JP2017212947A - 植物栽培装置及び植物栽培方法 - Google Patents

植物栽培装置及び植物栽培方法 Download PDF

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Abstract

【課題】育成期間に渡り好適な照度で植物の栽培を行え、且つ収穫量の再現性が高く、しかも植物栽培用照明装置の消費電力を大幅に低減できる植物栽培装置及び植物栽培方法を提供する。【解決手段】光反射層26及び反射板27,29によって、反射面を備え且つ反射面を栽培空間領域側に向けて、栽培空間領域を囲む六面を構成する六面構成部材が構成する。照明装置制御部35は、栽培用植物に対して予め設定した栽培時間に応じた栽培用植物の生長促進に寄与する照射空間内の光の照度の目標値と、照度センサ33によって検出した照度とに基づいて、照度センサ33により検出する照度を目標値に近付けるように植物栽培用照明装置25の光源から照射される光束を制御する。【選択図】 図2

Description

本発明は、植物、野菜、苗の育成に用いられる植物栽培装置及び植物栽培方法に関するものである。特に、本発明は、育成期間に渡り好適な照度で栽培が行え、且つ簡単な装置で収穫量の再現性が高く、しかも照明装置の消費電力を大幅に低減できる植物栽培装置及び植物栽培方法に関するものである。
特開2011−78349号公報(特許文献1)及び特開2013−51942号公報(特許文献2)には、栽培空間領域を囲む6面を囲い吸気、排気を行う人工光を使った栽培装置が提案されている。特許文献1には、6面の中に照明を配置して、側面の吸気手段と排気手段を設けて、栽培空間の環境を外部の雰囲気と同じにすること、照明からの放熱による栽培空間の温度上昇を防止して、適度な流れを設ける技術が開示されている。
特許文献2には、栽培空間領域の温度、湿度、CO2濃度などを均一化する方法と栽培室に適度な流れを設ける方法が開示されている。また特許文献2には、栽培空間の天面及び4側面を反射板で囲った栽培装置により照明効率を向上させて消費電力を低減する技術が開示されている。
さらに特開2013−153691号公報(特許文献3)には、植物の生長に合わせて照明の位置を移動させ、照明と植物の先端の距離を一定に制御しつつ、照明と一緒に移動する位置に光量センサを設け光量センサと照明、植物との位置関係をほぼ一定にして光量を測定する技術が開示されている。さらに特許文献3には、栽培空間に光量センサを用いて、予め設定された照度パターン[植物生長(栽培時間)に合わせて照度を設定]に合わせて照度を調節する技術が開示されている。
特開2011−78349号公報 特開2013−51942号公報 特開2013−153691号公報
特許文献2に記載の技術では、栽培環境は均一化できても、照明光を栽培植物に均一に照射するために多くの電力が必要になる。その結果、照明からの発熱も多くなり栽培室を冷却するための吸気量が増え、トータルの電力が増える問題がある。また、樹脂製の厚板状ブロック体で天面を構成するので、費用が掛かることと、栽培棚を多段構造とする場合、段数が増やすことができず、栽培面積を広くすることができないという課題もある。
特許文献1に記載の技術では、5面または底面を含めて6面を反射板、又は反射シートで覆うことで、特許文献2の発明の課題である、照明光の利用効率が悪い点を改善している。しかし、特許文献1の技術には、生長するにつれて照度不足になる課題がある。特許文献1に記載の技術では、生長に合わせた好適な照度での栽培ができない。特許文献1に記載の技術のように照明の効率を高めると、栽培初期、生長段階、成熟段階で植物により吸収される照明光量が急激に変化する。実際に出願人が実験を行ったところ、栽培槽の上に照度センサを置いて照度を測定した場合、従来の開放型の栽培装置では、リーフレタスを例に説明すると、9日間(216時間)栽培後3〜5%程度の初期照度からの照度の低下しかしなかったが、拡散反射板を使った密閉型の栽培装置では20%〜25%の低下があった、初期の照度の照明条件(初期に設定した照明の消費電力)では生長が進むにつれて急激に照度が低下し照度不足となった(図2のイメージ図参照)。従って、特許文献1に記載の技術では、育成期間で照度が大きく低下してしまい、設定した照度での栽培ができなかったか、できたとしても十分に生長しなかった。
また特許文献3の技術では、植物の生長に伴い照明の照度を一定にするために、栽培用植物と照明の距離を一定に保つ機構が必要となる。また植物の高さを測定する手段、照明と光量モニタを昇降する機構が必要となり設備費が高くなる問題が発生する。またメンテナンスの費用も掛かる。さらに6面を反射板で覆っていないので照明光の利用効率が低く、消費電力の低減は十分にはできない。また特許文献3には、光量モニタとして栽培用植物の葉からの反射光を測定することが好ましいと記載されているが、生長により葉の大きさ、葉の位置も変わり光量モニタと葉の位置関係が変化する可能性があり、光量モニタ精度が安定しない懸念がある。特に、葉物野菜のように背があまり伸びない植物に関しては、植物の生長の位置の測定が難しい。照明と植物の距離や葉の角度が変わると光量モニタの測定が大きく変わるかる可能性もあり、安定性が低い光量モニタの値を使って栽培制御することになり、作物の生産の安定性、再現性が低下する懸念がある。
本発明の目的は、育成期間に渡り好適な照度で栽培を行え、且つ収穫量の再現性が高く、しかも植物栽培用照明装置の消費電力を大幅に低減できる植物栽培装置及び植物栽培方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、栽培空間領域を、反射面を備えた六面構成部材によって囲んだことにより外部から見えない状態に置かれる栽培用植物の生長の状態を間接的に判断することができる植物栽培装置及び植物栽培方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、反射面を備えた六面構成部材によって囲まれた栽培空間領域における異常の発生を間接的に判断することができる植物栽培装置及び植物栽培方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、栽培用植物の栽培途中で栽培装置や栽培環境や栽培条件が何らかの原因で変動した場合に素早く対応ができる植物栽培装置及び植物栽培方法を提供することにある。
本発明の植物栽培装置では、栽培用植物が配置される栽培棚の上に栽培空間領域を画定する天板を備え、天板に栽培棚上の栽培用植物に光を照射する植物栽培用照明装置が配置されている1以上の植物栽培ユニットと、植物栽培用照明装置の光源から照射される光束を制御する1以上の照明装置制御部とを備えている。そして本発明の植物栽培ユニットでは、六面構成部材と、照度センサと、照明装置制御部とを備えている。六面構成部材は、反射面を備え且つ反射面を前記栽培空間領域側に向けて、栽培空間領域を囲む六面を構成する。すなわち本発明では、反射面を備え且つ反射面を栽培空間領域側に向けて、栽培空間領域を囲む六面をそれぞれ反射面によって構成している。そして照度センサは、受光部を備え且つ生長する栽培用植物によって受光部が遮られることが無い栽培空間領域内の照射空間内の光の照度を検出する。なお照度センサの検出部が照射空間内に配置され、照射空間内の光の照度を直接検出する場合方法だけでなく、照度センサを栽培空間領域の外部に配置し(例えば照明装置制御部の内部に組み込まれ)、照度センサの検出部に光ファイバ、ライトガイドや導光ロッド等の導光部材を介して照射空間内の光を導光して照度を検出するようにしてもよい。
照明装置制御部は、栽培用植物に対して予め設定した栽培時間に応じた栽培用植物の生長促進に寄与する照射空間内の光の照度の目標値と照度センサによって検出した照度とに基づいて、照度センサにより検出する照度を目標値に近付けるように植物栽培用照明装置の光源から照射される光束を制御するように構成されている。なお六面構成部材の一部を天板そのもので構成してもよいのは勿論である。また本発明は、六面構成部材が栽培空間領域を完全に囲む場合に限定されるものではなく、六面構成部材の一部に監視用窓部や、適宜の通気穴等が設けられていてもよいのは勿論である。
また本願明細書において「栽培時間」とは、栽培開始を0時として時間の累積を開始し、収穫のときまでに要した光の照射時間の累積時間を意味する。そのため昼と夜とを人工的に作る場合のように、所定の時間間隔で光の照射と光の照射の停止とを繰り返す場合等では、光の照射を停止している時間は、この「栽培時間」には含まれない。
