JP2017215351A - 可飽和吸収素子の製造方法、可飽和吸収素子及びレーザ装置 - Google Patents

可飽和吸収素子の製造方法、可飽和吸収素子及びレーザ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】カーボンナノウォールに鉄等の酸化物を形成する不純物を添加しても製造することができるようにする。【解決手段】基板10上に所定の高さh1まで不純物が添加されていないカーボンナノウォール12aを形成する工程と、所定の高さh1を超えて不純物が添加されたカーボンナノウォール12bを形成する工程と、カーボンナノウォール12が形成された基板10をポリイミド14で包埋する工程と、基板10からポリイミド14を剥離する工程と、不純物が添加されていないカーボンナノウォール12を形成する際に基板10上に形成されたグラファイト層11を除去する工程と、不純物が添加されていないカーボンナノウォール12aを包埋するポリイミド14を所定の高さh1まで除去する工程とを有し、所定の高さh1はグラファイト層11の高さより大きい。【選択図】図6

Description

本発明は、光分野で使用される可飽和吸収素子の製造方法、可飽和吸収素子及びこの可飽和吸収素子を用いたレーザ装置、並びに可飽和吸収素子を製造するための部材に関する。
可飽和吸収素子は、光分野で広く利用されている。可飽和吸収素子は、例えば、受動Qスイッチレーザや受動モード同期レーザのような短パルス光を発生させるレーザ発振器に利用されている。近年は、可飽和吸収素子の新たな材料として、カーボンナノチューブやカーボンナノウォール等の炭素系材料が着目されている(例えば、特許文献1、2を参照)。
図1は、特許文献2に示されたカーボンナノウォールを用いた可飽和吸収素子の製造方法を説明する図である。図1(a)ではプラズマCVD法により基板110上にカーボンナノウォール112が形成され、このとき基板110上に薄いグラファイト層111も形成される。図2は、可飽和吸収素子101を製造するための部材であり、図1(a)の工程で形成された構造の断面図である。この部材において、基板110の表面にグラファイト層111を介してカーボンナノウォール112が形成されている。
図1(b)ではカーボンナノウォール12がポリイミド14で包埋され、図1(c)ではカーボンナノウォール112及びポリイミド114が基板110から剥離される。図1(d)ではカーボンナノウォール112及びポリイミド114が酸素プラズマによるスパッタを用いて研削され、グラファイト層111が除去され、さらに透過率を調整するためにポリイミド114も研削される。図1(e)ではカッティングされて可飽和吸収素子101が得られる。
特開2007−94065号公報 特開2015−118348号公報
カーボンナノウォールを用いた可飽和吸収素子の製造工程において、可飽和吸収素子の特性を改善するため、カーボンナノウォールに鉄等を不純物として添加することが求められている。このような不純物の添加により、可飽和吸収によって励起したキャリアの緩和時間が短くなり、高い繰り返し周波数のパルスについても可飽和吸収特性をあらわすことができる。
しかしながら、鉄を不純物として添加してカーボンナノウォールを形成すると、図2に示したグラファイト層111及びカーボンナノウォール112には鉄が含まれる。このため、図1(c)に示した基板110から剥離されたポリイミド114からグラファイト層111を酸素プラズマによるスパッタで研削しようとすると、不純物の鉄が酸化鉄を形成して研削を進めることができず、可飽和吸収素子を製造することが難しかった。
