JP2017207285A - ゼロレベル検出装置、ゼロレベル検出方法およびコイル試験装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】減衰振動波形のゼロレベルを正確に検出する。【解決手段】ゼロレベル検出処理60において、減衰振動波形に対する仮ゼロレベルを規定する仮ゼロレベル規定処理62と、波形データに基づいて減衰振動波形における仮ゼロレベルとの交点を検出する交点検出処理63と、検出した交点のうちの隣接する交点間の間隔を検出する間隔検出処理64とを、仮ゼロレベル規定処理62において規定する仮ゼロレベルを変更しつつ実行して、ステップ66において、検出した仮ゼロレベル毎の間隔についてのばらつき度合いを求めると共に、この求めたばらつき度合いが最小となる仮ゼロレベルを減衰振動波形の真のゼロレベルVzとして検出する。【選択図】図2

Description

本発明は、減衰振動波形についての複数周期分の波形データに基づいてこの減衰振動波形のゼロレベルを検出するゼロレベル検出装置およびゼロレベル検出方法、並びに減衰振動電圧の信号波形(減衰振動波形)についての複数周期分の波形データに基づいてこの減衰振動波形のゼロレベルを検出するゼロレベル検出機能を備えたコイル試験装置に関するものである。
交流信号のゼロレベルを検出するゼロレベル検出装置(ゼロレベル検出方法)として、下記の特許文献1に開示された交流信号中の直流信号抽出方法(結果として、交流信号のゼロレベルを検出する方法)を実施する装置が知られている。この装置は、サンプルホールド回路、A/D変換回路およびCPUを備えている。この装置では、サンプルホールド回路が、交流信号V(=Vm・sinωt+Vdc)をその周期の整数倍の期間に亘って、1周期をN等分の時間間隔でサンプリングし、A/D変換回路がこのサンプリングされた電圧を波形データ(交流信号についての瞬時値データ)に変換して、CPUに出力する。CPUは、例えば、取得した1周期分のN個の波形データを積算して、1/Nすることにより、交流信号Vに含まれている直流信号Vdcを検出(抽出)する。つまり、交流信号Vに含まれている交流成分(Vm・sinωt)についてのゼロレベルを検出する。また、CPUは、取得した波形データからこの検出した直流信号Vdcを減算する。これにより、交流信号Vから直流信号Vdcがキャンセル(除去)される。
特開平6−53779号公報(第2−3頁、第1−2図)
ところが、上記した交流信号のゼロレベル検出装置(ゼロレベル検出方法)には、以下のような改善すべき課題が存在している。すなわち、このゼロレベル検出装置(ゼロレベル検出方法)では、交流成分が正弦波である(つまり、1周期分のN個の波形データを積算したときに、交流成分についての値がゼロになる)ことが前提となっている。このため、このゼロレベル検出装置(ゼロレベル検出方法)には、コイル、抵抗およびコンデンサの直列回路(LCR直列回路)の共振(直列共振)時においてコイルの両端間に発生する電圧のような減衰振動波形となる電圧(例えば、他の特許文献2(特開2012−58221号公報)に開示されている巻線診断システムが測定する電圧)に直流成分(例えば、A/D変換器に存在するオフセット電圧など)が重畳したような交流信号(つまり、1周期分のN個の波形データを積算したときに、交流成分についての値がゼロにならない信号)についてのこの直流成分(直流信号)を正確に検出(抽出)することができないという課題が存在している。
本発明は、かかる課題を改善するためになされたものであり、減衰振動波形のゼロレベルを正確に検出し得るゼロレベル検出装置およびゼロレベル検出方法、並びに減衰振動波形のゼロレベルを検出するゼロレベル検出機能を備えたコイル試験装置を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載のゼロレベル検出装置は、減衰振動波形についての複数周期分の波形データに基づいて当該減衰振動波形のゼロレベルを検出するゼロレベル検出処理を実行する処理部を備えているゼロレベル検出装置であって、前記処理部は、前記ゼロレベル検出処理において、前記減衰振動波形に対する仮ゼロレベルを規定する仮ゼロレベル規定処理と、前記波形データに基づいて前記減衰振動波形における前記仮ゼロレベルとの交点を検出する交点検出処理と、前記検出した交点のうちの隣接する交点間の間隔を検出する間隔検出処理とを、前記仮ゼロレベル規定処理において規定する前記仮ゼロレベルを変更しつつ実行して、検出した前記仮ゼロレベル毎の前記間隔についてのばらつき度合いを求めると共に、当該求めたばらつき度合いが最小となる前記仮ゼロレベルを前記減衰振動波形の前記ゼロレベルとして検出する。
請求項2記載のゼロレベル検出装置は、請求項1記載のゼロレベル検出装置において、前記処理部は、前記ゼロレベル検出処理において検出した前記ゼロレベルを前記波形データから減算する波形データ補正処理を実行する。
請求項3記載のゼロレベル検出方法は、減衰振動波形についての複数周期分の波形データに基づいて当該減衰振動波形のゼロレベルを検出するゼロレベル検出方法であって、前記減衰振動波形に対する仮ゼロレベルを規定する仮ゼロレベル規定処理と、前記波形データに基づいて前記減衰振動波形における前記仮ゼロレベルとの交点を検出する交点検出処理と、前記検出した交点のうちの隣接する交点間の間隔を検出する間隔検出処理とを、前記仮ゼロレベル規定処理において規定する前記仮ゼロレベルを変更しつつ実行して、検出した前記仮ゼロレベル毎の前記間隔についてのばらつき度合いを求めると共に、当該求めたばらつき度合いが最小となる前記仮ゼロレベルを前記減衰振動波形の前記ゼロレベルとして検出する。
