JP2017211597A - 保持部材および消音器 - Google Patents

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Kei Kunisada
慶 国貞
智仁 外山
Tomohito Toyama
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Abstract

【課題】複数の部品を保持する保持部材の着脱を容易に実現すること【解決手段】一実施形態における保持部材は、2つの部材の外周側に突出する端部をそれぞれ重ね合わせた重畳部分を挟んで保持する保持部材であって、弾性体を含む環状部と、環状部の内周側に開口し、重畳部分が挿入される溝部と、環状部の内周側以外の方向に突出する突出部と、を備える。【選択図】図8

Description

本発明は、2つの部材を保持するための保持部材に関する。
管楽器に取り付けられる消音器は、管楽器の種類によって様々なサイズを有する。例えば、チューバなど大きなベルを有する管楽器の場合、消音器のサイズも大きくなる。そのため、特許文献1に例示される消音器は、一部分に取り外し可能なクランプまたはネジ等を使用することによって、収納時には部品毎に分解することができるようになっている。
特開2004−199090号公報
ところで、複数の部品に分解できる構造を用いる場合には、これらの部品を分解可能に保持する保持部材は、これらの部品の接続状態を安定して保持する力が必要である。一方、強固に保持しすぎる構造にした結果、容易に分解できない構造となってしまうことも多い。
本発明の目的の一つは、複数の部品を保持する保持部材の着脱を容易に実現することにある。
本発明の一実施形態によると、2つの部材の外周側に突出する端部をそれぞれ重ね合わせた重畳部分を挟んで保持する保持部材であって、弾性体を含む環状部と、前記環状部の内周側に開口し、前記重畳部分が挿入される溝部と、前記環状部の内周側以外の方向に突出する突出部と、を備えることを特徴とする保持部材が提供される。
前記環状部の内周が円形状であってもよい。
第1の径方向と第2の径方向とで、前記突出部の突出量が異なってもよい。
前記突出部は、前記環状部の外周全体に沿って配置されてもよい。
前記突出部の外縁の少なくとも一部に直線の領域を含んでもよい。
前記突出部は、環状部の厚み方向において異なる少なくとも2つの位置から突出してもよい。
前記溝部の底面の領域のうち少なくとも一部の領域は、当該一部の領域の両側の領域よりも薄く、前記2つの位置は、前記両側の領域に対応して配置されていてもよい。
前記2つの部材は、管楽器の消音器の一部であってもよい。
前記突出部は、前記管楽器に前記消音器が取り付けられたときに、前記管楽器に対して接触しない突出量であってもよい。
前記突出部は、前記管楽器に前記消音器が取り付けられたときに、前記管楽器に対して接触する突出量であってもよい。
また、本発明の一実施形態によると、管楽器に取り付けられる消音器であって、上記保持部材と、内部空間を備え外周側に突出する端部を備える第1部材と、内部空間を備え外周側に突出する端部を備える第2部材と、前記第2部材に取り付けられ、前記管楽器に取り付けられるときに当該管楽器に接触する位置に配置された緩衝材と、を備え、前記保持部材は、前記第1部材と前記第2部材とのそれぞれの端部を重ね合わせた重畳部分が、前記溝部に挿入されることによって当該重畳部分を挟んで保持することを特徴とする消音器が提供される。
本発明によれば、複数の部品を保持する保持部材の着脱を容易に実現することができる。
本発明の第1実施形態における消音器の構造を説明する図である。 本発明の第1実施形態における消音器のボディとヘッドとを分離したときの形態を説明する図である。 本発明の第1実施形態における消音器を収納形態へ移行するための第1の手順を説明する図である。 本発明の第1実施形態における消音器を収納形態へ移行するための第2の手順を説明する図である。 本発明の第1実施形態における消音器を収納形態として、管楽器内へ収納したときの状態を説明する図である。 本発明の第1実施形態における保持部材を上面から見た図である。 本発明の第1実施形態における保持部材の断面構成(図6における断面線A−A’の断面構造)を示す模式図である。 