車両の回生エネルギによりオルタネータなどの発電機を発電させて充電する車両を想定する。この場合、特許文献1に記載されるように、所定値を低く設定すると、鉛蓄電池の受け入れ可能な電流量は相対的に多くなるため、その分回生エネルギを無駄にすることなく回生充電を実施することができ、燃費改善が期待できる。しかし、鉛蓄電池のSOCが低い状態となる時間が長くなり、鉛蓄電池の寿命が短縮されるおそれがある。
一方で、所定値を高く設定した場合には、SOCが高い状態となる時間が長くなる為、鉛蓄電池の寿命の延長を図ることができる。しかし、所定値を高く設定する分、鉛蓄電池の受け入れ可能な電流量は少なくなるため、車両の走行中に発生する回生エネルギの多くを無駄にすることになり、燃費の改善効果が小さくなるおそれがある。このように、回生充電による燃費改善と鉛蓄電池の寿命適正化とは両立が困難である。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、鉛蓄電池の寿命適正化と回生充電による燃費改善との両立を図ることが可能な充電制御装置を提供することにある。
第1の発明は、車両に搭載された内燃機関の出力軸から伝達されるトルクにより回生発電が可能な回転電機と、前記回転電機による発電電力を充電可能な鉛蓄電池と、を備える車両に適用される充電制御装置であって、前記鉛蓄電池の劣化状態を推定する劣化状態推定部と、前記劣化状態推定部により推定された前記劣化状態から、前記鉛蓄電池の寿命を推定する寿命推定部と、前記鉛蓄電池の目標寿命領域を設定する設定部と、前記鉛蓄電池の満充電量に対する充電量である充電率が基準値を下回る場合に、前記鉛蓄電池を充電して充電量を増加させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記寿命推定部により推定される前記鉛蓄電池の寿命が前記設定部により設定された前記目標寿命領域に収まるように、前記基準値を変更することを特徴とする。
鉛蓄電池は、SOCが低い状態で充放電を行うと、正極格子及び負極格子の劣化が促進される。したがって、本充電制御装置では、鉛蓄電池の充電率に対して基準値を設け、鉛蓄電池の充電率が基準値を下回る場合に、鉛蓄電池を充電して充電量を増加させる。このように、鉛蓄電池の充電率が基準値を下回る状態を抑制することで、鉛蓄電池を構成する正極格子及び負極格子の劣化を抑制する事ができ、ひいては寿命適正化を図ることが可能となる。
ただし、基準値を高く設定すると、鉛蓄電池の受け入れ可能な電流量は少なくなるため、車両の走行中に発生する回生エネルギの多くを無駄にすることになり、燃費の改善効果が小さくなるおそれがある。これに備え、鉛蓄電池の目標とすべき目標寿命領域が設定部により設定される。また、劣化状態推定部により鉛蓄電池の劣化状態が推定されることで、推定された劣化状態に基づいて寿命推定部により鉛蓄電池の寿命が推定される。そして、寿命推定部により推定される鉛蓄電池の寿命が設定部により設定された目標寿命領域に収まるように、制御部により基準値が変更される。これにより、鉛蓄電池の寿命が目標寿命領域に収まる範囲内で基準値を下げることができ、鉛蓄電池の受け入れ可能な電流量を増加させることが可能となる。つまり、回生エネルギを無駄とする量を低減することができる。ひいては、鉛蓄電池の寿命適正化と回生充電による燃費改善との両立を図ることが可能となる。
第2の発明は、第1の発明において、前記基準値は、前記充電率の基準である基準SOCから、許容される放電量である許容放電量を引いた値であり、前記制御部は、前記充電率が基準SOCよりも許容放電量下回る場合に、前記充電率を前記基準SOCにまで充電させる制御を実施する一方で、前記寿命推定部により推定される前記鉛蓄電池の寿命が前記設定部により設定された前記目標寿命領域に収まるように、前記基準SOC又は前記許容放電量を変更することを特徴とする。
充電率が基準SOCより許容放電量下回る場合に充電率を基準SOCにまで充電させる構成とすることで、基準SOC、又は、許容放電量を変更することで鉛蓄電池の寿命延長を図ることができる。ひいては、鉛蓄電池の使用状況を鑑み、鉛蓄電池の寿命延長に対してより効果的な制御を選択することが可能となる。
第3の発明は、第2の発明において、前記制御部は、前記寿命推定部により推定された前記寿命が前記設定部により設定される前記目標寿命領域の下限値よりも短い場合に、前記基準SOCを上昇させる、あるいは前記許容放電量を減少させることを特徴とする。
寿命推定部により推定された寿命が目標寿命領域の下限値よりも短い場合には、制御部により基準SOCを上昇させるか、あるいは許容放電量を減少させる。これにより、鉛蓄電池の放電量を少なくすることができ、鉛蓄電池の寿命延長を図ることが可能となる。