本発明では、栽培時間に応じた栽培用植物の生長促進に寄与する光の照度の目標値に照度センサで検出した照度が近付くように、光源からの光束を制御して植物に光を照射する、また光源からの光束と植物により反射した光束が反射面を備えた六面構成部材で反射を繰り返すことで植物に照射されるので、特に生育の初期段階では植物に直接照射されない照明光を有効に利用できる。また生長が進むにつれて照明光を吸収する葉が増えることで照射空間の照度が低下するが、照度モニタで照射空間の照度を目標値になるように制御するので、必要とされる照度が得られる光を照射して植物を育成できる。言い換えると、植物栽培用照明装置の光源から照射される光束を変えて植物に照射する光の照度を制御するためには、植物栽培用照明装置に供給する電力を栽培用植物の生長に応じて変更することになる。その結果、育成期間に渡り好適な照度(照度の目標値)で栽培を行え、且つ収穫量の再現性が高く、従来よりも消費電力を低減することができて、しかも所望の栽培計画期間までに栽培用植物を育成することができる。
本発明で用いる反射面は、反射する光の分光分布特性を光源の分光分布特性に対し変える反射特性を有する反射面であってもよい。この場合、植物栽培用照明装置の光源として、供給される電力が変わっても照射する光の分光分布特性が実質的に変わることがない光源を用いるのが好ましい。このような反射面を備えた反射部材として、例えば、白色ではなく着色されたプラスチック(含む発泡プラスチック)や段ボールなどの紙材料などや、金属やプラスチック材料の表面に着色シートやフィルムを貼り付けたものや、金属やプラスチック材料の表面に反射機能を持つ薄膜層を形成した材料等で形成されたものを用いることができる。反射する光の分光分布特性が光源の分光分布特性に対して変わったとしても、その分光分布特性が植物の育成を妨げるものでなければ、本発明の実施の妨げになるものではない。なぜならば、本発明では、植物栽培用照明装置を変えずに反射部材の反射光の分光分布特性を適切に選択することによって、特定の植物の育成に好適な光質で植物に光を照射することが可能になるからである。よって、反射部材を変えるだけで異なる分光特性を必要とする植物の栽培を、同一の植物栽培用照明装置で栽培することができる。
発明の具体例の一例において、六面構成部材として、反射した光の分光分布特性を光源の分光分布特性に対して実質的に変えることがない反射特性を有する反射面からなるものを用いることができる。そして栽培用植物の生長と共に増加する植物の葉による光の吸収量の影響を考慮して、植物栽培用照明装置の光源として供給される電力が変わっても照射する光の分光分布が実質的に変わることがない光源を用いてもよい。このようにした場合において栽培時間に応じた栽培用植物の生長促進に寄与する光の照度の目標値に照度センサで検出した照度が近付くように供給される電力が変わっても、反射する光の分光分布を光源の分光分布に対して実質的に変えることがない反射特性を有する反射面からなる六面で光を反射すると、反射板で光を繰り返し反射しても反射面から反射される光の分光分布特性の変化を少なくできる。よって植物の生長により光源から植物への直接照射の割合が増えても光質(照射光の分光特性)が変わらないので、より安定性・再現性が高い栽培が行える。
本発明においては、栽培空間領域を囲む六面構成部材と照度センサによる照度の制御を行うので、生育の初期段階では無用な光の照射を行うことなく、また生長が進むにつれて必要とされる照度が得られる光を確実に制御しながら照射して植物を育成できる。言い換えると、植物の生長に応じて、植物栽培用照明装置の光源からの光束を変えて植物に照射する光の照度を照度の目標値となるように制御するために、植物栽培用照明装置に供給する電力を栽培用植物の生長に応じて変更することになる。植物栽培用照明装置として、供給電力により光の分光分布特性が実質的に変わらなものを用いると、生長の最初から最後の収穫するまで同じ光質で栽培できるので好ましい。
光の分光分布特性が植物育成の途中で変わると、光の照射時間と植物の生長との間の関係が制御可能な比例関係から少しずれるため、植物の栽培を高い精度で制御することができなくなる可能性がある。しかし、上記のように反射面と光源を選択すると、そのような事態が発生することがない。その結果、従来よりも消費電力を大幅に低減することができて、しかも所望の栽培計画期間までに高い制御性を持って栽培用植物を育成することができる。
本願明細書において、「反射した光の分光分布特性を光源の光源分布特性に対して実質的に変えることがない反射特性を有する反射面」とは、理想的には、反射面に入射する光の各波長に対する反射率がほぼ一定(±5%以内)の反射特性を持つ反射面であるが、実際上は反射材料の製造上の誤差、経年変化、設置状況の相違によって反射率の波長特性が若干変動する場合を含むものである。このような反射面を用いる場合には、好ましくは、反射面の反射率が、47%以上の反射材料を用いることが可能である。なお反射面として、反射した光の分光分布特性を光源の分光分布特性に対して変える反射特性を有する反射面を用いる場合には、好ましくは反射率が、15%以上の反射材料を用いることが好ましい。15%以下の反射材料を用いると省エネ効果は低減するが、所望の栽培計画期間までに安定し再現性の良く栽培用植物を育成することはできる。
また本願明細書において、「供給される電力が変わっても照射する光の分光分布特性が実質的に変わることがない光源」とは、理想的には、供給される電力が変わっても照射する光の分光分特性が変わらない光源であるが、温度特性や、材料の誤差及び部品の組立誤差や、照明装置の劣化や、設置状況の相違によって分光分布が多少変動する光源を含むものである。例えば、供給される電力が変わっても照射する光の分光分布特性が実質的に変わることがない光源としては、消費電力が少なく光束の変更が容易なLED光源が好適である。
植物栽培装置は、複数の植物栽培ユニットを組み合わせてなる1つの植物栽培装置アセンブリを備えた構成としてもよい。この場合、1つの植物栽培装置アセンブリに対して、1つの照明装置制御部を設けるのが好ましい。1つの照明装置制御部は、1つの植物栽培装置アセンブリ内の複数の植物栽培ユニットの複数の植物栽培用照明装置を個別に制御するように構成されている。このように制御部を共通化すると、複数の植物栽培ユニットごとに照明装置制御部を設ける場合と比べて、部品点数を減らせて、安価に植物栽培装置を提供できる。なおこの場合には、複数の植物栽培ユニット各々の照度センサの出力を順次受信して、共通に設定した照度の目標値を用いて複数の照度センサに対応する複数の植物栽培用照明装置を個別に制御し、また共通に設定した供給電力の中央値及び供給電力の許容範囲を用いて共通の電力監視部により電力監視を行うことができる。
また、複数の植物栽培ユニット個別に設定した照度目標値を用いて複数の照度センサに対応する複数の植物栽培用照明装置を個別に制御し、また個別に設定した供給電力の中央値及び供給電力の許容範囲を用いて共通の電力監視部により電力監視を行うことができる。
さらに植物栽培装置は、複数の植物栽培装置アセンブリを備えて構成してもよい。この場合には、複数の植物栽培装置アセンブリに対して中央管理装置を設けるのが好ましい。そして中央管理装置は、複数の植物栽培装置アセンブリに対してそれぞれ設けられた複数の照明装置制御部に、栽培に必要な設定値情報を与えるように構成するのが好ましい。このようにすると、複数の照明装置制御部に与える、栽培に必要な設定値情報を1箇所から与えるので、管理が容易になって、大量生産が可能になる。具体的には、複数の植物栽培装置アセンブリにそれぞれ含まれる複数の植物栽培ユニットの複数の栽培用照明装置に対して、1箇所に設けた中央管理装置により、照度の目標値、照度差の所定の範囲、供給電力の中央値及び許容範囲の設定値を、照明装置制御部の照度差演算部及び電源監視部に与えることができる。中央管理装置を設けると、植物栽培装置の台数が多い場合や増設された場合でも、設定値の設定を植物栽培アセンブリ毎に個別に行う必要がないので、管理が非常に簡単になる。また中央管理装置を用いると、異常状態が発生したときにも、中央管理装置で一括して監視しているので、少ない人数で多数の植物栽培装置の監視及び管理を実現できる。具体的には、中央管理装置は、複数の照明装置制御部における目標値を任意に設定変更する照度目標値設定機能を備えている。また中央管理装置は、複数の照明装置制御部にある後述する複数の異常判断部の判断結果を栽培状況表示部に表示する機能を有しているのが好ましい。
