JP2020193289A - ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】所望の硬さに制御可能であるゴム組成物及びタイヤを提供する。【解決手段】ゴム成分と軟磁性材料とを含み、かつ下記式(1)及び(2)を満たすゴム組成物。[数1]【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物及びタイヤに関する。
タイヤ等に用いられるゴム組成物には、タイヤに適用した際、走行中の操縦安定性能、ウェットグリップ性能等の性能が要求され、例えば、トレッドに用いるゴム成分、フィラー等を工夫する方法等により、性能の改善が行なわれている。
例えば、特許文献1には、特定の変性ジエン系ゴムと、特定のシリカとを配合し、良好なタイヤ物性を付与する技術が開示されている。
国際公開第2013/125614号
本発明は、前記課題を解決し、所望の硬さに制御可能であるゴム組成物及びタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ゴム成分と軟磁性材料とを含み、かつ下記式(1)及び(2)を満たすゴム組成物に関する。
Figure 2020193289
前記軟磁性材料は、カルボニル鉄粉であることが好ましい。
前記ゴム組成物は、トレッド用ゴム組成物であることが好ましい。
本発明はまた、前記ゴム組成物を用いたタイヤに関する。
本発明によれば、ゴム成分と軟磁性材料とを含み、かつ前記式(1)及び(2)を満たすゴム組成物であるので、所望の硬さに制御可能であるゴム組成物を提供する。
本発明のゴム組成物の硬さ変化のメカニズムを示す模式図の一例である。 ヤング率(E)の測定を示す模式図の一例である。
〔ゴム組成物(加硫済)〕
本発明のゴム組成物は、ゴム成分と軟磁性材料とを含み、かつ前記式(1)及び(2)を満たす。このようなゴム組成物は、磁場によりゴム組成物の硬さを制御でき、磁場強度等の条件により所望の硬さに調整可能である。特に荷重がある状態において、磁場印可、繰り返し変形が行われても、ヤング率変化の大きさを維持でき、例えば、タイヤに適用した場合、磁場印加によりヤング率変化の大きさを維持できる。
このような作用効果が得られる理由は明らかではないが、以下のように推察される。
前記ゴム組成物は、式(1)を満たす、すなわち、磁場を印加しない状態でのゴム組成物のヤング率に比べ、所定磁場を印加した状態のヤング率が10%以上増加するゴム組成物である。例えば、外部から磁場を与えることで、鉄粉等の軟磁性材料(金属フィラー等)が磁気的分極し(小さな磁石のように機能する)、軟磁性材料間に磁気的相互作用として引力が働く。この引力により軟磁性材料の動きが抑制されるため、ゴムが硬くなり、変形が抑えられる。つまり、外部磁場の印加によりゴムを硬くできるので、磁場によりゴムの硬さを制御することが可能となる。従って、例えば、ウェット時(湿潤路面時)は、外部磁場を印加せず、ゴムを柔らかくすることで、良好なウェットグリップ性能を付与できる一方で、ドライ時(乾燥路面時)は、外部磁場を印加し、ゴムを硬くすることで、良好な操縦安定性も付与できる。
更に前記ゴム組成物は、式(2)を満たす、すなわち、所定条件で圧縮した後のゴム組成物のアセトン抽出量と、圧縮前のアセトン抽出量との変化が、10%以内のゴム組成物である。例えば、各種オイル、液状ポリマー等の可塑剤(アセトン抽出成分)をゴム組成物に配合すると、磁場を印加した際、ゴム内部で磁性体が磁場方向に配列するための移動に必要な粘度を確保でき、前述の磁場の印加の有無によるゴムの硬さ調整が容易になる。そして、圧縮前後において、このようなアセトン抽出成分の抽出量の変化が少ないと、ゴム組成物が繰り返し変形に晒されるような条件でも、ゴム内部に該抽出成分を保持できるので、経時的にゴムの硬さ調整も可能となる。以上により、所望の硬さに調整可能であり、特に荷重がある状態において、磁場印可、繰り返し変形が行われてもヤング率変化の大きさを維持できると推察され、例えば、タイヤ適用時に、経時的に優れた操縦安定性、ウェットグリップ性能を付与できると推察される。
(ゴム成分)
ゴム成分としては、例えば、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム(SIBR)等のジエン系ゴムが挙げられる。イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。なかでも、硬さ調整機能や、タイヤ適用時のウェットグリップ性能、操縦安定性等の性能付与の観点から、SBR、BR、イソプレン系ゴムが好ましく、SBRがより好ましい。なお、ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
SBRとしては、特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)等を使用できる。
ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。下限以上にすることで、良好なウェットグリップ性能、操縦安定性が得られる傾向がある。SBRの含有量の上限は特に限定されず、100質量%でもよい。
SBRのスチレン含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは25質量%以上である。下限以上にすることで、良好なウェットグリップ性能が得られる傾向がある。また、上記スチレン含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下である。上限以下にすることで、良好な操縦安定性が得られるだけでなく、グリップ性能の温度依存性が低下し、走行中に安定したウェットグリップ性能が得られる傾向がある。
なお、本発明において、SBRのスチレン含有量は、H−NMR測定により算出される。
SBRのビニル含有量(SBRのブタジエン成分中のビニル含有量)は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上である。下限以上にすることで、良好なウェットグリップ性能が得られる傾向がある。上記ビニル量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下である。上限以下にすることで、幅広い温度領域での優れたウェットグリップ性能が得られる傾向がある。
なお、ビニル量(1,2−結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
SBRとして、非油展SBR、油展SBRのいずれも使用可能であるが、油展SBRを好適に使用できる。油展SBRは、SBRに対して伸展油を用いて油展したものである。このように、予め伸展油によって油展した油展SBRを含有することにより、シリカの分散性を向上できる。
SBRの油展に用いる伸展油としては、例えば、ナフテン系、パラフィン系、芳香族油展系等が挙げられる。油展の方法としては、例えば、重合終了後、伸展油を加え、従来公知の方法により脱溶媒及び乾燥する方法等が挙げられる。なお、伸展油の使用量は、SBR100質量部に対し、5〜100質量部が好ましく、10〜50質量部がより好ましく、10〜40質量部が更に好ましい。