この発明は、上述の実情に鑑みて提案されるものであって、カーボンナノウォールに鉄等の酸化物を形成する不純物を添加しても製造することができるような可飽和吸収素子の製造方法、そのような不純物を添加した可飽和吸収素子及び可飽和吸収装置を用いたレーザ装置、並びに可飽和吸収素子を製造するために部材を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、この出願に係る可飽和吸収素子の製造方法は、基板上に所定の高さまで不純物が添加されていないカーボンナノウォールを形成する工程と、前記所定の高さを超えて不純物が添加されたカーボンナノウォールを形成する工程と、カーボンナノウォールが形成された前記基板を包埋材で包埋する工程と、前記基板を包埋材から剥離する工程と、不純物が添加されていないカーボンナノウォールを形成する際に前記基板上に形成されたグラファイト層を除去する工程と、前記所定の高さまでカーボンナノウォール及び包埋材を除去する工程とを含み、前記所定の高さは前記グラファイト層の高さより大きい。前記不純物は、金属であってもよい。前記金属は、鉄、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、白金、亜鉛及びマンガンの少なくとも一つを含んでもよい。
この出願に係る可飽和吸収素子は、不純物が添加されたカーボンナノウォールを含んでいる。この出願に係るレーザ装置は、励起光を出力する光源と、光利得媒体及び前記可飽和吸収素子を含み、前記光利得媒体から出力された光を利用してレーザ光を発振する発振器とを含む。
この出願に係る部材は、基板と、前記基板上に形成されたカーボンナノウォールと、カーボンナノウォールが形成された前記基板を包埋する包埋材とを含み、カーボンナノウォールは、前記基板の表面から所定の高さを超えた部分にのみ不純物が添加されている。
この発明によると、酸化物を形成する不純物を添加したカーボンナノウォールを用いた可飽和吸収素子を製造することができる。また、このような可飽和吸収素子及びこの可飽和吸収素子を用いたレーザ装置、並びにこのような可飽和吸収素子を製造するための部材を提供することができる。
従来の可飽和吸収素子の製造方法を説明する図である。 従来の可飽和吸収素子を製造するための部材を説明する断面図である。 実施形態に係る可飽和吸収素子の製造方法を説明する断面図である。 実施形態に係る可飽和吸収素子の製造方法を説明する断面図である。 実施形態に係る可飽和吸収素子の製造方法を説明する断面図である。 実施形態に係る可飽和吸収素子を製造するための部材を説明する断面図である。 カーボンナノウォールの形成を示す顕微鏡写真である。 実施形態に係るレーザ装置の一例を説明する図である。 実施形態に係るレーザ装置の他の例を説明する図である。
以下に、実施形態に係る可飽和吸収素子の製造方法、可飽和吸収素子、レーザ装置及び部材について説明する。可飽和吸収素子は、強度の低い光を吸収し、強度の高い光を透過する素子である。実施形態に係る可飽和吸収素子は、鉄等の不純物が添加されたカーボンナノウォールを含む。具体的には、実施形態に係る可飽和吸収素子は、樹脂又はガラスのような包埋材に包埋された不純物が添加されたカーボンナノウォールを含む。
ここでは、複数のグラファイト片またはグラフェンが一の面に対して垂直に配列されたものをカーボンナノウォールとする。なお、グラファイト片またはグラフェンは一の面に垂直であるが、完全に垂直である必要はない。以下の説明では、グラファイト片を有するカーボンナノウォールを用いて説明する。また、一の面と垂直の高さ方向をグラファイト片及びカーボンナノウォールの高さとする。
〈可飽和吸収素子の製造方法〉
図3から図5を用いて、実施形態に係る可飽和吸収素子の製造方法について説明する。図3(a)に示すように、平坦な表面を有する基板10を用意する。この基板10をプラズマCVDを実施できるような適切なチャンバに格納する。
実施形態の基板10は、ガラスのような絶縁体材料であるが、その表面にカーボンナノウォールを形成できるものであれば他の材料によっても形成することができる。例えば、石英のような絶縁体材料、シリコンのような半導体材料、ニッケル、コバルト、チタン又はこれらの合金等の金属材料であってもよい。
図3(b)に示すように、プラズマCVDにより基板10の表面にカーボンの堆積を開始する。基板10の表面から高さh0までは、カーボンナノウォールは形成されずに、薄いグラファイト層11が形成される。
