JP2017215459A - 蛍光体樹脂シート、貼着光半導体素子およびその製造方法 - Google Patents

蛍光体樹脂シート、貼着光半導体素子およびその製造方法 Download PDF

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弘司 野呂
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善彦 北山
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宏中 藤井
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Abstract

【課題】形状加工性および密着性に優れる蛍光体樹脂シート、それを備える貼着光半導体素子、および、その製造方法を提供すること。【解決手段】蛍光体樹脂シート3は、厚み方向を貫通する貫通孔5を有する。蛍光体樹脂シート3を周波数1Hzおよび昇温速度20℃/分の条件で動的粘弾性測定することにより得られる貯蔵剪断弾性率G’と温度Tとの関係を示す曲線が、極小値を有する。極小値における温度Tが、40℃以上、200℃以下の範囲にある。極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、1,000Pa以上、90,000Pa以下の範囲にある。【選択図】図1

Description

本発明は、蛍光体樹脂シートおよび貼着光半導体素子、詳しくは、蛍光体樹脂シート、それを備える貼着光半導体素子、および、その製造方法に関する。
従来より、蛍光体含有シートをLEDチップに貼り付けることが知られている。
例えば、蛍光体シートを準備し、電極部分に対応する蛍光体シートを孔開け加工し、次いで、蛍光体シートをLED素子に貼り合わせることを提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1の蛍光体シートは、25℃での貯蔵弾性率が0.1MPaであり、100℃における貯蔵弾性率が0.1MPa未満である。
特許文献1における蛍光体シートは、形状加工性が良好であり、高い接着力を有する。
特開2013−1792号公報
近年、蛍光体シートには、より優れた形状加工性および密着性が要求される。
本発明の目的は、形状加工性および密着性に優れる蛍光体樹脂シート、それを備える貼着光半導体素子、および、その製造方法を提供することにある。
本発明(1)は、厚み方向を貫通する貫通孔を有する蛍光体樹脂シートであり、前記蛍光体樹脂シートを周波数1Hzおよび昇温速度20℃/分の条件で動的粘弾性測定することにより得られる貯蔵剪断弾性率G’と温度Tとの関係を示す曲線が、極小値を有し、前記極小値における温度Tが、40℃以上、200℃以下の範囲にあり、前記極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、1,000Pa以上、90,000Pa以下の範囲にある、蛍光体樹脂シートを含む。
この蛍光体樹脂シートは、40℃以上、200℃以下の範囲で、光半導体素子に貼着するように使用するときに、極小値における温度Tが、40℃以上、200℃以下の範囲にあり、極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、1,000Pa以上、90,000Pa以下の範囲にあるので、優れた密着力で光半導体素子に貼着できる。
また、この蛍光体樹脂シートは、上記した貯蔵剪断弾性率G’を有するので、貫通孔が高い精度で形成されている。そのため、この蛍光体樹脂シートは、信頼性に優れる。
さらに、蛍光体樹脂シートは、貫通孔を有するので、貫通孔を通過するワイヤなどの接続部材を通過させることができる。
その結果、光半導体素子に対する密着力に優れながら、光半導体素子の電気的接続を確保することができる。
本発明(2)は、周端面から内側に切り欠かれる切欠部を有する蛍光体樹脂シートであり、前記蛍光体樹脂シートを周波数1Hzおよび昇温速度20℃/分の条件で動的粘弾性測定することにより得られる貯蔵剪断弾性率G’と温度Tとの関係を示す曲線が、極小値を有し、前記極小値における温度Tが、40℃以上、200℃以下の範囲にあり、前記極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、1,000Pa以上、90,000Pa以下の範囲にある、蛍光体樹脂シートを含む。
この蛍光体樹脂シートは、40℃以上、200℃以下の範囲で、光半導体素子に貼着するように使用するときに、極小値における温度Tが、40℃以上、200℃以下の範囲にあり、極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、1,000Pa以上、90,000Pa以下の範囲にあるので、優れた密着力で光半導体素子に貼着できる。
また、この蛍光体樹脂シートは、上記した貯蔵剪断弾性率G’を有するので、切欠部が高い精度で形成されている。そのため、この蛍光体樹脂シートは、信頼性に優れる。
さらに、この蛍光体樹脂シートは、切欠部を有するので、ワイヤが、切欠部に対応する蛍光体樹脂シートを迂回することができる。
その結果、光半導体素子に対する密着力に優れながら、光半導体素子の電気的接続を確保することができる。
本発明(3)は、(1)または(2)に記載の蛍光体樹脂シートを用意するシート用意工程、基材に配置される光半導体素子を用意する素子用意工程、および、前記蛍光体樹脂シートを、40℃以上、200℃以下の温度で、加熱しながら、前記光半導体素子に対して貼着する貼着工程を備える、貼着光半導体素子の製造方法を含む。
この貼着光半導体素子の製造方法において、貼着工程では、蛍光体樹脂シートを、40℃以上、200℃以下の温度で、光半導体素子に対して着するので、優れた密着力で光半導体素子に貼着できる。そのため、信頼性に優れた貼着光半導体素子を製造することができる。
本発明(4)は、光半導体素子と、前記光半導体素子の表面に貼着された(1)または(2)に記載の蛍光体樹脂シートとを備える、貼着光半導体素子を含む。
この貼着光半導体素子は、上記した蛍光体樹脂シートを備えるので、信頼性に優れる。
本発明の蛍光体樹脂シートは、光半導体素子に対する密着力に優れながら、光半導体素子の電気的接続を確保することができる。
本発明の貼着光半導体素子の製造方法は、信頼性に優れた貼着光半導体素子を製造することができる。
本発明の貼着光半導体素子は、上記した蛍光体樹脂シートを備えるので、信頼性に優れる。
図1は、本発明の第1実施形態の蛍光体樹脂シート(貫通孔を有する態様)を備える第1シート部材の斜視図を示す。 図2は、図1に示す第1シート部材の貫通孔を通過する断面図を示す。 図3A〜図3Cは、図1に示す第1シート部材の製造方法の一部工程図であり、図3Aが、第1シート部材を用意する工程(1)、図3Bが、貫通孔を形成する工程(2)、図3Cが、蛍光体樹脂シートを個片化する工程(3)を示す。 図4D〜図4Fは、図3Cに引き続き、図1に示す第1シート部材の製造方法の一部工程図であり、図4Dが、蛍光体樹脂シートを延伸支持シートに転写する工程(4)、図4Eが、延伸支持シートを延伸する工程(5)、および、蛍光体樹脂シートを光半導体素子に貼着する工程(6)、図4Fが、光半導体素子をワイヤボンディングする工程を示す。 図5は、本発明の第2実施形態の蛍光体樹脂シート(切欠部を有する態様)を備える第1シート部材の斜視図を示す。 図6A〜図6Cは、図5に示す第1シート部材の製造方法の一部工程図であり、図6Aが、第1シート部材を用意する工程(1)、図6Bが、貫通孔を形成する工程(2)、図6Cが、蛍光体樹脂シートを個片化する工程(3)を示す。 図7D〜図7Fは、図6Cに引き続き、図1に示す第1シート部材の製造方法の一部工程図であり、図7Dが、蛍光体樹脂シートを延伸支持シートに転写する工程(4)、図7Eが、延伸支持シートを延伸する工程(5)、および、蛍光体樹脂シートを光半導体素子に貼着する工程(6)、図7Fが、光半導体素子をワイヤボンディングする工程を示す。 図8A〜図8Cは、図5に示す蛍光体樹脂シートの変形例を示し、図8Aが、切欠部が平面視略三角形状である態様、図8Bが、切欠部が平面視略矩形形状である態様、図8Cが、2つの切欠部が設けられる態様を示す。 図9は、実施例A〜比較例Eにおける蛍光体樹脂シートの貯蔵剪断弾性率G’と温度Tとの関係を示す。
図2において、紙面上下方向は、上下方向(第1方向、厚み方向)であり、紙面上側が上側(第1方向一方側、厚み方向一方側)、紙面下側が下側(第1方向他方側、厚み方向他方側)である。
図2において、紙面左右方向は、左右方向(第1方向に直交する第2方向)であり、紙面左側が左側(第2方向一方側)、紙面右側が右側(第2方向他方側)である。
図2において、紙面紙厚方向は、前後方向(第1方向および第2方向に直交する第3方向)であり、紙面手前側が前側(第3方向一方側)、紙面奥側が後側(第3方向他方側)である。具体的には、各図の方向矢印に準拠する。
<第1実施形態>
本発明の蛍光体樹脂シートの第1実施形態である蛍光体樹脂シート3を備える第1シート部材1を、図1および図2を参照して説明する。
1.シート部材
図1および図2に示すように、第1シート部材1は、所定の厚みを有し、左右方向および前後方向に延び、平坦な上面(表面)および平坦な下面(裏面)を有している。
