以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機を正面からみた正面図、図2は遊技盤の前面を示す正面図である。なお、以下の実施の形態では、パチンコ遊技機を例に説明を行うが、本発明による遊技機はパチンコ遊技機に限られず、例えば画像式の遊技機やスロット機に適用することもできる。
パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠(図示せず)と、外枠の内側に開閉可能に取り付けられた遊技枠とで構成される。また、パチンコ遊技機1は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。遊技枠は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠(図示せず)と、機構部品等が取り付けられる機構板と、それらに取り付けられる種々の部品(後述する遊技盤を除く。)と、を含む構造体である。
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4と遊技球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。ガラス扉枠2の背面には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられている。なお、遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には遊技領域7が形成されている。
遊技領域7の中央付近には、それぞれが識別情報としての図柄を可変表示する複数の可変表示部を含む可変表示装置(特別図柄表示装置)9が設けられている。可変表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの可変表示部(図柄表示エリア)がある。また、可変表示装置9には、始動入賞口14に入った有効入賞球数すなわち始動記憶数を表示する4つの特別図柄始動記憶表示エリア(始動記憶表示エリア)18が設けられている。有効始動入賞がある毎に、表示色を変化させる(例えば青色表示から赤色表示に変化させる)始動記憶表示エリアを1増やす。そして、可変表示装置9の可変表示が開始される毎に、表示色が変化している始動記憶数表示エリアを1減らす(すなわち表示色をもとに戻す)。この例では、図柄表示エリアと始動記憶表示エリアとが区分けされて設けられているので、可変表示中も始動記憶数が表示された状態とすることができる。なお、始動記憶表示エリアを図柄表示エリアの一部に設けるようにしてもよく、この場合には、可変表示中は始動記憶数の表示を中断するようにすればよい。また、この例では、始動記憶表示エリアを可変表示装置9に設けるようにしているが、始動記憶数を表示する表示器(特
別図柄始動記憶表示器)を可変表示装置9とは別個に設けるようにしてもよい。
可変表示装置9の下方には、始動入賞口14としての可変入賞球装置15が設けられている。始動入賞口14に入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、始動口スイッチ14aによって検出される。また、始動入賞口14の下部には開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられている。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。
可変入賞球装置15の下部には、特定遊技状態(大当り状態)においてソレノイド21によって開状態とされる開閉板20が設けられている。開閉板20は大入賞口を開閉する手段である。開閉板20から遊技盤6の背面に導かれた入賞球のうち一方(V入賞領域)に入った入賞球はV入賞スイッチ22で検出され、開閉板20からの入賞球はカウントスイッチ23で検出される。遊技盤6の背面には、大入賞口内の経路を切り換えるためのソレノイド21Aも設けられている。
ゲート32に遊技球が入賞しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。この実施の形態では、左右のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に右側のランプが点灯すれば当たりとなる。そして、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。普通図柄表示器10の近傍には、ゲート32に入った入賞球数を表示する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄始動記憶表示器41が設けられている。ゲート32への入賞がある毎に、普通図柄始動記憶表示器41は点灯するLEDを1増やす。そして、普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に、点灯するLEDを1減らす。
遊技盤6には、複数の入賞口29,30,33,39が設けられ、遊技球の入賞口29,30,33への入賞は、それぞれ入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aによって検出される。各入賞口29,30,33,39は、遊技媒体を受け入れて入賞を許容する領域として遊技盤6に設けられる入賞領域を構成している。なお、遊技媒体を受け入れて入賞を許容する始動入賞口14や、大入賞口も、入賞領域を構成する。遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾ランプ25が設けられ、下部には、入賞しなかった遊技球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部には、効果音を発する2つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cが設けられている。さらに、遊技領域7における各構造物(大入賞口等)の周囲には装飾LEDが設置されている。天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cおよび装飾用LEDは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
そして、この例では、左枠ランプ28bの近傍に、賞球残数があるときに点灯する賞球ランプ51が設けられ、天枠ランプ28aの近傍に、補給球が切れたときに点灯する球切れランプ52が設けられている。上記のように、この実施の形態のパチンコ遊技機1には、発光体としてのランプやLEDが各所に設けられている。さらに、図1には、パチンコ遊技機1に隣接して設置され、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするカードユニット50も示されている。
カードユニット50には、使用可能状態であるか否かを示す使用可表示ランプ151、カードユニット50がいずれの側のパチンコ遊技機1に対応しているのかを示す連結台方向表示器153、カードユニット50内にカードが投入されていることを示すカード投入表示ランプ154、記録媒体としてのカードが挿入されるカード挿入口155、およびカード挿入口155の裏面に設けられているカードリーダライタの機構を点検する場合にカードユニット50を解放するためのカードユニット錠156が設けられている。