第4の発明は、第2又は3の発明において、第一所定期間内における前記鉛蓄電池の充放電量の積算値としての充放電積算量を算出する充放電積算量算出部を備え、前記制御部は、前記充放電積算量算出部により算出された前記充放電積算量が所定量よりも少なく、且つ、前記寿命推定部により推定された前記寿命が前記設定部により設定される前記目標寿命領域の下限値よりも短い場合に、前記基準SOCを上昇させることを特徴とする。
ドライバが鉛蓄電池の充放電積算量が比較的小さくなる運転方法を行う場合には、鉛蓄電池の単位時間当たりの充電率の減少量は少なく、充電率が基準SOCよりも許容放電量下回るまでに長時間を要することとなる。つまり、鉛蓄電池の充電率が低い状態となる時間が長くなり、鉛蓄電池の寿命が短縮されるおそれがある。このような状況で、鉛蓄電池の寿命延長を図る場合を想定する。
この場合、例えば、許容放電量を減少させることで鉛蓄電池の充電率が低い状態となる時間を短くなり、鉛蓄電池の寿命延長を図ることができる。しかし、鉛蓄電池の充電率が基準SOCを下回って以降の鉛蓄電池が放電することが可能な量(以降、放電可能量と呼称)が減るため、それによる不都合が生じやすくなる。一方で、基準SOCを上昇させることで、鉛蓄電池の充電率が高い状態となる時間を長くすることができ、且つ、鉛蓄電池の充電率が基準SOCを下回って以降の鉛蓄電池の放電可能量を減少させずにすむ。つまり、ドライバが鉛蓄電池の充放電積算量が比較的小さくなる運転方法を行う場合には、基準SOCを変更することで寿命延長を図ることが好適である。よって、充放電積算量算出部により算出された充放電積算量が所定量よりも少なく、且つ、寿命推定部により推定された寿命が目標寿命領域の下限値よりも短い場合には、基準SOCを上昇させる。これにより、推定される寿命を目標寿命領域内に収めることが可能となる。
第5の発明は、第2乃至4のいずれか1の発明において、第一所定期間内における前記鉛蓄電池の充放電量の積算値としての充放電積算量を算出する充放電積算量算出部を備え、前記制御部は、前記充放電積算量算出部により算出された前記充放電積算量が所定量よりも多く、且つ、前記寿命推定部により推定された前記寿命が前記設定部により設定される前記目標寿命領域の下限値よりも短い場合に、前記許容放電量を減少させることを特徴とする。
ドライバが鉛蓄電池の充放電積算量が比較的大きくなる運転方法を行う場合には、鉛蓄電池の単位時間当たりの充電率の減少量は大きく、充電率が基準SOCよりも許容放電量下回る頻度は多いことが想定される。このような状況で、鉛蓄電池の寿命延長を図る場合を想定する。この場合に、例えば、基準SOCを上昇させることで鉛蓄電池の充電率が高い状態となる時間を長くしたとしても、許容放電量に変更はないため、鉛蓄電池が多量に電力を放出することを許容した状態であることは変わらない。つまり、基準SOCを変更したところで、鉛蓄電池は多量の電力を頻度高く放出することに変わりがないことになる。一方、許容放電量を減少させることで、鉛蓄電池が放出可能な電力量をより少なく制限することができる。加えて、鉛蓄電池の充電率が低い状態となる時間を短くすることができる。つまり、ドライバが鉛蓄電池の充放電積算量が比較的大きくなる運転方法を行う場合の鉛蓄電池の寿命延長には、鉛蓄電池の許容放電量を減少させることがより好適である。したがって、充放電積算量算出部により算出された充放電積算量が所定量よりも多く、且つ、寿命推定部により推定された寿命が設定部により設定される目標寿命領域の下限値よりも短い場合に、許容放電量を減少させる。これにより、推定される寿命を目標寿命領域内に収めることが可能となる。
第6の発明は、第2乃至5のいずれか1の発明において、前記制御部は、前記寿命推定部により推定された前記寿命が前記設定部により設定される前記目標寿命領域の上限値よりも長い場合に、前記基準SOCを低下させる、あるいは前記許容放電量を増加させることを特徴とする。
寿命推定部により推定された寿命が目標寿命領域の上限値よりも長い場合には、回生充電による燃費改善効果が低下しているおそれがある。このため、上記状況では、基準SOCを低下、あるいは許容放電量を増加させる。これにより、鉛蓄電池の受け入れ可能な電流量を大きくすることができ、回生充電による燃費改善を図ることが可能となる。
第7の発明は、第2乃至6のいずれか1の発明において、第一所定期間内における前記鉛蓄電池の充放電量の積算値としての充放電積算量を算出する充放電積算量算出部を備え、前記制御部は、前記充放電積算量算出部により算出された前記充放電積算量が所定量よりも少なく、且つ、前記寿命推定部により推定された前記寿命が前記設定部により設定される前記目標寿命領域の上限値よりも長い場合に、前記基準SOCを低下させることを特徴とする。
充放電積算量算出部により算出された充放電積算量が所定量よりも少なく、且つ、寿命推定部により推定された寿命が目標寿命領域の上限値よりも長い場合には、基準SOCを低下させることで、推定される寿命を目標寿命領域内に収めることが出来る。ひいては、鉛蓄電池の寿命適正化と回生充電による燃費改善との両立を図ることが可能となる。
