JP2017210785A - 梁の評価方法 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、鉄骨梁の開口の周囲を補強する補強材の厚さ及び幅を過剰に設計しないようにするとともに、補強材の厚さ又は幅が不足することに伴う開口補強部の耐力不足を防止することを目的とする。
好ましくは、前記関係を定める工程は、前記設定工程において設定した前記せん断補強部(32,33,42,43)の幅(Bs)及び厚さ(ts)に基づいて、前記梁(1)の前記開口(24)の部分のせん断耐力(Qc)を計算する第一計算工程(S3)と、前記設定工程において設定した前記曲げ補強部(31,41)の幅(Bb)及び厚さ(tb)に基づいて、せん断力が前記梁の前記開口の部分に作用しない場合の前記梁(1)の前記開口(24)の部分の第一曲げ耐力(Mc1)を計算するとともに、前記せん断耐力(Qc)に相当するせん断力が前記梁の開口の部分に作用する場合の前記梁(1)の前記開口(24)の部分の第二曲げ耐力(Mc2)を計算する第二計算工程(S3)と、前記第二曲げ耐力(Mc2)と前記第一曲げ耐力(Mc1)の差(Mc2−Mc1)を前記せん断耐力(Qc)で除することで得られた商((Mc2−Mc1)/Qc)を傾きとし、前記第一曲げ耐力(Mc1)を切片とした一次関数(線AB)を定める工程(S4)と、を有し、前記比較工程(S5)は、前記設計用せん断力(Qd)と前記せん断耐力(Qc)とを比較するとともに、前記設計用せん断力(Qd)を前記一次関数(線AB)に当て嵌めることで得られた曲げ耐力(Mc)と前記設計用曲げモーメント(Md)とを比較する工程(S5)を有することを特徴とする。
図1は、評価・設計される梁1の側面図であり、図2は、II−II断面図である。図1及び図2に示す梁1は、評価・設計の際に利用する構造計算モデルである。この梁1は、隣り合う柱の間に概ね水平に架設されるとともにH形鋼からなる鉄骨梁本体2と、鉄骨梁本体2のウエブ21に設けられた円形状の開口24を囲うように鉄骨梁本体2のウエブ21に接合された上下一対の鋼製補強材3,4と、を備える。鋼製補強材3,4とウエブ21の接合は、例えば隅肉溶接等の溶接又はボルト結合によるものである。
以下、図6を参照して、梁1の評価方法及び設計方法について詳細に説明する。ここで、梁1の各部の寸法及び降伏点を表す記号は表1及び図1〜図5のように定義する。
梁1に関する構造計算書等に基づいて、梁1の開口24の部分に作用し得る設計用せん断力Qd及び設計用曲げモーメントMdの数値を設定する。ここで、構造計算書には、梁1が設けられる建物等の構造物の仕様(高さ、重量、梁1の階数、梁1の位置、梁1のスパン等)が記載されているとともに、構造物の各部(梁1を含む)に作用する設計用荷重が記載されているので、設計用荷重から梁1の開口24の部分に作用し得る設計用せん断力Qd及び設計用曲げモーメントMdの数値を解析により算出して、設定することができる。
梁1の各部の寸法(表1のD,B,tw,tf,φ,Bb,tb,Hb,Bs,ts,θ)及び降伏点(表1のσyf,σyw,σyb,σys)の数値を設定する。なお、上述したように、D,B,tw,tf,φ,Hb,σyf,σyw,σyb,σys及びθsは予め決められた数値であるが、Bb,tb,Bs及びtsは仮に設定する数値である。
以下に説明する通り、梁1の各部の寸法(表1のD,B,tw,tf,φ,Bb,tb,Hb,Bs,ts,θ)及び降伏点(表1のσyf,σyw,σyb,σys)に基づいてせん断耐力Qc [kN]、第一曲げ耐力Mc1 [kN・m],第二曲げ耐力Mc2 [kN・m]の数値を計算する。ここで、第一曲げ耐力Mc1はせん断力が梁1の開口24の部分に作用しない場合の開口24の部分の曲げ耐力であり、第二曲げ耐力Mc2はせん断耐力Qcに相当するせん断力が梁1の開口24の部分に作用する場合の開口24の部分の曲げ耐力である。
である。
