JP2017210571A - 磁性粒子含有粘弾性体及び磁性粒子含有粘弾性体製造用組成物並びに磁性粒子含有粘弾性体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】弾性率が可変な磁性粒子含有粘弾性体において、様々な性質を容易に付与可能とすること、又、弾性率の可変幅を広くすることを目的とする。【解決手段】 固形ゴム、磁性粒子、可塑剤、硫黄、加硫促進剤及び加硫促進助剤を用いて作製された磁性粒子含有粘弾性体。【選択図】 図1
Description
本発明は弾性率が変化する粘弾性体に関し、特に、磁場を印加した際に弾性率が変化する磁性粒子含有粘弾性体に関する。
外部からの作用によって自身の特性が変化する性質を持つ材料は機能性材料と呼ばれている。その一つに磁気粘性流体(magnetorheological fluid(MRF))がある。このMRFは液体に磁性粒子を分散させたもので、磁場を印加すると磁性粒子が磁場に反応してクラスタを形成する為、流体の見かけの粘度が増加する特徴がある。
このようなMRFは実際に免震装置や自動車の制振装置に用いられた応用事例が多数ある。しかし、一方で流体のシール性が問題であり、又、時間と共に磁性粒子が沈殿、凝集して性能が低下するといった経年劣化の問題がある。
これらの問題点を改善する為に、流体ではなくエラストマー中に磁性粒子を分散固定した磁気粘弾性エラストマー(magnetorheological elastomer(MRE))が研究されている。
MREはエラストマーに磁性粒子を混合後、磁場を印加し一定方向にクラスタを柱状に形成させた状態で硬化(加硫)することで作製され、外部磁場を印加すると見かけの弾性率が増加する特徴を持つ。更に、MREはMRFと異なり任意の形状を維持することが出来、又、シール性の問題は無く、更に磁性粒子の沈殿も起こらない。
そして、このような磁性粒子を分散固定したエラストマーには、磁性粒子を添加した2液性シリコーンを硬化させたもの(特許文献1〜3、非特許文献1)が提案されている。尚、これらの文献には、同時に、他の高分子材料に磁性粒子を分散固定させて磁気粘弾性エラストマーを構成させてもよいことが記載されているものもあるが、その具体的な、構成、配合、製造方法等は全く開示されていない。
"磁気粘弾性エラストマーの開発とセミアクティブ振動制御への応用"日本機械学会論文集C編77(784)(2011):4510−4520
上記の従来技術の2液性シリコーンを硬化させたものは、ゴムの補強が困難であるが故に高強度ゴムを得られなかった。又、添加物の調整の自由度が低いために、磁気粘弾性エラストマー言い換えれば磁性粒子含有粘弾性体に、例えば耐熱性、難燃性等の所定の性質を付与することが困難であった。更に、硬化後は弾性率の可変幅が狭いという問題点があった。この問題は、MREを制振装置に用いる場合、固有振動数を調節出来る範囲が狭く、共振の発生を確実に防止することが出来ないという問題点も含んでいる。
又、硬化前のシリコーンに磁性粒子を含有した後、シリコーンが硬化する前までは、磁性粒子の沈降を防止するために、容器に密閉して回転させることが必要であり、製造工程及び製造設備が複雑化するといった問題点があった。更に、加工性が悪く、複雑な形状を造り難いという欠点もあった。
そこで、本発明は、弾性率が可変な磁性粒子含有粘弾性体において、様々な性質を容易に付与可能とすることを目的とする。
更に、弾性率が可変な磁性粒子含有粘弾性体において、弾性率の可変幅を広くすることを目的とする。
又、弾性率が可変な磁性粒子含有粘弾性体の製造を容易とすることを目的とする。
更に、加工性が良く、複雑な形状を造りやすい、弾性率が可変な磁性粒子含有粘弾性体を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための手段としての本発明は、固形ゴム、磁性粒子及び可塑剤を用いて作製されたことを特徴とする磁性粒子含有粘弾性体である。
