JP2017207121A - 流路ブロック、流体制御装置、及び、流路ブロックの製造方法 - Google Patents

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吉史 西尾
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Abstract

【課題】、最適な形状の連通流路を有する流路ブロックを提供する。【解決手段】樹脂製の流路ブロック11であって、所定面11aよりも凹んで形成された第1室12と、第1室12から離間した位置に、所定面11aよりも凹んで形成された第2室16と、第1室12と第2室16とにそれぞれ開口し、第1室12と第2室16とを連通する、円弧形状の連通流路81と、を備える。【選択図】 図1

Description

本発明は、薬液の供給等に用いられる流路ブロック、流体制御装置、及び流路ブロックの製造方法に関する。
従来、複数の室を連通流路で繋ぐ流体制御装置が実現されている。特許文献1に記載の流体制御装置では、連通流路の形状をV字型としている。
特許4319322号公報
特許文献1に記載の流体制御装置におけるV字流路では、屈曲部において流路の断面積が大きくなることから、その屈曲部に気泡が発生するおそれがある。また、V字流路の尖端に薬液が滞留するおそれもある。
このV字流路は切削加工又は射出成型により形成される。この形成の工程では、屈曲部にはバリが生ずる場合がある。すなわち、製造工程において、屈曲部に生じたバリを取り除く工程が必要となり、製造工程が複雑化する。V字流路の径が小さくなるほど、そのバリを取り除くことが困難となる。また、バリを取り除く処理を行ったとしても、バリを完全に取り除くことは困難であり、バリを取り除く処理により、面粗の悪化も懸念される。したがって、バリが生ずることに起因して、パーティクルが発生したり、薬液の滞留が生じたりする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、最適な形状の連通流路を有する流路ブロック、その流路ブロックを備える流体制御装置を提供することにある。
第1の構成は、樹脂製の流路ブロックであって、所定面よりも凹んで形成された第1室と、前記第1室から離間した位置に、前記所定面よりも凹んで形成された第2室と、前記第1室と前記第2室とにそれぞれ開口し、前記第1室と前記第2室とを連通する、円弧形状の連通流路と、を備える。
流路に屈曲部分を設ける場合、屈曲部分では流路の断面積が大きくなるため、気泡が発生するおそれがあるし、屈曲部分には流体が滞留するおそれもある。また、連通流路に屈曲部分を設ける場合、製造方法にかかわらず屈曲部分にはバリが生じ、バリを取り除く処理を行う必要があるし、バリを取り除く処理を行えば、面粗が悪化するおそれがある。したがって、バリが生ずることに起因して、パーティクルが発生したり、薬液の滞留が生じたりする。
上記構成では、連通流路を円弧形状としているため、屈曲部分が設けられていない。したがって、金型を用いて流路ブロックを樹脂成形した場合に、連通流路を形成する過程で連通流路内にバリが発生せず、面粗の悪化を抑制することができる。さらに、連通流路は、第1室と第2室とに直接開口して、第1室と第2室とを連通している。このため、途中で接続された流路により第1室と第2室とを連通する構成と比較して、連通流路を短くすることができるとともに、接続部にデッドスペースが生じることや、流体が滞留することを抑制することができる。
なお、第1室及び第2室は、弁装置の弁体が配置される空間に限らず、ポンプ装置のダイアフラム、空間内の圧力を調節するレギュレータ、空間内の各種状態を検出するセンサ等が配置される空間を含むものとする。
第2の構成では、第1の構成に加えて、前記連通流路は、前記流路ブロックの外部に中心点を有する円弧形状である。
上記構成では、連通流路について流路ブロックの外部に中心点を有するものとしているため、その中心点周りに回動する金型部材を用いるにより連通流路を形成することができる。
第3の構成では、第2の構成に加えて、前記第1室及び前記第2室の少なくとも一方は、前記中心点を中心とする円弧の延長上にある空間を含む。
上記構成では、第1室及び第2室の少なくとも一方に含まれる空間を用いて、連通流路を形成する金型部材を円弧に沿って移動させて配置することができる。
第4の構成では、第1〜3の構成のいずれかに加えて、前記第1室及び前記第2室は、中心軸線が前記所定面に垂直な円筒形状であり、前記連通流路は、前記第1室の内周面、及び前記第2室の内周面の少なくとも一方に開口している。
金型を用いて射出成型を行う場合、開口の周囲には、射出成型後にバリを取る処理が必要となる場合がある。このとき、バリが屈曲部に生じている場合には、バリを取る処理が困難となる場合がある。上記構成では、第1室及び第2室の少なくとも一方での開口は、屈曲部を有しない室の内周面に設けられることとなり、開口の周囲に生ずるバリを容易に取り除くことができる。
第5の構成は、第1〜第4のいずれかの流路ブロックを備える流体制御装置であって、前記第1室には、前記連通流路の開口と異なる開口が設けられ、その開口に第1流路が接続されており、前記第2室には、前記連通流路の開口と異なる開口が設けられ、その開口に第2流路が接続されており、前記第1室と前記第1流路との連通状態を制御する第1弁機構と、前記第2室と前記第2流路との連通状態を制御する第2弁機構と、を備える。
上記構成では、円弧形状の連通流路でつながった第1室及び第2室を用いて流体制御装置を構成しているため、より好適に流量の調整を行うことができる。
第6の構成では、第5の構成に加えて、前記第1流路の前記第1室での開口の周囲には、突出した弁座が設けられており、前記第1弁機構は、前記弁座と当接するダイアフラムと、前記ダイアフラムに接続され他部材との連結を可能とする連結部と、前記連結部に連結され前記ダイアフラムを往復動させる往復動部材とを備える。
上記構成では、第1室においてダイアフラムを用いて第1流路の開放及び閉塞を制御しているため、液体の流通状態を適切に制御することができる。
第7の構成では、第6の構成に加えて、前記ダイアフラム及び前記連結部は、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体を主原料として形成されており、前記ダイアフラムと前記連結部とは、直接に接合されており、前記ダイアフラムの表面が押圧により平滑化されている。
上記構成により、連通流路におけるパーティクルの発生の抑制効果に加えて、ダイアフラムにおいてもパーティクルの発生を抑制することができ、流体制御装置全体でパーティクルの発生を抑制することができる。
第8の構成では、第6の構成又は第7の構成に加えて、前記第2弁機構は、前記第2流路の前記第2室での開口の内周に当接するニードル弁と、前記ニードル弁を往復動させる往復動部材とを備える。
