次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。初めに、図1を参照して、契約栽培情報管理システム1の構成について説明する。図1は、契約栽培情報管理システム1の構成を示す説明図である。
契約栽培情報管理システム1は、生産物の契約栽培に関わる生産者、実需者、管理者へ契約栽培に関連する情報を提供するためのシステムである。生産者とは、農作業を行って生産物(農作物)を生産する者である。本実施形態では、特に契約栽培に従事する生産者のことを示す。実需者とは、生産者が契約に従って生産した生産物を買い取って、市場に流通させたり、加工業者に販売したりする者である。管理者とは、契約栽培の管理を行う者であり、本実施形態では、契約の仲介も行う。
契約栽培情報管理システム1は、管理者が提供する契約栽培情報管理サービスを実現するためのシステムである。図1に示すように、契約栽培情報管理システム1は、管理サーバ(契約栽培情報管理装置)10と、生産者端末41と、実需者端末42と、現場管理者端末43と、センター管理者端末44と、から構成される。管理サーバ10と、生産者端末41〜センター管理者端末44とは、インターネットを介して通信可能に構成されている。
管理サーバ10は、契約栽培情報管理サービスを提供するために管理者が運営するサーバである。管理サーバ10は、図2に示すように、記憶部20と、演算部30と、を備える。記憶部20は、生産者情報データベース21と、実需者情報データベース22と、契約情報データベース23と、商品登録情報データベース24と、商品購入情報データベース25と、土壌診断情報データベース26と、を備える。それぞれのデータベースの内容は後述する。
記憶部20は、例えば、ハードディスク、光ディスク、フラッシュメモリ(フラッシュディスク及びメモリーカード等)等の記憶装置から構成されている。記憶部20は、1つの記憶装置から構成されていても良いし、複数の記憶装置から構成されていても良い。
演算部30は、CPUを含んで構成されており、記憶部20又は別の記憶装置に記憶された制御プログラム(契約栽培情報管理プログラム)を読み出して実行することにより、管理サーバ10の各部を制御する。言い換えれば、CPU等のハードウェアと制御プログラム等のソフトウェアとが協働することにより、管理サーバ10を制御するための演算部30が構築されている。なお、演算部30は、CPUに限られず、FPGA又はASICであっても良い。演算部30は、例えば、インターネットを介して、他の端末と通信する処理(通信処理)、通信内容に基づいて記憶部20の記憶内容を更新する処理等を実行可能である。
生産者端末41は、生産者が使用する端末(電子機器、通信機器)である。生産者は、契約栽培情報管理サービスにログインすることで、管理サーバ10のデータベースの一部にアクセス可能となる。具体的には、管理サーバ10が提供するWEBサイトにID(生産者ID)とパスワードを入力することで、記憶部20が記憶する情報のうち、自身に関係する情報にアクセスすることができる(言い換えれば、演算部30は、ログインに用いたIDに応じた情報が生産者端末41に表示されるように処理を行う。表示される具体的な情報については後述)。
実需者端末42は、実需者が使用する端末(電子機器、通信機器)である。実需者は、生産者と同様に、契約栽培情報管理サービスにログインすることで、記憶部20が記憶する情報のうち、自身に関係する情報にアクセスすることができる。
現場管理者端末43は、現場管理者が使用する端末(電子機器、通信機器)であり、センター管理者端末44は、センター管理者が使用する端末(電子機器、通信機器)である。現場管理者は、地域毎に設けられた管理拠点に所属しており、生産者を訪問して管理を行うことが可能な者である。本実施形態では、生産者毎に現場管理者が定められているが、定められていなくても良い。これに対し、センター管理者は、管理センターに所属しており、主として契約栽培情報管理サービスを介して契約栽培の管理を行う者である。現場管理者及びセンター管理者は、契約栽培情報管理サービスにログインすることで、様々な情報を表示することができる。現場管理者及びセンター管理者は、契約栽培情報管理サービスを提供する管理会社に所属するため、管理している契約以外の情報にアクセス可能であっても良いし、セキュリティを考慮して、管理している契約の情報のみにアクセス可能であっても良い。なお、契約の仲介を行う管理者は、生産者及び実需者の情報が必要となるので、管理している契約以外の情報にアクセス可能である。
