数帯域を特定する。例えば使用する周波数帯域が予め決められているときには、その周波数帯域についての情報が記憶部(例えば記憶部103)に格納されており、周波数帯域特定部104はこの記憶部を読み取って周波数帯域を特定してもよい。この場合、無線通信部110はその周波数帯域のみで通信を行なう。
或いは、無線通信部110は複数の周波数帯域に対応していても良い。つまり無線通信部110は複数の周波数帯域において通信を行なうことができてもよい。この場合、制御部10が無線通信部110を介して、順次に周波数帯域を変更して通信を行なう。例えば受信確認動作について説明すると、まず、例えば妨害波が生じる第1の周波数帯域(例えば1900MHz帯)において受信確認動作を行う。そして、携帯無線端末1へ送信すべき信号(着信など)がある場合には、これに応じた動作を行ない、当該信号が無い場合には、第1の周波数帯域における動作を終了する。続いて、妨害波が生じにくい第2の周波数帯域(例えば800MHz帯)において受信確認動作を行なう。そして、携帯無線端末1へ送信すべき信号がある場合には、これに応じた動作を行い、当該信が無い場合には、第2の周波数帯域における動作を終了する。周波数帯域特定部104は通信を行なっている周波数帯域を特定する。
第1の周波数帯域における通信を行なう場合には、最大値設定部13は、第1の実施の形態で述べたように非接触充電中の送信レベルの最大値を、非接触充電を行わないときの送信レベルの最大値よりも小さく決定する。
他方、第2の周波数帯域における通信を行なう場合には、最大値設定部13は非接触充電の実行の有無によらず、送信レベルの最大値を変更しない。これにより処理数を低減して処理を簡易にすることができる。
<充電電流>
次に非接触充電における充電電流について述べる。第2の周波数帯域において、非接触充電における充電電流と受信感度との関係が略ステップ状に変化する場合がある。図18は充電電流と受信感度との関係の一例を模式的に示している。充電電流が零から増大すると、充電電流の増大に伴って受信感度が急激に劣化し、受信感度がある一定レベルに達すると、充電電流の変化に対して受信感度があまり変化しない。つまり、受信感度は充電電流が小さいときに急激に増大しつつ、ある一定レベルに漸近、或いは収束する。また図18に例示するように、受信感度が増大する領域(充電電流の領域)は狭い。
このような第2の周波数帯域においては、電流制御部16は、受信レベルが基準値よりも小さいときの第2電流値として、零を採用する。つまり、受信レベルが基準値よりも小さいときには受信感度を優先して非接触充電を中断するのである。図15を参照して説明すると、第2の周波数領域においては、ステップS33において電流制御部16は充電電流を零にする。
また第2の実施の形態では、受信確認動作に費やす時間が、受信レベルと基準値との大小関係に応じた電流値の決定にとって短い場合に、(ii)受信確認動作において第2電流値で充電電流を制御した。第2の周波数帯域では、受信確認動作においても第2電流値として零を採用する。つまり受信確認動作においても非接触充電を中断する。これにより、受信レベルが不明な受信確認動作において、より優れた受信感度で受信確認動作を行なうことができる。
なお上述の例では、1900MHz帯および800MHz帯で説明した。しかるに、携帯無線端末1および非接触充電器8の仕様によっては、送信レベルと受信感度との相関の強弱が1900MHz帯と800MHz帯とで反対となることも考えられる。この場合、最大値設定部13の動作も反対となる。要するに、最大値設定部13は、送信レベルの増大に伴って受信感度が劣化する相関が強い第1周波数帯域においては、非接触充電において送信レベルの最大値を低減させ、第1周波数帯域よりも当該相関が弱い第2周波数帯域においては、非接触充電の実行の有無によって送信レベルの最大値を変化させない。
同様に、携帯無線端末1および非接触充電器8の仕様によっては、充電電流と受信感度との相関について、上述した説明とは1900MHz帯と800MHz帯とで反対となることも考えられる。この場合、電流制御部16の動作も反対となる。要するに、電流制御部16は、充電に使用される領域(例えば100mA以上)において充電電流の変化に対して受信感度が比較的に変化しない周波数帯域に対しては、受信レベルが基準値よりも小さいとき、或いは、受信確認動作が行なわれるときに、充電電流を零とする。
第4の実施の形態.
