JP2017214657A - スパッタ成膜方法、フォトマスクブランクの製造方法 - Google Patents

スパッタ成膜方法、フォトマスクブランクの製造方法 Download PDF

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紘平 笹本
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Abstract

【課題】膜の組成の変更が容易な2種以上のターゲットを用いたコスパッタによる成膜において、ターゲットのスパッタ面の相互の汚染又は改質を抑制して、スパッタにおける放電を安定させて成膜する方法の提供。【解決手段】同一真空槽内3に、第1のターゲット1と第2のターゲット2とを、それらのスパッタ面11,21を被スパッタ物5に向けて、かつ双方のスパッタ面11,21を互いに平行に又は傾斜させて配設し、第1及び第2のターゲット1,2の双方に電力を同時に印加し、第1及び第2のターゲット1,2の相互において、一方のターゲット1又は2から放射されたスパッタ粒子が他方のターゲット1又は2のスパッタ面11又は21に到達することによりスパッタ面11又は21上にスパッタ粒子が付着する速度を、他方のターゲット1又は2のスパッタによりスパッタ粒子が除去される速度以下として、被スパッタ物5上に膜をスパッタ成膜する成膜方法。【選択図】図1

Description

本発明は、2種以上のターゲットを使用してこれらを同時にスパッタするコスパッタ技術を適用したスパッタ成膜方法、スパッタ成膜方法を用いて透明基板上に遮光膜等の機能性膜を成膜するフォトマスクブランクの製造方法に関する。
半導体技術の分野では、パターンの更なる細線化のため研究開発が進められている。特に、近年では、大規模集積回路の高集積化に伴い、回路パターンの細線化や配線パターンの細線化、セルを構成する層間配線のためのコンタクトホールパターンの微小化などが進行し、微細化加工技術への要求は、ますます高くなってきている。これに伴い、微細加工の際の光リソグラフィ工程で用いられるフォトマスクの製造技術の分野においても、より微細で、かつ正確な回路パターン(マスクパターン)を形成する技術の開発が求められるようになってきている。
一般に、光リソグラフィ技術により半導体基板上にパターンを形成する際には、縮小投影が行なわれる。このため、フォトマスクに形成されるパターンのサイズは、半導体基板上に形成されるパターンサイズの4倍程度となる。しかし、このことは、フォトマスクに形成されるパターンに求められる精度が半導体基板上に形成されるパターンに比較して緩やかになることを意味するものではない。むしろ、原版としてのフォトマスクに形成されるパターンには、露光後に得られる実際のパターン以上の高い精度が求められる。
今日の光リソグラフィ技術分野においては、描画される回路パターンのサイズは、露光で使用される光の波長をかなり下回るものとなっている。このため、半導体基板上の回路パターンのサイズを単純に4倍してフォトマスクのパターンを形成した場合には、露光の際に生じる光の干渉等の影響によって、半導体基板上のレジスト膜に本来の形状が転写されない結果となってしまう。
そこで、フォトマスクに形成するパターンを、実際のパターンよりも複雑な形状とすることにより、上述の光の干渉等の影響を軽減する場合もある。このようなパターン形状としては、例えば、実際の回路パターンに光近接補正(OPC: Optical Proximity Correction)を施した形状がある。
このように、回路パターンサイズの微細化に伴い、フォトマスクパターン形成のためのリソグラフィ技術においても、更なる高精度の加工手法が求められる。リソグラフィ性能は限界解像度で表現されることがあるが、上述したとおり、原版としてのフォトマスクに形成されるパターンには、露光後に得られる実際のパターン以上の高い精度が求められる。
フォトマスクパターンを形成する際には、通常、透明基板上に遮光膜を設けたフォトマスクブランクの表面にレジスト膜を形成し、電子線によるパターンの描画、露光を行なう。そして、露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを得た後、このレジストパターンをエッチングマスクとして遮光膜をエッチングして遮光膜パターンを得る。このようにして得られた遮光膜パターンが、フォトマスクパターンとなる。
このとき、上述のレジスト膜の厚みは、遮光パターンの微細化の程度に応じて薄くする必要がある。これは、レジスト膜の厚みを維持したまま微細な遮光パターンを形成しようとした場合には、レジスト膜厚と遮光パターンサイズの比(アスペクト比)が大きくなって、レジストパターンの形状の劣化によりパターン転写がうまくいかなくなったり、レジストパターンが倒れたり、剥れたりしてしまうためである。
透明基板上に設けられる遮光膜の材料としては、これまでにも多くのものが提案されてきたが、エッチングに対する知見が多いなどの理由から、実用上、クロム化合物が用いられてきた。クロム系材料膜のドライエッチングは、一般に、塩素系のドライエッチングにより行われる。しかし、塩素系のドライエッチングは、有機膜に対してもある程度のエッチング能力を有することが多い。このため、薄いレジスト膜にレジストパターンを形成し、これをエッチングマスクとして遮光膜をエッチングすると、塩素系ドライエッチングにより、レジストパターンも、無視できない程度にエッチングされてしまう。その結果、遮光膜に転写されるべき本来のレジストパターンが、正確には転写されないことになる。
このような不都合を回避するためには、エッチング耐性に優れたレジスト材料が求められるところではあるが、かかるレジスト材料は未だ知られていない。このような理由から、高解像性の遮光膜パターンを得るための、加工精度の高い遮光膜材料が必要となる。従来の材料よりも加工精度に優れた遮光膜材料に関し、クロム化合物中に軽元素を所定の量だけ含有させることにより、遮光膜のエッチング速度を向上させる試みが報告されている。