請求項4記載のコイル試験装置は、試験対象のコイルに並列接続されるコンデンサ回路と、インパルス電圧信号を発生させて前記コイルおよび前記コンデンサ回路に供給するインパルス電圧発生部と、前記インパルス電圧信号の供給によって前記コイルの両端間に発生する減衰振動電圧を測定して当該減衰振動電圧の信号波形を示す減衰振動波形を出力する測定部と、前記減衰振動波形をサンプリングして当該減衰振動波形の瞬時値を示す波形データに変換するA/D変換部と、前記減衰振動電圧の発生時における前記コイルおよび前記コンデンサ回路で構成される回路についての等価回路定数を前記波形データに基づいて算出すると共に当該算出した等価回路定数に基づいて前記コイルの良否を判別するコイル試験処理を実行する処理部とを備えているコイル試験装置であって、前記処理部は、前記減衰振動波形についての複数周期分の前記波形データに基づいて当該減衰振動波形のゼロレベルを検出するゼロレベル検出処理、および当該ゼロレベル検出処理において検出した当該ゼロレベルを減算する補正を前記波形データに対して実行する波形データ補正処理を実行すると共に、当該補正された波形データに基づいて前記コイル試験処理を実行可能に構成され、前記ゼロレベル検出処理において、前記減衰振動波形に対する仮ゼロレベルを規定する仮ゼロレベル規定処理と、前記波形データに基づいて前記減衰振動波形における前記仮ゼロレベルとの交点を検出する交点検出処理と、前記検出した交点のうちの隣接する交点間の間隔を検出する間隔検出処理とを、前記仮ゼロレベル規定処理において規定する前記仮ゼロレベルを変更しつつ実行して、検出した前記仮ゼロレベル毎の前記間隔についてのばらつき度合いを求めると共に、当該求めたばらつき度合いが最小となる前記仮ゼロレベルを前記減衰振動波形の前記ゼロレベルとして検出する。
請求項1記載のゼロレベル検出装置および請求項3記載のゼロレベル検出方法では、減衰振動波形に対する仮ゼロレベルを規定する仮ゼロレベル規定処理と、波形データに基づいて減衰振動波形における仮ゼロレベルとの交点を検出する交点検出処理と、検出した交点のうちの隣接する交点間の間隔を検出する間隔検出処理とを、仮ゼロレベル規定処理において規定する仮ゼロレベルを変更しつつ実行して、検出した仮ゼロレベル毎の間隔についてのばらつき度合いを求めると共に、この求めたばらつき度合いが最小となる仮ゼロレベルを減衰振動波形のゼロレベルとして検出する。したがって、このゼロレベル検出装置およびゼロレベル検出方法によれば、減衰振動波形を表す波形データのゼロレベルを正確に検出することができる。
請求項2記載のゼロレベル検出装置によれば、処理部がゼロレベル検出処理において検出したゼロレベルを波形データから減算する波形データ補正処理を実行することにより、例えばA/D変換の際に発生するオフセット電圧を含まない本来の減衰振動波形を表す波形データを算出することができる。
請求項4記載のコイル試験装置では、処理部は、減衰振動波形についての複数周期分の波形データに基づいて減衰振動波形のゼロレベルを検出するゼロレベル検出処理、およびゼロレベル検出処理において検出したゼロレベルを減算する補正を波形データに対して実行する波形データ補正処理を実行すると共に、この補正された波形データに基づいてコイル試験処理を実行可能に構成され、ゼロレベル検出処理において、上記の仮ゼロレベル規定処理と、上記の交点検出処理と、上記の間隔検出処理とを、仮ゼロレベル規定処理において規定する仮ゼロレベルを変更しつつ実行して、検出した仮ゼロレベル毎の間隔についてのばらつき度合いを求めると共に、この求めたばらつき度合いが最小となる仮ゼロレベルを減衰振動波形のゼロレベルとして検出する。
したがって、このコイル試験装置によれば、減衰振動波形を表す波形データのゼロレベルを正確に検出することができると共に、この検出したゼロレベルを波形データから減算する波形データ補正処理を実行することにより、例えばA/D変換の際に発生するオフセット電圧を含まない本来の減衰振動波形を表す波形データを算出することができる。したがって、このコイル試験装置によれば、このオフセット電圧を含まない波形データに基づいて試験対象のコイルについての状態情報特徴量(等価回路定数で構成される量)を正確に算出することができるため、コイル試験処理において、この正確な状態情報特徴量に基づいて(つまり、等価回路定数に基づいて)コイルの良否を正しく試験することができる。
ゼロレベル検出方法を実行するゼロレベル検出装置としての処理部8を備えたコイル試験装置1の構成図である。 ゼロレベル検出処理(ゼロレベル検出方法)60を説明するためのフローチャートである。 ゼロレベル検出処理60におけるゼロレベル検出の原理を説明するための仮ゼロレベルと減衰振動波形(周波数が一定の波形)の検出信号Saとの交点X1〜X5、および隣接する交点X間の間隔H1〜H4を示す説明図である。 ゼロレベル検出処理60におけるゼロレベル検出の原理を説明するための仮ゼロレベルと減衰振動波形(周波数が一定の波形)の検出信号Saとの交点X1〜X5、および隣接する交点X間の間隔H1〜H4を示す他の説明図である。 ゼロレベル検出処理60におけるゼロレベル検出の原理を説明するための仮ゼロレベルと減衰振動波形(周波数が一定の波形)の検出信号Saとの交点X1〜X5、および隣接する交点X間の間隔H1〜H4を示す他の説明図である。 (a)は、図3における各間隔H1〜H4の大きさを比較すると共に、隣接する間隔H間の差分Δ1〜Δ3を説明するための説明図であり、(b)は、(a)の各差分Δ1〜Δ3の大きさを比較するための説明図である。 (a)は、図4における各間隔H1〜H4の大きさを比較すると共に、隣接する間隔H間の差分Δ1〜Δ3を説明するための説明図であり、(b)は、(a)の各差分Δ1〜Δ3の大きさを比較するための説明図である。 (a)は、図5における各間隔H1〜H4の大きさを比較すると共に、隣接する間隔H間の差分Δ1〜Δ3を説明するための説明図であり、(b)は、(a)の各差分Δ1〜Δ3の大きさを比較するための説明図である。 特徴量空間における各乗算値LCref,RCrefと方形の判定エリアARとの関係、およびこの判定エリアARと状態情報特徴量LCte,RCteとの関係を示す説明図である。 ゼロレベル検出処理60におけるゼロレベル検出の原理を説明するための仮ゼロレベルと減衰振動波形(周波数が一定の波形)の信号Sbとの交点X1〜X5、および隣接する交点X間の間隔H1〜H4を示す説明図である。 (a)は、図10において、仮ゼロレベルを上限値Rz1に規定したときの各間隔H1〜H4の大きさを比較すると共に、隣接する間隔H間の差分Δ1〜Δ3を説明するための説明図であり、(b)は、(a)の各差分Δ1〜Δ3の大きさを比較するための説明図である。 (a)は、図10において示されているレベルに仮ゼロレベルを規定したときの各間隔H1〜H4の大きさを比較すると共に、隣接する間隔H間の差分Δ1〜Δ3を説明するための説明図であり、(b)は、(a)の各差分Δ1〜Δ3の大きさを比較するための説明図である。 (a)は、図10において、仮ゼロレベルを真のゼロレベルVzと同じ値に規定したときの各間隔H1〜H4の大きさを比較すると共に、隣接する間隔H間の差分Δ1〜Δ3を説明するための説明図であり、(b)は、(a)の各差分Δ1〜Δ3の大きさを比較するための説明図である。