実施形態では、カーボンを堆積させるためのカーボン源にメタンを使用し、メタン及び水素の混合ガスを原料ガスとしてチャンバ内に供給している。原料ガスは、カーボンナノウォールの成長速度等を調整するために、メタン及び水素の流量比を調整することができる。なお、カーボン源はメタンに限らず、エタン、エチレン、アセチレン、又はこれらの混合物を含む炭化水素系ガスであってもよい。
チャンバにはこのような原料ガスとともに、アルゴンガスで生成したプラズマも供給する。原料ガスは、プラズマ中のラジカルによって励起され、イオン化される。イオン化された原料ガスに含まれるカーボンは、基板10の表面に徐々に堆積する。なお、プラズマを生成するガスは、アルゴンガスに限らず、他の不活性ガスであってもよい。
図3(c)に示すように、グラファイト層11が高さh0に達すると、グラファイト層11の表面上に垂直な複数のグラファイト片を有するカーボンナノウォール12aの成長が開始される。このとき、複数のグラファイト片は、グラファイト層11上に略均一に分散された状態で形成される。
カーボンナノウォール12aは、グラファイト層の高さh0より大きい所定の高さh1まで成長を継続させる。所定の高さh1までのカーボンナノウォール12aの成長は、含量ガスの流量比等により所定の成長速度に設定されたカーボンナノウォール12aを所定の時間にわたり成長させることにより達成される。
図3(d)に示すように、カーボンナノウォール12aが高さh1に達すると、高さh1を超えて不純物の鉄を添加したカーボンナノウォール12bの成長を開始させる。実施形態では、ターゲットの鉄をスパッタすることにより不純物の鉄を添加している。ターゲットのスパッタは、チャンバ内のターゲットを基板10に近づけ、ターゲットに所定の電圧を印加してプラズマのイオン粒子をターゲットに衝突させることで開始している。
なお、ターゲットのスパッタは、予め基板10に近づけて配置されたターゲットに電圧を印加することにより開始してもよい。また、予め基板に近づけて配置されるとともに電圧が印加されたターゲットをプラズマと壁を隔てて配置しておき、壁を取り除くことによりスパッタを開始してもよい。
実施形態では、不純物として鉄が添加されるが、不純物はマグネシウム、カルシウム、アルミニウム、白金、亜鉛及びマンガン等の金属であってもよく、他の酸化物を形成する物質であってもよい。ここで、不純物を添加することにより、カーボンナノウォールの準位に不純物の準位が生成される。不純物の準位により、カーボンナノウォールのキャリアの緩和時間を短縮することができ、ひいては可飽和吸収素子の特性を改善することができる。
なお、不純物が添加されたカーボンナノウォール12bと対比するために、以下では図3(c)で示された高さh0を超えて高さh1に達するカーボンナノウォール12aについて、不純物が添加されていないカーボンナノウォールと称することもある。
不純物が添加されたカーボンナノウォール12bは、不純物が添加されていないカーボンナノウォール12aの高さより大きい高さh2まで成長を継続させる。所定の高さh1を超えて高さh2までの不純物が添加されたカーボンナノウォール12bの成長は、含量ガスの流量比等により所定の成長速度に設定された不純物が添加されたカーボンナノウォール12bを所定の時間にわたり成長させることにより達成される。
高さh1を超え高さh2に達する不純物が添加されたカーボンナノウォール12bは、高さh0を超え高さh1に達する不純物が添加されていないカーボンナノウォール12aとともに、高さh0から高さh2に達するカーボンナノウォール12を一体として構成している。
図4(e)に示すように、基板10の表面にグラファイト層11に形成されたカーボンナノウォール12を包埋材の樹脂として用いられるポリイミド前駆体13で包埋する。具体的には、カーボンナノウォール12を構成する各グラファイト片の間隙を樹脂で埋める。
実施形態では、包埋材として、ポリイミド前駆体13のような樹脂を使用するものとするが、包埋材は、レーザ光に対する透過性及び耐熱性を有し、使用の際に破壊されない強度の素材であれば、種類は限定されない。包埋材として、樹脂の他、ガラスでカーボンナノウォール12を包埋しても同様である。なお、ここでいうレーザ光は、可視光に限定されず、非可視光も含む。