SBRとして、非変性SBRの他、変性SBRも使用可能である。変性SBRとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するSBRであればよく、例えば、SBRの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性SBR(末端に上記官能基を有する末端変性SBR)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性SBRや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性SBR(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性SBR)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性SBR等が挙げられる。
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1〜6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1〜6のアルコキシシリル基)が好ましい。
前記ゴム組成物では、硬さ調整機能や、タイヤ適用時のウェットグリップ性能、操縦安定性等の性能付与の観点から、ゴム成分として、下記式(I)で表されるアクリルアミド化合物で変性された変性ジエン系ゴムAと、下記式(II)で表されるケイ素若しくはスズ化合物及び下記式(III)で表される変性化合物で変性されたジエン系ゴム、又は下記式(III)で表される変性化合物で変性された変性ジエン系ゴムBとのブレンドゴムを好適に使用できる。
上記変性ジエン系ゴムAは、下記式(I)で表されるアクリルアミド化合物で変性されたジエン系ゴムである。これは、ポリマーの末端がアクリルアミド化合物で変性されたジエン系ゴムである。
Figure 2020193289
(式中、Rは水素又はメチル基を表す。R及びRはアルキル基を表す。nは整数を表す。)
式(I)において、R及びRは、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。nは、好ましくは2〜5の整数である。
上記アクリルアミド化合物の具体例としては、N,N−ジメチルアミノメチルアクリルアミド、N,N−エチルメチルアミノメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノメチルアクリルアミド、N,N−エチルプロピルアミノメチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノメチルアクリルアミド、N,N−ブチルプロピルアミノメチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアミノメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−エチルメチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−エチルプロピルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ブチルプロピルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−エチルメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−エチルプロピルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ブチルプロピルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジブチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチルアクリルアミド、N,N−エチルメチルアミノブチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノブチルアクリルアミド、N,N−エチルプロピルアミノブチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノブチルアクリルアミド、N,N−ブチルプロピルアミノブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアミノブチルアクリルアミド;これらのメタクリルアミドなどが挙げられる。なかでも、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドが好ましい。
上記変性ジエン系ゴムBは、下記式(II)で表されるケイ素若しくはスズ化合物及び下記式(III)で表される変性化合物で変性されたジエン系ゴム、又は下記式(III)で表される変性化合物で変性されたジエン系ゴムである。前者はケイ素若しくはスズ化合物でカップリングされたポリマーの末端が変性化合物で変性されたジエン系ゴムであり、後者はポリマーの末端が変性化合物で変性されたジエン系ゴムである。
Figure 2020193289
(式中、Rはアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基又は芳香族炭化水素基を表す。Mはケイ素又はスズを表す。Xはハロゲンを表す。aは0〜2の整数を表す。bは2〜4の整数を表す。)
Figure 2020193289
(式中、R〜Rは同一若しくは異なって炭素数が1〜8のアルキル基を表す。R〜R12は同一若しくは異なって炭素数が1〜8のアルコキシ基又はアルキル基を表す。p〜rは同一若しくは異なって1〜8の整数を表す。)
式(II)で表されるケイ素化合物及びスズ化合物は、ジエン系ゴムのカップリング剤として機能する。ケイ素化合物としては、テトラクロロケイ素、テトラブロモケイ素、メチルトリクロロケイ素、ブチルトリクロロケイ素、ジクロロケイ素、ビストリクロロシリルケイ素などが挙げられる。スズ化合物としては、テトラクロロスズ、テトラブロモスズ、メチルトリクロロスズ、ブチルトリクロロスズ、ジクロロスズ、ビストリクロロシリルスズなどが挙げられる。
式(III)において、R〜Rはメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましく、R〜R12はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましく、p〜rは2〜5の整数が好ましい。
式(III)で表される変性化合物の具体例としては、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3−トリプロポキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3−トリブトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどが挙げられる。なかでも、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートが好ましい。