弁機構としてダイアフラムを用いる場合、開口の周囲に突出した弁座を設ける必要があり、室の空間が狭くなる。この点、上記構成では、弁機構としてニードル弁を用いており、ニードル弁を第2流路の開口の内周に当接させるため、突出する弁座を設ける必要がなくなる。したがって、第2室の空間を広くすることができる。第1室と第2室とを連通する円弧形状の連通流路を形成する場合には、連通流路の形成に用いられる金型部材を配置位置まで移動させる際に通す空間が必要となる。第2室の空間を広くすることにより、連通流路の形成に用いられる部材を移動させる際に通す空間を設けることができる。
第9の構成は、本体を形成する金型と、第1室を形成する第1隆起部及び第2室を形成する第2隆起部を有する金型とを用いる流路ブロックの製造方法であって、前記第2隆起部から前記第1隆起部へと至るように、円弧形状のロータリーロッドを前記金型の内側へ挿入する工程と、前記金型の内側へ加熱溶融された樹脂を注入する工程と、前記樹脂が硬化した後に、前記ロータリーロッドを前記金型の内側から引き抜く工程と、を有する。
上記製造方法により、第1室と第2室とを連通する円弧形状の流路を、金型とロータリーロッドと用いる射出成型により形成することができる。したがって、円弧形状の流路を形成するうえで切削加工の必要がなくなり、切削加工に起因する面粗の悪化を抑制することができる。
第10の構成では、第9の構成に加えて、前記ロータリーロッドの中心点は前記金型の外部に設けられ、前記ロータリーロッドは前記中心点周りに回動するものであり、前記挿入する工程では、前記ロータリーロッドを前記中心点周りに回動させて前記金型の内側へ挿入し、前記引き抜く工程では、前記ロータリーロッドを前記中心点周りに回動させて前記金型の内側から引き抜く。
上記構成では、ロータリーロッドの中心点を金型の外部に設けているため、その中心点周りに回動させることで、金型の内側への挿入、及び金型の内側からの引き抜きを行うことができる。
第11の構成では、第10の構成に加えて、前記金型には、前記ロータリーロッドが挿入される円弧形状の挿入孔が、前記第2隆起部を貫通するように設けられており、前記挿入する工程では、前記ロータリーロッドは前記挿入孔に挿入される。
上記構成では、第2隆起部を利用してロータリーロッドを挿入する空間を確保することができるため、流路ブロックの他の部位の形成を阻害することなく、連通流路を形成することができる。
第12の構成では、第9〜第11の構成のいずれかに加えて、前記第1隆起部は円柱形であり、前記挿入する工程では、前記ロータリーロッドは前記第1隆起部の外周面面に当接する。
金型を用いて射出成型を行う場合、金型とロッドとの当接面にはバリが生じやすく、射出成型後にバリを取る処理が必要となる場合がある。このとき、バリが屈曲部に生じている場合には、バリを取る処理が困難となる場合がある。上記構成では、ロータリーロッドを円柱形の第1隆起部の外周面に当接させているため、円柱形の第1室の内周面に、流路の開口が設けられることとなる。したがって、第1室の開口は、屈曲部を有しない内周面に設けられることとなり、射出成型の際に生ずるバリを容易に取り除くことができる。
第1実施形態のバルブを示す断面図。 図1のバルブの第1室周辺の拡大断面図。 第1実施形態のバルブハウジングを示す断面図。 バルブハウジングの縦断面図。 第1実施形態のバルブハウジングの製造方法を示す図。 第1実施形態のバルブハウジングの製造方法を示す図。 柱状部を備えるダイアフラムを示す写真。 切削加工により形成された比較例のダイアフラムの表面を示す写真。 圧延加工により形成された本実施形態のダイアフラムの表面を示す写真。 ダイアフラムの膜部の製造方法を示す模式図。 膜部に柱状部となる第2材料を射出する工程を示す模式図。 比較例のバルブを示す断面図。 図8のバルブの動作を示す断面図。 図9のバルブにおけるダイアフラム周辺の拡大断面図。 (a)比較例のダイアフラムの表面写真、(b)(a)の枠内の拡大写真、(c)(b)の枠内の拡大写真。 (a)本実施形態のダイアフラムの表面写真、(b)(a)の枠内の拡大写真。 比較例のバルブにおけるダイアフラム周辺の拡大断面図。 図17のダイアフラムの表面拡大写真。 本実施形態のバルブにおける弁座周辺の拡大断面図。 図19のダイアフラムの表面拡大写真。 バルブの別の例を示す断面図。 ダイアフラムをポンプに適用した例を示す図。
<第1実施形態>
以下、半導体製造装置等において薬液等の流体の流路を開閉するバルブに具現化した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、バルブ10(流体制御装置)は、流路ブロック11、ダイアフラム20、ニードル弁31、第1ボディ41、第2ボディ51、第1ピストン61、第2ピストン62、カバー71等を備えている。
流路ブロック11は、耐薬品性の高い樹脂、例えば、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体(PFA)により、直方体状に形成されている。流路ブロック11の載置面11a側には、第1室12が形成されている。第1室12は、流路ブロック11の載置面11aに垂直な方向に延びる円柱状の空間として形成されている。第1室12の深さは、外周縁側から中心側へ向かって連続的に深くなっている。第1室12の中心軸線上の底面12aには、薬液の流路である第1流路13の開口13aが設けられている。
第1流路13は、開口13aから垂直方向へと延びる第1垂直流路13bと、その第1垂直流路13bの開口13aとは反対側の端部に接続され、第1垂直流路13bに対して垂直な方向、すなわち、載置面11aに対して水平方向へと延びる第1水平流路13cとを含んで構成されている。第1水平流路13cにおいて、第1垂直流路13bと接続される端部の反対側の端部は、開口13dとなっており、この開口13dを介して他の流路等が接続可能である。
流路ブロック11において、第1流路13の第1室12での開口13aの周囲には、環状の弁座14が設けられている。弁座14は、第1ボディ41及び第1ピストン61の方向へ突出する環状の凸部となっている。この環状の凸部の内周側が第1流路13の第1垂直流路13bの一部を構成している。
弁座14に対向するように、ダイアフラム20が配置されている。ダイアフラム20は、薄膜状(シート状)の膜部21と、円筒状の連結部23とを備えている。ダイアフラム20(膜部21)の径は、14mmとなっている。連結部23は、膜部21の中央に接合されている。なお、ダイアフラム20の詳細については後述する。
ダイアフラム20の膜部21の周縁部21aは、第1ボディ41に設けられた円筒状の押圧部42と、流路ブロック11に形成された、押圧部42と対向する第1対向部15とにより押圧されている。詳しくは、膜部21の上面(第1面)が、押圧部42により押圧されている。膜部21の下面(第2面)が、第1対向部15により押圧されている。このように膜部21の周縁部21aが押圧部42及び第1対向部15により押圧された状態で、流路ブロック11と第1ボディ41とが接続されている。
