JP2017209081A - 細胞培養担体および細胞培養モジュール - Google Patents

細胞培養担体および細胞培養モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】ES細胞、iPS細胞等の未分化細胞を効率良く凝集させ、かつ、未分化状態を保持しながら細胞を増殖させて、播種された細胞の損失を防止し、且つ均一なサイズの細胞凝集塊を形成することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る細胞培養担体は、多孔体からなるとともに、上面に複数のウェル3を有する基体2を備え、前記基体の上面の前記ウェルを除く部分の細胞接着性が前記ウェル内面の細胞接着性よりも低く形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、胚性幹細胞(ES細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)や体性幹細胞等の未分化な細胞の培養に好適な細胞培養担体および細胞培養モジュールに関する。
近年、ヒト骨髄液からの幹細胞の分離、目的とする組織細胞への分化・誘導、三次元培養技術、足場材料の開発等の進歩に伴い、細胞培養によって幹細胞から皮膚、骨、軟骨、血管、心臓弁、靭帯等の組織を作製することが可能となり、一部では、既に臨床応用が開始されている。
一方、ES細胞、iPS細胞に代表される未分化細胞は、他のすべての組織細胞に分化することができる全能性を有する細胞であることから、再生医療への応用が期待されている細胞である。このため、未分化細胞から組織細胞への分化誘導法の研究が盛んに進められている。
前記ES細胞、iPS細胞を再生医療の目的で使用するためには、これらの細胞を大量に増殖させる技術が必要である。
従来、上記のようなES細胞、iPS細胞等に代表される未分化な細胞を増殖または維持するための一般的な培養担体としては、プラスチックシャーレ上に、コラーゲン、ゼラチン、ラミニン、マトリゲル等の生体内成分をコーティングしたものに、マウス由来やヒト組織由来の支持細胞を増殖させたものが用いられている。
例えば特許文献1には、表面が多孔体からなる複数の凹部(ウェル)が、基体表面にマトリックス状に配列されている細胞培養担体が開示されている。この特許文献1に示された細胞培養担体の構造の模式図を図6に示す。
この細胞培養担体30は、表面が多孔体からなる複数の凹部(ウェル)31が、基体表面にマトリックス状に配列されているものである。このような形状の細胞培養担体30を用いることにより、基体表面に形成された凹部(ウェル)内31のみで細胞を増殖させることが可能となり、ES細胞等の未分化細胞の細胞凝集塊(スフェロイド)のサイズ制御を行うことができる。
また、前記凹部31の表面を多孔体で構成することにより、培養細胞が細胞培養担体30の凹部31内へ適度に接着し、かつ、剥離しやすくなる。
このため、培養細胞を回収する際、特に、ヒトiPS細胞等において好ましくない、長時間の酵素処理を要することなく、培養細胞の該培養担体に対する付着および剥離を、より効率的に行うことができる。
特開2008−306987号公報
ところで、前記特許文献1に示された細胞培養担体にあっては、上記したように、ES細胞等の細胞凝集塊のサイズ制御が可能となり、培養細胞の該培養担体に対する付着および剥離を、より効率的に行うことができる。
しかしながら、図6に示すように細胞培養担体30の表面30aに播種された未分化細胞は、自然沈降によって複数の凹部(ウェル)31以外の細胞培養担体表面30aに播種される。その状態を図7に示す。尚、図7中、斜線部分は未分化細胞が播種された領域を示している。
このように播種された細胞は、複数の凹部(ウェル)31内にだけでなく、凹部(ウェル)31以外の細胞培養担体表面30aにも存在する。
この細胞培養担体表面30aに付着した未分化細胞のうち、細胞塊を形成できない細胞は死滅し、細胞塊を形成した細胞は不均一な細胞塊となるため、播種された細胞の多くが損失されることとなり、ES細胞、iPS細胞等の未分化細胞を効率的に培養することができないという技術的課題があった。
本願発明者は、上記技術的課題を解決するために、ES細胞、iPS細胞等の未分化細胞を細胞培養担体表面に播種する際、複数の凹部以外に播種された未分化細胞を凹部(ウェル)内へ導くことを前提に、細胞培養担体に改良を加え、本発明を完成するに至った。