又、上記磁性粒子含有粘弾性体において、固形ゴム、磁性粒子、可塑剤、硫黄、加硫促進剤及び加硫促進助剤を用いて作製されたことを特徴とする磁性粒子含有粘弾性体である。
又、上記磁性粒子含有粘弾性体において、可塑剤を含有し加硫されたゴムに磁性粒子が同一方向に整列していることを特徴とする磁性粒子含有粘弾性体である。
又、上記磁性粒子含有粘弾性体において、前記固形ゴムはアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)であることを特徴とする磁性粒子含有粘弾性体である。
更に、固形ゴム、磁性粒子、可塑剤、硫黄、加硫促進剤及び加硫促進助剤を含有することを特徴とする磁性粒子含有粘弾性体製造用組成物である。
更に、少なくとも固形ゴム、磁性粒子、可塑剤、硫黄、加硫促進剤及び加硫促進助剤を混練りして磁性粒子含有粘弾性体製造用組成物を形成し、該磁性粒子含有粘弾性体製造用組成物を所定形状に成型し、磁場を印加した後に、加硫することを特徴とする磁性粒子含有粘弾性体の製造方法である。
以上のような本発明によれば、固形ゴム、磁性粒子及び可塑剤を用いて作製されているので、弾性率が可変な磁性粒子含有粘弾性体に、添加物を配合し易く、様々な性質を容易に付与することが可能となった。
更に、特に可塑剤を用いて硬さを調整しているので、弾性率の可変幅を広くすることが可能となった。
又、固形ゴムと磁性粒子を混練りしているので、磁性粒子の沈降を考慮する必要がなく、弾性率が可変な磁性粒子含有粘弾性体の製造が容易となった。
又、特に固形ゴムを用いているので、更にはNBRを用いることで、加工性が良好となり、複雑な形状を造りやすい、弾性率が可変な磁性粒子含有粘弾性体を提供することが可能となった。
以下本発明の実施の形態を説明する。本発明は、固形ゴム、磁性粒子及び可塑剤を用いて作製された磁性粒子含有粘弾性体である。更には固形ゴム、磁性粒子、可塑剤、硫黄、加硫促進剤及び加硫促進助剤を用いて作製された磁性粒子含有粘弾性体である。そして、磁性粒子含有粘弾性体は可塑剤を含有した加硫されたゴムに磁性粒子が同一方向に整列して配置されている。
粘弾性体とは、粘性と弾性の両方を備えた性質を有する物体である。固形ゴムは、粉末ゴムも含むが、液状ゴム、ラテックス、その他の水や有機溶媒等の液体を含有するゾルやゲルは含まれない。
原料ゴムとしての固形ゴムのゴム種は特に限定されず、ジエン系ゴムでも非ジエン系ゴムでもよく、ジエン系ゴムであれば、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、イソプレンゴム(IR)、天然ゴム(NR)等、非ジエン系ゴムであれば、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム(EPM EPDM)、アクリルゴム(ACM、AEM)、ヒドリンゴム(ECO)、フッ素ゴム(FEM)等を用いることが出来る。尚、磁性粒子含有粘弾性体の使用用途によっては、加工性がよいNBRが好ましい。
磁性粒子は、磁性を有すれば特に限定されず、鉄、窒化鉄、カルボニル鉄、ニッケル、コバルト、フェライト等を用いることが出来る。これらの磁性粒子は1種又は2種以上を組み合わせて使用することが出来る。磁性粒子の形状は特に限定されないが、磁性粒子含有粘弾性体の作製時に磁性粒子が分散し易いように、球状が好ましく、真球状がより好ましい。従って、カルボニル鉄は好適である。
磁性粒子の含有量は限定されないが、磁性粒子含有粘弾性体に対して4〜42体積%とすることが出来る。特に弾性変化率がより大きくなる28〜42体積%が好ましい。磁性粒子は磁性粒子含有粘弾性体に対して25〜85質量%とすることが出来る。又、粒子径は限定されないが、1〜20μmのものが使用出来る。