第4の実施の形態では、非接触充電を行っている状態で、着信があったときの表示画面について述べる。またここでは、第2または第3の実施の形態で述べたように、非接触充電が行われつつ通話(着信信号の受信または発呼信号の送信を含む)が行われる期間において、電流制御部16が受信レベルと基準値との大小関係に応じて充電電流を調整することを前提とする。すなわち、受信レベルが基準値よりも小さいときに充電電流を低減することを前提とする。
表示制御部19は、非接触充電を行いつつ通話が行なわれているときに、非接触充電が抑制される可能性(充電電流が低減する可能性)を示す充電情報を、表示領域2aに表示する。
図19は表示制御部19の動作の一例を示すフローチャートである。ステップS40において、表示制御部19は非接触充電が行われているか否かを判定する。この判定は判定部14の判定結果に基づいて行われる。非接触充電が行われていないと判定したときにはステップS40を再び実行する。
非接触充電が行われていると判定したときには、ステップS41において、表示制御部19は通話が行なわれているか否かを判定する。これは、通話処理部18が通話を行なっているか否かの情報を表示制御部19へと通知することで行なわれる。通話が行なわれていないと判定したときには再びステップS40を実行する。
通話が行われていると判定したときには、つまり、非接触充電を行いつつ通話が行なわれるときには、ステップS42において表示制御部19は充電情報を表示装置20に表示する。図20は、表示領域2aに表示する表示画面(以下、充電通知画面と呼ぶ)の一例を示している。表示領域2aには充電情報19aが表示されており、図20の例示では模式的に線で示されている。この充電情報19aは例えば文章であり、例えば「音声通話中に非接触充電が抑制されるかもしれないことにご注意ください。」などの文章を採用することができる。受信レベルが基準値よりも小さいときに、充電電流を零にする場合には、充電情報19aは充電が中断される可能性についての情報を示し、例えば「音声通話中に非接触充電が中断されるかもしれないことにご注意ください。」などの文章を採用することができる。
次にステップS43において表示制御部19は、充電情報19aの表示、ひいては充電通知画面の表示を終了する終了操作が行なわれたか否かを判定する。図20の例示では、充電通知画面には終了ボタン19bが表示されている。終了操作としては、この終了ボタン19bに対する操作を採用できる。終了ボタン19bに対する操作がないときには、ステップS43を実行する。終了ボタン19bに対する操作がったときには、ステップS44において表示制御部19は充電情報19aの表示、ひいては充電通知画面の表示を終了する。そして表示制御部19は通話を終了するための通話画面を表示する。
これにより、使用者は音声通話中に充電が抑制或いは中断される可能性を認識することができる。よって電池60の残量が少なくより効率的な充電を希望する場合には、使用者は適切な対処を行なうことができる。より具体的には、使用者は、例えば接触充電器を充電用コネクタ84に接続して、充電用コネクタ84の電圧を用いて電池60を充電する。或いは、使用者は充電情報19aを認識して、通話を抑制してもよい。
またステップS42において、表示制御部19は充電情報19aのみならず、充電用コネクタ84の電圧を用いた充電を使用者に促す充電切替情報19cを表示しても良い。図20の例示でも充電切替情報19cは模式的に下線で示されている。充電切替情報19cとしては、例えば「接触充電器を用いた充電をお勧めします。」などの文章を採用できる。これにより、使用者は、充電用コネクタ84の電圧を用いた充電の必要性をより直接的に認識することができる。
なお上述の例では、ステップS43の終了操作によって充電通知画面の表示を終了しているが、通話が終了したとき、および、非接触充電が終了したときにも、当該表示を終了してもよい。
またここでは通知画面とは別の充電通知画面を表示する。よって、次のタイミングで充電通知画面を表示することが望ましい。例えば通話相手の携帯無線端末1からの着信信号を受信したときには、表示制御部19はこれに応答するか否かを入力できる通話画面を表示するので、このタイミングでは充電通知画面を表示しない。そして、使用者が着信に対して応答する操作を行うと、表示制御部19が充電通知画面を表示する。
また使用者が通話相手を選択して発呼信号を送信する操作を行うと、表示制御部19は通話相手を呼び出し中であることを示す通話画面を表示する。よってこのタイミングでは充電通知画面を表示しない。そして、通話相手の携帯無線端末1から応答信号を受信したときに、表示制御部19は充電通知画面を表示する。
これにより、通話に関する操作を阻害することなく、充電通知画面を表示することができる。
なお上述の例では、通話画面とは異なる充電通知画面に情報19a,19cを表示したが、通話画面において情報19a,19cを表示しても構わない。
また、第2及び第3の実施の形態で説明した一例では、非接触充電中の受信レベルが基準値よりも大きいときには、充電電流として比較的大きな第1電流値を採用し、受信レベルが基準値よりも小さいときには、第1電流値よりも小さい第2電流値(零を含む)を採用する。つまり充電電流が低減するのは、受信レベルが基準値よりも小さいときである。よって、表示制御部19は、受信レベルが基準値よりも小さいときに、情報19a(或いは更に情報19c)を表示領域2aに表示してもよい。つまり、実際に充電電流が低減したときに、情報19a(或いは更に情報19c)を表示するのである。
