JP2017209650A - 抗菌層付き基材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐光性に優れ、短時間で抗菌作用を示す抗菌層を備える抗菌層付き基材が製造される抗菌層付き基材の製造方法を提供する。【解決手段】銀を含む抗菌剤の少なくとも1種を含むインクジェット用組成物をインクジェット法により基材上に付与することにより、基材の上の少なくとも一部に銀を含む抗菌剤を含有する抗菌層を形成することを有し、抽出試験にて測定される単位面積当たりの銀イオン量が15ng/cm2〜50ng/cm2である抗菌層付き基材を製造する、抗菌層付き基材の製造方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、抗菌層付き基材の製造方法に関する。
各種製品及び部材の表面には、目的に応じて加工が施され、各種機能が付与されることが多い。その中でも、近年、基材表面に抗菌層を設ける技術が注目を集めている。
例えば、医療現場で使われる医療装置は、複数の患者と連続的に接触するものが多い。また、タッチパネルの表面は、不特定多数の操作者が直接指で触れるものである。そのため、医療装置又はタッチパネル等の表面に細菌等が繁殖していると、装置等を媒介して人から人へ病気が感染する事態を招く恐れがある。
このような状況に対して、各種装置(例えば、医療装置、タッチパネル等)の表面に抗菌層を設けることにより、細菌の増殖又は病気の感染リスクを低減することが可能となる。
上記に関連する技術として、例えば、銀を含有するリン酸複塩からなる抗菌剤を含む耐擦傷性皮膜と基材とからなる前面板が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−337277号公報
一方、近年では、各種装置(例えば、医療装置、タッチパネル)の使用頻度がより高まる状況にあることから、抗菌作用がより短時間で現れる技術の確立が求められている。
また、抗菌層を有する基材は、照明光又は外光に長時間曝される環境下で使用されることが多い。抗菌層を有する基材が長期間曝光されると、変色することがある。例えばタッチパネルの場合、タッチパネルが照明光又は外光に長期間曝されて変色してしまうと、タッチパネルの視認性が低下するおそれがある。そのため、抗菌層を有する基材には、曝光下でも変色が起こり難い性質が求められる。
つまり、抗菌層を有する基材は、耐光性に優れ、かつ、各種装置の使用後に短時間で抗菌作用を示す性質をそなえていることが求められている。
この点に関して、本発明者らが特許文献1に記載の前面板について検討を行ったところ、上記した耐光性及び抗菌作用を十分に満たすものではなく、更なる改善の余地があることが判明した。
本発明は、上記した状況に鑑みなされたものであり、耐光性に優れ、短時間で抗菌作用を示す抗菌層を備える抗菌層付き基材が製造される抗菌層付き基材の製造方法を提供することを目的とし、この目的を達成することを課題とする。
上記の課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 銀を含む抗菌剤の少なくとも1種を含むインクジェット用組成物をインクジェット法により基材上に付与することにより、基材の上の少なくとも一部に、銀を含む抗菌剤の少なくとも1種を含有し、かつ、以下の抽出試験にて測定される単位面積当たりの銀イオン量が15ng/cm〜50ng/cmである抗菌層を形成することを有する抗菌層付き基材の製造方法。
抽出試験では、JIS Z 2801:2010に規定された1/500普通ブイヨン培地を抽出液として用い、抽出液の温度を35±1℃に制御して、抗菌層付き基材中の抗菌層と抽出液とを1時間接触させる。抽出液に抽出された銀イオン量を測定し、測定された値を、抗菌層の抽出液との接触面積で除して、単位面積当たりの銀イオン量を得る。銀イオン量の単位はngであり、接触面積の単位はcmであり、単位面積当たりの銀イオン量の単位はng/cmである。
<2> 抗菌層の表面の水接触角が40°以下である<1>に記載の抗菌層付き基材の製造方法である。
<3> 抗菌剤が、担体と、担体上に担持された銀と、を含む銀担持抗菌剤である<1>又は<2>に記載の抗菌層付き基材の製造方法である。
<4> インクジェット用組成物は、更に親水性基を有するモノマーを含む<1>〜<3>のいずれか1つに記載の抗菌層付き基材の製造方法である。
<5> インクジェット用組成物は、更に親水性基を有するモノマーを含む硬化性組成物であり、インクジェット用組成物の付与後、インクジェット用組成物を硬化させて抗菌層を形成することを有する<1>〜<4>のいずれか1つに記載の抗菌層付き基材の製造方法である。
<6> モノマーにおける親水性基が、ポリオキシアルキレン基を含む<4>又は<5>に記載の抗菌層付き基材の製造方法である。
<7> インクジェット用組成物をインクジェット法により基材の上に付与する前に、基材の上に色画像を形成することを有する<1>〜<6>のいずれか1つに記載の抗菌層付き基材の製造方法である。
<8> 色画像を、デジタル方式の方法により形成する<7>に記載の抗菌層付き基材の製造方法である。
<9> デジタル方式の方法は、インクジェット法である<8>に記載の抗菌層付き基材の製造方法である。
<10> 紫外線硬化性のインク及び分散粒子を含む水性インクより選ばれるインクをインクジェット法により付与することにより色画像を形成する<9>に記載の抗菌層付き基材の製造方法である。
本発明によれば、耐光性に優れ、短時間で抗菌作用を示す抗菌層を備える抗菌層付き基材が製造される抗菌層付き基材の製造方法が提供される。
抗菌層付き基材の一実施態様を示す概略の断面図である。
以下、本発明の一実施形態の抗菌層付き基材の製造方法について詳細に説明する。但し、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において適宜変更を加えて実施することができる。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に相当する物質が複数存在する場合は、特に断りのない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本明細書における「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書における「ベタ画像」(Solid image)とは、ある特定の網点率(濃度)でインクを付与して形成された面画像を意味する。