可塑剤としては特に限定されず、鉱物油系可塑剤としてはパラフィン系、芳香族系、ナフテン系、コールタール等、植物油系可塑剤としてはステアリン酸、脂肪油、パインタール、サブ等、合成可塑剤としては液状ゴム、ジオクチルフタレート等を用いることが出来る。但し、使用するゴム種と相性のよい可塑剤を用いることが好ましい。これらの可塑剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用することが出来る。可塑剤の含有量は特に限定されないが、5〜35質量%とすることが出来る。可塑剤の含有量が少ないと加工性の向上と硬度の低下が不十分となる。可塑剤を含有させることで、磁性粒子含有粘弾性体の初期弾性率を下げ、弾性可変幅を広くすること、加工性を向上させることが出来る。
硫黄、加硫促進剤及び加硫促進助剤は架橋用配合剤である。硫黄は架橋剤、加硫剤として作用する。硫黄には単体硫黄の他不溶性硫黄も含む。加硫促進剤としては特に限定されず、グアニジン系、チウラム系、ジチオカルバミン酸塩系、チアゾール系、スルフェンアミド系等を用いることが出来る。これらの加硫促進剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用することが出来る。加硫促進助剤は酸化亜鉛、ステアリン酸を用いることが出来る。これらの加硫促進助剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用することが出来る。又、架橋用配合剤として、必要に応じて芳香族有機酸等のスコーチ防止剤を添加してもよい。
磁性粒子含有粘弾性体には、上記の材料の他、本発明の磁性粒子含有粘弾性体の目的とする作用を害さない範囲において、分散剤、酸化防止剤、補強剤、充填剤、難燃剤、帯電防止剤、滑剤、老化防止剤、着色剤等の添加剤を含有させることとしてもよい。
又、本発明は、固形ゴム、磁性粒子、可塑剤、硫黄、加硫促進剤及び加硫促進助剤を含有する磁性粒子含有粘弾性体製造用組成物である。磁性粒子含有粘弾性体製造用組成物は本発明の磁性粒子含有粘弾性体を製造するために用いる組成物であり、配合ゴムである。
本発明の磁性粒子含有粘弾性体の製造方法について説明する。先ず、少なくとも固形ゴム、磁性粒子、可塑剤、硫黄、加硫促進剤及び加硫促進助剤を、オープンロール又は密閉型二軸混合機等の公知の混合機を用いて混練りして磁性粒子含有粘弾性体製造用組成物を形成する。そして、該磁性粒子含有粘弾性体製造用組成物を金型を用いて圧縮成形、射出成形等により所定形状に成型する。図1(a)に示すように、未架橋の成型品6の内部では磁性粒子7が無作為に分散配置している。そして図1(b)に示すように、この成形品6に電磁石で磁場を印加する。磁場を印加することにより、磁性粒子7が磁場方向に整列して柱状クラスタ8が形成される。磁場印加条件は特に限定されない。磁束密度は50mT~1T、印加時間は180分以下とすることが出来るが、印加時間を長くすることにより磁性粒子がより並ぶので好ましい。具体的には、15分で弾性変化率の上昇率が急激に伸びるので、15分以上120分以下が好ましい。そして、磁場の印加後に成形品を蒸気加硫又はプレス加硫等の加硫をして、図1(c)に示すように、成形品6内部の磁性粒子7が整列して柱状クラスタ8が形成された状態を維持したまま、即ち磁性粒子が分散し且つ同一方向に整列して配置されている状態で所定形状の磁性粒子含有粘弾性体2が製造される。
本発明の磁性粒子含有粘弾性体の使用時には、磁場を印加する。この磁場の印加により磁性粒子含有粘弾性体内の磁性粒子は移動することはないが、磁性粒子含有粘弾性体の弾性率は高くなる。
基材としての固形ゴムにNBR、磁性粒子にカルボニル鉄粉を選定し、弾性率の可変性向上を目的として、磁性粒子の含有量や磁場印加条件を変化させた時の磁性粒子クラスタの観察、弾性変化率、固有振動数の変化、バネ定数の変化及び減衰比の変化を評価した。
磁性粒子含有粘弾性体試料の作製