契約栽培情報管理サービスは、ブラウザを用いてWEBサイトにアクセスすることで提供されるサービスである。従って、生産者等は、契約栽培情報管理サービスにログイン可能な端末であれば、様々な端末から契約栽培に関する情報にアクセスできる。具体的には、ノートPC、デスクトップPC、タブレットPC、又はスマートフォンを介して契約栽培情報管理サービスにログイン可能である。なお、契約栽培情報管理サービスは、専用アプリケーションにより実現されていても良い。
次に、管理サーバ10の記憶部20が記憶する各データベースの内容について図2から図8を参照して説明する。
図3には、生産者情報データベース21に登録された生産者情報が示されている。生産者情報は、生産者に関する情報である。具体的には、生産者毎に、生産者ID、生産者名、住所、連絡先、担当管理者、作付け面積(全体及び生産物毎)、収穫量、導入装置・設備、及び生産履歴情報が登録されている。なお、図3に示す情報は一例であり、一部の項目を設けなくても良いし、別の項目が更に設けられていても良い。
生産者IDは、契約栽培情報管理サービスにおいて生産者毎に定められる文字列である。管理サーバ10は、生産者IDに基づいて生産者を区別する。また、契約情報等に生産者を登録する際にも生産者IDが用いられる。生産者名は生産者の名称(法人名又は個人名)である。担当管理者は、生産者に対応付けられた上述の現場管理者のIDである。作付け面積(全体)は、生産者の全体の作付け面積であり、作付け面積(生産物毎)は、生産物毎の作付け面積である。収穫量は、生産物毎の収穫量である。導入装置・設備は、生産者が導入している装置及び設備である。具体的には、図2に示すように、フォークリフト等の出荷作業を行うための機械、栽培管理ソフト等のソフトウェア又はシステム、所定の検査方法への対応の可否等が含まれる、また、導入装置・設備には、トラクタ、トラクタ用のアタッチメント、コンバイン、及び田植機等の農業機械の有無も含まれる。更には、農業機械の能力(例えばコンバインにおける条数、馬力、所定の機能の有無等)が含まれていても良い。
生産履歴情報は、生産者の過去の取引履歴に基づいて登録される情報である。生産履歴情報は、生産物毎(品目毎、又は、品種毎)の生産量及び生産品質を含んでいる。生産量は、1年あたり又は1回の作付けあたりの生産量である。生産量は、生産物の量(収量)を表すのであれば形式は任意である。生産量は、過去の所定年数の最小量と最大量であっても良いし、平均値であっても良い。生産品質は、検査等で認定される等級である。なお、生産品質は、生産物の品質を表すのであれば形式は任意であり、例えば果物の場合は測定した糖度であっても良いし、生産物の1つあたりの大きさであっても良い。詳細は後述するが、生産履歴情報は、栽培契約の出荷時に実需者等が登録した出荷情報(収量及び等級等)を、演算部30が記憶部20に登録し、演算部30が、蓄積された出荷情報に基づいて演算により求める。
図4には、実需者情報データベース22に登録された実需者情報が示されている。実需者情報は、実需者に関する情報である。具体的には、実需者毎に、実需者ID、実需者名、住所、及び連絡先が登録されている。なお、図4に示す情報は一例であり、一部の項目を設けなくても良いし、別の項目が更に設けられていても良い。実需者IDは、契約栽培情報管理サービスにおいて実需者毎に定められる文字列である。管理サーバ10は、実需者IDに基づいて実需者を区別する。実需者名は実需者の名称(法人名又は個人名)である。
図5には、契約情報データベース23に登録された契約情報が示されている。契約情報は、契約栽培に係る契約に関する情報である。具体的には、契約毎に、契約ID、契約名、地域、生産物(品目及び品種等)、生産現場状況、導入装置・設備、契約面積、出荷量・出荷回数、要求品質、用途、荷姿・引取場所、金額、契約実需者ID、契約生産者ID、スケジュール(出荷予定日、入出金予定日等)、及び出荷情報が登録されている。なお、図5に示す情報は一例であり、一部の項目を設けなくても良いし、別の項目が更に設けられていても良い。
契約IDは、契約栽培情報管理サービスにおいて契約毎に定められる文字列である。管理サーバ10は、契約IDに基づいて契約を区別する。契約名は契約の名称である。地域は、契約に係る圃場が存在する地域である。生産物は、契約に係る品目及び品種等である。生産現場状況は、生産現場(圃場)に関する状況(具体的には土壌の状態等)である。導入装置・設備は、要求される装置及び設備(具体例は、生産者情報と同様)である。契約面積は、契約の対象となる圃場の面積である。出荷量・出荷回数は、出荷時の生産物の重量及び出荷の回数である。要求品質は、契約に係る生産物の品質を表すものであり、例えば検査等で認定される等級である。用途は、契約に係る生産物の使用の用途(加工、販売等)である。