本発明の植物栽培装置において、照度の目標値は、植物栽培用照明装置の光源からの光束を一定にすると、栽培用植物の生長に伴って照度センサの出力が低下するという現象に基づいて、照射空間の照度が栽培時間に応じた栽培用植物の生長促進に寄与する照度となるように定めるのが好ましい。目標値は、栽培時間の経過とともに連続的にまたは段階的に変化するように定めてもよい。目標値の設定は、栽培する植物の種類、栽培空間の温度、湿度、CO2濃度などの栽培条件や、栽培に使用する水中の栄養度、栽培計画期間等に応じて、適宜に定められることになる。そして目標値は、一点の値でもよく、また中心値を中心とした所定の幅を持たせたものでもよい。
照明装置制御部は、照度センサにより検出した照度と目標値との照度差を求める照度差演算部と、照度を目標値に近付けて、照度差が所定の範囲内になるように植物栽培用照明装置に供給する電力を調整する電力調整部と、目標値と照度センサが検出した照度を表示する表示装置を備えているのが好ましい。目標値と照度センサが検出する照度を表示装置の表示部に表示すると、外部からは見ることができない六面構成部材によって囲まれた栽培空間領域内の植物の生育状況を表示装置の表示を見ることにより間接的に確認することができる。
照明装置制御部は、照度の目標値を任意に設定できる照度目標値設定変更部を備えているのが好ましい。照度目標値設定変更部を設ければ、栽培用植物の種類や栽培計画(栽培期間、栽培量、出荷時期、出荷量を考慮した計画)に応じて植物栽培装置を構成する植物栽培ユニット毎に適切な目標値を適切に設定することができるので、植物栽培装置の汎用性が高くなる。
また照度センサにより検出した照度と照度の目標値との差(照度差)を求め、この照度差が予め定めた照度範囲から外れた場合に異常が発生していると判断して、例えばアラームを発生する異常判断部をさらに備えていてもよい。この照度差が大きくなるのは、植物栽培用照明装置の故障、六面構成部材からの照明光の漏れ、照度センサの検出部のずれ、照度センサの異常等のように主に栽培装置の異常によるものである。この照度差は、連続して計測してもよいが、予め定めた時間間隔で計測するようにしてもよい。したがってこのようなアラームが出たときには、原因を調査して、即座に対策をとることにより、予定した収穫時期までに栽培用植物を栽培することが可能になる。その結果、反射面を備えた六面構成部材によって囲まれた栽培空間領域内の異常の発生を間接的に判断することができる。よって前述の異常に対して素早く対応ができる。
さらに予め定めた栽培計画期間での収穫を変更するために照度の目標値を変更する目標値補正部をさらに備えていてもよい。すなわち予め定めた照度の目標値では、栽培計画を達成できないと判断した場合には、例えば植物の育成速度を速めるために、照度の目標値を高めて光源から照射される光束を増加することを行ってもよい。
また具体的な照明装置制御部は、照度センサにより検出した照度と目標値との照度差を求める照度差演算部と、照度差が所定の範囲内あるかを判断する照度差判定部と、照度差判定部が、照度差が所定の範囲外にあることを判定しているときには、検出した照度を目標値に近付けて、照度差を所定の範囲内にするように植物栽培用照明装置に供給する電力を調整して光源からの光束を制御する電力調整部とを備えているのが好ましい。なお電力調整部は、電圧及び電流の少なくとも一方を調整することにより、電力を調整すればよく、その構成は任意である。LED光源の場合には電流を制御する。
さらに照明装置制御部は、栽培用植物の栽培のために予め設定した栽培時間に応じた照度の目標値に対応して予め設定した供給電力の中央値と許容範囲と、植物栽培用照明装置に供給している電力とを比較し、植物栽培用照明装置に供給している電力の状態を監視し、監視結果を表示部に表示する電力監視部をさらに備えているのが好ましい。このような電力監視部を設けると、照度差だけでは発見できない異常を発見することができる。すなわち電力差がマイナスになってその差が許容範囲の下限を超えた場合で、照度センサが検出する照度に基づく照度差が所定の範囲内にある場合には、栽培溶液中の栄養成分が少ないか、CO2濃度が低いために植物の生長が遅く、葉の面積が少ないために照明光の吸収が少ない即ち栽培用植物が生育していない可能性がある。また、照度センサの故障か、ゼロ点のドリフトが原因で実際より高く照度を検出しているか、または照度センサの位置ずれなどの何らかの原因で照度センサが検出する照度が高くなっており、結果として植物栽培用照明装置に供給する電力が低下して、栽培用植物の生長が遅くなっている可能性がある。
また電力差がプラスになってその差が許容範囲の上限の範囲を超えた場合で、しかも照度センサが検出する照度に基づく照度差が所定の範囲内にある場合には、栽培空間から照明光が漏れているか、植物栽培用照明装置の光源が劣化しており、無駄な電力が消費されている可能性がある。
電力監視部は、植物の栽培時間に対応した供給電力の許容範囲と許容範囲の中央値と植物栽培用照明装置に供給している電力を表示装置の表示部に表示するのが好ましい。また表示装置の表示部には、照度の目標値と検出した照度と照度差が判る情報を併せて表示するのが好ましい。これらの情報がすべて表示部に表示されると、外部から見ることができない栽培空間領域内植物の生育状況、設備の不具合の有無を表示部の表示を一括して見ることにより間接的に確認することができ、最適な制御及び管理を行うことを可能にする。
電力監視部の監視結果を有効に活用するためには、植物の栽培時間に対応した供給電力の許容範囲と許容範囲の中央値を設定できる供給電力許容範囲設定部を備えているのが好ましい。供給電力許容範囲設定部を設ければ、さまざまな原因で遅れている植物の生育を、供給電力を調整することにより、簡単に修正できる。
さらに栽培空間領域内の空気を換気する換気装置をさらに備えていてもよいのは勿論である。換気装置があれば、前述の電力差がマイナスでその差が大きくなった場合等に、換気風量を調節して(増やして)栽培空間領域の温度・湿度を調整し、栽培空間領域のCO2ガスの流量を増やすことでマイナスの電力差の低減に換気装置を利用することが可能になる。電力差がプラスの場合にも換気風量を低減することである程度の改善は可能である。
本発明を植物栽培方法として特定することができる。具体的には、栽培用植物が配置される栽培棚の上に栽培空間領域を画定する天板を備え、天板に栽培棚上の栽培用植物に光を照射する植物栽培用照明装置が配置されている1以上の植物栽培ユニットを用いて栽培用植物を栽培する植物栽培方法を次のように特定することができる。すなわち1以上の植物栽培ユニットとして、反射面を備え且つ反射面を栽培空間領域側に向けて、栽培空間領域を囲む六面をそれぞれ反射面によって構成する六面構成部材と、照度センサを備えたものを用いる。
照度センサの受光部で生長する栽培用植物によって遮られることが無い栽培空間領域内の照射空間内の光を検出し、植物栽培用照明装置の光源から照射される光束を制御する照明装置制御部を備えたものを用意する。そして照明装置制御部により、植物栽培用照明装置の光源から照射される光束を一定にすると、栽培用植物の生長に伴って照度センサの出力が低下するという現象に基づいて、栽培時間に応じた栽培用植物の生長促進に寄与する光の照度の目標値を定め、照度センサにより検出した照度を目標値に近付けるように植物栽培用照明装置を制御する。本発明の方法は、上記本発明の植物栽培装置を方法のカテゴリで特定したものであり、本発明の方法を実施すると、上記本発明の植物栽培装置により得られる作用効果と同様の作用効果が得られる。
本発明の第1の実施の形態の植物栽培装置の構成を概略的に示す図である。 本発明の第1の実施の形態の制御系を示す図である。 植物栽培用照明装置の光源からの光束を一定にした場合において、栽培用植物の生長に伴って照度センサの出力が低下する現象が発生することを示すグラフである。 (A)は栽培空間領域の六面が反射面によって囲まれている場合における植栽培用照明装置の電力制御の考え方の例を説明するための図であり、(B)は本実施の形態の植物栽培装置において、昼と夜とを人工的に作る場合における照度の目標値の設定パターンの一例を示す図である。 植物栽培用照明装置からの照射量を一定にした場合における照度センサの出力と生長したリーフレタスの葉を栽培空間の床面に配置した葉の面積と栽培空間の底面の面積との面積比との関係を測定した結果を示す図である。 照度を一定にするために、植物栽培用照明装置に供給する電力を変えた場合の電力とリーフレタスの葉の面積と栽培空間の底面の面積との面積比の関係を示す図である。 (A)及び(B)は、植栽培用照明装置の制御パターンの例を説明するための図である。 第1の実施の形態の照明装置制御部の構成の一例を示すブロック図である。 本発明の第2の実施の形態の制御系を示す図である。 第2の実施の形態で用いる照明装置制御部の構成の一例を示すブロックである。 本発明の第3の実施の形態の制御系を示す図である。 第3の実施の形態で用いる制御系の構成の一例を示すブロックである。 反射面の材質の相違による効果の相違について試験をした結果を示す表である。