例えば、国際公開第2007/74806号(特許文献1)には、主にクロム(Cr)と窒素(N)とを含む材料であって、かつX線回折による回折ピークが実質的にCrN(200)である材料を用い、これを遮光膜材料とすることで、ドライエッチング速度を高め、塩素系ドライエッチング時のレジストの膜減りを低減する技術が開示されている。
また、特開2007−33470号公報(特許文献2)には、クロム系化合物の遮光性膜の組成を、従来の膜に比較して軽元素リッチ・低クロム組成とすることで、ドライエッチングの高速化を図りつつ、所望の透過率Tと反射率Rを得るための組成、膜厚、積層構造を適切に設計したフォトマスクブランクの発明が開示されている。
クロム系化合物に軽元素を添加した遮光膜用材料を用いる場合、遮光膜は光学膜であるので、そのエッチング速度の向上のみならず、必要な光学特性も担保された膜を設計する必要があるため、膜設計の自由度は制限される。また、遮光膜としてではなく、遮光膜を加工するためのハードマスク形成用の膜として、クロム系化合物に軽元素を添加したものを用いる場合であっても、その機能を担保するためには、添加可能な軽元素の範囲は、おのずと限られることになるため、やはり膜設計の自由度は制限されたものとなる。
国際公開第2007/74806号 特開2007−33470号公報 特開平7−140635号公報 特開2007−241060号公報 特開2007−241065号公報 特開2011―149093号公報
本発明者らは、フォトマスクブランクにおける遮光膜等の機能性膜において、必要な光学特性等の物性を担保した上で、エッチング速度の向上を図るため、融点が400℃以下の金属元素を含有するクロム系材料からなる機能性膜を検討した。
フォトマスクブランクを製造する方法として、スパッタ法により遮光膜などの機能性膜を成膜する方法が一般的である。融点が400℃以下の金属元素を含有するクロム系材料からなる機能性膜を成膜するスパッタ法としては、
(1)クロム又はクロム化合物と、融点が400℃以下の金属元素とを混合して焼結したターゲットを単一で使用したスパッタ、
(2)クロムと、融点が400℃以下の金属元素とを一枚のバッキングプレートに深さ方向に各金属の面積比が変化しないように異種金属を配置した複合ターゲットを単一で使用したスパッタ、
(3)クロム又はクロム化合物のターゲットと、融点が400℃以下の金属元素のターゲットとの2種以上を使用したコスパッタ
などが挙げられる
上記スパッタのうち、(1)のスパッタでは、ターゲットを作製することは技術的に困難である。クロム又はクロム化合物の粒子に、相応の量の融点が400℃以下の金属元素の粒子を混合して焼結する場合、融点が400℃以下の金属元素の融点を超える温度では、該金属元素の粒子で構成された部分が溶融して液相となってしまうため、焼結温度を、融点が400℃以下の金属元素の融点未満とする必要がある。このような焼結温度では、焼結密度が不十分となったり、組成分布が不均質となったりしてしまう。
また、(2)のスパッタでは、ターゲットの作製は可能であるものの、クロムと、融点が400℃以下の金属元素との組成比が固定されてしまうため、機能性膜の組成毎にターゲットを作製しなければならない。そのため、膜の設計変更など、組成の変更に柔軟に対応することができず、また、厚さ方向に、クロムと、融点が400℃以下の金属元素との組成比を連続的に変化させた膜を成膜することは困難である。
一方、(3)のコスパッタでは、クロムと、融点が400℃以下の金属元素とを、クロム又はクロム化合物のターゲットと、融点が400℃以下の金属元素のターゲットにそれぞれ独立させ、これらを用いてコスパッタするので、組成の変更に柔軟に対応することができ、膜の設計にも高い自由度が得られる。また、厚さ方向に、クロムと、融点が400℃以下の金属元素との組成比を連続的に変化させた膜を成膜することも可能である。しかし、このコスパッタにより成膜する場合、融点が400℃以下の金属元素のターゲットの初期の放電特性が安定せず、放電特性が安定するまで予備スパッタをする必要がある。また、融点が400℃以下の金属元素のターゲットでは、放電が安定した後でも、異常放電が生じる可能性が高く、異常放電は、機能性膜に欠陥を与える。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、2種以上のターゲット、例えば、クロムターゲットなどの、融点が400℃を超える金属元素又は半金属元素のターゲット(高融点元素含有ターゲット)と、融点が400℃以下の金属元素のターゲット(低融点元素含有ターゲット)を使用したコスパッタにおいて、安定したコスパッタが持続可能なスパッタ成膜方法、スパッタ成膜方法を用いたフォトマスクブランクの製造方法を提供することを目的とする。
一般に複数種のターゲットを同時に放電させて成膜するコスパッタ法においては、一方のターゲットからスパッタされたスパッタ粒子が、他方のターゲットに付着しても、付着したスパッタ粒子は、他方のターゲットのスパッタで除去されるので、大きな問題にならないと思われてきた。しかし、他方のターゲットを構成する物質のスパッタレートが、付着したスパッタ粒子を構成する物質のスパッタレートよりも極端に低い場合、スパッタが進むにつれて、スパッタ粒子が蓄積して被膜を形成し、他方のターゲットのスパッタ速度が落ちて、スパッタ成膜で得られる膜の組成が変化したり、成膜速度が大きく変化したりして、スパッタ成膜した膜の組成の制御性が著しく悪くなる。また、場合によってはターゲットのスパッタ面の凹凸が大きくなり、異常放電の原因となり、結果的にスパッタ面が発塵源となることが考えられる。