本発明の第1実施形態における保持部材の第2部分における断面構成を示す模式図である。 本発明の第1実施形態における保持部材の第1部分を変形させたときの動きを説明する図である。 本発明の第2実施形態における保持部材の第1部分の断面構成を示す模式図である。 本発明の第3実施形態における保持部材の第1部分の断面構成を示す模式図である。 本発明の第4実施形態における保持部材の第1部分の断面構成を示す模式図である。 本発明の第5実施形態における保持部材の第1部分の断面構成を示す模式図である。 本発明の第6実施形態における保持部材を上面から見た図である。 本発明の第7実施形態における消音器の構造を説明する図である。 本発明の変形例における重畳部分の構造(第1の例)を説明する図である。 本発明の変形例における重畳部分の構造(第2の例)を説明する図である。
以下、本発明の一実施形態における保持部材を含む消音器について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字の後にA、B等を付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率(各構成間の比率、縦横高さ方向の比率等)は説明の都合上実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。
<第1実施形態>
[消音器の構成]
本発明の第1実施形態における消音器は、この例では、チューバ用の消音器である。消音器は、消音の程度によって弱音器といわれる場合もある。以下の説明においては、消音器という表現で統一する。この例の消音器は、2つの部材を保持する保持部材を外して分解することによって、チューバのベル内に収納することができるようになっている。分解して収納する状態では、消音器は、消音機能は失われる。以下の説明において、消音器が消音機能を発揮する形態であることを使用形態といい、分解されて収納可能な形態(消音機能を失っている形態)を収納形態という。なお、消音器は、チューバに取り付けられるものに限らず、他の管楽器、例えば、ユーフォニウムなどに取り付けられてもよい。また、大型の管楽器に限らず、トランペット等の小型の管楽器に取り付けられてもよい。
図1は、本発明の第1実施形態における消音器の構造を説明する図である。ここでは、チューバのベル100に取り付けられた状態の消音器1について、ベル100の軸を含む面で切断した断面を模式的に表した図である。なお、以下の説明において、軸とは、管状の部材および棒状の部材における回転対称軸をいう。
消音器1は、ボディ20、ヘッド30、保持部材40、棒状部材50およびインナーヘッド60を有している。ボディ20(第1部材)とヘッド30(第2部材)とは、保持部材40によって保持されることによって互いに連結可能である一方、保持部材40を取り外すことにより互いに分離可能である。なお、ボディ20とヘッド30とは、保持部材40がなくても互いに連結可能な機構を有していてもよい。この場合であっても、保持部材40を取り付けて互いを保持することでさらに強固な連結を実現することができる。
図2は、本発明の第1実施形態における消音器のボディとヘッドとを分離したときの形態を説明する図である。以下、図1および図2を用いて、消音器1の詳細の構造を説明する。
ボディ20は、内部空間を備えるように、略円錐管状に構成された部材である。以下の説明において、略円錐管状とは、軸に垂直な断面形状が円環状であり、一端から他端に進むにしたがって次第に外径および内径が大きくなる管の形状をいう。略円錐管状の部材における外径および内径が大きい方の端を大径側端という。略円錐管状の部材における外径および内径の小さい方の端を小径側端という。ボディ20の大径側端21と小径側端22は、共に開口している。
ボディ20の外周面に沿って、緩衝材24が設けられている。緩衝材24は、ウレタンなどの柔軟な素材で形成されている。ボディ20が小径側端22側からベル100内に挿入されている状態では、ボディ20の外周面とベル100の内周面との間に緩衝材24が挟まれる。ボディ20は、緩衝材24を介してベル100に固定される。この状態において、ボディ20の外周面とベル100の内周面との間は緩衝材24によって塞がれる。