以下、図面を参照して本発明の植物栽培装置及び植物栽培方法の実施の形態の一例を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態の植物栽培装置の構成を概略的に示す図である。本実施の形態の植物栽培装置1は、植物栽培ユニット2と照明装置制御部35(図2)とを備えている。植物栽培ユニット2は、床10の上に設置された栽培ラック3を備えている。栽培ラック3は、4本以上の柱5と、上下方向に間隔をあけて配置された棚を構成する複数の梁7と、底壁9とから構成されている。底壁9の上には、漏水を溜める漏水パン11が設置されており、梁7によって構成される栽培棚の上には栽培ベッド(培養液を植物に供給する部分)13がそれぞれ設置されている。栽培ベッド13には栽培用植物15が植えられている。本実施の形態では、溶液を貯めたタンク17よりポンプにより、各栽培ベッド13に培養液が供給される。タンク17と各棚の栽培ベッド13とは、配管19で連結されており、閉ループの培養液循環流路が形成されている。
そして栽培用植物15が配置される栽培棚の上方には、栽培空間領域21を画定する天板23を備えている。本実施の形態では、天板23が、複数のLEDから栽培棚上の栽培用植物15に光を照射する植物栽培用照明装置25によって構成されている。植物栽培用照明装置25の構成については、植物栽培用照明装置25の栽培空間領域21と対向する面は、光反射層26によって構成されている。本実施の形態では、栽培ベッド13の上に栽培用植物15が伸び出る貫通孔が形成された底面反射板27が配置されている。この反射板は、植物栽培用照明装置25から照射される光を、植物15の葉の裏面側に向かって反射する。また本実施の形態では、栽培空間領域21の4つの側面にも、植物栽培用照明装置25から照射された光を拡散反射する側面反射板29が配置されている。左右、前後の側面反射板29は、栽培空間領域21の側面を実質的に完全に覆っている。なお図1においては、理解を容易にするために、前方の側面反射板の図示は省略してある。対向する一対の左右の側面反射板29には、それぞれ換気装置31が取り付けられている。そして各反射板(27,29)と植物栽培用照明装置25の光反射層26による光の拡散反射によって植物に効率的に光を照射する。その結果、植物栽培用照明装置25の光源から照射される光束(照明の消費電力)を低減することができる。本実施の形態では、光反射層26及び反射板27,29によって、反射した光の分光分布特性を光源の分光分布特性に対して実質的に変えることがない反射特性を有する反射面を有する六面構成部材を構成している。言い換えると、光反射層26及び反射板27,29によって、反射される光の分光分布特性を光源から出射する光の分光分布特性に対し実質的に変えない反射特性を有する反射面(光源の波長範囲に対して反射率はほぼ一定となる反射特性)を備え且つ、反射面を栽培空間領域側に向けて、栽培空間領域を囲む六面を構成する六面構成部材が構成されている。反射する光の分光分布を光源から出射する光の分光分布に対し実質的に変えることがない反射面を備えた反射材料としては、例えば、古河電気工業株式会社がMCPETシリーズのグレードM4の名称で販売する反射材料を用いることができる。またアルミなどの金属面も利用できる。
本実施の形態では、換気装置31を設けたことにより、栽培空間領域21からの光の漏れの影響は実質的にない。また植物栽培用照明装置25からの熱は、換気装置31によって排出される。そして植物栽培用照明装置25は、栽培ラック3の柱5及び梁7に固定される。
栽培環境制御は、栽培ラック3が設置される栽培室の温度、湿度CO2ガス濃度を制御し且つ換気装置31を制御することで、栽培棚の各栽培空間領域21内を栽培室とほぼ同じ環境とする。1つの栽培空間領域21に設けられ換気装置31は一方が排出、もう一方が吸気を行うタイプの公知の換気装置である。なお対向する一対の側面反射板の一方に、排出または吸気ファンによる換気装置31だけを設けて、他方の側面反射板には光を漏らさない構造の吸気口又は排気口だけを設けた構成としても良い。
図2に概略的に示すように、本実施の形態では、1つの栽培空間領域21に対して照度センサ33を設けている。照度センサ33は、図示しない受光部を備え且つ生長する栽培用植物15によって受光部が遮られることが無い栽培空間領域21の照射空間22内で且つ反射面(26,27,29)及び栽培用植物15によって反射された光を受光できるに位置(本実施の形態では天板23と栽培空間領域21の側面と栽培用植物に囲まれた空間)に配置されている。また照明装置制御部35は、事前の試験により決定した栽培時間に応じた栽培用植物15の生長促進に寄与する光の照度の目標値と照度センサ33によって検出した照度とに基づいて、照度センサ33により検出する照度を目標値に近付けるように植物栽培用照明装置25の光源からの光束を制御する。
本実施の形態の植物栽培用照明装置25は、栽培用植物15が配置される栽培棚の上方に配置されて、供給される電力が変わっても照射する光の分光分布特性が実質的に変わらない(各波長分の光速の相対比率が実質的に変化しない)複数のLED(光源)から栽培棚上の栽培用植物15に光を照射する。このような特性を有するLED(光源)としては、日亜化学工業株式会がNVSL119C、NVSL219Cの製品番号で販売する白色LEDを用いることができる。なお青色LEDと赤色LEDとを組み合わせても、この特定を有する光源を作ることは可能である。栽培用植物に合わせて、青色LEDと赤色LED以外の組み合わせや青色、赤色、緑色の3種類のLEDの組み合わせた光源を使っても良い。
植物栽培用照明装置25は、栽培空間領域21側に光を照射するように配置された複数のLEDを備えている。なお植物栽培用照明装置25は、天板23の栽培空間領域21側に配置されていても、またその反対側に配置されていてもよいが、反対側に配置される場合には、複数のLEDからの光だけが天板を通過できるように、天板23を構成すればよい。
放熱を低減するためには、植物栽培用照明装置25はLED照明を採用するのが好ましい。更に好ましくは、天板23の裏側に光源が位置し、天板23に設けた孔から光を照射するように植物栽培用照明装置25を配置するほうが、植物栽培用照明装置の排熱が栽培空間領域21に伝わりにくくなるので、栽培空間領域21内の温度上昇を低減できる。
本実施の形態においては、反射面からなる六面(26,27,29)によって囲まれた栽培空間領域21内の照度を、生長する栽培用植物15によって受光部が遮られることが無い栽培空間領域21内の照射空間22に配置された照度センサ33又は、照射空間の光をライトガイドや導光板や導光ロッドで栽培空間領域21の外部に設置された照度センサに導光して測定することにより、生長と共に増加する植物の葉による光の吸収量を間接的に測定していることになる。そこで、本実施の形態では、照明装置制御部35が、栽培時間に応じた栽培用植物15の生長促進に寄与する光の照度の目標値に応じた照度になる光を植物に照射する。すなわち照明装置制御部35は、照度センサ33により検出する照度を目標値に近付けるように植物栽培用照明装置25に供給する電力を照明装置制御部35で制御する。
目標値は、栽培空間領域を囲む六面を構成する六面構成部材が構成された植物栽培装置において、植物栽培用照明装置25の光源からの光束を一定にすると、栽培用植物15の生長に伴って照度センサ33が検出する照度が低下するという現象に基づいて設定される。図3は、植物栽培用照明装置25の光源から照射される光束を一定にした場合において、栽培用植物15の生長に伴って照度センサ33の出力が低下する現象が発生することを示すグラフである。図3の曲線Xは、栽培条件を同じにして、栽培空間領域21の六面が反射する光の分光分布特性を光源の分光分布特性に対して実質的に変えない反射特性を有する反射面によって囲まれている場合の照度センサ33の出力の変化を示しており、栽培時間ゼロの照度(照度センサ33が検出する初期照度)を所定の照度とするように植物栽培用照明装置25の電力を調整し、栽培用植物が生長する過程において照度センサ33が検出する照度を測定した結果を、初期照度を基準として規格化したものである。曲線Yは栽培空間領域21の側面が開放されている場合の照度センサ33の出力の変化を示している。曲線Yも曲線Xの場合と同様に初期照度を基準として照度センサ33が検出する照度を規格化してある。なお栽培空間領域21の側面が開放されている場合には、光が栽培空間領域21から大量に漏れるため、照度センサ33が検出する初期照度を曲線Xの場合と同じにするために、植物栽培用照明装置25に供給する電力を増大させてある。なお図3のデータの測定では、照度センサを栽培ベッド13の上に配置し、植物の生長によって陰にならない場所で測定した。図3から明らかなように、栽培空間領域21の六面が反射面によって囲まれている場合には(曲線Xの場合)、植物が生長して植物が吸収する光の量が増加すると、密閉された栽培空間領域21内の照度が急激に低下する。これに対して栽培空間領域21から光が漏れている場合(曲線Yの場合)には、植物がある程度生長すると照度の低下は飽和状態となる。図3の測定結果は、照度センサが植物によって遮られない状態での測定できる段階までの測定結果である。