以下、ゼロレベル検出装置、ゼロレベル検出方法およびコイル試験装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、減衰振動波形のゼロレベルを検出するゼロレベル検出機能を備えたコイル試験装置(ゼロレベル検出装置としても機能するコイル試験装置)としてのコイル試験装置1の構成について、図面を参照して説明する。
コイル試験装置1は、図1に示すように、一対の接続端子2a,2b、コンデンサ回路3、スイッチ4、インパルス電圧発生部5、測定部6、A/D変換部7、処理部8、記憶部9、出力部10および操作部11を備え、一対の接続端子2a,2b間に接続(直接的に接続、または不図示のプローブなどを介して間接的に接続)された試験対象のコイル(巻線)51を試験する(絶縁耐力が不足しているか否かをチェックするための試験を行う)ことが可能に構成されている。また、本例のコイル試験装置1は、等価回路定数(インダクタンスLおよびレジスタンスR)の異なる複数種類のコイル51を試験対象として試験可能に構成されている。
なお、コイル51には、浮遊容量も存在していることから、コイルの等価回路定数には、上記のインダクタンスLおよびレジスタンスRに加えてキャパシタンスも存在している。しかしながら、このコイル51に対して並列接続されるコンデンサ回路3の後述するキャパシタンス(容量値)Cの設計値(基準値)Crがこの浮遊容量に対して十分に大きな値に規定されているため、この浮遊容量は無視するものとする。
また、コイル51についての良品時(良品状態のとき)のインダクタンスLおよびレジスタンスR(例えばインダクタンスLおよびレジスタンスRの各設計値(基準値)Lr,Rr)は既知であるものとする。
また、コイル51の良品時におけるそのインダクタンスLのばらつきの範囲(インダクタンス許容範囲)についても既知であるものとする。具体的には、設計値Lrを基準とする下側の許容差ΔL1および上側の許容差ΔL2の組、並びにインダクタンス許容範囲の下限値(最小値)Lmin(=Lr−ΔL1)および上限値(最大値)Lmax(=Lr+ΔL2)の組の少なくとも一方の組が既知であるものとする。また、コイル51の良品時におけるそのレジスタンスRのばらつきの範囲(レジスタンス許容範囲)についても既知であるものとする。具体的には、設計値Rrを基準とする下側の許容差ΔR1および上側の許容差ΔR2の組、並びにレジスタンス許容範囲の下限値(最小値)Rmin(=Rr−ΔR1)および上限値(最大値)Rmax(=Rr+ΔR2)の組の少なくとも一方の組が既知であるものとする。
一対の接続端子2a,2bのうちの一方の接続端子2aは、スイッチ4を介してインパルス電圧発生部5の一対の出力端子5a,5bのうちの一方の出力端子5aに接続されている。また、他方の接続端子2bは、インパルス電圧発生部5の他方の出力端子5bに接続されている。
コンデンサ回路3は、1または2以上の不図示のコンデンサで構成されて、全体としてのキャパシタンス(容量値)Cの設計値(基準値)Crが一定(既知)であって、かつこのキャパシタンスCのばらつきの範囲(キャパシタンス許容範囲)の下限値(最小値)Cmin(≫コイル51の浮遊容量)および上限値(最大値)Cmax(>Cr>Cmin)も既知であるものとする。また、コンデンサ回路3は、一対の接続端子2a,2b間に接続されている。
スイッチ4は、一端が接続端子2aに接続され、他端がインパルス電圧発生部5の一方の出力端子5aに接続されている。また、スイッチ4は、例えば、リレーで構成されて、処理部8によってオン・オフ状態が制御可能となっている。
インパルス電圧発生部5は、予め規定された高電圧値のインパルス電圧信号Vpを一対の出力端子5a,5b間から出力可能に構成されている。また、インパルス電圧発生部5は、一例として、処理部8からの出力開始指示を入力したタイミングでインパルス電圧信号Vpを出力する。
測定部6は、一対の接続端子2a,2b間に発生する交流電圧(後述する減衰振動電圧)vについての信号波形を測定すると共に、測定した信号波形を予め規定された増幅率で増幅することにより、振幅が後段のA/D変換部7の入力定格内となる検出信号Sa(信号波形が減衰振動電圧vと同じ減衰振動波形となる交流信号)として出力する。A/D変換部7は、入力した検出信号Saを予め規定されたサンプリング周期でサンプリングすることにより、検出信号Saの減衰振動波形についての瞬時値を示す波形データD1(測定部6での増幅率やA/D変換部7の分解能(1ビット当たりの電圧値)が既知であることから、減衰振動電圧vの瞬時値(電圧値)を示す波形データD1とも言える)に変換して出力する。
処理部8は、例えばCPUで構成されて、記憶部9に記憶されている動作プログラムに基づいて動作して、スイッチ4に対する制御処理、インパルス電圧発生部5に対する制御処理、ゼロレベル検出処理、波形データ補正処理、診断情報特徴量LCref,RCrefを算出する診断情報算出処理、状態情報特徴量LCte,RCteを算出する状態情報算出処理、およびコイル試験処理を実行する。この場合、処理部8がゼロレベル検出処理および波形データ補正処理を実行する際には、コイル試験装置1はゼロレベル検出装置として機能する。
記憶部9は、ROMおよびRAMなどの種々の半導体メモリや、ハードディスクおよびフラッシュメモリなどを用いたドライブ装置で構成されている。この記憶部9には、処理部8を構成するCPUのための動作プログラム、コンデンサ回路3のキャパシタンスCについての下限値Cminおよび上限値Cmaxが予め記憶されている。また、記憶部9には、状態情報特徴量LCte,RCteおよび診断情報特徴量LCref,RCrefを記憶するための特徴量空間が設けられている。この特徴量空間とは、後述するインダクタンスLおよびキャパシタンスCの乗算値LCを横軸および縦軸のうちの一方の軸(本例では横軸)とし、レジスタンスRおよびキャパシタンスCの乗算値RCを横軸および縦軸のうちの他方の軸(本例では縦軸)とする座標空間(直交座標空間)である。