オープンロールを用いてNBRにステアリン酸、酸化亜鉛、カルボニル鉄粉、硫黄、促進剤CBS、可塑剤を混練りした。得られた未加硫磁性粒子含有粘弾性体を成型し電磁石で磁場を印加した。尚、磁性粒子含有粘弾性体試料作製時の磁場を磁場Aとする。磁場印加条件は磁束密度290mT、時間は0、1、15、30、60、120、180min.とした。その後160℃、30min.プレス加硫し、25mm×25mm×10mmの磁性粒子含有粘弾性体を得た。なお鉄粉は粒子径が7〜9.5μmのものを使用し、磁性粒子含有粘弾性体の中の濃度がそれぞれ4、10、28、42vol.%になるよう4通りの試料を作製した。
オープンロールを用いてNBRにステアリン酸、酸化亜鉛、カルボニル鉄粉、硫黄、促進剤CBS、可塑剤を混練りした。得られた未加硫磁性粒子含有粘弾性体を成型し電磁石で磁場を印加した。尚、磁性粒子含有粘弾性体試料作製時の磁場を磁場Aとする。磁場印加条件は磁束密度290mT、時間は0、1、15、30、60、120、180min.とした。その後160℃、30min.プレス加硫し、25mm×25mm×10mmの磁性粒子含有粘弾性体を得た。なお鉄粉は粒子径が7〜9.5μmのものを使用し、磁性粒子含有粘弾性体の中の濃度がそれぞれ4、10、28、42vol.%になるよう4通りの試料を作製した。
磁性粒子含有粘弾性体試料の配合を表1に示す。
酸化亜鉛は2種(三井金属鉱業株式会社)、ステアリン酸はステアリン酸TST(ミヨシ油脂株式会社)、可塑剤はアジピン酸エーテルエステル系のアデカサイザーRS107(株式会社ADEKA)、硫黄はサルファックスPS(鶴見化学工業株式会社)、促進剤はスルフェンアミド系のサンセラーCM−G(三新化学工業株式会社)、鉄粉はカルボニル鉄粉のCIP−CM(BASF社)(粒子径7〜9.5μm)を用いた。
磁性粒子の整列状態の観察
磁性粒子含有粘弾性体の試料の断面をSEM(日立ハイテク S3400−N)で観察した。測定条件は25kV、1Paとした。
磁性粒子含有粘弾性体の試料の断面をSEM(日立ハイテク S3400−N)で観察した。測定条件は25kV、1Paとした。
弾性変化率の測定
図2に、基礎部(加振台)11と上載質量1.56kgのコイル(電磁石)12、及び本発明の磁性粒子含有粘弾性体2から構成される振動試験装置1を示す。基礎部11に変位加振を与え、FFTアナライザ31で変位加振の加速度と質量mの応答加速度を同時に測定し、周波数領域において両者の伝達関数を求め、応答曲線のピークから共振点(固有振動数)fnを読み取った。図3に示すように磁力線4を発生させて、磁性粒子含有粘弾性体2へ印加する磁場Bを段階的に変えながら、各々の磁場強度について同一の測定を行った。得られた固有振動数を下記式(1)に代入してバネ定数kを算出し、磁場印加有無での変化率を試料の弾性変化率として評価した。尚、弾性変化率測定時の磁場を磁場Bとする。
(式(1))
k=(2πfn)2m
図2に、基礎部(加振台)11と上載質量1.56kgのコイル(電磁石)12、及び本発明の磁性粒子含有粘弾性体2から構成される振動試験装置1を示す。基礎部11に変位加振を与え、FFTアナライザ31で変位加振の加速度と質量mの応答加速度を同時に測定し、周波数領域において両者の伝達関数を求め、応答曲線のピークから共振点(固有振動数)fnを読み取った。図3に示すように磁力線4を発生させて、磁性粒子含有粘弾性体2へ印加する磁場Bを段階的に変えながら、各々の磁場強度について同一の測定を行った。得られた固有振動数を下記式(1)に代入してバネ定数kを算出し、磁場印加有無での変化率を試料の弾性変化率として評価した。尚、弾性変化率測定時の磁場を磁場Bとする。
(式(1))
k=(2πfn)2m
結果と考察
磁性粒子の整列状態の観察
図4に、SEMによる磁性粒子含有粘弾性体の試料(Fe:10vol.%)の断面中央部観察結果を示す。磁場A印加0min.では白色に見える鉄粉が無作為に存在している。磁場を掛けると磁場A印加1min.で既に磁性粒子が同一方向に整列した柱状クラスタの形成が始まり、磁場A印加時間を延ばすと柱状クラスタが成長することが確認された。1min.では50〜100μm程度、120min.では鉄粉が最長で200μm連なった柱状クラスタが確認された。