荷姿・引取場所は、出荷時の荷姿及び出荷時の生産物の引取場所である。金額は、生産物の取引金額である。契約実需者IDは、契約を締結した実需者のIDである。契約生産者IDは、契約を締結した生産者のIDである。図2に示す例では、1つの契約に対し、2人の生産者が契約生産者となっている。スケジュールは、契約に係る予定、具体的には生育状況の調査、生産物の収穫、生産物の出荷、入出金等の予定日である。これらの予定には、当該予定を登録可能なIDの種類(生産者ID、実需者ID、管理者ID)が例えば記憶部20に登録されている。例えば、収穫予定日の登録は、管理者IDでログインした場合にしか行うことができない。出荷情報は、出荷時に登録される情報であり、出荷日、出荷した生産物の量、金額、等級等が含まれている。
図6には、商品登録情報データベース24に登録された商品登録情報が示されている。生産者は、契約栽培情報管理サービスを介して栽培に関する商品を閲覧、予約、及び購入が可能である。特に、本実施形態では、商品メーカーが登録した商品を管理者が仕入れ、生産者に販売する形態をとっている。商品登録情報は、登録された商品に関する情報であり、具体的には、商品毎に、商品ID、商品名、メーカー、商品説明、定価、販売価格が登録されている。
商品IDは、契約栽培情報管理サービスにおいて商品毎に定められる文字列である。管理サーバ10は、商品IDに基づいて商品を区別する。商品名は、商品の名称である。メーカは、商品を製造又は提供する企業の名称である。商品説明は、商品の説明であり、具体的には、商品画像、商品の成分、施用効果等である。例えば、商品が肥料の場合は含有成分等が商品説明として登録される。定価は、商品の定価である。販売価格は、商品の販売価格である。
図7には、商品購入情報データベース25に登録された商品購入情報が示されている。商品購入情報は、商品の購入に関する生産者の関心を示す情報であり、具体的には、生産者毎に予約情報が登録されている。詳細には、予約情報としての、予約日、予約履歴、訪問状況、及び購入状況が登録されている。なお、契約栽培情報管理サービスを介して決済が可能な場合は、決済状況が登録されていても良い。
予約日は、商品を予約した日である。予約履歴は、予約した商品の商品IDである。予約した商品が複数ある場合は、商品毎に予約日が登録される。訪問状況には、商品の予約後に、現場管理者が訪問を行ったか否かが登録されている。購入状況は、予約履歴がある商品が購入されたか否かが商品毎に登録されている。
図8には、土壌診断情報データベース26に登録された土壌診断情報が示されている。土壌診断とは、管理者が提供するサービスの1つであり、生産者の土壌を診断(成分分析)することで、生産物の品目・品種に適した土壌か、病害がないか、必要な肥料があるか、及び、土壌の改善に必要な肥料の量等を提供するものである。生産者は、契約栽培情報管理サービスを介して、土壌診断の結果を閲覧可能である。土壌診断情報は、土壌診断に関する情報であり、具体的には、生産者毎に、訪問希望日、訪問状況、診断項目、診断状況、及び診断結果が登録されている。
訪問希望日は、土壌診断のための訪問を希望する日時である。訪問希望日は、契約栽培情報管理サービスを用いて生産者が入力した日時である。訪問状況には、訪問希望日が登録された場合に、現場管理者が訪問を行ったか否かが登録されている。診断項目は、土壌診断を行う項目(例えば、肥料に関する診断、圃場の成分に関する診断等)である。診断状況は、土壌診断が開始されているか、又は終了しているかを示している。診断結果は、土壌診断の結果である。
次に、図9から図12を参照して、契約栽培情報管理システム1を用いた契約栽培の流れについて説明する。図9から図12は、契約栽培情報管理システム1を用いた契約栽培の流れを説明するシーケンス図である。以下の説明では、生産者、実需者、又は管理者が端末を介して契約栽培情報管理サービスにログインして、当該端末を操作して所定の情報を登録する(又は入力する)すること(即ち入力内容を管理サーバ10に送信して演算部30によって記憶部20に記憶させること)等を単に「契約栽培情報管理サービスに登録する(又は入力する)」等と表現することがある。
初めに、契約栽培情報管理サービスを用いて契約に至るまでの流れについて説明する。契約情報データベース23を用いて説明したように、契約栽培が定める事項は多岐にわたる。従って、実需者にとって、自身の要求を満たす生産者を見つけ、必要な生産量を確保することは非常に困難である。例えば、特許文献1に示すように、生産者が予定生産量及び予定生産品質を提示した場合であっても、生産者が予定通り生産できない可能性もある。