曲線Yの植物栽培装置(従来の植物栽培装置)の植物栽培用照明装置25の初期照度の電力量は、曲線Xの植物栽培装置(本発明の植物栽培装置)に対して10倍以上大きかった。曲線Yの植物栽培装置の場合は、光源から沢山の照明光が照射されているので、照明光が照度センサに直接入射する割合が多い。一方、曲線Xの植物栽培装置の場合は、植物栽培用照明装置25から直接照度モニタに入射する照明光は少ないが、反射面からなる六面(26,27,29)で囲われているため、反射した光がモニタに入り、植物栽培用照明装置25に供給する電力が少なくても照度センサが検出する初期照度は高くなる。そして植物が生長して、反射光が植物に吸収され始めると、植物により反射光が吸収され照度センサに入射する反射光が減るため、照度センサが検出する照度は敏感に減少すると考えられる。従来の植物栽培装置に対応する曲線Yの場合は、反射光が植物の吸収によって減少する影響は少ない、なぜならば植物栽培用照明装置25からの照明光が支配的だからである。
この結果から、本実施の形態の植物栽培装置の場合は、植物に照射される光の光束を例えば一定にするためには、植物の生長とともに植物栽培用照明装置25の光源からの光束を増大させる必要があることが判る。そして本実施の形態の植物栽培装置1において、従来の植物栽培装置のように、植物栽培用照明装置25の光源からの光束を一定にすると、植物の生長に必要な光が不足して、植物の生長に時間がかかることが判る。また本実施の形態において、植物栽培用照明装置25の光源からの光束を一定にすると、植物の生長に適した栽培条件での栽培期間は、短時間しか維持できない。
図4(A)は、図3の現象を考量した栽培空間領域21の六面が反射面によって囲まれている場合における植栽培用照明装置の電力制御の考え方の例を説明するための図である。植物栽培用照明装置25に与える電力を制御せずに、光源からの光束をほぼ一定にすると、植物の生長とともに照度センサ33が検出する照度はどんどんと低下し、植物の生長速度は低下する。そこで栽培期間中において、栽培空間領域21内の照度を予め定めた目標値に維持するためには、植物栽培用照明装置25に与える電力を連続制御または断続制御することにより、植物の生長に合わせて植物栽培用照明装置25の光源から照射される光束を増加すれば、栽培空間領域21内の照射空間22の照度を予め定めた目標値に制御することができる。電力制御を行わないで植物の生長速度を維持するためには、最初から植物栽培用照明装置25の光源から照射される光束を多くしておく必要があるが、このようなことをすると必要以上の電力が必要になり、栽培に使われない電力が増えて、省エネルギと栽培コストの観点から好ましくない。また生育期間に渡り好適な照度での栽培ができない。
図4(B)は、本実施の形態の植物栽培装置1において、昼と夜とを人工的に作る場合における照度の目標値の設定パターンの一例を示している。この例では、所定の時間間隔で光の照射(昼)と光の照射の停止(夜)とを繰り返す。この例では、昼間の状況では、照度の目標値は一定で、夜の状況では照度の目標値はゼロである。この場合、昼の時間は「栽培時間」に含まれるが、夜の時間は「栽培時間」には含まれない。
図5は、本実施の形態において、植物栽培用照明装置25からの照射量を一定にした場合における照度センサ33の出力とリーフレタスの葉を栽培空間の床面に配置した面積と栽培空間の底面の面積との面積比との関係を測定した結果を示している。この測定は、栽培エリアが人為的に並べたリーフレタスの葉によって完全に覆われた状態を1として示してあり、栽培エリアの面積は7440cm2であった。植物栽培用照明装置からの照射光の光量子密度(PPFD)を100μmol/m2/s、150μmol/m2/s、200μmol/m2/sと変えてみたが、初期値で規格化した場合は全てほぼ同じ結果になった。この結果から、植物の生長に伴う照射空間22の照度の低下傾向は、光量子密度PPFDを変えても変わらないことが判った。
図6は、照度を一定にするために、植物栽培用照明装置に供給する電力を変えた場合の電力とリーフレタスの葉の面積と栽培空間の底面の面積との面積比の関係を示す図である。具体的には、六面が反射面によって囲まれた栽培空間領域21内の照度を、光量子密度PPFD=100μmol/m2/s、PPFD=150μmol/m2/s、PPFD=200μmol/m2/s一定にするために、植物栽培用照明装置に供給する電力を変えた場合の電流及び電力(消費電力)と栽培エリアに人為的に並べたリーフレタスの葉の面積比の関係を示している。図6において、測定点に△印を付した曲線は植栽培用照明装置(LED光源を使用)に供給する電流値(右側の縦軸)であり、測定点に□印を付した曲線は植栽培用照明装置に供給する電力(左側の縦軸)を示している。曲線A1.A2は照射空間22内の初期照度を、PPFD=200μmol/m2/s一定にする場合の植栽培用照明装置の供給電流と消費電力を示しており、曲線B1.B2は照射空間22内の初期照度を、PPFD=150μmol/m2/s一定にする場合の植物栽培用照明装置の供給電流と消費電力を示しており、曲線C1.C2は照射空間22内の初期照度を、PPFD=100μmol/m2/s一定にする場合の植栽培用照明装置への供給電流と消費電力を示している。これらの結果から、照度を一定範囲に維持するためには、植栽培用照明装置の消費電力(供給電流)は面積比にほぼ比例して増加させる必要があることが判った。図示していないが、リーフレタスの面積比1の消費電力で規格化すると、3条件の照度の曲線は1つの直線に近似できる。即ち、本結果より本実施の形態の植物栽培装置では、照度によらずリーフレタスの面積に比例した消費電力が必要という関係が得られた。
図7(A)及び(B)は、植栽培用照明装置の制御パターンの例を説明するための図である。図7(A)は栽培時間中照度を一定に保つ場合に必要な植物栽培用照明装置の消費電力の調整パターンを示している。この図において曲線OIは、栽培空間領域内の照度の目標値であり、二本の破線で挟まれた範囲が、照度の許容範囲である。曲線OPは照、度の目標値を維持するために必要な植物栽培用照明装置の消費電力(照明装置に供給する供給電力)の許容範囲(二本の破線で挟まれた範囲)の中心値を示している。この例では、制御を簡単にするために消費電力(照明装置に供給する供給電力)の許容範囲の中心値は直線的に変化しているが、栽培する植物、栽培条件によりほぼ決まった関係が求められる。予め栽培条件を決める際に、照明装置の消費電力を測定して、種によるバラツキや栽培環境の変動を考慮して中心値と範囲を決めるのが良い。図7(B)は栽培時間中照度を段階的に増加させる場合に必要な植物栽培用照明装置の消費電力の調整パターンを示している。この図において曲線OIは、栽培空間領域内の照度の目標値であり、曲線OPは照度の目標値を維持するために必要な植物栽培用照明装置の消費電力(照明装置に供給する供給電力)の許容範囲の中心値を示している。この例では、照度の目標値は段階的に変化しているが、事前に実際に栽培して得られた消費電力の結果は複雑な曲線となったので、制御を簡単にするために消費電力(照明装置に供給する供給電力)の許容範囲の中心値は二次曲線で近似した。なお照度の段階的な変化に応じて消費電力(照明装置に供給する供給電力)の許容範囲と中心値は先の説明と同様に求めても良い。
(照明装置制御部)
図8は、照明装置制御部35の構成の一例を示すブロック図である。照明装置制御部35は、栽培用植物に対して予め設定した栽培時間に応じた栽培用植物の生長促進に寄与する照射空間内の光の照度の目標値と、照度センサ33によって検出した照度とに基づいて、照度センサ33により検出する照度を目標値に近付けるように植物栽培用照明装置25の光源から照射される光束を制御する。照明装置制御部35は、照度センサ33により検出した照度と目標値との照度差を求める照度差演算部35Aと、照度差が所定の範囲内あるかを判断する照度差判定部35Bと、照度差判定部35Bが、照度差が所定の範囲外にあることを判定しているときには、照度差を0に近付けるように植物栽培用照明装置25に供給する電力を調整する電力調整部35Cとを備えている。電力調整部35Cは、照度差に基づき植物栽培用照明装置25の電圧及び電流の少なくとも一方を調整することにより、電力を調整するように構成されている。LED光源を用いる場合は、電流を制御して電力を調整する。