ボディ20の大径側端21には、フランジ23が設けられている。フランジ23は、ボディ20の軸から遠ざかる方向(外周側)に大径側端21から突出する板状の部材であって、ボディ20の端部を構成する。フランジ23の外縁は、円形となっている。
ヘッド30は、内部空間を備えるように、略円錐管状に構成された部材である。ヘッド30は、ボディ20と同様に、軸方向両側に小径側端32と大径側端31を有している。ここで、大径側端31は開口端、小径側端32は閉塞端となっている。ヘッド30の軸方向の長さは、ボディ20の軸方向の長さよりも短くなっている。ヘッド30の大径側端31の内径は、ボディ20の大径側端21の内径とほぼ同じになっている。
ヘッド30の大径側端31には、フランジ33が設けられている。フランジ33は、ヘッド30の軸から遠ざかる方向(外周側)に大径側端31から突出する板状の部材であって、ヘッド30の端部を構成する。フランジ33の外縁は、円形となっている。この例では、ヘッド30のフランジ33の外径は、ボディ20のフランジ23の外径と同じになっている。消音器1の使用形態において、フランジ23とフランジ33とは、面接触する部分(重畳部分)を有するようになっている。この例では、使用形態の消音器1では、大径側端21の端面であるフランジ23のシール面23Sと大径側端31の端面であるフランジ33のシール面33Sとが面接触して重ね合されている。この重畳部分は、保持部材40によって保持されている。
ヘッド30の小径側端32の外径は、ボディ20の小径側端32の外径と同程度になっている。ヘッド30の小径側端32には、底部34が設けられている。底部34は、ヘッド30の小径側端32を閉塞する円形の板状の部材である。底部34の縁は、ヘッド30の側壁に連続している。底部34は、ヘッド30の軸にほぼ直交している。底部34におけるヘッド30の内周面に囲まれた空間側の面を内側面と呼び、底部34における内側面に対して反対側の面を外側面と呼ぶ。
保持部材40は、環状の弾性部材を含む。保持部材40は、フランジ23とフランジ33とが接触した状態で、フランジ23およびフランジ33に対してその外周側から取り付けられる。これにより、ボディ20とヘッド30が保持部材40によって保持されて互いに連結した状態で固定される。このような状態では、ボディ20における内周面により囲まれた空間(ボディ20内の空間)とヘッド30における内周面により囲まれた空間(ヘッド30内の空間)とが一体となった空間SPが形成される。
このようにしてボディ20とヘッド30とが連結されると、ボディ20とヘッド30の間は密閉される。ここでいう密閉とは、必ずしも気密性が保たれている場合に限らないが、気密性が保たれていることが望ましい。なお、保持部材40の具体的な構成については後述する。
ヘッド30の底部34の中心には、底部34を貫通する円形の貫通孔35が設けられている。貫通孔35には、円柱状の棒状部材50が挿入されている。棒状部材50は、底部34に対して軸方向に摺動可能になっている。棒状部材50の軸方向の長さは、ヘッド30の軸方向の長さとボディ20の軸方向の長さを合わせた長さよりも長くなっている。
棒状部材50は、両端部のうち底部34の外側面側の端部52において、ツバ53が設けられている。ツバ53は、棒状部材50が底部34に対して摺動されるときに、端部52が底部34の内側面側に抜け出るのを防止する部材である。この例では、ツバ53が回転操作子37と接触することによって移動範囲が規制される。
底部34の貫通孔35部分には、ストッパ36が設けられている。ストッパ36は、棒状部材50の摺動を規制して棒状部材50をヘッド30に固定する摺動制止手段である。ストッパ36は、例えば、ユーザによる回転操作子37の回転操作に応じて、棒状部材50が摺動可能な状態と棒状部材50がヘッド30に固定された状態とを切り換える。棒状部材50がヘッド30に固定された状態では、貫通孔35を通過する棒状部材50とヘッド30(底部34)との間は密閉されてもよい。
ヘッド30の底部34には、空気穴38が貫通している。空気穴38は、例えば円形の穴であり、底部34の中心から外れた位置に設けられている。底部34の内側面における空気穴38の縁部分には、空気穴38の径と同じ内径で両端が開口している円管状のパイプ39の一端が固定されている。パイプ39の軸方向の長さは、ヘッド30の軸方向の長さよりも短くなっている。