図21は表示制御部19の動作の一例を示すフローチャートである。図19と比較して、ステップS45が更に実行される。ステップS45は例えばステップS41において肯定的な判定がなれたときに実行される。他方、ステップS42はステップS41による肯定的な判定があるだけでは実行されない。ステップS45においては、表示制御部19は受信レベル測定部11によって測定された受信レベルが基準値よりも大きいか否かを判定する。受信レベルが基準値よりも大きいときには、ステップS40を実行する。受信レベルが基準値よりも小さいときにはステップS42を実行する。
これによれば、実際に充電電流が低減しているときに、情報19a(更には情報19c)が表示される。よって実際に充電電流が低減していることを使用者が了知できる。このとき、情報19aとしては、実際に充電電流が低減していることを示す情報を採用できる。例えば第2電流値が零以外であるときには、「充電が抑制されています。」などの文章を採用でき、また第2電流値が零であるときには「充電が中断されています。」などの文章を採用できる。
さて充電を中断すると、つまり第2電流値が零であるときには、通話に伴って電池60の電荷量が低減する。よってこの場合、電荷量の低減をトリガとして情報19a(あるいは更に情報19c)を表示しても良い。
図22は表示制御部19の動作の一例を示すフローチャートである。図19と比較してステップS46が更に実行される。ステップS45は例えばステップS41において肯定的な判定がなれたときに実行される。他方、ステップS42はステップS41による肯定的な判定があるだけでは実行されない。ステップS46においては、表示制御部19は電荷量検出部78によって検出された電池60の電荷量の、時間に対する変化率が負であるか否かを判定する。当該変化率が正であると判定したきには、充電が行われていると判定して、再びステップS40を実行する。当該変化率が負であると判定したときには、ステップS42を実行する。
これによっても、実際に充電が中断しているときに、情報19a(或いは更に情報19c)を表示する。よって充電が中断していることを使用者が了知できる。また情報19aとしては、実際に充電電流が中断していること(中断している最中であること)を示す情報を採用でき、例えば「充電が中断されています。」などの文章を採用できる。
また上述の例では、受信レベルが基準値よりも小さくても充電が維持される場合にも、つまり第2電流値が零以外である場合にも、表示制御部19は、充電が抑制される旨の情報19aを表示した。しかしながら、この場合には情報19a,19cを表示しなくてもよい。充電が抑制されることは、使用者にとって必ずしも重要な情報ではないと考えられるので、これを表示しないのである。これにより処理を簡易にできる。
例えば1900MHz帯において、受信レベルが基準値よりも小さいときに、500mAなどで充電電流を制御し、800MHz帯において、受信レベルが基準値よりも小さいときに充電電流を零に制御する場合を想定する。この場合、表示制御部19は、非接触充電を行いつつ1900MHz帯を用いて通話を行なうときには、情報19a,19cを表示せずに、非接触充電を行いつつ800MHz帯を用いて通信を行なうときに、情報19a(或いは更に情報19c)を表示するのである。
<表示の変形例>
上述の例では、非接触充電が行われつつ通話を行うことをトリガとして、情報19a(更には情報19c)を表示した。しかるに、表示制御部19は、非接触充電が行われることをトリガとして、情報19aを表示しても良い。これによっても、使用者は音声通話中に充電が中断または抑制されることを認識できる。
しかしながら、非接触充電を行われたことをトリガとして情報19aを表示すると、非接触充電を開始する際に表示装置20に表示されていた表示画面を阻害しえる。そこで、表示制御部19は、非接触充電が行われた状態で使用者による所定の操作があったことをトリガとして、情報19a(更には情報19c)を表示しても良い。この所定の操作は任意の操作であってよい。例えば非接触充電を行うときに、それを示す絵図を表示領域2aの上部(ピクト領域)に表示する場合には、当該絵図に対する操作を採用できる。或いは、所定の第1操作を受けて、ピクト領域に表示する絵図を説明するための画面(Notification Window)を表示し、当該絵図についての説明領域(非接触充電であることを説明する領域)に対する第2操作を受けたときに、情報19a(或いは更に情報19c)を表示しても良い。
これによれば、非接触充電が行われても、使用者による操作が無い限りは、情報19a(或いは更に情報19c)が表示されない。よって非接触充電の際に表示領域2aに表示されていた表示画面を阻害しない。その一方で、使用者による操作によって情報19a(或いは更に情報19c)が表示されるので、使用者は、充電が抑制される可能性を了知できる。
以上のように、携帯無線端末1は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。要するに、非接触充電を行う機能と、外部装置と無線通信を行う機能とを有する任意の装置に対して、上述の技術を適用することができる。例えば自動車に搭載される装置、パソコン(例えばノートパソコン)等にも適用可能である。また、上述した各種実施の形態および変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。