上記変性ジエン系ゴムA及びBとしては、例えば、該ゴムA及びBを別途それぞれ調製した後に混合することにより得られる。この場合、変性ジエン系ゴムA、Bはそれぞれ以下の製法などにより調製できる。
変性ジエン系ゴムAは、炭化水素溶媒中で、共役ジエンモノマー、又は共役ジエンモノマー及び芳香族ビニルモノマーをアルカリ金属系触媒を用いて重合させることにより得られるアルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体に対して、上記式(I)で表されるアクリルアミド化合物を反応させることにより調製できる。
共役ジエンモノマーとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン(ピペリン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。なかでも、得られる重合体の物性、工業的に実施する上での入手性の観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
芳香族ビニルモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどが挙げられる。なかでも、得られる重合体の物性、工業的に実施する上での入手性の観点から、スチレンが好ましい。
炭化水素溶媒としては、アルカリ金属系触媒を失活させないものであれば特に限定されず、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環族炭化水素が挙げられる。具体的には、炭素数3〜12個を有するプロパン、n−ブタン、iso−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
アルカリ金属系触媒としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどの金属、これらの金属を含有する炭化水素化合物などが挙げられる。好ましいアルカリ金属触媒としては、2〜20個の炭素原子を有するリチウム又はナトリウム化合物が挙げられ、具体的には、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、iso−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウムなどが挙げられる。
重合用モノマーとしては、共役ジエンモノマーのみを用いてもよく、共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーを併用してもよい。共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーを併用する場合の両者の比率は、共役ジエンモノマー/芳香族ビニルモノマーの質量比で50/50〜90/10が好ましく、更に好ましくは55/45〜85/15である。
重合に際しては、アルカリ金属系触媒、炭化水素溶媒、ランダマイザー、共役ジエン単位のビニル結合含有量調節剤など通常使用されているものを用いることが可能であり、重合体の製造方法は特に限定されない。
共役ジエン部のビニル結合含有量を調節するためには、ルイス塩基性化合物として、各種の化合物を使用できるが、エーテル化合物又は第三級アミンが、工業的実施上の入手容易性の点で好ましい。エーテル化合物としては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル;ジエチルエーテル、ジブチルエーテルなどの脂肪族モノエーテル;エチレングリコールジメチルエーテルなどの脂肪族ジエ−テルが挙げられる。また、第三級アミン化合物としては、トリエチルアミン、トリプロピルアミンなどが挙げられる。
アルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体に対して、上記アクリルアミド化合物を添加して変性ジエン系ゴムAを製造する際に使用する量は、アルカリ金属を付加する際に使用するアルカリ金属系触媒1モル当たり、通常0.05〜10モル、好ましくは0.2〜2モルである。
上記アクリルアミド化合物とアルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体との反応は、迅速に起きるので、反応温度及び反応時間は広範囲に選択できるが、一般的には、室温〜100℃、数秒〜数時間である。反応は、上記活性共役ジエン系重合体とアクリルアミド化合物とを接触させればよく、例えば、アルカリ金属系触媒を用いて、ジエン系重合体を調製し、該重合体溶液中に該アクリルアミド化合物を所定量添加する方法などが挙げられる。
反応終了後、反応溶媒中から凝固剤の添加又はスチーム凝固など通常の溶液重合によるゴムの製造において使用される凝固方法がそのまま用いられ、凝固温度も何ら制限されない。得られた変性ジエン系ゴムAは、分子末端にアクリルアミド化合物が導入されている。
一方、変性ジエン系ゴムBは、炭化水素溶媒中で、共役ジエンモノマー、又は共役ジエンモノマー及び芳香族ビニルモノマーをアルカリ金属系触媒を用いて重合させることにより得られるアルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体に対して、(a)上記式(II)で表されるケイ素若しくはスズ化合物(カップリング剤)、次いで、上記式(III)で表される変性化合物を反応させること、又は、(b)上記式(III)で表される変性化合物を反応させることにより調製できる。
アルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体は、変性ジエン系ゴムAの調製と同様に得られる。また、上記(a)において、ケイ素若しくはスズ化合物は、通常、活性共役ジエン系重合体の末端アルカリ金属原子1当量に対してハロゲン原子0.01〜0.4当量の範囲で用いられる。カップリング反応は通常20℃〜100℃の範囲で行われる。更に、上記(a)(b)における変性化合物の反応は、前述のアクリルアミド化合物の反応と同様の方法で実施できる。得られた変性ジエン系ゴムBは、分子末端に変性化合物が導入されている。
また、上記変性ジエン系ゴムA及びBとしては、該ゴムA及びBを1バッチで調製して得られる混合物が好ましい。この場合、例えば、上記アルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体に対して、上記アクリルアミド化合物と、上記ケイ素若しくはスズ化合物及び上記変性化合物、又は上記変性化合物とを反応させることにより該混合物を調製できる。
具体的には、前述と同様の方法によりアルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体を調製し、(c)該重合体溶液中にアクリルアミド化合物を添加した後、必要に応じてケイ素若しくはスズ化合物(カップリング剤)を添加し、次いで変性化合物を添加すること、又は(d)該重合体溶液中に、アクリルアミド化合物、変性化合物、必要に応じてケイ素若しくはスズ化合物を同時に添加すること、などにより上記混合物が得られる。
この場合、アクリルアミド化合物、変性化合物との反応、カップリング反応は前述と同様の方法で実施できる。得られた混合物は、分子末端にアクリルアミド化合物が導入された変性ジエン系ゴムA、分子末端に変性化合物が導入された変性ジエン系ゴムBを含む。