本発明の一実施形態の抗菌層付き基材の製造方法は、銀を含む抗菌剤の少なくとも1種を含むインクジェット用組成物をインクジェット法により基材上に付与(具体的には、例えばインクジェットヘッドからインクジェット用組成物を基材上に吐出)すること(以下、単に「付与工程」ともいう。)により、基材の上の少なくとも一部に、銀を含む抗菌剤を含有し、かつ、抽出試験にて測定される単位面積当たりの銀イオン量が15ng/cm〜50ng/cmである抗菌層を形成することを有している。
本発明の実施形態に係る抗菌層付き基材の製造方法は、付与工程に加え、更に、乾燥工程、硬化工程等の他の工程を有していてもよい。
本開示の抗菌層付き基材の製造方法における特徴点の一つは、抗菌層からの銀イオンの溶出量が制御された抗菌層をインクジェット法で形成することにある。抗菌層がインクジェット法で形成されるので、インクジェット法以外のコンベンショナルな印刷方式等とは異なり、抗菌層が形成される対象物の種類及び形状に制約されることなく、耐光性に優れ、かつ、短時間で抗菌作用を示す抗菌層の付設を容易にかつ迅速に行うことができる。
具体的には、後述する抽出試験で使用される、予め定められた所定の抽出液への抗菌層から溶出する銀イオンの溶出量(抽出量)が予め定められた所定の範囲に調節された抗菌層が形成される。抗菌層から溶出する銀イオンの溶出量(抽出量)が予め定めた値以上であると、例えば使用後より短時間で抗菌作用が得られる。また、抗菌層から溶出する銀イオンの溶出量(抽出量)が予め定めた値以下であると、抗菌層は耐光性に優れたものとなる。
抽出試験では、JIS Z 2801:2010に規定された1/500普通ブイヨン培地を抽出液として用い、抽出液の温度を35±1℃に制御して、抗菌層付き基材中の抗菌層と抽出液とを1時間接触させる。その後、抽出液に抽出された銀イオン量を測定し、測定された値を、抗菌層と抽出液とが接触した接触面積で除して、単位面積当たりの銀イオン量を得る。
ここで、銀イオン量の単位は「ng」であり、接触面積の単位は「cm」である。また、単位面積当たりの銀イオン量の単位は「ng/cm」である。
(付与工程)
本実施形態における付与工程では、銀を含む抗菌剤の少なくとも1種を含むインクジェット用組成物をインクジェット法により基材上に付与する。インクジェット用組成物の付与により、基材の上の少なくとも一部に、銀を含む抗菌剤を含有し、かつ、抽出試験にて測定される単位面積当たりの銀イオン量が15ng/cm〜50ng/cmである抗菌層を形成する。
インクジェット法による付与は、所望の吐出条件に合わせてインクジェットヘッドを選択し、インクジェットヘッドからインクジェット用組成物を基材上に吐出することによって行うことができる。
インクジェット法によりインクジェット用組成物を基材上に付与する際、付与に適したインクジェットヘッドを所望の吐出条件に合わせて選択すればよい。
インクジェットヘッドとしては、特に制限はなく、いずれの種類のインクジェットヘッドを用いてもよい。例えば、インクジェット用組成物が紫外線(UV)硬化性の組成物(例えばUV硬化性のインク)である場合、ピエゾ素子の振動圧力を利用したインクジェットヘッド(ピエゾヘッド)が好適である。
ピエゾヘッドとしては、特に制限はないが、ダイマティックス・マテリアル・カートリッジ DMC−10000シリーズ(富士フイルムダイマティックス社製)、Sambaシリーズヘッド(富士フイルムダイマティックス社製)、SG1024シリーズヘッド(富士フイルムダイマティックス社製)、QEシリーズヘッド、(富士フイルムダイマティックス社製)、Polarisシリーズヘッド(富士フイルムダイマティックス社製)、KJ4Aシリーズヘッド(京セラ社製)、Gen5ヘッド(リコー社製)等が好ましく用いられる。
インクジェット用組成物の液滴量としては、銀を含む抗菌剤を良好に吐出する観点から、2pl(ピコリットル;以下同じ)以上が好ましく、10pl以上がより好ましく、30lp以上が更に好ましい。また、インクジェット用組成物の液滴量の上限は、インクジェット用組成物を基材上に適量付与する観点から、80lp以下とするのが好ましい。
画像を形成する際のインクジェット法の方式としては、シングルパス方式、シャトルスキャン方式のいずれの方式でもよい。シングルパス方式は、生産性の観点で好ましく、シャトルスキャン方式は、装置コストの観点で好ましい。
インクジェット法で基材上に付与されるインクジェット用組成物の液滴の密度(打滴密度)は、特に制限されるものではなく、所望とするインク付与量に応じて選択することができる。具体的には、所望とするインク付与量を考慮して、150dpi(dot per inch;以下同じ)×150dpi〜1200dpi×1200dpiの範囲とすることができる。打滴密度の好ましい範囲は、300dpi×300dpi〜1200dpi×1200dpiの範囲である。
[インクジェット用組成物]
本発明の一実施形態に用いられるインクジェット用組成物は、銀を含む抗菌剤の少なくとも1種を含有する。インクジェット用組成物は銀を含む抗菌剤を含むので、インクジェット法で形成される抗菌層は、銀又は銀イオンを含有し、抗菌作用を示す。
また、インクジェット用組成物は、更に親水性モノマーを含有することが好ましく、必要に応じて、他の成分(モノマー、重合開始剤、滑剤、溶媒(水又は有機溶媒)など)が含まれてもよい。
−銀系抗菌剤−
銀を含む抗菌剤(以下、銀系抗菌剤ともいう。)としては、銀原子が含まれていればよく、抗菌剤の種類に制限はない。また、銀の形態には、特に制限はなく、例えば、金属銀、銀イオン、銀塩(銀錯体を含む)などのいずれの形態でもよい。