この点、本実施形態では、管理サーバ10に生産者の生産履歴情報が登録されている。生産者の生産履歴情報を参照することで、生産者が予定生産量及び予定生産品質を提示した場合であっても、生産者が予定通り生産できるか否かを判断することができる。また、生産者の能力を考慮することで、実需者の要求を満たす生産者を選択することもできる。
上述のように、生産者の生産履歴情報には、実需者はアクセスすることができず、管理者がアクセス可能である。また、生産者情報データベース21はデータベース化されているので、条件検索が可能であるとともに、設定した順序で生産者を並べることも可能である。具体的には、例えばセンター管理者は、センター管理者端末44を操作して生産者情報データベース21にアクセスする。そして、センター管理者は、実需者の要求に基づいて、例えば所定の生産地、生産量、生産品質、及び出荷時期等を条件として設定して、検索を行う。これにより、管理サーバ10は、当該条件に合致する生産者を選択(抽出)して表示する。なお、管理サーバ10は、例えば条件に完全に合致する生産者が存在しない又は少ない場合、条件に近似する生産者を更に表示しても良い。例えば、生産量が100kg以上という条件で検索を行った場合、生産量が所定量少ない(例えば生産量が90kg以上)の生産者を選択(抽出)して表示しても良い。
なお、管理者が手動で検索式を入力する構成に代えて、管理サーバ10が自動的に実需者の条件に合致する生産者を抽出しても良い。具体的には、実需者が実需者端末42を操作して要求する条件を契約栽培情報管理サービスに入力する。演算部30は、実需者端末42から受信した内容(条件)に基づいて、当該条件に合致する生産者を生産者情報データベース21にアクセスして選択(抽出)する。そして、演算部30は、実需者の要求とともに、当該条件に合致する生産者を管理者に通知する。
以上のように、管理者が実需者に生産者を紹介し、実需者と生産者の要求が合致することで、契約が締結される(シーケンス番号1)。本実施形態では、この契約は、生産者と、管理者(センター管理者)と、の間で締結される(実需者の代わりに管理者が契約当事者となる)が、生産者が実需者と直接契約しても良い。生産者又はセンター管理者は、契約の締結後、契約内容を現場管理者に通知する。この通知は、契約栽培情報管理サービスを介して行っても良いし、別の連絡手段により行っても良い。
現場管理者は、生産者又は実需者から通知された内容に基づいて、契約栽培情報管理サービスに契約情報を登録する(シーケンス番号2)。なお、契約情報の登録は、管理者IDでログインした場合にしか行うことができない(登録権限がない)ように構成されている。契約情報の登録はセンター管理者が行っても良い。次に、現場管理者は、契約情報に生産者を登録する(シーケンス番号3)。具体的には、現場管理者端末43に表示された所定の生産者登録画面において、生産者リストが表示され、該当する生産者を現場管理者端末43を用いて選択することにより、当該生産者が契約情報に登録される。ここで、登録した契約に複数の生産者が存在する場合は、生産者毎に契約内容を登録する(シーケンス番号4)。
契約内容の登録後、管理サーバ10は当該契約を締結した生産者及びセンター管理者に契約内容を通知する。具体的には、契約栽培情報管理サービスのメッセージ機能により通知が行われる。なお、生産者情報にメールアドレスが登録されている場合は、該当するメールアドレスにメールを送信することで通知を行っても良い。生産者及びセンター管理者は、この通知を受けて契約内容を確認する(シーケンス番号5)。以下の説明では、契約栽培情報管理サービスのメッセージ機能又は電子メール等を用いて管理サーバ10が自動的に(管理者等の指示なく)通知を行うことを単に「通知」と表現することがある。なお、この「通知」には、管理サーバ10が通知タイミングを定めて行う通知と、生産者又は実需者が入力した情報を管理サーバ10が受信したタイミングで行う通知と、の両方が含まれるとする。ここで、契約栽培情報管理サービスのメッセージ機能について簡単に説明する。このメッセージ機能では、ログインしたIDに応じたメッセージが表示される。例えば、生産者IDでログインした場合は、この生産者に関連するメッセージ(この生産者が契約している案件に関するメッセージ、商品の購入に関するメッセージ、土壌診断に関するメッセージ等)が表示される。また、生産者は、メッセージの種類(契約栽培、商品購入、土壌診断)、栽培契約の進捗状況(契約交渉中、契約成立)、メッセージの内容(生育状況、検査結果)等に基づいてメッセージをソートしたり検索したりすることができる。実需者及び管理者においても同様である。