バルブ10におけるダイアフラム20周辺について、図2を参照して詳述する。押圧部42のダイアフラム20の上面との当接面42aは平坦である。押圧部42の下端における内周側の角42bは、R加工(丸め加工)が行われており、滑らかな曲面となっている。環状の押圧部42において、内周側の全周にわたって角42bはR加工が行われている。膜部21において、押圧部42と第1対向部15とにより押圧された周縁部21aは、膜部21の他の部分の厚み(所定の厚み)の略半分の厚みに変形されている。押圧部42の下端における外周側の部分には、膜部21の周縁部21aの変形により周縁部21aの周囲に形成された隆起部21bを逃がす傾斜部42cが形成されている。
第1対向部15の上端における角15aは、R加工が行われており、滑らかな曲面となっている。第1対向部15の上端における内周側の部分には、膜部21の周縁部21aの変形により、周縁部21aの押圧された部分(所定部分)の周囲に形成された隆起部21bを逃がす傾斜部が形成されているといえる。
弁座14において、ダイアフラム20と当接する部分の外周側の角14aは、R加工が行われており、滑らかな曲面となっている。環状の弁座14において、外周側の全周にわたって角14aはR加工が行われている。弁座14において、ダイアフラム20と当接する部分の内周側の角14bは、R加工が行われており、滑らかな曲面となっている。環状の弁座14において、内周側の全周にわたって角14bはR加工が行われている。
ダイアフラム20の連結部23には、第1ピストン61の下端が連結されている。第1ピストン61(往復動部材)は、円柱状に形成されている。第1ピストン61の下端には、ねじ溝が設けられている。ダイアフラム20における連結部23にもねじ溝が設けられている。第1ピストン61のねじ溝とダイアフラム20の連結部23のねじ溝が締結されることで、ダイアフラム20と第1ピストン61とが連結されている。
第1ボディ41には、第1ピストン61を弁座14の方向へ往復動させるアクチュエータが組み込まれている。アクチュエータは、電磁力等により第1ピストン61を往復動させるものでもよいし、空圧等により第1ピストン61を往復動させるものでもよい。
第1ピストン61が往復動させられることにより、ダイアフラム20が変形させられる。そして、ダイアフラム20が弁座14に当接することにより、第1室12と第1流路13とが遮断される。ダイアフラム20が弁座14から離間することにより、第1室12と第1流路13とが連通される。
図1に戻り、流路ブロック11の載置面11a側において、第1室12と所定間隔を開けた位置には、第2室16が形成されている。第2室16は、第1室12と同様に、流路ブロック11の載置面11aに垂直な方向に延びる円柱状の空間として形成されている。第2室16の中心軸線上の底面16aには、薬液の流路である第2流路17の開口17aが設けられている。この開口17aは円形であり、開口17aの中心は、第2室16の中心軸線上に位置する。
第2流路17は、開口17aから垂直方向へと延びる第2垂直流路17bと、その第2垂直流路17bの開口17aとは反対側の端部に接続され、第2垂直流路17bに対して垂直な方向、すなわち、載置面11aに対して水平方向へと延びる第2水平流路17cとを含んで構成されている。第2水平流路17cにおいて、第2垂直流路17bと接続される端部の反対側の端部は、開口17dとなっており、この開口17dを介して他の流路等が接続可能である。
第2流路17の開口17aに対向するように、ニードル弁31が配置されている。ニードル弁31は、先端が円錐形であるニードル部32と、そのニードル部32の外周を囲うように設けられた円形の膜部33と、その膜部33の外周を囲うように設けられた周縁部34とを備えている。
ニードル弁31において、ニードル部32、膜部33、及び周縁部34の中心軸線は、第2室16の中心軸線と一致する。ニードル部32の直径は、直径が最大である部分において、開口17aの直径よりも大きい。
ニードル弁31の周縁部34は、第2ボディ51の下端に接するように設けられた円筒状の押圧部材52と、流路ブロック11に形成された、押圧部材52と対向する第2対向部18とにより押圧されている。詳しくは、周縁部34の上面が、押圧部材52により押圧されている。周縁部34の下面が、第2対向部18により押圧されている。このようにニードル弁31の周縁部34が押圧部材52及び第2対向部18により押圧された状態で、流路ブロック11と第2ボディ51とが接続されている。
ニードル弁31の上端には、第2ピストン62の下端が連結されている。第2ピストン62(往復動部材)は、円柱状に形成されている。第2ピストン62の上端には、外周面に雄ネジが形成されたスピンドル62aが設けられている。このスピンドル62aの外周面を覆うように、内周面に雌ネジが形成された円筒状のインナースリーブ63が設けられている。すなわち、スピンドル62aの外周面とインナースリーブ63の内周面とにより、差動ネジを構成する。このインナースリーブ63の下端側の外周面は摺動面となっており、第2ボディ51の上端に設けられた円筒状のベース管51aの内周面に当接する。このベース管51aの内周面は摺動面となっている。インナースリーブ63の上端側には、円筒形のアウタースリーブ64が取り付けられている。インナースリーブ63とアウタースリーブ64とは、図示しない固定部材により、一体になっている。
以上のように構成されているため、アウタースリーブ64を回転させれば、アウタースリーブ64と一体となっているインナースリーブ63も回転する。この回転は第2ピストン62のスピンドル62aへと伝達される。スピンドル62aの外周面とインナースリーブ63の内周面とにより差動ネジが構成されているため、アウタースリーブ64の回転は第2ピストン62の上下方向への移動に変換される。すなわち、アウタースリーブ64を回転させることにより、第2ピストン62の下端に設けられたニードル弁31の上下方向の位置を制御し、第2室16と第2流路17との間での流量を制御することができる。
第1室12と第2室16とは、連通流路81により接続されている。連通流路81は、図3に示すように、所定の中心点99を中心とする円弧形状である。すなわち、連通流路81の曲率は、流路方向において一定となっている。連通流路81の流路方向に直交する断面は図4の断面図に示すように円形である。
連通流路81の第1室12側の開口82は、第1室12の内周面12bに形成されている。連通流路81の第2室16側の開口83は、第2室16の側面16bから底面16aにかけて、設けられている。