インナーヘッド60は、小径側端62から大径側端61に進むにしたがって次第に外径が大きくなるような外周面を有する部材である。この例では、インナーヘッド60は、中空の略円錐管状をなしている。インナーヘッド60の軸方向の長さは、ヘッド30の軸方向の長さよりも短く、パイプ39の軸方向の長さよりも長くなっている。インナーヘッド60の大径側端61は、開口している。インナーヘッド60の大径側端61の外径は、ボディ20の小径側端22の内径よりも小さくなっている。
インナーヘッド60の小径側端62には、底部64が設けられている。底部64は、インナーヘッド60の小径側端62を閉塞する円形の板状の部材である。底部64の縁は、インナーヘッド60の側壁に連続している。底部64は、インナーヘッド60の軸にほぼ直交している。底部64におけるインナーヘッド60の内周面に囲まれた空間側の面を内側面という。底部64における内側面に対して反対側の面を外側面という。
消音器1の使用形態においては、インナーヘッド60の外周面とベル100の内周面とは塞がれておらず、空気が流動可能になっている。この例においては、インナーヘッド60の外周面とベル100の内周面とは離隔されている。ベル100の形状に応じて棒状部材50を摺動させて、ボディ20に対するインナーヘッド60の位置を調整することによって、インナーヘッド60の外周面とベル100の内周面とが離隔する。なお、消音器1をベル100に取り付ける際に、インナーヘッド60がベル100内周面との接触をしたとしてもベル100の内周面に傷を付けないように、ヘッド30の外周面の少なくとも一部に弾性体等の緩衝材が配置されていてもよい。
インナーヘッド60は、大径側端61の端面がヘッド30の底部34の内側面に対向する形態で棒状部材50に固定されてヘッド30に支持されている。より詳細には、棒状部材50の端部51がインナーヘッド60の底部64の内側面の中心部分に固定されている。したがって、インナーヘッド60をヘッド30に近づけるように棒状部材50を摺動させると、インナーヘッド60はヘッド30内に収納することができる。インナーヘッド60の大径側端61はヘッド30の底部34に接触するまで棒状部材50を摺動させると、それ以上の摺動が規制される(図3参照)。以上が、消音器1の構成についての説明である。
[使用形態における消音器]
消音器1に消音機能を発揮させる場合、以下の通りとする。ユーザは、ヘッド30のフランジ33のシール面33Sをボディ20のフランジ23のシール面23Sに重ね合わせる。ユーザは、重ね合わせた部分のフランジ23およびフランジ23を保持部材40によって挟んで保持するようにしてヘッド30とボディ20とを連結する。また、ユーザは、棒状部材50の端部52が底部34付近に位置するように棒状部材50を摺動させて、ストッパ36の回転操作子37を時計回りに回転して棒状部材50をヘッド30に固定する。このようにして、ユーザは、消音器1を図1に示す使用形態に組み立てる。
その後、ユーザは、この使用形態の消音器1をインナーヘッド60の小径側端62側からチューバのベル100内に挿入する。ボディ20の緩衝材24がベル100の内周面に接触してボディ20がベル100の内周面に固定される。吹奏によりベル100内に生じた音は、ボディ20およびヘッド30内の一体となった空間SPに伝搬される。空間SPに伝搬された音は、空間SPにおいて減衰される。
マウスピースからチューバ内に導入された呼気は、インナーヘッド60の小径側端62が閉塞しているため、インナーヘッド60の外周面とベル100の内周面との間に形成された隙間を通ってボディ20の小径側端22を介して空間SPへ導入される。空間SPへ導入される呼気の呼気流路がインナーヘッド60によって狭くなっているため、消音器1が取り付けられていないときの音高からのずれが抑えられる。また、空間SPへ導入された呼気は、パイプ39内および空気穴38を通って消音器1の外部の空間に排出される。
[消音器の収納方法]
次に、消音器1を使用形態から収納形態に変更するときの例について説明する。消音器1は、図1に示す使用形態から、図2、図3、図4を経て、図5に示す収納形態となる。
図3は、本発明の第1実施形態における消音器を収納形態へ移行するための第1の手順を説明する図である。図4は、本発明の第1実施形態における消音器を収納形態へ移行するための第2の手順を説明する図である。図5は、本発明の第1実施形態における消音器を収納形態として、管楽器内へ収納したときの状態を説明する図である。