第8の発明は、第2乃至7のいずれか1の発明において、第一所定期間内における前記鉛蓄電池の充放電量の積算値としての充放電積算量を算出する充放電積算量算出部を備え、前記制御部は、前記充放電積算量算出部により算出された前記充放電積算量が所定量よりも多く、且つ、前記寿命推定部により推定された前記寿命が前記設定部により設定される前記目標寿命領域の上限値よりも長い場合に、前記許容放電量を増加させることを特徴とする。
充放電積算量算出部により算出された充放電積算量が所定量よりも多く、且つ、寿命推定部により推定された寿命が目標寿命領域の上限値よりも長い場合には、許容放電量を増加させることで、推定される寿命を目標寿命領域内に収めることが出来る。
第9の発明は、第2乃至8のいずれか1の発明において、前記寿命推定部は、前記劣化状態推定部により推定された前記劣化状態を状態データとして時間経過に応じて逐次記憶し、時間に対する前記状態データの変化を近似した近似直線を算出し、前記近似直線に基づいて前記寿命を推定することを特徴とする。
鉛蓄電池の劣化状態が状態データとして時間経過に応じて逐次記憶され、時間に対する状態データの変化を近似した近似直線が算出される。これにより、時間経過に伴う鉛蓄電池の劣化状態の変化を把握することができ、さらに劣化状態の時間変化を近似することで鉛蓄電池の寿命を推定することができる。
第10の発明は、第9の発明において、前記時間は、前記鉛蓄電池が放電を実施した時間の合計である総放電時間に該当することを特徴とする。
鉛蓄電池の劣化は、鉛蓄電池が放電を実施した場合に顕著に生じる。したがって、鉛蓄電池が放電を実施した時間の合計である総放電時間に対する状態データの変化を近似した近似直線を算出することで、鉛蓄電池の寿命を精度高く推定することが出来る。
第11の発明は、第9又は10の発明において、所定時間前から現在までの期間としての第二所定期間における前記状態データに基づいて前記近似直線を算出することを特徴とする。
例えば、季節が変わることでエアコンの使用頻度が増えた場合や、ドライバが変更された場合などには、鉛蓄電池の充放電積算量に大きな変化が生じることが想定される。この場合、例えば鉛蓄電池を使用開始してから現在までの状態データに基づいて鉛蓄電池の寿命を推定しては、充電積算量に大きな変化が生じる前の状態データを必ず考慮することになり、実際の鉛蓄電池の寿命に対して大きな誤差が生じるおそれがある。この対策として、所定時間前から現在までの期間としての第二所定期間における状態データに基づいて近似直線が算出される。これにより、最近の鉛蓄電池の使用状況を見定めることが可能となり、より正確な鉛蓄電池の寿命推定を実施することが出来る。
第12の発明は、第1乃至11のいずれか1の発明において、前記設定部が設定する前記目標寿命領域を、ドライバが任意に変更することが可能な変更部を備えていることを特徴とする。
例えば回生充電による燃費改善効果を大きくするために、鉛蓄電池の寿命を犠牲にすることを許容するドライバや、鉛蓄電池の寿命を延長するために、回生充電による燃費改善効果の低下を許容するドライバが存在することを想定し、変更部が備えられている。これにより、ドライバは変更部を介して自身の要望に沿った鉛蓄電池の寿命設定をすることが可能となる。
以下、本実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に内燃機関(以下、エンジンと呼称)10と接続している充電制御システム100の一例を示す。
エンジン10には、スタータモータ16が設けられている。スタータモータ16は、始動指令に伴うエンジン10の始動時においてエンジン10のクランク軸(出力軸)に歯車機構(図示略)によって機械的に噛み合わされ、クランク軸に対して外部よりトルクを与えてエンジン10を始動させる。
エンジン10のクランク軸は、充電制御システム100が備える回転電機12と接続されている。回転電機12は、クランク軸によって駆動されて発電を行う発電機能を有する。具体的には、回転電機12のロータがクランク軸により回転すると、ロータコイルに流れる励磁電流に応じてステータコイルに交流電流が誘起され、図示しない整流器により直流電流に変換される。そして、ロータコイルに流れる励磁電流をレギュレータ11が調整することで、発電された直流電流の電圧を目標電圧となるよう調整する。例えば、回転電機12の出力電圧が目標電圧よりも低くなっていれば、励磁電流を増大させるよう制御して調整電圧を上昇させ、出力電圧が目標電圧よりも高くなっていれば、励磁電流を減少させるよう制御して調整電圧を低下させる。