また、このコイル試験装置1では、一対の接続端子2a,2b間に試験対象のコイル51が接続されたときには、このコイル51とコンデンサ回路3とが並列接続状態となる。そして、このコイル51およびコンデンサ回路3にオン状態のスイッチ4を介してインパルス電圧発生部5からインパルス電圧信号Vpが供給された直後に、スイッチ4がオフ状態に制御されたときには、コイル51およびコンデンサ回路3で構成される回路(コイル51についての等価回路のインダクタおよびレジスタと、コンデンサ回路3のキャパシタとからなるLCR直列回路)に、インパルス電圧信号Vpの供給に起因して、不図示の減衰振動電流が流れ、この減衰振動電流がコイル51を流れることで、コイル51の両端間(つまり、接続端子2a,2b間)に減衰振動電圧vが発生する。また、この減衰振動電圧vについては、上記の他の特許文献2(特開2012−58221号公報)に開示されている公知の等式(同公報中の式(1))と同じ下記の式(1)が成り立つ。
LC・dv/dt+RC・dv/dt+v=0 ・・・ (1)
ここで、L,R,Cは、コイル51およびコンデンサ回路3の直列回路についての等価回路定数であるが、上記したようにコイル51に対して並列接続されるコンデンサ回路3のキャパシタンスCの設計値(基準値)Crはコイル51の浮遊容量に対して十分に大きな値に規定されているため、この浮遊容量は無視できる。このことから、このLおよびRは、コイル51の等価回路定数であるインダクタンスLおよびレジスタンスRであり、このCは、コンデンサ回路3のキャパシタンスCである。
また、上記の他の特許文献2に開示されている等式と同じ上記式(1)が成り立つことから、本例のコイル試験装置1の処理部8でも、動作プログラムの実行の際に、特許文献1に開示されている公知の式(同公報中の式(3))と同じ式を用いて、コイル51およびコンデンサ回路3の直列回路についての等価回路定数であるインダクタンスLおよびキャパシタンスCの乗算値LC、並びにレジスタンスRおよびキャパシタンスCの乗算値RC、つまり特徴量LC,RCを算出することが可能となっている。
出力部10は、一例として、LCDなどのディスプレイ装置で構成されて、処理部8から出力されたコイル51についての試験結果を画面に表示する。なお、出力部10は、ディスプレイ装置に代えて、種々のインターフェース回路で構成してもよく、例えば、メディアインターフェース回路としてリムーバブルメディアに試験結果を記憶させたり、ネットワークインターフェース回路としてネットワーク経由で外部装置に試験結果を伝送させたりする構成を採用することもできる。
操作部11は、入力部の一例であって、例えば、押下されたときに試験開始指示を示す信号を処理部8に出力可能なスタートキーと、試験対象としてコイル試験装置1に接続されるコイル51についての良品時のインダクタンスLのばらつきの範囲およびレジスタンスRのばらつきの範囲を特定するための範囲情報(設計値Lr,Rrおよび許容差ΔL1,ΔL2,ΔR1,ΔR2、または下限値Lmin,Rminおよび上限値Lmax,Rmax)を入力するためのテンキー等を備えている。なお、入力部は、操作部11に限定されず、例えば、外部装置とデータ通信可能な通信部として、この外部装置から通信部を介して処理部8に、上記の試験開始指示や、上記の範囲情報を入力する構成を採用することもできる。
次に、コイル試験装置1を用いたコイル51の試験方法について、コイル試験装置1の動作と共に説明する。なお、試験対象のコイル51についてのインダクタンスLおよびレジスタンスRの各下限値Lmin,Rminおよび各上限値Lmax,Rmaxを操作部11から入力する例を挙げて説明する。
最初に、試験する者(以下、試験者ともいう)は、コイル51をコイル試験装置1の一対の接続端子2a,2b間に接続する。
次いで、試験者は、操作部11を操作することにより、試験対象であるコイル51についてのインダクタンスLおよびレジスタンスRの各下限値Lmin,Rminおよび各上限値Lmax,Rmaxを処理部8に入力する。処理部8は、入力した各下限値Lmin,Rminおよび各上限値Lmax,Rmaxを記憶部9に記憶させる。
続いて、処理部8は、診断情報算出処理を実行する。この診断情報算出処理では、処理部8は、記憶部9に記憶されているインダクタンスLおよびレジスタンスRについての各下限値Lmin,Rminおよび各上限値Lmax,Rmaxと、キャパシタンスCについての下限値Cminおよび上限値Cmaxとに基づいて、診断情報特徴量LCref,RCref(この例では、後述する第1診断情報特徴量LCref1,RCref1と、第2診断情報特徴量LCref2,RCref2の2つ)を算出して記憶部9の特徴量空間に記憶させる。
具体的には、処理部8は、インダクタンスLの下限値LminとキャパシタンスCの下限値Cminとの乗算値LCref1(=Lmin×Cmin)、およびレジスタンスRの下限値RminとキャパシタンスCの下限値Cminとの乗算値RCref1(=Rmin×Cmin)を算出して、これらを1つの診断情報特徴量(第1診断情報特徴量)LCref1,RCref1として記憶部9に記憶させる。また、処理部8は、インダクタンスLの上限値LmaxとキャパシタンスCの上限値Cmaxとの乗算値LCref2(=Lmax×Cmax)、およびレジスタンスRの上限値RmaxとキャパシタンスCの上限値Cmaxとの乗算値RCref2(=Rmax×Cmax)を算出して、これらをもう1つの診断情報特徴量(第2診断情報特徴量)LCref2,RCref2として記憶部9に記憶させる。この場合、試験対象であるコイル51のインダクタンスLおよびレジスタンスRの各下限値Lmin,Rminおよび各上限値Lmax,Rmaxに基づいて、第1診断情報特徴量LCref1(=Lmin×Cmin),RCref1(=Rmin×Cmin)と、第2診断情報特徴量LCref2(=Lmax×Cmax),RCref2(=Rmax×Cmax)とが算出される。これにより、診断情報算出処理が完了する。
次いで、操作部11に対する操作が行われて(スタートボタンが操作されて)、試験開始指示を示す信号が処理部8に出力されると、処理部8は、この信号の入力を検出して、状態情報算出処理を実行し、次いでコイル試験処理を実行する。