まず、ユーザは、チューバに装着されている消音器1(図1の消音器1)をベル100外に取り外す。次に、ユーザは、保持部材40をフランジ23およびフランジ33から取り外す。これにより、連結されていたボディ20とヘッド30とが分離される。次に、ユーザは、ボディ20をヘッド30から離れるように、軸に沿って移動させる。このとき、インナーヘッド60がボディ20内を通過すると、消音器1は図2に示す位置関係とする。
次に、ユーザは、回転操作子37を反時計回りに回転操作して、ストッパ36による摺動規制力を弱める(ヘッド30における棒状部材50を固定する力を弱める)ことによって、棒状部材50をヘッド30に対して摺動可能とする。ユーザは、棒状部材50を摺動させて、インナーヘッド60を大径側端31からヘッド30内に挿入させる。これによって、図3に示すように、インナーヘッド60全体がヘッド30内に収納される。ユーザは、インナーヘッド60がヘッド30に収納された状態で、回転操作子37を時計回りに回転操作して、ストッパ36による摺動規制力を強めることによって、棒状部材50をヘッド30に固定する。
次に、ユーザは、図4に示すように、ヘッド30とインナーヘッド60の位置を入れ替えるように回転させ、棒状部材50の端部52をボディ20の大径側端21からボディ20内に挿入し、さらに小径側端22側からボディ20の外部にでるまで移動させる。さらに移動すると、ヘッド30が大径側端21からボディ20内に挿入される。最終的には、図5に示すように、フランジ33のシール面33Sの反対側の面がフランジ23のシール面23Sに接触し、さらなる移動が規制される。これにより、ボディ20内にヘッド30が収納される。この状態において、ヘッド30の外周面がボディ20の内周面に接触してもよい。
次に、ユーザは、フランジ23とフランジ33が接触した状態で、軸から離れる方向に伸ばした保持部材40を、フランジ23およびフランジ33の外周側から取り付ける。このようにして、消音器1は、図1に示す使用形態から分解され、図5に示す収納形態に組み替えられる。収納形態の消音器1は、ボディ20の小径側端22からベル100内に挿入され、図5に示すように、緩衝材24を介してベル100の内周面に固定されて収納される。これによって、チューバと消音器1とを、通常のチューバの楽器収納ケースに収納することができる。
[保持部材の構成]
続いて、保持部材40の具体的な構成について説明する。以下の図6から図9を用いて説明するような構造の保持部材40を用いることによって、ユーザは、ボディ20(フランジ23)およびヘッド30(フランジ33)への着脱を容易に行うことができる。
図6は、本発明の第1実施形態における保持部材を上面から見た図である。図7は、本発明の第1実施形態における保持部材の断面構成(図6における断面線A−A’の断面構造)を示す模式図である。保持部材40は、環状部41および突出部45を備える。環状部41は、内周側が円形状の弾性体である。環状部41は、内周側に開口する溝部43を備える。溝部43は、フランジ23およびフランジ33を重ね合わせた重畳部分が挿入される部分であり、このフランジ23とフランジ33とが離れないように保持する部分である。
環状部41は、第1支持部411、第2支持部413および底部415を備える。底部415は、環状部41の厚み方向tdに延在する。第1支持部411および第2支持部413は、厚み方向tdにおける底部415の異なる位置から内周側に延在する。この例では、第1支持部411および第2支持部413は、底部415の両端部に接続されている。第1支持部411、第2支持部413および底部415は、上述の溝部43の内面を形成する。言い換えると、第1支持部411および第2支持部413は溝部43の側面を形成し、底部415は溝部43の底面を形成する。
突出部45は、環状部41の外周側に突出する。突出部45は、この例では、底部415の外周側のうち、厚み方向tdにおいて異なる2つの位置から突出している。それぞれの位置から突出する部分を、第1突出部451および第2突出部453という。底部415の中央の領域(凹部455)は、その両側の領域よりも薄く形成されている。すなわち、その両側の領域に対応して突出する第1突出部451と第2突出部453との間には、凹部455が形成されている。