線ABが右肩下がりとなっているのは、つまり式(9)の一次関数の傾きが負となっているのは、梁1の開口24の部分に作用するせん断力Qが増加するにつれて、梁1の開口24の部分24の曲げ耐力Mcが減少するようしたものである。即ち、数値Qのせん断力が梁1の開口24の部分に作用すると、梁1の開口24の部分がそのせん断力に耐えうるように数値Qのせん断耐力を必要とするが、梁1の開口24の部分の全体としての耐力がせん断耐力として用いられる分だけ、梁1の開口24の部分の全体としての耐力のうち曲げ耐力として用いられる分が減少するので、線AB及び式(9)のようにせん断力Qが増加するにつれて曲げ耐力Mcが減少することになる。
比較判定式(8)のせん断力Qに設計用せん断力Qdを当て嵌めて、比較判定式(8)に従って設計用せん断力Qdとせん断耐力Qcとを比較することによって、比較判定式(8)を充足するか否かを判定する。更に、比較判定式(9)のせん断力Qと曲げモーメントMにそれぞれ設計用せん断力Qdと設計用曲げモーメントMdを当て嵌め、設計用せん断力Qdを比較判定式(9)に当て嵌めることによって得られた曲げ耐力Mcを求めて、比較判定式(9)に従って曲げ耐力Mcと設計用曲げモーメントMdとを比較することによって、比較判定式(9)を充足するか否かを判定する。
図9に示す点D2,D4のように、ステップS5の比較判定工程において比較判定式(8)を充足しなければ、せん断補強部32,33,42,43の幅Bs及び厚さtsが設定された梁1は設計用せん断力Qdに耐えることができず、設定された幅Bb,Bs及び厚さtb,tsが不適切である。また、図9に示す点D3,D4のように、ステップS5の比較判定工程において比較判定式(9)を充足しなければ、曲げ補強部31,41やせん断補強部32,33,42,43の幅Bb,Bs及び厚さtb,tsが設定された梁1は設計用曲げモーメントMdに耐えることができず、設定された幅Bb,Bs及び厚さtb,tsが不適切である。
その後、ステップS3に戻って、ステップS3の再計算によってせん断耐力Qc及び曲げ耐力Mc1,Mc2を再度計算し、ステップS4における判別式(8),(9)を再度定めて、ステップS5において設計用せん断力Qd及び設計用曲げモーメントMdが変更後の判別式(8),(9)を充足するか否か判定する。こうして、ステップS5の比較判定工程において比較判定式(8)及び比較判定式(9)の両方を充足するまで、ステップS6,S3,S4,S5の工程を繰り返す。
図9に示す点D1のように、ステップS5の比較判定工程において比較判定式(8)及び比較判定式(9)の両方を充足すれば、ステップS2又はステップS6において幅Bb,Bs及び厚さtb,tsが設定された梁1は設計用せん断力Qd及び設計用曲げモーメントMdに耐え得る。従って、ステップS2又はステップS6において設定された幅Bb,Bs及び厚さtb,tsが適切である。よって、曲げ補強部31,41やせん断補強部32,33,42,43の幅や厚さをステップS2又はステップS6において設定された数値Bb,Bs及びtb,tsに決定する。併せて、鉄骨梁本体2の梁成、フランジ22,23の幅、ウエブ21の厚さ、フランジ22,23の厚さ、開口24の直径、曲げ補強部31の上端から曲げ補強部41の下端までの距離、フランジ22,23の降伏点、ウエブ21の降伏点、曲げ補強部31,41の降伏点、せん断補強部32,33,42,43の降伏点、梁軸方向に対するせん断補強部32,33,42,43の延在方向の成す角を、ステップS2において設定した数値D,B,tw,tf,φ,Hb,σyf,σyw,σyb,σys,θに決定する。
以上により、梁1の評価・設計が終了する。
上述の設計方法によって決定した設計値に従って梁1を製造する。具体的には、まず、ステップS7で決定した幅Bb、厚さtb及び降伏点σybの曲げ補強部31,41と、ステップS7で決定した幅Bs、厚さts及び降伏点σysのせん断補強部32,33,42,43とを有した鋼製補強材3,4を準備する。更に、ステップS7で決定した幅B、厚さtf及び降伏点σyfのフランジ22,23と、ステップS7で決定した厚さtw、高さ(D−2tf)及び降伏点σywのウエブ21と、直径φの開口24とを有した梁成Dの鉄骨梁本体2を準備する。そして、梁軸方向に対するせん断補強部32,33,42,43の延在方向の成す角がステップS7で決定した設計値θになるように、且つ、曲げ補強部31の上端から曲げ補強部41の下端までの距離がステップS7で決定した設計値Hbになるように、曲げ補強部31,41及びせん断補強部32,33,42,43を鉄骨梁本体2のウエブ21に接合する。こうして製造した梁1を柱間に架設する。
