以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機を正面からみた正面図、図2は遊技盤の前面を示す正面図である。なお、以下の実施の形態では、パチンコ遊技機を例に説明を行うが、本発明による遊技機はパチンコ遊技機に限られず、例えば画像式の遊技機やスロット機に適用することもできる。
パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠(図示せず)と、外枠の内側に開閉可能に取り付けられた遊技枠とで構成される。また、パチンコ遊技機1は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠11を有する。遊技枠は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠(図示せず)と、機構部品等が取り付けられる機構板と、それらに取り付けられる種々の部品(後述する遊技盤を除く。)と、を含む構造体である。
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、額縁状に形成されたガラス扉枠11を有する。ガラス扉枠11の下部表面には打球供給皿(上皿)14がある。打球供給皿14の下部には、打球供給皿14に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿15と遊技球を発射する打球操作ハンドル16が設けられている。ガラス扉枠11の背面には、遊技盤20が着脱可能に取り付けられている。なお、遊技盤20は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤20の前面には遊技領域20aが形成されている。
遊技領域20aの中央付近には、それぞれが識別情報としての図柄を可変表示する複数の可変表示部を含む可変表示装置(特別図柄表示装置)24が設けられている。可変表示装置24は液晶表示装置等で構成され、例えば「左」、「中」、「右」の3つの可変表示部(図柄表示エリア)が設けられている。また、可変表示装置24には、始動入賞口25aに入った有効入賞球数すなわち始動記憶数を表示する4つの始動記憶表示エリア24aが設けられている。有効始動入賞がある毎に、表示色を変化させる(例えば青色表示から赤色表示に変化させる)始動記憶表示エリアを1増やす。そして、可変表示装置9の可変表示が開始される毎に、表示色が変化している始動記憶数表示エリアを1減らす(すなわち表示色をもとに戻す)。この例では、図柄表示エリアと始動記憶表示エリア24aとが区分けされて設けられているので、可変表示中も始動記憶数が表示された状態とすることができる。なお、始動記憶表示エリア24aを図柄表示エリアの一部に設けるようにしてもよく、この場合には、可変表示中は始動記憶数の表示を中断するようにすればよい。また、この例では、始動記憶表示エリアを可変表示装置24に設けるようにしているが、始動記憶数を表示する表示器(特別図柄始動記憶表示器)を可変表示装置24とは別個に設けるようにしてもよい。
可変表示装置24の下方には、始動入賞口25aを形成する可変入賞球装置25が設けられている。始動入賞口25aに入った入賞球は、遊技盤20の背面に導かれ、始動口スイッチ25bによって検出される。始動入賞口25aは、ソレノイド25cによって、可変入賞球装置25に設けられた羽根が可動され、開状態、閉状態に変更される。
可変入賞球装置25の下部には、特定遊技状態(大当り状態)においてソレノイド30aによって開閉される開閉板30が設けられている。開閉板30は大入賞口を開閉する手段である。開閉板30から遊技盤20の背面に導かれた入賞球のうち一方(V入賞領域)に入った入賞球はV入賞スイッチ30cで検出され、開閉板30からの入賞球はカウントスイッチ30dで検出される。遊技盤20の背面には、大入賞口内の経路を切り換えるためのソレノイド30bも設けられている。
ゲート23に遊技球が入賞し、ゲートスイッチ23aで検出されると、普通図柄表示器21の表示の可変表示が開始される。この実施の形態では、左右のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に右側のランプが点灯すれば当たりとなる。そして、普通図柄表示器21における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、可変入賞球装置25が所定回数、所定時間だけ開状態になる。普通図柄表示器21の近傍には、ゲート23に入った入賞球数を表示する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄始動記憶表示器22が設けられている。ゲート23への入賞がある毎に、普通図柄始動記憶表示器22は点灯するLEDを1増やす。そして、普通図柄表示器21の可変表示が開始される毎に、点灯するLEDを1減らす。
遊技盤20には、複数の入賞口26、27、28、29が設けられ、遊技球の入賞口26、27、28、29への入賞は、それぞれ入賞口スイッチ26a、27a、28a、29aによって検出される。各入賞口26、27、28、29は、遊技媒体を受け入れて入賞を許容する領域として遊技盤20に設けられる入賞領域を構成している。なお、遊技媒体を受け入れて入賞を許容する始動入賞口25aや、大入賞口も、入賞領域を構成する。遊技領域20aの左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾ランプ19が設けられ、下部には、入賞しなかった遊技球を吸収するアウト口31がある。また、遊技領域20aの外側の左右上部には、効果音を発する2つのスピーカ8が設けられている。遊技領域20aの外周には、天枠ランプ13a、左枠ランプ13bおよび右枠ランプ13cが設けられている。さらに、遊技領域20aにおける各構造物(大入賞口等)の周囲には装飾LEDが設置されている。天枠ランプ13a、左枠ランプ13bおよび右枠ランプ13cおよび装飾用LEDは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
そして、この例では、左枠ランプ13bの近傍に、賞球残数があるときに点灯する賞球ランプ17が設けられ、天枠ランプ13aの近傍に、補給球が切れたときに点灯する球切れランプ12が設けられている。上記のように、この実施の形態のパチンコ遊技機1には、発光体としてのランプやLEDが各所に設けられている。さらに、図1には、パチンコ遊技機1に隣接して設置され、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするカードユニット80も示されている。
カードユニット80には、使用可能状態であるか否かを示す使用可表示ランプ81、カードユニット80がいずれの側のパチンコ遊技機1に対応しているのかを示す連結台方向表示器82、カードユニット80内にカードが投入されていることを示すカード投入表示ランプ83、記録媒体としてのカードが挿入されるカード挿入口84、およびカード挿入口84の裏面に設けられているカードリーダライタの機構を点検する場合にカードユニット80を解放するためのカードユニット錠85が設けられている。