また、この例では、第1突出部451と第2突出部453とは、底部415の両端部から、互いに離れるように突出している。なお、互いに離れるように突出していなくてもよく、平行に突出してもよいし、近づくように突出していてもよい。このように、保持部材40が突出部45を備えることで、ユーザは突出部45をつまんで外周側に引っ張りやすくなるため、消音器1への保持部材40の着脱を容易に行うことができる。
突出部45は、環状部41の外周全体に沿って配置されている。この例では、突出部45は、第1の径方向d1の第1部分P1と第2の径方向d2の第2部分P2において、突出量が異なっている。ここで、径方向とは、環状部41の中心Cとした半径方向を示している。突出部45のうち、第1部分P1の突出量が最も大きく、第2部分P2の突出量が最も小さい。第1部分P1および第2部分P2は、それぞれ45度ずつ回転した位置においても配置されている。すなわち、突出部45は、8箇所の第1部分P1および8箇所の第2部分P2を有する。突出部45の外縁の少なくとも一部において、その外縁の形状が直線形状である領域LAを含む。領域LAは、この例では、隣接する第1部分P1の間に配置され、第2部分P2の外縁を含む。なお、突出量の大きい第1部分P1の数は、8つより少なくてもよいし、多くてもよい。また、第1部分P1が配置される間隔が均等でなくてもよい。
図8は、本発明の第1実施形態における保持部材の第2部分における断面構成を示す模式図である。図7に示す第1部分P1の突出部45(第1突出部451および第2突出部453)に比べ、第2部分P2の突出部45(第1突出部451および第2突出部453)が短くなっている。
消音器1をベル100から取り外して別の場所(机の上など)に置くと、突出部45(特に突出部45の外縁)が消音器1を支えることになる。このとき、突出部45の突出量が径方向によって異なる部分を有することで、消音器1が転がりにくくすることもできる。また、領域LAが直線形状であると、突出部45によって消音器1がより安定して支えられる。
図9は、本発明の第1実施形態における保持部材の第1部分を変形させたときの動きを説明する図である。ユーザが、第1突出部451と第2突出部453とを近づけるようにそれぞれに対して力を加えると、第1支持部411と第2支持部413とが拡がるように移動する。すなわち、溝部43の開口部分が拡がることになる。このように開口部分を拡げることによって、フランジ23とフランジ33とを重ね合わせた重畳部分が、溝部43への容易に着脱されるようになる。このとき、凹部455が形成されていると、第1突出部451と第2突出部453とに加えられた力が、第1支持部411と第2支持部413とに効率的に伝達され、より弱い力で溝部43の開口部分を拡げることもできる。一方、第1突出部451と第2突出部453とに加えた力を解放すれば、第1支持部411と第2支持部413とが近づく。このとき、溝部43に、フランジ23とフランジ33との重畳部分が挿入されている場合には、この重畳部分が挟まれて保持部材40によって保持される。
保持部材40の形状は、上述した形状に限られない。以下、第2実施形態から第7実施形態までの各実施形態において、様々に取り得る形状の保持部材の一例を示す。
<第2実施形態>
図10は、本発明の第2実施形態における保持部材の第1部分の断面構成を示す模式図である。第2実施形態における保持部材40Aでは、第1突出部451よりも第2突出部453Aが短くなっている。すなわち、底部415からの突出量が、第1突出部451Aと第2突出部453Aとで異なっていてもよい。
<第3実施形態>
図11は、本発明の第3実施形態における保持部材の第1部分の断面構成を示す模式図である。第3実施形態における保持部材40Bでは、突出部45Bは厚み方向tdにおける底部415の1つの位置から突出している。この例における保持部材40Bは、第1実施形態における保持部材40において、第1突出部451が存在しない場合に相当する。この場合には、第1実施形態とは異なり、ユーザは保持部材40Bを消音器1に着脱するときに突出部45Bを引っ張ったり、厚み方向tdに力を加えながら動かしたりすればよい。このように、突出部は、厚み方向tdにおける底部415の2つの位置から突出する場合に限らない。この例では、突出部45Bの突出方向は、底部415と垂直の関係になってないが、垂直の関係になっていてもよい。