以上の評価方法・設計方法では、せん断力のみならず曲げモーメントも考慮して、梁1が設計用せん断力Qd及び設計用曲げモーメントMdに耐え得るように、曲げ補強部31,41とせん断補強部32,33,42,43の幅Bb,Bs及び厚さtb,tsの値を決定した。そのため、曲げ補強部31,41とせん断補強部32,33,42,43の幅Bb,Bs及び厚さtb,tsを過不足なく適切に設計することができる。そのため、曲げ補強部31,41とせん断補強部32,33,42,43の材料費の増大を抑えることができるとともに、梁1の開口24の部分の耐力が不足することを防止できる。
鉄骨梁本体2はH形鋼であったが、梁軸方向に帯状に延びた鉛直な縦板部と、縦板部の上下端に設けられるとともに梁軸方向に帯状に延びた水平な横板部とを備える形鋼(例えば山形鋼、溝形鋼、リップ溝形鋼、Z形鋼、T形鋼、角形鋼管)であれば、H形鋼以外であってもよい。
以下に、梁1の各部の寸法及び降伏点の具体的な数値を挙げて、具体的に梁1の評価・設計をする。
よって、梁1の各部の寸法及び降伏点の設定値(表2)が適切であり、梁1の各部の寸法及び降伏点の設計値をその設定値に決定する。この梁1の各部の寸法及び降伏点の設計値に従って、梁1を製造する。
Claims (2)
- 梁軸方向に延在する鉛直な縦板部と、前記縦板部の上下に設けられた水平な横板部と、前記縦板部に形成された開口とを有した鉄骨梁本体と、
前記開口の上下において前記梁軸方向に延在するように前記縦板部に接合された曲げ補強部と、
前記開口の前記梁軸方向両側において前記梁軸方向に対して斜めな方向に延在するように前記縦板部に接合されたせん断補強部と、を備える梁を評価する方法において、
前記曲げ補強部と前記せん断補強部の幅及び厚さを設定する設定工程と、
前記設定工程において設定した前記曲げ補強部と前記せん断補強部の幅及び厚さに基づいて、前記梁の前記開口の部分の曲げ耐力とせん断耐力との関係を定める工程と、
前記梁に想定する設計用せん断力と設計用曲げモーメントを定める設定工程と、
前記設計用せん断力及び前記設計用曲げモーメントを前記関係と比較する比較工程と、
を備えることを特徴とする梁の評価方法。 - 前記関係を定める工程は、
前記設定工程において設定した前記せん断補強部の幅及び厚さに基づいて、前記梁の前記開口の部分のせん断耐力を計算する第一計算工程と、
前記設定工程において設定した前記曲げ補強部の幅及び厚さに基づいて、せん断力が前記梁の前記開口の部分に作用しない場合の前記梁の前記開口の部分の第一曲げ耐力を計算するとともに、前記せん断耐力に相当するせん断力が前記梁の前記開口の部分に作用する場合の前記梁の前記開口の部分の第二曲げ耐力を計算する第二計算工程と、
前記第二曲げ耐力と前記第一曲げ耐力の差を前記せん断耐力で除することで得られた商を傾きとし、前記第一曲げ耐力を切片とした一次関数を定める工程と、を有し、
前記比較工程は、
前記設計用せん断力と前記せん断耐力とを比較するとともに、前記設計用せん断力を前記一次関数に当て嵌めることで得られた曲げ耐力と前記設計用曲げモーメントとを比較する工程を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の梁の評価方法。
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JP2016104172A JP6801231B2 (ja) | 2016-05-25 | 2016-05-25 | 梁の評価方法 |
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JP7380230B2 (ja) | 2020-01-10 | 2023-11-15 | 株式会社大林組 | 梁の開口補強方法及び梁の構造 |
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2016
- 2016-05-25 JP JP2016104172A patent/JP6801231B2/ja active Active
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