磁性粒子の整列状態の観察
図4に、SEMによる磁性粒子含有粘弾性体の試料(Fe:10vol.%)の断面中央部観察結果を示す。磁場A印加0min.では白色に見える鉄粉が無作為に存在している。磁場を掛けると磁場A印加1min.で既に磁性粒子が同一方向に整列した柱状クラスタの形成が始まり、磁場A印加時間を延ばすと柱状クラスタが成長することが確認された。1min.では50〜100μm程度、120min.では鉄粉が最長で200μm連なった柱状クラスタが確認された。
又、図5に、SEMによる磁性粒子含有粘弾性体の試料(Fe:4vol.%)の磁場A印加30min.、60min.、180min.の断面中央部観察結果を示す。いずれも柱状クラスタが形成されているが30min.より60min.、60min.より180min.のほうが長い柱状クラスタが形成されていることが確認された。
又、図6に、SEMによる磁性粒子含有粘弾性体の試料(Fe:4vol.%/10vol.%/28vol.%/42vol.%)の磁場A印加0min.と120min.の断面中央部観察結果を示す。磁場A印加後には柱状クラスタが形成されていることが確認された。
弾性変化率の評価
図7に、磁性粒子含有粘弾性体(Fe:10vol.%)について、磁場ありなしでそれぞれ固有振動数を測定して式(1)に代入し、バネ定数の変化率を求めた結果を示す。磁場A印加なし(0min.)の1.12倍と比較すると、1min.磁場Aを印加することにより弾性変化率の上昇が確認され、15min.でほぼ上昇率が飽和した。120min.では弾性変化率が約1.68倍に上昇した。
図7に、磁性粒子含有粘弾性体(Fe:10vol.%)について、磁場ありなしでそれぞれ固有振動数を測定して式(1)に代入し、バネ定数の変化率を求めた結果を示す。磁場A印加なし(0min.)の1.12倍と比較すると、1min.磁場Aを印加することにより弾性変化率の上昇が確認され、15min.でほぼ上昇率が飽和した。120min.では弾性変化率が約1.68倍に上昇した。
同様に、図8に磁性粒子含有粘弾性体の試料(Fe:4vol.%/10vol.%/28vol.%/42vol.%)の磁場A印加時間の変化による弾性変化率の変化を求めた結果を示す。おおむね製造時の印加時間が長いほど弾性変化率が大きくなること、又、28vol.%が最も弾性変化率が大きくなり、弾性変化率が約3倍に上昇し、次に42vol.%が大きくなることが明らかになった。
同様に、図9に磁性粒子含有粘弾性体の試料(Fe:4vol.%/10vol.%/28vol.%/42vol.%)の磁性粒子濃度の変化による弾性変化率の変化を求めた結果を示す。おおむね磁性粒子濃度が高いほど弾性変化率が大きくなること、詳しくは、28vol.%が最も大きく、次に42vol.%が大きくなることが明らかになった。
固有振動数の変化、バネ定数の変化、減衰比の変化
図10〜12は、磁性粒子含有粘弾性体製造時に30min.磁場を印加して製造した磁性粒子含有粘弾性体の試料(Fe:4vol.%/10vol.%/28vol.%/42vol.%)について、図2に示す振動試験装置1を用いて、磁性粒子濃度の変化及び試験時の磁場の印加の有無による、固有振動数の変化、バネ定数の変化、減衰比の変化を示したものである。固有振動数の変化はおおむね磁性粒子濃度が高いほど大きくなること、変化率としては、28vol.%が最も大きく、次に42vol.%が大きくなることが明らかになった。バネ定数の変化はおおむね磁性粒子濃度が高いほど大きくなること、詳しくは、28vol.%が最も大きく3倍以上の変化があり、次に42vol.%が大きくなることが明らかになった。このことからも本発明の磁性粒子含有粘弾性体により弾性率の可変性向上が図られていることが明らかとなった。