この状態情報算出処理では、処理部8は、まず、スイッチ4に対する制御を実行して、オン状態に移行させる。次いで、処理部8は、インパルス電圧発生部5に対して出力開始指示を出力してインパルス電圧信号Vpを出力させると共に、インパルス電圧信号Vpの出力が完了した直後にスイッチ4に対する制御を実行してオフ状態に移行させる。これにより、コイル51の両端間(接続端子2a,2b間)には、インパルス電圧信号Vpの印加に起因して、コイル51とコンデンサ回路3とで形成される直列共振回路に基づく一定の周波数の減衰振動電圧vが発生する。
測定部6は、この減衰振動電圧vについての信号波形(減衰振動波形)を測定すると共に、減衰振動電圧vと同じ減衰振動波形となる検出信号Saを生成してA/D変換部7に出力する。A/D変換部7は、この検出信号Saをサンプリングして波形データD1(減衰振動電圧vの瞬時値(電圧値)を示すデータ)に変換し、処理部8に出力する。処理部8は、この波形データD1を取得(複数周期分を取得)して時系列で記憶部9に記憶させる。
このようにして記憶された波形データD1には、本来の検出信号Sa(減衰振動電圧vについての減衰振動波形)に加えて、測定部6やA/D変換部7において発生するオフセット電圧が含まれていることがあり、この波形データD1をこのまま使用して上記の特徴量LC,RCを算出した場合に、正しい特徴量LC,RCを算出できないことがある。このため、処理部8は、続いて、ゼロレベル検出装置として機能して、波形データD1で示される(表される)減衰振動電圧vについてのゼロレベルを検出するゼロレベル検出処理60(図2参照)を実行する。
このゼロレベル検出処理60では、処理部8は、まず、波形データD1に対するフィルタ処理(ローパスフィルタ処理)を実行して、波形データD1に含まれているノイズ成分を除去する(ステップ61)。一例として、処理部8は、記憶部9に記憶されている波形データD1に対して方形波窓による切り出しを行い、この切り出した波形データD1の移動平均を算出することでフィルタ処理を実行する。以下では、このフィルタ処理が行われた波形データD1を新たな波形データD1(フィルタ処理前の波形データD1と区別するために「処理波形データD1」ともいう)として記憶部9に記憶させる。
なお、減衰振動電圧vの周期が変動する場合(ふらつく場合)は、検出信号Saも同様に変動するため、このゼロレベル検出処理60において実行する後述の交点検出処理(ゼロクロス検出処理)において検出される仮ゼロクロス点との交点について、フィルタ処理61の前後においてずれが発生することがある。この交点のずれを低減するためには、方形波窓による切り出しに代えて、ハミング窓やブラックマン−ハリス窓などの両端でのレベルを小さくする窓関数を用いるのが好ましい。この場合、この窓関数を用いたことで処理波形データD1で示される信号のレベルが方形波窓を用いた場合と比べて小さくなる。このため、窓関数の適用(フィルタ処理の実行)後の処理波形データD1に公知の手法で算出し得る振幅補正係数を乗算することで、処理波形データD1で示される信号のレベルを補正する。この場合、処理部8は、この補正後の処理波形データD1を記憶部9に記憶させる。
また、記憶部9に記憶されている波形データD1からフィルタ処理61を実行する波形データD1を切り出す際には、減衰振動電圧vの最初の半周期分の波形データD1については、スイッチ4がオン状態のときの影響を受けている(インパルス電圧発生部5が接続されている影響を受けている)可能性がある。このため、この最初の半周期分の波形データD1を避けて、フィルタ処理61を実行する波形データD1を切り出すのが好ましい。なお、最初の半周期分の波形データD1に限定されず、最初の1周期分の波形データD1を避けてもよい。また、波形データD1で現される検出信号Saの振幅がA/D変換部7の入力定格に対して小さすぎると、オフセット電圧の影響が大きくなったり、また交点検出処理での交点の検出が困難になることがあり、かつ測定に必要となるデータの数が多くなるため測定時間および波形メモリ量が増大してしまう。このため、波形データD1の切り出しに際しては、検出信号Saの初期期間(例えば、最初の3周期:振幅が大きな期間)以内の波形データD1とするのが好ましい。
次に、処理部8は、処理波形データD1に対する仮ゼロレベル規定処理を実行する(ステップ62)。ゼロレベル検出処理60では、処理部8は、後述する交点検出処理において、検出信号Saの真のゼロレベルVz(検出信号Saにおける減衰振動波形部分についてのゼロレベル)を含む電圧範囲の一方の境界値(例えば、上限値)から他方の境界値(例えば、下限値)まで、仮ゼロレベルを予め規定された一定のステップ(この電圧範囲を複数に等分したときの一つ分の幅)で変化させつつ、仮ゼロレベルと処理波形データD1で表される減衰振動電圧vとの交点(ゼロクロス点)を検出する。このため、このゼロレベル検出処理60では、処理部8は、この仮ゼロレベルを変化させる電圧範囲Rzの各境界値(上限値Rz1および下限値Rz2)を図3に示すように規定すると共に、各境界値のうちのいずれか一方(例えば、図3に示すように上限値Rz1)を仮ゼロレベルの初期値として規定する。具体的には、処理波形データD1についてのゼロ点を基準(中心値)とする予め規定された幅(A/D変換部7の入力定格における最大値(絶対値が最大で正の値)の数%を上限値Rz1とし、最小値(絶対値が最大で負の値)の数%を下限値Rz2とする幅)の範囲を上記の電圧範囲Rzとして規定することができる。
続いて、処理部8は、交点検出処理を実行する(ステップ63)。この交点検出処理では、処理部8は、ステップ62において規定した仮ゼロレベルと、処理波形データD1とを比較することにより、仮ゼロレベルと処理波形データD1で表される信号波形(検出信号Saの信号波形(図3〜図5参照))との交点(仮ゼロクロス点)Xを検出する。
具体的には、処理波形データD1は離散値であるため、処理部8は、仮ゼロレベルとの交点を検出する際に、まず、処理波形データD1のうちの隣接する一対の処理波形データD1であって、それぞれの値が仮ゼロレベルを挟む関係(先の処理波形データD1の値が仮ゼロレベル以下で、かつ後の処理波形データD1の値が仮ゼロレベルを超える関係、および先の処理波形データD1の値が仮ゼロレベル以上で、かつ後の処理波形データD1の値が仮ゼロレベル未満の関係のうちのいずれかの関係)となる一対の処理波形データD1をすべて時系列順に検出する。次いで,処理部8は、このようにして検出した各一対の処理波形データD1に対して直線補間を行い、一対の処理波形データD1間に存在する仮ゼロレベルとの交点についての座標値(時間軸方向に沿った座標値)を算出して、時系列順に記憶部9に記憶させる。これにより、図3に示すように、仮ゼロレベルを初期値である上限値Rz1としたときの各交点(仮ゼロクロス点)X1,X2,X3,X4,X5が検出されたものとする。