打球発射装置から発射された遊技球は、打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が始動入賞口14に入り、始動口スイッチ14aで検出されると、図柄の可変表示を開始できる状態であれば、可変表示装置9において特別図柄が可変表示(変動)を始める。図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、始動記憶数を1増やす。
可変表示装置9における特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄の組み合わせが大当り図柄(特定表示結果)であると、大当り遊技状態に移行する。すなわち、開閉板20が、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の遊技球が入賞するまで開放する。そして、開閉板20の開放中に遊技球がV入賞領域に入賞しV入賞スイッチ22で検出されると、継続権が発生し開閉板20の開放が再度行われる。継続権の発生は、所定回数(例えば15ラウンド)許容される。なお、V賞球スイッチ22を設けないで継続権を無くし、所定回数(例えば15ラウンド)のみ許容する形態としてもよい。
停止時の可変表示装置9における特別図柄の組み合わせが確率変動を伴う大当り図柄(確変図柄)の組み合わせである場合には、次に大当りとなる確率が高くなる。すなわち、確変状態という遊技者にとってさらに有利な状態となる。
遊技球がゲート32に入賞すると、普通図柄表示器10において普通図柄が可変表示される状態になる。また、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、可変入賞球装置15が所定時間だけ開状態になる。さらに、確変状態では、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数が高められる。すなわち、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数は、普通図柄の停止図柄が当り図柄であったり、特別図柄の停止図柄が確変図柄である場合等に高められ、遊技者にとって不利な状態から有利な状態に変化する。なお、開放回数が高められることは、閉状態から開状態になることも含む概念である。
次に、パチンコ遊技機1の裏面の構造について図3を参照して説明する。図3は、遊技機を裏面から見た背面図である。
図3に示すように、遊技機裏面側では、可変表示装置9を制御する演出制御手段が搭載された演出制御基板80を含む可変表示制御ユニット49、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31が設置されている。また、球払出制御を行う払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37が設置されている。なお、演出制御手段は、遊技盤6に設けられている各種装飾LED、普通図柄始動記憶表示器41、装飾ランプ25、枠側に設けられている天枠ランプ28a、左枠ランプ28b、右枠ランプ28c、賞球ランプ51および球切れランプ52を点灯制御するとともに、スピーカ27からの音発生を制御する。
また、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5Vを作成する電源回路が搭載された電源基板910や発射制御基板91が設けられている。電源基板910は、大部分が主基板31と重なっているが、主基板31に重なることなく外部から視認可能に露出した露出部分がある。この露出部分には、パチンコ遊技機1の各電気部品制御基板(主基板31、演出制御基板80,払出制御基板37)やパチンコ遊技機1に設けられている各電気部品への電力供給を実行あるいは遮断するための電力供給許可手段としての電源スイッチ914と、主基板31に含まれるバックアップRAM(遊技機への電力供給が停止しても所定期間は記憶内容を保持することが可能な変動データ記憶手段)に記憶されたバックアップデータをクリアするための操作手段としてのクリアスイッチ921とが設けられている。
遊技機裏面において、上方には、各種情報を遊技機外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板160が設置されている。ターミナル基板160には、少なくとも、球切れ検出スイッチの出力を導入して外部出力するための球切れ用端子、賞球個数信号を外部出力するための賞球用端子および球貸し個数信号を外部出力するための球貸し用端子が設けられている。また、中央付近には、主基板31からの各種情報を遊技機外部に出力するための各端子を備えた情報端子基板(情報出力基板)34が設置されている。
貯留タンク38に貯留された遊技球は誘導レールを通り、カーブ樋を経て賞球ケース40Aで覆われた球払出装置に至る。球払出装置の上部には、遊技媒体切れ検出手段としての球切れスイッチ187が設けられている。球切れスイッチ187が球切れを検出すると、球払出装置の払出動作が停止する。球切れスイッチ187は遊技球通路内の遊技球の有無を検出するスイッチであるが、貯留タンク38内の補給球の不足を検出する球切れ検出スイッチ167も誘導レールにおける上流部分(貯留タンク38に近接する部分)に設けられている。球切れ検出スイッチ167が遊技球の不足を検知すると、遊技機設置島に設けられている補給機構から遊技機に対して遊技球の補給が行われる。
入賞にもとづく景品としての遊技球や球貸し要求にもとづく遊技球が多数払い出されて打球供給皿3が満杯になり、さらに遊技球が払い出されると、遊技球は、余剰球通路を経て余剰球受皿4に導かれる。さらに遊技球が払い出されると、感知レバーが貯留状態検出手段としての満タンスイッチを押圧して、貯留状態検出手段としての満タンスイッチがオンする。その状態では、球払出装置内の払出モータの回転が停止して球払出装置の動作が停止するとともに発射装置の駆動も停止する。
図4は、主基板31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図4には、払出制御手段を搭載した払出制御基板37および演出制御手段を搭載した演出制御基板80も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する基本回路53と、ゲートスイッチ32a、始動口スイッチ14a、V入賞スイッチ22、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39a、およびクリアスイッチ921からの信号を基本回路53に与えるスイッチ回路58と、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、開閉板20を開閉するソレノイド21および大入賞口内の経路を切り換えるためのソレノイド21Aを基本回路53からの指令に従って駆動するソレノイド回路59とが搭載されている。
なお、図4には示されていないが、カウントスイッチ短絡信号もスイッチ回路58を介して基本回路53に伝達される。また、ゲートスイッチ32a、始動口スイッチ14a、V入賞スイッチ22、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39a等のスイッチは、センサと称されているものでもよい。すなわち、遊技球を検出できる遊技媒体検出手段(この例では遊技球検出手段)であれば、その名称を問わない。