第1シート部材1は、支持シート2と、支持シート2の上面に位置する蛍光体樹脂シート3とを備える。第1シート部材1は、好ましくは、支持シート2と、蛍光体樹脂シート3とのみからなる。
2.支持シート
支持シート2は、第1シート部材1の下層をなす。支持シート2は、左右方向および前後方向に延び、平坦な上面(表面)および平坦な下面(裏面)を有している。
支持シート2としては、次に説明する蛍光体樹脂シート3を支持するシートなどが挙げられる。また、支持シート2としては、後述する剥離支持シート10(図3A参照)や延伸支持シート11(図4D参照)などが挙げられる。
支持シート2の厚みは、特に限定されず、例えば、0.1mm以上、例えば、1mm以下である。
3.蛍光体樹脂シート
蛍光体樹脂シート3は、蛍光体樹脂シート3の上面に位置する。蛍光体樹脂シート3は、第1シート部材1の上層をなす。蛍光体樹脂シート3は、具体的には、所定の厚みを有し、左右方向および前後方向に延び、平坦な上面(表面)および平坦な下面(裏面)を有している。蛍光体樹脂シート3は、貫通孔5を有する略平板形状を有する。そのため、蛍光体樹脂シート3は、4つの周端面4と、貫通孔5に対応する貫通面6とを有する。
なお、蛍光体樹脂シート3は、後述する貼着光半導体素子19(図4F参照)ではなく、また、光半導体装置30(図4F参照)でもない。すなわち、蛍光体樹脂シート3は、貼着光半導体素子19および光半導体装置30の一部品であり、すなわち、貼着光半導体素子19および光半導体装置30を作製するための部品である。そのため、蛍光体樹脂シート3は、光半導体素子15および光半導体素子15を実装する基板16(図4E参照)を含まず、蛍光体樹脂シート3そのものが、部品単独で流通し、産業上利用可能なデバイスである。
次に、蛍光体樹脂シート3の形状を詳細に説明する。
3−1.蛍光体樹脂シートの形状
蛍光体樹脂シート3は、平面視において、周端面4を有する平面視略矩形状を有する。蛍光体樹脂シート3の周端面4は、蛍光体樹脂シート3の上面の周端縁および下面の周端縁を連結する。蛍光体樹脂シート3の周端面4は、前後方向に互いに間隔を隔てて位置する前面および後面と、前面および後面のそれぞれの左端部を接続する左面と、前面および後面のそれぞれの右端部を接続する右面とを備える。
蛍光体樹脂シート3は、平面視において、蛍光体樹脂シート3の厚み方向を貫通する貫通孔5を有する。貫通孔5は、平面視略円形状の貫通面6を有する。
貫通孔5は、周端面4の内側に位置する。詳しくは、貫通孔5は、蛍光体樹脂シート3の角部(より具体的には、前端部の左端部)に位置する。
蛍光体樹脂シート3の寸法は、適宜設定される。蛍光体樹脂シート3の前後方向長さL1、および、左右方向長さL2は、例えば、150μm以上、好ましくは、200μm以上であり、また、例えば、5000μm以下、好ましくは、4000μm以下である。
貫通孔5の面方向(前後方向および左右方向)の最大長さ(具体的には、直径D)は、例えば、30μm以上、好ましくは、50μm以上であり、また、例えば、300μm以下、好ましくは、200μm以下である。
蛍光体樹脂シート3の厚みT1は、例えば、25μm以上、好ましくは、50μm以上、より好ましくは、75μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、250μm以下、より好ましくは、200μm以下である。
T1が上記した下限以上、または、上記した上限以下であれば、後述する工程(2)を確実に実施することができる。
3−2.蛍光体樹脂組成物
蛍光体樹脂シート3は、例えば、蛍光体および樹脂を含有する蛍光体樹脂組成物からなる。好ましくは、蛍光体樹脂シート3は、Bステージの蛍光体樹脂組成物からなる、Bステージシートである。
3−2(1).蛍光体
蛍光体は、波長変換材料である。具体的には、蛍光体としては、例えば、青色光を黄色光に変換することのできる黄色蛍光体、青色光を赤色光に変換することのできる赤色蛍光体などが挙げられる。
黄色蛍光体としては、例えば、(Ba,Sr,Ca)SiO;Eu、(Sr,Ba)SiO:Eu(バリウムオルソシリケート(BOS))などのシリケート蛍光体、例えば、YAl12:Ce(YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット):Ce)、TbAl12:Ce(TAG(テルビウム・アルミニウム・ガーネット):Ce)などのガーネット型結晶構造を有するガーネット型蛍光体、例えば、Ca−α−SiAlONなどの酸窒化物蛍光体などが挙げられる。
赤色蛍光体としては、例えば、CaAlSiN:Eu、CaSiN:Euなどの窒化物蛍光体などが挙げられる。
蛍光体として、好ましくは、黄色蛍光体、より好ましくは、ガーネット型蛍光体が挙げられる。
蛍光体の形状としては、例えば、球状、板状、針状などが挙げられる。
蛍光体の最大長さの平均値(球状である場合には、平均粒子径)は、例えば、0.1μm以上、好ましくは、1μm以上であり、また、例えば、200μm以下、好ましくは、100μm以下でもある。
蛍光体は、単独使用または併用することができる。
蛍光体の配合割合は、蛍光体樹脂組成物に対して、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、0.5質量%以上であり、例えば、90質量%以下、好ましくは、80質量%以下である。
3−2(2).樹脂
樹脂は、蛍光体樹脂組成物において蛍光体を均一に分散させるマトリクスであり、好ましくは、透明樹脂である。樹脂としては、例えば、硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が挙げられる。好ましくは、硬化性樹脂が挙げられる。
硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。
硬化性樹脂としては、2段反応硬化性樹脂、1段反応硬化性樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。
2段反応硬化性樹脂は、2つの反応機構を有しており、第1段の反応で、Aステージ状態からBステージ化(半硬化)し、次いで、第2段の反応で、Bステージ状態からCステージ化(完全硬化)することができる。つまり、2段反応硬化性樹脂は、適度の加熱条件によりBステージ状態となることができる熱硬化性樹脂である。Bステージ状態(半硬化状態)は、熱硬化性樹脂が、液状であるAステージ状態(未硬化状態)と、完全硬化したCステージ状態(完全硬化状態)との間の状態であって、硬化およびゲル化がわずかに進行し、剪断弾性率がCステージ状態の剪断弾性率よりも小さい半固体状態または固体状態である。
1段反応硬化性樹脂は、1つの反応機構を有しており、第1段の反応で、Aステージ状態からCステージ化することができる。このような1段反応硬化性樹脂は、第1段の反応の途中で、その反応が停止して、Aステージ状態からBステージ状態となることができ、その後のさらなる加熱によって、第1段の反応が再開されて、Bステージ状態からCステージ化することができる熱硬化性樹脂を含む。つまり、1段反応硬化性樹脂は、Bステージ状態となることができる熱硬化性樹脂を含む。また、1段反応硬化性樹脂は、1段の反応の途中で停止するように制御できず、つまり、Bステージ状態となることができず、一度に、AステージからCステージ化する熱硬化性樹脂も含む。
好ましくは、熱硬化性樹脂としては、Bステージ状態となることができる熱硬化性樹脂(2段反応硬化性樹脂および1段反応硬化性樹脂)が挙げられる。
Bステージ状態となることができる熱硬化性樹脂としては、好ましくは、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂が挙げられ、より好ましくは、シリコーン樹脂が挙げられる。
上記した熱硬化性樹脂は、同一種類または複数種類のいずれでもよい。
シリコーン樹脂としては、透明性、耐久性、耐熱性、耐光性の観点から、例えば、付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物、縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物などのシリコーン樹脂組成物が挙げられ、好ましくは、付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物が挙げられる。シリコーン樹脂は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、1段反応硬化性樹脂組成物であって、例えば、アルケニル基含有ポリシロキサンと、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンと、ヒドロシリル化触媒とを含有する。
アルケニル基含有ポリシロキサンは、分子内に2個以上のアルケニル基および/またはシクロアルケニル基を含有する。アルケニル基含有ポリシロキサンは、具体的には、下記平均組成式(1)で示される。
平均組成式(1):
SiO(4−a−b)/2
(式中、Rは、炭素数2〜10のアルケニル基および/または炭素数3〜10のシクロアルケニル基を示す。Rは、非置換または置換の炭素数1〜10の1価の炭化水素基(ただし、アルケニル基およびシクロアルケニル基を除く。)を示す。aは、0.05以上、0.50以下であり、bは、0.80以上、1.80以下である。)