照明装置制御部35は、また照度の設定できる植物栽培が可能な範囲で目標値と照度差の範囲を任意に設定できる照度目標値設定変更部35Dを備えている。照度目標値設定変更部35Dを設ければ、栽培用植物の種類や栽培計画(栽培開始時期、収穫時期、収穫量などを考慮した計画)に応じた適切な目標値と照度差の範囲を事前に栽培した結果を参考にし、あるいは栽培した経験から好適な値と範囲に設定することができる。
さらに照明装置制御部35は、照度の目標値と照度センサ33が検出する照度を表示部35Eに表示する表示装置35Fを備えている。目標値と照度センサ33が検出する照度を表示装置35Fにより表示すると、外部からは見ることができない六面構成部材によって囲まれた栽培空間領域21内の植物の生育状況を表示装置35Fの表示部35Eの表示を見ることにより間接的に確認することができる。
また照明装置制御部35は、照度センサ33の出力と照度の目標値との差(照度差)を求め、差が予め定めた値以上あるとき(所定の範囲外にあるとき)に異常が発生していると判断して、例えばアラームを発生する異常判断部35Gをさらに備えている。アラームの発生はブザー等の音響アラームでも、また表示部35Eへのメッセージアラームでもよい。また状況によっては、アラームの発生により照度の目標値を変更するようにしてもよい。
照度差が大きくなる原因は、植物栽培用照明装置25の故障、六面構成部材からの照明光の漏れ、照度センサの検出部のずれ、照度センサの異常等の主に栽培装置の異常である。照度差判定部35Bは、照度差を連続して計測してもよいが、予め定めた時間が経過するたびに計測してもよい。また照度差を表示部35Eに表示してもよいのは勿論である。さらに外部の警報装置に警報信号を出力しても良い、またインターネット回線を通じて、予め設定した送信先に警報のメールを送信しても良い。
本実施の形態では、さらに植物栽培用照明装置の消費電力(照明装置に供給する供給電力)の中心値からの差(消費電力差)に基づいて予め定めた栽培計画期間(栽培開始から収穫するまでの期間)を達成するように照度の目標値を設定変更する照度目標値設定変更部35Dを備えている。そして表示装置35Fの表示部35Eには、植物栽培用照明装置の消費電力(照明装置に供給する供給電力)の中心値からの差(消費電力差)を表示する。表示装置35Fの表示部35Eに表示された消費電力差を見ることにより、予め定めた照度の目標値では、栽培計画を達成できないと栽培者が判断した場合には、植物の育成速度を速めるために、照度目標値設定変更部35Dにより照度の目標値を変えて植物栽培用照明装置25の光源から照射される光束を増加することを行ってもよい。また出荷時期を早めたり、遅らせる変更ももちろん可能である。
さらに照明装置制御部35は、栽培用植物の栽培のために予め設定した栽培時間に応じた照度の目標値に対応して予め設定した供給電力の許容範囲と、照明装置に供給している電力とを比較し、照明装置に供給している電力の状態を監視し、監視結果を表示部35Eに表示する電力監視部35Iをさらに備えていてもよい。電力監視部35Iを設けると、表示部35Eの表示を見ることより、植物栽培用照明装置25の制御が設定通りに行われているか否かの判定を、簡単に行うことができる。
本実施の形態では、電力監視部35Iが、照度センサ33が検出する照度と、照度の目標値と、照度差と、植物の栽培時間に対応した供給電力の許容範囲と許容範囲の中央値、照明装置25に供給している電力と、前述の消費電力差とを表示部35Eに表示する。これらの情報がすべて表示部35Eに表示されると、外部から見ることができない栽培空間領域21内の植物の生育状況を表示部35Eの表示を一括して見ることにより間接的に確認することができ、最適な制御を行うことを可能にする。電力監視部35Iの監視結果を有効に活用するためには、植物の栽培時間に対応した供給電力の許容範囲と許容範囲の中央値を設定できる供給電力許容範囲設定部35Jを備えているのが好ましい。供給電力許容範囲設定部35Jを設ければ、さまざまな原因で遅れている植物の生育を、供給電力を調整することにより、計画した期日に計画した栽培量にすることが簡単に実現することができる。
なお供給電力の許容範囲の中央値(電力の目標値)と照明装置に供給している供給電力との差を求め、電力差が許容範囲を超えた場合にアラームを出すように電力監視部35Iが構成されている。すなわち電力監視部35Iにおいて監視する電力差がマイナスになって許容範囲の下限の範囲を超えた場合で、照度センサ33の出力が正しい場合には、植物の葉の面積が少なく照明光の吸収が少ないことになり、栽培用植物が生育していない可能性がある。この場合に、例えば空調設備の故障に基づく温度・湿度やCO2ガス濃度などの環境の変化、培養液中の栄養度の低下などの栽培環境の異常や照度センサの出力が正しくない場合が考えられ、照度センサ33が故障か、ゼロ点のドリフトが原因で実際より高く照度を検出しているか、または位置がずれなどの何らかの原因で照度センサ33が検出する照度が実際より高く検出されており、結果として照明電力が低下して、栽培用植物の生長が遅くなっていることが考えられる。あるいは、使用している植物栽培用照明装置25が正しくない光源を使っているか、植物栽培用照明装置25の波長特性などの設定が正しくないことが考えられる。また電力差がプラスになってその差が大きくなり許容範囲の上限の範囲を超えた場合で、しかも照度センサの出力が正しい場合は、栽培空間から照明光が漏れているか、植物栽培用照明装置25の光源が劣化しており、無駄な電力が消費されている可能性がある。照度センサ33の出力が正しくない場合も、原因は同様で、その影響が照度を下げる方向に出ており、結果として照明電力が増加しており、照明電力が無駄に使われていることが考えられる。したがってこのようなアラームが出たときには、原因を調査して、(即座に)対策をとることにより、予定通りの時期までに栽培用植物を生長させることが可能になる。
このように電力監視部35Iにより主に栽培環境や栽培条件(照射条件)、照度センサの異常などによる植物の栽培状態の異常を検出できる。
本実施の形態では、照度差をモニタすることで、主に植物栽培装置1を構成する機器の異常の検出が行える。電力差のモニタは主に植物の栽培状態、栽培環境の異常の検出が行える。植物栽培装置1と植物の栽培状態・栽培環境を管理ができるので、植物栽培の安定化、再現性の向上が図れ、植物の品質(収量、大きさなど)管理が行えると考える。
本実施の形態では、前述のように、栽培空間領域21内の空気を換気する換気装置31を備えている。そのため、前述の電力差がマイナスでその差が大きくなった場合等に換気装置の風量を増やして、栽培空間のCO2ガスの流量を増やすことで目標値との差の低減に換気装置31を利用することが可能になる。このように照度差や電力差がモニタできるので、植物栽培用照明装置25の制御だけでなく、換気装置31の調整により照度差や電力差を低減することも可能である。
(第2の実施の形態)
図9(A)は本発明の第2の実施の形態の植物栽培装置1の制御系を示す図であり、図9(B)は第2の実施の形態で用いる照明装置制御部の構成の一例を示すブロックである。図9(A)及び(B)には、図1,図2及び図8を用いて説明した第1の実施の形態の構成要素と同様の構成要素には、図1,図2及び図8に付した符号と同じ符号を付してある。また機能が若干ことなる構成要素には図1,図2及び図8に付した符号に´を付してある。本実施の形態では、1つの栽培ラックの3段の栽培棚に個別に設けられた3つの植物栽培ユニット2によって1つの植物栽培装置アセンブリ4が構成されている。そして1つの植物栽培装置アセンブリ4中の3つの植物栽培ユニット2が備える3つの植物栽培用照明装置25に対して、1つの照明装置制御部35´を共通のものとして設けている。本実施の形態では、照明装置制御部35´が、3つの植物栽培ユニット2の3つの照度センサ33の出力を、照度差演算部35´Aが順次受信して、共通に設定した照度の目標値を用いて照度差判定部35´Bがそれぞれ照度差を判定し、電力調整部35´Cが3つの照度センサ33に対応する3つの植物栽培用照明装置25を個別に制御し、また共通に設定した許容範囲の中央値及び供給電力の許容範囲を用いて共通の電力監視部35´Iにより電力監視を行う。