また、基本回路53から与えられるデータに従って、大当りの発生を示す大当り情報、可変表示装置9における図柄の可変表示開始に利用された始動入賞球の個数を示す有効始動情報、確率変動が生じたことを示す確変情報等の情報出力信号をホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64が搭載されている。
基本回路53は、ゲーム制御用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段(変動データを記憶する手段)としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施の形態では、ROM54,RAM55はCPU56に内蔵されている。すなわち、CPU56は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータは、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54およびI/Oポート部57は外付けであっても内蔵されていてもよい。なお、CPU56はROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、CPU56が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているCPUについても同様である。
また、RAM(CPU内蔵RAMであってもよい。)55は、その一部または全部が電源基板910において作成されるバックアップ電源によってバックアップされているバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。
主基板31には、電源基板910からのVSL電圧(DC+30V)を導入し、VSL電圧が所定電位よりも低いときにローレベル(リセットレベル)になり、VSL電圧が所定電位以上であればハイレベルになるリセット信号を生成するリセット回路65が搭載されている。リセット信号は、CPU56のリセット端子に入力される。
主基板31には、電源監視回路920が搭載されている。電源監視回路920は、電源基板910からのVSL電圧(DC+30V)を導入し、VSL電圧を監視することによって遊技機への電力供給停止の発生を検出する。具体的には、VSL電圧が所定値(この例では+22V)以下になったら、電力供給の停止が生ずるとして電源断信号(電力供給停止信号すなわち電源監視手段からの検出信号)を出力する(具体的にはローレベルにする。)。電源断信号は、入力ポートに入力される。電源断信号が入力ポートに入力されるとCPU56は、電力供給停止時処理を実行する。電力供給停止時処理において、必要な情報(電力供給復旧時に、電力供給停止時の状態から遊技処理を続行するために必要な情報)をバックアップRAMに確実に保存するための処理(例えばパリティデータの設定処理)を実行する。また、電力供給停止時処理を行ったことを示すフラグをセットする。
なお、入力ポートに電源断信号(電源監視手段からの検出信号)が入力されたとは、電源断信号のレベルが電源断を示すレベルになったことであり、電源断信号のレベルが電源供給を示すレベルである状態が、検出信号が解除された状態である。
遊技球を打撃して発射する打球発射装置は発射制御基板91上の回路によって制御される駆動モータ94で駆動される。そして、駆動モータ94の駆動力は、操作ノブ5の操作量に従って調整される。すなわち、発射制御基板91上の回路によって、操作ノブ5の
操作量に応じた速度で遊技球が発射されるように制御される。
なお、この実施の形態では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段が、遊技盤に設けられている普通図柄始動記憶表示器41および装飾ランプ25の表示制御を行うとともに、枠側に設けられている天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cの表示制御を行う。また、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段は、特別図柄を可変表示する可変表示装置9および普通図柄を可変表示する普通図柄表示器10の表示制御も行う。
図5は、払出制御基板37および球払出装置97の構成要素などの払出に関連する構成要素を示すブロック図である。図5に示すように、満タンスイッチ48からの検出信号は、中継基板72を介して払出制御基板37の入力ポート372bに入力される。また、球切れスイッチ187からの検出信号も、中継基板72を介して払出制御基板37の入力ポート372bに入力される。また、払出カウントスイッチ301からの検出信号は、中継基板72を介して払出制御基板37の入力ポート372bに入力される。払出カウントスイッチ301は、球払出装置97から実際に払い出された遊技球を検出する。
払出制御基板37の払出制御用CPU371は、球切れスイッチ187からの検出信号が球切れ状態を示しているか、または、満タンスイッチ48からの検出信号が満タン状態を示していると、球払出処理を停止する。
入賞があると、主基板31の出力回路67から、払出指令信号として、賞球の払出要求を行うためのREQ信号(賞球リクエスト信号)および払い出すべき賞球個数を示す払出個数信号が出力される。払出個数信号は、4ビットのデータによって構成され、4本の信号線によって出力される。払出個数信号は、入力回路373Aを介してI/Oポート372aに入力される。払出制御用CPU371は、I/Oポート372aを介してREQ信号および払出個数信号が入力すると、払出個数信号が示す個数の遊技球を払い出すために球払出装置97を駆動する制御を行う。なお、主基板31の出力回路67からは、電源確認信号も出力される。
また、払出制御基板37において賞球の払出処理を実行しているときには、主基板31には、払出制御基板37の出力回路373Bを介して出力された払出処理中であることを示すBUSY信号(賞球払出中信号)が入力される。また、払出制御用CPU371は、払出禁止状態では、主基板31に対して払出禁止信号を出力する。なお、この実施の形態では、払出制御用CPU371は、1チップマイクロコンピュータであり、少なくともRAMが内蔵されている。
払出制御用CPU371は、出力ポート372cを介して、賞球払出数を示す賞球情報信号および貸し球数を示す球貸し個数信号をターミナル基板(枠用外部端子基板と盤用外部端子基板とを含む)160に出力する。なお、出力ポート372cの外側に、ドライバ回路が設置されているが、図5では記載省略されている。また、ターミナル基板160(枠用外部端子基板)には、ドア開放情報スイッチ161が接続されている。
また、払出制御用CPU371は、入出力ポート372dを介して、エラー表示用LED374にエラー信号を出力する。さらに、出力ポート372fを介して、ランプの点灯/消灯を指示するための信号を賞球ランプ51および球切れランプ52に出力する。なお、払出制御基板37の入出力ポート372dには、エラー状態を解除するためのエラー解除スイッチ375からの検出信号が入力される。エラー解除スイッチ375は、ソフトウェアリセットによってエラー状態を解除するために用いられる。