式(1)中、Rで示されるアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基などの炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。Rで示されるシクロアルケニル基としては、例えば、シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基などの炭素数3〜10のシクロアルケニル基が挙げられる。
として、好ましくは、アルケニル基、より好ましくは、炭素数2〜4のアルケニル基、さらに好ましくは、ビニル基が挙げられる。
で示されるアルケニル基は、同一種類または複数種類のいずれでもよい。
で示される1価の炭化水素基は、アルケニル基およびシクロアルケニル基以外の非置換または置換の炭素原子数1〜10の1価の炭化水素基である。
非置換の1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基などの炭素数1〜10のアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの炭素数3〜6のシクロアルキル基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基などの炭素数6〜10のアリール基、例えば、ベンジル基、ベンジルエチル基などの炭素数7〜8のアラルキル基が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基が挙げられ、より好ましくは、メチル基および/またはフェニル基が挙げられる。
一方、置換の1価の炭化水素基は、上記した非置換の1価の炭化水素基における水素原子を置換基で置換したものが挙げられる。
置換基としては、例えば、塩素原子などのハロゲン原子、例えば、グリシジルエーテル基などが挙げられる。
置換の1価の炭化水素基としては、具体的には、3−クロロプロピル基、グリシドキシプロピル基などが挙げられる。
1価の炭化水素基は、非置換および置換のいずれであってもよく、好ましくは、非置換である。
で示される1価の炭化水素基は、同一種類または複数種類であってもよい。好ましくは、メチル基および/またはフェニル基が挙げられ、より好ましくは、メチル基およびフェニル基の併用が挙げられる。
aは、好ましくは、0.10以上、0.40以下である。
bは、好ましくは、1.5以上、1.75以下である。
アルケニル基含有ポリシロキサンの重量平均分子量は、例えば、100以上、好ましくは、500以上であり、また、例えば、10,000以下、好ましくは、5,000以下である。アルケニル基含有ポリシロキサンの重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィーによって測定される標準ポリスチレンによる換算値である。
アルケニル基含有ポリシロキサンは、適宜の方法によって調製され、また、市販品を用いることもできる。
また、アルケニル基含有ポリシロキサンは、同一種類または複数種類であってもよい。
ヒドロシリル基含有ポリシロキサンは、例えば、分子内に2個以上のヒドロシリル基(SiH基)を含有する。ヒドロシリル基含有ポリシロキサンは、具体的には、下記平均組成式(2)で示される。
平均組成式(2):
SiO(4−c−d)/2
(式中、Rは、非置換または置換の炭素数1〜10の1価の炭化水素基(ただし、アルケニル基およびシクロアルケニル基を除く。)を示す。cは、0.30以上、1.0以下であり、dは、0.90以上、2.0以下である。)
式(2)中、Rで示される非置換または置換の炭素数1〜10の1価の炭化水素基は、式(1)のRで示される非置換または置換の炭素数1〜10の1価の炭化水素基と同一のものが例示される。好ましくは、非置換の炭素数1〜10の1価の炭化水素基、より好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基が挙げられ、さらに好ましくは、メチル基および/またはフェニル基が挙げられる。
cは、好ましくは、0.5以下である。
dは、好ましくは、1.3以上、1.7以下である。
ヒドロシリル基含有ポリシロキサンの重量平均分子量は、例えば、100以上、好ましくは、500以上であり、また、例えば、10,000以下、好ましくは、5,000以下である。ヒドロシリル基含有ポリシロキサンの重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィーによって測定される標準ポリスチレンによる換算値である。
ヒドロシリル基含有ポリシロキサンは、適宜の方法によって調製され、また、市販品を用いることもできる。
また、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンは、同一種類または複数種類であってもよい。
上記した平均組成式(1)および平均組成式(2)中、RおよびRの少なくともいずれか一方の炭化水素基は、好ましくは、フェニル基を含み、より好ましくは、RおよびRの両方の炭化水素が、フェニル基を含む。なお、RおよびRの少なくともいずれか一方の炭化水素基がフェニル基を含む場合には、付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、フェニル系シリコーン樹脂組成物とされる。
ヒドロシリル基含有ポリシロキサンの配合割合は、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基およびシクロアルケニル基のモル数の、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンのヒドロシリル基のモル数に対する割合(アルケニル基およびシクロアルケニル基のモル数/ヒドロシリル基のモル数)が、例えば、1/30以上、好ましくは、1/3以上、また、例えば、30/1以下、好ましくは、3/1以下となるように、調整される。
ヒドロシリル化触媒は、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基および/またはシクロアルケニル基と、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンのヒドロシリル基とのヒドロシリル化反応(ヒドロシリル付加)の反応速度を向上させる物質(付加触媒)であれば、特に限定されず、例えば、金属触媒が挙げられる。金属触媒としては、例えば、白金黒、塩化白金、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−カルボニル錯体、白金−アセチルアセテートなどの白金触媒、例えば、パラジウム触媒、例えば、ロジウム触媒などが挙げられる。
ヒドロシリル化触媒の配合割合は、金属触媒の金属量(具体的には、金属原子)として、アルケニル基含有ポリシロキサンおよびヒドロシリル基含有ポリシロキサンに対して、質量基準で、例えば、1.0ppm以上であり、また、例えば、10,000ppm以下、好ましくは、1,000ppm以下、より好ましくは、500ppm以下である。
付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、アルケニル基含有ポリシロキサン、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンおよびヒドロシリル化触媒を、上記した割合で配合することにより、調製される。
上記した付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、まず、アルケニル基含有ポリシロキサン、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンおよびヒドロシリル化触媒を配合することによって、Aステージ(液体)状態として調製されて使用される。
上記したように、フェニル系シリコーン樹脂組成物は、所望条件の加熱により、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基および/またはシクロアルケニル基と、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンのヒドロシリル基とのヒドロシリル化付加反応を生じ、その後、ヒドロシリル化付加反応が、一旦、停止する。これによって、Aステージ状態からBステージ(半硬化)状態となることができる。
その後、フェニル系シリコーン樹脂組成物は、さらなる所望条件の加熱により、上記したヒドロシリル化付加反応が再開されて、完結する。これによって、Bステージ状態からCステージ(完全硬化)状態となることができる。
縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、2段反応硬化性樹脂であって、具体的には、例えば、特開2010−265436号公報、特開2013−187227号公報などに記載される第1〜第8の縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物、例えば、特開2013−091705号公報、特開2013−001815号公報、特開2013−001814号公報、特開2013−001813号公報、特開2012−102167号公報などに記載されるかご型オクタシルセスキオキサン含有シリコーン樹脂組成物などが挙げられる。なお、縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、固体状であって、熱可塑性および熱硬化性を併有する。