<第4実施形態>
図12は、本発明の第4実施形態における保持部材の第1部分の断面構成を示す模式図である。第4実施形態における保持部材40Cでは、突出部45Cは厚み方向tdにおける底部415の中央部分から突出している。第3実施形態と同様に、ユーザは保持部材40Cを消音器1に着脱するときに突出部45Cを引っ張ったり厚み方向tdに力を加えたりすればよい。この例では、突出部45Cの突出方向は、底部415と垂直の関係になってないが、垂直の関係になっていてもよい。
<第5実施形態>
図13は、本発明の第5実施形態における保持部材の第1部分の断面構成を示す模式図である。第5実施形態における保持部材40Dでは、突出部45Dは厚み方向tdに沿って底部415から突出している。この場合、ユーザは保持部材40Dを消音器1に着脱するときに突出部45Dを引っ張ったり、外周側に力を加えながら動かしたりすればよい。このように、突出部は、底部415から外周側に突出する場合に限らず、内周側以外に向けて突出していればよい。
<第6実施形態>
図14は、本発明の第6実施形態における保持部材を上面から見た図である。第6実施形態における保持部材40Eでは、環状部41の外周全体の一部において突出部45Eが突出している。このように、環状部41の外周全体の一部において突出部が存在していてもよい。また、この例では、4つの突出部45Eが90度ごとに配置されている、なお、突出部の数は、4つより少なくてもよいし、多くてもよい。突出部が配置される間隔が均等でなくてもよい。また、配置された場所によって、形状が異なっていてもよい。
<第7実施形態>
図15は、本発明の第7実施形態における消音器の構造を説明する図である。第7実施形態における消音器1Fは、ベル100に取り付けたときに、保持部材40Fの一部がベル100の内周面に接触するようになっている。この例では、緩衝材24がベル100と接触して消音器1Fがベル100に固定されたときに、保持部材40Fの突出部45Fがベル100の内周面から力を受けて変形するようになっている。これによって、消音器1Fのベル100内での位置をより安定させることができる。
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は以下のように、様々な態様で実施可能である。
(1)上記実施形態で示したように、保持部材40によって保持される部分は、フランジ23とフランジ33とが互いに接触する重畳部分を有し、保持部材40(第1支持部411および第2支持部413)によって重畳部分が挟まれて保持されればよい。重畳部分としては様々な構造が考えられるが、以下に、図16および図17を用いて2つの例を示す。
図16は、本発明の変形例における重畳部分の構造(第1の例)を説明する図である。第1の例では、フランジ23Gは、重ね合わせたときにフランジ33Gの外周側に配置されるガイド部231Gを備える。このように最端部において重畳部分を有しないフランジの構造であっても、フランジ23Gおよびフランジ33Gの重畳部分を、保持部材40の第1支持部411と第2支持部413とが挟み込めばよい。
図17は、本発明の変形例における重畳部分の構造(第2の例)を説明する図である。第2の例では、フランジ33Hは、ボディ20Hの内周面に沿って配置されるガイド部331Hを備える。このように、ヘッドまたはボディの最端部ではない部分から外周側に突出するフランジの構造であっても、フランジ23Hおよびフランジ33Hの重畳部分を、保持部材40の第1支持部411と第2支持部413とが挟み込めばよい。
(2)管状部41の内周側全体に溝部43が形成されていたが、一部領域において溝43が形成されていなくてもよい。この場合には、フランジ23およびフランジ33についても、溝43が形成されていない領域に対応して切欠きなどが形成されていればよい。また、フランジ23およびフランジ33の外縁の形状が円形状でなくてもよく、その場合、環状部41の内周側の形状(または、溝43の底面の形状)がフランジ23およびフランジ33の外縁の形状に対応していればよい。
(3)突出部45の外縁の形状は円形であってもよい。この場合、消音器1が転がりにくくするという効果はほとんどなくなってしまうが、少なくとも、消音器1への保持部材40の着脱を容易にするという効果は得られる。