連通流路81の中心点99は、流路ブロック11の外部の、載置面11aから垂直方向に離間した位置に設けられている。したがって、中心点99と開口82,83とを結ぶ線分により規定される角度は、180°未満である。
続いて、図5及び図6を参照して、流路ブロック11の製造方法について説明する。流路ブロック11は、金型90の内側に設けられた空間に、加熱溶融された樹脂を射出注入することにより形成される。
金型90は、第1金型90aと第2金型90bとを備えている。第1金型90aの第2金型90bと対向する面には、第2金型90b側へと隆起した第1隆起部91が設けられている。この第1隆起部91の外形は、第1室12と等しい形状である。第1隆起部91の中央には、内側方向へと突出した円筒形状の第1流路形成部91aが設けられている。この第1流路形成部91aの直径は、第1垂直流路13bと等しい。
金型90の第1側面90cには、第1挿入孔92が設けられている。第1挿入孔92は、円柱形の空間であり、その直径は、第1水平流路13cと等しく形成されている。第1挿入孔92には、第1スライドロッド93が挿入される。第1スライドロッド93は、先端が半球形である円柱形状であり、直径は第1水平流路13c及び第1挿入孔92と等しく形成されている。第1スライドロッド93が第1挿入孔92に挿入された場合に、第1スライドロッド93の先端は、第1流路形成部91aの先端に当接する。
金型90には、第1隆起部91と所定間隔を開けて、金型90の内側方向へと隆起した第2隆起部94が設けられている。この第2隆起部94の外形は、第2室16と等しい形状である。第2隆起部94の中央には、内側方向へと突出した円筒形状の第2流路形成部94aが設けられている。この第2流路形成部94aの直径は、第2垂直流路17bと等しい。
金型90の、第1側面90cとは反対側の側面である第2側面90dには、第2挿入孔95が設けられている。第2挿入孔95は、円柱形の空間であり、その直径は、第2水平流路17cと等しく形成されている。第2挿入孔95には、第2スライドロッド96が挿入される。第2スライドロッド96は、先端が半球形である円柱形状であり、直径は第2水平流路17c及び第2挿入孔95と等しく形成されている。第2スライドロッド96が第2挿入孔95に挿入された場合に、第2スライドロッド96の先端は、第2流路形成部94aの先端に当接する。
第2隆起部94を貫通するように、第3挿入孔97が形成されている。この第3挿入孔97は、連通流路81と中心点99を共通とする円弧形状である。第3挿入孔97の円弧の半径は連通流路81の円弧の半径と等しく、第3挿入孔97の断面の寸法形状は連通流路81の断面の寸法形状と等しい。第3挿入孔97の金型90の内側における開口は、第2隆起部94の側面94bから底面94cに至るように形成されている。
第3挿入孔97には、ロータリーロッド98が挿入される。ロータリーロッド98は、連通流路81の中心点99を中心とする円弧形状である。ロータリーロッド98の円弧の半径は連通流路81及び第3挿入孔97の円弧の半径と等しく、ロータリーロッド98の断面の寸法形状は、連通流路81及び第3挿入孔97の断面の寸法形状と等しい。
ロータリーロッド98の先端側とは反対側の後端側には、棒状のアーム98aが設けられている。このアーム98aは中心点99に接続されている。このようにしてロータリーロッド98にアーム98aが設けられているため、ロータリーロッド98は、中心点99周りに回動する。ロータリーロッド98は、先端側から第3挿入孔97へと挿入される。回動して第3挿入孔97に挿入されたロータリーロッド98の先端は、第1隆起部91の側面91bに当接する。
図5に示すように、金型90に対して、第1スライドロッド93、第2スライドロッド96、及びロータリーロッド98が挿入された状態で、加熱溶融された樹脂が射出注入される。その樹脂が冷却され固化した後、図6に示すように、第1スライドロッド93、第2スライドロッド96、及びロータリーロッド98を引き抜く。具体的には、ロータリーロッド98を中心点99周りに回動させて、金型90Aからロータリーロッド98を引き抜く。そして、第1金型90aと第2金型90bとを分離させる。
第1スライドロッド93により第1水平流路13cが形成され、金型90の第1流路形成部91aにより第1垂直流路13bが形成される。第1スライドロッド93と第1流路形成部91aとは樹脂を注入する際に当接しているため、第1水平流路13cと第1垂直流路13bは、その当接部分において、接続される。
第2スライドロッド96により第2水平流路17cが形成され、金型90の第2流路形成部94aにより第2垂直流路17bが形成される。第2スライドロッド96と第2流路形成部94aとは樹脂を注入する際に当接しているため、第2水平流路17cと第2垂直流路17bは、その当接部分において、接続される。
ロータリーロッド98により、連通流路81が形成される。ロータリーロッド98が挿入される第3挿入孔97は、第2室16を形成する第2隆起部94に設けられている。ロータリーロッド98の先端は、第1室12を形成する第1隆起部91に当接する。したがって、ロータリーロッド98により形成される連通流路81が、第1室12と第2室16とを連通することとなる。
第1スライドロッド93、第2スライドロッド96、及びロータリーロッド98が引き抜かれた後、流路ブロック11は金型90から取り外される。このとき、第1スライドロッド93、第2スライドロッド96、及びロータリーロッド98と、金型90との当接部分にバリが生じていれば、そのバリを取り除く処理を行う。この処理は、公知の処理であるため、具体的な説明を省略する。
以上のようにして流路ブロック11が形成された後、流路ブロック11に対して、ダイアフラム20、ニードル弁31、第1ボディ41、第2ボディ51、第1ピストン61、第2ピストン62等が取り付けられる。
次に、本実施形態のダイアフラム20について詳細に説明する。図7は、柱状部22を備えるダイアフラム20を示す写真である。
膜部21は、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体(PFA)を主原料とする第1材料により形成されている。PFAは、耐薬品性を有しており、PTFEと比べてパーティクルの発生しにくい分子構造である。膜部21は、均一な所定の厚みのシート状(膜状)に形成されている。所定の厚みは、0.05〜0.5mmであり、望ましくは略0.2mmである。膜部21は、第1材料を圧延により加工して形成されている。
図8は、切削加工により形成された比較例のダイアフラムの表面を示す写真である。同図に示すように、比較例のダイアフラムの表面は、切削加工により荒れている。このため、ダイアフラムの使用により、パーティクルが発生したり、表面の一部がむしれたり(剥がれたり)するおそれがある。