銀塩としては、例えば、酢酸銀、アセチルアセトン酸銀、アジ化銀、銀アセチリド、ヒ酸銀、安息香酸銀、フッ化水素銀、臭素酸銀、臭化銀、炭酸銀、塩化銀、塩素酸銀、クロム酸銀、クエン酸銀、シアン酸銀、シアン化銀、(cis,cis−1,5−シクロオクタジエン)−1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトン酸銀、ジエチルジチオカルバミン酸銀、フッ化銀(I)、フッ化銀(II)、7,7−ジメチル−1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−4,6−オクタンジオン酸銀、ヘキサフルオロアンチモン酸銀、ヘキサフルオロヒ酸銀、ヘキサフルオロリン酸銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、イソチオシアン酸銀、シアン化銀カリウム、乳酸銀、モリブデン酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、酸化銀(I)、酸化銀(II)、シュウ酸銀、過塩素酸銀、ペルフルオロ酪酸銀、ペルフルオロプロピオン酸銀、過マンガン酸銀、過レニウム酸銀、リン酸銀、ピクリン酸銀一水和物、プロピオン酸銀、セレン酸銀、セレン化銀、亜セレン酸銀、スルファジアジン銀、硫酸銀、硫化銀、亜硫酸銀、テルル化銀、テトラフルオロ硼酸銀、テトラヨードムキュリウム酸銀、テトラタングステン酸銀、チオシアン酸銀、p−トルエンスルホン酸銀、トリフルオロメタンスルホン酸銀、トリフルオロ酢酸銀、バナジン酸銀等が挙げられる。
銀錯体としては、例えば、ヒスチジン銀錯体、メチオニン銀錯体、システイン銀錯体、アスパラギン酸銀錯体、ピロリドンカルボン酸銀錯体、オキソテトラヒドロフランカルボン酸銀錯体、イミダゾール銀錯体等が挙げられる。
銀系抗菌剤の具体例としては、銀塩(銀錯体を含む)を含む有機系の抗菌剤、及び後述する担体を含む無機系の抗菌剤が挙げられる。但し、種類には特に制限はない。
銀系抗菌剤の中でも、抗菌層の耐光性により優れ、かつ、短時間で抗菌作用を示す点(すなわち本発明の効果がより奏される点)で、担体と担体上に担持された銀とを含む銀担持抗菌剤が好ましい。
担体としては、特に制限はなく、例えば、リン酸亜鉛カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、リン酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、活性炭、活性アルミナ、シリカゲル、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、チタン酸カリウム、含水酸化ビスマス、含水酸化ジルコニウム、ハイドロタルサイトなどが挙げられる。
ゼオライトとしては、例えば、チャバサイト、モルデナイト、エリオナイト、クリノプチロライト等の天然ゼオライト、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト等の合成ゼオライトが挙げられる。
担体としては、本発明の効果がより奏される点で、いわゆるセラミックスが好ましい。
銀系抗菌剤は、粒状、粉状等の粒子状でもよい。
銀系抗菌剤(好ましくは担体と担体上に担持された銀とを含む銀担持抗菌剤)の平均粒径は、特に制限されないが、本発明の効果がより奏される点で、0.1μm〜10μmが好ましく、0.1μm〜2μmがより好ましく、0.1μm〜1μmが更に好ましい。
なお、平均粒径は、抗菌層を顕微鏡で観察し、観察視野中の任意の10個の銀系抗菌剤の粒子を選択して各々の最大直径を測定し、測定された最大直径を算術平均した平均値である。
銀系抗菌剤中における銀の含有量は、特に制限されない。銀系抗菌剤が例えば担体と担体上に担持された銀とを含む銀担持抗菌剤である場合、銀担持抗菌剤中における銀の含有量は、銀担持抗菌剤の全質量に対して、0.1質量%〜10質量%が好ましく、0.3質量%〜5質量%がより好ましい。
銀担持抗菌剤としては、上市されている市販品を用いてもよく、市販品の具体例として、富士ケミカル社製のバクテライトMP−102SVC13(銀セラミックス粒子分散液)、シナネンゼオミック社製のゼオミックAW−10N(銀セラミックス粒子)、東亞合成社製のノバロンAG300(銀セラミックス粒子)等が挙げられる。
インクジェット用組成物の全固形分(又はインクジェット用組成物を付与して形成される抗菌層)中における、銀系抗菌剤の含有量としては、短時間で抗菌作用を示す点で、インクジェット用組成物の全固形分(又はインクジェット用組成物を付与して形成される抗菌層の全質量)に対する銀の含有量が0.001質量%〜20質量%(好ましくは、0.001質量%〜5質量%)となる量の範囲で選択されることが好ましい。
銀系抗菌剤として有機系の抗菌剤を用いる場合、抗菌剤の含有量は、抗菌層の機械的強度に優れ、かつ、本発明の効果がより奏される観点から、インクジェット用組成物の全固形分(又はインクジェット用組成物を付与して形成される抗菌層の全質量)に対して、1質量%〜4質量%が好ましい。
また、銀系抗菌剤として無機系の抗菌剤を用いる場合、抗菌剤の含有量は、抗菌層の機械的強度に優れ、かつ、本発明の効果がより奏される観点から、インクジェット用組成物の全固形分(又はインクジェット用組成物を付与して形成される抗菌層の全質量)に対して、0.001質量%〜10質量%が好ましく、0.01質量%〜5質量%がより好ましい。
銀を含む抗菌剤を含有するインクジェット用組成物は、インクジェット適性の観点から、銀を含む抗菌剤を他の成分と混合し、分散することにより調製されてもよい。また、銀を含む抗菌剤を含有するインクジェット用組成物は、銀を含む抗菌剤をあらかじめ水に分散させた水分散液を調製し、水分散液を他の成分と混合して調製されてもよいし、銀を含む抗菌剤をあらかじめ水に分散させた水分散液を他の成分と混合し、混合後にさらに分散処理を施して調製されてもよい。
分散方法としては、ビーズミル又はボールミルによる分散方法、超音波による分散方法等が挙げられ、二つ以上の分散方法を併用した方法でもよい。
−親水性モノマー−
インクジェット用組成物の付与により形成される抗菌層は、親水性基を有するポリマー(以下、単に「親水性ポリマー」ともいう。)を含有することが好ましい。親水性ポリマーは、親水性基を有するモノマー(親水性モノマー)を重合させて得られるポリマーである。したがって、インクジェット用組成物は、親水性ポリマーを含有する抗菌層を形成する観点から、親水性基を有するモノマー(以下、単に「親水性モノマー」ともいう。)を含有することが好ましい。
親水性モノマーとは、親水性基と重合性基とを有する化合物である。
本発明の一実施形態の抗菌層付き基材の製造方法に用いられるインクジェット用組成物は、親水性基を有するモノマーと既述の銀を含む抗菌剤とを少なくとも有する硬化性組成物を好適に用いることができる。この場合、インクジェット用組成物を硬化させた硬化層である抗菌層が基材上に形成された抗菌層付き基材が得られる。