そして、上記した樹脂は、少なくともBステージ(半硬化)状態にあるとき、すなわち、蛍光体樹脂シート3を形成しているときの樹脂は、固体状である。そして、このような樹脂は、熱可塑性および熱硬化性を併有する。つまり、樹脂は、加熱により、一旦、可塑化した後、完全硬化する。より具体的には、樹脂は、昇温とともに、粘度が次第に下降し、その後、昇温を継続すると、粘度が次第に上昇する。
樹脂の配合割合は、蛍光体樹脂組成物に対して、例えば、20質量%以上、好ましくは、25質量%以上であり、また、例えば、97質量%以下、好ましくは、95質量%以下である。樹脂の、蛍光体100質量部に対する配合割合は、例えば、25質量部以上、好ましくは、30質量部以上であり、また、例えば、3000質量部以下、好ましくは、2000質量部以下である。
3−2(3).フィラー
蛍光体樹脂組成物は、例えば、フィラーを含有することができる。
フィラーとしては、例えば、光拡散性粒子が挙げられる。光拡散性粒子としては、例えば、無機粒子、有機粒子などが挙げられる。
無機粒子としては、例えば、シリカ(SiO)、タルク(Mg(Si10)(HO))、アルミナ(Al)、酸化ホウ素(B)、酸化カルシウム(CaO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化バリウム(BaO)、酸化アンチモン(Sb)などの酸化物、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si)などの窒化物などの無機物粒子(無機物)が挙げられる。また、無機粒子として、例えば、上記例示の無機物から調製される複合無機物粒子が挙げられ、具体的には、酸化物から調製される複合無機酸化物粒子(具体的には、ガラス粒子など)が挙げられる。
無機粒子として、好ましくは、シリカ粒子、ガラス粒子が挙げられる。
無機粒子は、通常、トルエンなどの溶剤に不溶である。
有機粒子の有機材料としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂などが挙げられる。
有機粒子として、好ましくは、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂粒子が挙げられる。
有機粒子は、例えば、トルエンなどの溶剤に不溶である。なお、有機粒子は、例えば、溶剤に溶解するものを含むこともできる。
フィラーは、単独使用または併用することができる。
フィラーの平均粒子径は、例えば、1.0μm以上、好ましくは、2.0μm以上、より好ましくは、4.0μm以上であり、また、例えば、30μm以下、好ましくは、25μm以下、より好ましくは、10μm以下である。平均粒子径は、粒度分布測定装置により測定される。
フィラーの含有割合は、蛍光体樹脂組成物に対して、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上、より好ましくは、10質量%以上であり、また、例えば、80質量%以下、好ましくは、50質量%以下、より好ましくは、30質量%以下である。フィラーの樹脂100重量部に対する配合割合は、例えば、2質量部以上、好ましくは、5質量部以上であり、また、例えば、200質量部以下、好ましくは、100質量部以下である。
3−3.蛍光体樹脂シートの調製
蛍光体樹脂シート3を調製するには、例えば、上記した各成分(蛍光体、樹脂、および、必要により、フィラー)を配合して、蛍光体樹脂組成物のワニスを調製する。続いて、蛍光体樹脂組成物のワニスを、剥離支持シート10の上面に塗布する。次いで、蛍光体樹脂組成物が熱硬化性樹脂を含有する場合には、蛍光体樹脂組成物を、Bステージ化する。具体的には、蛍光体樹脂組成物を、加熱(ベイク)する。
加熱(ベイク)条件は、蛍光体樹脂シート3において動的粘弾性測定における貯蔵剪断弾性率G’が所望の範囲となるように、適宜設定される。
つまり、加熱温度は、蛍光体樹脂組成物における樹脂の組成によって適宜設定され、具体的には、例えば、50℃以上、好ましくは、70℃以上であり、また、例えば、120℃以下、好ましくは、100℃以下である。加熱温度が上記下限以上、および/または、加熱温度が上記上限以下であれば、上記した貯蔵剪断弾性率G’の極小値を所望の範囲に設定することができる。
加熱時間は、例えば、2.5分以上、好ましくは、5.5分以上であり、また、例えば、4時間以下、好ましくは、1時間以下である。加熱時間が上記下限以上、および/または、上記上限以下であれば、上記した貯蔵剪断弾性率G’の極小値を所望の範囲に設定することができる。
これにより、蛍光体樹脂シート3が調製される。
3−4.蛍光体樹脂シートの動的粘弾性
このような蛍光体樹脂シート3を、周波数1Hzおよび昇温速度20℃/分の条件で動的粘弾性測定することにより得られる貯蔵剪断弾性率G’と温度Tとの関係を示す曲線は、図9が参照されるように、極小値を有する。
なお、図9の比較例Eで示される曲線のように、極小値を複数有する場合には、極小値とは、貯蔵剪断弾性率G’が最も低い値に位置する極小値を意味する。
そして、そのような極小値における温度Tが、40℃以上、200℃以下の範囲にあり、上記した極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、1,000Pa以上、90,000Pa以下の範囲にある。
極小値における温度Tが40℃未満であれば、次に説明する工程(6)における40℃以上の加熱において、粘度が過度に上昇するため、蛍光体樹脂シート3の光半導体素子15(図4F参照)に対する密着力が低下する不具合がある。
密着力の測定方法は、後の実施例で詳述する。
極小値における温度Tが200℃超過であれば、次に説明する工程(6)における200℃以下の加熱において、蛍光体樹脂シート3の粘度が十分に下降しないので、蛍光体樹脂シート3の半導体素子15(図4F参照)に対する密着力が低下する不具合がある。
極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、1,000Pa未満であれば、次に説明する工程(2)における貫通孔5を精度よく形成することができないという不具合がある。
極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、90,000Pa超過であれば、次に説明する工程(6)において、蛍光体樹脂シート3の粘度が十分に下降しないので、蛍光体樹脂シート3の半導体素子15(図4F参照)に対する密着力が低下するという不具合がある。
また、極小値における温度Tが、40℃以上、200℃以下の範囲にあり、上記した極小値における貯蔵剪断弾性率G’は、好ましくは、10,000Pa以上、より好ましくは、20,000Pa以上、さらに好ましくは、30,000Pa以上であり、また、好ましくは、70,000Pa以下の範囲にある。
極小値における貯蔵剪断弾性率G’が上記した下限以上であれば、次に説明する工程(2)における貫通孔5の形成を確実に実施でき、さらには、工程(3)における蛍光体樹脂シート3を確実に切断することができる。
極小値における貯蔵剪断弾性率G’が上記した上限以下であれば、次に説明する工程(6)において、蛍光体樹脂シート3の粘度が十分に下降し、そのため、蛍光体樹脂シート3の半導体素子15(図4F参照)に対する密着力に優れる。
5.シート部材の製造方法
貫通孔5を有する蛍光体樹脂シート3を複数備える第1シート部材および第2シート部材の製造方法を、図3A〜図4Eを参照して説明する。
第2シート部材7の製造方法は、剥離支持シート10および蛍光体樹脂シート3を備える第1シート部材1を用意する工程(1)(図3A参照)と、第1シート部材1に貫通孔5を形成する工程(2)(図3B参照)と、蛍光体樹脂シート3を切断する工程(3)(図3C参照)とを順に備える。また、第2シート部材7の製造方法は、次いで、蛍光体樹脂シート3を剥離支持シート10から基材の一例としての延伸支持シート11に転写して、第2シート部材7を得る工程(4)(図4D参照)と、第2シート部材7を延伸する工程(5)(図4D参照)と、蛍光体樹脂シート3を光半導体素子15に貼着する工程(6)(図4E参照、貼着工程の一例)とを順に備える。
5−1.工程(1)
図3Aに示すように、工程(1)では、剥離支持シート10および蛍光体樹脂シート3を備える第1シート部材1を用意する。
工程(1)では、まず、剥離支持シート10を用意する。剥離支持シート10は、上記した支持シート2の一例である。剥離支持シート10は、蛍光体樹脂シート3の下面を保護するとともに、工程(2)における貫通孔5の形成、および、工程(3)における蛍光体樹脂シート3の切断において、蛍光体樹脂シート3を支持する。剥離支持シート10は、可撓性フィルムからなる。また、剥離支持シート10の貼着面、つまり、蛍光体樹脂シート3に対する接触面は、必要によりフッ素処理などの剥離処理されている。
剥離支持シート10としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルム(PETなど)などのポリマーフィルム、例えば、セラミクスシート、例えば、金属箔などが挙げられる。剥離支持シート10は、平面視略矩形状(短冊状、長尺状を含む)などを有している。剥離支持シート10の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、2,000μm以下、好ましくは、1,000μm以下である。