今回締結した契約において、実需者は生育調査を契約内容に含めているとする。生育調査とは、生産物の生育状況を調査することであり、具体的には、生産者が撮影した写真、生産者が測定した数値、及び生産者が作成したコメント等が契約栽培情報管理サービスを介して記録・共有される。実需者は、生育調査をセンター管理者に依頼する(シーケンス番号6)。この依頼は、契約栽培情報管理サービスのメッセージ機能により行われても良いし、他の連絡手段で行われても良い。センター管理者は、実需者からの生育調査の依頼を契約栽培情報管理サービスに登録する(シーケンス番号7)。ここで登録された生育調査の予定は、当該契約に関わる、生産者、実需者、及び管理者が閲覧可能である。
センター管理者が生育調査の予定を登録することで、その旨が生産者に通知される。生産者は、この依頼を受けて生育調査を実施し(シーケンス番号8)、生育調査の結果を契約栽培情報管理サービスに登録する(シーケンス番号9)。生育調査の結果が登録された旨は、管理者及び実需者に通知される。
センター管理者及び実需者は、生育調査の結果を確認し(シーケンス番号10)、必要に応じて生産者に指示を行う。ここで、生育調査のアドバイスを外部の専門家に委託することもできる。この場合、生産者が生育調査の結果を登録した場合に、外部の専門家にも通知がされることが好ましい。
次に、センター管理者は、契約時に登録した収穫予定日に基づいて、収穫予定日の確認を行う(シーケンス番号11)。具体的には、収穫予定日が近づいた旨を生産者へ通知する。なお、センター管理者の操作なしに(即ち予め設定された日時になると自動的に)通知が行われても良い。生産者は、この通知を受けると、生育状況に基づいて実際の収穫予定日を定め、センター管理者に通知する(シーケンス番号12)。センター管理者は、生産者からの通知に基づいて、実際の収穫予定日を契約栽培情報管理サービスに登録する(シーケンス番号13)。なお、収穫予定日の登録も、生産者が行う作業であるが、管理者IDでログインしないと行うことができないように構成されている。また、センター管理者が実際の収穫予定日を登録することで、実需者にその旨が通知される。実需者は、その通知に基づいて収穫予定日を確認する(シーケンス番号14)。
その後、収穫予定日になり、生産者が生産物の収穫を実施する(シーケンス番号15)。生産者は、収穫の完了後、その旨をセンター管理者に通知する(シーケンス番号16)。センター管理者は、この通知を受けて、収穫日を契約栽培情報管理サービスに登録する(シーケンス番号17)。なお、収穫日の登録も、管理者IDでログインしないと行うことができないように構成されている。また、センター管理者が収穫日を登録することで、実需者にその旨が通知される。実需者は、その通知に基づいて収穫日を確認する(シーケンス番号18)。
その後、生産者は、収穫した生産物の集計が完了すると、収量を実需者に通知する(シーケンス番号19)。実需者は、この通知を受けて、集荷(出荷)予定日を登録する(シーケンス番号20)。また、実需者が集荷日を登録することで、管理者と生産者にその旨が通知される。生産者は、その通知に基づいて集荷日を確認する(シーケンス番号21)。
センター管理者は、検査予定日に基づいて、検査予定日の確認及び契約栽培情報管理サービスへの登録を行う(シーケンス番号22)。センター管理者が検査予定日を登録することで、生産者にその旨が通知される。生産者は、生産物の検査を実施し、検査結果をセンター管理者に通知する(シーケンス番号23)。センター管理者は、生産者からの通知に基づいて、検査結果を契約栽培情報管理サービスに登録する(シーケンス番号24)。また、センター管理者が検査結果を登録することで、生産者及び実需者にその旨が通知される。生産者及び実需者は、その通知に基づいて検査結果を確認する(シーケンス番号25)。
次に、実需者は、検査サンプルの提出を生産者に依頼する(シーケンス番号26)。この依頼を受けて、生産者は、検査サンプルを実需者に提出する(シーケンス番号27)。実需者は、検査サンプルの受領を契約栽培情報管理サービスに登録する(シーケンス番号28)。次に、生産者は、栽培計画書をセンター管理者に提出し(シーケンス番号29)、センター管理者が栽培計画書を契約栽培情報管理サービスに登録する(シーケンス番号30)。
次に、実需者は、集荷実施日を生産者に通知する(シーケンス番号31)。生産者は、この通知を受けて集荷実施日を確認し(シーケンス番号32)、当該集荷実施日に生産物を出荷する(シーケンス番号33)。実需者は、集荷の完了後、集荷実施日及び等級別の収量(即ち出荷情報)を契約栽培情報管理サービスに登録する(シーケンス番号34,35)。実需者が出荷情報を契約栽培情報管理サービスに登録(即ち管理サーバ10の記憶部に登録)することで、契約情報が更新される。演算部30は、この更新された出荷情報に基づいて、生産者情報の生産履歴情報を更新する。なお、実需者に代えて管理者が出荷情報を登録しても良い。これにより、実際の契約栽培に基づいて、生産者の生産能力が登録されることとなる。また、実需者は、出荷情報の登録後、納品書を現場管理者に送付する(シーケンス番号36)。