図4(f)に示すように、ポリイミド前駆体13で包埋されたカーボンナノウォール12を有する基板10を硬化処理してポリイミド14とする。ポリイミド前駆体13の硬化処理は、所定温度まで昇温させる熱処理によるものでもよい。
図4(g)に示すように、カーボンナノウォール12を包埋するポリイミド14から基板10を剥離する。例えば、機械的剥離により基板10をポリイミド14から剥離する。このとき、カーボンナノウォール12を包埋するポリイミドとともに、グラファイト層11も一体として剥離される。
図5(h)に示すように、カーボンナノウォール12を包埋するポリイミド14からグラファイト層11を除去する。実施形態では、酸素プラズマによりグラファイト層11をスパッタして研削している。グラファイト層11には、不純物の鉄が添加されていないため、酸素プラズマによるスパッタは酸化鉄の形成による阻害を受けることなく進めることができる。
続いて、図5(i)に示すように、カーボンナノウォール12を包埋するポリイミド14から、不純物が添加されていないカーボンナノウォール12aを包埋するポリイミド14を除去する。不純物が添加されていないカーボンナノウォール12aを包埋するポリイミド14には、不純物の鉄が添加されていないため、酸素プラズマによるスパッタは酸化鉄の形成による阻害を受けることなく進めることができる。
実施形態では、不純物を添加したカーボンナノウォール12bに不純物として鉄を添加している。不純物の鉄はスパッタに用いられる酸素プラズマの酸素と反応して酸化鉄を形成し、スパッタによる研削を阻害する。図5(i)に示すように、研削が次第に進められて不純物が添加されたカーボンナノウォール12bを包埋するポリイミド14に達すると、酸化鉄が形成されて研削を進めることができなくなり、研削の進行は自動的に停止する。
図5(j)に示すように、不純物が添加されたカーボンナノウォール12bを包埋するポリイミド14を所定の切断面15により適切なサイズにカッティングして、可飽和吸収素子1とする。カッティングの方法は限定されないが、例えば、レーザ光を利用することができる10マイクロメートル四方以上の大きさであることが望ましい。
なお、図3から図5に示す基板10、不純物を含むカーボンナノウォール12b及び可飽和吸収素子1の大きさの比率は実際とは異なる。実際には、カッティングされた可飽和吸収素子1は、多数のグラファイト片を含む不純物を含むカーボンナノウォール12bを有している。
図6は、実施形態に係る可飽和吸収素子を製造するための部材を示している。部材は、可飽和吸収素子の製造方法の図3(d)の工程で加工された半製品に対応するものである。部材は、さらに図4(e)から図5(j)の工程を経て可飽和吸収素子に加工される。
部材には、基板10上に所定の高さh1まで不純物が添加されていないカーボンナノウォール12aが形成され、所定の高さh1を超えて高さh2まで不純物の鉄が添加されたカーボンナノウォール12bが形成されている。不純物が添加されていないカーボンナノウォール12a及び不純物が添加されたカーボンナノウォール12bは、カーボンナノウォール12を一体として形成している。カーボンナノウォール12は、ポリイミド14によって包埋されている。
基板10上の高さh0まで形成されたグラファイト層11は、不純物が添加されていないカーボンナノウォール12aが形成される際に形成されたものであり、不純物は添加されていない。また、不純物が添加されていないカーボンナノウォール12aの所定の高さh1は、グラファイト層11の高さh0よりも大きい。
実施形態の可飽和吸収素子の製造方法、可飽和吸収素子を製造するための部材は、基板10上に酸化物を形成する鉄等の不純物を添加しないカーボンナノウォール12aを所定の高さh1まで形成している。また、不純物を添加しないカーボンナノウォール12を形成される際に形成されるグラファイト層11にも不純物は添加されていない。ここで、所定の高さh1はグラファイト層11の高さh0より大きい。