この場合、各交点X1〜X5の座標値は、例えば、一対の処理波形データD1が処理波形データD1におけるN(1以上の整数)番目の処理波形データD1と(N+1)番目の処理波形データD1であるときに、N以上(N+1)未満の値として算出される。具体例を挙げて説明すると、仮ゼロレベルの値が12のときに、4番目の処理波形データD1の値が10で、5番目の処理波形データD1の値が15のときには、この一対の処理波形データD1の値が仮ゼロレベルを挟む関係となり、仮ゼロレベルとの交点の座標値は、4.4(=4+(12−10)/(15−10))として算出される。
次に、処理部8は、間隔検出処理を実行する(ステップ64)。この間隔検出処理では、処理部8は、検出した各交点X1〜X5のうちの隣接する交点間の間隔(時間軸方向に沿った間隔)Hを検出する。具体的には、処理部8は、隣接する交点X1,X2と、隣接する交点X2,X3と、隣接する交点X3,X4と、隣接する交点X4,X5とについて、互いの座標値の差(後の交点Xの座標値から先の交点Xの座標値を減算して得られる値。交点X1,X2の例では、交点X2の座標値から交点X1の座標値を減算した値)を算出することで、互いの間隔H1,H2,H3,H4を検出して、記憶部9に記憶させる。
処理部8は、現時点での仮ゼロレベルが下限値Rz2に達したか否か(つまり、電圧範囲Rz内の仮ゼロレベルと規定すべきすべての電圧での間隔検出処理が完了したか否か)を判別して(ステップ65)、完了していないと判別したときには、このステップ65において完了したと判別するまで、仮ゼロレベルを上記の一定のステップで変更しつつ、上記したステップ62〜ステップ64を繰り返し実行する。一方、処理部8は、ステップ65においてすべての電圧(すべての仮ゼロレベル)での間隔検出処理が完了したと判別したときには、検出した各間隔Hについてのばらつき度合いが最小となる仮ゼロレベルを真のゼロレベルVz(検出信号Saにおける減衰振動波形部分についてのゼロレベル)として検出する処理を実行する(ステップ66)。
ここで、例えば、図3〜図5に示すように、仮ゼロレベルを上記の電圧範囲Rz内において、初期値としての上限値Rz1(図3の状態)から、上限値Rz1および真のゼロレベルVzの中間の値(図4の状態)、真のゼロレベルVzと同じ値(図5の状態)、というように変更したときの各仮ゼロレベルにおける各間隔H1,H2,H3,H4の変化の様子を図6〜図8に模式図として示す。なお、図6(a)は、図3での各間隔H1,H2,H3,H4の変化の様子を示したものであり、図7(a)は、図4での各間隔H1,H2,H3,H4の変化の様子を示したものであり、図8(a)は、図5での各間隔H1,H2,H3,H4の変化の様子を示したものである。各図6(a),図7(a),図8(a)から明らかなように、仮ゼロレベルが真のゼロレベルVzに近づくに従い、各仮ゼロレベルでの各間隔H1,H2,H3,H4のばらつき度合いが小さくなり、仮ゼロレベルが真のゼロレベルVzと一致したときにばらつき度合いがゼロ(各間隔H1,H2,H3,H4が同一)になる。
この場合、図3,4,5での各仮ゼロレベルにおける各間隔H1,H2,H3,H4のうちの隣接する間隔H間の差分値Δ1,Δ2,Δ3を図6(a),7(a),8(a)で示すように検出すると、図3,4,5での各仮ゼロレベルにおける差分値Δ1,Δ2,Δ3の状態を示す図6(b),7(b),8(b)から明らかなように、各差分値Δ1,Δ2,Δ3の絶対値は、仮ゼロレベルが真のゼロレベルVzに近づくに従い大きさが小さくなり、仮ゼロレベルが真のゼロレベルVzと一致したときにゼロになる。
なお、図3〜図5では、仮ゼロレベルを上記の電圧範囲Rz内において、初期値としての上限値Rz1から真のゼロレベルVzと同じ値まで変更したときの各仮ゼロレベルにおける各間隔H1,H2,H3,H4の変化の様子しか示していないが、仮ゼロレベルを図5の状態から下限値Rz2側に変更したときには、図示はしないが、各仮ゼロレベルでの各間隔H1,H2,H3,H4のばらつき度合いが次第に大きくなり、各仮ゼロレベルにおける差分値Δ1,Δ2,Δ3についても大きくなる。この結果、上記したように、仮ゼロレベルが真のゼロレベルVzと一致したときにばらつき度合いがゼロ(各間隔H1,H2,H3,H4が同一)、つまりばらつき度合いが最小になると共に、各仮ゼロレベルにおける差分値Δ1,Δ2,Δ3についてもゼロになる。
このことから、検出した各間隔Hについてのばらつき度合いを示すパラメータとして、各仮ゼロレベルにおける各差分値Δ1,Δ2,Δ3を用いて、各間隔Hについてのばらつき度合いが最小となる仮ゼロレベルを真のゼロレベルVzとして検出することが可能となる。また、各間隔Hについてのばらつき度合いを示すパラメータとして、ばらつきを示す値として下記の式で表される公知の分散を用いることもできる。この分散を用いた場合においても、仮ゼロレベルが真のゼロレベルVzと一致したときに、各間隔Hについての分散がゼロ(最小)になることから、この分散が最小となる仮ゼロレベルを真のゼロレベルVzとして検出することが可能となる。
分散=1/n×(Σ[i=1,n](Have−Hi))
ここで、Haveは、各Hi(H1,H2,・・・,Hn)の平均値であるものとする。
したがって、処理部8は、このステップ66での処理において、上記のようなばらつき度合いを示すパラメータを用いて、各仮ゼロレベルにおける各間隔Hについてのばらつき度合いを検出し、検出したばらつき度合いが最小となる仮ゼロレベルを検出(特定)して、この検出された仮ゼロレベルを、検出信号Saの真のゼロレベルVz(検出信号Saにおける減衰振動波形部分についてのゼロレベル)として検出する。また、処理部8は、検出した真のゼロレベルVzを記憶部9に記憶させる。なお、処理部8が、検出した真のゼロレベルVzを出力部10に表示させる構成を採用してもよい。これにより、ゼロレベル検出処理60が完了する。