本実施形態では、車両の回生エネルギにより回転電機12を発電させて鉛蓄電池14に充電させる減速回生を行っている。この減速回生は、車両が減速状態であること、回生発電が可能である下限速度としての所定速度よりも車速が高いこと、エンジン10への燃料噴射をカットしていること等の条件が成立した時に後述のECU20の制御により実施される。
回転電機12は、上述の発電機能の他、エンジン始動機能及び出力補助機能を有している。エンジン始動機能として、アイドリングストップ再始動などの暖機後であってエンジン10の燃焼が停止されている始動時に、クランク軸に対して外部よりトルクを与えてエンジン10を始動させる。また、回転電機12は、出力補助機能として、エンジン10の始動において車両の走行中にクランク軸に対して外部よりトルクを与えてクランク軸の駆動を補助する。
回転電機12は、ベルトを介してクランク軸に接続されるベルト駆動のISG(Integrated Starter Generator)を想定している。なお、回転電機12は、エンジン10のクランク軸と変速機(図示略)との間に挟み込まれ、クランク軸によって直接駆動され又クランク軸を直接駆動するものであってもよい。回転電機12はクランク軸に常に接続されているため、クランク軸が完全停止していない状態でもトルクを与えてエンジン始動を開始することができる。このため、回転電機12はアイドリングストップ再始動において、好適にエンジン始動を行うことができる。更に、スタータモータ16のトルク出力特性を冷間始動に、回転電機12のトルク出力特性を暖機後の始動にそれぞれ適合させることで、始動指令に伴うエンジン10の始動及びアイドリングストップ再始動をそれぞれ好適に行うことができる。
充電制御システム100は、回転電機12の他、電気負荷13、鉛蓄電池14、電圧計17、電流計18、及び温度計19を備えている。回転電機12、電気負荷13、鉛蓄電池14、電圧計17、電流計18、及び温度計19は、接続線としての給電線15によりスタータモータ16に対して並列に電気接続されている。この給電線15により、上記の各電気要素について相互の給電経路が形成されている。
したがって、回転電機12で発電した電力は、給電線15を介して電気負荷13へ供給されるとともに、鉛蓄電池14へ供給される。エンジン10の駆動が停止して回転電機12で発電が実施されていない場合には、鉛蓄電池14から回転電機12、スタータモータ16及び電気負荷13へ電力が供給される。鉛蓄電池14から回転電機12、スタータモータ16及び電気負荷13への放電量、及び、回転電機12から鉛蓄電池14への充電量は、鉛蓄電池14のSOC(State of charge:充電率、即ち、満充電時の充電量に対する実際の充電量の割合)が予め設定される基準SOCとなるよう制御される。したがって、鉛蓄電池14のSOCが基準SOCよりも低くなった状態で減速回生が生じると、鉛蓄電池14のSOCが基準SOCとなるように充電が開始される。仮に減速回生が生じることなく、鉛蓄電池14のSOCが基準値を下回った場合を想定する。基準値とは、基準SOCから許容放電量を引いた値に該当する。この場合は、車両の走行中に発生しているクランク軸の駆動力を用いて回転電機12を発電させて、鉛蓄電池14のSOCが基準SOCとなるように充電される。
鉛蓄電池14は周知の汎用蓄電池である。具体的には、正極活物質が二酸化鉛(PbO2)、負極活物質が鉛(Pb)、電解液が硫酸(H2SO4)である。そして、これらの電極から構成された複数の電池セルを直列接続して構成されている。
電圧計17は鉛蓄電池14に対して並列となるように電気接続されており、鉛蓄電池14の電圧を検出する。検出した鉛蓄電池14の電圧情報はECU20に出力される。鉛蓄電池14の負極側には、温度計19と電流計18とが直列に接続されており、温度計19は鉛蓄電池14の温度を検出し、電流計18は鉛蓄電池14から放電される電流や鉛蓄電池14へと充電される電流を検出する。検出された鉛蓄電池14の温度情報及び電流値情報はECU20に送信される。
電気負荷13は、一般的な電気負荷であり、具体例としてはヘッドライト、フロントウインドシールド等のワイパ、空調装置の送風ファン、リヤウインドシールドのデフロスタ用ヒータ等が挙げられる。電気負荷13は給電線15により回転電機12及び鉛蓄電池14のそれぞれと電気接続されており、これにより、回転電機12や鉛蓄電池14から電気負荷13への電力供給が行われることとなる。
本充電制御システム100における鉛蓄電池14の充放電制御では、許容放電量を大きく設定すると、鉛蓄電池14の受け入れ可能な電流量は相対的に多くなるため、その分回生エネルギを無駄にすることなく回生充電を実施することができ、燃費改善が期待できる。しかし、鉛蓄電池14の放電量が比較的多い運転を実施するドライバでは、鉛蓄電池14のSOCが低い状態となる時間が長くなり、鉛蓄電池14の寿命が短縮されるおそれがある。