本発明は、ES細胞、iPS細胞等の未分化細胞を効率良く凝集させ、かつ、未分化状態を保持しながら細胞を増殖させて、播種された細胞の損失を防止し、且つ均一なサイズの細胞凝集塊を形成することができる細胞培養担体、及び細胞培養モジュールを提供することを目的とする。
上記目的を達成するためになされた本発明にかかる細胞培養担体は、多孔体からなるとともに、上面に複数のウェルを有する基体を備え、前記基体の上面の前記ウェルを除く部分の細胞接着性が前記ウェル内面の細胞接着性よりも低く形成されていることに特徴を有する。
尚、少なくとも前記基体の上面の前記ウェルを除く部分に、細胞の接着性を低下させる細胞非接着性膜が形成されていることが望ましい。
また、前記細胞非接着性膜は、ゼラチンを含む材料、アガロース、ポリエチレングリコール、ポリジメチルシロキサン、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポロキサマー、ウシ血清アルブミン、ラミニンの少なくとも1種を含む材料により形成されていることが望ましい。
このように構成することにより、細胞の播種時に細胞培養担体の裏面側から吸引または/および表面側から加圧した際、基体上面においてウェルを除く部分の細胞接着性が、ウェル内よりも低いため、そこに播種された細胞を損失することなく効率的にウェル内に集めることができる。即ち、細胞培養担体に播種した細胞の殆どをウェル内に細胞凝集塊として取り込むことができる。
また、上記目的を達成するためになされた本発明にかかる細胞培養モジュールは、前記した細胞培養担体を用いる細胞培養モジュールであって、前記細胞培養担体の裏面側に吸引部または/および表面側に加圧部を設けたことに特徴を有する。
このようなモジュールによれば、基体上面においてウェルを除く部分の細胞接着性が、ウェル内よりも低いため、そこに播種された細胞を損失することなく効率的にウェル内に集めることができる。即ち、細胞培養担体に播種した細胞の殆どをウェル内に細胞凝集塊として取り込むことができる。
本発明によれば、ES細胞、iPS細胞等の未分化細胞を効率良く凝集させ、かつ、未分化状態を保持しながら細胞を増殖させて、播種された細胞の損失を防止し、且つ均一なサイズの細胞凝集塊を形成することができる細胞培養担体、及び細胞培養モジュールを得ることができる。
図1は、本発明の細胞培養担体の第1の実施形態を示す概念図(斜視図)である。 図2は、図1のI−I断面図である。 図3は、図1の細胞培養担体を保持するモジュールを模式的に示す断面図である。 図4は、図1の細胞培養担体の変形例を示す断面図である。 図5は、図1の細胞培養担体の他の変形例を示す断面図である。 図6は、従来の細胞培養担体を示す概念図(斜視図)である。 図7は、従来の細胞培養担体に未分化細胞を播種した状態を示す概念図(断面図)である。
以下、本発明にかかる細胞培養担体の第1の実施形態を、図1及び図2に基づいて説明する。
図示するように、この第1の実施形態の細胞培養担体1は、上面に複数のウェル3を有し、例えば平均細孔径が0.2μmである細孔cを有し、気孔率が約40%の多孔体からなる基体2から構成されている。前記基体2は、セラミックス多孔質焼成体で形成されている。図1に示すように、セラミックス粒子Sの間に前記細孔cが形成され、前記所定の気孔率に形成されている。
また、図2に示すように、前記基体2の厚さ寸法t1(基体2の表面2aから下面(裏面)2bまでの距離)は例えば2mmに形成され、ウェル3の開口部の直径dは例えば200〜300μmに形成され、深さt2(基体2の表面2aからウェル最底部3aまでの距離)は例えば200〜300μmに形成されている。ここで、前記基体2は気孔率が30%以上80%以下、平均細孔径が0.01μm以上1.0μm以下であることが好ましい。
このように、前記基体2は、特定の細孔径及び気孔率を有する多孔体から構成されているため、細胞培養担体1に未分化細胞を播種の際、図3に模式的に示すようなモジュール容器5(細胞培養モジュール)内に細胞培養担体1を配置し、例えば図2に矢印で示すように細胞培養担体1(基体2)の裏面側に設けた吸引部5aから吸引を行うことができる(または、細胞培養担体1の上面側(表面側)に設けた加圧部5bから加圧してもよい)。
また、特定の平均細孔径とすることにより、細胞培養担体1のウェル3内に培養細胞が適度に接着することができ、かつ、より容易に剥離することができる。