打球発射装置から発射された遊技球は、打球レールを通って遊技領域20aに入り、その後、遊技領域20aを下りてくる。遊技球が始動入賞口25aに入り、始動口スイッチ25bで検出されると、図柄の可変表示を開始できる状態であれば、可変表示装置24において特別図柄が可変表示(変動)を始める。図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、始動記憶数を1増やす。
可変表示装置24における特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄の組み合わせが大当り図柄(特定表示結果)であると、大当り遊技状態に移行する。すなわち、開閉板30が、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の遊技球が入賞するまで開放する。そして、開閉板30の開放中に遊技球がV入賞領域に入賞しV入賞スイッチ30cで検出されると、継続権が発生し開閉板30の開放が再度行われる。継続権の発生は、所定回数(例えば15ラウンド)許容される。なお、V入賞スイッチ30cを設けないで継続権を無くし、所定回数(例えば15ラウンド)のみ許容する形態としてもよい。
停止時の可変表示装置24における特別図柄の組み合わせが確率変動を伴う大当り図柄(確変図柄)の組み合わせである場合には、次に大当りとなる確率が高くなる。すなわち、確変状態という遊技者にとってさらに有利な状態となる。
遊技球がゲート23に入賞すると、普通図柄表示器21において普通図柄が可変表示される状態になる。また、普通図柄表示器21における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、可変入賞球装置25が所定時間だけ開状態になる。さらに、確変状態では、普通図柄表示器21における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、可変入賞球装置25の開放時間と開放回数が高められる。すなわち、可変入賞球装置25の開放時間と開放回数は、普通図柄の停止図柄が当り図柄であったり、特別図柄の停止図柄が確変図柄である場合等に高められ、遊技者にとって不利な状態から有利な状態に変化する。なお、開放回数が高められることは、閉状態から開状態になることも含む概念である。
次に、パチンコ遊技機1の裏面の構造について図3を参照して説明する。図3は、遊技機を裏面から見た背面図である。図3に示すように、遊技機裏面側では、可変表示装置24を制御する演出制御手段が搭載された演出制御基板51を含む可変表示制御ユニット50、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された主基板40が設置されている。また、球払出制御を行う払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板70が設置されている。なお、演出制御手段は、遊技盤20に設けられている各種装飾LED、普通図柄始動記憶表示器22、装飾ランプ19、枠側に設けられている天枠ランプ13a、左枠ランプ13b、右枠ランプ13c、賞球ランプ17および球切れランプ12を点灯制御するとともに、スピーカ8からの音発生を制御する。
また、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5Vを作成する電源回路が搭載された電源基板60や発射制御基板39が設けられている。電源基板60は、大部分が主基板40と重なっているが、主基板40に重なることなく外部から視認可能に露出した露出部分がある。この露出部分には、パチンコ遊技機1の各電気部品制御基板(主基板40、演出制御基板51,払出制御基板70)やパチンコ遊技機1に設けられている各電気部品への電力供給を実行あるいは遮断するための電力供給許可手段としての電源スイッチ38bと、主基板40に含まれるバックアップRAM(遊技機への電力供給が停止しても所定期間は記憶内容を保持することが可能な変動データ記憶手段)に記憶されたバックアップデータをクリアするための操作手段としてのクリアスイッチ38aとが設けられている。
パチンコ遊技機1の裏面において、上方には、各種情報を遊技機外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板34が設置されている。ターミナル基板34には、少なくとも、球切れ検出スイッチ33bの出力を導入して外部出力するための球切れ用端子、賞球個数信号を外部出力するための賞球用端子および球貸し個数信号を外部出力するための球貸し用端子が設けられている。また、中央付近には、主基板40からの各種情報を遊技機外部に出力するための各端子を備えた情報端子基板35が設置されている。
貯留タンク32に貯留された遊技球は誘導レールを通り、カーブ樋を経て賞球ケース36で覆われた球払出装置に至る。球払出装置の上部には、遊技媒体切れ検出手段としての球切れスイッチ33aが設けられている。球切れスイッチ33aが球切れを検出すると、球払出装置の払出動作が停止する。球切れスイッチ33aは遊技球通路内の遊技球の有無を検出するスイッチであるが、貯留タンク32内の補給球の不足を検出する球切れ検出スイッチ33bも誘導レールにおける上流部分(貯留タンク32に近接する部分)に設けられている。球切れ検出スイッチ33bが遊技球の不足を検知すると、遊技機設置島に設けられている補給機構から遊技機に対して遊技球の補給が行われる。
入賞にもとづく景品としての遊技球や球貸し要求にもとづく遊技球が多数払い出されて打球供給皿14が満杯になり、さらに遊技球が払い出されると、遊技球は、余剰球通路を経て余剰球受皿15に導かれる。さらに遊技球が払い出されると、感知レバーが貯留状態検出手段としての満タンスイッチを押圧して、貯留状態検出手段としての満タンスイッチがオンする。その状態では、球払出装置内の払出モータの回転が停止して球払出装置の動作が停止するとともに発射装置の駆動も停止する。
図4は、主基板40における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図4には、払出制御手段を搭載した払出制御基板70および演出制御手段を搭載した演出制御基板51も示されている。主基板40には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する基本回路41と、ゲートスイッチ23a、始動口スイッチ25b、V入賞スイッチ30c、カウントスイッチ30d、入賞口スイッチ26a、27a、28a、29a、およびクリアスイッチ38aからの信号を基本回路41に与えるスイッチ回路42と、可変入賞球装置25を開閉するソレノイド25c、開閉板30を開閉するソレノイド30aおよび大入賞口内の経路を切り換えるためのソレノイド30bを基本回路41からの指令に従って駆動するソレノイド回路47とが搭載されている。
なお、図4には示されていないが、カウントスイッチ短絡信号もスイッチ回路42を介して基本回路41に伝達される。また、ゲートスイッチ23a、始動口スイッチ25b、V入賞スイッチ30c、カウントスイッチ30d、入賞口スイッチ26a、27a、28a、29a等のスイッチは、センサと称されているものでもよい。すなわち、遊技球を検出できる遊技媒体検出手段(この例では遊技球検出手段)であれば、その名称を問わない。