次に、処理部8は、波形データ補正処理を実行する。この波形データ補正処理では、処理部8は、記憶部9に記憶されている各処理波形データD1の値から真のゼロレベルVzを減算することで、各処理波形データD1の値を補正する。このようにして補正された各処理波形データD1(以下、この補正が施された処理波形データD1を「処理波形データD1a」ともいう)は、測定部6やA/D変換部7において発生するオフセット電圧を含まない処理波形データ(本来の検出信号Saの信号波形(減衰振動電圧vについての減衰振動波形を表す波形))である。処理部8は、この処理波形データD1aを記憶部9に記憶させる。
続いて、処理部8は、記憶部9に記憶されている処理波形データD1a(検出信号Saの信号波形を表す波形データであると共に、減衰振動電圧vについての減衰振動波形を表す波形データとしても使用し得るデータ))に基づいて、コイル51およびコンデンサ回路3の直列回路についての等価回路定数であるインダクタンスLとキャパシタンスCとの乗算値LC、およびレジスタンスRとキャパシタンスCとの乗算値RCを算出して、これらを状態情報特徴量LCte,RCteとして記憶部9の特徴量空間に記憶させる。これにより、状態情報算出処理が完了する。
次に実行するコイル試験処理では、処理部8は、記憶部9の特徴量空間に記憶されている診断情報特徴量LCref,RCrefと、状態情報特徴量LCte,RCteとに基づいて、試験対象としてコイル試験装置1に接続されているコイル51の良否を試験(診断)する。
具体的には、処理部8は、図9に示すように、記憶部9に設けられた特徴量空間に記憶されている第1診断情報特徴量LCref1,RCref1と、第2診断情報特徴量LCref2,RCref2とで規定されるコイル51についての判定エリアAR(同図に示すように、この乗算値LCを横軸とし、かつ乗算値RCを縦軸とする特徴量空間における座標値(LCref1,0)を通って縦軸と平行な直線S1、座標値(LCref2,0)を通って縦軸と平行な直線S2、座標値(0,RCref1)を通って横軸と平行な直線S3、および座標値(0,RCref2)を通って横軸と平行な直線S4で囲まれた方形のエリア(実線で囲まれて、内部に斜線が付されたエリア))内に状態情報特徴量LCte,RCteが含まれているか否かを判別して、符号P1で示される状態情報特徴量LCte,RCteのように判定エリアAR内に含まれているときには、コイル51は良品状態にあると診断し、一方、符号P2で示される状態情報特徴量LCte,RCteのように判定エリアAR内に含まれていないときには、コイル51は不良状態にあると診断する。また、処理部8は、この診断(試験)結果を記憶部9に記憶させると共に、出力部10に出力して画面に表示させる。これにより、コイル51についてのコイル試験処理が完了する。
なお、上記のコイル試験装置1では、試験対象のコイル51についてのインダクタンスLおよびレジスタンスRの各下限値Lmin,Rminおよび各上限値Lmax,Rmaxを操作部11から入力する構成を採用して、処理部8が、コイル51についての判定エリアARを規定するための診断情報特徴量LCref,RCref(第1診断情報特徴量LCref1,RCref1、および第2診断情報特徴量LCref2,RCref2)を、診断情報算出処理においてこの各下限値Lmin,Rminおよび各上限値Lmax,Rmaxに基づいて算出しているが、この構成に限定されない。
例えば、試験対象のコイル51についてのインダクタンスLおよびレジスタンスRの各設計値Lr,Rrおよび許容差ΔL1,ΔL2,ΔR1,ΔR2を操作部11から入力する構成を採用することもできる。この構成のコイル試験装置1では、処理部8は、インダクタンスLについての設計値Lrおよび許容差ΔL1,ΔL2に基づいて、インダクタンス許容範囲の下限値Lmin(=Lr−ΔL1)および上限値Lmax(=Lr+ΔL2)を算出すると共に、レジスタンスRについての設計値Rrおよび許容差ΔR1,ΔR2に基づいて、レジスタンス許容範囲の下限値Rmin(=Rr−ΔR1)および上限値Rmax(=Rr+ΔR2)を算出する。そして、処理部8は、コイル51についての判定エリアARを規定するための診断情報特徴量LCref,RCref(第1診断情報特徴量LCref1,RCref1、および第2診断情報特徴量LCref2,RCref2)を、このようにして算出した各下限値Lmin,Rminおよび各上限値Lmax,Rmaxに基づいて算出する。よって、この構成においても、試験対象のコイル51についてのインダクタンスLおよびレジスタンスRの各下限値Lmin,Rminおよび各上限値Lmax,Rmaxを操作部11から入力する構成と同様にして、コイル51の良否を試験(診断)することが可能である。
このように、このコイル試験装置1によれば、処理部8がゼロレベル検出処理(ゼロレベル検出方法)60を実行することでコイル試験装置1がゼロレベル検出装置として機能することにより、検出信号Saの信号波形を表す波形データであると共に、減衰振動電圧vについての減衰振動波形を表す波形データとしても使用し得る波形データである処理波形データD1の真のゼロレベルVzを正確に検出することができる。また、このコイル試験装置1によれば、処理部8がゼロレベル検出処理60と共にさらに波形データ補正処理を実行することでコイル試験装置1がさらに波形データ補正処理を行うゼロレベル検出装置として機能して、検出した真のゼロレベルVzで処理波形データD1を補正することにより、測定部6やA/D変換部7において発生するオフセット電圧を含まない処理波形データD1a(本来の検出信号Saの信号波形(減衰振動電圧vについての減衰振動波形を表す波形)についての波形データ)を算出することができる。したがって、このこのコイル試験装置1によれば、オフセット電圧を含まない処理波形データD1aに基づいてコイル51についての状態情報特徴量LCte,RCteを正確に算出することができるため、この正確な状態情報特徴量LCte,RCteと判定エリアARとを比較することにより、コイル51の良否を正しく試験(診断)することができる。
なお、直列共振に基づきコイル51の両端間に一定の周波数で発生する減衰振動電圧vを測定して得られる検出信号Saの信号波形についての真のゼロレベルVzを、この検出信号Saについての処理波形データD1に基づいて検出する例を挙げて、ゼロレベル検出装置およびゼロレベル検出方法について説明したが、このゼロレベル検出装置およびこのゼロレベル検出方法は、周波数が一定の信号波形に限定されず、周波数が徐々に変化する信号波形(例えば、徐々に周波数が低下する信号波形や、徐々に周波数が上昇する信号波形)についての真のゼロレベルVzを、この信号波形を示す波形データD1に基づいて検出する場合に対しても適用できるのは勿論である。