更に、他方のターゲットのスパッタ面上に付着する膜が絶縁膜のときには、絶縁膜が付着した部分はチャージアップして異常放電の原因となり、絶縁膜の部分で極端にスパッタレートが低下する。この現象は、特に、DCスパッタのときに顕著であり、酸素や窒素などの反応性ガスをスパッタガスに用いた反応性スパッタのときに起こりやすい。特に、反応性ガスとして酸素を用いた場合に、絶縁膜が形成されやすい。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、コスパッタによる成膜を継続したときに、形成される膜の膜質が安定しない原因が、コスパッタ中の2種以上のターゲット間のスパッタ粒子により、ターゲットのスパッタ面が相互に汚染又は改質され、スパッタ面の表面状態が変化するためであることを突き止めた。特に、各々のターゲットに供給する電力に偏りがある場合、供給電力が低いターゲットの方が、供給電力が高いターゲットから飛来するスパッタ粒子によって、スパッタ面が、より汚染又は改質されやすい。また、一方のターゲットから飛来したスパッタ粒子が、他方のターゲットのスパッタ面上に付着して形成された被膜の導電性が、他方のターゲット自体の導電性より低い場合、又は上記被膜を構成する物質のスパッタレートが、上記他方のターゲットを構成する物質のスパッタレートよりも低い場合に、スパッタ面の汚染又は改質が進行し、安定したスパッタが困難になる。
表面状態が変化したターゲットは、例えば、Arなどの不活性ガスのみの雰囲気でスパッタすることにより、スパッタ面上の汚染物質や改質された部分を除去することは可能であるが、汚染物質によりスパッタレートが極端に低下するため、汚染物質や改質された部分は容易には除去されない。そのため、コスパッタを継続するために、上記方法で定期的に汚染物質や改質された部分の除去を実施しても、ターゲットのスパッタ面全体に、ターゲットを構成する材料のみを露出させて、安定、かつ均一なスパッタを持続することは容易ではない。ターゲットのスパッタ面の表面状態が一旦変化してしまうと、上記方法で完全にクリーニングすることは困難であり、スパッタ面の汚染又は改質を根本から抑制する手段が必要である。
クロムターゲット、クロム化合物ターゲットなどの、融点が400℃を超える金属元素又は半金属元素のターゲット(高融点元素含有ターゲット)は、融点が400℃以下の金属元素のターゲット(低融点元素含有ターゲット)からスパッタ粒子が飛来して、スパッタ面に付着しても、低融点元素含有ターゲットのスパッタ粒子を構成する物質のスパッタレートが、高融点元素含有ターゲットを構成する物質のスパッタレートより高いので、高融点元素含有ターゲットのスパッタ面に低融点元素含有ターゲットのスパッタ粒子は蓄積し難く、被膜は形成され難いので、高融点元素含有ターゲットの放電は初期から安定しやすいと考えられる。
一方、低融点元素含有ターゲットの初期の放電特性が安定しない原因は、高融点元素含有ターゲットのスパッタ粒子を構成する物質のスパッタレートが、低融点元素含有ターゲットを構成する物質のスパッタレートより低いため、低融点元素含有ターゲットのスパッタ面に高融点元素含有ターゲットのスパッタ粒子が蓄積して被膜が形成されやすい。そのため、この被膜の形成と、高融点元素含有ターゲットのスパッタとが平衡状態となるまで放電特性が安定しないと考えられる。そして、この低融点元素含有ターゲット上の被膜は、異常放電を誘発するきっかけとなる。
そこで、本発明者らは、更に検討を重ねた結果、2種以上のターゲットを用いたコスパッタにおいて、それらのうちの任意の2種のターゲット(第1のターゲット、及び第1のターゲットとは異なる第2のターゲット)の間で、同一真空槽内に、第1のターゲットと第2のターゲットとを、それらのスパッタ面を被スパッタ物に向けて、かつ双方のスパッタ面を互いに平行に又は傾斜させて配設し、第1及び第2のターゲットの双方に電力を同時に印加し、第1及び第2のターゲットの相互において、一方のターゲットから放射されたスパッタ粒子が他方のターゲットのスパッタ面に到達することによりスパッタ面上にスパッタ粒子が付着する速度を、他方のターゲットのスパッタによりこのスパッタ粒子が除去される速度以下として、被スパッタ物上に膜をスパッタ成膜すること、例えば、第1及び第2のターゲットのスパッタ面間に存する空間を常時分離する遮蔽部材を、第1及び第2のターゲットの相互において、一方のターゲットから放射されたスパッタ粒子が他方のターゲットのスパッタ面に到達することを防止するように配設してスパッタすることにより、スパッタ面の汚染や改質を抑制して、安定したコスパッタが持続できること、これにより、フォトマスクブランクに形成される機能性膜の欠陥を低減して、回路パターンの微細化に対応した高品質なフォトマスクブランクが得られることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記のスパッタ成膜方法、フォトマスクブランクの製造方法を提供する。
請求項1:
同一真空槽内に、In、Sn及びGaから選ばれる1種以上の金属からなる第1のターゲットと、Ti、Cr、Ni、Mo及びSiから選ばれる1種以上の金属又は半金属からなる第2のターゲットとを、それらのスパッタ面を被スパッタ物に向けて、かつ双方のスパッタ面を互いに平行に又は傾斜させて配設し、上記第1及び第2のターゲットのスパッタ面間に存する空間を常時分離する遮蔽部材を、上記第1及び第2のターゲットの相互において、一方のターゲットのスパッタ面からスパッタされて、他方のターゲットのスパッタ面に向かって直進するスパッタ粒子が、他方のターゲットのスパッタ面に到達することを防止するように、上記第1のターゲットのスパッタ面上の任意の点と、上記第2のターゲットのスパッタ面上の任意の点とを結ぶ全ての直線と交差するように配設し、上記第1及び第2のターゲットの双方に電力を同時に印加し、第1及び第2のターゲットの相互において、一方のターゲットから放射されたスパッタ粒子が他方のターゲットのスパッタ面に到達することにより該スパッタ面上にスパッタ粒子が付着する速度を、上記他方のターゲットのスパッタにより上記スパッタ粒子が除去される速度以下として、被スパッタ物を、膜の形成面に沿って回転させながら、被スパッタ物上に膜をスパッタ成膜するスパッタ成膜方法であって、上記第1及び第2のターゲットのいずれか一方又は双方において、上記他方のターゲットのスパッタ面上に付着して形成された被膜の導電性が、上記他方のターゲットの導電性より低いこと、又は上記他方のターゲットのスパッタ面上に付着するスパッタ粒子を構成する物質のスパッタレートが、上記他方のターゲットを構成する物質のスパッタレートよりも低いことを特徴とするスパッタ成膜方法。
請求項2:
上記遮蔽部材が、上記真空槽内で不動であることを特徴とする請求項1記載のスパッタ成膜方法。
請求項3:
上記遮蔽部材が、導電性の材料で形成されており、かつ電気的に接地されていることを特徴とする請求項1又は2記載のスパッタ成膜方法。
請求項4:
上記第1のターゲットがInターゲット、Snターゲット及びGaターゲットから選ばれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のスパッタ成膜方法。
請求項5:
上記第1のターゲットがSnターゲットであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のスパッタ成膜方法。
請求項6:
上記第2のターゲットがTiターゲット、Crターゲット、Niターゲット、Moターゲット、Siターゲット及びMoSiターゲットから選ばれることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のスパッタ成膜方法。
請求項7:
上記第2のターゲットがCrターゲットであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のスパッタ成膜方法。
請求項8:
上記スパッタ成膜が、スパッタガスに反応性ガスを用いる反応性スパッタであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載のスパッタ成膜方法。
請求項9:
上記反応性ガスが、酸素含有ガスを含むことを特徴とする請求項8記載のスパッタ成膜方法。
請求項10:
上記スパッタ成膜がDCスパッタ成膜であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載のスパッタ成膜方法。
請求項11:
請求項1乃至10のいずれか1項記載のスパッタ成膜方法を用い、透明基板上に機能性膜を成膜することを特徴とするフォトマスクブランクの製造方法。
また、本発明は、下記のスパッタ成膜方法、スパッタ装置、フォトマスクブランクの製造方法及びフォトマスクブランクが関連する。
[1] 同一真空槽内に、第1のターゲットと第2のターゲットとを、それらのスパッタ面を被スパッタ物に向けて、かつ双方のスパッタ面を互いに平行に又は傾斜させて配設し、上記第1及び第2のターゲットの双方に電力を同時に印加し、第1及び第2のターゲットの相互において、一方のターゲットから放射されたスパッタ粒子が他方のターゲットのスパッタ面に到達することにより該スパッタ面上にスパッタ粒子が付着する速度を、上記他方のターゲットのスパッタにより上記スパッタ粒子が除去される速度以下として、被スパッタ物上に膜をスパッタ成膜することを特徴とするスパッタ成膜方法。
[2] 上記第1及び第2のターゲットのいずれか一方又は双方において、上記他方のターゲットのスパッタ面上に付着するスパッタ粒子の抵抗率が、上記他方のターゲットの抵抗率より高いこと、又は上記他方のターゲットのスパッタ面上に付着するスパッタ粒子を構成する物質のスパッタレートが、上記他方のターゲットを構成する物質のスパッタレートよりも低いことを特徴とする[1]記載のスパッタ成膜方法。
[3] 上記第1及び第2のターゲットのスパッタ面間に存する空間を常時分離する遮蔽部材を、第1及び第2のターゲットの相互において、一方のターゲットから放射されたスパッタ粒子が他方のターゲットのスパッタ面に到達することを防止するように配設することを特徴とする[1]又は[2]記載のスパッタ成膜方法。
[4] 上記遮蔽部材が、上記第1のターゲットのスパッタ面上の任意の点と、上記第2のターゲットのスパッタ面上の任意の点とを結ぶ全ての直線と交差するように配設されていることを特徴とする[3]記載のスパッタ成膜方法。
[5] 上記遮蔽部材が、上記真空槽内で不動であることを特徴とする[3]又は[4]記載のスパッタ成膜方法。
[6] 上記遮蔽部材が、導電性の材料で形成されており、かつ電気的に接地されていることを特徴とする[3]乃至[5]のいずれかに記載のスパッタ成膜方法。
[7] 上記第1及び第2のターゲットとして、互いに構成元素が異なる若しくは構成元素が同一で組成が異なるターゲット又は互いにスパッタレートが異なるターゲットを用いることを特徴とする[1]乃至[6]のいずれかに記載のスパッタ成膜方法。
[8] 上記第1及び第2のターゲットとして、融点が400℃以下の金属を含む材料で構成された低融点元素含有ターゲットと、融点が400℃を超える金属又は半金属を含む材料で構成された高融点元素含有ターゲットとを組み合わせて用いることを特徴とする[1]乃至[7]のいずれかに記載のスパッタ成膜方法。
[9] 上記融点が400℃を超える金属又は半金属が、Crであることを特徴とする[8]記載のスパッタ成膜方法。
[10] 上記融点が400℃以下の金属が、Snであることを特徴とする[8]又は[9]記載のスパッタ成膜方法。
[11] 上記スパッタ成膜が、スパッタガスに反応性ガスを用いる反応性スパッタであることを特徴とする[1]乃至[10]のいずれかに記載のスパッタ成膜方法。
[12] 上記反応性ガスが、酸素含有ガスを含むことを特徴とする[11]記載のスパッタ成膜方法。
[13] 同一真空槽内に、第1のターゲットと第2のターゲットとを備え、第1及び第2のターゲットが、それらのスパッタ面を被スパッタ物に向けて、かつ双方のスパッタ面が互いに傾斜して配設されたスパッタ装置であって、
第1及び第2のターゲットのスパッタ面間に存する空間を常時分離する遮蔽部材が、第1及び第2のターゲットの相互において、一方のターゲットから放射されたスパッタ粒子が他方のターゲットのスパッタ面に到達することを防止するように配設されていることを特徴とするスパッタ装置。
[14] 上記遮蔽部材が、上記第1のターゲットのスパッタ面上の任意の点と、上記第2のターゲットのスパッタ面上の任意の点とを結ぶ全ての直線と交差するように配設されていることを特徴とする[13]記載のスパッタ装置。
[15] 上記遮蔽部材が、上記真空槽内で不動であることを特徴とする[13]又は[14]記載のスパッタ装置。