また、基本回路41から与えられるデータに従って、大当りの発生を示す大当り情報、可変表示装置24における図柄の可変表示開始に利用された始動入賞球の個数を示す有効始動情報、確率変動が生じたことを示す確変情報等の情報出力信号をホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路48が搭載されている。
また、主基板40には、第1中継基板46aを介して第1センサ18aが接続されている。本実施形態の第1センサ18aは、パチンコ遊技機1の筐体に加えられる振動を検出する振動検出センサである。この第1センサ18aは、パチンコ遊技機1に振動を加えることで、遊技領域20aを転動する遊技球をコントロールする等の不正行為を検出するために設けられている。主基板40には、第1センサ18aの出力信号を適切な信号に変換し、CPU413に伝達するための第1センサ用ICが設けられている。第1センサ18aから出力された出力信号は、第1中継基板46a、第1センサ用IC45aを経由してCPU413に送信される。CPU413は、受信した信号に基づいて、パチンコ遊技機1に対する振動の有無を検出する。
本実施形態の主基板40には、複数機種に対応可能なように2つのセンサ用IC(第1センサ用IC45a、第2センサ用IC45b)が搭載されている。例えば、異なる機種間において、使用するセンサが異なる場合がある。例えば、同じ振動センサであっても、機種によっては検出感度の異なるセンサを使用する場合がある。あるいは、機種によっては、パチンコ遊技機1の筐体内外で発生する各種要因(例えば、振動、電波、磁気など)を検出するセンサを使用することも考えられる。従来のパチンコ遊技機では、使用するセンサに応じた主基板40を設計、製造する必要があり、製造コストが嵩む、主基板40を他機種に流用することができないといった問題があった。
本実施形態では、主基板40に複数のセンサ用IC(第1センサ用IC45a、第2センサ用IC45b)を搭載することで、第1センサを使用するパチンコ遊技機1、あるいは、第2センサを使用するパチンコ遊技機1にも使用することができる汎用性を有した形態となっている。また、現在では、パチンコ遊技機1をリサイクルすることが行われているが、リサイクルにおいても、このような構成を採用することで、店舗から改修されたパチンコ遊技機1は、異なるセンサを使用したパチンコ遊技機1としてリサイクルすることも可能となる。
基本回路41は、ゲーム制御用のプログラム等を記憶するROM411、ワークメモリとして使用される記憶手段(変動データを記憶する手段)としてのRAM412、プログラムに従って制御動作を行うCPU413およびI/Oポート414を含む。この実施の形態では、ROM411,RAM412はCPU413に内蔵されている。すなわち、CPU413は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータは、少なくともRAM412が内蔵されていればよく、ROM411およびI/Oポート414は外付けであっても内蔵されていてもよい。なお、CPU413はROM411に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、CPU413が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU413がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板40以外の他の基板に搭載されているCPUについても同様である。
また、RAM(CPU内蔵RAMであってもよい。)412は、その一部または全部が電源基板60において作成されるバックアップ電源によってバックアップされているバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間は、RAM412の一部または全部の内容は保存される。
主基板40には、電源基板60から、監視用のVSL電圧(DC+30V)を導入し、VSL電圧が所定電位よりも低いときにローレベル(リセットレベル)になり、VSL電圧が所定電位以上であればハイレベルになるリセット信号を生成するリセット回路43が搭載されている。リセット信号は、CPU413のリセット端子REに入力される。
主基板40には、電源監視回路44が搭載されている。電源監視回路44は、電源基板60からのVSL電圧(DC+30V)を導入し、VSL電圧を監視することによって遊技機への電力供給停止の発生を検出する。具体的には、VSL電圧が所定値(この例では+22V)以下になったら、電力供給の停止が生ずるとして電源断信号(電力供給停止信号すなわち電源監視手段からの検出信号)を出力する(具体的にはローレベルにする。)。電源断信号は、入力ポートに入力される。電源断信号が入力ポートに入力されるとCPU413は、電力供給停止時処理を実行する。電力供給停止時処理において、必要な情報(電力供給復旧時に、電力供給停止時の状態から遊技処理を続行するために必要な情報)をバックアップRAMに確実に保存するための処理(例えばパリティデータの設定処理)を実行する。また、電力供給停止時処理を行ったことを示すフラグをセットする。
なお、入力ポートに電源断信号(電源監視手段からの検出信号)が入力されたとは、電源断信号のレベルが電源断を示すレベルになったことであり、電源断信号のレベルが電源供給を示すレベルである状態が、検出信号が解除された状態である。
遊技球を打撃して発射する打球発射装置は発射制御基板39上の回路によって制御される駆動モータ16aで駆動される。そして、駆動モータ16aの駆動力は、打球操作ハンドル16の操作量に従って調整される。すなわち、発射制御基板39上の回路によって、打球操作ハンドル16の操作量に応じた速度で遊技球が発射されるように制御される。
なお、この実施の形態では、演出制御基板51に搭載されている演出制御手段が、遊技盤20に設けられている普通図柄始動記憶表示器22および装飾ランプ19の表示制御を行うとともに、枠側に設けられている天枠ランプ13a、左枠ランプ13bおよび右枠ランプ13cの表示制御を行う。また、演出制御基板51に搭載されている演出制御手段は、特別図柄を可変表示する可変表示装置24および普通図柄を可変表示する普通図柄表示器21の表示制御も行う。
図5は、払出制御基板70および球払出装置71の構成要素などの払出に関連する構成要素を示すブロック図である。図5に示すように、満タンスイッチ77bからの検出信号は、第2インタフェース基板76を介して払出制御基板70の入力ポート75bに入力される。また、球切れスイッチ77aからの検出信号も、第2インタフェース基板76を介して払出制御基板70の入力ポート75bに入力される。また、払出カウントスイッチ77cからの検出信号は、第2インタフェース76を介して払出制御基板70の入力ポート75bに入力される。払出カウントスイッチ77cは、球払出装置71から実際に払い出された遊技球を検出する。
払出制御基板70の払出制御用CPU711は、球切れスイッチ77aからの検出信号が球切れ状態を示しているか、または、満タンスイッチ77bからの検出信号が満タン状態を示していると、球払出処理を停止する。