現場管理者は、納品書の受取後、確定した金額を契約栽培情報管理サービスに登録する(シーケンス番号37)。ここで登録された金額も出荷情報の一部であり、演算部30は、この更新された出荷情報に基づいて、生産者情報の生産履歴情報を更新する。また、現場管理者は、生産者への入金予定日を契約栽培情報管理サービスに登録する(シーケンス番号38)。現場管理者が入金予定日を登録することで、その旨が生産者に通知される。生産者は、この通知を受けて入金予定日を確認する(シーケンス番号39)。
また、現場管理者は、実需者への請求書を発行し(シーケンス番号40)、請求書の発行日を登録する(シーケンス番号41)。実需者は、送付された請求書を確認し、現場管理者へ入金を行う(シーケンス番号42)。現場管理者は、実需者からの入金確認後、生産者へ支払いを行う(シーケンス番号43)。
上記では、様々なスケジュールの日時を登録したが、生産者、実需者、及び管理者は、これらの日時をカレンダー形式で確認することができる。また、複数の契約を締結している場合、契約毎にスケジュールの日時を確認することも可能であるし、全ての契約のスケジュールの日時を1つのカレンダーに表示することもできる。
次に、図13を参照して、契約栽培情報管理サービスを介した商品の予約から現場管理者が訪問するまでの流れを説明する。図13は、契約栽培情報管理システム1を用いた商品予約の流れを説明するシーケンス図である。以下の説明においても、契約栽培情報管理サービスのメッセージ機能又は電子メール等を用いて管理サーバ10が自動的に(管理者等の指示なく)通知を行うことを単に「通知」と表現することがある。
上述したように、生産者は、契約栽培情報管理サービスを介して、商品を閲覧して予約することができる(シーケンス番号1)。ここで生産者が予約した履歴(予約内容)は、所定時間毎又はリアルタイムで、現場管理者(詳細には生産者に対応付けた現場管理者)及びセンター管理者に通知される(シーケンス番号2)。現場管理者は、この予約内容を確認する(シーケンス番号3)。
現場管理者は、通知された予約内容(即ち生産者の需要情報)をもとに、生産者を訪問する(シーケンス番号4)。この訪問において、現場管理者は、商品の説明又は商品の提案を行う。現場管理者は、契約栽培情報管理サービスにログインして、この生産者の商品の予約履歴に加え、生産者情報及び土壌診断情報等を確認する。これにより、生産者の事情に合致した商品を容易に提案できる。なお、これらの提案は、契約栽培情報管理サービスを介して(例えばメッセージ機能等により)行うこともできる。
現場管理者は、生産者を訪問した後に、訪問結果を契約栽培情報管理サービスに登録する(シーケンス番号5)。これにより、商品購入情報データベース25が更新される。また、センター管理者は、現場管理者が所定日時以上、生産者を訪問していない場合、その旨の通知を現場管理者に行う。なお、センター管理者の操作なしに(即ち予め設定された日時になると自動的に)通知が行われても良い。
次に、図14を参照して、契約栽培情報管理サービスを介した土壌診断の流れを説明する。図14は、契約栽培情報管理システム1を用いた土壌診断の流れを説明するシーケンス図である。以下の説明においても、契約栽培情報管理サービスのメッセージ機能又は電子メール等を用いて管理サーバ10が自動的に(管理者等の指示なく)通知を行うことを単に「通知」と表現することがある。
上述したように、生産者は、契約栽培情報管理サービスを介して、土壌診断を予約することができる(シーケンス番号1)。ここで生産者が土壌診断を予約した場合、リアルタイムで現場管理者及びセンター管理者に通知される(シーケンス番号2)。現場管理者は、この土壌診断の予約内容を確認する(シーケンス番号3)。現場管理者は、生産者が契約栽培情報管理サービスを介して登録した希望訪問日に生産者を訪問し、土壌診断を行う(シーケンス番号4)。
その後、土壌診断の結果が得られると、その旨がセンター管理者によって契約栽培情報管理サービスに登録される(シーケンス番号5)。センター管理者が土壌診断の結果を登録することで、その旨が生産者に通知される。生産者は、契約栽培情報管理サービスにログインして土壌診断の結果を確認する(シーケンス番号6)。