一方で、許容放電量を小さく設定した場合には、SOCが高い状態となる時間が長くなる為、鉛蓄電池14の寿命延長を図ることができる。しかし、許容放電量を小さく設定する分、鉛蓄電池14の受け入れ可能な電流量は少なくなるため、車両の走行中に発生する回生エネルギの多くを無駄にすることになり、燃費の改善効果が小さくなるおそれがある。このように、回生充電による燃費改善と鉛蓄電池14の寿命適正化とは両立が困難である。
このことを踏まえ、本実施形態に係るECU20では鉛蓄電池14の寿命適正化と回生充電による燃費改善との両立を図る制御を実施する。具体的な制御内容を以下に述べる。
ECU20には、判定部21と、充電制御部22と、寿命推定部23と、内部抵抗算出部24と、タイマ25と、目標寿命設定部26と、充放電積算量算出部27と、が備わっている。
内部抵抗算出部(劣化状態推定部に該当)24は、電圧計17により検出された鉛蓄電池14の電圧値と、電流計18により検出された鉛蓄電池14から放電された際の電流値と、温度計19により検出された鉛蓄電池14の温度と、から鉛蓄電池14の内部抵抗Rbを算出する。具体的な鉛蓄電池14の内部抵抗Rbの算出法は以下の通りである。
鉛蓄電池14の開放電圧V0は、(1)式に記載されるように内部抵抗Rbと電圧値V1と電流値I1とから求めることができる。このとき、電圧値V1は、図2に記載されるように、例えばエンジン始動前など回転電機12やスタータモータ16に電力を供給していないときに電圧計17により検出される電圧値である。電流値I1もまた同様の状況において、電流計18により検出される電流値である。
V0=Rb×I1+V1…(1)
一方で、鉛蓄電池14の開放電圧V0は、(2)式に記載されるように内部抵抗Rbと電圧値V2と電流値I2とから求めることができる。このとき、電圧値V2は、図2に記載されるように、例えばエンジン始動時や回転電機12によるクランク軸の駆動補助を行う場合に、鉛蓄電池14が回転電機12やスタータモータ16に電力供給を行う事で電圧計17により検出される電圧値の最小ピークである。電流値I2は、同様の状況において18により検出される電流値の最小ピーク(絶対値の最大ピーク)である。
V0=Rb×I2+V2…(2)
(1)式に記載の鉛蓄電池14の開放電圧V0と、(2)に記載の鉛蓄電池14の開放電圧V0とは同一のものであることから、等式として内部抵抗Rbについて整理することで、(3)式が導出される。ただし、内部抵抗Rbは鉛蓄電池14の温度によって変化する。よって、鉛蓄電池14の温度変化に基づいた内部抵抗Rbの変化態様を示したマップを予め用意しておき、マップを参照して、温度計19により検出された鉛蓄電池14の温度に基づいて内部抵抗Rbを補正する。より具体的には、鉛蓄電池14の温度が高いほど内部抵抗Rbが低くなるため、内部抵抗Rbを高く算出する側へ補正する。
Rb=(V1−V2)/(I1−I2)…(3)
タイマ25は、現在までに鉛蓄電池14から電力が供給(放電)された総供給時間を計測する。具体的には、電流計18の検出値に基づいて、鉛蓄電池14から電力が供給されている状態を判断する。
寿命推定部23は、内部抵抗算出部24により算出された鉛蓄電池14の内部抵抗Rbをタイマ25により計測される総供給時間に対応させて、図3に示すようにプロットする。そして、プロットしたデータを近似することで近似直線を求める。本実施形態では、所定時間前から現在までの第二所定期間内において、プロットしたデータを近似することで近似直線を求めることとする。例えば、季節が変わることでエアコンの使用頻度が増えた場合や、ドライバが変更された場合などには、鉛蓄電池14の充放電積算量に大きな変化が生じることが想定される。この場合、例えば鉛蓄電池14を使用開始してから現在までの内部抵抗Rbに基づいて鉛蓄電池14の寿命を推定しては、充電積算量に大きな変化が生じる前のデータを必ず考慮することになり、実際の鉛蓄電池14の寿命に対して大きな誤差が生じるおそれがあるためである。なお、第二所定期間は、現在までの直近の一ヶ月間における鉛蓄電池14からの電力の総供給時間と設定する。
寿命推定部23は、求めた近似直線が劣化判定閾値に到達した時期を推定寿命として算出する。
一方で、目標寿命設定部26は、鉛蓄電池14の内部抵抗Rbが劣化判定閾値となる直線上において、鉛蓄電池14の目標寿命範囲を設定する。
判定部21は、寿命推定部23により求められた推定寿命が、目標寿命設定部26により設定された目標寿命範囲内に収まるか否かを判定する。図3上図に記載の例では、現状の運転が継続されると目標寿命範囲の下限値よりも早期に鉛蓄電池14の寿命が尽きると想定される。
充放電積算量算出部27は、電流計18により検出された鉛蓄電池14の電流値に基づいて鉛蓄電池14の充放電量を算出する。そして、第一所定期間内において算出された充放電量の積算量(以下、充放電積算量と呼称)が所定量よりも多いか否かを判定する。充放電積算量が所定量よりも多い場合には、ドライバが鉛蓄電池14の放電量が比較的多い運転を実施していると推定することができる。