入賞があると、主基板40の出力回路49Aから、払出指令信号として、賞球の払出要求を行うためのREQ信号(賞球リクエスト信号)および払い出すべき賞球個数を示す払出個数信号が出力される。払出個数信号は、4ビットのデータによって構成され、4本の信号線によって出力される。払出個数信号は、入力回路73Aを介してI/Oポート75aに入力される。払出制御用CPU711は、REQ信号および払出個数信号が入力されると、払出個数信号が示す個数の遊技球を払い出すために球払出装置71を駆動する制御を行う。なお、主基板40の出力回路49Aからは、電源確認信号も出力される。
また、払出制御基板70において賞球の払出処理を実行しているときには、主基板40には、払出制御基板70の出力回路73Bを介して出力された払出処理中であることを示すBUSY信号(賞球払出中信号)が入力される。また、払出制御用CPU711は、払出禁止状態では、主基板40に対して払出禁止信号を出力する。なお、この実施の形態では、払出制御用CPU711は、1チップマイクロコンピュータであり、少なくともRAMが内蔵されている。
払出制御用CPU711は、出力ポート372cを介して、賞球払出数を示す賞球情報信号および貸し球数を示す球貸し個数信号をターミナル基板(枠用外部端子基板と盤用外部端子基板とを含む)34に出力する。なお、出力ポート75cの外側に、ドライバ回路が設置されているが、図5では記載省略されている。また、ターミナル基板34(枠用外部端子基板)には、ドア開放情報スイッチ63が接続されている。
また、払出制御用CPU711は、入出力ポート75dを介して、エラー表示用LED374にエラー信号を出力する。さらに、出力ポート75fを介して、ランプの点灯/消灯を指示するための信号を賞球ランプ17および球切れランプ12に出力する。なお、払出制御基板70の入出力ポート75dには、エラー状態を解除するためのエラー解除スイッチ72からの検出信号が入力される。エラー解除スイッチ72は、ソフトウェアリセットによってエラー状態を解除するために用いられる。
さらに、払出制御基板70の入力ポート75bには、第2インタフェース基板76を介して、払出モータ79の回転位置を検出するための払出モータ位置センサからの検出信号が入力される。払出制御基板70からの払出モータ79への駆動信号は、出力ポート75cおよび第2インタフェース基板76を介して球払出装置71の払出機構部分における払出モータ79に伝えられる。なお、出力ポート75cの外側に、ドライバ回路(モータ駆動回路)が設置されているが、図5では記載省略されている。
カードユニット80には、カードユニット制御用マイクロコンピュータが搭載されている。また、カードユニット80には、使用可表示ランプ151、連結台方向表示器153、カード投入表示ランプ154およびカード挿入口155が設けられている(図1参照)。第1インタフェース基板64には、打球供給皿14の近傍に設けられている度数表示LED65a、球貸し可LED65b、球貸しスイッチ66aおよび返却スイッチ66bが接続される。
第1インタフェース基板64からカードユニット80には、遊技者の操作に応じて、球貸しスイッチ66aが操作されたことを示す球貸しスイッチ信号および返却スイッチ66bが操作されたことを示す返却スイッチ信号が与えられる。また、カードユニット80から第1インタフェース基板64には、プリペイドカードの残高を示すカード残高表示信号および球貸し可表示信号が与えられる。カードユニット80と払出制御基板70の間では、接続信号(VL信号)、ユニット操作信号(BRDY信号)、球貸し要求信号(BRQ信号)、球貸し完了信号(EXS信号)およびパチンコ機動作信号(PRDY信号)が入力ポート75gおよび出力ポート75eを介してやりとりされる。カードユニット80と払出制御基板70の間には、第1インタフェース基板64が介在している。よって、接続信号(VL信号)等の信号は、図5に示すように、第1インタフェース基板64を介してカードユニット80と払出制御基板70の間でやりとりされることになる。
パチンコ遊技機1の電源が投入されると、払出制御基板70の払出制御用CPU711は、カードユニット80にPRDY信号を出力する。また、カードユニット80は、VL信号を出力する。払出制御用CPU711は、VL信号の入力状態により接続状態/未接続状態を判定する。カードユニット80においてカードが受け付けられ、球貸しスイッチが操作され球貸しスイッチ信号が入力されると、カードユニット80タは、払出制御基板70にBRDY信号を出力する。この時点から所定の遅延時間が経過すると、カードユニット80は、払出制御基板70にBRQ信号を出力する。
そして、払出制御基板70の払出制御用CPU711は、カードユニット80に対するEXS信号を立ち上げ、カードユニット80からのBRQ信号の立ち下がりを検出すると、払出モータ79を駆動し、所定個の貸し球を遊技者に払い出す。そして、払出が完了したら、払出制御用CPU711は、カードユニット80に対するEXS信号を立ち下げる。その後、カードユニット80からのBRDY信号がオン状態でなければ、賞球払出制御を実行する。なお、カードユニット80で用いられる電源電圧AC24Vは払出制御基板70から供給される。
カードユニット80に対する電源基板60からの電力供給は、払出制御基板70および第1インタフェース基板64を介して行われる。この例では、第1インタフェース基板64内に配されているカードユニット80に対するAC24Vの電源供給ラインに、カードユニット80を保護するためのヒューズが設けられ、カードユニット80に所定電圧以上の電圧が供給されないようにしている。
なお、この実施の形態では、カードユニット80が遊技機とは別体として遊技機に隣接して設置されている場合を例にするが、カードユニット80は遊技機と一体化されていてもよい。また、コイン投入に応じてその金額に応じた遊技球が貸し出されるような場合でも本発明を適用できる。
図6は、異なるセンサを使用する場合の構成を示すブロック図であり、図6(A)は、第1センサ18aを使用した場合、図6(B)は、第2センサ18bを使用した場合の構成である。本実施形態では、第1センサ18a、第2センサ18bの両方を振動センサとしている。第1センサ18aと第2センサ18bは、検出できる振動の感度において異なっている。例えば、第1センサ18aは、2値(揺れていない、揺れた)という感度を有するのに対して、第2センサ18bは、複数段階の振動レベルを感知できる点において異なっている。
まず、図6(A)の第1センサ18aを使用する場合について説明する。パチンコ遊技機1には、電源基板60、主基板40、第1中継基板46a、第1センサ18aが設けられる。前述したように第1センサ18aは、パチンコ遊技機1に対する振動を検出するセンサである。電源基板60には、12Vの電圧Vdを供給する第1電源61と、5Vの電圧Vcを供給する第2電源62を有する。主基板40には、CPU413、第1センサ18aの出力信号が入力される第1センサ用IC45a、第2センサ18bの出力信号が入力される第2センサ用IC45b、第1分圧抵抗402、コネクタ401が設けられている。なお、図6(A)では、第1センサ18aが接続されており、使用しない第2センサ用IC45bは斜線で示している。第1中継基板46aには、コネクタ461a、462a、第2分圧抵抗463が設けられている。