なお、本発明における変性ジエン系ゴムAとBからなる全体の重量平均分子量が特定範囲のブレンド物としては、炭化水素溶媒中で、共役ジエンモノマー、又は共役ジエンモノマー及び芳香族ビニルモノマーをアルカリ金属系触媒を用いて重合させることにより得られるアルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体に対して、2種以上の変性剤を反応させることにより得られる混合物を含むものも挙げられる。
つまり、上記においては、上記活性共役ジエン系重合体に対して、特定の変性剤を反応させることにより得られる混合物を説明したが、このような形態に限らず、2種以上の任意の変性剤を反応させて得られる混合物も本発明に含まれる。該混合物は、前述と同様の方法で調製したアルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体に、従来公知の2種以上の末端変性剤を1バッチで反応させることなどにより得られる。
本発明のゴム組成物で使用される変性ジエン系ゴムA及びBは、両ゴム全体の重量平均分子量(該変性ジエン系ゴムA及びBからなる組成物全体で測定した重量平均分子量)が30万以上、好ましくは50万以上、より好ましくは60万以上である。該(Mw)は140万以下、好ましくは120万以下、より好ましくは100万以下である。
変性ジエン系ゴムA及びBの全体の分子量分布(Mw/Mn)は、4以下が好ましく、3.5以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
なお、本明細書において、上記両ゴム、後述の芳香族ビニル重合体の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値をもとに標準ポリスチレン換算により求めたものである。
変性ジエン系ゴムA及びBとしては、前記性能バランスを改善できる点から、変性ブタジエンゴム(変性BR)、変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR)が好ましく、変性SBRがより好ましい。
変性ジエン系ゴムA及びBが変性SBRの場合、該ゴムA及びBの全体のブタジエン部におけるビニル結合量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上である。また、該ビニル結合量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下である。
変性ジエン系ゴムA及びBが変性SBRの場合、該ゴムA及びBの全体のスチレン含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは25質量%以上である。また、該スチレン含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下である。
前記ゴム組成物において、変性ジエン系ゴムA及びBの配合比(A/B(質量比))は、好ましくは5/95〜95/5、より好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜80/20である。
ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中の変性ジエン系ゴムA及びBの合計含有量は、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。該合計含有量の上限は特に限定されず、100質量%でもよい。
SBR等のゴム成分の市販品として、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBR等のゴムを使用できる。
(軟磁性材料)
軟磁性材料としては特に制限はなく、公知の無機軟磁性材料、有機軟磁性材料を使用できる。具体的には、鉄、カルボニル鉄、窒化鉄、ニッケル、コバルト、Fe−Ni合金、Fe−Co合金、Fe−Cr合金、Fe−Si合金、Fe−Al合金、Fe−Cr−Si合金、Fe−Cr−Al合金、Fe−Si−Al合金等の鉄合金、Mg−Znフェライト、Mn−Znフェライト、Mn−Mgフェライト、Cu−Znフェライト、Mg−Mn−Srフェライト、Ni−Znフェライト等のフェライト系物質など材料が挙げられる。なかでも、磁力の制御等の観点から、カルボニル鉄(カルボニル鉄粉)が好ましい。カルボニル鉄粉は、カルボニル鉄(Fe(CO))して気化させ分解することによりCOを除去して得られる材料である。
ゴム組成物では、軟磁性材料の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは100質量部以上、より好ましくは200質量部以上、更に好ましくは250質量部以上である。下限以上にすることで、磁力を印加したときヤング率を十分に高くできる傾向がある。該含有量の上限は特に限定されないが、好ましくは1000質量部以下、より好ましくは700質量部以下、更に好ましくは550質量部以下である。上限以下にすることで、良好な分散性が得られる傾向がある。
軟磁性材料は、平均粒子径が2〜20μmが好ましく、より好ましくは5〜15μmである。平均粒子径の測定は、レーザー回折光散乱法により、50質量%粒子径を測定する。測定器としては、例えば、堀場製作所製社製のレーザー回折/散乱式粒子分布測定装置LA−950S2等を使用できる。
前記ゴム組成物(加硫済)は、下記式(1)を満たす。
Figure 2020193289
すなわち、磁束密度300mT(ミリテスラ)の磁場を印加した状態でのゴム組成物のヤング率E300/磁場を印加しない状態(非印加状態)でのゴム組成物のヤング率Eが1.10以上である。ゴムの硬さ調整の観点から、E300/E≧1.12が好ましく、E300/E≧1.14がより好ましく、E300/E≧1.16が更に好ましい。上限は特に限定されないが、E300/E≦2.00が好ましく、E300/E≦1.70がより好ましく、E300/E≦1.50が更に好ましい。
ゴムの硬さ調整の観点から、E300(磁場300mTの印加状態でのゴム組成物のヤング率)≧22.0MPaが好ましく、E300≧24.0MPaがより好ましく、E300≧25.0MPaが更に好ましい。上限は特に限定されないが、E300≦40.0MPaが好ましく、E300≦35.0MPaがより好ましく、E300≦32.0MPaが更に好ましい。
ゴム物性の観点から、E(非印加状態でのゴム組成物のヤング率)≧20.0MPaが好ましく、E≧21.0MPaがより好ましく、E≧22.0MPaが更に好ましい。上限は特に限定されないが、E≦35.0MPaが好ましく、E≦30.0MPaがより好ましく、E≦28.0MPaが更に好ましい。
ここで、E300、Eは、ゴム組成物に配合される薬品(特に、ゴム成分、フィラー)の種類や量により調整が可能である。例えば、E300、Eは、軟磁性材料の種類や量を適宜調整することで調整可能であり、配合量を増加すると、E300、E、特にE300が大きくなる傾向がある。また、E300、Eは、高分子量のゴム成分を用いたり、フィラーを増量すると大きくなる傾向があり、オイル、液状ポリマー等の可塑剤を添加すると、小さくなる傾向がある。