充電制御部22は、判定部21による判定と充放電積算量算出部27による判定とに基づいて、鉛蓄電池14の充放電制御の内容を変更する。充電制御部22が実施する鉛蓄電池14の具体的な充放電制御の変更方法を図3を例に説明する。
図3上図では、鉛蓄電池14の寿命が目標寿命範囲の下限値よりも早期に尽きると推定される。このため、推定寿命を目標寿命範囲に収めるべく、鉛蓄電池14の寿命延長を図る制御を充電制御部22は実施する。鉛蓄電池14の寿命延長を図る制御は二通りあり、ドライバの運転状況によって、制御内容は異なる。
図4に記載のユーザAのようにドライバが鉛蓄電池14の充放電積算量が比較的小さくなる運転方法を行う場合には、鉛蓄電池14の単位時間当たりのSOCの減少量は少なく、SOCが基準SOCよりも許容放電量下回るまでに比較的長い時間を要する。このため、SOCが基準SOCよりも許容放電量下回る前に、回転電機12による減速回生が生じる状況が考えられ、鉛蓄電池14のSOCが基準SOCよりも許容放電量下回る頻度は少ないことが想定される。上記状況を鑑み、基準SOCを上昇させる。これにより、鉛蓄電池14のSOCを高い状態となる時間を延ばすことができ、ひいては鉛蓄電池14の寿命延長を図ることが可能となる。
図4に記載のユーザBのように鉛蓄電池14の充放電積算量が比較的大きくなる運転方法を行う場合には、鉛蓄電池14の単位時間当たりのSOCの減少量は大きく、SOCが基準SOCよりも許容放電量下回る頻度は多いことが想定される。この場合に、例えば、基準SOCを上昇させることで鉛蓄電池14のSOCが高い状態となる時間を長くしたとしても、許容放電量に変更はないため、鉛蓄電池14が多量に電力を放出することを許容した状態であることは変わらない。つまり、基準SOCを変更したところで、鉛蓄電池14は多量の電力を頻度高く放出することに変わりがないことになる。一方で、許容放電量を減少させることで、鉛蓄電池14が放出可能な電力量をより少なく制限することができる。加えて、鉛蓄電池14のSOCが低い状態となる時間を短くすることができる。つまり、ドライバが鉛蓄電池14の充放電積算量が比較的大きくなる運転方法を行う場合には、鉛蓄電池14の許容放電量を減少させることで鉛蓄電池14の寿命延長を図ることがより好適である。
充電制御部22は、上述のように充放電制御の内容を変更した場合、その変更内容に応じて目標電圧を再設定する。そして、レギュレータ11は再設定された目標電圧となるよう回転電機12の出力電圧を調整する。
一方、図3下図に記載されるように、推定寿命が目標寿命範囲の上限値を超えて長くなった場合には、回生充電による燃費改善効果が低下しているおそれがある。このため、推定寿命を目標寿命範囲に収めるべく、鉛蓄電池14の寿命短縮を図る制御を充電制御部22は実施する。具体的には、充放電積算量が所定量よりも少なくなるようにドライバが鉛蓄電池14を使用している場合には、基準SOCを低下させ、充放電積算量が所定量よりも多くなるようにドライバが鉛蓄電池14を使用している場合には、許容放電量を増加させる。これにより、推定寿命を目標寿命領域に収めることが出来ると共に、鉛蓄電池14の受け入れ可能な電流量を大きくすることができ、回生充電による燃費改善を図ることが可能となる。
このように、本実施形態に係る充放電制御を実施することで、鉛蓄電池14の寿命適正化と回生発電による燃費改善との両立を図ることが可能となる。
本実施形態では、ECU20により後述する図5に記載の鉛蓄電池14の充放電制御を実施する。図5に示す鉛蓄電池14の充放電制御は、ECU20が電源オンしている期間中にECU20によって所定周期で繰り返し実施される。
まずステップS100にて、充放電積算量算出部27は充放電積算量を算出する。
ステップS110では、内部抵抗算出部24が電流計18により検出された鉛蓄電池14から放電された際の電流値が閾値よりも大きいか否かを判定する。このとき、閾値は、鉛蓄電池14の内部抵抗Rbを算出することが可能な電流値であることを識別するための閾値として設定される。電流計18により検出された鉛蓄電池14から放電された際の電流値が閾値よりも大きいと判定した場合には(S110:YES)、ステップS120に進む。ステップS120では、内部抵抗算出部24が鉛蓄電池14の内部抵抗Rbを算出する。
ステップS130では、寿命推定部23が、内部抵抗算出部24により算出された鉛蓄電池14の内部抵抗Rbをタイマ25により計測される総供給時間に対応させてプロットする。そして、第二所定期間内におけるプロットデータの蓄積数が十分であるか否かを判定する。第二所定期間内におけるプロットデータの蓄積数が十分であると判定した場合には(S130:YES)、ステップS140に進む。ステップS140では、第二所定期間内において、プロットしたデータを近似することで近似直線を求め、近似直線が劣化判定閾値に到達する時期としての推定寿命を演算する。