第1センサ18aには、電源端子C1、信号出力端子E1、接地端子Gが設けられている。第1センサ18aと第1中継基板46aはコネクタ462aを介して接続されている。第1中継基板46aと主基板40はコネクタ461a、401を介して接続されている。また、主基板40には、電源基板60により電源供給が行われる。第1電源61の電圧Vdは、主基板40上の第1センサ用IC、第1センサ18aに供給される。また、第2電源62の電圧Vcは、主基板40上の第2センサ用IC45bに供給される。第1センサ18aの信号出力端子E1は、第1中継基板46aを介して第1センサ用ICの入力端子に接続される。また、第1センサ18aの接地端子Gは、第1中継基板46aにてグランドに接地される。
図4で説明したように、本実施形態の主基板40は、異なるセンサを使用する機種間で使用可能なように、複数のセンサ用IC(第1センサ用IC45a、第2センサ用IC45b)を搭載している。ところで、センサを使用しない場合には、誤作動などを目的として、センサ用ICの信号入力端子をグランドに落とす(0Vとする)、もしくは、適切な電圧(非使用電圧と呼ぶ)を印加することが必要となる。図6(A)の場合、第2センサ用IC45bを使用しないため、第2センサ用IC45bの信号入力端子に非使用電圧(この場合、4.5V〜6.0V)が印加される。
ところで、第2センサ用IC45bの非使用電圧として、第2電源62が主基板40に供給する電圧Vcを使用することも可能である。しかしながら、第2電源62は、主基板40上のCPU413に対して電圧Vcを供給している。CPU413に供給される電圧Vcが不安定になると、パチンコ遊技機1自体の主要動作に影響を及ぼす可能性がある。第2電源62が供給する電圧Vcを第2センサ用ICの入力端子に接続する、すなわち、電圧Vcを非使用電圧とすることも可能であるが、CPU413との共用することは、誤動作などの点から好適ではない。
また、電圧Vcをそのまま第2センサ用IC45bの入力端子に接続した場合、第2センサ用IC45bには、常時、非使用電圧が印加されることになり、第2センサ用IC45bを使用するには、主基板40の構成を変更しなくてはならない。したがって、機種間での汎用性を有するには不適当である。
以上の点を鑑み、第2センサ用IC45bの非使用電圧には、第1電源61が供給する電圧Vdを、主基板40に設けた第1分圧抵抗402と、第1中継基板46aに設けた第2分圧抵抗463で分圧された電圧を使用することとしている。このような構成により、CPU413に使用する電圧Vcを非使用電圧に使用する必要が無く、CPU413において安定した動作を確保することが可能となる。また、第2センサ用IC45bを使用する場合には、主基板40の配線等を変更することなく、第1中継基板46aを取り替えるだけでよく、主基板40の汎用性を確保することが可能となる。
本実施形態では、第1分圧抵抗402を680[Ω]とし、第2分圧抵抗463を620[Ω]としている。したがって、第2センサ用IC45bの信号入力端子には、12*620(680+620)=5.7[V]の非使用電圧が印加され、第2センサ用IC45bは非使用状態とされる。
次に、図6(B)の第2センサ18bを使用する場合について説明する。パチンコ遊技機1には、電源基板60、主基板40、第2中継基板46b、第2センサ18bが設けられる。第2センサ18bは、第1センサ18aと同様の振動を検出するセンサであって、第1センサ18aとは、振動の検出感度において異なっている。図6(B)は、図6(A)と、第2中継基板46b、第2センサ18bにおいて異なっている。図6(A)と図6(B)の主基板40は、第1分圧抵抗402の有無、配線等において異なっているが、これらは説明のための模式図であって、実際の主基板40の構成は同一である。
図6(B)では、第2センサ18bが接続されるため、第2センサ用IC45bには、電圧Vdが供給されるとともに、第2センサ18bの信号出力端子E2が接続される。一方、第1センサ用IC45aは非使用状態とされる。本実施形態の第1センサ用IC45aを非使用状態とする場合、第1センサ用IC45aの仕様上、その信号入力端子はグランドに落とす必要がある。したがって、図6(B)では、第1センサ用IC45aの信号入力端子は、グランドに接続される。この場合、主基板40上でグランドに落とした場合、第1センサ用IC45aの信号入力端子は、常時、グランドに接続されることとなり、他の機種との汎用性を確保できないため、第1センサ用IC45aの信号入力端子は、コネクタ401、コネクタ461bを介してグランドに接続されている。
以上、図6を使用して、第1センサ18aを接続した場合、第2センサ18bを接続した場合の2形態を説明したが、どちらも主基板40を変更する必要が無いため、主基板40を複数の機種で共用することが可能となり、製造時、及び、リサイクル時などにおける汎用性を高めることが可能となっている。次に、図6の各例について、実際の回路について説明を行う。
図7は、第1センサ18aを使用した際(第2センサ18bの非使用時)の回路図であり、図6(A)に対応した回路図である。主基板40には、CPU413、入力回路415、出力回路416、第1センサ用IC45a、第2センサ用IC45bを有して構成されている。第1センサ用IC45a、第2センサ用IC45bは、それぞれ、信号入力端子A1、A2、電源端子B1、B2、接地端子G、信号出力端子Yを有している。各電源端子B1、B2は、第1電源61から主基板40に供給される電圧Vd(12V)に接続される。各接地端子Gは、グランドに接続される。また、第2センサ用IC45bの信号入力端子A2には、第1分圧抵抗402が接続されている。また、図6(A)では、省略したが、第1センサ用IC45a、第2センサ用IC45bの信号入力端子A1、A2には、それぞれ入力コンデンサ403、404が接続されている。
第1センサ用IC45aの信号入力端子A1は、主基板40に設けられたコネクタ401の4番端子に接続されている。第1中継基板46aでは、コネクタ461aの4番端子と、コネクタ462aの2番端子が接続されている。第1センサ18aの信号出力端子E1は、コネクタ462aの2番端子に接続される。したがって、第1センサ18aの信号出力端子E1の出力信号は、第1中継基板46aを経て、第1センサ用IC45aの信号入力端子A1に入力される。
また、第1センサ18aの電源端子C1は、第1中継基板46aのコネクタ462a、461aと、主基板40のコネクタ401の各1番端子を経て、電圧Vd(12V)に接続される。そして、第1センサ18aの接地端子Gは、第1中継基板46aのコネクタ462aの4番端子、第1中継基板46aのコネクタ461aと、主基板40のコネクタ401の各5番端子を経て、主基板40のグランドに接続される。なお、第1センサ18aの接地端子Gは、第1中継基板46a上でグランドに接続することとしてもよい。
一方、図6(A)において、非使用となる第2センサ用IC45bの信号入力端子A2は、主基板40のコネクタ401の6番端子に接続される。そして、第1中継基板46aのコネクタ461aには、一方をグランドに接続された第2分圧抵抗463が接続される。したがって、主基板40の第1分圧抵抗402と、第1中継基板46aの第2分圧抵抗463とで、電圧Vd(12V)が分圧され、第2センサ用ICの信号入力端子A2に印加される。本実施形態では、第1分圧抵抗402を680[Ω]とし、第2分圧抵抗463を620[Ω]としており、第2センサ用IC45bの信号入力端子A2には、5.7[V]の非使用電圧が印加される。