さらに、払出制御基板37の入力ポート372bには、中継基板72を介して、払出モータ289の回転位置を検出するための払出モータ位置センサからの検出信号が入力される。払出制御基板37からの払出モータ289への駆動信号は、出力ポート372cおよび中継基板72を介して球払出装置97の払出機構部分における払出モータ289に伝えられる。なお、出力ポート372cの外側に、ドライバ回路(モータ駆動回路)が設置されているが、図5では記載省略されている。
カードユニット50には、カードユニット制御用マイクロコンピュータが搭載されている。また、カードユニット50には、使用可表示ランプ151、連結台方向表示器153、カード投入表示ランプ154およびカード挿入口155が設けられている(図1参照)。インタフェース基板66には、打球供給皿3の近傍に設けられている度数表示LED60、球貸し可LED61、球貸しスイッチ62および返却スイッチ63が接続される。
インタフェース基板66からカードユニット50には、遊技者の操作に応じて、球貸しスイッチ62が操作されたことを示す球貸しスイッチ信号および返却スイッチ63が操作されたことを示す返却スイッチ信号が与えられる。また、カードユニット50からインタフェース基板66には、プリペイドカードの残高を示すカード残高表示信号および球貸し可表示信号が与えられる。カードユニット50と払出制御基板37の間では、接続信号(VL信号)、ユニット操作信号(BRDY信号)、球貸し要求信号(BRQ信号)、球貸し完了信号(EXS信号)およびパチンコ機動作信号(PRDY信号)が入力ポート372gおよび出力ポート372eを介してやりとりされる。カードユニット50と払出制御基板37の間には、インタフェース基板66が介在している。よって、接続信号(VL信号)等の信号は、図5に示すように、インタフェース基板66を介してカードユニット50と払出制御基板37の間でやりとりされることになる。
パチンコ遊技機1の電源が投入されると、払出制御基板37の払出制御用CPU371は、カードユニット50にPRDY信号を出力する。また、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、VL信号を出力する。払出制御用CPU371は、VL信号の入力状態により接続状態/未接続状態を判定する。カードユニット50においてカードが受け付けられ、球貸しスイッチが操作され球貸しスイッチ信号が入力されると、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、払出制御基板37にBRDY信号を出力する。この時点から所定の遅延時間が経過すると、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、払出制御基板37にBRQ信号を出力する。
そして、払出制御基板37の払出制御用CPU371は、カードユニット50に対するEXS信号を立ち上げ、カードユニット50からのBRQ信号の立ち下がりを検出すると、払出モータ289を駆動し、所定個の貸し球を遊技者に払い出す。そして、払出が完了したら、払出制御用CPU371は、カードユニット50に対するEXS信号を立ち下げる。その後、カードユニット50からのBRDY信号がオン状態でなければ、賞球払出制御を実行する。なお、カードユニット50で用いられる電源電圧AC24Vは払出制御基板37から供給される。
カードユニット50に対する電源基板910からの電力供給は、払出制御基板37およびインタフェース基板66を介して行われる。この例では、インタフェース基板66内に配されているカードユニット50に対するAC24Vの電源供給ラインに、カードユニット50を保護するためのヒューズが設けられ、カードユニット50に所定電圧以上の電圧が供給されないようにしている。
なお、この実施の形態では、カードユニット50が遊技機とは別体として遊技機に隣接して設置されている場合を例にするが、カードユニット50は遊技機と一体化されていてもよい。また、コイン投入に応じてその金額に応じた遊技球が貸し出されるような場合でも本発明を適用できる。
図6は、主基板31におけるCPU56周りの一構成例を示すブロック図である。本実施形態のCPU56は、入力端子として、端子D0〜D7、及び、端子PI0〜PI4、端子PI5/XINT、端子PI6/XNMI、端子PI7/RX0を備えている。また、出力端子としてPI0〜PI7を備えている。また、電源回りの端子として、端子VBB、端子VDD、端子VSSを備えている。
CPU56の入力端子は、第1入力端子、第2入力端子の2つの種類に分けられる。第1入力端子(端子D0〜D7、及び、PI0〜PI4)は、1つの機能(入力機能)でしか使用できない端子である。一方、第2入力端子(端子PI5/XINT、端子PI6/XNMI、端子PI7/RX0)は、入力機能と割込入力機能、2つの機能を備えた端子であって、設定によってどちらかを一方の機能使用することができる端子である。本実施形態では、3つの第2入力端子(端子PI5/XINT、端子PI6/XNMI、端子PI7/RX0)中、端子名に含まれるPI5、PI6、PI7は第1の機能(入力機能)を示し、XINT、XNMI、RXOは第2の機能(割込入力機能)を示している。
このように第2入力端子に複数の機能を持たせることで、遊技機の異なる機種間において、CPU56の汎用性向上を図っている。本実施形態では、全ての第2入力端子を使用しない空き端子としているが、例えば、他の機種Aで同じCPU56を使用する場合、第2入力端子を入力機能に設定して使用し、他の機種Bで同じCPU56を使用する場合、第2入力端子を割込入力機能に設定して使用することが考えられる。また、本実施形態のCPU56は、複数の第2入力端子を備え、各第2入力端子には、異なる割込入力機能を設定することが可能としており、汎用度の向上が図られている。
ここで、入力機能は、CPU56に外部の各種入賞スイッチ等からの信号を伝える機能であり、割込入力機能は、入力端子に入力があったことを契機として、CPU56で所定の割込処理(通常の割込処理(マスク可能な割込処理)、あるいは、マスク不能割込処理)を開始する機能である。通常の割込処理は禁止(マスク)すること可能であるが、マスク不能割込処理は禁止することができない点において異なる。本実施形態では、第2入力端子中、端子PI5/XINTは通常の割込処理用であり、端子PI6/XNMI、PI7/RX0はマスク不能割込処理用である。CPU56において割込処理を有効に設定している場合、第2入力端子に入力される信号がローレベルに立ち下がると、割込処理(通常の割込処理、あるいは、マスク不能割込処理)が開始する。すなわち、CPU56のプログラムカウンタが、通常の割込処理、あるいは、マスク不能割込処理の開始アドレスに変更され、CPU56は、当該開始アドレスに設定されている命令を実行する状態になる。なお、3つの第2入力端子(端子PI5/XINT、端子PI6/XNMI、端子PI7/RX0)において、設定できる第2の機能(割込入力機能)は異ならせることが可能である。すなわち、各第2入力端子に、マスク不能割込処理あるいは通常の割込処理(マスク可能な割込処理)の開始アドレスを異ならせて設定することが可能である。