[16] 上記遮蔽部材が、導電性の材料で形成されており、かつ電気的に接地されていることを特徴とする[13]乃至[15]のいずれかに記載のスパッタ装置。
[17] [1]乃至[12]のいずれかに記載のスパッタ成膜方法を用い、透明基板上に機能性膜を成膜することを特徴とするフォトマスクブランクの製造方法。
[18] 石英基板上に、少なくとも1つの機能性膜を積層してなるフォトマスクブランクの製造方法であって、
[13]乃至[16]のいずれかに記載のスパッタ装置を用い、
融点が400℃以下の金属を含む材料で構成されたターゲットと、融点が400℃を超える金属又は半金属を含む材料で構成されたターゲットとを用い、双方のターゲットに電力を同時に印加し、石英基板上に、上記機能性膜として、上記融点が400℃以下の金属と、上記融点が400℃を超える金属又は半金属とを含む機能性膜をスパッタ成膜することを特徴とするフォトマスクブランクの製造方法。
[19] 石英基板上に、少なくとも1つの機能性膜を積層してなるフォトマスクブランクであって、
上記機能性膜が、融点が400℃以下の金属と、融点が400℃を超える金属又は半金属を含む膜であり、
[13]乃至[16]のいずれかに記載のスパッタ装置を用い、
上記融点が400℃以下の金属を含む材料で構成されたターゲットと、上記融点が400℃を超える金属又は半金属を含む材料で構成されたターゲットとを用い、双方のターゲットに電力を同時に印加してスパッタ成膜することにより得られたことを特徴とするフォトマスクブランク。
[20] [17]記載の方法により製造されたフォトマスクブランク。
本発明によれば、膜の組成の変更が容易な2種以上のターゲットを用いたコスパッタによる成膜において、ターゲットのスパッタ面の相互の汚染又は改質を抑制して、スパッタにおける放電を安定させて成膜することができ、欠陥を低減した機能性膜を形成した高品質のフォトマスクブランクを安定して製造することができる。
本発明のスパッタ装置の一例を示す断面図である。 本発明のスパッタ装置の他の例を示す断面図である。 実施例1,2及び比較例1〜3におけるターゲットの電力と電流とを示すグラフである。 実施例1,2及び比較例1〜3におけるターゲットの電力と真空槽の圧力とを示すグラフである。 比較例で用いた従来のスパッタ装置を示す断面図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のスパッタ成膜方法は、同一真空槽内に、第1のターゲットと第2のターゲットとを、それらのスパッタ面を被スパッタ物に向けて、かつ双方のスパッタ面を互いに平行に又は傾斜させて配設し、第1及び第2のターゲットの双方に電力を同時に印加するコスパッタである。ここで、スパッタ面は、スパッタ時にスパッタ粒子が放出される面を意味する。
第1及び第2のターゲットは、2種のターゲットに限定されるものではなく、3種以上のターゲットを用いた場合においては、それらのうちの任意の2種のターゲットを対象としてよい。3種以上のターゲットを用いた場合、2種のターゲットの組み合わせが複数存在するが、それらのうちの1組以上、好ましくは全ての組み合わせについて、本発明の第1及び第2のターゲットの関係を満たすようにすればよい。また、ターゲットは、各種1個ずつ用いる場合に限られず、同種のターゲットを複数個用いてもよい。第1及び第2のターゲットのスパッタ面は、双方のスパッタ面を互いに平行に又は傾斜させるが、両スパッタ面のなす角度は、通常60〜180°、好ましくは90〜170°である。
本発明のスパッタ成膜方法においては、第1及び第2のターゲットの相互において、一方のターゲットから放射されたスパッタ粒子が他方のターゲットのスパッタ面に到達することにより、他方のターゲットのスパッタ面上にスパッタ粒子が付着する速度を、他方のターゲットのスパッタにより、他方のターゲットのスパッタ面上に付着したスパッタ粒子が除去される速度以下として、被スパッタ物上に膜をスパッタ成膜する。このようにすることにより、一方のターゲットから放射されたスパッタ粒子が他方のターゲットのスパッタ面に到達して付着しても、他方のターゲットのスパッタにより、他方のターゲットに付着したスパッタ粒子は順次除去されるので、スパッタ面の汚染や改質を抑制して、安定したコスパッタが持続できる。
スパッタ粒子の付着速度を除去速度以下としてコスパッタする具体的手段としては、例えば、第1及び第2のターゲットのスパッタ面間に存する空間を常時分離する遮蔽部材を、第1及び第2のターゲットの相互において、一方のターゲットから放射されたスパッタ粒子が他方のターゲットのスパッタ面に到達することを防止するように配設することが有効である。これにより、一方のターゲットからスパッタされたスパッタ粒子が、他方のターゲットのスパッタ面に到達して付着することを抑制することができ、その結果、他方のターゲットのスパッタ面上に付着するスパッタ粒子の抵抗率が、他方のターゲットの抵抗率より高い場合や、他方のターゲットのスパッタ面上に付着するスパッタ粒子を構成する物質のスパッタレートが、他方のターゲットを構成する物質のスパッタレートよりも低い場合のように、従来のコスパッタでは、他方のターゲットのスパッタに付着したスパッタ粒子や、これが蓄積して形成された被膜が除去されにくいような条件であっても、スパッタ粒子の付着速度を除去速度以下としてコスパッタすることができる。
遮蔽部材は、第1のターゲットのスパッタ面上の任意の点と、第2のターゲットのスパッタ面上の任意の点とを結ぶ全ての直線と交差するように配設することが好ましい。このようにすれば、一方のターゲットのスパッタ面からスパッタされて、他方のターゲットのスパッタ面に向かって直進するスパッタ粒子を、遮蔽部材によって確実に遮断することができる。また、遮蔽部材は、第1のターゲットのスパッタ面上の任意の点と、第2のターゲットのスパッタ面上の任意の点とを結ぶ全ての直線と交差する部分のみに設けられていてもよいが、スパッタ時の真空槽内の圧力が高いほど、スパッタ粒子の平均自由工程が短くなり、ターゲットからスパッタされた粒子が、遮蔽部材を回り込んで、他方のターゲットのスパッタ面に到達する確率が高くなるため、成膜条件、特にスパッタ圧力に応じて、遮蔽部材を、第1のターゲットのスパッタ面上の任意の点と、第2のターゲットのスパッタ面上の任意の点とを結ぶ全ての直線と交差する部分以外にも延長して設けてもよい。