その後、剥離支持シート10の上面に、上記した蛍光体樹脂組成物のワニスを塗布する。その後、蛍光体樹脂組成物が、熱硬化性樹脂を含有する場合には、蛍光体樹脂組成物を加熱によりBステージ化する。
これによって、剥離支持シート10と、剥離支持シート10の上面に配置される蛍光体樹脂シート3(好ましくは、Bステージの蛍光体樹脂シート3)とを備える第1シート部材1を得る。
なお、剥離支持シート10の周端部の上面は、蛍光体樹脂シート3から露出している。
5−2.工程(2)
図3Bに示すように、工程(2)では、第1シート部材1に貫通孔5を形成する。
貫通孔5は、蛍光体樹脂シート3を第1シート部材1において、前後方向および左右方向に互いに間隔を隔てて複数整列配置されている。複数の貫通孔5のそれぞれは、第1シート部材1を厚み方向(上下方向)に貫通する丸孔である。貫通孔5は、剥離支持シート10および蛍光体樹脂シート3のいずれにも形成されているので、貫通面6は、剥離支持シート10および蛍光体樹脂シート3にわたって連続する。
工程(2)を実施する方法として、例えば、第1シート部材1をパンチングする方法、例えば、第1シート部材1をブラスト加工する方法、例えば、第1シート部材1をドリル加工する方法、例えば、レーザ加工する方法などの穿孔方法が挙げられる。
パンチングでは、パンチング金型22を、第1シート部材1の上方、または、下方から第1シート部材1を貫通するように、移動させる。好ましくは、パンチング金型22を、第1シート部材1の上方(具体的には、蛍光体樹脂シート3側)から、第1シート部材1を貫通するように、下方に向かって移動させる。パンチング金型22を下方に移動させれば、パンチング金型22を上方に移動させる方法に比べて、パンチングにより生じるかす(ゴミ)などを容易に除去することができる。
ブラスト加工として、例えば、直圧式ブラスト加工、サイフォン式加工などが挙げられる。ブラスト加工では、具体的に、第1シート部材1において、貫通孔5を形成する箇所以外にレジストを配置して、レジストによって第1シート部材1を被覆した後、噴射材料を第1シート部材1に噴射する。ブラスト加工に用いる噴射材料の種類や粒径、噴射速度、方式(直圧式、サイフォン式)などを適宜調整することにより、貫通孔5の寸法を適宜調整する。
レーザ加工では、YAGレーザ、CO2レーザなどのレーザが用いられる。
ブラスト加工は、レーザ加工よりも、生産性の向上を図ることができる。
工程(2)を実施する方法として、タクトタイムの短縮、加工費用の低減の観点から、好ましくは、第1シート部材1をパンチングする方法、第1シート部材1をドリル加工する方法が挙げられる。
第1シート部材1をドリル加工する場合には、ドリルは、径が小さいことから、破損し(折れ)易いので、それを防止するためにドリル加工に長時間を要する。そのため、タクトタイムの短縮の観点から、より好ましくは、第1シート部材1をパンチングする方法が挙げられる。
また、工程(2)を実施する方法として、寸法安定性の観点から、さらに好ましくは、第1シート部材1をパンチングする方法が挙げられる。
そして、複数の貫通孔5が第1シート部材1に形成されることによって、第1シート部材1には、複数の貫通孔5のそれぞれに臨む複数の貫通面6のそれぞれが形成される。つまり、この工程(2)では、貫通孔5および貫通面6が同時に形成される。
貫通面6は、第1シート部材1において厚み方向(上下方向)に延びる貫通孔5の内周面である。
貫通孔5および貫通面6の寸法は、後述する光半導体素子15の接続部18およびワイヤ29(図4F参照)の寸法に応じて適宜設定される。具体的には、貫通孔5の直径Dは、例えば、0.030mm以上、好ましくは、0.050mm以上であり、また、例えば、0.3mm以下、好ましくは、0.2mm以下である。前後方向および左右方向に隣接する貫通孔5間の間隔L5は、例えば、0.05mm以上、好ましくは、0.1mm以上であり、また、例えば、10mm以下、好ましくは、5mm以下である。また、隣接する貫通孔5のピッチL6、すなわち、貫通孔5の直径Dと間隔L5との和は、例えば、0.08mm以上、好ましくは、0.15mm以上であり、また、例えば、10.3mm以下、好ましくは、5.2mm以下である。
なお、複数の貫通孔5を有する蛍光体樹脂シート3は、本発明の蛍光体樹脂シートの一例である。
5−3.工程(3)
工程(3)では、蛍光体樹脂シート3を切断する。
具体的には、複数の蛍光体樹脂シート3のそれぞれが複数の貫通孔5のそれぞれを有するように、蛍光体樹脂シート3を個片化する。
蛍光体樹脂シート3に、前後切断線12および左右切断線13が形成されるように、切断する。
前後切断線12は、前後方向に延び、左右方向に間隔を隔てて形成される。左右切断線13は、左右方向に延び、前後方向に間隔を隔てて形成される。
一方、前後切断線12および左右切断線13のいずれも、貫通孔5を通過しない。
工程(3)を実施する方法として、例えば、切断刃による加工、ブラスト加工、レーザ加工などが挙げられる。
切断刃としては、例えば、円盤状を有し、その軸に対して回転可能なダイシングソー(ダイシングブレード)、例えば、略水平に沿う刃先を有するトムソン刃(図示せず)が挙げられる。切断刃として、好ましくは、トムソン刃が挙げられる。
ブラスト加工として、上記したブラスト加工が用いられる。
レーザ加工では、上記したレーザが用いられる。
円滑な切断性の観点から、好ましくは、切断刃による加工、ブラスト加工が挙げられ、寸法安定性の観点から、より好ましくは、切断刃による加工が挙げられる。
なお、上記した蛍光体樹脂シート3の切断に伴って、例えば、剥離支持シート10の上面にも上記した前後切断線12および左右切断線13が形成されていてもよい。
第2シート部材7において、個片化された蛍光体樹脂シート3は、本発明の蛍光体樹脂シートの一例でもある。
5−4.工程(4)
図4Dに示すように、工程(4)では、蛍光体樹脂シート3を剥離支持シート10から延伸支持シート11に転写して、第2シート部材7を得る。
工程(4)では、図3Cに示すように、延伸支持シート11を用意する。
延伸支持シート11は、個片化された複数の蛍光体樹脂シート3のそれぞれを支持しつつ、それらを面方向において互いに間隔を隔てられるように、延伸可能なシートであり、例えば、感圧接着シートある。また、例えば、延伸支持シート11は、処理(例えば、活性エネルギー線の照射など)によって感圧着力が低下して、それによって、後述する光半導体素子15に転写可能なシートである。
延伸支持シート11としては、例えば、特開2014−168036号公報、特開2014−168033号公報、特開2014−130918号公報、特開2014−090157号公報、特開2014−075450号公報に記載のものが挙げられる。延伸支持シート11として、市販品が用いられ、例えば、SPVシリーズ(SPV−224S、感圧接着シート、日東電工社製)などが用いられる。
延伸支持シート11の厚みは、例えば、0.1mm以上1mm以下である。
工程(4)では、図3Cに示すように、延伸支持シート11を、蛍光体樹脂シート3の上方に配置する。次いで、延伸支持シート11の下面を、蛍光体樹脂シート3の上面に接触させ、それらを感圧接着させる。
その後、図4Dに示すように、剥離支持シート10を蛍光体樹脂シート3から引き剥がす。
これによって、蛍光体樹脂シート3と、蛍光体樹脂シート3の上面に配置される延伸支持シート11とを備える第2シート部材7を得る。
なお、第2シート部材7は、上記した第1シート部材1の一例でもある。
5−5.工程(5)
図4Eに示すように、工程(5)では、第2シート部材7を面方向に外側に延伸する。
具体的には、延伸支持シート11の周端部を、前後方向外側および左右方向外側(面方向外側)に向かって延伸させる。
これによって、個片化された複数の蛍光体樹脂シート3の面方向の間に、間隔Iが生じ、かつ、それらが互いに隔てられる。
5−6.工程(6)
図4Eに示すように、工程(6)では、蛍光体樹脂シート3を光半導体素子15に貼着する。
工程(6)では、光半導体素子15を用意する。(貼着工程の一例)
光半導体素子15は、基板16に配置されている。
基板16は、略板形状を有しており、絶縁材料からなる。また、基板16は、光半導体素子15の前方に端子17を備える。端子17は、基板16の上面に配置されている。
そして、光半導体素子15は、基板16の上面に固定されており、端子17と間隔を隔てて配置されている。光半導体素子15は、略矩形板形状を有しており、光半導体材料からなる。また、光半導体素子15の上面には、接続部18が形成されている。
工程(6)を実施するには、針などの押圧部材(図示せず)を第2シート部材7の上方に配置し、続いて、押圧部材を、1つの蛍光体樹脂シート3に対応する延伸支持シート11を押し込むことによって、1つの蛍光体樹脂シート3を押し下げる。なお、蛍光体樹脂シート3の押し込みは、複数の蛍光体樹脂シート3のそれぞれについて、順次実施される。
別途、熱源を、基板16の下側に配置させ、かかる熱源によって、基板16および光半導体素子15を加熱する。なお、熱源は、第2シート部材7を直接加熱しないように、基板16に対して配置される。
加熱温度は、例えば、40℃以上、好ましくは、45℃以上であり、また、200℃以下、好ましくは、180℃以下、より好ましくは、150℃以下である。
続いて、加熱された光半導体素子15に対して、蛍光体樹脂シート3を接触させる。