このように第1センサ18aを使用する図7の回路では、第1中継基板46aを使用することで、第1センサ用IC45aの信号入力端子A1は、第1中継基板46aにより、第1センサ18aの信号出力端子E1に接続される。したがって、第1センサ18aの出力信号は、第1センサ用IC45aに入力され、CPU413にて処理される。一方、第2センサ用IC45bの信号入力端子A2には、第1分圧抵抗402と第2分圧抵抗463で分圧された非使用電圧が印加され、非使用状態とされる。
第1センサ用IC45a、第2センサ用IC45bの各信号出力端子Y1、Y2は、入力回路415に接続される。入力回路415の出力は、CPU413の入力端子D0〜D7、PI0〜PI4に接続されている。信号出力端子Y1、Y2は、これらの何れか1または複数の端子と電気的に接続される。信号出力端子Y1、Y2から出力された信号は、入力回路415にて、CPU413に適した信号に整えられた上で、CPU413に入力される。図7において、第1センサ18aから出力された信号は、第1センサ用IC45a、入力回路415を経て、CPU413に出力される。また、CPU413には複数の出力端子PI0〜PI7が設けられ、出力回路416を介して主基板40の外部に出力される。また、CPU413には、バックアップ電源が接続されるバックアップ電源端子VBB、電圧Vc(5V)が印加される電源端子VDD、接地端子Vss、リセット信号が入力されるリセット端子REが設けられている。
図8は、第2センサ18bを使用した際(第1センサ18aの非使用時)の回路図であり、図6(B)に対応した回路図である。パチンコ遊技機1の異機種間における汎用性を確保するため、主基板40の構成は、図6(A)と同一である。また、第2センサ18bの接続に伴い、第1センサ18a使用時の第1中継基板46aに代え、配線の異なる第2中継基板46bを使用している。
この場合、非使用となる第1センサ用IC45aの信号入力端子A1は、主基板40に設けられたコネクタ401の4番端子に接続されている。第1中継基板46aでは、コネクタ461bの4番端子は、グランドに接続されている。第1センサ用IC45aは、非使用とする場合、信号入力端子A1をグランドに接続する仕様を有する。本実施形態では、このように第2中継基板46bで、信号入力端子A1のグランドに接続することで、第1センサ用IC45aを非使用状態に設定している。このように第2中継基板46b上で、信号入力端子A1をグランドに接続することで、図7のように第1センサ18aを接続して使用することもできる汎用性を実現している。
一方、第2センサ用IC45bの信号入力端子A2は、コネクタ401の6番端子に接続されている。第2中継基板46b上、コネクタ461bの6番端子は、コネクタ462bの2番端子に接続されている。第2センサ18bの信号出力端子E2は、コネクタ462bの3番端子に接続される。したがって、第2センサ18bの信号出力端子E2の出力信号は、第2中継基板46bを経て、第2センサ用IC45bの信号入力端子A2に入力される。
このように第2センサ18bを使用する図8の回路では、第2中継基板46bを使用することで、第1センサ用IC45aの信号入力端子A1は、第2中継基板46b上でグランドに接地され、第2センサ用IC45bの信号入力端子A2は、第2中継基板46bにより、第2センサ18bの信号出力端子E2に接続される。したがって、第2センサ18bの出力信号は、第2センサ用IC45bに入力され、CPU413にて処理される。
図7、図8で説明したように、本実施形態では、主基板40に変更を加えることなく、第1センサ18aを使用する際は、第1中継基板46aに変更し、第2センサ18bを使用する際は、第2中継基板46bに変更するだけで、各センサに対応することが可能となる。よって、パチンコ遊技機1の異なる機種間、あるいは、パチンコ遊技機1をリサイクルして他の機種に使用する際も、主基板40をそのまま利用することができるという高い汎用性を実現している。
次に遊技機の動作について説明する。図9は、主基板40における遊技制御手段(CPU413およびROM411,RAM412等の周辺回路)が実行するメイン処理を示すフローチャートである。パチンコ遊技機1に対して電源が投入され、リセット端子REの入力レベルがハイレベルになると、CPU413は、ステップS1以降のメイン処理を開始する。メイン処理において、CPU413は、まず、必要な初期設定を行う。
初期設定処理において、CPU413は、まず、割込禁止に設定する(ステップS1)。次に、割込モードを割込モード2に設定する(ステップS2)。この実施の形態で用いられているCPU413には、マスク可能(禁止可能)な割込のモードとして以下の3種類のモードが用意されている。なお、マスク可能な割込が発生すると、CPU413は、自動的に割込禁止状態に設定するとともに、プログラムカウンタの内容をスタックにセーブする。
割込モード0:割込要求を行った内蔵デバイスがRST命令(1バイト)またはCALL命令(3バイト)をCPU413の内部データバス上に送出する。よって、CPU413は、RST命令に対応したアドレスまたはCALL命令で指定されるアドレスの命令を実行する。リセット時に、CPU413は自動的に割込モード0になる。よって、割込モード1または割込モード2に設定したい場合には、初期設定処理において、割込モード1または割込モード2に設定するための処理を行う必要がある。
割込モード1:割込が受け付けられると、常に0038(h)番地に飛ぶモードである。
割込モード2:CPU413の特定レジスタ(Iレジスタ)の値(1バイト)と内蔵デバイスが出力する割込ベクタ(1バイト:最下位ビット0)から合成されるアドレスが、割込番地を示すモードである。すなわち、割込番地は、上位アドレスが特定レジスタの値とされ下位アドレスが割込ベクタとされた2バイトで示されるアドレスである。従って、任意の(飛び飛びではあるが)偶数番地に割込処理を設置することができる。各内蔵デバイスは割込要求を行うときに割込ベクタを送出する機能を有している。
よって、割込モード2に設定されると、各内蔵デバイスからの割込要求を容易に処理することが可能になり、また、プログラムにおける任意の位置に割込処理を設置することが可能になる。さらに、割込モード1とは異なり、割込発生要因毎のそれぞれの割込処理を用意しておくことも容易である。上述したように、この実施の形態では、初期設定処理のステップS2において、CPU413は割込モード2に設定される。
CPU413は、割込モード2の設定後、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定する(ステップS3)。そして、内蔵デバイスレジスタの初期化を行う(ステップS4)。また、CPU413が内蔵するCTC(タイマ/カウンタ回路)の初期化、およびCPU413の入力端子、出力端子の設定(ステップS5)を行った後、RAMをアクセス可能状態に設定する(ステップS6)。