次に、契約栽培情報管理サービスを用いて、生産者が契約に入札する際の流れについて図15を参照して説明する。図15は、契約栽培情報管理システムを用いた生産者の入札の流れを説明するシーケンス図である。以下の説明においても、契約栽培情報管理サービスのメッセージ機能又は電子メール等を用いて管理サーバ10が自動的に(管理者等の指示なく)通知を行うことを単に「通知」と表現することがある。
上記では、実需者の要求等に基づいて、管理者が生産者を紹介する流れを説明したが、契約栽培情報管理システム1を用いることで、生産者が自発的に契約に入札することもできる。以下の説明では、実需者が提供する契約栽培の契約において、入札形式で契約相手(生産者)を決める案件を「入札案件」と称する。
初めに、実需者は、入札案件の登録申請を行う(シーケンス番号1)。この登録申請には、入札案件において実需者が要求する条件(即ち、上述の契約情報として登録された事項)が含まれる。ただし、出荷量においては、複数の生産者が共同で達成可能であるため、例えば、最低出荷量(100kg)〜最大出荷量(1000kg)等のように幅のある条件が登録されていても良い。また、契約金額(入札金額)を生産者に記載させるオークション形式としても良いし、実需者が契約金額を記載しても良い。更に、生産者は、入札資格を定めることもできる。入札資格としては、該当する生産物について、所定年以内に所定量以上の出荷を所定回以上行ったことがある生産者、所定年以内に所定以上の品質(等級)を所定回以上取得したことがある生産者等が登録可能である。入札資格は、入札のために絶対にみたす必要がある資格と、入札のために満たすことが好ましい資格と、に分けられていても良い。なお、実需者は、契約栽培情報管理サービスを介して、入札案件の登録申請を行うが、別の方法で入札案件の登録申請を行っても良い。
実需者が入札案件の登録を行うことで、その旨がセンター管理者に通知される。センター管理者は、通知された入札案件に不備がないか等を確認したうえで、契約栽培情報管理サービスに登録する(シーケンス番号2)。なお、入札案件の確認及び登録を自動化しても良い。即ち、演算部30は、実需者が申請した入札案件の内容に不備がないか(例えば入力必須事項が空欄になっていないか等)を確認する処理を行い、不備がない場合又は不備が修正された場合に、当該入札案件を契約栽培情報管理サービスに登録する。
入札案件が登録されることで、入札案件が追加されたことが、契約栽培情報管理サービスに登録している生産者に通知される。なお、入札資格が定められている場合は、演算部30は、生産者情報の生産履歴情報にアクセスして入札案件の入札資格を満たす生産者を抽出する。演算部30は、入札資格を満たす生産者のリストをセンター管理者に通知して、センター管理者の許可があった後に、入札資格を満たす生産者に、新たな入札案件の登録を通知する(シーケンス番号3)。あるいは、演算部30は、センター管理者に許可を求めず、抽出した生産者に入札案件の追加を自動的に通知する(シーケンス番号3)。なお、契約栽培情報管理サービスに登録している全ての生産者に新たな入札案件の登録を通知しても良い。
入札案件が通知された生産者は、入札案件の内容を確認し、当該入札案件への入札を希望する場合は、契約栽培情報管理サービスを介して入札を行う(シーケンス番号4)。定められた期間の経過後、入札結果(入札者のリスト)が実需者に通知される(シーケンス番号5)。実需者は、入札結果に基づいて契約相手を選択して契約栽培情報管理サービスに登録する。これにより、選択された契約相手(生産者)へ入札成功の通知が行われる(シーケンス番号6)。また、実需者が契約相手の生産者を選択するための参考情報として、入札した生産者の生産履歴情報に限り、実需者がアクセス可能としても良い。なお、入札案件がオークション形式の場合は、演算部30が入札履歴に基づいて入札金額が最も低い生産者を特定し、当該生産者へ入札成功の通知を行っても良い。
以上のようにして生産者と実需者のマッチングが行われる。その後は、図9と同様に、栽培契約の締結及び登録が行われる(シーケンス番号7、8)。
以上に説明したように、本実施形態の管理サーバ10は、記憶部20と、演算部30と、を備える。記憶部20は、生産者と実需者の契約内容、及び、当該契約に基づいて出荷した生産物の量及び品質に関する情報である出荷情報を含んで構成される契約情報と、生産者に関する情報である生産者情報と、を記憶する。演算部30は、生産者に付与された生産者IDでログインした端末(生産者端末41)、実需者に付与された実需者IDでログインした端末(実需者端末42)、及び管理者に付与された管理者IDでログインした端末(現場管理者端末43及びセンター管理者端末44)と通信する通信処理を行うとともに、当該通信内容に基づいて記憶部20に情報を登録する。演算部30は、出荷情報登録処理と、生産履歴情報生成処理と、を行う。出荷情報登録処理は、実需者ID又は管理者IDでログインした端末に行われた操作に基づいて、出荷情報を登録する処理である。生産履歴情報生成処理は、過去に登録された出荷情報に基づいて、各生産者が生産可能な生産物の量及び品質に関する情報である生産履歴情報を生成する処理である。