本実施の形態によれば、照明装置制御部35´を共通化することにより、3つの植物栽培ユニット2ごとに照明装置制御部を設ける場合と比べて、部品点数を減らして、安価に植物栽培装置を提供できる。なおこの場合には、3つの植物栽培ユニット2の3つの照度センサ33の出力を順次受信して、共通に設定した照度の目標値を用いて3つの照度センサに対応する3つの植物栽培用照明装置25を個別に制御し、また共通に設定した中央値及び供給電力の許容範囲を用いて共通の電力監視部35´Iにより電力監視を行うことができる。
(第3の実施の形態)
図10は、本発明の第3の実施の形態の制御系を示す図であり、図11は第3の実施の形態で用いる制御系の構成の一例を示すブロックである。図10及び図11には、図1,図2及び図8を用いて説明した第1の実施の形態の構成要素と同様の構成要素には、図1,図2及び図8に付した符号と同じ符号を付してある。また機能が若干異なる構成要素には図1,図2及び図8に付した符号に100の数を加えた数の符号を付してある。第3の実施の形態は、第2の実施の形態をさらに大型化し且つ集中管理可能にしたものである。
第3の実施の形態では、植物栽培装置101が3つの植物栽培装置アセンブリ104を備えている。そして3つの植物栽培装置アセンブリ104に対して中央管理装置161が設けられている。中央管理装置161は、複数の植物栽培装置アセンブリに対してそれぞれ設けられた3つの照明装置制御部135に、制御に必要な設定値情報を与えるように構成されている。具体的には、中央管理装置161は、9つの植物栽培ユニットに対する照度の目標値、照度差の許容範囲、供給電力の許容範囲の中央値及び許容範囲の設定値を決定して、各照明装置制御部135の照度差演算部135A及び電翼監視部135Iに提供する。中央管理装置161は、栽培情報・警報情報取得部162、設定情報送信部163及び設定情報変更部164を備えている。栽培情報・警報情報取得部162は、3台の照明装置制御部135から、栽培情報(照度差、電力差)と警報情報を受信して、設定情報送信部163と、設定情報変更部164と、警報表示機能を有する栽培状況表示部165を駆動する信号を出力する。設定情報変更部164は、栽培情報・警報情報取得部162からの情報に基づいて、照度の目標値、照度差の許容範囲、供給電力の許容範囲の中央値(電力の目標値)及び許容範囲の設定値を変更することを決定する。そして設定情報送信部は、栽培情報・警報情報取得部162からの情報に基づいて、設定情報を3台の照明装置制御部135にそれぞれ必要なタイミングで送信する。
本実施の形態では、中央管理装置161は、3つの照明装置制御部135における照度の目標値を任意に設定変更する照度目標値設定機能を備えている。また中央管理装置161は、3つの照明装置制御部135にある複数の異常判断部135Gの判断結果を栽培状況表示部165に表示する機能を有している。このような中央管理装置161を設けると、植物栽培装置の台数が多くなった場合でも、設定値の設定を個別に行う必要がないので、管理が非常に簡単になる。中央管理装置161を用いる場合、各植物栽培装置アセンブリ104で、前述の一括制御を行うのが好ましい。また中央管理装置161を用いると、異常状態が発生したときにも、中央管理装置161で一括して監視しているので、少ない人数で多数の植物栽培装置アセンブリ104に含まれる多数の植物栽培ユニットの監視及び管理を実現できる。
(反射面の試験)
次に反射面の材質の相違による効果の相違について試験をした結果を説明する。図12は試験結果を示す表である。この試験では、図1に示した1つの植物栽培ユニット2を用いた。本発明の実施例として5つの実施例1乃至5を用意し、1つの比較例を用意した。実施例1では、天板23の構成が拡散反射板に照明が装着された構造を採用し、4枚の側面反射板29として拡散反射板を用い、栽培ベッド13の上に栽培用植物15が伸び出る貫通孔が形成された底面反射板27として拡散反射板を用いている。ここで拡散反射板とは、古河電気工業株式会社がMCPETシリーズのグレードM4の名称で販売する反射材料である。実施例2では、天板23の構成が拡散反射板に照明が装着された構造を採用し、4枚の側面反射板27,29として白色の発泡シートを用い、底面反射板27として拡散反射板を用いている。白色の発泡シートは、ポリプロピレン発泡樹脂シートであり、古河電気工業株式会社がエフセルの名称で販売している発泡材料である。実施例3では、天板23の構成が拡散反射板に照明が装着された構造を採用し、4枚の側面反射板27,29として無光沢のアルミニュウムの反射板を用い、底面反射板27として拡散反射板を用いている。実施例4では、天板23の構成が拡散反射板に照明が装着された構造を採用し、4枚の側面反射板27,29として白色のプラスチック製段ボールの反射板を用い、底面反射板27として拡散反射板を用いている。実施例5では、天板23の構成が拡散反射板に照明が装着された構造を採用し、4枚の側面反射板27,29として茶色段ボールの反射板を用い、底面反射板27として拡散反射板を用いている。そして比較例では、天板23の構成が拡散反射板に照明が装着された構造を採用し、4枚の側面反射板は設けずに前面開放とし、底面反射板27として拡散反射板を用いている。試験の栽培エリアの面積は7440cm2であった。植物栽培用照明装置からの照射光の光量子密度(PPFD)は、実施例においては、初期において照度センサで測って100μmol/m2/s、150μmol/m2/s、200μmol/m2/sとなるようにし、収穫時にも照度センサで測って100μmol/m2/s、150μmol/m2/s、200μmol/m2/sとなるように植物栽培用照明装置に供給する電力を変えた。比較例では植物栽培用照明装置に供給する電力は変えていない。
この試験結果からは、実施例1乃至3のように反射率の高い反射板を用いると、初期段階での電力が少なくてすみ、収穫段階においても少ない電力で栽培ができることが確認できた。反射率が低い実施例4及び5の場合でも、側面を開放した比較例と比べれば、初期及び収穫時のいずれにおいても、使用電力が少なくなることが確認された。
本発明によれば、反射面からなる六面構成部材によって囲まれた栽培空間領域内の照度を、生長する栽培用植物によって受光部が遮られることが無い栽培空間領域内の照射空間に配置された照度センサで測定することにより、栽培時間に応じた栽培用植物の生長促進に寄与する光の照度の目標値に照度センサで検出した照度が近付くように栽培用照明装置の光源から照射される光束を制御して植物に照射するので、特に生育の初期段階では無用な光の照射を行うことなく、また生長が進むにつれて必要とされる照度を照射して植物を育成することができ、従来よりも再現性が良く栽培が行える、また消費電力を大幅に低減することができて、しかも所望の栽培計画期間までに栽培用植物を育成することができる。
本発明では、栽培空間領域の6面を囲っているために、照度差、更に電力差をモニタすることで、栽培計画に沿った栽培ができているか確認できる。また同時に照度差を監視することで、植物栽培装置を構成する機器の異常の管理も行える。更に電力差を監視することで植物の栽培状態、栽培環境の異常の管理を行うことできる。植物栽培装置と植物の栽培状態・栽培環境を管理ができるので、植物栽培の安定化、再現性の向上が図れ、植物の品質管理(収量、大きさなど)が行える。
1 植物栽培装置
2 植物栽培ユニット
3 栽培ラック
4,104 植物栽培装置アセンブリ
5 柱
9 底壁
11 漏水パン
13 栽培ベッド
15 栽培用植物
17 タンク
19 配管
21 栽培空間領域
22 照射空間
23 天板
25 植物栽培用照明装置
27 底面反射板
29 側面反射板
33 照度センサ
35,35´,135 照明装置制御部
35A 照度差演算部
35B 照度差判定部
35C 電力調整部
35D 照度目標値設定変更部
35E 表示部
35F 表示装置
35G 異常判断部
35I 電力監視部
35J 供給電力許容範囲設定部
161 中央管理装置

Claims (25)

  1. 栽培用植物が配置される栽培棚の上に栽培空間領域を画定する天板を備え、前記天板に前記栽培棚上の前記栽培用植物に光を照射する植物栽培用照明装置が配置されている1以上の植物栽培ユニットと、前記植物栽培用照明装置の光源から照射される光束を制御する1以上の照明装置制御部とを備えてなる植物栽培装置であって、
    前記植物栽培ユニットは、反射面を備え且つ前記反射面を前記栽培空間領域側に向けて、前記栽培空間領域を囲む六面を構成する六面構成部材と、受光部を有し且つ生長する前記栽培用植物によって前記受光部が遮られることが無い前記栽培空間領域内の照射空間内の光の照度を前記受光部で検出する照度センサを備え、