300/E≧1.10を満足させる手法としては、(a)軟磁性材料の種類や量を調整する方法、(b)各種オイル、液状ポリマー等の可塑剤(アセトン抽出成分)の種類や量を調整する方法(ファルネセン系ポリマー、液状ジエン系重合体等の架橋性を有する軟化剤を用いる方法等)、(c)ゴム成分としてスチレンブタジエンゴムを用いる方法、(d)変性ゴムを用いる方法、(e)高分子量のゴム成分を用いる方法、(f)各種フィラーの種類や量を調整する方法、等を単独又は適宜組み合わせる手法が挙げられる。
なお、ヤング率E300、Eの測定は、後述の実施例に記載の方法で測定できる。例えば、磁束密度300mTの磁場の印加は、交流磁場の印加により実施可能であり、その場合の50Hz、60Hz等の周波数、印加時間も適宜選定できる。磁場の印加方向は、軟磁性材料を配向させたい方向や、軟磁性材料が既に配向している方向を選択すればよい。具体的には、後述の実施例に記載の方法で印加する方法を採用する。
前記ゴム組成物(加硫済)は、下記式(2)を満たす。
Figure 2020193289
すなわち、400MPaで1分間圧縮した後のゴム組成物のアセトン抽出量AE400/当該圧縮前のゴム組成物のアセトン抽出量AEが0.90〜1.10である。磁場を印加した際のゴム内部での軟磁性材料の配向性の観点から、0.92≦AE400/AE≦1.08が好ましく、0.93≦AE400/AE≦1.07がより好ましく、0.94≦AE400/AE≦1.06が更に好ましい。
磁場を印加した際のゴム内部での軟磁性材料の配向性、ゴム物性の観点から、AE400≧40.0質量%が好ましく、AE400≧44.0質量%がより好ましく、AE400≧46.0質量%が更に好ましい。上限は特に限定されないが、AE400≦60.0質量%が好ましく、AE400≦55.0質量%がより好ましく、AE400≦53.0質量%が更に好ましい。
磁場を印加した際のゴム内部での軟磁性材料の配向性、ゴム物性の観点から、AE≧40.0質量%が好ましく、AE≧44.0質量%がより好ましく、AE≧46.0質量%が更に好ましい。上限は特に限定されないが、AE≦60.0質量%が好ましく、AE≦55.0質量%がより好ましく、AE≦53.0質量%が更に好ましい。
ここで、AE400、AEは、ゴム組成物に配合される薬品(特に、各種オイル、液状ポリマー等の可塑剤(アセトン抽出成分))の種類や量により調整が可能である。例えば、AE400、AEは、オイル、可塑剤の種類や量を適宜調整することで調整でき、配合量を増加すると、AE400、AEが大きくなる傾向がある。
0.90≦AE400/AE≦1.10を満足させる手法としては、(a)各種オイル、液状ポリマー等の可塑剤(アセトン抽出成分)の種類や量を調整する方法(ファルネセン系ポリマー、液状ジエン系重合体等の架橋性を有する軟化剤を用いる方法等)、(b)ゴム成分と相溶性の高い可塑剤を用いる方法(ゴム成分とSP値が近いオイルを用いる方法等)、(c)ゴム成分としてスチレンブタジエンゴムを用いる方法、(d)変性ゴムを用いる方法、(e)高分子量のゴム成分を用いる方法、等を単独又は適宜組み合わせる手法が挙げられる。
なお、アセトン抽出量AEは、JIS K 6229:2015に準拠したアセトン抽出量の測定方法により測定でき、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定できる。
図1は、前述のゴム成分、軟磁性材料を含み、かつ式(1)及び(2)を満たすゴム組成物の硬さ変化のメカニズムを示す模式図の一例である。磁場が印加されていないゴム組成物1aは、軟磁性材料2間で磁気的な引力がないため、ゴムの硬さが軟らかい(変化しない)一方で、磁力(磁場)3により磁場が印加されているゴム組成物1bは、軟磁性材料2間で磁気的な引力が生じているため、該引力により軟磁性材料2の動きが抑制され、ゴムが硬くなる。このような硬さ調節機能により、ドライ時の操縦安定性、ウェットグリップ性能を付与できる。
(可塑剤)
前記ゴム組成物は、ゴム内部の軟磁性材料の配向性等の観点から、オイル、液状ポリマー等の可塑剤(アセトン抽出成分)を含むことが好ましい。
オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、ウェットグリップ性能等の観点から、好ましくは10質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは40質量部以上である。操縦安定性等の観点から、上限は、好ましくは90質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは65質量部以下である。
なお、オイルの含有量には、ゴム(油展ゴム)に含まれるオイルの量も含まれる。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、SBR等のゴム成分との相溶性の観点から、プロセスオイルが好ましく、アロマ系プロセスオイルがより好ましい。
オイルとしては、例えば、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)等の製品を使用できる。
液状ポリマーとは、常温(25℃)で液体状態の重合体である。液状ポリマーとしては、ファルネセン系ポリマー、液状ジエン系重合体等が挙げられる。なかでも、ウェットグリップ性能等の観点から、ファルネセン系ポリマー等を好適に使用できる。
ファルネセン系ポリマーとは、ファルネセンを重合することで得られる重合体であり、ファルネセンに基づく構成単位を有する。ファルネセンには、α−ファルネセン((3E,7E)−3,7,11−トリメチル−1,3,6,10−ドデカテトラエン)やβ−ファルネセン(7,11−ジメチル−3−メチレン−1,6,10−ドデカトリエン)などの異性体が存在するが、以下の構造を有する(E)−β−ファルネセンが好ましい。
Figure 2020193289
ファルネセン系ポリマーは、ファルネセンの単独重合体(ファルネセン単独重合体)でも、ファルネセンとビニルモノマーとの共重合体(ファルネセン−ビニルモノマー共重合体)でもよい。
ビニルモノマーとしては、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、tert−ブトキシスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4−ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、N,N−ジメチルアミノメチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2−t−ブチルスチレン、3−t−ブチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ジフェニルエチレン、3級アミノ基含有ジフェニルエチレンなどの芳香族ビニル化合物や、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン化合物などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、ブタジエンが好ましい。すなわち、ファルネセン−ビニルモノマー共重合体としては、ファルネセンとブタジエンとの共重合体(ファルネセン−ブタジエン共重合体)が好ましい。