本実施形態のパチンコ遊技機1では、CPU56の端子D0〜D7、端子PI0〜端子PI2を使用し、端子PI3〜PI4、端子PI5/XINT、端子PI6/XNMI、端子PI7/RX0を使用しない形態としている。使用する端子D0〜D7、端子PI0〜端子PI2には、入力ポート572を介して、外部からの各種信号が入力される。一方、使用しない端子PI5/XINT、端子PI6/XNMI、端子PI7/RX0は、その種別に応じて、グランドGもしくは所定電圧Vcc(5V)に接続される。
ここで、パチンコ遊技機1で使用しない入力端子(空き入力端子)は、2つの種類に分けられる。1つは、1つの機能(入力機能)しか持たない第1入力端子(端子PI3、PI4)であり、もう1つは2つの機能(入力機能と割込入力機能)を備えた第2入力端子(端子PI5/XINT、端子PI6/XNMI、端子PI7/RX0)である。本実施形態では、使用していない入力端子中、第1の入力端子はグランドGに接地し、第2の入力端子は、所定電圧Vcc(5V)に接続している。これは空き入力端子におけるノイズの影響を抑制することを目的としたものである。
第1の入力端子は、ハイアクティブに設定されており、入力端子が低い電圧(ロー状態)であるときは、外部入力を検知せず、入力端子が高い電圧(ハイ状態)のときに、外部からの入力があったことを検出する。第1の入力端子は、ローアクティブにも設定できるが、ハイアクティブにした場合、使用しない(空き端子とする)第1の入力端子をグランドGに接続することで、基板におけるグランドGのベタ面積(基板でグランドGの導通部分が占める面積)を拡大させ、グランドGの電位安定を図ることが可能となる。一方、第2入力端子は、前述したように2つの機能(入力機能、割込入力機能)に設定可能であって、第1の機能(入力機能)に設定した場合は、第1の入力端子と同様、ハイアクティブに設定して使用される。なお、第1の機能(入力機能)に設定する場合、ローアクティブに設定する形態としてもよい。一方、第2の機能(割込入力機能)に設定した場合は、入力端子が高い電圧(ハイ状態)であるときは、外部割込入力を検知せず、入力端子が低い電圧(ロー状態)のときに、外部からの割込入力があったことを検出するローアクティブに設定して使用される。
本実施形態では、空き入力端子中、第1入力端子(端子PI3、PI4)は、ハイアクティブであるため、ロー状態であるグランドG(0V)に接続し、入力信号が発生していない状態としている。一方、空き端子となっている第2入力端子(端子PI5/XINT、端子PI6/XNMI、端子PI7/RX0)ハイ状態となる所定電圧Vcc(5V)に接続することで、割込入力信号が発生していない状態としている。これら第2入力端子についても、第1入力端子と同様ハイアクティブとして、使用しない場合、グランドGに接続することが、グランドGのベタ面積を大きくする上では好ましい。しかしながら、本実施形態の第2入力端子は、第2の機能(割込入力機能)を設定することができるため、CPU56を誤って第2の機能に設定した場合であっても、割込処理が不用意に起動しないように、第2入力端子をハイ状態となる所定電圧Vccに接続している。特に、本実施形態のCPU56は、第2の機能が、禁止することができないマスク不能割込処理を開始する割込入力機能を含んでいるため、誤動作防止の点において、空きとなる第2入力端子をハイ状態に設定することは有効である。
CPU56の入力端子は、実際のチップにおいても、図6のブロック図に示される順番で配置されている。特に、第1入力端子(端子D0〜D7、端子PI0〜PI4)と第2入力端子(端子PI5/XINT、端子PI6/XNMI、端子PI7/RX0)は、種別毎にまとまって配置されている。したがって、使用しない第1入力端子(この例ではPI3、PI4)を、まとめてグランドGに接地することが可能であり、CPU56が搭載される基板におけるグランドGのベタ面積(基板でグランドGの導通部分が占める面積)が広いレイアウトとすることを可能としている。このようにグランドGのベタ面積を広く確保することで、基準電位を安定させ、外部ノイズに対する耐性を向上させることが可能である。また、使用しない第2入力端子(この例では、端子PI5/XINT、端子PI6/XNMI、端子PI7/RX0)は、まとめてVccに接続することが可能であるため、Vcc供給のための配線レイアウトを簡易化することが可能である。Vcc供給のための配線レイアウトを簡易化することは、グランドGのベタ面積の広面積化にも繋がる。
CPU56の出力端子(PD0〜PD7)は、出力ポート573を介して処理結果を外部に出力する。CPU56中、端子VBB、端子VDDは、端子VSSは、電源回りの端子であって、端子VBBはバックアップ電源に接続され、端子VDDは、所定電圧Vcc(5V)に接続され、VSSはグランドGに接続されている。
図4で説明したように、電源監視回路(電源監視手段;第1の電源監視手段)920からの電源断信号が、反転回路943および入力ポート572を介してCPU56の端子PI0に入力される。従って、CPU56は、入力ポート572の端子PI0を監視することによって遊技機への電力供給の停止の発生を確認することができる。
電源監視回路920は電源監視用IC902を含む。電源監視用IC902は、VSL電圧を導入し、VSL電圧を監視することによって遊技機への電力供給停止の発生を検出する。具体的には、VSL電圧が所定値(この例では+22V)以下になったら、電力供給の停止が生ずるとして電源断信号を出力する。なお、監視対象の電源電圧は、各電気部品制御基板に搭載されている回路素子の電源電圧(この例では+5V)よりも高い電圧であることが好ましい。この例では、交流から直流に変換された直後の電圧であるVSLが用いられている。
電源監視用IC902が電力供給の停止を検知するための所定値は、通常時の電圧より低いが、CPU56が暫くの間、動作しうる程度の電圧である。また、電源監視用IC902が、CPU56等の回路素子を駆動するための電圧(この例では+5V)よりも高いので、CPUが必要とする電圧に対して監視範囲を広げることができる。従って、より精密な監視を行うことができる。さらに、監視電圧としてVSL(+30V)を用いる場合には、遊技機の各種スイッチに供給される電圧が+12Vであることから、電源瞬断時のスイッチオン誤検出の防止も期待できる。すなわち、+30V電源の電圧を監視すると、+30V作成の以降に作られる+12Vが落ち始める以前の段階でそれの低下を検出できる。
+12V電源の電圧が低下するとスイッチ出力がオン状態を呈するようになるが、+12Vより早く低下する+30V電源電圧を監視して電力供給の停止を認識すれば、スイッチ出力がオン状態を呈する前に電力供給回復待ちの状態に入ってスイッチ出力を検出しない状態となることができる。
リセット回路65はリセットIC651を含む。リセットIC651は、電源投入時に、外付けのコンデンサの容量で決まる所定時間だけ出力をローレベルとし、所定時間が経過すると出力をハイレベルにする。すなわち、リセット信号(システムリセット信号)をハイレベルに立ち上げてCPU56を動作可能状態にする。なお、リセット信号は、反転回路942,941を介してCPU56のリセット端子(RESET)に入力される。