図10〜12は、磁性粒子含有粘弾性体製造時に30min.磁場を印加して製造した磁性粒子含有粘弾性体の試料(Fe:4vol.%/10vol.%/28vol.%/42vol.%)について、図2に示す振動試験装置1を用いて、磁性粒子濃度の変化及び試験時の磁場の印加の有無による、固有振動数の変化、バネ定数の変化、減衰比の変化を示したものである。固有振動数の変化はおおむね磁性粒子濃度が高いほど大きくなること、変化率としては、28vol.%が最も大きく、次に42vol.%が大きくなることが明らかになった。バネ定数の変化はおおむね磁性粒子濃度が高いほど大きくなること、詳しくは、28vol.%が最も大きく3倍以上の変化があり、次に42vol.%が大きくなることが明らかになった。このことからも本発明の磁性粒子含有粘弾性体により弾性率の可変性向上が図られていることが明らかとなった。
本発明の磁性粒子含有粘弾性体は、これに磁場を印加する磁場発生装置を用いることで、その弾性率を変化させることが出来るので、構造物や車両等の制振装置等として用いることが出来る。
1 振動試験装置
2 磁性粒子含有粘弾性体
7 磁性粒子
8 柱状クラスタ
2 磁性粒子含有粘弾性体
7 磁性粒子
8 柱状クラスタ
Claims (6)
- 固形ゴム、磁性粒子及び可塑剤を用いて作製されたことを特徴とする磁性粒子含有粘弾性体。
- 固形ゴム、磁性粒子、可塑剤、硫黄、加硫促進剤及び加硫促進助剤を用いて作製されたことを特徴とする磁性粒子含有粘弾性体。
- 可塑剤を含有し加硫されたゴムに磁性粒子が同一方向に整列していることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁性粒子含有粘弾性体。
- 前記固形ゴムはアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)であることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載の磁性粒子含有粘弾性体。
- 固形ゴム、磁性粒子、可塑剤、硫黄、加硫促進剤及び加硫促進助剤を含有することを特徴とする磁性粒子含有粘弾性体製造用組成物。
- 少なくとも固形ゴム、磁性粒子、可塑剤、硫黄、加硫促進剤及び加硫促進助剤を混練りして磁性粒子含有粘弾性体製造用組成物を形成し、該磁性粒子含有粘弾性体製造用組成物を所定形状に成型し、磁場を印加した後に、加硫することを特徴とする磁性粒子含有粘弾性体の製造方法。
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JP2019082426A (ja) * | 2017-10-31 | 2019-05-30 | ミネベアミツミ株式会社 | ひずみゲージ |
JP2019082425A (ja) * | 2017-10-31 | 2019-05-30 | ミネベアミツミ株式会社 | ひずみゲージ |
JP2020193289A (ja) * | 2019-05-29 | 2020-12-03 | 住友ゴム工業株式会社 | ゴム組成物及びタイヤ |
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US11788827B2 (en) | 2017-10-31 | 2023-10-17 | Minebea Mitsumi Inc. | Strain gauge |
JP2020193289A (ja) * | 2019-05-29 | 2020-12-03 | 住友ゴム工業株式会社 | ゴム組成物及びタイヤ |
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Legal Events
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---|---|---|---|
A80 | Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention |
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