これにより、生産者の現在だけでなく過去に登録された生産履歴情報に基づいて生産者の能力を判定するため、生産者の能力を的確に判定できる。また、実需者又は管理者が登録した出荷情報に基づいて生産履歴情報を登録するため、妥当性の高い情報を用いて生産者の能力を判定できる。
また、本実施形態の管理サーバ10において、契約情報には、契約された生産物の栽培状況、及び、契約に関する予定が含まれている。演算部30は、契約された生産物の栽培状況、又は、契約に関する予定が新たに登録された場合は、当該契約に関わる生産者、実需者、及び管理者の少なくとも何れかに通知を行う。
これにより、契約に関わる人は、栽培状況又は予定が登録されたことを早いタイミングで把握できる。
また、本実施形態の管理サーバ10において、記憶部20には、契約に関する予定を登録可能なIDの種類が規定された情報が登録されている。生産者が行う作業であっても、管理者のみが登録可能な予定が存在する。言い換えると、演算部30は、管理者IDでログインしないと、生産者が行う作業に関する予定であっても、当該予定の登録を受け付けない。
これにより、例えば管理者の承認に基づいて予定が登録されるので、管理者による栽培の管理をより適切に行うことができる。
また、本実施形態の管理サーバ10において、演算部30は、管理者IDでログインした端末(現場管理者端末43又はセンター管理者端末44)に対してのみ、生産履歴情報へのアクセスを許可する。
生産履歴情報は、不特定の人がアクセスできることは好ましくないが、契約栽培を行うに際し重要な情報であるため、管理者のみがアクセス可能とすることで、情報を保護しつつ、的確なマッチングを行うことができる。
また、本実施形態の管理サーバ10において、記憶部20は、栽培に関する商品の情報である商品登録情報と、当該商品の情報の予約履歴を生産者IDに対応付けた商品購入情報と、を記憶している。演算部30は、生産者に対応付けた管理者へ、当該生産者の予約履歴を通知する。
これにより、例えば、生産者の予約履歴に基づいて、管理者が商品説明及び提案(具体的には、契約栽培の要件を満たす栽培方法の提案、肥料及び機械等の提案)を行うことができる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
上記実施形態では、契約栽培情報管理サービスを用いて、契約栽培、商品購入、土壌診断を行う例を説明したが、他のサービスを更に設けても良い。例えば、生産者IDでログインした場合に、農業関連の雇用情報を提供しても良いし(例えば雇用情報サイトへのWEBリンク)、コールセンターとテレビ通話するためのリンクを設けても良いし、生産者の圃場の住所の天気情報を提供しても良いし、農業関連のセミナー情報を提供しても良い。
また、契約栽培情報管理サービスに、生産者が所有する農業機械の位置及び稼動状況を把握するためのサービスを連携させても良い。具体的には、このサービスは、生産者が所有する農業機械に、農業機械の位置を取得する装置(GPS装置等)と、情報を通信するための通信装置と、を設ける。通信装置は、GPS装置等に基づく農業機械の位置変化や、農業機械の作業状況を、所定のサーバに送信する。これにより、例えば、管理サーバ10がこのサーバにアクセスして、農業機械の位置変化(即ち作業状況)を生育状況として契約栽培情報管理サービスに自動的に登録しても良い。
上記実施形態では、現場管理者とセンター管理者の2者による管理を説明したが、1者のみで管理を行う構成であっても良い。
上記実施形態では、1台の管理サーバ10により契約栽培情報管理装置が構成されているが、複数台の機器により契約栽培情報管理装置が構成されていても良い。この場合、これらの機器は離れて配置されていても良い。例えば、記憶部20と、演算部30と、が物理的に離れた位置に配置されており、演算部30がインターネット等を介して記憶部20にアクセスする構成であっても良い。別の例としては、演算部30及び記憶部20の少なくとも何れかが、複数台の機器から構成されていても良いし、状況に応じて演算部30及び記憶部20を構成する機器が変化しても良い。
上記実施形態では、様々な「通知」を説明したが、上述した通知先は一例であり、上記で説明した以外の者に通知される構成であっても良い。例えば、収穫完了の通知は、センター管理者だけでなく現場管理者にも通知される構成であっても良い。