ステップS150では、判定部21が、寿命推定部23により演算された推定寿命が目標寿命設定部26により設定された目標寿命範囲に収まるか否かを判定する。推定寿命が目標寿命範囲に収まらないと判定した場合には(S150:NO)、ステップS160に進む。そして、ステップS160では、推定寿命が目標寿命範囲の下限値よりも短いか否かを判定する。推定寿命が目標寿命範囲の下限値よりも長い(S160:NO)と判定した場合には、ステップS170に進む。
ステップS170では、充放電積算量算出部27が、ステップS100で算出した充放電積算量が所定量よりも少ないか否かを判定する。充放電積算量が所定量よりも少ないと判定した場合には(S170:YES)、ステップS180に進み、充電制御部22が基準SOCを低く設定し、本制御を終了する。充放電積算量が所定量よりも多いと判定した場合には(S170:NO)、ステップS190に進み、許容放電量を増加させ、本制御を終了する。
推定寿命が目標寿命範囲の下限値よりも短いと判定部21が判定した場合には(S160:YES)、ステップS200に進む。ステップS200では、充放電積算量算出部27が、ステップS100で算出した充放電積算量が所定量よりも少ないか否かを判定する。充放電積算量が所定量よりも少ないと判定した場合には(S200:YES)、ステップS210に進み、充電制御部22が基準SOCを上昇させ、本制御を終了する。充放電積算量が所定量よりも多いと判定した場合には(S200:NO)、ステップS220に進み、許容放電量を減少させ、本制御を終了する。
電流計18により検出された鉛蓄電池14から放電された際の電流値が閾値よりも小さいと判定した場合(S110:NO)、第二所定期間内におけるプロットデータの蓄積数が十分ではないと判定した場合(S130:NO)、推定寿命が目標寿命範囲に収まっていると判定した場合(S150:YES)、本制御を終了する。
なお、ステップS180において基準SOCをどれほど低く設定するのか、ステップS190において許容放電量をどれほど増加させるのか、ステップS210において基準SOCをどれほど上昇させるのか、ステップS220において許容放電量をどれほど減少させるのか、それぞれの変動幅は車両に応じてあらかじめ定めておく。ただし、これは一例であって、例えば、目標寿命設定部26の定めた目標寿命範囲に次回収まると予想されるような変動幅としてもよいし、次第に目標寿命範囲に近づく程度の変動幅としてもよい。
上記構成により、本実施形態は、以下の効果を奏する。
・充放電積算量算出部27により算出された充放電積算量が所定量よりも少なく、且つ、寿命推定部23により推定された寿命が目標寿命領域の下限値よりも短い場合には、基準SOCを上昇させる。これにより、推定される寿命を目標寿命領域内に収めることが可能となる。
・充放電積算量算出部27により算出された充放電積算量が所定量よりも多く、且つ、寿命推定部23により推定された寿命が設定部により設定される目標寿命領域の下限値よりも短い場合に、許容放電量を減少させる。これにより、推定される寿命を目標寿命領域内に収めることが可能となる。
・充放電積算量算出部27により算出された充放電積算量が所定量よりも少なく、且つ、寿命推定部23により推定された寿命が目標寿命領域の上限値よりも長い場合には、基準SOCを低下させることで、推定される寿命を目標寿命領域内に収めることが出来る。ひいては、鉛蓄電池14の寿命適正化と回生充電による燃費改善との両立を図ることが可能となる。
・充放電積算量算出部27により算出された充放電積算量が所定量よりも多く、且つ、寿命推定部23により推定された寿命が目標寿命領域の上限値よりも長い場合には、許容放電量を増加させることで、推定される寿命を目標寿命領域内に収めることが出来る。
鉛蓄電池14の内部抵抗Rbをタイマ25により計測される総供給時間に対応させてプロットし、プロットしたデータを近似することで近似直線が算出される。これにより、時間経過に伴う鉛蓄電池14の内部抵抗Rbの変化を把握することができ、さらに、内部抵抗Rbの時間変化を近似することで鉛蓄電池14の寿命を推定することができる。
鉛蓄電池14の劣化は、鉛蓄電池14が放電を実施した場合に顕著に生じる。したがって、鉛蓄電池14が放電を実施した時間の合計である総放電時間に対する内部抵抗Rbの変化を近似した近似直線を算出することで、鉛蓄電池14の寿命を精度高く推定することが出来る。
所定時間前から現在までの期間としての第二所定期間においてプロットした内部抵抗Rbのデータに基づいて近似直線が算出される。これにより、鉛蓄電池14の使用状況を第二所定期間ごとに見定めることが可能となり、より正確な鉛蓄電池14の寿命推定を実施することが出来る。