遮蔽部材は、スパッタの間、第1及び第2のターゲットのスパッタ面間の空間を常に分離しているように設ける。また、遮蔽部材は、可動部を有していると発塵量が増加するため、真空槽内に固定されて、真空槽内で不動であることが好ましい。
遮蔽部材は、導電性の材料で形成されていることが好ましく、また、電気的に接地されていることが好ましい。遮蔽部材は、電気的に浮動(非接地)状態でもよいが、スパッタ装置の接地した部分(例えば、接地した真空槽シールドや接地した真空槽(チャンバー))などと電気的に接続することにより、遮蔽部材のチャージアップを防止することができる。
遮蔽部材には、各ターゲットからスパッタされたスパッタ粒子が飛来する。そのため、遮蔽部材のスパッタ粒子が飛来する位置に鋭角な部分を設けると、遮蔽部材上に付着したスパッタ粒子が蓄積して形成された被膜が剥離しやすくなる。この被膜の剥離は、スパッタ膜の欠陥の原因となるため、遮蔽部材のスパッタ粒子が飛来する位置には鋭角な部分や先鋭な部分を設けないことが好ましい。具体的には、角部や先端部をテーパー形状やR形状とすることが有効である。
本発明のスパッタ成膜方法に好適なスパッタ装置として具体的には、例えば、図1に示されるスパッタ装置が挙げられる。図1に示されるスパッタ装置はDCスパッタ装置であり、このスパッタ装置は、同一の真空槽(チャンバー)3内に、第1のターゲット1と第2のターゲット2とを備える。これら第1及び第2のターゲット1,2は、それらのスパッタ面11,21を被スパッタ物5に向けて設置されており、また、第1のターゲット1のスパッタ面11と第2のターゲット2のスパッタ面21とを内側に向けて、これらのスパッタ面11,21が互いに傾斜して配置されている。被スパッタ物5はホルダー6上に載置され、ホルダー6は、被スパッタ物5を、スパッタ膜の形成面に沿って回転できるようになっている。
また、このスパッタ装置の真空槽3内には、第1及び第2のターゲット1,2のスパッタ面11,21の間の空間を常時分離する遮蔽部材4が設けられている。この遮蔽部材4は、下部が下端に向かって漸次薄くなる平板状で、下端部が断面R形状に形成されており、真空槽3内で不動に固定されている。また、真空槽3内部には、真空槽3の内壁に沿って真空槽シールド7が設けられている。この真空槽シールド7は電気的に接地されており、遮蔽部材4は真空槽シールド7に接続されて、真空槽シールド7を介して電気的に接地されている。なお、図1中、31はスパッタガス導入口、32は排気口、8はDC電源である。
遮蔽部材4は、第1のターゲット1のスパッタ面11上の任意の点と、第2のターゲット2のスパッタ面21上の任意の点とを結ぶ全ての直線と交差する位置に設けられており、第1のターゲット1側を例として説明すれば、スパッタ粒子はコサイン則によって、任意の方向に飛び出すが、第1のターゲット1のスパッタ面11の周端から放出されるスパッタ粒子の位置は、図1中、破線の矢印で示される位置が上限であり、第1のターゲット1のスパッタ面11の周端から放出されて、第2のターゲット2のスパッタ面21に向かって直進するスパッタ粒子は、高位置側(第2のターゲット側)及び低位置側(第2のターゲットから離間する側)のいずれの側からスパッタされた粒子も、遮蔽部材4に妨げられて、第2のターゲット2のスパッタ面21に到達できない。第2のターゲット2側の場合も同様である。
本発明のスパッタ成膜方法に好適なスパッタ装置の他の例としては、図2に示されるスパッタ装置が挙げられる。図2に示されるスパッタ装置では、第1及び第2のターゲット1,2のスパッタ面11,21の間の空間を常時分離する円筒状の遮蔽部材41,42が、各々、第1のターゲット1のスパッタ面11、第2のターゲット2のスパッタ面21を取り囲むように設けられている。これらの遮蔽部材41,42は、下部が下端に向かって漸次薄くなり、下端部が断面R形状に形成されており、真空槽3内で不動に固定されている。また、遮蔽部材41,42は、真空槽シールド7に接続されて、真空槽シールド7を介して電気的に接地されている。なお、図2のスパッタ装置は、遮蔽部材が異なること以外は図1と同じであり、各部に、図1と同じ参照符号を付して、それらの説明を省略する。
遮蔽部材41,42は、第1のターゲット1のスパッタ面11上の任意の点と、第2のターゲット2のスパッタ面21上の任意の点とを結ぶ全ての直線と交差する位置に設けられており、第1のターゲット1側を例として説明すれば、スパッタ粒子はコサイン則によって、任意の方向に飛び出すが、第1のターゲット1のスパッタ面11の周端から放出されるスパッタ粒子の位置は、図2中、破線の矢印で示される位置が上限であり、第1のターゲット1のスパッタ面11の周端から放出されて、第2のターゲット2のスパッタ面21に向かって直進するスパッタ粒子は、高位置側(第2のターゲット側)及び低位置側(第2のターゲットから離間する側)のいずれの側からスパッタされた粒子も、遮蔽部材41に妨げられて、第2のターゲット2のスパッタ面21に到達できない。同様に、第2のターゲット2側は、遮蔽部材42に妨げられて、第1のターゲット1のスパッタ面11に到達できない。
このように、図1及び図2のいずれの場合においても、第1及び第2のターゲットの相互において、一方のターゲットから放射されたスパッタ粒子が他方のターゲットのスパッタ面に到達すること、即ち、第1のターゲット1から放射されたスパッタ粒子が第2のターゲット2のスパッタ面21に到達すること、及び第2のターゲット2から放射されたスパッタ粒子が第1のターゲット1のスパッタ面11に到達することを防止するようになっている。
遮蔽部材の形状は、図1に示される平板状、図2に示される円筒状に限られるものではない。また、図1及び図2においては、DCスパッタ装置の例を示したが、本発明のスパッタ成膜方法は、RFスパッタ法であってもよく、また、本発明のスパッタ装置はRFスパッタ装置であってもよいが、本発明は、DCマグネトロンスパッタ成膜法、パルスDCスパッタ成膜法などのDCスパッタ成膜法、DCマグネトロンスパッタ装置、パルスDCスパッタ装置などのDCスパッタ装置において有利である。