すると、光半導体素子15の上面に接触した蛍光体樹脂シート3は、上記した温度に加熱される。そのため、蛍光体樹脂シート3は、まず、蛍光体樹脂組成物(具体的には、樹脂)が可塑化することに基づいて、光半導体素子15の上面に貼着する。続いて、蛍光体樹脂シート3は、樹脂がわずかに硬化することに基づいて、光半導体素子15の上面に対して、強固に密着する。
蛍光体樹脂シート3のガラス板に対する密着力は、例えば、0.10N/8.5mm以上、好ましくは、0.20N/8.5mm以上、より好ましくは、0.30N/8.5mm以上、さらに好ましくは、0.40N/8.5mm以上、とりわけ好ましくは、0.50N/8.5mm以上であり、また、例えば、10.00N/8.5mm以下である。密着力が上記下限以上であれば、蛍光体樹脂シート3および光半導体素子15の良好な密着力を確保することができる。
その後、延伸支持シート11を蛍光体樹脂シート3から剥離する。具体的には、押圧部材を上方に引き上げて、延伸支持シート11を上方に引き上げる。
その後、貼着光半導体素子19および基板16を、例えば、オーブンなどによって、加熱する。蛍光体樹脂組成物が熱硬化性樹脂を含有する場合には、熱硬化性樹脂が完全硬化(Cステージ化)する。
加熱温度は、例えば、100℃以上、好ましくは、120℃以上であり、また、例えば、200℃以下、好ましくは、160℃以下である。また、加熱時間が、例えば、10分以上、好ましくは、30分以上であり、また、例えば、480分以下、好ましくは、300分以下である。
なお、加熱を、異なる温度で複数回実施することもできる。
これによって、樹脂が熱硬化性樹脂である場合には、熱硬化性樹脂を硬化(Cステージ化)させる。これによって、熱硬化性樹脂を完全に反応させて生成物を生成する。
(生成物)
樹脂が、熱硬化性のシリコーン樹脂組成物である場合において、シリコーン樹脂組成物の反応(Cステージ化反応)では、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基および/またはシクロアルケニル基と、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンのヒドロシリル基とのヒドロシリル付加反応がさらに促進される。その後、アルケニル基および/またはシクロアルケニル基、あるいは、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンのヒドロシリル基が消失して、ヒドロシリル付加反応が完結することによって、Cステージのシリコーン樹脂組成物、つまり、生成物(あるいは硬化物)が得られる。つまり、ヒドロシリル付加反応の完結により、シリコーン樹脂組成物において、硬化性(具体的には、熱硬化性)が発現する。
上記したCステージの生成物において、ケイ素原子に直接結合する炭化水素基におけるフェニル基の含有割合は、例えば、30モル%以上、好ましくは、35モル%以上であり、また、例えば、55モル%以下、好ましくは、50モル%以下である。
上記したフェニル基の含有割合は、29Si−NMRにより算出される。フェニル基の含有割合の算出方法の詳細は、例えば、WO2011/125463などの記載に基づいて、29Si−NMRにより算出される。
これによって、蛍光体樹脂シート3が光半導体素子15の上面に対して接着する。
これにより、基板16の上において、光半導体素子15と、光半導体素子15の上面に密着する蛍光体樹脂シート3とを備える貼着光半導体素子19を得る。
光半導体素子15の接続部18は、蛍光体樹脂シート3の貫通孔5から露出する。
6.光半導体装置の製造方法
次に、光半導体装置30の製造方法を説明する。
この方法は、上記した貼着光半導体素子19を用意する工程(図4F参照)と、接続部18および端子17を電気的に接続する工程(図4F参照)とを備える。
図4Fに示すように、接続部18および端子17を電気的に接続するには、それらをワイヤボンディングする。
ワイヤボンディングでは、ワイヤ29を用意し、続いて、ワイヤ29の一端部を接続部18と電気的に接続し、ワイヤ29の他端部を端子17と電気的に接続させる。また、ワイヤ29は、貫通孔5を通過している。つまり、ワイヤ29は、貫通面6に臨む空間を通過している。
なお、ワイヤ29は、上側に向かって撓むように配置されている。具体的には、ワイヤ29は、下方に向かって開放される略U字形状に撓んでいる。
これにより、貼着光半導体素子19と、ワイヤ29と、端子17と、基板16とを備える光半導体装置30が得られる。
7.作用効果
この蛍光体樹脂シート3は、40℃以上、200℃以下の範囲で、光半導体素子15に貼着するように使用するときに、極小値における温度Tが、40℃以上、200℃以下の範囲にあり、極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、1,000Pa以上、90,000Pa以下の範囲にあるので、優れた密着力で光半導体素子15に貼着できる。
また、この蛍光体樹脂シート3は、上記した貯蔵剪断弾性率G’を有するので、貫通孔5が高い精度で形成されている。そのため、この蛍光体樹脂シート3を備える貼着光半導体素子19は、信頼性に優れる。
さらに、蛍光体樹脂シート3は、貫通孔5を有するので、貫通孔5を通過するワイヤを通過させることができる。
その結果、光半導体素子15に対する密着力に優れながら、光半導体素子15の電気的接続を確保することができる。
また、この貼着光半導体素子19の製造方法において、工程(6)では、蛍光体樹脂シート3を、40℃以上、200℃以下の温度で、光半導体素子15に対して貼着すれば、優れた密着力で光半導体素子15に貼着できる。そのため、信頼性に優れた貼着光半導体素子19を製造することができる。
さらに、この貼着光半導体素子19は、上記した蛍光体樹脂シート3を備えるので、信頼性に優れる。
8.変形例
第1実施形態では、図1に示すように、貫通孔5は、平面視略円形状である。しかし、貫通孔5の平面視形状は、上記に限定されない。例えば、多角形状(矩形状を含む)、楕円形状などであってもよい。
第1実施形態では、貫通孔5は、1つの蛍光体樹脂シート3に対して、1つ設けられている。しかし、貫通孔5の数は、上記に限定されない。
図示しないが、例えば、貫通孔5は、1つの蛍光体樹脂シート3に対して、複数(2個以上)も設けられてもよい(図3Bの複数の貫通孔5参照)。
第1実施形態では、図3Cおよび図4Dに示すように、蛍光体樹脂シート3を、剥離支持シート10から延伸支持シート11に転写する工程(4)を備える。
しかし、工程(4)を備えず、蛍光体樹脂シート3を延伸支持シート11の上面に塗布して、延伸支持シート11の上面に蛍光体樹脂シート3を直接設けて、蛍光体樹脂シート3および延伸支持シート11からなる第2シート部材7を得、その後、蛍光体樹脂シート3に貫通孔5を形成し、続いて、蛍光体樹脂シート3を個片化することもできる。
第1実施形態では、蛍光体樹脂シート3に貫通孔5を形成した後、蛍光体樹脂シート3を個片化(切断)している。しかし、貫通孔5を形成した後、蛍光体樹脂シート3を個片化(切断)せずに、蛍光体樹脂シート3を得ることもできる。
第1実施形態では、光半導体装置30の製造方法において、光半導体素子15を、基板16に予め固定して用意したが、例えば、図示しないが、仮定固定シートによって、光半導体素子15を仮固定することもできる。その場合には、光半導体素子15に蛍光体樹脂シート3を貼着して、貼着光半導体素子19を、仮固定シートによって支持した状態で得、その後、貼着光半導体素子19を基板16に実装し、ワイヤ29によってワイヤボンディングすることもできる。
第1実施形態では、図1および図2に示すように、第1シート部材1は、蛍光体樹脂シート3に対して、1つの支持シート2を備える。しかし、図示しないが、第1シート部材1は、蛍光体樹脂シート3の厚み方向両側に配置される2つの支持シート2を備えることもできる。
蛍光体樹脂シート3の上側に配置される支持シート2は、工程(2)および工程(3)にわたって、蛍光体樹脂シート3の上面を保護できる。
<第2実施形態>
第2実施形態において、第1実施形態と同様の部材および製造工程については、第1実施形態同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
1.蛍光体樹脂シート
図1に示すように、第1実施形態では、蛍光体樹脂シート3は、貫通孔5を有する。
一方、図5に示すように、第2実施形態では、蛍光体樹脂シート3は、周端面4から内側に切り欠かれる切欠部23を有する。
切欠部23は、周端面4における前面および左面からなる稜線部(図5において図示せず)を厚み方向に沿って切り欠く(面取りする)ように、形成されている。切欠部23は、平面視略扇形状(略円弧形状)を有する。切欠部23の円弧をなす曲率半径Rは、蛍光体樹脂シート3の製造途中に形成される貫通孔5(後述)の直径に応じて適宜設定され、具体的には、例えば、30μm以上、好ましくは、50μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、400μm以下である。
2.蛍光体樹脂シートの製造方法
第2シート部材7の製造方法は、剥離支持シート10および蛍光体樹脂シート3を備える第1シート部材1を用意する工程(1)(図6A参照)と、第1シート部材1に貫通孔5を形成する工程(2)(図6B参照)と、蛍光体樹脂シート3を切断する工程(3)(図6C参照)と、蛍光体樹脂シート3を剥離支持シート10から延伸支持シート11に転写して、第2シート部材7を得る工程(4)(図7D参照)とを順に備える。また、第2シート部材7の製造方法は、次いで、第2シート部材7を延伸する工程(5)(図7E参照)と、蛍光体樹脂シート3を光半導体素子15に貼着する工程(6)(図7F参照、貼着工程の一例)とを順に備える。