また、図2に示すように前記基体2の上面において、前記複数のウェル3を除く部分には、所定厚さの細胞非接着性膜4が形成されている。この細胞非接着性膜4は、細胞の接着性を著しく低下させる物質、例えば、動物の結合組織の主成分であるコラーゲンから抽出したゼラチンにより形成されている。それにより細胞培養担体1表面において前記ウェル3を除く部分の細胞接着性が、前記ウェル3内面よりも低くなされている。なお、前記細胞非接着性膜4は、基体2の上面において、複数のウェル3を除く部分の全面に形成されていてもよいし、ある程度の面積に点在していてもよい。前記細胞非接着性膜4を基体2の上面に点在させる場合は、点在させた細胞非接着性膜4の総面積が基体2上面の面積の50%以上になるように設けるのが好ましい。また、前記細胞非接着膜4の膜厚は特に限定されるものではないが、10nm〜10μmの範囲であればよい。
尚、このように細胞接着性の差異を持たせるために、前記細胞非接着性膜4は、前記ゼラチンの他、寒天の主要な多糖成分であるアガロース、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(poly 2-hydroxyethyl methacrylate,poly-HEMA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ウシ血清アルブミン(BSA)、ラミニン、ブロック重合体であるpoloxamerのいずれかにより形成されてもよい。
また、細胞培養担体1の上面においてウェル3を除く部分に前記細胞非接着性膜4を形成するには、前記した細胞非接着性膜4の材料を溶かして溶液とし、例えばろ紙、スポンジ材、多孔性のゴム等に浸漬し、これを細胞培養担体1の上面に軽く押し当てる。それにより、ウェル3内部には前記溶液は入り込まず、ウェル3を除く部分に細胞非接着性膜4を形成することができる。
このように細胞培養担体1において、ウェル3を除く部分の細胞接着性が、前記ウェル3内面より低くなされることにより、例えば、細胞培養担体1をモジュール等の容器に組み込み、細胞培養担体1の裏側から減圧吸引(或いはウェル3側から加圧)すれば、ウェル3を除く部分に播種された細胞を損失させずに効率的にウェル3内に集めることができる。
尚、図2に示すように細胞非接着性膜4は細胞培養担体1上面においてウェル3を除く部分のみに形成したが、少なくともウェル3を除く部分に形成されていればよく、図2に示した形態に限定されるものではない。
例えば、図4に示すように、ウェル3の開口部からウェル3内の所定の深さまで細胞非接着性膜4を形成してもよい。
或いは、図5に示すように、細胞非接着性膜4の縁がウェル3の開口部内(中空)まで突出するように形成してもよい。
また、前記ウェル3の形状は、特に限定されるものではなく、基体2の表面2aに上記サイズでの加工が可能である限り、種々の形状とすることができる。
特に、本発明に係る細胞培養担体1から剥離した細胞塊を浮遊培養に用いる場合には、剥離性および形成する塊の形状等の観点から、底面が半球状であることが好ましい。
また、本発明においては、ウェル3のサイズを径と深さで表現しているが、本発明でいうウェル3の径dは、開口面が多角形状である場合、細胞培養担体1の基体2の表面2aのウェル3の開口面積を円に置き換えた場合の直径である。また、深さt2は、ウェル3の最も深い部分の深さである。
本発明に係る細胞培養担体1の材料としては、非金属無機材質が好ましく、特に、セラミックスが好適に用いられる。具体的な材質としては、生体安全性の高い、ジルコニア、イットリア、チタニア、アルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、ハイドロキシアパタイト、β−リン酸三カルシウム等が挙げられるが、これらの中でも、生体安定性が確認されている、アルミナ、ジルコニア、ハイドロキシアパタイト、β−リン酸三カルシウム、チタニアがより好ましい。特に、ジルコニアまたはアルミナが好ましい。
前記細胞培養担体1は、前記材料を用いて製作される多孔質焼成体であり、これにより培養担体に接着している細胞にも培養液を十分供給できる。
本発明にかかる細胞培養担体1を用いることにより、それぞれのウェル3の最底面部3aに均一に未分化細胞を集めることができ、未分化の状態を保持したまま、細胞塊を形成することができ、均一なサイズの細胞塊を未分化な状態を保持したまま、大量かつ効率的に培養することができる。
尚、細胞培養担体1(基体2)の裏面側から正の圧力を加えることにより、吸引の場合と同様に、前記基体2の表面2aと、ウェル最底部3aとの間に圧力損失の差が生じ、培養細胞塊を細胞培養担体1から容易に剥離させることもできる。