図9は、圧延加工により形成された本実施形態ダイアフラム20の表面を示す写真である。同図に示すように、ダイアフラム20の表面、詳しくは膜部21の表面は、切削加工が行われていないため、比較例のダイアフラムの表面と比べて荒れていない。しかも、膜部21の表面は圧延加工により押圧されているため、平滑化されている。このため、ダイアフラム20を使用したとしても、パーティクルが発生したり、表面の一部がむしれたりすることを抑制することができる。
図7に戻り、膜部21の中央には、柱状部22が直接に接合されている。柱状部22は、PFAを主原料とする第2材料により、円柱状に形成されている。第1材料は第2材料よりも柔軟性が高い。膜部21の四隅には、位置決め用の貫通孔21cが形成されている。
そして、柱状部22が切断及び切削されて、上記連結部23が形成される。このため、膜部21の中央には、連結部23が直接に接合されている。連結部23には、ねじ溝が形成される。こうして、上記ダイアフラム20が製造される。
次に、ダイアフラム20の製造方法について詳細に説明する。図10は、ダイアフラム20の膜部21の製造方法を示す模式図である。図11は、膜部21に柱状部22となる第2材料を射出する工程を示す模式図である。
まず、図10に示すように、成形機F1に溶融状態の第1材料m1を投入する。溶融状態の第1材料m1は流動性が低く、射出成形を行うことができない。一方、第1材料m1は柔軟性が高い。そこで、成形機F1のローラR1により、第1材料m1を圧延しながら押し出す。このとき、ローラR1を加熱することで、第1材料m1を加熱した状態で圧延する。加熱により第1材料m1を軟化させつつ、第1材料m1を次第に薄く延ばす。
次に、ある程度延ばされた第1材料m1を成形機F2へ送る。成形機F2では、ローラR2により、第1材料m1を更に圧延する。このとき、ローラR2を加熱することで、第1材料m1を加熱した状態で圧延する。そして、0.2mmの厚みまで延ばされた薄膜状(シート状)の膜部21を、ローラR3により巻き取る。これにより、ロール状の膜部21が製造される。
一般に、耐薬品性を有する第1材料m1を圧延により加工する場合、0.05mmよりも薄くすることは困難である。そこで、第1材料m1を圧延により加工して0.05〜0.5mmの厚みの膜部21を形成する。本実施形態では、略0.2mmの厚みの膜部21を形成する。
次に、図11に示すように、所定の大きさに切断した膜部21を金型A1に取り付ける。そして、柱状部22の金型A2を膜部21の表面に配置する。金型A2には、柱状部22に対応する空間22Sが形成されている。金型A1と金型A2とで膜部21を挟み込むことで、空間22Sを密閉する。空間22Sは、原料の導入口22Iに連通している。導入口22Iは、射出成形機F3に接続されている。
射出成形機F3に溶融状態の第2材料m2を投入する。溶融状態の第2材料m2は流動性が高く、射出成形を行うことができる。すなわち、溶融状態の第2材料m2の流動性は、溶融状態の第1材料m1の流動性よりも高い。そして、第1材料m1により形成された膜部21の表面に、第2材料m2を溶融状態で射出する。
ここで、膜部21に溶融状態の第2材料m2が接しても、第1材料m1により形成された膜部21は溶融しない。膜部21は溶融しないが、射出された第2材料m2により膜部21が熱せられ、膜部21の分子の移動が促進される。
その後、金型A1,A2を冷却することにより、射出された第2材料m2を凝固させて柱状の柱状部22を形成する。これにより、図7に示すように、膜部21と柱状部22とが直接に接合される。そして、柱状部22を切削して、他部材との連結を可能とする連結部23を形成する。以上により、ダイアフラム20が製造される。
図12は、比較例のバルブ110を示す断面図である。図13は、図12のバルブ110の動作を示す断面図である。バルブ110では、バルブ10の第1ピストン61に代えて、ボディ141にエア(圧縮空気)の入出通路152が形成されている。入出通路152は、バルブ室112においてダイアフラム120により区画された上側の空間、すなわち吸入通路113及び吐出通路114と反対側の空間に連通している。ダイアフラム120は、上記第1材料により、薄膜状(シート状)に形成されている。
そして、入出通路152からエアが導入されると、図13に示すように、ダイアフラム120が吸入通路113及び吐出通路114側(流路ブロック111側)へ変形し、吸入通路113及び吐出通路114とバルブ室112とが遮断される。入出通路152からエアが排出されると、図12に示すように、ダイアフラム120が吸入通路113及び吐出通路114と反対側(ボディ141側)へ変形し、吸入通路113及び吐出通路114とバルブ室112とが連通される。
図14は、図3のバルブ110におけるダイアフラム120周辺の拡大断面図である。同図は、入出通路152からエアを導入して、ダイアフラム120により吸入通路113及び吐出通路114とバルブ室112とを遮断した状態を示している。この状態では、ダイアフラム120の一部が吸入通路113及び吐出通路114の中へ入り込んでいる。また、ダイアフラム120の中央部が拘束されていないため、ダイアフラム120は膜の広がり方向へ比較的自由に動くことができる。このため、ダイアフラム120の表面と流路ブロック111の当接面(上面)とが擦れることとなる。
図15(a)は、比較例のバルブ110を所定時間使用後のダイアフラム120の表面写真、(b)は(a)の枠内の拡大写真、(c)は(b)の枠内の拡大写真である。同図に示すように、ダイアフラム120の表面に、擦れた跡が付いている。そして、その擦れ跡部分を拡大すると、ダイアフラム120の表面が荒れた状態となっている。このため、ダイアフラム120の表面と流路ブロック111の当接面との擦れは、ダイアフラム120からパーティクルが発生する原因となる。
図16(a)は、本実施形態のバルブ10を上記と同じ所定時間使用後のダイアフラム20の表面写真、(b)は(a)の枠内の拡大写真である。同図に示すように、ダイアフラム120の表面に、押圧された跡が付いている。しかしながら、バルブ10では、ダイアフラム20の中央部が連結部23を介して第1ピストン61により拘束されているため、ダイアフラム20は膜の広がり方向(径方向)へ動くことが抑制されている。このため、ダイアフラム20の表面と弁座14とはほとんど擦れないこととなる。(b)に示すように、押圧跡部分を拡大しても、ダイアフラム20の表面は荒れた状態となっていない。
図17は、比較例のバルブ110におけるダイアフラム120周辺の拡大断面図である。同図に丸の囲みで示すように、ダイアフラム120は流路ブロック111の当接面(上面)の角111aに当たっている。このため、ダイアフラム120の表面が損傷するおそれがある。
図18は、図17のダイアフラム120において、角111aと当たる部分の表面拡大写真である。同図に示すように、ダイアフラム120の表面が角111aにより削られている。このため、ダイアフラム120が流路ブロック111の当接面の角111aに当たることは、パーティクル発生の原因となる。