2−1.工程(1)
図6Aに示すように、工程(1)では、剥離支持シート10および蛍光体樹脂シート3を備える第1シート部材1を用意する。
2−2.工程(2)
図6Bに示すように、工程(2)では、第1シート部材1に貫通孔5を形成する。
なお、貫通孔5は、次の工程(3)において、その貫通面6が、複数に個片化された蛍光体樹脂シート3(図6C参照)のそれぞれに分け与えられる寸法を有する。
具体的には、貫通孔5の直径D2は、例えば、30μm以上、好ましくは、50μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、400μm以下である。また、隣接する貫通孔5のピッチL7は、例えば、50μm以上、好ましくは、100μm以上であり、また、例えば、10mm以下、好ましくは、5mm以下である。
2−3.工程(3)
図6Cに示すように、工程(3)では、第1切断線31が複数の貫通孔5を通過するように、蛍光体樹脂シート3を切断する。
具体的には、1つの貫通孔5を区画する貫通面6が複数の蛍光体樹脂シート3のそれぞれに分け与えられて、1つの貫通面6を分割するように、蛍光体樹脂シート3を切断する。
具体的には、第1切断線31が、複数の貫通孔5のそれぞれの中心を通過するように、蛍光体樹脂シート3を切断する。すると、1つの貫通面6が複数に分割される。
第1切断線31は、前後方向に延び、左右方向に互いに間隔を隔てて配置される第1前後切断線32と、左右方向に延び、前後方向に互いに間隔を隔てて配置される第1左右切断線33とを有している。
第1前後切断線32および第1左右切断線33は、複数の貫通孔5のそれぞれの中心において、直交するように、交差している。
また、第1切断線31に沿う蛍光体樹脂シート3の切断とともに、第2切断線34に沿う蛍光体樹脂シート3の切断を実施する。
第2切断線34は、貫通孔5を通過せず、具体的には、隣接する貫通孔5の間を通過する。第2切断線34は、前後方向に延び、第1前後切断線32に隣接して並行する第2前後切断線35と、左右方向に延び、第1左右切断線33に隣接して並行する第2左右切断線36とを有している。
第2前後切断線35と第1前後切断線32とは、左右方向において、交互に等間隔で配置されている。第2左右切断線36と第1左右切断線33とは、前後方向において、交互に等間隔で配置されている。
そして、上記した第1切断線31および第2切断線34に沿う蛍光体樹脂シート3の切断により、複数の蛍光体樹脂シート3が剥離支持シート10に支持された状態で得られる。
2−4.工程(4)
図7Dに示すように、工程(4)では、蛍光体樹脂シート3を剥離支持シート10から延伸支持シート11に転写する。
これにより、延伸支持シート11と、蛍光体樹脂シート3とを備える第2シート部材7を得る。
2−5.工程(5)
図7Eに示すように、工程(5)では、第2シート部材7を面方向に外側に延伸する。
具体的には、延伸支持シート11の周端部を、前後方向外側および左右方向外側(面方向外側)に向かって延伸させる。
これによって、個片化された複数の蛍光体樹脂シート3の面方向の間隔Iが生じ、かつ、それらが面方向に隔てられる。
2−6.工程(6)
図7Eに示すように、工程(6)では、蛍光体樹脂シート3を光半導体素子15に貼着する。
蛍光体樹脂シート3を、切欠部23が接続部18を露出するように、光半導体素子15の上面に貼着する。
これにより、貼着光半導体素子19が得られる。
6.光半導体装置の製造方法
光半導体装置30の製造方法において、ワイヤ29を、切欠部23に対応する蛍光体樹脂シート3を迂回するように、接続部18および端子17を電気的に接続する。
7.作用効果
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、この蛍光体樹脂シート3は、切欠部23を有するので、ワイヤ29が、切欠部23に対応する蛍光体樹脂シート3を迂回することができる。
8.変形例
切欠部23の平面視形状は、上記に限定されない。図8Aに示すように、切欠部23は、平面視略三角形状を有することができる。図8Bに示すように、切欠部23は、平面視略矩形形状を有することができる。
図5に示すように、切欠部23は、1つの蛍光体樹脂シート3に対して、1つ設けられている。しかし、切欠部23の数は、特に限定されない。
例えば、図8Cに示すように切欠部23は、1つの蛍光体樹脂シート3に対して、2つ設けられもよい。2つの切欠部23のそれぞれは、蛍光体樹脂シート3の前面の幅方向両端部に位置する2つの稜線部のそれぞれに対応して、設けられている。
以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
<アルケニル基含有ポリシロキサンおよびヒドロシリル基含有ポリシロキサンの合成>
合成例1
撹拌機、還流冷却管、投入口および温度計が装備された四ツ口フラスコに、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン93.2g、水140g、トリフルオロメタンスルホン酸0.38gおよびトルエン500gを投入して混合し、撹拌しつつメチルフェニルジメトキシシラン729.2gとフェニルトリメトキシシラン330.5gの混合物1時間かけて滴下し、その後、1時間加熱還流した。その後、冷却し、下層(水層)を分離して除去し、上層(トルエン溶液)を3回水洗した。水洗したトルエン溶液に水酸化カリウム0.40gを加え、水分離管から水を除去しながら還流した。水の除去完了後、さらに5時間還流し、冷却した。その後、酢酸0.6gを投入して中和した後、ろ過して得られたトルエン溶液を3回水洗した。その後、減圧濃縮することにより、液体状のアルケニル基含有ポリシロキサンAを得た。アルケニル基含有ポリシロキサンAの平均単位式および平均組成式は、以下の通りである。
平均単位式:
((CH=CH)(CHSiO1/20.15(CHSiO2/20.60(CSiO3/20.25
平均組成式:
(CH=CH)0.15(CH0.90(C0.85SiO1.05
つまり、アルケニル基含有ポリシロキサンAは、Rがビニル基、Rがメチル基およびフェニル基であり、a=0.15、b=1.75である上記平均組成式(1)で示される。
また、ゲル透過クロマトグラフィーによって、アルケニル基含有ポリシロキサンAのポリスチレン換算の重量平均分子量を測定したところ、2,300であった。
合成例2
撹拌機、還流冷却管、投入口および温度計が装備された四ツ口フラスコに、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン93.2g、水140g、トリフルオロメタンスルホン酸0.38gおよびトルエン500gを投入して混合し、撹拌しつつジフェニルジメトキシシラン173.4gとフェニルトリメトキシシラン300.6gの混合物1時間かけて滴下し、滴下終了後、1時間加熱還流した。その後、冷却し、下層(水層)を分離して除去し、上層(トルエン溶液)を3回水洗した。水洗したトルエン溶液に水酸化カリウム0.40gを加え、水分離管から水を除去しながら還流した。水の除去完了後、さらに5時間還流し、冷却した。酢酸0.6gを投入して中和した後、ろ過して得られたトルエン溶液を3回水洗した。その後、減圧濃縮することにより、液体状のアルケニル基含有ポリシロキサンBを得た。アルケニル基含有ポリシロキサンBの平均単位式および平均組成式は、以下の通りである。
平均単位式:
(CH=CH(CHSiO1/20.31((CSiO2/20.22(CSiO3/20.47
平均組成式:
(CH=CH)0.31(CH0.62(C0.91SiO1.08
つまり、アルケニル基含有ポリシロキサンBは、Rがビニル基、Rがメチル基およびフェニル基であり、a=0.31、b=1.53である上記平均組成式(1)で示される。
また、ゲル透過クロマトグラフィーによって、アルケニル基含有ポリシロキサンBのポリスチレン換算の重量平均分子量を測定したところ、1,000であった。
合成例3
撹拌機、還流冷却管、投入口および温度計が装備された四ツ口フラスコに、ジフェニルジメトキシシラン325.9g、フェニルトリメトキシシラン564.9g、およびトリフルオロメタンスルホン酸2.36gを投入して混合し、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン134.3gを加え、撹拌しつつ酢酸432gを30分かけて滴下した。滴下終了後、混合物を撹拌しつつ50℃に昇温して3時間反応させた。室温まで冷却した後、トルエンと水を加え、良く混合して静置し、下層(水層)を分離して除去した。その後、上層(トルエン溶液)を3回水洗した後、減圧濃縮することにより、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンC(架橋剤C)を得た。
ヒドロシリル基含有ポリシロキサンCの平均単位式および平均組成式は、以下の通りである。
平均単位式:
(H(CHSiO1/20.33((CSiO2/20.22(CPhSiO3/20.45
平均組成式:
0.33(CH0.66(C0.89SiO1.06