ファルネセン系ポリマーとして、液状ファルネセン系ポリマーを好適に使用できる。液状ファルネセン系ポリマーとは、常温(25℃)で液体のファルネセン系ポリマーであり、重量平均分子量(Mw)が3000〜30万のものを好適に使用できる。液状ファルネセン系ポリマーのMwは、好ましくは8000以上、より好ましくは10000以上であり、また、好ましくは10万以下、より好ましくは6万以下、更に好ましくは5万以下である。
ファルネセン系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−100℃以上、より好ましくは−78℃以上であり、また、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−30℃以下、更に好ましくは−54℃以下である。上記範囲内であると、本発明の効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、Tgは、JIS−K7121:1987に従い、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製の示差走査熱量計(Q200)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定した値である。
ファルネセン系ポリマーの溶融粘度は、好ましくは0.1Pa・s以上、より好ましくは0.7Pa・s以上であり、また好ましくは500Pa・s以下、より好ましくは100Pa・s以下、更に好ましくは13Pa・s以下である。上記範囲内であると、本発明の効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、溶融粘度は、ブルックフィールド型粘度計(BROOKFIELD ENGINEERING LABS.INC.製)を用いて、38℃で測定した値である
ファルネセン−ビニルモノマー共重合体において、ファルネセンとビニルモノマーとの質量基準の共重合比(ファルネセン/ビニルモノマー)は、40/60〜90/10が好ましい。
ファルネセン系ポリマーの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは25質量部以上であり、また、好ましくは70質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは45質量部以下である。上記範囲内であると、良好な磁場印加による軟磁性材料の配合性が得られる傾向がある。
ファルネセン系ポリマーとしては、例えば、(株)クラレ等の製品を使用できる。
液状ジエン系重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、1.0×10〜2.0×10であることが好ましく、3.0×10〜1.5×10であることがより好ましい。
なお、本明細書において、液状ジエン系重合体のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算値である。
液状ジエン系重合体としては、液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)などが挙げられる。
液状ポリマーの含有量(液状ファルネセン系ポリマー、液状ジエン系重合体等の合計含有量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは25質量部以上であり、また、好ましくは70質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは45質量部以下である。上記範囲内であると、良好な磁場印加による軟磁性材料の配合性が得られる傾向がある。
(他のフィラー)
前記ゴム組成物に使用可能な軟磁性材料以外のフィラーとしては、シリカ、カーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、マイカなどのゴム分野で公知のものが挙げられる。なかでも、シリカ、カーボンブラックが好ましい。
ゴム組成物に用いるシリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは80質量部以上である。下限以上にすることで、良好な操縦安定性、ウェットグリップ性能が得られる傾向がある。該含有量の上限は特に限定されないが、好ましくは150質量部以下、より好ましくは130質量部以下、更に好ましくは120質量部以下である。上限以下にすることで、良好な分散性が得られる傾向がある。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは80m/g以上、より好ましくは120m/g以上、更に好ましくは150m/g以上である。下限以上にすることで、良好なウェットグリップ性能、操縦安定性が得られる傾向がある。また、シリカのNSAは、好ましくは250m/g以下、より好ましくは220m/g以下、更に好ましくは200m/g以下である。上限以下にすることで、良好な分散性が得られる傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される値である。
シリカとしては、例えば、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。
トレッド用ゴム組成物は、シリカと共にシランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。市販されているものとしては、例えば、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフィド系、メルカプト系シランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤を含有する場合、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、また、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。
ゴム組成物に使用できるカーボンブラックとしては、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等が挙げられるが、特に限定されない。市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱ケミカル(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。カーボンブラックを配合することにより、補強性が得られ、耐摩耗性等が顕著に改善される。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは10質量部以上である。下限以上にすることで、カーボンブラックを配合した効果が得られる傾向がある。また、該カーボンブラックの含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは60質量部以下である。上限以下にすることで、良好な分散性が得られる傾向がある。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは80m/g以上、より好ましくは100m/g以上、更に好ましくは105m/g以上である。下限以上であると、良好な補強性が得られる傾向がある。カーボンブラックのNSAの上限は特に限定されないが、好ましくは180m/g以下、より好ましくは150m/g以下、更に好ましくは130m/g以下である。