図19は、本実施形態のバルブ10における弁座14周辺の拡大断面図である。なお、同図では、ダイアフラム20の連結部23を省略して示している。同図に丸の囲みで示すように、ダイアフラム20は弁座14の丸い角14aに当たる。このため、ダイアフラム20の表面が損傷することが抑制される。
図20は、図19のダイアフラム20において、角14aと当たる部分の表面拡大写真である。同図に示すように、ダイアフラム20の表面は角14aにより削られていない。このため、ダイアフラム20からパーティクルが発生することが抑制されている。
上記構成により、本実施形態に係るバルブ10、及びそのバルブ10に用いられるダイアフラム20は、以下の効果を奏する。
・流路に屈曲部分を設ける場合、屈曲部分では流路の断面積が大きくなるため、気泡が発生するおそれがあるし、屈曲部分には薬液が滞留するおそれもある。また、流路に屈曲部分を設ける場合、製造方法にかかわらず屈曲部分にはバリが生じ、バリを取り除く処理を行う必要がある、バリを取り除く処理を行えば、面粗が悪化するおそれがあるし、バリを完全に取り除くことは困難である。本実施形態では、連通流路81を円弧形状としているため、屈曲部分が設けられていない。したがって、金型90を用いて流路ブロック11を成形した場合に、連通流路81を形成する過程で連通流路81内にバリが発生せず、面粗の悪化を抑制することができる。
・連通流路81について、円弧形状としており屈曲部分を設けていないため、流路の断面積が大きく変化することがない。これにより、流路の断面積の変化に起因する気泡の発生を抑制することができる。加えて、屈曲部分に生じやすい薬液の滞留を、好適に抑制することができる。
・連通流路81について、流路方向の断面形状を一定としているため、流路方向の断面積の変化に起因する気泡の発生をより好適に抑制することができる。
・弁機構としてダイアフラム20を用いる場合、開口13aの周囲に突出した弁座14を設ける必要があり、第1室12の空間が狭くなる。この点、実施形態では、第2室16の弁機構としてニードル弁31を用いており、ニードル弁31を第2流路17の開口17aの内周に当接させるため、突出する弁座を設ける必要がなくなる。したがって、第2室16の空間を広くすることができる。第1室12と第2室16とを連通する円弧形状の連通流路81を形成する場合には、連通流路81の形成に用いられる部材を挿入する空間が必要となる。第2室16の空間を広くすることにより、連通流路81の形成に用いられる部材を挿入する空間を設けることができる。
・第2室16において、中心点99を中心とする円弧上に弁座等が設けられておらず、空間が形成されている。これにより、第2室16の空間を用いて、連通流路81を形成する部材であるロータリーロッド98を挿入することができる。
・本実施形態では、第1室12と第2室16とを連通する円弧形状の連通流路81を、金型90とロータリーロッド98と用いる射出成型により形成している。これにより、円弧形状の連通流路81を形成するうえで切削加工の必要がなくなり、切削加工に起因する面粗の悪化を抑制することができる。
・ロータリーロッド98の回動の中心点99を金型90の外部に設けているため、その中心点周りに回動させることで、金型90の内側への挿入、及び金型90の内側からの引き抜きを適切に行うことができる。
・第2隆起部94を利用してロータリーロッド98を挿入する空間である第3挿入孔97を設けている。これにより、流路ブロック11の他の部位の形成を阻害することなく、連通流路81を形成することができる。
・金型を用いて射出成型を行う場合、金型とロッドとの当接面にはバリが生じやすく、射出成型後にバリを取る処理が必要となる場合がある。このとき、バリが屈曲部に生じている場合には、バリを取る処理が困難となる場合がある。本実施形態では、ロータリーロッド98を円柱形の第1隆起部91の外周面に当接させているため、円柱形の第1室12の内周面に、連通流路81の開口82が設けられることとなる。したがって、第1室12に設けられた連通流路81の開口82は、屈曲部を有しない曲面に設けられることとなり、射出成型の際に生ずるバリを容易に取り除くことができる。
・第1材料m1の主原料と第2材料m2の主原料とは同じである。このため、第1材料m1により形成された膜部21に、溶融状態の第2材料m2を射出することにより、膜部21に第2材料m2を直接に接合することができる。そして、第2材料m2を加工することにより、連結部23を形成することができる。したがって、膜部21の厚みが薄い場合であっても、連結部23を備えるダイアフラム20を製造することができる。
・溶融状態の第2材料m2の流動性は、溶融状態の第1材料m1の流動性よりも高い。このため、第1材料m1を溶融状態にして射出成形することができない場合であっても、第2材料m2を溶融状態にして射出成形することにより、膜部21に第2材料m2を接合して連結部23を形成することができる。
・溶融状態の第2材料m2は、射出成形可能な流動性を有している。このため、第2材料m2を用いて膜部21に接するように射出成形することにより、膜部21に直接に接合された連結部23を形成することができる。
・第1材料m1は第2材料m2よりも柔軟性が高いため、第1材料m1により形成された膜部21の強度を高くすることができ、膜部21からのパーティクル発生や膜部21の損傷を抑制することができる。
・第1材料m1及び第2材料m2の主原料は、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体(PFA)である。PFAはPTFEと比べてパーティクルの発生しにくい分子構造であり、ダイアフラム20の使用によるパーティクルの発生を抑制することができる。近年、射出成形が可能な溶融状態での流動性が高いPFAが開発されたため、この溶融状態での流動性が高いPFAを第2材料m2として射出成形により連結部23を形成することができる。また近年、軟質のPFAが開発されたため、この軟質PFAを第1材料m1として圧延により膜部21を形成することができる。
・一般に、耐薬品性を有する第1材料m1を圧延により加工する場合、0.05mmよりも薄くすることは困難である。また、0.5mmよりも薄い膜部21を射出成形により形成することは困難である。この点、第1材料m1を圧延により加工して0.05〜0.5mmの厚みの膜部21を形成し、第2材料m2を用いて射出成形することにより、連結部23を備えるダイアフラム20を製造することができる。
・膜部21の厚みは略0.2mmであるため、連結部23を備えた上で、ダイアフラム20として適切な撓みと強度を実現することができる。
・膜部21の表面が押圧されて平滑化されているため、膜部21からのパーティクルの発生を抑制することができる。具体的には、第1材料m1を圧延により加工して膜部21を形成しているため、表面が押圧されて平滑化された膜部21を製造することができる。