したがって、実施形態によると、グラファイト層11及び不純物が添加されていないカーボンナノウォール12aは、酸化鉄のような酸化物の形成による阻害を受けることをなく、酸素プラズマによるスパッタで研削して除去することができる。また、研削は、所定の高さh1を超える鉄等の不純物を含むカーボンナノウォール12bに達すると酸化物の形成により進行を阻害され、自動的に停止する。
このように、実施形態では、カーボンナノウォール12bに酸化物を形成する不純物を添加するとともに、グラファイト層11及び不純物の添加されていないカーボンナノウォール12aを酸素プラズマによるスパッタで研削することを可能としている。したがって、鉄等の不純物を含むカーボンナノウォール12bを含む可飽和吸収素子を実現することができる。また、研削を進める部分を不純物に由来する酸化物により自動的に停止させることができ、可飽和吸収素子1の厚みなどの寸法や透過率を正確に制御することができる。
実施形態では、鉄等の不純物を添加したカーボンナノウォール12bを含む可飽和吸収素子1を提供することができる。可飽和吸収素子1は、不純物の添加により励起したキャリアの緩和時間を短くすることができる。これによって高い繰り返し周波数のパルスに対しても可飽和吸収を起こし続けることができ、より高い性能のレーザ発振を狙うことができる。
実施形態の可飽和吸収素子1は、可飽和吸収素子1を用いた超短パルスレーザによる非熱加工の装置、透明材料の加工装置及び難加工材料の加工装置等、テラヘルツ光の発生に利用することができる。また例えば、可飽和吸収素子1は、超短パルスを用いた大容量光ファイバ通信に利用することができる。
〈実験結果〉
実施形態の可飽和吸収素子の製造方法において、カーボンナノウォールを形成する工程を実験した。図7は、カーボンナノウォールの形成を示す顕微鏡写真である。
図7(a)は、基板上に不純物を添加しないカーボンを3分程度にわたり堆積させた状態の高さ方向から見た顕微鏡写真を示している。この状態は可飽和吸収素子の製造方法の図3(b)の工程に相当するものであり、基板10上にはグラファイト層11が形成され、カーボンナノウォールはまだ成長していない。
図7(b)は、その後2分程度にわたりカーボンナノウォールを成長させた状態の高さ方向から見た顕微鏡写真を示している。この状態は可飽和吸収素子の製造方法の図3(c)の工程に相当するものであり、グラファイト層11上にカーボンナノウォール12aの成長が開始されている。
なお、カーボンナノウォール12aが所定の高さh1にまで達すると、可飽和吸収素子の製造方法の図3(d)で示したように所定の高さh1を超えた部分から不純物の鉄の添加が開始される。
〈レーザ装置〉
以下に、上述した可飽和吸収素子1を有する実施形態に係るレーザ装置の一例について説明する。図8(a)に示すように、実施形態に係るレーザ装置2は、励起光を出力する光源20と、励起光から出力された光を利用してレーザ光を発振する発振器21とを備えている。また、発振器21は、光利得媒体22及び可飽和吸収素子1を有している。このレーザ装置2は、パルス光を出力するレーザ装置であって、出力するパルス光のパルス幅がフェムト秒やピコ秒レベルである超短パルスレーザ装置である。
光利得媒体22は、光ファイバケーブル221と、光ファイバケーブル221の光と光源20の光を結合する光カプラー222と、光を増幅する光利得媒質223と、光を平行光に調整するコリメータレンズ224と、光の偏光を調整する波長板225a,225bと、光の一部を超短パルスとして出力し、一部を光ファイバケーブル221に戻すビームスプリッター226とを有している。ここで、波長板225aは1/4波長板であって、波長板225bは1/2波長板である。