以上説明したように、本発明にかかる細胞培養担体及び細胞培養モジュールにあっては、細胞の播種時に細胞培養担体の裏面側から吸引または/および表面側から加圧した際、基板2上面2aにおいてウェル3を除く部分の細胞接着性が、ウェル3内よりも低いため、そこに播種された細胞を損失することなく効率的にウェル3内に集めることができる。即ち、細胞培養担体1に播種した細胞の殆どをウェル3内に細胞凝集塊として取り込むことができる。
尚、前記実施の形態においては、基体2の上面に細胞非接着性膜4を形成することにより、ウェル3を除く部分の細胞接着性を低下させるものとしたが、本発明にあっては、その構成に限定されるものでなく、ウェル3を除く部分の細胞接着性がウェル3内の細胞接着性よりも低くなれば如何なる構成も採用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明は、下記実施例により限定解釈されるものではない。
細胞培養担体の基体を下記製造方法により製作した。
〈基体の作製および細胞培養担体の評価〉
(実施例1)
原料として平均粒径0.5μmのアルミナ粉末(住友化学社製、AKP−20C)200gと、分散剤としてポリアクリル酸アンモニウム(東亜合成社製、アロンA−30SL)4g及びエポキシ樹脂(ナガセケムテックス社製、デナコールEX−614B)7gを、分散溶媒として純水50gを、ボールミルで15時間撹拌混合して原料スラリーを調製した。
さらにゲル化剤として3,3’−ジアミノジプロピルアミン(東京化成工業社製)2gを加えて、型に流し込み、アルミナ成形体を得た。この成形体を、1100℃で2時間焼成して、アルミナセラミックス焼結体を得た。この得られた焼結体に、所定のウェルを多数形成し基体とした。
この基体の厚さを、2mm、また、前記ウェルの直径を200μm、深さを200μmとした。この基体の平均細孔径は、0.2μm、気孔率は約40%であった。
また、この基体の前記ウェルを除く部分の表面に細胞非接着性膜としてゼラチンを塗布した。具体的には、3%ゼラチン水溶液を浸み込ませたろ紙をクリーンベンチ内に置き、基体上面を軽く押し付け、基体上面の凹部を除く部分にゼラチン塗布し、クリーンベンチ内で一晩、UV照射して殺菌した。
この基体にヒトiPS細胞5×10個をPBS(Phosphate Buffered Saline;リン酸緩衝生理食塩水)1mlに懸濁させた懸濁液(5×10個/ml)を播種し、基体の下方より真空ポンプを用いて−99kPaで約90秒吸引した後、COインキュベータ内で一晩培養した。細胞懸濁培養液の吸引速度は約10min/mlであった。
培養して1日経過後、培地交換を行い、回収した培地中の細胞数を数えた結果、細胞数は1×10個であった。
また、培養後の基体を1%グルタルアルデヒドで固定し、1%酸化オスミウムで処理後、凍結乾燥したサンプルをSEM(走査電子顕微鏡)観察した結果、培養1日後の基体上面のウェルを除く部分には細胞は殆ど無いことを確認した。更に培養3日目のサンプルには、基体上面のウェルを除く部分には細胞が無く、ウェル内には均一な細胞凝集塊を確認することができた。
以上の実施例1により、播種細胞を殆ど失うことなく、効率的に細胞凝集塊を形成できることを確認した。
(実施例2)
原料として平均粒径0.5μmのアルミナ粉末(住友化学社製、AKP−20C)200gと、分散剤としてポリアクリル酸アンモニウム(東亜合成社製、アロンA−30SL)4g及びエポキシ樹脂(ナガセケムテックス社製、デナコールEX−614B)7gを、分散溶媒として純水50gを、ボールミルで15時間撹拌混合して原料スラリーを調製した。
さらにゲル化剤として3,3’−ジアミノジプロピルアミン(東京化成工業社製)2gを加えて、型に流し込み、アルミナ成形体を得た。この成形体を、1100℃で2時間焼成して、アルミナセラミックス焼結体を得た。この得られた焼結体に、所定のウェルを多数形成し基体とした。
この基体の厚さを、2mm、前記ウェルの直径を300μm、深さを300μmとした。この基体の平均細孔径は、0.2μm、気孔率は約38%であった。
この基体上面のウェルを除く部分に、細胞非接着性膜としてポリヒドロキシエチルメタクリレート(poly 2-hydroxyethyl methacrylate,poly-HEMA,SIGMA,P3932)を塗布した。具体的には、ポリヒドロキシエチルメタクリレート1.2gを95%エタノール40mlに溶かし、その溶液を浸み込ませたろ紙をクリーンベンチ内に置き、基体表面を軽く押し付け、基体上のウェルを除く部分にpoly−HEMAを塗布した後、クリーンベンチ内で一晩UV照射し滅菌した。