また、リセットIC651は、電源監視回路920が監視する電源電圧と等しい電源電圧であるVSLの電源電圧を監視して電圧値が所定値(電源監視回路が電源断信号を出力する電源電圧値よりも低い値)以下になると出力をローレベルにする。従って、CPU56は、電源監視回路920からの電源断信号に応じて所定の電力供給停止時処理を行った後、システムリセットされる。すなわち、完全に動作を止める状態になる。従って、リセット回路65は、電源監視手段が検出信号を出力するタイミングよりも遅いタイミングで検出信号を出力する第2の電源監視手段に相当する。この例では、第2の電源監視手段が検出信号を出力する状態は、リセット信号をローレベルにする状態である。
図7は、本実施形態のパチンコ遊技機1におけるCPU56の入力端子割り当てを示す説明図である。CPU56における入力端子の割り当ては、パチンコ遊技機1の起動後に開始するメイン処理(後で詳しく説明する)で行われる。パチンコ遊技機1の機種によっては、同じCPU56を使用するものの、使用する端子、使用する機能を異ならせる場合がある。このような場合、パチンコ遊技機1の機種に応じて、入力端子割り当てを変更することで対応することができる。本実施形態のパチンコ遊技機1は、図7で説明したように端子D0〜D7、端子PI0〜PI4、端子PI5/XINT、端子PI6/XNMI、端子PI7/RX0を備えている。このうち、端子D0〜D7、端子PI0〜PI4は、1つの機能(入力機能)でしか使用しない第1入力端子T1であり、端子PI5/XINT、端子PI6/XNMI、端子PI7/RX0は、2つの機能(入力機能と割込入力機能)を備えた第2入力端子T2である。
第1入力端子T1中、端子D0〜D7、端子PI0〜PI2には、各種スイッチ等に接続して使用するように設定されている。これら第1入力端子T1は、論理「1」(高い電圧の状態)のときに「オン」状態、あるいは「電源断」状態を検出し、論理「0」のとき(低い電圧の状態)のときにこれら状態を検出しないハイアクティブ状態に設定されている。一方、第1入力端子中、未使用端子(端子PI3、PI4)は、0固定(グランドGに接続)された状態となっており、入力信号が無い状態となっている。
本実施形態のパチンコ遊技機1は、CPU56の第2入力端子T2は、何れも未使用としている。この第2入力端子T2を未使用とする場合、所定電圧Vccに接続することとしている。第2入力端子T2は、CPU56での設定(パチンコ遊技機1の起動時に実行するメイン処理で設定)に基づき、2つの機能(入力機能と割込入力機能)、あるいは未使用に設定することが可能である。しかしながら、空き端子とすべき第2入力端子T2に機能(入力機能あるいは割込入力機能)を設定してしまうことが考えられる。特に、割込入力機能が誤って設定されていた場合、空き端子とすべき第2入力端子T2に入力したノイズ等により割込処理が起動することが考えられる。不用意に割込処理が起動すると、パチンコ遊技機1が正常に動作しないことになる。本実施形態では、未使用とすべき第2入力端子T2を、割込処理のオフ状態である高い電圧(Vcc)に接続しておくことで、誤って第2入力端子T2に割込入力機能を設定した場合においても、誤動作することを防止している。
次に遊技機の動作について説明する。図8は、主基板31における遊技制御手段(CPU56およびROM,RAM等の周辺回路)が実行するメイン処理を示すフローチャートである。遊技機に対して電源が投入され、リセット端子の入力レベルがハイレベルになると、CPU56は、ステップS1以降のメイン処理を開始する。メイン処理において、CPU56は、まず、必要な初期設定を行う。
初期設定処理において、CPU56は、まず、割込禁止に設定する(ステップS1)。次に、割込モードを割込モード2に設定する(ステップS2)。この実施の形態で用いられているCPU56には、マスク可能(禁止可能)な割込のモードとして以下の3種類のモードが用意されている。なお、マスク可能な割込が発生すると、CPU56は、自動的に割込禁止状態に設定するとともに、プログラムカウンタの内容をスタックにセーブする。
割込モード0:割込要求を行った内蔵デバイスがRST命令(1バイト)またはCALL命令(3バイト)をCPUの内部データバス上に送出する。よって、CPU56は、RST命令に対応したアドレスまたはCALL命令で指定されるアドレスの命令を実行する。リセット時に、CPU56は自動的に割込モード0になる。よって、割込モード1または割込モード2に設定したい場合には、初期設定処理において、割込モード1または割込モード2に設定するための処理を行う必要がある。
割込モード1:割込が受け付けられると、常に0038(h)番地に飛ぶモードである。
割込モード2:CPU56の特定レジスタ(Iレジスタ)の値(1バイト)と内蔵デバイスが出力する割込ベクタ(1バイト:最下位ビット0)から合成されるアドレスが、割込番地を示すモードである。すなわち、割込番地は、上位アドレスが特定レジスタの値とされ下位アドレスが割込ベクタとされた2バイトで示されるアドレスである。従って、任意の(飛び飛びではあるが)偶数番地に割込処理を設置することができる。各内蔵デバイスは割込要求を行うときに割込ベクタを送出する機能を有している。
よって、割込モード2に設定されると、各内蔵デバイスからの割込要求を容易に処理することが可能になり、また、プログラムにおける任意の位置に割込処理を設置することが可能になる。さらに、割込モード1とは異なり、割込発生要因毎のそれぞれの割込処理を用意しておくことも容易である。上述したように、この実施の形態では、初期設定処理のステップS2において、CPU56は割込モード2に設定される。
CPU56は、割込モード2の設定後、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定する(ステップS3)。そして、内蔵デバイスレジスタの初期化を行う(ステップS4)。また、CPU56が内蔵するCTC(タイマ/カウンタ回路)の初期化、および入力端子、出力端子(PIO:パラレル入出力ポート)の設定(ステップS5)を行った後、RAMをアクセス可能状態に設定する(ステップS6)。
この実施の形態で用いられるCPU56は、図6で説明したように複数の入力端子、出力端子(両端子を含めてPIOという)を有している。ステップS4では、各入力端子、出力端子の機能を設定する。前述したように第2入力端子T2は、異なる機能(入力機能と割込入力機能)に設定することが可能であるため、パチンコ遊技機1の機種の違いに応じた設定を行うことが可能である。PIOの設定は、メイン処理中に規定される端子毎の設定を読み出すことで行われる。この端子毎の設定は、CPU56内の記憶手段、あるいは、ROM54あるいはRAM55等の外部の記憶手段から読み出される。図6、図7の例では、第2入力端子T2は未使用の空き端子として設定される。本実施形態では、第2入力端子T2に入力機能を設定する場合には、論理「1」となるハイアクティブに設定される。なお、第2入力端子T2に入力機能を設定する場合、論理「0」となるローアクティブに設定することとしてもよい。また、第2入力端子T2に割込入力機能を設定する場合には、論理「0」となるローアクティブに設定される。このように、本実施形態では、複数機能に設定可能な第2入力端子T2を用意することで、入力端子数が増えることを抑制するとともに、パチンコ遊技機1の機種間での汎用性を高めている。その際、第2入力端子T2を未使用(空き端子)とする場合において、当該第2入力端子T2を所定電圧Vccに接続しておくことで、誤って割込入力機能が動作しないようにしている。