次いで、CPU413は、入力回路415を介して出力端子PI2に入力されるクリアスイッチ38aの出力信号の状態を1回だけ確認する(ステップS7)。その確認においてオンを検出した場合には、CPU413は、通常の初期化処理を実行する(ステップS11〜ステップS15)。クリアスイッチ38aがオンである場合(押下されている場合)には、入力回路415の出力端子PI2には、ハイレベルのクリアスイッチ信号が出力される。遊技店員等の操作により、クリアスイッチ38aをオン状態にしながらパチンコ遊技機1に対する電力供給を開始する(例えば電源スイッチ38bをオンする)ことにで、容易に初期化処理を実行させることができる。すなわち、RAMクリア等を行うことができる。
クリアスイッチ38aがオンの状態でない場合には、前回、パチンコ遊技機1への電力供給が停止したときにバックアップRAM領域のデータ保護処理(例えばパリティデータの付加等の電力供給停止時処理)が行われたか否か確認する(ステップS8)。この実施の形態では、電力供給の停止が生じた場合には、バックアップRAM領域のデータを保護するための処理が行われている。そのような保護処理が行われていた場合をバックアップありとする。そのような保護処理が行われていないことを確認したら、CPU413は初期化処理を実行する。
この実施の形態では、バックアップRAM領域にバックアップデータがあるか否かは、電力供給停止時処理においてバックアップRAM領域に設定されるバックアップフラグの状態によって確認される。例えば、バックアップフラグ領域に「55H」が設定されていればバックアップあり(オン状態)を意味し、「55H」以外の値が設定されていればバックアップなし(オフ状態)を意味する。
バックアップありを確認したら、CPU413は、バックアップRAM領域のデータチェック(この例ではパリティチェック)を行う(ステップS9)。この実施の形態では、クリアデータ(00)をチェックサムデータエリアにセットし、チェックサム算出開始アドレスをポインタにセットする。また、チェックサムの対象となるデータ数に対応するチェックサム算出回数をセットする。そして、チェックサムデータエリアの内容とポインタが指すRAM領域の内容との排他的論理和を演算する。演算結果をチェックサムデータエリアにストアするとともに、ポインタの値を1増やし、チェックサム算出回数の値を1減算する。以上の処理が、チェックサム算出回数の値が0になるまで繰り返される。チェックサム算出回数の値が0になったら、CPU413は、チェックサムデータエリアの内容の各ビットの値を反転し、反転後のデータをチェックサムとする。
電力供給停止時処理において、上記の処理と同様の処理によってチェックサムが算出され、チェックサムはバックアップRAM領域に保存されている。ステップS9では、算出したチェックサムと保存されているチェックサムとを比較する。不測の停電等の電力供給停止が生じた後に復旧した場合には、バックアップRAM領域のデータは保存されているはずであるから、チェック結果(比較結果)は正常(一致)になる。チェック結果が正常でないということは、バックアップRAM領域のデータが、電力供給停止時のデータとは異なっていることを意味する。そのような場合には、内部状態を電力供給停止時の状態に戻すことができないので、電力供給の停止からの復旧時でない電源投入時に実行される初期化処理を実行する。
チェック結果が正常であれば、CPU413は、遊技制御手段の内部状態を電力供給停止時の状態に戻すための遊技状態復旧処理を行う(ステップS10)。そして、バックアップRAM領域に保存されていたPC(プログラムカウンタ)の退避値がPCに設定され、そのアドレスに復帰する。
初期化処理(ステップS11〜S15)では、CPU413は、まず、RAMの全領域をクリアするRAMクリア処理を行う(ステップS11)。なお、RAMの全領域を初期化せず、所定のデータ(例えば大当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータ)をそのままにしてもよい。例えば、大当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータをそのままにした場合には、不正な手段によって初期化処理が実行される状態になったとしても、大当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値が大当り判定値に一致するタイミングを狙うことは困難である。また、所定の作業領域(例えば、普通図柄判定用乱数カウンタ、普通図柄判定用バッファ、特別図柄左中右図柄バッファ、総賞球数格納バッファ、特別図柄プロセスフラグ、賞球中フラグ、球切れフラグ、払出停止フラグなど制御状態に応じて選択的に処理を行うためのフラグ)に初期値を設定する作業領域設定処理を行う(ステップS12)。
また、CPU413は、演出制御基板51を初期化するための初期化コマンドを演出制御基板51に送信する処理を実行する(ステップS14)。初期化コマンドとして、可変表示装置9に表示される初期図柄を示すコマンド等がある。
そして、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるようにCPU413に設けられているCTC3のレジスタの設定が行われる(ステップS15)。すなわち、初期値として2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。
CTCのチャネル3(CH3)のカウントアップにもとづく割込は、CPU413の内部クロック(システムクロック)をカウントダウンしてレジスタ値が「0」になったら発生する割込である。具体的には、CPU413の動作クロックを分周したクロックがCTCに与えられ、クロックの入力によってレジスタの値が減算され、レジスタの値が0になるとタイマ割込が発生する。例えば、CH3のレジスタ値はシステムクロックの1/256周期で減算される。分周したクロックにもとづいて減算が行われるので、レジスタの初期値は大きくならない。ステップS15において、CH3のレジスタには、初期値として2msに相当する値が設定される。
初期化処理(ステップS11〜S15)が完了すると、メイン処理で、表示用乱数更新処理(ステップS17)および初期値用乱数更新処理(ステップS18)が繰り返し実行される。表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理が実行されるときには割込禁止状態とされ(ステップS16)、表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理の実行が終了すると割込許可状態とされる(ステップS19)。表示用乱数とは、可変表示装置9に表示される図柄を決定するための乱数であり、表示用乱数更新処理とは、表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。また、初期値用乱数更新処理とは、初期値用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。初期値用乱数とは、大当りとするか否かを決定するための乱数を発生するためのカウンタ(大当り決定用乱数発生カウンタ)等のカウント値の初期値を決定するための乱数である。後述する遊技制御処理において、大当り決定用乱数発生カウンタのカウント値が1周すると、そのカウンタに初期値が設定される。