(4)上記実施形態にける消音器1は、マイク、ジャックおよび電子部品を含んでいてもよい。例えば、第1実施形態の消音器1において、棒状部材50のインナーヘッド60側の端部51にマイクを設け、棒状部材50のヘッド30側の端部52にジャックを設け、棒状部材50内にマイクとジャックを結ぶ信号線を設けてもよい。マイクとジャックとの間にアンプを設け、さらに操作つまみ等を設けて増幅率を変化させられるようにしてもよい。この構成によれば、ベル100内に発生する音を表す信号をジャックに接続されるケーブルを介して取り出すことができる。これにより、ヘッドホン等で聴取することもできる。
1,1F…消音器、20,20H…ボディ、21,31,61…大径側端、22,32,62…小径側端、23,23G,23H,33,33G,33H…フランジ、23S,33S…シール面、24…緩衝材、30…ヘッド、34,64…底部、35…貫通孔、36…ストッパ、37…回転操作子、38…空気穴、39…パイプ、40,40A,40B,40C,40D,40E,40F…保持部材、41…環状部、43…溝部、45,45B,45C,45D,45E,45F…突出部、50…棒状部材、51,52…端部、53…ツバ、60…インナーヘッド、100…ベル、231G,331H…ガイド部、411…第1支持部、413…第2支持部、415…底部、451,451A…第1突出部、453…第2突出部、455…凹部

Claims (11)

  1. 2つの部材の外周側に突出する端部をそれぞれ重ね合わせた重畳部分を挟んで保持する保持部材であって、
    弾性体を含む環状部と、
    前記環状部の内周側に開口し、前記重畳部分が挿入される溝部と、
    前記環状部の内周側以外の方向に突出する突出部と、
    を備えることを特徴とする保持部材。
  2. 前記環状部の内周が円形状であることを特徴とする請求項1に記載の保持部材。
  3. 第1の径方向と第2の径方向とで、前記突出部の突出量が異なることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の保持部材。
  4. 前記突出部は、前記環状部の外周全体に沿って配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の保持部材。
  5. 前記突出部の外縁の少なくとも一部に直線の領域を含むことを特徴とする請求項4に記載の保持部材。
  6. 前記突出部は、環状部の厚み方向において異なる少なくとも2つの位置から突出していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の保持部材。
  7. 前記溝部の底面の領域のうち少なくとも一部の領域は、当該一部の領域の両側の領域よりも薄く、
    前記2つの位置は、前記両側の領域に対応して配置されていることを特徴とする請求項6に記載の保持部材。
  8. 前記2つの部材は、管楽器の消音器の一部であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の保持部材。
  9. 前記突出部は、前記管楽器に前記消音器が取り付けられたときに、前記管楽器に対して接触しない突出量であることを特徴とする請求項8に記載の保持部材。
  10. 前記突出部は、前記管楽器に前記消音器が取り付けられたときに、前記管楽器に対して接触する突出量であることを特徴とする請求項8に記載の保持部材。
  11. 管楽器に取り付けられる消音器であって、
    請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の保持部材と、
    内部空間を備え外周側に突出する端部を備える第1部材と、
    内部空間を備え外周側に突出する端部を備える第2部材と、
    前記第2部材に取り付けられ、前記管楽器に取り付けられるときに当該管楽器に接触する位置に配置された緩衝材と、
    を備え、
    前記保持部材は、前記第1部材と前記第2部材とのそれぞれの端部を重ね合わせた重畳部分が、前記溝部に挿入されることによって当該重畳部分を挟んで保持することを特徴とする消音器。
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