親水性モノマー及び親水性ポリマーにおける親水性基とは、水との間に水素結合を形成可能な基のことをいう。
親水性モノマーにおける親水性基、及び親水性モノマーが重合してなる親水性ポリマーにおける親水性基には、種類に特に制限はなく、例えば、ポリオキシアルキレン基(例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、オキシエチレン基とオキシプロピレン基がブロック又はランダムに結合したポリオキシアルキレン基)、アミノ基、カルボキシル基、カルボキシル基のアルカリ金属塩、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、スルホン酸基、スルホン酸基のアルカリ金属塩などが含まれる。
中でも、親水性基としては、抗菌作用を良好に維持しやすい観点から、ポリオキシアルキレン基が好ましい。
親水性モノマー中における親水性基の数は、特に制限されるものではないが、抗菌層がより親水性を示す観点から、2個以上が好ましく、2個〜6個がより好ましく、2個〜3個がさらに好ましい。
親水性モノマーにおける重合性基としては、種類に制限はなく、例えば、ラジカル重合性基、カチオン重合性基、アニオン重合性基等が挙げられる。
ラジカル重合性基としては、(メタ)アクリロイル基、アクリルアミド基、ビニル基、スチリル基、アリル基等が挙げられる。
カチオン重合性基としては、ビニルエーテル基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。
中でも、重合性基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
なお、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの両方を包含する概念である。
親水性モノマー中における重合性基の数は、特に制限されるものではないが、形成される抗菌層の機械的強度により優れる点で、2個以上が好ましく、2個〜6個がより好ましく、2個〜3個がさらに好ましい。
親水性モノマーの好ましい態様の一つは、下記式(1)で表される化合物である。本発明の一実施形態の抗菌層付き基材の製造方法に用いられるインクジェット用組成物は、下記式(1)で表される化合物と既述の銀を含む抗菌剤とを少なくとも有する硬化性組成物であることが好ましい。
式(1)において、Rは、置換基を表す。置換基の種類は特に制限されず、公知の置換基から選択することができ、例えば、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基(例えば、アルキル基、アリール基等)、及び上記の親水性基のうちの1価の親水性基等が挙げられる。
は、重合性基を表す。重合性基の詳細については、既述の通りである。
は、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基は、種類に制限はなく、例えば、−O−、−CO−、−NH−、−CO−NH−、−COO−、−O−COO−、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、及びこれらを組み合わせた連結基が挙げられる。
は、下記式(2)で表されるポリオキシアルキレン基を表す。
nは、1〜4の整数を表す。
*−(OR−* 式(2)
式(2)において、Rは、アルキレン基(例えば、エチレン基、プロピレン基等)を表す。mは、2以上の整数を表し、2〜10が好ましく、2〜6がより好ましい。
なお、「*」は、結合手を表す。
上記の式(1)で表される化合物のうち、Rが1価の親水性基を表し、Rが重合性基を表し、Lが単結合、−O−、−CO−、−NH−、−CO−NH−、−COO−、−O−COO−、又はこれらの2以上を組み合わせた連結基を表し、Lが式(2)で表されるポリオキシアルキレン基(Rはエチレン基又はプロピレン基であり、mは2以上の整数である)を表し、nが1〜4の整数を表す化合物が好ましい。
親水性モノマーの具体例としては、ポリオキシアルキレン変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、ポリオキシアルキレン変性ビスフェノールAジアクリレート等が挙げられる。上市されている市販品としては、例えば、東洋ケミカルズ社製のMiramer M4004(ポリエチレンオキシド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート;4官能以上)、Miramer M3160(ポリエチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート;3官能)等を挙げることができる。
親水性ポリマーを得る際には、上記の親水性モノマーと他のモノマー(親水性基を含まないモノマー)とを併用してもよい。つまり、親水性ポリマーは、親水性モノマーと、他のモノマー(親水性モノマー以外のモノマー)と、を共重合させて得られる親水性ポリマーでもよい。
他のモノマーは、種類に制限はなく、重合性基を有する公知のモノマーであれば適宜選択することができる。重合性基の詳細については、既述の通りである。
中でも、他のモノマーとしては、抗菌層の機械的強度により優れる点で、2以上の重合性基を有する多官能モノマーが好ましい。多官能モノマーは、いわゆる架橋剤として機能させることができる。
多官能モノマー中に含まれる重合性基の数は特に制限されず、抗菌層が機械的強度により優れたものとなる点及び取扱い性の観点から、2個〜10個が好ましく、2個〜6個がより好ましい。
多官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートが挙げられる。上市されている市販品としては、例えば、新中村化学工業社製のA−DPH(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、A−9550等が挙げられる。
親水性モノマーと他のモノマーとを含む場合、他のモノマー(特に多官能モノマー)の質量に対する親水性モノマーの質量の比(親水性モノマーの質量/他のモノマーの質量)は、抗菌層の親水性を制御しやすい観点から、0.01〜10が好ましく、0.1〜10がより好ましい。