この基体にヒトiPS細胞5×10個をPBS(Phosphate Buffered Saline;リン酸緩衝生理食塩水)1mlに懸濁させた懸濁液(5×10個/ml)を播種し、基体の下方より真空ポンプを用いて−99kPaで約90秒吸引した後、COインキュベータ内で一晩培養した。細胞懸濁培養液の吸引速度は約10min/mlであった。
培養して1日経過後、培地交換を行い、回収した培地中の細胞数を数えた結果、細胞数は2×10個であった。
また、培養後の基体を1%グルタルアルデヒドで固定し、1%酸化オスミウムで処理後、凍結乾燥したサンプルをSEM(走査電子顕微鏡)観察した結果、培養1日後の基体上面のウェルを除く部分には細胞は殆ど無いことを確認した。更に培養3日目のサンプルには、基体上面のウェルを除く部分には細胞が無く、ウェル内には均一な細胞凝集塊を確認することができた。
以上の実施例2により、播種細胞を殆ど失うことなく、効率的に細胞凝集塊を形成できることを確認した。
(比較例1)
原料として平均粒径0.5μmのアルミナ粉末(住友化学社製、AKP−20C)200gと、分散剤としてポリアクリル酸アンモニウム(東亜合成社製、アロンA−30SL)4g及びエポキシ樹脂(ナガセケムテックス社製、デナコールEX−614B)7gを、分散溶媒として純水50gを、ボールミルで15時間撹拌混合して原料スラリーを調製した。
さらにゲル化剤として3,3’−ジアミノジプロピルアミン(東京化成工業社製)2gを加えて、型に流し込み、アルミナ成形体を得た。この成形体を、1100℃で2時間焼成して、アルミナセラミックス焼結体を得た。この得られた焼結体に、所定のウェルを多数形成し基体とした。
この基体の厚さを2mm、前記ウェルの直径を200μm、深さを200μmとした。この基体の平均細孔径は、0.2μm、気孔率は約40%であった。
この基体にヒトiPS細胞5×10個をPBS(Phosphate Buffered Saline;リン酸緩衝生理食塩水)1mlに懸濁させた懸濁液(5×10個/ml)を播種し、基体の下方より真空ポンプを用いて−99kPaで約90秒吸引した後、COインキュベータ内で一晩培養した。細胞懸濁培養液の吸引速度は約10min/mlであった。
培養して1日経過後、培地交換を行い、回収した培地中の細胞数を数えた結果、細胞数は2×10個であった。
また、培養後の基体を1%グルタルアルデヒドで固定し、1%酸化オスミウムで処理後、凍結乾燥したサンプルをSEM(走査電子顕微鏡)観察した結果、培養1日後の基体上面のウェルを除く部分に細胞が存在することを確認した。更に培養3日目のサンプルには、基体上面のウェルを除く部分に細胞凝集塊の存在が確認された。
本発明の細胞培養担体は、ES細胞や成体幹細胞等の未分化な細胞の培養技術の発展、ひいては、生体組織の再生治療への応用に貢献し得る。
1 細胞培養担体
2 基体
2a 上面(表面)
2b 下面(裏面)
3 ウェル
3a ウェル最底部
4 細胞非接着性膜
5 モジュール容器(細胞培養モジュール)
5a 吸引部
5b 加圧部
d ウェル径
t1 基体の厚さ
t2 ウェル厚さ

Claims (4)

  1. 多孔体からなるとともに、上面に複数のウェルを有する基体を備え、
    前記基体の上面の前記ウェルを除く部分の細胞接着性が前記ウェル内面の細胞接着性よりも低く形成されていることを特徴とする細胞培養担体。
  2. 少なくとも前記基体の上面の前記ウェルを除く部分に、細胞の接着性を低下させる細胞非接着性膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載された細胞培養担体。
  3. 前記細胞非接着性膜は、ゼラチンを含む材料、アガロース、ポリエチレングリコール、ポリジメチルシロキサン、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポロキサマー、ウシ血清アルブミン、ラミニンの少なくとも1種を含む材料により形成されていることを特徴とする請求項2に記載された細胞培養担体。
  4. 前記請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された細胞培養担体を用いる細胞培養モジュールであって、
    前記細胞培養担体の裏面側に吸引部または/および表面側に加圧部を設けたことを特徴とする細胞培養モジュール。
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