なお、表示用乱数更新処理が実行されるときには割込禁止状態とされるのは、表示用乱数更新処理が後述するタイマ割込処理でも実行されることから、タイマ割込処理における処理と競合してしまうのを避けるためである。すなわち、ステップS17の処理中にタイマ割込が発生してタイマ割込処理中で表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新してしまったのでは、カウント値の連続性が損なわれる場合がある。しかし、ステップS17の処理中では割込禁止状態にしておけば、そのような不都合が生ずることはない。
タイマ割込が発生すると、CPU413はタイマ割込処理を実行する。図10には、タイマ割込処理を示すフローチャートである。このタイマ割込処理は、2ms毎に実行される。タイマ割込処理では、まず、レジスタの退避処理(ステップS19)および電源断確認処理(ステップS20)を行った後、S21〜S33の遊技制御処理Pを実行する。遊技制御処理Pにおいて、CPU413は、まず、スイッチ回路58を介して、ゲートスイッチ23a、始動口スイッチ25b、カウントスイッチ30dおよび入賞口スイッチ26a、27a、28a、29a等のスイッチの検出信号を入力し、それらの状態判定を行う(スイッチ処理:ステップS21)。なお、電源断確認処理(ステップS20)は、タイマ割込処理において、実質的に最初に実行される。
次に、遊技制御に用いられる大当り判定用の乱数等の各判定用乱数を生成するための各カウンタのカウント値を更新する処理を行う(ステップS22)。CPU413は、さらに、初期値用乱数および表示用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理を行う(ステップS23、S24)。
さらに、CPU413は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS25)。特別図柄プロセス制御では、遊技状態に応じてパチンコ遊技機1を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、特別図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。また、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS26)。普通図柄プロセス処理では、普通図柄表示器10の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、普通図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。
次いで、CPU413は、特別図柄に関する演出制御コマンドをRAM412の所定の領域に設定して演出制御コマンドを送出する処理を行う(特別図柄コマンド制御処理:ステップS27)。また、普通図柄に関する演出制御コマンドをRAM412の所定の領域に設定して演出制御コマンドを送出する処理を行う(普通図柄コマンド制御処理:ステップS28)。
さらに、CPU413は、例えばホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報などのデータを出力する情報出力処理を行う(ステップS29)。
また、CPU413は、入賞口スイッチ26a、27a、28a、29a等の検出信号にもとづく賞球個数の設定などを行う賞球処理を実行する(ステップS30)。具体的には、入賞口スイッチ26a、27a、28a、29a等の何れかがオンしたことにもとづく入賞検出に応じて、払出制御基板37に賞球個数を示す払出制御コマンドを出力する。払出制御基板70に搭載されている払出制御用CPU711は、賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて球払出装置71を駆動する。
そして、CPU413は、始動入賞記憶数の増減をチェックする記憶処理を実行する(ステップS31)。また、遊技機の制御状態を遊技機外部で確認できるようにするための試験信号を出力する処理である試験端子処理を実行する(ステップS32)。さらに、所定の条件が成立したときにソレノイド回路47に駆動指令を行う(ステップS33)。可変入賞球装置25または開閉板30を開状態または閉状態としたり、大入賞口内の遊技球通路を切り替えたりするために、ソレノイド回路47は、駆動指令に応じてソレノイド25c、30a、30bを駆動する。その後、レジスタの内容を復帰させ(ステップS34)、割込許可状態に設定する(ステップS35)。
本実施形態の遊技制御処理Pを含むタイマ割込処理は、2ms毎に起動されることになる。なお、この実施の形態では、タイマ割込処理内で遊技制御処理Pが実行されているが、タイマ割込処理では例えば割込が発生したことを示すフラグのセットのみがなされ、遊技制御処理Pはメイン処理において実行されるようにしてもよい。
以上、本実施形態では、遊技機における制御基板として、パチンコ遊技機1の主基板40を例に取って説明したが、制御基板としては、主基板40に限られるものではなく、センサが接続可能な各種基板、例えば、演出制御基板51等に適用することも可能である。
なお、本実施形態では、主基板40に設けた第1センサ用IC45a、第2センサ用IC45b、並びに、第1センサ18aもしくは第2センサ18bの接続形態について、説明を行ったが、主基板40に接続される電気部品は、必ずしもセンサに限られるものでは無く、ソレノイド等、各種電気部品を採用することが可能である。その際、主基板40側には、接続される電気部品に対応する電気部品用ICが設けられることになる。言い換えると、電気部品用ICには、電気部品からの入力信号を処理する形態(センサ等の接続時)、あるいは、電気部品への出力信号を制御する形態(ソレノイド等の接続時)、あるいは、その両方を取ることが考えられる。
また、上記各実施形態において、第1センサ用IC45a、第2センサ用IC45bは、1のセンサ(第1センサ18aもしくは第2センサ18b)を接続可能な形態となっているが、第1センサ用IC45a、第2センサ用IC45bには、複数のセンサを接続可能としてもよい。例えば、第2センサ用IC45bで複数のセンサを接続可能とする場合、第2センサ用IC45bには、信号入力端子A2、信号出力端子Y2が各センサ用に複数個設けられる。電源端子B2、接地端子Gは共用することが可能である。このように複数のセンサを使用可能なセンサ用ICとすることで、主基板40(制御基板)の使用面積を抑えつつ、パチンコ遊技機1で必要となる複数の検出対象をセンシングすることが可能となる。
なお、上記の各実施の形態のパチンコ遊技機1は、始動入賞にもとづいて可変表示装置24に可変表示される特別図柄の停止図柄が所定の図柄の組み合わせになると所定の遊技価値が遊技者に付与可能になる第1種パチンコ遊技機であったが、始動入賞にもとづいて開放する電動役物の所定領域への入賞があると所定の遊技価値が遊技者に付与可能になる第2種パチンコ遊技機や、始動入賞にもとづいて可変表示される図柄の停止図柄が所定の図柄の組み合わせになると開放する所定の電動役物への入賞があると所定の権利が発生または継続する第3種パチンコ遊技機、あるいは、外部に賞球することなく、内部で賞球をカウントする封入式のパチンコ遊技機であっても、本発明を適用できる。
また、遊技媒体が遊技球であるパチンコ遊技機に限られるものではなく、遊技媒体がメダルなどのスロット機等の遊技機に対しても、本発明を適用できる。