本発明は、第1のターゲットと第2のターゲットとの組み合わせ、即ち、第1のターゲットと、第1のターゲットとは異種の第2のターゲットとの組み合わせが、互いに構成元素が異なる又は構成元素が同一で組成が異なるターゲットである場合に効果的である。また、第1のターゲットと第2のターゲットとの組み合わせが、互いにスパッタレートが異なるターゲットである場合に効果的である。第1のターゲットと第2のターゲットとが異種の組み合わせの場合、コスパッタにおいて、一方のターゲットからスパッタされたスパッタ粒子が他方のターゲットのスパッタ面上で被膜を形成する現象が起こりやすいからである。
そのため、本発明においては、第1のターゲット及び第2のターゲットとして、融点が400℃以下の金属を含む低融点元素含有ターゲット、特に、融点が400℃以下の材料で形成されたターゲット、とりわけ、融点が400℃以下の金属からなるターゲットと、融点が400℃を超える金属又は半金属を含む材料で構成された高融点元素含有ターゲット、特に、融点が400℃を超える材料で形成されたターゲット、とりわけ、融点が400℃を超える金属又は半金属からなるターゲットとを組み合わせて用いる場合に特に有利である。
低融点元素含有ターゲットとしては、In、Sn、Ga等の融点が400℃以下の金属(低融点金属と称する)を含む材料で構成されたターゲットが挙げられる。低融点元素含有ターゲットは、その融点が400℃以下であるものが好ましい。より具体的には、Inターゲット、Snターゲット、Gaターゲット等が挙げられる。一方、高融点元素含有ターゲットとしては、Al、Ti、Cr、Ni、Mo、Au、Si等の融点が400℃を超える金属又は半金属(高融点金属と称する)を含む材料で構成されたターゲットが挙げられる。高融点元素含有ターゲットは、その融点が400℃を超えるものが好ましい。より具体的には、Alターゲット、Tiターゲット、Crターゲット、Niターゲット、Moターゲット、Auターゲット、Siターゲット、MoSiターゲット等が挙げられる。なかでも、低融点金属としては、In、Sn、特にSnが好ましく、高融点金属としては、Cr、Mo、Si、特にCrが好ましい。
本発明のスパッタ成膜方法及びスパッタ装置は、Ar、Ne、Krなどの不活性ガスのみを用いた成膜にも用いることができるが、O2ガス、O3ガス、N2ガス、N2Oガス、NOガス、NO2ガス、COガス、CO2ガス等の酸素含有ガス、窒素含有ガス、炭素含有ガスなどの反応性ガスを含む雰囲気、又は上記反応性ガス及び上記不活性ガスの双方を含む雰囲気でスパッタする反応性スパッタにおいて効果が高い。特に、反応性ガスとして酸素含有ガスを含む場合、ターゲットのスパッタ面に付着するスパッタ粒子が、酸化物となり、酸化物は絶縁性を有するものとなりやすいことから、本発明はより効果的である。
本発明のスパッタ成膜方法及びスパッタ装置は、石英基板等の透明基板上に、少なくとも1つの機能性膜を積層してなるフォトマスクブランクを製造する際の、上記機能性膜の成膜方法として好適であり、透明基板上に形成される遮光膜、反射防止膜、位相シフト膜、エッチングマスク膜、エッチングストップ膜等の機能性膜、特に、所定の光学特性が必要とされる遮光膜、反射防止膜、位相シフト膜等の光学膜、とりわけ、遮光膜の成膜に好適である。本発明のスパッタ成膜方法及びスパッタ装置を用いることにより、機能性膜の欠陥を低減して、回路パターンの微細化に対応した高品質なフォトマスクブランクを製造することができる。
金属及び半金属成分が、融点が400℃を超える高融点金属のみである機能性膜と比べて、金属及び半金属成分として、融点が400℃を超える高融点金属と共に、融点が400℃以下の低融点金属を少量含む機能性膜は、エッチング速度の向上が期待できる。本発明のスパッタ成膜方法及びスパッタ装置によれば、このような高融点金属と共に、低融点金属を含む機能性膜を、安定したコスパッタにより、スパッタ装置内での発塵を抑えて成膜することができる。
フォトマスクブランクの機能性膜におけるエッチング速度の向上の観点では、第1のターゲット及び第2のターゲットの組み合わせとしては、In及びSnから選ばれる1種以上の金属を含む材料で構成された低融点元素含有ターゲットと、Cr、Mo及びSiから選ばれる金属又は半金属を含む材料、特にCrを含む材料で構成された高融点元素含有ターゲットとの組み合わせが好ましい。より具体的には、InターゲットとCrターゲットとの組み合わせ、SnターゲットとCrターゲットとの組み合わせなどが好適である。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例1,2]
図1に示されるDCマグネトロンスパッタ装置を使用し、第1のターゲットをSnターゲット、第2のターゲットをCrターゲットとし、スパッタガスに、不活性ガスとしてArと、反応性ガスとしてN2及びO2とを使用した。ターゲット間の遮蔽部材として、高さ×幅=150mm×500mmの導電性の板を、両ターゲットのスパッタ面の中心を結ぶ線分の垂直二等分線上に設置した。遮蔽部材は、Snターゲットのスパッタ面上の任意の点とCrターゲットのスパッタ面上の任意の点を結んだ全ての直線が遮蔽部材と交差する位置に設置した。被スパッタ物には、フォトマスク用6025石英基板を用い、石英基板上にCrSnON膜を成膜した。
放電は電力一定であるため、スパッタ環境によって、各ターゲットの電流電圧値が変化する。Crターゲットの電力を1,000Wに固定し、Snターゲットの電力を350W(実施例1)、900W(実施例2)として、成膜が安定して、定常状態となったときの、Snターゲットの電流値(電圧値)と、真空槽の真空度とを評価した。結果を図3,4に示す。
[比較例1〜3]
図5に示される遮蔽部材のないスパッタ装置を用い、Snターゲットの電力を350W(比較例1)、550W(比較例2)、900W(比較例3)とした以外は、実施例1と同様にして、石英基板上にCrSnON膜を成膜し、Snターゲットの電流値(電圧値)と、真空槽の真空度とを評価した。結果を図3,4に示す。なお、図5のスパッタ装置は、遮蔽部材がないこと以外は図1と同じであり、各部に、図1と同じ参照符号を付して、それらの説明を省略する。