なお、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、JIS K6217のA法によって求められる。
(他の成分)
ゴム組成物は、ワックスを含んでもよい。
ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックスなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、石油系ワックスが好ましく、パラフィンワックスがより好ましい。
ワックスとしては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。
ワックスを含有する場合、その含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、また、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
ゴム組成物は、老化防止剤を含んでもよい。
老化防止剤としては、例えば、フェニル−α−ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′−ビス(α,α′−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等のp−フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス−[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、p−フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましい。
老化防止剤としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
老化防止剤を含有する場合、その含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。
ゴム組成物は、ステアリン酸を含有してもよい。
ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、NOF社、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
ステアリン酸を含有する場合、その含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。
ゴム組成物は、酸化亜鉛を含有してもよい。
酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
酸化亜鉛を含有する場合、その含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。
ゴム組成物は、硫黄を含有することが好ましい。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硫黄としては、例えば、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。
硫黄を含有する場合、その含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
ゴム組成物は、加硫促進剤を含有することが好ましい。
加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT−N)等のチウラム系加硫促進剤;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N′−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が好ましい。
加硫促進剤を含有する場合、その含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下である。
ゴム組成物には、前記成分の他、タイヤ工業において一般的に用いられている他の配合剤(有機架橋剤等)を更に配合してもよい。これらの配合剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1〜200質量部が好ましい。
〔ゴム組成物(加硫済)の製造方法〕
ゴム組成物(加硫済)は、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。製造に際し、混練により得られた未加硫ゴム組成物をそのまま加硫する方法、先ず未加硫ゴム組成物に磁場を印加する配列作業を行って軟磁性材料を配向させた後、加硫する方法、のいずれでもよい。
先ず配列作業を行う製法の場合、例えば、以下の製法で製造できる。
先ず、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、未加硫ゴム組成物を作製する。この時点では、未加硫ゴム組成物の内部は、軟磁性材料が無作為に分散配置している。次いで、未加硫ゴム組成物に電磁石等を用いて磁場を印加する。磁場を印加することにより、軟磁性材料が磁場方向に整列して柱状クラスタが形成される。磁場印加条件は特に限定されず、軟磁性材料の配向状態により適宜設定すればよく、例えば、磁束密度50mT〜1T、印加時間180分以下(15〜120分等)の条件を採用できる。磁場の印加後に未加硫ゴム組成物を加硫し、加硫時にゴム内部に軟磁性材料が整列して柱状クラスタが形成された状態を維持できる。これにより、ゴム内部に軟磁性材料が分散しかつ同一方向に整列して配置されている(配向している)ゴム組成物(加硫済)が製造できる。また、配列作業を行った場合、該作業を行わない場合に比べ、磁場印加によるヤング率の向上が大きい傾向がある。
なお、未加硫ゴム組成物を作製する際の混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常100〜180℃、好ましくは120〜170℃である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常120℃以下、好ましくは85〜110℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した未加硫ゴム組成物の加硫条件は、加硫温度が通常140〜190℃、好ましくは150〜185℃である。
前記ゴム組成物は、トレッド(キャップトレッド)に好適に用いられるが、他の部材、例えば、サイドウォール、ベーストレッド、アンダートレッド、クリンチエイペックス、ビードエイペックス、ブレーカークッションゴム、カーカスコード被覆用ゴム、インスレーション、チェーファー、インナーライナー等や、ランフラットタイヤのサイド補強層に用いてもよい。
本発明のタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。