なお、抗菌層中における親水性ポリマーの含有量は、抗菌層上の汚染物質の洗浄時における除去性により優れる点で、抗菌層の全質量に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。なお、本発明の効果の観点から、親水性ポリマーの含有量は、99.9質量%以下が好ましい。
−他の成分−
インクジェット用組成物(及びインクジェット用組成物により形成された抗菌層)には、銀系抗菌剤及び親水性ポリマー以外の他の成分(モノマー、滑剤、溶媒(水又は有機溶媒)など)が含まれていてもよい。
インクジェット用組成物(及びインクジェット用組成物により形成された抗菌層)には、重合開始剤が含まれていてもよい。重合開始剤が含まれることにより、基材上にインクジェット用組成物を付与して形成された塗膜中での重合がより効率良く進行し、機械的強度により優れた抗菌層を形成することができる。
重合開始剤は、硬化処理の方法に応じて最適な種類を選択されればよく、熱重合開始剤及び光重合開始剤から選択することができる。重合開始剤の例としては、ベンゾフェノン、フェニルフォスフィンオキシド等の芳香族ケトン系化合物、α−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物(例えば、BASF社製のIRGACURE184、IRGACURE127、IRGACURE2959、DAROCUR1173など)、フェニルフォスフィンオキシド系化合物(MAPO:BASF社製のLUCIRIN TPO、BAPO:BASF社製のIRGACURE 819)などが挙げられる。
インクジェット用組成物中に含まれる重合開始剤の含有量としては、特に制限はなく、親水性モノマー及び他のモノマーの合計質量100質量部に対して、0.1質量部〜15質量部が好ましく、1質量部〜6質量部がより好ましい。
また、インクジェット用組成物を硬化処理する方法としては、特に制限はなく、重合開始剤の種類等の組成に応じて、加熱処理又は光照射処理を選択すればよい。
インクジェット用組成物には、溶媒を含有することができる。
溶媒としては、水、有機溶剤、並びに、水及び有機溶剤の混合溶媒等を用いることができる。有機溶剤の例としては、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロパノール等)、アルキレンオキシアルキルエーテルなどが挙げられる。
アルキレンオキシアルキルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテルなどが挙げられる。
[基材]
付与工程では、インクジェット用組成物を基材上に付与する。基材は、インクジェット用組成物の付与により形成される抗菌層を支持する役割を果たす。
基材は、種類に制限はなく、後述するように各種装置の一部(例えば前面板)を構成するものであってもよい。基材の形状は、特に制限されないが、板状、フィルム状、シート状、チューブ状、繊維状、粒子状などが挙げられる。また、抗菌層が基材の表面に配置される場合、基材の抗菌層が配置される側の表面は、平坦面、凹面、又は凸面のいずれであってもよい。基材の厚みには、特に制限はなく、適宜選択すればよい。
基材としては、例えば、金属、ガラス、セラミックス、プラスチック(樹脂)等を用いた基材が挙げられる。樹脂としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート(PET))、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレン)、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリアセタール、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)等が挙げられる。中でも、基材は、取り扱い性の観点から、プラスチック(樹脂)製の基材(樹脂基材)が好ましい。
[抗菌層]
本発明の一実施形態の抗菌層付き基材の製造方法では、上記のように、基材の上の少なくとも一部に、銀を含む抗菌剤を含有し、かつ、抽出試験にて測定される単位面積当たりの銀イオン量が15ng/cm〜50ng/cmである抗菌層が形成される。これにより、抗菌層付き基材の全体として、単位面積(cm)当たり15ng〜50ngの銀イオン量(抽出試験で測定される単位面積当たりの銀イオン量)を示す。
単位面積当たりの銀(Ag)イオン量が15ng/cm以上であると、抗菌性に優れ、例えば手で触れる等して装置等を使用した後、短時間で抗菌作用を示す。また、単位面積当たりの銀イオン量が50ng/cm以下であると、耐光性に優れたものとなる。抗菌層における単位面積当たりの銀イオン量としては、耐光性に優れ、短時間で抗菌作用を示す観点から、15ng/cm〜40ng/cmが好ましく、15ng/cm〜30ng/cmがより好ましい。
ここで、抽出試験の方法について詳述する。銀イオン量は、抽出試験は以下のように行われる。すなわち、
JIS Z 2801:2010に規定された1/500普通ブイヨン培地を抽出液として用いる。この抽出液の温度を35±1℃に制御して、抗菌層付き基材中の抗菌層(抗菌層の面積:4cm(2cm×2cm))と、抽出液(液量:9mL)と、を1時間接触させる。なお、抗菌層と抽出液とを接触させる方法としては、抽出液中に抗菌層付き基材を浸漬する方法が実施される。
次に、1時間経過後、抽出液から抗菌層付き基材を回収し、抽出液に抽出された銀イオン量(ng)を測定する。抽出液中の銀イオン量の測定は、原子吸光分析(イエナ製のcontrAA700)を用いて実施し、あらかじめ作成した検量線より銀イオン量を求める。
なお、銀イオン量を測定する際は、必要に応じて、測定の安定性を高めるため、抽出液に硝酸(約1mL)を加えることが好ましい。
次に、得られた銀イオン量を、抗菌層の抽出液との接触面積(4cm)で除して、単位面積当たりの銀イオン量(ng/cm)を算出する。
ここで、抗菌層と抽出液との接触面積とは、抗菌層と抽出液とを接触させた際に抗菌層の表面のうち抽出液と接触していた面積を指し、例えば図1に示される抗菌層付き基材10では、抗菌層14の基材12が配置された側とは反対側の平面14aの面積を指す。
得られた銀イオン量は、抗菌層からの銀イオンの溶出(抽出)の程度を表している。
基材上の抗菌層は、親水性ポリマーを含むことで、より親水的な性質(親水性)を示し、水などを用いた洗浄の際、抗菌層に付着した汚染物質がより容易に除去されて抗菌作用を維持しやすくなる。