上記実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。
・上記実施形態では、基準SOC又は許容放電量を変更することで、鉛蓄電池14の推定寿命を目標寿命推定領域に収めていた。このことについて、許容放電量の変更を実施せず、基準SOCを変更することのみで、鉛蓄電池14の推定寿命を目標寿命推定領域に収めてもよい。この場合、充放電積算量の演算処理を実施する必要がなくなり、ECU20が行う充放電制御の負担軽減を図ることが可能となる。また、鉛蓄電池14のSOCが基準SOC(基準値に相当)を下回る場合に、鉛蓄電池14を充電して充電量を増加させてもよい。
・上記実施形態では、鉛蓄電池14の寿命を推定するために鉛蓄電池14の内部抵抗Rbを算出していた。このことについて、鉛蓄電池14の内部抵抗Rbを算出することに限らず、例えば鉛蓄電池14の劣化に起因する熱流束の変化を測定し、熱流束の変化に基づいて鉛蓄電池14の寿命を推定してもよい。
・図5に記載のサブルーチンにおけるステップS140では、第二所定期間において、プロットしたデータを近似することで近似直線を求め、近似直線が劣化判定閾値に到達する時期としての推定寿命を演算していた。このことについて、第二所定期間に代えて、車両走行を開始するイグニッションオンのタイミングごとに推定寿命を演算することとしてもよい。
・上記実施形態において、タイマ25は、現在までに鉛蓄電池14から電力が供給(放電)された総供給時間を計測していた。このことについて、例えば、タイマ25は、ECU20が初めて起動してから現在までの総起動時間を計測してもよい。
・上記実施形態では、所定時間前から現在までの第二所定期間内において、プロットした鉛蓄電池14の内部抵抗Rbに関するデータを近似することで近似直線を求めていた。このことについて、例えば、鉛蓄電池14を使用開始してから現在までに変化した鉛蓄電池14の内部抵抗Rbを近似することで近似直線を求めてもよい。
・上記実施形態では、鉛蓄電池14の負極側に、温度計19と電流計18とが直列に接続されていた。このことについて、図6に記載されるように、鉛蓄電池14の負極側に、バッテリ状態検知センサ30を設け、バッテリ状態検知センサ30に鉛蓄電池14の温度の検出と、鉛蓄電池14から放電される電流や鉛蓄電池14へと充電される電流の検出をさせてもよい。この場合、充電制御システム100の構成の簡便化を図ることが可能となる。
・上記実施形態では、ECU20を一つ備えた構成であったが、その他にECUを備えた構成であってもよい。例えば図7に記載されるように、鉛蓄電池14の負極側に、ECU40を設けてもよい。この場合、ECU40は、鉛蓄電池14の電圧の検出と、鉛蓄電池14の温度の検出と、鉛蓄電池14から放電される電流や鉛蓄電池14へと充電される電流の検出と、を実施する。そして、ECU40が備える内部抵抗算出部41が、検出した情報に基づいて鉛蓄電池14の内部抵抗Rbを算出する構成とする。これにより、ECU20は鉛蓄電池14の内部抵抗Rbを算出する処理を省くことが出来、ECU20が行う充放電制御の負担軽減を図ることが可能となる。
・上記実施形態では、鉛蓄電池14に対して電圧計17が並列となるように電気接続されていた。また、鉛蓄電池14の負極側には、温度計19と電流計18とが直列に接続されていた。このことについて、例えば図8に記載されるように、ECU50が、上記実施形態に係るECU20が実施する充放電制御に加えて、鉛蓄電池14の電圧の検出と、鉛蓄電池14の温度の検出と、鉛蓄電池14から放電される電流や鉛蓄電池14へと充電される電流の検出と、を実施してもよい。この場合、充電制御システム100の構成の大幅な簡便化を図ることが可能となる。
・上記実施形態では、ECU20に備わる目標寿命設定部26が鉛蓄電池14の目標寿命領域を設定していた。このことについて、例えば回生充電による燃費改善効果を大きくするために、鉛蓄電池14の寿命を犠牲にすることを許容するドライバや、鉛蓄電池14の寿命を延長するために、回生充電による燃費改善効果の低下を許容するドライバが存在することを想定し、運転席付近にドライバが任意に変更することが可能な変更部28を設けてもよい。変更部28とは、例えば、運転席付近に設けたスイッチ部を想定している。ドライバがこのスイッチ部を操作することで、任意に鉛蓄電池14の目標寿命領域を設定する構成とする。これにより、ドライバは変更部28を介して自身の要望に沿った鉛蓄電池14の寿命設定をすることが可能となる。
本別例に係る変更部28について、車内に持ち込まれた携帯電話やモバイル通信機器などの携帯端末と通信することを可能とする通信部であってもよい。この場合、受信した携帯端末からの通信情報を通信部がECU20に出力する構成とすることで、ドライバに限らず車内の乗員が任意に鉛蓄電池14の寿命設定をすることが可能となる。