・ダイアフラム20では、連結部23を備えた上でダイアフラム20の膜部21の厚みを薄くすることができる。このため、変形に対するダイアフラム20の耐久性を向上させることができ、ダイアフラム20の径に対して変形量を比較的大きくすることができる。その結果、ダイアフラム20の変形量とダイアフラム20の径との比(変形量/径)が0.15〜0.25であるバルブ10を実現することができる。
・膜部21は、均一な所定の厚みのシート状に形成されているため、圧延により加工して膜部21を形成することができる。膜部21の上面を押圧する押圧部42はこの上面との当接面42aが平坦である。このため、当接面42aが平坦である押圧部42により膜部21の上面を押圧することができ、膜部21の損傷を抑制することができる。
・流路ブロック11には、膜部21を挟んで押圧部42と対向する第1対向部15が設けられている。そして、膜部21において、押圧部42と第1対向部15とにより押圧された周縁部21aの所定部分は、所定の厚みの略半分の厚みに変形されている。このため、均一な所定の厚みのシート状に形成された膜部21であっても、押圧部42と第1対向部15との間を、膜部21により確実にシールすることができる。さらに、押圧部42には、周縁部21aの所定部分の変形によりの所定部分の周囲に形成された隆起部21bを逃がす傾斜部42cが形成されている。このため、押圧部42と第1対向部15とにより押圧された周縁部21aの所定部分に負荷が過剰にかかることを抑制することができ、膜部21の損傷を抑制することができる。
・バルブ10において、アクチュエータは連結部23に連結されて往復動させられる第1ピストン61を備えている。このため、第1ピストン61を往復動させることにより、ダイアフラム20を変形させることができる。ここで、第1ピストン61によりダイアフラム20を変形させる構成では、ダイアフラム20を空圧等で変形させる構成と比較して、ダイアフラム20の径方向のずれを抑制することができる。その結果、第1流路13を開閉する際の膜部21の擦れを抑制することができ、膜部21からのパーティクル発生や膜部21の損傷を抑制することができる。
・第1流路13の第1室12での開口13aの周囲には環状の弁座14が設けられており、弁座14においてダイアフラム20と当接する部分の角14aが滑らかな曲面となっている。このため、弁座14とダイアフラム20との当接が繰り返されたとしても、膜部21からのパーティクルの発生や膜部21の損傷を抑制することができる。
・ダイアフラム20の製造方法において、耐薬品性を有する第1材料m1により形成された膜部21の表面に、第1材料m1の主原料と同じ原料を主原料とする第2材料m2が溶融状態で射出される。第1材料m1の主原料と第2材料m2の主原料とは同じであるため、膜部21に第2材料m2を直接に接合することができる。
・射出された第2材料m2を凝固させて柱状の柱状部22が形成される。このため、柱状部22を加工することにより、連結部23を形成することができる。したがって、膜部21の厚みが薄い場合であっても、連結部23を備えるダイアフラム20を製造することができる。
・第2材料m2を射出する工程において、柱状部22の金型A2を膜部21の表面に配置した状態で、金型A2内に第2材料m2が溶融状態で射出される。このため、膜部21に接するように第2材料m2を射出することができ、膜部21に直接に接合された柱状部22を形成することができる。
・第2材料m2を射出する工程において、膜部21に第2材料m2が溶融状態で射出される。このため、射出された第2材料m2により膜部21が熱せられ、膜部21において分子の移動を促進させることができ、膜部21と第2材料m2との接合強度を向上させることができる。
・第1材料m1を加熱した状態で圧延することにより膜部21が形成される。このため、膜部21を圧延により形成する際に、第1材料m1を軟化させることができ、第1材料m1の加工性を向上させることができる。
<第2実施形態>
本実施形態に係るバルブ300について、図21を参照して説明する。なお、図21において、第1実施形態と共通の箇所には第1実施形態と同じ符号を付与しており、具体的な説明を省略する。
流路ブロック311には、第1室312と、第2室316が形成されている。第1室312は、流路ブロック311の載置面311aに垂直な方向に延びる円柱状の空間として形成されている。第1室312の底面312aは、載置面311aに平行な平面である。
第2室316は、流路ブロック311の載置面311aに垂直な方向に延びる略円柱状の空間として形成されている。第2室316の底面316aは、流路ブロック311の載置面311aに平行な面であり、側面316bは、流路ブロック311の載置面311aに垂直な円筒状の面である。この底面316aと側面316bとの間には、円環状のテーパ面316cが設けられている。すなわち、第2室316の直径は底面316aに向かうにつれて小さくなる。
第1室312と第2室316とを連通する連通流路381は、第1実施形態と同様に、円弧形状の流路である。連通流路381の第1室312側の開口382は、第1室312の底面312aから内周面312bにかけて形成されている。連通流路381の第2室316側の開口383は、第2室316のテーパ面316cに形成されている。
なお、本実施形態に係る流路ブロック311は、第1実施形態と同様に、射出成型により形成される。
上記構成により、本実施形態に係るバルブ300は、第1実施形態に準ずる効果を奏する。
<変形例>
・実施形態では、第1流路13を第1垂直流路13bと第1水平流路13cとにより構成したが、第1流路13を連通流路81と同様に円弧形状の流路としてもよい。第2流路17についても同様である。
・実施形態では、連通流路81,381の断面を円形としたが、楕円形としてもよい。この場合、載置面11a,311a方向を短辺とする横長楕円形としてもよいし、載置面11a,311a方向を長辺とする縦長楕円形としてもよい。また、連通流路81,381の断面を多角形としてもよい。
・連通流路81の第1室12側の開口82を、第1室12の底面12aに設けてもよい。
・連通流路81の第2室16側の開口83を、第2室16の底面16aに設けてもよい。
・第1室12と第1流路13との連通状態を、ダイアフラム20を備える第1弁機構により制御するものとした。また、第2室16と第2流路17との連通状態を、ニードル弁31を備える第2弁機構により制御するものとした。この点、第1弁機構、第2弁機構としては、実施形態で例示したものに限られず、他の開閉機構を採用することができる。
・流路ブロック11を射出成型により形成する際に、第1スライドロッド93、第2スライドロッド96及びロータリーロッド98を、金型90から引き抜いているが少なくとも、金型90の内部の空間から引き抜かれていればよい。