親水性ポリマーの主鎖の構造としては、例えば、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレアなどが挙げられる。なお、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの両方を包含する概念である。
本発明の一実施形態の抗菌層付き基材の製造方法により形成される抗菌層は、機械的特性及び抗菌性に優れたものとなる点で、インクジェット用組成物として、親水性基を有するモノマー(好ましくは式(1)で表される化合物)と既述の銀を含む抗菌剤とを少なくとも有する硬化性組成物を用いて形成された硬化層であることが好ましい。
〜抗菌層の特性〜
次に、抗菌層の特性について説明する。
<平均厚み>
抗菌層の平均厚みは、機械的特性及び抗菌性の観点から、0.5μm〜20μmが好ましく、1μm〜10μmがより好ましい。
抗菌層の平均厚みは、抗菌層のサンプル片を樹脂に包埋してミクロトームで断面を削り出し、削り出した断面を走査電子顕微鏡で観察し、測定する。抗菌層の任意の10点を選択して各点での厚みを測定し、10個の測定値を算術平均して求められる。
<水接触角>
抗菌層の表面の水接触角は、洗浄等による抗菌層上の汚染物質の除去性及び抗菌性により優れる点で、40°以下が好ましく、30°以下がより好ましく、25°以下がさらに好ましい。水接触角の下限は、使用される材料の特性の点で、5°以上とすることができる。
水接触角は、JIS R 3257:1999の静滴法に基づいて求められる値である。測定には、株式会社ニック製のLSE-ME1(ソフトウェア2win mini)が用いられる。具体的には、純水を用い、室温20℃にて水平を保った抗菌層の表面上に2μlの水滴を滴下し、滴下後20秒が経過した時点での接触角を測定する。
−乾燥工程−
本発明の一実施形態の抗菌層付き基材の製造方法は、既述の付与工程後に、インクジェット用組成物の付与により形成された塗布膜を乾燥させること(以下、乾燥工程ともいう。)を有してもよい。塗布膜を乾燥させることで抗菌層が得られる。
乾燥は、乾燥風をあてる送風機、温風ヒータ及び赤外線ヒータ等の加熱器、熱板などの公知の乾燥機を用いて行うことができる。
乾燥は、塗布膜表面の温度が40℃〜100℃となるように行うことが好ましい。また、乾燥時間は、乾燥時の温度にも依存するが、1秒〜60分であることが好ましい。
−硬化工程−
本発明の一実施形態の抗菌層付き基材の製造方法は、インクジェット用組成物が重合性モノマーを含有する場合には、既述の付与工程(及び好ましくは乾燥工程)後に、インクジェット用組成物を硬化させて抗菌層を形成すること(以下、硬化工程ともいう。)を有することが好ましい。具体的な例として、付与工程でインクジェット用組成物の付与によって形成された塗布膜に対して、加熱又は活性エネルギー線の照射を施して画像を硬化させることを有していてもよい。
塗布膜を硬化させることで、機械的強度が高く、基材との密着性に優れた抗菌層が得られる。
加熱は、例えば、赤外線ヒータ等の加熱器、熱板などを用いて行うことができる。
加熱温度としては、40℃〜100℃の範囲が好ましい。
活性エネルギー線としては、重合性モノマーを重合可能なものであれば、特に制限はない。活性エネルギー線には、例えば、紫外線、電子線等が挙げられ、中でも、汎用性の観点から紫外線が好ましい。また、活性エネルギー線の発生源として、例えば、紫外線照射ランプ(ハロゲンランプ、高圧水銀灯など)、レーザ、発光ダイオード(LED)、電子線照射装置などが挙げられる。
紫外線強度は、硬化に有効な波長領域において、500mW/cm〜5000mW/cmであることが好ましい。
紫外線照射ランプは、水銀の蒸気圧が点灯中で1Pa〜10Paであるような、いわゆる低圧水銀灯、高圧水銀灯、蛍光体が塗布された水銀灯、紫外線LED(UV-LED)光源などが好適である。水銀灯、UV−LEDの紫外線領域の発光スペクトルは、450nm以下(特には184nm〜450nm)であり、組成物中の重合性モノマーを効率的に反応させるのに適している。
水銀灯には、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンフラッシュランプ、ディープUVランプ、マイクロ波を用い外部から無電極で水銀灯を励起するランプ、UVレーザ等が実用されている。
また、光源は、使用される重合開始剤の感度にも合わせて選択される。
本発明の一実施形態の抗菌層付き基材は、図1に示す層構造を有していてもよい。図1は、本発明の一実施形態の抗菌層付き基材の概略断面図である。
図1に示すように、抗菌層付き基材10は、基材12と、基材12上に配置された抗菌層14と、を有している。
なお、図1に示す抗菌層付き基材では、基材12の表面の全体の抗菌層14が配置されているが、抗菌層14は、基材12の表面の少なくとも一部に配置された態様であってもよい。
抗菌層付き基材は、種々の用途に適用することができ、種々の装置の表面に配置することができる。抗菌層付き基材が表面に配置された装置は、優れた耐光性及び短時間での抗菌性が得られる。
抗菌層付き基材が適用される装置としては、例えば、放射線撮影装置、タッチパネル等が挙げられる。
なお、既述の抗菌層は、抗菌層自体を抗菌シートとして使用することもできる。
抗菌シートは、既述の抗菌層と同様の構造とすることができ、抽出試験も抗菌層に代えて抗菌シートを用いて実施される。つまり、既述の予め定められた抽出液と抗菌シートとを接触させ、抽出液に抽出された銀イオン量を測定し、測定された値を、抗菌シートと抽出液との接触面積で除して、得られた単位面積当たりの銀イオン量が既述の所期の範囲にあればよい。
−色画像形成工程−
本発明の一実施形態の抗菌層付き基材の製造方法は、既述の付与工程でインクジェット用組成物をインクジェット法により基材に付与する前に、あらかじめ基材の上に色画像を形成すること(以下、「色画像形成工程」ともいう。)を有していることが好ましい。
基材表面に既に抗菌層が付与された抗菌層付き基材の抗菌層上に色画像を形成すると、抗菌層による抗菌効果が目減る可能性がある。抗菌層上に色画像を形成するのではなく、あらかじめ基材上に色画像を形成しておき、基材上の色画像の上に抗菌層を形成することにより、抗菌層付き基材の加飾が可能であるのみならず、所期の抗菌効果を発現させやすい。