すなわち、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドなどの各タイヤ部材の形状にあわせて押出し加工し、必要に応じて磁場を印加して軟磁性材料を配向させた後、得られた未加硫タイヤ部材を他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。
タイヤとしては、空気入りタイヤ、エアレス(ソリッド)タイヤなどが挙げられるが、なかでも、空気入りタイヤが好ましい。タイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、トラック、バスなどの重荷重用タイヤ、ライトトラック用タイヤ、二輪自動車用タイヤ、レース用タイヤ(高性能タイヤ)などに使用可能である。また、オールシーズンタイヤ、サマータイヤ、スタッドレスタイヤ(冬用タイヤ)等に使用できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
(製造例1)
内容積20リットルのステンレス製重合反応機を洗浄、乾燥し、乾燥窒素で置換した後に1,3−ブタジエン548g、スチレン235g、テトラヒドロフラン8.89g、ヘキサン10.2kg、n−ブチルリチウム(n−ヘキサン溶液5.22mmol)を添加し、攪拌下に65℃で3時間重合を行った。重合完了後、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを1.57mmol(0.245g)、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートを3.66mmol(2.251g)添加した。攪拌下に30分間反応させた後、10mlのメタノールを加えて、更に5分間攪拌した。その後、重合反応容器の内容物を取り出し、2,6−ジ−t−フチル−p−クレゾール(住友化学製のスミライザーBHT:以下同様)を10g、オイルを141g加え、ヘキサンの大部分を蒸発させた後、55℃で12時間減圧乾燥し、ゴム混合物を得た。
Figure 2020193289
以下に、実施例及び比較例で用いた各種薬品について説明する。
変性ジエン系ゴムA及びB:製造例1(変性SBR、伸展油量:SBR100質量部に対して18質量部)
カルボニル鉄粉:BASF製CIP CM(平均粒子径10μm)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスNH−70S(アロマ系プロセスオイル)
液状ポリマー:クラレ製のFB−823(液状ファルネセンブタジエン共重合体、Tg−78℃、Mw50,000、ファルネセン/ブタジエン比=80/20)
エポキシ樹脂:三菱ケミカル製グレード827
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
ステアリン酸:日油(株)製の桐
硫黄:細井化学工業(株)製のHK200−5(5%オイル含有粉末硫黄)
加硫促進剤CZ:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
<実施例及び比較例(配列作業無)>
表2に示す配合内容(硫黄量は純硫黄量を示す)に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、配合材料のうち、工程1に示す材料を150℃で3分間混練りし、混練り物を得た。次に、工程1で得られた混練り物に工程2に示す材料を添加し、オープンロールを用いて、80℃で3分間混練りして、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を150℃で20分間プレス加硫し、加硫ゴムシート(加硫済)を得た。
<実施例及び比較例(配列作業有)>
表2に示す配合内容(硫黄量は純硫黄量を示す)に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、配合材料のうち、工程1に示す材料を150℃で3分間混練りし、混練り物を得た。次に、工程1で得られた混練り物に工程2に示す材料を添加し、オープンロールを用いて、80℃で3分間混練りして、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を、磁場発生装置(二六製作所製NK029)を用いて、未加硫ゴム組成物の厚さ方向に磁場を印加し、磁場方向に軟磁性材料を配向させた(印加条件:直流磁場(300mT)、温度:室温、印加時間:24時間)。
磁場印加の配列作業により得られた磁性体が配向した未加硫ゴム組成物を150℃で20分間プレス加硫し、加硫ゴムシート(加硫済)を得た。
得られた加硫ゴムシートを使用して、下記の評価を行った。
〔ヤング率(E)〕
各加硫ゴムシートから作製した試験片について、精密万能試験機(島津製作所製、AG−IS 500N)を用いて、以下の測定条件で、磁場の非印加状態、印加状態のヤング率(MPa)をそれぞれ測定した(歪4%〜歪20%の応力の傾きから、ヤング率を測定)。なお、印加状態の測定は、下記磁場印加条件で測定した。
(測定条件)
円柱状試験片:直径28mm、高さ14mm
変形:圧縮変形(圧縮方向:図2に示す方向)
温度:室温
荷重:0N〜400N
圧縮速度:1mm/min
ひずみ:0%〜20%
(磁場印加条件)
図2に示すように円柱状試験片の下部に磁石を設置し、上記と同様の測定条件で圧縮試験を実施した。
磁束密度:直流磁場(300mT、ネオジム磁石)
磁場方向:圧縮方向と平行
〔アセトン抽出量(AE)〕
各加硫ゴムシートについて、JIS K6229:2015に準拠したアセトン抽出量の測定方法に従って、圧縮前、圧縮後の加硫ゴムシート中に含まれるアセトンにより抽出される物質の量(抽出量:質量%)をそれぞれ測定した(A法)。なお、加硫ゴムシートの圧縮は、下記圧縮条件で行った。
(圧縮条件)
加硫ゴムシートから作製した試験片を用いて、下記条件で圧縮試験を実施した。
円柱状試験片:直径28mm、高さ14mm
圧縮荷重:400MPa
温度:室温
圧縮時間:2分間
Figure 2020193289
表2から、ゴム成分と軟磁性材料とを含み、かつ前記式(1)及び(2)を満たす実施例のゴム組成物は、磁場の印加によりゴムの硬さを所望の硬さに調整可能であった。また、この硬さ制御を用いて、良好な操縦安定性、ウェットグリップ性能の付与も可能であった。更に、圧縮試験前後でアセトン抽出量の変化が少ないので、繰り返し変形に晒されるタイヤに適用した場合、磁場の印加により、ゴムの硬さを経時的に調整することも可能であった。
1a ゴム組成物(磁場印加無し)
1b ゴム組成物(磁場印加有り)
2 軟磁性材料
3 磁力(磁場)

Claims (4)

  1. ゴム成分と軟磁性材料とを含み、かつ下記式(1)及び(2)を満たすゴム組成物。
    Figure 2020193289
  2. 軟磁性材料がカルボニル鉄粉である請求項1記載のゴム組成物。
  3. トレッド用ゴム組成物である請求項1又は2記載のゴム組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
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