例えば、図10において実線で示される信号Sbのように、周波数が徐々に低下する信号(なお、同図において破線で示される比較用の信号は一定の周波数の信号)を例に挙げて説明する。
ゼロレベル検出装置として機能する上記のコイル試験装置1では、処理部8は、この信号Sbについての信号波形を示す波形データD1に対して、上記した検出信号Saについての波形データD1に対するときと同様のゼロレベル検出処理60を実行して、例えば、図10に示すように、仮ゼロレベルを初期値としての上限値Rz1から下限値Rz2まで変更しつつ、各ゼロレベルでの各交点X1,X2,X3,X4,X5相互間の間隔H1,H2,H3,H4についてのばらつき度合い(隣接する間隔H間の差分値Δや分散。本例では、一例として差分値Δ)を検出する。
この信号Sbについても、各仮ゼロレベルでの差分値Δ1,Δ2,Δ3の状態(間隔Hのばらつき度合い)は、仮ゼロレベルを上限値Rz1としたとき(図11(a)、(b)参照)から、上限値Rz1および真のゼロレベルVzの中間の値としたとき(図12(a)、(b)参照)、真のゼロレベルVzと同じ値としたとき(図13(a)、(b)参照)、および、図示はしないが、さらに真のゼロレベルVzから下限値Rz2側に向けて変更したとき(つまり、電圧範囲Rz内で変更したとき)に、検出信号Saのときと同様にして、仮ゼロレベルが真のゼロレベルVzに近づくに従い、小さくなり、仮ゼロレベルが真のゼロレベルVzと一致したときにばらつき度合いが最小になる。したがって、処理部8は、このようにして、ばらつき度合いが最小になったときの仮ゼロレベルを信号Sbについての真のゼロレベルとして検出することができる。
なお、ゼロレベル検出装置をコイル試験装置に適用した例について上記したが、このゼロレベル検出装置の適用はコイル試験装置に限定されるものではなく、オフセット電圧のような不要な直流成分が発生する電子回路を有する他の電子機器に適用し得るのは勿論である。
1 コイル試験装置
3 コンデンサ回路
5 インパルス電圧発生部
6 測定部
7 A/D変換部
8 処理部
51 コイル
C キャパシタンス
D1 波形データ
f 振動周波数
L インダクタンス
R レジスタンス
v 減衰振動電圧
Vp インパルス電圧信号

Claims (4)

  1. 減衰振動波形についての複数周期分の波形データに基づいて当該減衰振動波形のゼロレベルを検出するゼロレベル検出処理を実行する処理部を備えているゼロレベル検出装置であって、
    前記処理部は、前記ゼロレベル検出処理において、
    前記減衰振動波形に対する仮ゼロレベルを規定する仮ゼロレベル規定処理と、
    前記波形データに基づいて前記減衰振動波形における前記仮ゼロレベルとの交点を検出する交点検出処理と、
    前記検出した交点のうちの隣接する交点間の間隔を検出する間隔検出処理とを、前記仮ゼロレベル規定処理において規定する前記仮ゼロレベルを変更しつつ実行して、検出した前記仮ゼロレベル毎の前記間隔についてのばらつき度合いを求めると共に、当該求めたばらつき度合いが最小となる前記仮ゼロレベルを前記減衰振動波形の前記ゼロレベルとして検出するゼロレベル検出装置。
  2. 前記処理部は、前記ゼロレベル検出処理において検出した前記ゼロレベルを前記波形データから減算する波形データ補正処理を実行する請求項1記載のゼロレベル検出装置。
  3. 減衰振動波形についての複数周期分の波形データに基づいて当該減衰振動波形のゼロレベルを検出するゼロレベル検出方法であって、
    前記減衰振動波形に対する仮ゼロレベルを規定する仮ゼロレベル規定処理と、
    前記波形データに基づいて前記減衰振動波形における前記仮ゼロレベルとの交点を検出する交点検出処理と、
    前記検出した交点のうちの隣接する交点間の間隔を検出する間隔検出処理とを、前記仮ゼロレベル規定処理において規定する前記仮ゼロレベルを変更しつつ実行して、検出した前記仮ゼロレベル毎の前記間隔についてのばらつき度合いを求めると共に、当該求めたばらつき度合いが最小となる前記仮ゼロレベルを前記減衰振動波形の前記ゼロレベルとして検出するゼロレベル検出方法。
  4. 試験対象のコイルに並列接続されるコンデンサ回路と、インパルス電圧信号を発生させて前記コイルおよび前記コンデンサ回路に供給するインパルス電圧発生部と、前記インパルス電圧信号の供給によって前記コイルの両端間に発生する減衰振動電圧を測定して当該減衰振動電圧の信号波形を示す減衰振動波形を出力する測定部と、前記減衰振動波形をサンプリングして当該減衰振動波形の瞬時値を示す波形データに変換するA/D変換部と、前記減衰振動電圧の発生時における前記コイルおよび前記コンデンサ回路で構成される回路についての等価回路定数を前記波形データに基づいて算出すると共に当該算出した等価回路定数に基づいて前記コイルの良否を判別するコイル試験処理を実行する処理部とを備えているコイル試験装置であって、
    前記処理部は、前記減衰振動波形についての複数周期分の前記波形データに基づいて当該減衰振動波形のゼロレベルを検出するゼロレベル検出処理、および当該ゼロレベル検出処理において検出した当該ゼロレベルを減算する補正を前記波形データに対して実行する波形データ補正処理を実行すると共に、当該補正された波形データに基づいて前記コイル試験処理を実行可能に構成され、
    前記ゼロレベル検出処理において、
    前記減衰振動波形に対する仮ゼロレベルを規定する仮ゼロレベル規定処理と、
    前記波形データに基づいて前記減衰振動波形における前記仮ゼロレベルとの交点を検出する交点検出処理と、
    前記検出した交点のうちの隣接する交点間の間隔を検出する間隔検出処理とを、前記仮ゼロレベル規定処理において規定する前記仮ゼロレベルを変更しつつ実行して、検出した前記仮ゼロレベル毎の前記間隔についてのばらつき度合いを求めると共に、当該求めたばらつき度合いが最小となる前記仮ゼロレベルを前記減衰振動波形の前記ゼロレベルとして検出するコイル試験装置。
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