抗菌層の付設位置は、上記同様に所期の抗菌効果が期待でき、かつ、色画像の保護の観点から、抗菌層付き基材の最外層であることが好ましい。また、既述の付与工程前に色画像形成工程が設けられることで、付加価値が向上し、内装材として好適である。
色画像の形成は、いずれの方法を利用して行われてもよい。
色画像を形成する具体的な方法としては、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式、スクリーン印刷方式、及びオフセット印刷方式等のコンベンショナルな印刷方式、並びに、トナー方式及びインクジェット方式等のデジタル印刷方式などが好適に挙げられる。
中でも、抗菌剤を含むインクジェット用組成物をインクジェット法で付与することによる効果を有効に利用する観点から、デジタル方式の方法が好ましい。デジタル方式の方法の中では、インクジェット法が特に好ましい。
インクジェット法による付与に用いられるインクとしては、紫外線硬化性のインク、すなわち紫外線(UV)の照射によって硬化するUVインク、及び分散粒子を含む水性インク、すなわち水性インクに結着剤としてラテックス(水に樹脂粒子が分散された水分散物)を添加したラテックスインクが好適である。紫外線硬化性のインク及び分散粒子を含む水性インク等としては、従来から公知の各種インクを適宜選択して使用することが可能である。
紫外線硬化性のインクには、モノマー成分が溶剤を兼ねた溶剤非含有のUVインク、及びインク中のモノマーの一部を揮発性溶剤に置き換えた溶剤系UVインクが含まれる。
インクは、主溶媒として有機溶剤を含む溶剤系インク、及び主溶媒として水を含む水系インクのいずれを用いてもよい。
中でも、インクジェット法による付与に用いられるインクとしては、形成された色画像の膜質の観点から、紫外線硬化性のインクが好ましい。紫外線硬化性のインクのうち、高分子量のモノマー又はオリゴマーを使用し得、色画像の臭気を低減し得る点で、特に溶剤系UVインクが好ましい。
具体的には、インクジェット法による付与に用いられるインクジェット用組成物(インク)として、特許第5654535号公報の段落0106〜0166に記載のインク等を用いて色画像を形成することが可能である。
以下、本発明の実施形態を実施例により更に具体的に説明する。但し、本発明は、本発明の主旨を越えない限り、以下に示す実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準であることを示す。
(実施例1〜6、比較例1〜3)
−インクジェット用組成物の調製−
以下に示す組成中の各成分を混合し、硬化性組成物を調製した。
<組成>
・親水性モノマー:Miramer M4004(ポリエチレンオキシド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート;東洋ケミカルズ社製)・・・76部
・多官能モノマー:A−DPH(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート;新中村化学工業社製)・・・21部
・重合開始剤:IRGACURE 2959(BASF社製)・・・3部
・溶剤1:メチルアルコール・・・15部
・溶剤2:プロピレングリコールモノメチルエーテル・・・35部
上記で調製された硬化性組成物100部と、下記表1に示す比率(質量%)の銀セラミックス粒子分散液(バクテライトMP−102SVC13、富士ケミカル社製、セラミックス担体に銀が担持された銀担持抗菌剤、銀セラミックス粒子の平均粒径:0.8μm、銀セラミックス粒子の含有比率:25質量%;銀系抗菌剤)と、を混合し、インクジェット用組成物を調製した。
−インクジェット用組成物の付与−
調製したインクジェット用組成物を、ダイマテックス マテリアルプリンタ DMP−2831(富士フイルムダイマテックス社製)を用いてポリカーボネートシート(旭硝子社製のカーボグラスCFR110C)上に、表1に示す膜厚(μm;乾燥厚み(平均厚み))の抗菌層が得られるようにインクジェットヘッドにより付与し、ベタ画像を形成した(付与工程)。画像形成は、液適量:10pl、打滴密度:1200dpi×1200dpiの打滴条件にて行った。その後、デジタルホットプレートND−2(アズワン社製)を用いてベタ画像を60℃で3分間乾燥させた(乾燥工程)。次いで、光源にCSOT−40(GSユアサ社製:メタルハライド光源)を用いて300mJの光量の光源の直下を10m/sの線速で通過させ、UV光をベタ画像に照射することによりモノマーを硬化し(硬化工程)、硬化層である抗菌層を有する評価サンプル(抗菌層付き基材)を作製した。
なお、実施例6では、親水性モノマーと多官能モノマー(架橋剤)との質量比を調節することにより表1に示す水接触角となるようにした。
−評価−
実施例及び比較例で得られた9枚の評価サンプルを用い、以下の評価を行った。評価結果は、下記表1にまとめて示す。
(抗菌性)
JIS Z 2801:2010の記載に準拠して、菌液への接触時間24時間を1時間に変更して評価サンプルの抗菌層を菌液に接触させた。各評価サンプルの試験後の菌数(個/cm)をそれぞれ測定し、以下の評価基準にしたがって評価した。菌種は、大腸菌を用いた。抗菌性は、実用上「A」又は「B」が許容範囲である。
<評価基準>
A:菌数が5個/cm未満である。
B:菌数が5個/cm以上10個/cm未満である。
C:菌数が10個/cm以上である。
(耐光性)
キセノンウェザオメーター(スガ試験機製)を用い、評価サンプルに対して紫外光を出力60W/mにて10時間照射し、照射後の各評価サンプルにおける抗菌層の変色を目視にて観察した。観察された抗菌層を以下の評価基準にしたがって評価した。耐光性は、実用上「A」の場合が許容とされる。
<評価基準>
A:変色なし
B:変色あり
(Agイオン量)
各実施例及び比較例で得られた評価サンプルを用い、上述した抽出試験を実施して銀(Ag)イオン量を測定した。
(水接触角)
各実施例及び比較例で得られた評価サンプルを用い、それぞれの抗菌層の水接触角を既述の方法で測定した。
なお、表1中の「抗菌剤の質量」は、抗菌層の全質量(インクジェット用組成物(硬化性組成物)中の全固形分質量)に対する抗菌剤の含有量(質量%)を指す。また、表1中の「Agイオン量」は、抽出試験で測定された単位面積当たりの銀イオン量を指す。