次いで、CPU56は、入力ポート1を介して端子PI2に入力されるクリアスイッチ921の出力信号の状態を1回だけ確認する(ステップS7)。その確認においてオンを検出した場合には、CPU56は、通常の初期化処理を実行する(ステップS11〜ステップS15)。クリアスイッチ921がオンである場合(押下されている場合)には、入力ポート572の端子PI2には、ハイレベルのクリアスイッチ信号が出力される。遊技店員等の操作により、クリアスイッチ921をオン状態にしながらパチンコ遊技機1に対する電力供給を開始する(例えば電源スイッチをオンする)ことにで、容易に初期化処理を実行させることができる。すなわち、RAMクリア等を行うことができる。
クリアスイッチ921がオンの状態でない場合には、前回、パチンコ遊技機1への電力供給が停止したときにバックアップRAM領域のデータ保護処理(例えばパリティデータの付加等の電力供給停止時処理)が行われたか否か確認する(ステップS8)。この実施の形態では、電力供給の停止が生じた場合には、バックアップRAM領域のデータを保護するための処理が行われている。そのような保護処理が行われていた場合をバックアップありとする。そのような保護処理が行われていないことを確認したら、CPU56は初期化処理を実行する。
この実施の形態では、バックアップRAM領域にバックアップデータがあるか否かは、電力供給停止時処理においてバックアップRAM領域に設定されるバックアップフラグの状態によって確認される。例えば、バックアップフラグ領域に「55H」が設定されていればバックアップあり(オン状態)を意味し、「55H」以外の値が設定されていればバックアップなし(オフ状態)を意味する。
バックアップありを確認したら、CPU56は、バックアップRAM領域のデータチェック(この例ではパリティチェック)を行う(ステップS9)。この実施の形態では、クリアデータ(00)をチェックサムデータエリアにセットし、チェックサム算出開始アドレスをポインタにセットする。また、チェックサムの対象となるデータ数に対応するチェックサム算出回数をセットする。そして、チェックサムデータエリアの内容とポインタが指すRAM領域の内容との排他的論理和を演算する。演算結果をチェックサムデータエリアにストアするとともに、ポインタの値を1増やし、チェックサム算出回数の値を1減算する。以上の処理が、チェックサム算出回数の値が0になるまで繰り返される。チェックサム算出回数の値が0になったら、CPU56は、チェックサムデータエリアの内容の各ビットの値を反転し、反転後のデータをチェックサムとする。
電力供給停止時処理において、上記の処理と同様の処理によってチェックサムが算出され、チェックサムはバックアップRAM領域に保存されている。ステップS9では、算出したチェックサムと保存されているチェックサムとを比較する。不測の停電等の電力供給停止が生じた後に復旧した場合には、バックアップRAM領域のデータは保存されているはずであるから、チェック結果(比較結果)は正常(一致)になる。チェック結果が正常でないということは、バックアップRAM領域のデータが、電力供給停止時のデータとは異なっていることを意味する。そのような場合には、内部状態を電力供給停止時の状態に戻すことができないので、電力供給の停止からの復旧時でない電源投入時に実行される初期化処理を実行する。
チェック結果が正常であれば、CPU56は、遊技制御手段の内部状態を電力供給停止時の状態に戻すための遊技状態復旧処理を行う(ステップS10)。そして、バックアップRAM領域に保存されていたPC(プログラムカウンタ)の退避値がPCに設定され、そのアドレスに復帰する。
初期化処理(ステップS11〜S15)では、CPU56は、まず、RAMの全領域をクリアするRAMクリア処理を行う(ステップS11)。なお、RAMの全領域を初期化せず、所定のデータ(例えば大当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータ)をそのままにしてもよい。例えば、大当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータをそのままにした場合には、不正な手段によって初期化処理が実行される状態になったとしても、大当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値が大当り判定値に一致するタイミングを狙うことは困難である。また、所定の作業領域(例えば、普通図柄判定用乱数カウンタ、普通図柄判定用バッファ、特別図柄左中右図柄バッファ、総賞球数格納バッファ、特別図柄プロセスフラグ、賞球中フラグ、球切れフラグ、払出停止フラグなど制御状態に応じて選択的に処理を行うためのフラグ)に初期値を設定する作業領域設定処理を行う(ステップS12)。
また、CPU56は、演出制御基板80を初期化するための初期化コマンドを演出制御基板80に送信する処理を実行する(ステップS14)。初期化コマンドとして、可変表示装置9に表示される初期図柄を示すコマンド等がある。
そして、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるようにCPU56に設けられているCTC3のレジスタの設定が行われる(ステップS15)。すなわち、初期値として2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。
CTCのチャネル3(CH3)のカウントアップにもとづく割込は、CPUの内部クロック(システムクロック)をカウントダウンしてレジスタ値が「0」になったら発生する割込である。具体的には、CPU56の動作クロックを分周したクロックがCTCに与えられ、クロックの入力によってレジスタの値が減算され、レジスタの値が0になるとタイマ割込が発生する。例えば、CH3のレジスタ値はシステムクロックの1/256周期で減算される。分周したクロックにもとづいて減算が行われるので、レジスタの初期値は大きくならない。ステップS15において、CH3のレジスタには、初期値として2msに相当する値が設定される。
初期化処理(ステップS11〜S15)が完了すると、メイン処理で、表示用乱数更新処理(ステップS17)および初期値用乱数更新処理(ステップS18)が繰り返し実行される。表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理が実行されるときには割込禁止状態とされ(ステップS16)、表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理の実行が終了すると割込許可状態とされる(ステップS19)。表示用乱数とは、可変表示装置9に表示される図柄を決定するための乱数であり、表示用乱数更新処理とは、表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。また、初期値用乱数更新処理とは、初期値用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。初期値用乱数とは、大当りとするか否かを決定するための乱数を発生するためのカウンタ(大当り決定用乱数発生カウンタ)等のカウント値の初期値を決定するための乱数である。後述する遊技制御処理において、大当り決定用乱数発生カウンタのカウント値が1周すると、そのカウンタに初期値が設定される。