つまり、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンCは、Rがメチル基およびフェニル基であり、c=0.33、d=1.55である上記平均組成式(2)で示される。
また、ゲル透過クロマトグラフィーによって、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンCのポリスチレン換算の重量平均分子量を測定したところ、1,000であった。
<その他の原料>
アルケニル基含有ポリシロキサンおよびヒドロシリル基含有ポリシロキサン以外の原料について、以下に詳述する。
[その他、使用した材料]
白金カルボニル錯体:
商品名「SIP6829.2」、Gelest社製、白金濃度2.0質量%
蛍光体:
商品名「Y468」、YAG:Ce、平均粒子径17μm、ネモト・ルミマテリアル社製
ガラス粒子:
組成および組成比率(重量%):SiO/Al/CaO/MgO=60/20/15/5の無機粒子、平均粒子径:20μm
アエロジル粒子:
商品名「R976S」、平均粒子径7nm、エボニック社製
シリコーン系樹脂粒子:
商品名「トスパール145」、平均粒子径4.5μm、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製
<シリコーン樹脂組成物の調製>
調製例1
アルケニル基含有ポリシロキサンA 20g、アルケニル基含有ポリシロキサンB 25g、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンC 25g、白金カルボニル錯体5mgを混合させて、シリコーン樹脂組成物を調製した。
<工程(1)>
実施例A
シリコーン樹脂組成物49.1g、蛍光体34g、シリコーン系樹脂粒子5g、ガラス粒子10g、アエロジル粒子1.9gを加えて、それらを3分間撹拌し、蛍光体樹脂組成物を調製した。
次に、蛍光体樹脂組成物を、剥離シート(セパレータ、品名「SE−1」、厚み50μm、フジコー社製)10の表面に、加熱(ベイク)後の厚みが100μmとなるようにコンマコーターで塗布し、続いて、90℃、5.7分加熱(ベイク)した。これにより、剥離支持シート10と、蛍光体樹脂シート3とを備える第1シート部材Aを得た(図3A参照)。
実施例B
加熱(ベイク)条件を、90℃、8.0分に変更した以外は、実施例Aと同様に処理して、第1シート部材Bを得た(図3A参照)。
実施例C
加熱(ベイク)条件を、90℃、13分に変更した以外は、実施例Aと同様に処理して、第1シート部材Cを得た(図3A参照)。
比較例D
加熱(ベイク)条件を、90℃、8.0分の加熱、および、その後、150℃、8時間の加熱に変更した以外は、実施例Aと同様に処理して、第1シート部材Dを得た(図3A参照)。
比較例E
加熱(ベイク)条件を、90℃、5.0分に変更した以外は、実施例Aと同様に処理して、第1シート部材Eを得た(図3A参照)。
<第2シート部材および貼着光半導体素子の製造>
実施例1(貫通孔を有する蛍光体樹脂シート)
<工程(2)>
図3Bに示すように、第1シート部材1の上方に配置されたパンチング金型22を用いて、第1シート部材1を上方からパンチングして、第1シート部材1に、直径Dが150μmである貫通孔5を形成した。
<工程(3)>
図3Cに示すように、トムソン刃による切断により、蛍光体樹脂シート3を個片化した。
<工程(4)>
図4Dに示すように、蛍光体樹脂シート3を剥離支持シート10から延伸支持シート11に転写して、第2シート部材7を得た。
<工程(5)>
図4Eに示すように、延伸支持シート11を延伸した。
<工程(6)>
続いて、図4Eが参照されるように、基板16と、基板16に対して固定された光半導体素子15と、基板16の下方に配置された熱源とを用意した。
続いて、熱源の温度を、60℃に設定した。
その後、図4Fに示すように、光半導体素子15に対して、蛍光体樹脂シート3を貼着した。
これにより、光半導体素子15と、蛍光体樹脂シート3とを備える貼着光半導体素子19を得た。
なお、実施例1における各寸法は、以下の通りであった。
複数の貫通孔5のそれぞれの直径D :153μm
蛍光体樹脂シート3の前後方向長さL1 :1000μm
蛍光体樹脂シート3の左右方向L2 :1000μm
貫通孔5の中心から前面までの距離 :125μm
貫通孔5の中心から左面までの距離 :125μm
隣接する貫通孔5間の間隔 :870μm
実施例2〜実施例4および比較例1、2
表1に基づき処方を変更した以外は、実施例1と同様にして、貼着光半導体素子19を得た。
実施例5(切欠部を有する蛍光体樹脂シート)
工程(2)における貫通孔の直径D2を200μmに設定し、工程(3)において、第1切断線31が貫通孔5を通過し、第2切断線34が貫通孔5を通過しないように、蛍光体樹脂シート3を切断した以外は、実施例1と同様に処理した(図6A〜図7F参照)。
蛍光体樹脂シート3には、貫通孔5ではなく、平面視円弧形状の切欠部23が形成されていた。
また、切欠部23の曲率半径Rは、200μmであった。
<評価>
下記の項目を評価し、それらの結果を、表1に示す。
(貯蔵剪断弾性率G’)
実施例A〜比較例Eで得られた第1シート部材における蛍光体樹脂シート3を、下記の条件で、動的粘弾性測定した。
[条件]
粘弾性装置:回転式レオメータ(C−VOR装置、マルバーン社製)
サンプル形状:円板形状
サンプル寸法:厚み225μm、直径8mm
歪量:10%
周波数:1Hz
プレート径:8mm
プレート間ギャップ:200μm
昇温速度20℃/分
温度範囲:20〜200℃
貯蔵剪断弾性率G’と温度Tとの関係を示す曲線を図9に示す。
また、貯蔵剪断弾性率G’の極小値、および、25℃における貯蔵剪断弾性率G’を表1に示す。
(蛍光体樹脂シートのガラス板に対する密着力)
実施例1〜比較例2で用いた第1シート部材1を、幅8.5mmで切り出し、実施例1〜比較例2におけるそれぞれの熱プレス条件で厚み1mmのガラス板に真空熱プレスし、剥離シートを剥離してから100℃で10分加熱し、その後、150℃で8時間加熱して、蛍光体樹脂シート3を完全硬化(フルキュア)(Cステージ化)させて、25℃における蛍光体樹脂シート3のガラス板に対する密着力を算出した。その結果を表1に示す。その結果を表1に示す。
(貫通孔または切欠部の寸法精度)
貫通孔5または切欠部23の寸法精度を、実寸と目標寸法との誤差が、5%以内であれば、○と評価し、5%超過であれば、×と評価した。
なお、比較例2については、工程(2)において、糸引きが観察された。
(シリコーン樹脂組成物の反応により得られる生成物におけるケイ素原子に直接結合する炭化水素基の含有割合の測定)
シリコーン樹脂組成物(つまり、蛍光体およびフィラーが含まれていないシリコーン樹脂組成物)の反応により得られる生成物中、ケイ素原子に直接結合する炭化水素基におけるフェニル基の含有割合(モル%)を、29Si−NMRにより算出した。
具体的には、Aステージのシリコーン樹脂組成物を、蛍光体およびフィラーを添加せずに、100℃1時間で、反応(完全硬化、Cステージ化)させて、生成物を得た。
次いで、得られた生成物の29Si−NMRを測定することで、ケイ素原子に直接結合している炭化水素基におけるフェニル基が占める割合(モル%)を算出した。
その結果、シリコーン樹脂組成物の反応により得られる生成物の炭化水素基におけるフェニル基の含有割合は、48%であった。
Figure 2017215459
2 支持シート
3 蛍光体樹脂シート
5 貫通孔
10 剥離支持シート
11 延伸支持シート
15 光半導体素子
19 貼着光半導体素子
23 切欠部

Claims (4)

  1. 厚み方向を貫通する貫通孔を有する蛍光体樹脂シートであり、
    前記蛍光体樹脂シートを周波数1Hzおよび昇温速度20℃/分の条件で動的粘弾性測定することにより得られる貯蔵剪断弾性率G’と温度Tとの関係を示す曲線が、極小値を有し、
    前記極小値における温度Tが、40℃以上、200℃以下の範囲にあり、
    前記極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、1,000Pa以上、90,000Pa以下の範囲にあることを特徴とする、蛍光体樹脂シート。
  2. 周端面から内側に切り欠かれる切欠部を有する蛍光体樹脂シートであり、
    前記蛍光体樹脂シートを周波数1Hzおよび昇温速度20℃/分の条件で動的粘弾性測定することにより得られる貯蔵剪断弾性率G’と温度Tとの関係を示す曲線が、極小値を有し、
    前記極小値における温度Tが、40℃以上、200℃以下の範囲にあり、
    前記極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、1,000Pa以上、90,000Pa以下の範囲にあることを特徴とする、蛍光体樹脂シート。
  3. 請求項1または2に記載の蛍光体樹脂シートを用意するシート用意工程、
    基材に配置される光半導体素子を用意する素子用意工程、および、
    前記蛍光体樹脂シートを、40℃以上、200℃以下の温度で、加熱しながら、前記光半導体素子に対して貼着する貼着工程
    を備えることを特徴とする、貼着光半導体素子の製造方法。
  4. 光半導体素子と、
    前記光半導体素子の表面に貼着された請求項1または2に記載の蛍光体樹脂シートと
    を備えることを特徴とする、貼着光半導体素子。
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