表1に示すように、本発明の一実施形態の抗菌層付き基材では、短時間での抗菌性に優れ、かつ、耐光性にも優れていた。
一方、銀イオン量があらかじめ定めた数値範囲より少ない比較例1〜2では、所望の抗菌性が得られず、銀イオン量があらかじめ定めた数値範囲より多い比較例3では、耐光性が悪化した。
(実施例7):溶剤非含有のUVインクによる色画像を形成
基材として、ポリ塩化ビニル(PVC;P−280RW、リンテック社製)を用い、PVC基材の表面に、ダイマテックス マテリアルプリンタ DMP−2831(富士フイルムダイマテックス社製)を用い、ALED1600(富士フイルム社製;溶剤非含有のUVインク)をインクジェットヘッドより付与して木目画像を形成した。その後、木目画像の上に、実施例1で調製したインクジェット用組成物を用いて実施例1と同様にしてベタ画像を形成し、さらに乾燥及びUV光による硬化を行った。このようにして、木目画像上に硬化層である抗菌層を有する評価サンプル(抗菌層付き基材)を作製した。
実施例1と同様に評価を実施した結果、実施例1と同様の結果が得られた。
(実施例8):溶剤系インクによる色画像を形成
基材として、ポリ塩化ビニル(PVC;P−280RW、リンテック社製)を用い、PVC基材の表面に、ダイマテックス マテリアルプリンタ DMP−2831(富士フイルムダイマテックス社製)を用い、JV300(ミマキエンジニアリング社製;溶剤系インク)をインクジェットヘッドより付与して木目画像を形成した。その後、木目画像の上に、実施例1で調製したインクジェット用組成物を用いて実施例1と同様にしてベタ画像を形成し、さらに乾燥及びUV光による硬化を行った。このようにして、木目画像上に硬化層である抗菌層を有する評価サンプル(抗菌層付き基材)を作製した。
実施例1と同様に評価を実施した結果、実施例1と同様の結果が得られた。
(実施例9):溶剤系UVインクによる色画像を形成
基材として、ポリ塩化ビニル(PVC;P−280RW、リンテック社製)を用い、PVC基材の表面に、ダイマテックス マテリアルプリンタ DMP−2831(富士フイルムダイマテックス社製)を用い、JV400SUV(ミマキエンジニアリング社製;溶剤系UVインク)をインクジェットヘッドより付与して木目画像を形成した。その後、木目画像の上に、実施例1で調製したインクジェット用組成物を用いて実施例1と同様にしてベタ画像を形成し、さらに乾燥及びUV光による硬化を行った。このようにして、木目画像上に硬化層である抗菌層を有する評価サンプル(抗菌層付き基材)を作製した。
実施例1と同様に評価を実施した結果、実施例1と同様の結果が得られた。
(実施例10):水性ラテックスインクによる色画像を形成
基材として、ポリ塩化ビニル(PVC;P−280RW、リンテック社製)を用い、PVC基材の表面に、ダイマテックス マテリアルプリンタ DMP−2831(富士フイルムダイマテックス社製)を用い、JV400Lx(ミマキエンジニアリング社製;水性ラテックスインク)をインクジェットヘッドより付与して木目画像を形成した。その後、木目画像の上に、実施例1で調製したインクジェット用組成物を用いて実施例1と同様にしてベタ画像を形成し、さらに乾燥及びUV光による硬化を行った。このようにして、木目画像上に硬化層である抗菌層を有する評価サンプル(抗菌層付き基材)を作製した。
実施例1と同様に評価を実施した結果、実施例1と同様の結果が得られた。
10 抗菌層付き基材
12 基材
14 抗菌層
14a 抗菌層14の基材12が配置されていない側の平面

Claims (10)

  1. 銀を含む抗菌剤の少なくとも1種を含むインクジェット用組成物をインクジェット法により基材上に付与することにより、前記基材の上の少なくとも一部に、銀を含む抗菌剤の少なくとも1種を含有し、かつ、以下の抽出試験にて測定される単位面積当たりの銀イオン量が15ng/cm〜50ng/cmである抗菌層を形成することを有する抗菌層付き基材の製造方法。
    抽出試験では、JIS Z 2801:2010に規定された1/500普通ブイヨン培地を抽出液として用い、前記抽出液の温度を35±1℃に制御して、前記抗菌層付き基材中の前記抗菌層と前記抽出液とを1時間接触させる。前記抽出液に抽出された銀イオン量を測定し、測定された値を、前記抗菌層の前記抽出液との接触面積で除して、単位面積当たりの銀イオン量を得る。前記銀イオン量の単位はngであり、前記接触面積の単位はcmであり、前記単位面積当たりの銀イオン量の単位はng/cmである。
  2. 前記抗菌層の表面の水接触角が、40°以下である請求項1に記載の抗菌層付き基材の製造方法。
  3. 前記抗菌剤が、担体と、前記担体上に担持された銀と、を含む銀担持抗菌剤である請求項1又は請求項2に記載の抗菌層付き基材の製造方法。
  4. 前記インクジェット用組成物は、更に親水性基を有するモノマーを含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の抗菌層付き基材の製造方法。
  5. 前記インクジェット用組成物は、更に親水性基を有するモノマーを含む硬化性組成物であり、前記インクジェット用組成物の付与後、前記インクジェット用組成物を硬化させて前記抗菌層を形成することを有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の抗菌層付き基材の製造方法。
  6. 前記モノマーにおける前記親水性基が、ポリオキシアルキレン基を含む請求項4又は請求項5に記載の抗菌層付き基材の製造方法。
  7. 前記インクジェット用組成物をインクジェット法により前記基材の上に付与する前に、前記基材の上に色画像を形成することを有する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の抗菌層付き基材の製造方法。
  8. 前記色画像を、デジタル方式の方法により形成する請求項7に記載の抗菌層付き基材の製造方法。
  9. 前記方法は、インクジェット法である請求項8に記載の抗菌層付き基材の製造方法。
  10. 紫外線硬化性のインク及び分散粒子を含む水性インクより選ばれるインクを前記インクジェット法により付与することにより前記色画像を形成する請求項9に記載の抗菌層付き基材の製造方法。
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