・第1流路13及び第2流路17について、切削により形成することもできる。
・上記実施形態では、膜部21の周縁部21aを略半分の厚みに変形させたが、これに限らず、略2/3の厚みや、略1/3の厚み等に変形させてもよい。
・押圧部42において、当接面42aを下側に凸の曲面とすることもできる。
・ダイアフラム20の変形量とダイアフラム20の径との比(変形量/径)を、0.15〜0.25の範囲外に設定することもできる。
・第1材料が柔軟性を有し、且つ第2材料を射出成形可能であれば、第1材料及び第2材料の主原料としてPFA以外を用いることもできる。また、主原料として、1つの原料に限らず、2つ又は3つの原料を用いることもできる。
・膜部21と連結部23との接合位置は、膜部21の中央に限らず、適宜変更することができる。
・膜部21の形状や、連結部23の形状は、用いられる装置等に応じて、任意に設定することができる。
・第1材料m1の加工性を確保することができれば、第1材料m1を圧延する際に第1材料m1を加熱しなくてもよい。
・柱状部22を切削加工して連結部23を形成しなくても、柱状部22をそのまま連結部23として用いることのできる構成を採用することもできる。なお、その場合は、柱状部22がそのまま連結部23となる。
・膜部21と第2材料m2(柱状部22)との接合強度を向上させるために、第2材料m2を射出する工程において膜部21を加熱することもできる。
・上記実施形態では、バルブ10に対してダイアフラム20を適用した。しかしながら、図22に示すように、ポンプ210に対してダイアフラム20に準じたダイアフラム220を適用することもできる。なお、同図では、ポンプ210の一部のみを示している。同図に示すように、ポンプ210のボディ211には、流体の吸入流路213及び連通流路281が形成されている。そして、ダイアフラム220の変形に基づいて、流体が吸入流路213から吸入され、連通流路281へ吐出される。連通流路281の先には、第1実施形態と同様に、第2室が形成されている。こうすることにより、ポンプ210は、第1実施形態と同等の効果を奏する。
・上記実施形態では、第1室12及び第2室16を弁室として用いるものを示した。この点、第1室12及び第2室16の少なくとも一方に、内部の流体の圧力を調節するレギュレータを設け、圧力調整室として機能させるものとしてもよい。また、第1室12及び第2室16の少なくとも一方に、内部の流体の圧力や流量等を検出するセンサを設け、計測室として機能させるものとしてもよい。
10…バルブ、11…流路ブロック、12…第1室、13…第1流路、14…弁座、16…第2室、17…第2流路、20…ダイアフラム、30…ニードル弁、81…連通流路、90…金型、91…第1隆起部、94…第2隆起部、97…第3挿入孔、98…ロータリーロッド、99…中心点。

Claims (12)

  1. 所定面よりも凹んで形成された第1室と、
    前記第1室から離間した位置に、前記所定面よりも凹んで形成された第2室と、
    前記第1室と前記第2室とにそれぞれ開口し、前記第1室と前記第2室とを連通する、円弧形状の連通流路と、を備える樹脂製の流路ブロック。
  2. 前記連通流路は、前記流路ブロックの外部に中心点を有する円弧形状である、請求項1に記載の流路ブロック。
  3. 前記第1室及び前記第2室の少なくとも一方は、前記中心点を中心とする円弧の延長上にある空間を含む、請求項2に記載の流路ブロック。
  4. 前記第1室及び前記第2室は、中心軸線が前記所定面に垂直な円筒形状であり、
    前記連通流路は、前記第1室の内周面、及び前記第2室の内周面の少なくとも一方に開口している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の流路ブロック。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の流路ブロックを備える流体制御装置であって、
    前記第1室には、前記連通流路の開口と異なる開口が設けられ、その開口に第1流路が接続されており、
    前記第2室には、前記連通流路の開口と異なる開口が設けられ、その開口に第2流路が接続されており、
    前記第1室と前記第1流路との連通状態を制御する第1弁機構と、
    前記第2室と前記第2流路との連通状態を制御する第2弁機構と、を備える、流体制御装置。
  6. 前記第1流路の前記第1室での開口の周囲には、突出した弁座が設けられており、
    前記第1弁機構は、前記弁座と当接するダイアフラムと、前記ダイアフラムに接続され他部材との連結を可能とする連結部と、前記連結部に連結され前記ダイアフラムを往復動させる往復動部材とを備える、請求項5に記載の流体制御装置。
  7. 前記ダイアフラム及び前記連結部は、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体を主原料として形成されており、
    前記ダイアフラムと前記連結部とは、直接に接合されており、
    前記ダイアフラムの表面が押圧により平滑化されている、請求項6に記載の流体制御装置。
  8. 前記第2弁機構は、前記第2流路の前記第2室での開口の内周に当接するニードル弁と、前記ニードル弁を往復動させる往復動部材とを備える、請求項6又は7に記載の流体制御装置。
  9. 本体を形成する金型と、第1室を形成する第1隆起部及び第2室を形成する第2隆起部を有する金型とを用いる流路ブロックの製造方法であって、
    前記第2隆起部から前記第1隆起部へと至るように、円弧形状のロータリーロッドを前記金型の内側へ挿入する工程と、
    前記金型の内側へ加熱溶融された樹脂を注入する工程と、
    前記樹脂が硬化した後に、前記ロータリーロッドを前記金型の内側から引き抜く工程と、を有する流路ブロックの製造方法。
  10. 前記ロータリーロッドの中心点は前記金型の外部に設けられ、前記ロータリーロッドは前記中心点周りに回動するものであり、
    前記挿入する工程では、前記ロータリーロッドを前記中心点周りに回動させて前記金型の内側へ挿入し、
    前記引き抜く工程では、前記ロータリーロッドを前記中心点周りに回動させて前記金型の内側から引き抜く、請求項9に記載の流路ブロックの製造方法。
  11. 前記金型には、前記ロータリーロッドが挿入される円弧形状の挿入孔が、前記第2隆起部を貫通するように設けられており、
    前記挿入する工程では、前記ロータリーロッドは前記挿入孔に挿入される、請求項10に記載の流路ブロックの製造方法。
  12. 前記第1隆起部は円柱形であり、
    前記挿入する工程では、前記ロータリーロッドは前記第1隆起部の外周面に当接する、請求項9〜11のいずれか1項に記載の流路ブロックの製造方法。
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