なお、表示用乱数更新処理が実行されるときには割込禁止状態とされるのは、表示用乱数更新処理が後述するタイマ割込処理でも実行されることから、タイマ割込処理における処理と競合してしまうのを避けるためである。すなわち、ステップS17の処理中にタイマ割込が発生してタイマ割込処理中で表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新してしまったのでは、カウント値の連続性が損なわれる場合がある。しかし、ステップS17の処理中では割込禁止状態にしておけば、そのような不都合が生ずることはない。
タイマ割込が発生すると、CPU56はタイマ割込処理を実行する。図9には、タイマ割込処理を示すフローチャートである。このタイマ割込処理は、2ms毎に実行される。タイマ割込処理では、まず、レジスタの退避処理(ステップS19)および電源断確認処理(ステップS20)を行った後、S21〜S33の遊技制御処理Pを実行する。遊技制御処理Pにおいて、CPU56は、まず、スイッチ回路58を介して、ゲートスイッチ32a、始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23および入賞口スイッチ29a,30a,33a,39a等のスイッチの検出信号を入力し、それらの状態判定を行う(スイッチ処理:ステップS21)。なお、電源断確認処理(ステップS20)は、タイマ割込処理において、実質的に最初に実行される。
次に、遊技制御に用いられる大当り判定用の乱数等の各判定用乱数を生成するための各カウンタのカウント値を更新する処理を行う(ステップS22)。CPU56は、さらに、初期値用乱数および表示用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理を行う(ステップS23,S24)。
さらに、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS25)。特別図柄プロセス制御では、遊技状態に応じてパチンコ遊技機1を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、特別図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。また、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS26)。普通図柄プロセス処理では、普通図柄表示器10の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、普通図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。
次いで、CPU56は、特別図柄に関する演出制御コマンドをRAM55の所定の領域に設定して演出制御コマンドを送出する処理を行う(特別図柄コマンド制御処理:ステップS27)。また、普通図柄に関する演出制御コマンドをRAM55の所定の領域に設定して演出制御コマンドを送出する処理を行う(普通図柄コマンド制御処理:ステップS28)。
さらに、CPU56は、例えばホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報などのデータを出力する情報出力処理を行う(ステップS29)。
また、CPU56は、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39a等の検出信号にもとづく賞球個数の設定などを行う賞球処理を実行する(ステップS30)。具体的には、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39a等の何れかがオンしたことにもとづく入賞検出に応じて、払出制御基板37に賞球個数を示す払出制御コマンドを出力する。払出制御基板37に搭載されている払出制御用CPUは、賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて球払出装置97を駆動する。
そして、CPU56は、始動入賞記憶数の増減をチェックする記憶処理を実行する(ステップS31)。また、遊技機の制御状態を遊技機外部で確認できるようにするための試験信号を出力する処理である試験端子処理を実行する(ステップS32)。さらに、所定の条件が成立したときにソレノイド回路59に駆動指令を行う(ステップS33)。可変入賞球装置15または開閉板20を開状態または閉状態としたり、大入賞口内の遊技球通路を切り替えたりするために、ソレノイド回路59は、駆動指令に応じてソレノイド16,21,21Aを駆動する。その後、レジスタの内容を復帰させ(ステップS34)、割込許可状態に設定する(ステップS35)。
本実施形態の遊技制御処理Pを含むタイマ割込処理は、2ms毎に起動されることになる。なお、この実施の形態では、タイマ割込処理内で遊技制御処理Pが実行されているが、タイマ割込処理では例えば割込が発生したことを示すフラグのセットのみがなされ、遊技制御処理Pはメイン処理において実行されるようにしてもよい。
以上、本実施形態では、遊技機の電子装置として、パチンコ遊技機1の主基板31に配置されたCPU56を例に取って説明したが、電子装置としては、複数の入力端子を備え、処理を実行する構成であれば、CPU56に限らず他の構成を対象とすることも可能である。例えば、図4の演出制御基板80に搭載され、可変表示装置9に表示する画像を形成するVDP(Video Display Processor)、あるいは、払出制御基板37に搭載された払出制御用CPU等に適用することが可能である。
なお、本実施形態では、空き端子となる第2入力端子を所定電圧Vccに接続することで、所定機能となる割込処理が不用意に実行されることを抑制しているが、このような形態とは反対に、空き端子となる第2入力端子をグランドGに接続する形態も考えられる。このような形態では、空き端子となる第2入力端子に所定機能(割込処理)が誤って設定されていた場合、割込処理を意図的に実行させることで、パチンコ遊技機1を誤動作させ、CPU56の設定(CPU56のプログラムの設定)ミスに早期に気付くことが可能となる。このような形態は、製品の開発段階で設定ミスを発見することが可能となり、CPU56の設定が誤ったまま製品として出荷されることを防ぐことが可能となる。
なお、上記の各実施の形態のパチンコ遊技機1は、始動入賞にもとづいて可変表示装置9に可変表示される特別図柄の停止図柄が所定の図柄の組み合わせになると所定の遊技価値が遊技者に付与可能になる第1種パチンコ遊技機であったが、始動入賞にもとづいて開放する電動役物の所定領域への入賞があると所定の遊技価値が遊技者に付与可能になる第2種パチンコ遊技機や、始動入賞にもとづいて可変表示される図柄の停止図柄が所定の図柄の組み合わせになると開放する所定の電動役物への入賞があると所定の権利が発生または継続する第3種パチンコ遊技機、あるいは、外部に賞球することなく、内部で賞球をカウントする封入式のパチンコ遊技機であっても、本発明を適用できる。
また、遊技媒体が遊技球であるパチンコ遊技機に限られるものではなく、遊技媒体がメダルなどのスロット機等の遊技機に対しても、本発明を適用できる。