    前記照明装置制御部は、前記栽培用植物に対して予め設定した栽培時間に応じた前記栽培用植物の生長促進に寄与する前記照射空間内の光の照度の目標値と、前記照度センサによって検出した前記照度に基づいて、前記照度センサにより検出した前記照度を前記目標値に近付けるように前記植物栽培用照明装置の光源から照射される光束を制御するように構成されている植物栽培装置。
  2. 前記反射面は、反射した光の分光分布特性を前記光源の分光分布特性に対して変える反射特性を有する反射面であり、
    前記植物栽培用照明装置の前記光源として、供給される電力が変わっても照射する光の分光分布特性が実質的に変わることがない光源を備えている請求項1に記載の植物栽培装置。
  3. 前記反射面は、反射した光の分光分布特性を前記光源の分光分布特性に対して実質的に変えることがない反射特性を有する反射面であり、
    前記植物栽培用照明装置の前記光源として、供給される電力が変わっても照射する光の分光分布特性が実質的に変わることがない光源を備えている請求項1に記載の植物栽培装置。
  4. 前記反射面の反射率が、47%以上である請求項3に記載の植物栽培装置。
  5. 複数の前記植物栽培ユニットが組み合わされてなる1つの植物栽培装置アセンブリを備え、
    前記1つの植物装置アセンブリに対して、1つの前記照明装置制御部が設けられており、
    前記1つの照明装置制御部は、前記1つの植物栽培装置アセンブリ内の前記複数の植物栽培ユニットの複数の前記植物栽培用照明装置を個別に制御するように構成されている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の植物栽培装置。
  6. 複数の前記植物栽培装置アセンブリを備え、
    前記複数の植物栽培装置アセンブリに対して中央管理装置が設けられ、
    前記中央管理装置は、前記複数の植物栽培装置アセンブリに対してそれぞれ設けられた複数の前記照明装置制御部に、制御に必要な設定値情報を与えるように構成されている請求項5に記載の植物栽培装置。
  7. 前記照度センサは、少なくとも前記反射面及び前記栽培用植物によって反射された光を受光することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の植物栽培装置。
  8. 前記目標値は、前記植物栽培用照明装置の光源から照射される光束を一定にすると、前記栽培用植物の生長に伴って前記照度センサが検出する前記照度が低下するという現象に基づいて、前記照射空間の照度が前記栽培時間に応じた前記栽培用植物の生長促進に寄与する照度となるように定められている請求項1乃至7のいずれか1項に記載の植物栽培装置。
  9. 前記照明装置制御部は、
    前記照度センサにより検出した前記照度と前記目標値との照度差を求める照度差演算部と、
    前記照度を前記目標値に近付けて、前記照度差が所定の範囲内になるように前記植物栽培用照明装置に供給する電力を調整する電力調整部と、
    前記目標値と前記照度センサが検出する前記照度を表示部に表示する表示装置を備えた請求項1乃至8のいずれか1項に記載の植物栽培装置。
  10. 前記照明装置制御部は、前記目標値を任意に設定変更できる照度目標値設定変更部を備えている請求項1乃至9のいずれか1項に記載の植物栽培装置。
  11. 前記中央管理装置は、前記複数の照明装置制御部における前記目標値を任意に設定変更する照度目標値設定機能を備えている請求項6に記載の植物栽培装置。
  12. 前記照明装置制御部は、前記照度センサが検出した前記照度と前記目標値との照度差を求め、前記照度差の絶対値が予め定めた値以上あるときに異常が発生していると判断する異常判断部をさらに備えている請求項1乃至11のいずれか1項に記載の植物栽培装置。
  13. 前記照明装置制御部は、前記照度センサが検出した前記照度と前記目標値との照度差を求め、前記照度差の絶対値が予め定めた値以上あるときに異常が発生していると判断する異常判断部をさらに備え、
    前記中央管理装置は、前記複数の照明装置制御部にある複数の前記異常判断部の判断結果を栽培状況表示部に表示する請求項6または11に記載の植物栽培装置。
  14. 前記照明装置制御部は、
    前記照度センサにより検出した前記照度と前記目標値との照度差を求める照度差演算部と、
    前記照度差が所定の範囲内あるかを判断する照度差判定部と、
    前記照度差判定部が前記照度差が前記所定の範囲外にあることを判定しているときには、前記照度を前記目標値に近付けて、前記照度差を前記所定の範囲内にするように前記植物栽培用照明装置に供給する電力を調整する電力調整部を備えた請求項1乃至13のいずれか1項に記載の植物栽培装置。
  15. 前記照明装置制御部は、
    前記栽培用植物の栽培のために予め設定した前記栽培時間に応じた前記照度の目標値に対応して予め設定した供給電力の許容範囲と、前記植物栽培用照明装置に供給している電力とを比較し、前記植物栽培用照明装置に供給している電力の状態を監視し監視結果を表示部に表示する電力監視部をさらに備えている請求項14に記載の植物栽培装置。
  16. 前記電力監視部は、植物の栽培時間に対応した前記供給電力の許容範囲と該許容範囲の中央値と前記植物栽培用照明装置に供給している電力を前記表示部に表示する請求項15に記載の植物栽培装置。
  17. 前記照明装置制御部は、
    前記供給電力の許容範囲を設定できる供給電力許容範囲設定部をさらに備えている請求項14または15に記載の植物栽培装置。
  18. 前記植物栽培ユニットは、前記栽培空間領域内の空気を換気する換気装置をさらに備えている請求項1乃至6のいずれか1項に記載の植物栽培装置。
  19. 栽培用植物が配置される栽培棚の上に栽培空間領域を画定する天板を備え、前記天板に前記栽培棚上の前記栽培用植物に光を照射する植物栽培用照明装置が配置されている1以上の植物栽培ユニットを用いて前記栽培用植物を栽培する植物栽培方法であって、
    前記植物栽培ユニットとして、反射面を備え且つ前記反射面を前記栽培空間領域側に向けて、前記栽培空間領域を囲む六面を構成する六面構成部材と、受光部を有し且つ生長する前記栽培用植物によって前記受光部が遮られることが無い前記栽培空間領域内の照射空間内の光の照度を前記受光部で検出する照度センサと、前記植物栽培用照明装置の光源から照射される光束を制御する照明装置制御部を備えたものを準備し、
    前記照明装置制御部により、事前に決定した栽培時間に応じた前記栽培用植物の生長促進に寄与する前記照射空間内の光の照度の目標値に、前記照度センサによって検出した前記照度が近付くように前記植物栽培用照明装置の光源から照射される光束を制御することを特徴とする植物栽培方法。
  20. 前記反射面は、反射した光の分光分布特性を前記光源の分光分布特性に対して変える反射特性を有する反射面であり、
    前記植物栽培用照明装置の前記光源として、供給される電力が変わっても照射する光の分光分布特性が実質的に変わることがない光源を備えている請求項19に記載の植物栽培方法。
  21. 前記反射面は、反射した光の分光分布特性を前記光源の分光分布特性に対して実質的に変えることがない反射特性を有する反射面であり、前記植物栽培用照明装置の前記光源として、供給される電力が変わっても照射する光の分光分布特性が実質的に変わることがない光源を備えたものを用いることを特徴とする請求項19に記載の植物栽培方法。
  22. 前記栽培用植物の栽培のために予め設定した栽培時間に応じた前記照度の目標値に対応して供給電力の許容範囲を予め設定し、
    前記供給電力の許容範囲と前記植物栽培用照明装置に供給している電力とを比較し、前記植物栽培用照明装置に供給している電力の状態を監視することを特徴とする請求項19乃至21のいずれか1項に記載の植物栽培方法。
  23. 前記照度センサが検出する前記照度と、前記目標値と、前記供給電力の許容範囲と前記植物栽培用照明装置に供給している電力を表示部に表示することを特徴とする請求項22に記載の植物栽培方法。
  24. 前記照度センサによって検出した前記照度と前記照度の目標値の照度差を求め、照度差が所定の範囲を超えた場合、警報を出すことを特徴とする請求項22または23に記載の植物栽培方法。
  25. 前記供給電力の許容範囲と前記植物栽培用照明装置に供給している電力の電力差を求め、該電力差が差所定の範囲を超えた場合、警報を出すことを特徴とする請求項22または23に記載の植物栽培方法。
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