実施例1,2と比較例1〜3との対比から、遮蔽部材を使用している実施例では、遮蔽部材を使用していない比較例に比べて、高い電流値(即ち、低い電圧値)が得られている。また、遮蔽部材を使用している実施例では、真空槽の圧力が低下しているが、これは、反応性ガスが、より消費されているためであり、遮蔽部材を使用している実施例の方が、遮蔽部材を使用していない比較例より、スパッタ粒子が豊富に放出されていると考えられる。これらの結果から、ターゲット間に遮蔽部材を使用することによって、ターゲットのスパッタ面の汚染や改質の影響で引き起こされるターゲットの電圧上昇を抑えること、異常放電の発生を抑制することができ、欠陥の少ない膜を形成できることがわかる。
また、実施例1及び比較例1について、成膜速度と膜の組成を評価した。実施例1と比較例1との対比から、同一成膜時間(250秒)で成膜した場合、遮蔽部材を使用せずに成膜した比較例1の膜の厚さは34nm、一方、遮蔽部材を使用して成膜した実施例1の膜の厚さは53nmであり、実施例1の成膜速度は、比較例1の1.5倍以上に増加した。また、得られた膜の組成を、X線光電子分光(XPS: X-ray Photoelectron Spectroscopy)により評価した。XPSの結果から、遮蔽部材を使用せずに成膜した比較例1の膜では、CrとSnの比、Sn/Cr(原子比)が0.32であったのに対して、遮蔽部材を使用して成膜した実施例1の膜では0.49と、Crに対するSnの比率が増加した。この結果から、遮蔽部材を使用することで、ターゲットのスパッタ効率の低下が抑えられ、特に、スパッタ粒子の付着の影響を受けやすいSnターゲットのスパッタ速度が維持された結果、Sn比が増大したものと思われる。
1 第1のターゲット
11 スパッタ面
2 第2のターゲット
21 スパッタ面
3 真空槽
31 スパッタガス導入口
32 排気口
4,41,42 遮蔽部材
5 被スパッタ物
6 ホルダー
7 真空槽シールド
8 DC電源

Claims (11)

  1. 同一真空槽内に、In、Sn及びGaから選ばれる1種以上の金属からなる第1のターゲットと、Ti、Cr、Ni、Mo及びSiから選ばれる1種以上の金属又は半金属からなる第2のターゲットとを、それらのスパッタ面を被スパッタ物に向けて、かつ双方のスパッタ面を互いに平行に又は傾斜させて配設し、上記第1及び第2のターゲットのスパッタ面間に存する空間を常時分離する遮蔽部材を、上記第1及び第2のターゲットの相互において、一方のターゲットのスパッタ面からスパッタされて、他方のターゲットのスパッタ面に向かって直進するスパッタ粒子が、他方のターゲットのスパッタ面に到達することを防止するように、上記第1のターゲットのスパッタ面上の任意の点と、上記第2のターゲットのスパッタ面上の任意の点とを結ぶ全ての直線と交差するように配設し、上記第1及び第2のターゲットの双方に電力を同時に印加し、第1及び第2のターゲットの相互において、一方のターゲットから放射されたスパッタ粒子が他方のターゲットのスパッタ面に到達することにより該スパッタ面上にスパッタ粒子が付着する速度を、上記他方のターゲットのスパッタにより上記スパッタ粒子が除去される速度以下として、被スパッタ物を、膜の形成面に沿って回転させながら、被スパッタ物上に膜をスパッタ成膜するスパッタ成膜方法であって、上記第1及び第2のターゲットのいずれか一方又は双方において、上記他方のターゲットのスパッタ面上に付着して形成された被膜の導電性が、上記他方のターゲットの導電性より低いこと、又は上記他方のターゲットのスパッタ面上に付着するスパッタ粒子を構成する物質のスパッタレートが、上記他方のターゲットを構成する物質のスパッタレートよりも低いことを特徴とするスパッタ成膜方法。
  2. 上記遮蔽部材が、上記真空槽内で不動であることを特徴とする請求項1記載のスパッタ成膜方法。
  3. 上記遮蔽部材が、導電性の材料で形成されており、かつ電気的に接地されていることを特徴とする請求項1又は2記載のスパッタ成膜方法。
  4. 上記第1のターゲットがInターゲット、Snターゲット及びGaターゲットから選ばれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のスパッタ成膜方法。
  5. 上記第1のターゲットがSnターゲットであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のスパッタ成膜方法。
  6. 上記第2のターゲットがTiターゲット、Crターゲット、Niターゲット、Moターゲット、Siターゲット及びMoSiターゲットから選ばれることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のスパッタ成膜方法。
  7. 上記第2のターゲットがCrターゲットであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のスパッタ成膜方法。
  8. 上記スパッタ成膜が、スパッタガスに反応性ガスを用いる反応性スパッタであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載のスパッタ成膜方法。
  9. 上記反応性ガスが、酸素含有ガスを含むことを特徴とする請求項8記載のスパッタ成膜方法。
  10. 上記スパッタ成膜がDCスパッタ成膜であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載のスパッタ成膜方法。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項記載のスパッタ成膜方法を用い、透明基板上に機能性膜を成膜することを特徴とするフォトマスクブランクの製造方法。
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