また、可飽和吸収素子1は、上述したカーボンナノウォール12を有する可飽和吸収素子であって、図8(b)に示すように、コネクタ23によって光ファイバケーブル221内に接続されている。なお、図8(b)では、可飽和吸収素子1は、光ファイバケーブル221に対して垂直ではなく、傾斜されて配置されているが可飽和吸収素子1の光ファイバケーブル221に対する角度は限定されない。実施形態の可飽和吸収素子1は、カーボンナノウォールに不純物の鉄を添加し、高い繰り返し周波数のパルスに対しても可飽和吸収を起こし続けることを可能にし、より高い性能のレーザ発振を実現している。
発振器21は、可飽和吸収素子1によって光ファイバケーブル221から入力する光を透過及び吸収することで、モード同期を実現し、超短パルスを出力することができる。
なお、図8(a)は、1つの可飽和吸収素子1を有する例であるが、異なるコネクタ23を介して接続される複数の可飽和吸収素子1を並列して有していてもよい。これにより、1つの可飽和吸収素子1のみでは十分な吸光度が得られない場合であっても、吸光度を調整し、超短パルスを出力することが可能となる。
図9は、実施形態のレーザ装置の他の例を示している。このレーザ装置2は、図8(a)に示した実施形態のレーザ装置の一例が波長板を用いて共振器から光を取り出しているのに対し、波長板を用いずに全て光ファイバで構築した点において相違している。他の構成は、図8(a)に示した実施形態のレーザ装置の一例と同様であるので、対応する部材には同一の符号を付して対応関係を明らかにする。
このレーザ装置2では、通常の光ファイバでは内部の光の変更が回転してしまい発振しないため、光ファイバ221、223の全体を偏波面保持ファイバで構築している。発振した光はアウトプットカプラ231から共振器外に取り出す。
なお、図8、図9を用いて上述したレーザ装置2は、光ファイバケーブル221を利用するファイバーレーザーを例に説明しているが、固体レーザ等他のレーザ装置であっても可飽和吸収素子1の使用により、モード同期発振を得ることができる。
以上、実施形態を用いて本発明を詳細に説明したが、本発明は本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載及び特許請求の範囲の記載と均等の範囲により決定されるものである。
1 可飽和吸収素子
10 基板
11 グラファイト層
12 カーボンナノウォール
12a 不純物が添加されていないカーボンナノウォール
12b 不純物が添加されたカーボンナノウォール
13 ポリイミド前駆体
14 ポリイミド

Claims (6)

  1. 基板上に所定の高さまで不純物が添加されていないカーボンナノウォールを形成する工程と、
    前記所定の高さを超えて不純物が添加されたカーボンナノウォールを形成する工程と、
    カーボンナノウォールが形成された前記基板を包埋材で包埋する工程と、
    前記基板を包埋材から剥離する工程と、
    不純物が添加されていないカーボンナノウォールを形成する際に前記基板上に形成されたグラファイト層を除去する工程と、
    前記所定の高さまでカーボンナノウォール及び包埋材を除去する工程と
    を含み、前記所定の高さは前記グラファイト層の高さより大きい可飽和吸収素子の製造方法。
  2. 前記不純物は、金属である請求項1に記載の可飽和吸収素子の製造方法。
  3. 前記金属は、鉄、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、白金、亜鉛及びマンガンの少なくとも一つを含む請求項2に記載の可飽和吸収素子の製造方法。
  4. 不純物が添加されたカーボンナノウォールを含む可飽和吸収素子。
  5. 励起光を出力する光源と、
    光利得媒体及び請求項4に記載された可飽和吸収素子を含み、前記光利得媒体から出力された光を利用してレーザ光を発振する発振器と
    を含むレーザ装置。
  6. 基板と、
    前記基板上に形成されたカーボンナノウォールと、
    カーボンナノウォールが形成された前記基板を包埋する包埋材と
    を含み、カーボンナノウォールは、前記基板の表面から所定の高さを超えた部分にのみ不純物が添加された部材。
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