JP2017204637A - トランジスタおよびその作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】信頼性の高いトランジスタを提供する。
【解決手段】チャネルが形成される半導体層に酸化物半導体層を用いたトップゲート構造のトランジスタにおいて、ゲート電極の形成後、ゲート電極をマスクとして用いて酸化物半導体に不純物を導入する。もしくは、不活性ガスまたは窒素ガスのプラズマ処理などを行う。続いて、加熱処理を行った後、途中で大気に曝すことなく、不純物が透過しにくい絶縁層を形成する。不純物が透過しにくい絶縁層としては、酸化アルミニウム層などを用いることができる。酸化アルミニウム層は、アルミニウムを成膜した後に酸化性雰囲気中で加熱処理またはプラズマ処理を行うことで形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、物、方法、または製造方法に関する。または、本発明は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。また、本発明の一態様は、半導体装置、表示装置、発光装置、照明装置、蓄電装置、記憶装置、プロセッサ、それらの駆動方法またはそれらの製造方法に関する。特に、本発明の一態様は、酸化物半導体を含む半導体装置、表示装置、または発光装置に関する。
なお、本明細書等において、半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。表示装置、発光装置、照明装置、電気光学装置、半導体回路および電子機器は、半導体装置を有する場合がある。
トランジスタの半導体層に用いる材料の一つとしてシリコンが知られている。シリコンは、用途によって非晶質シリコンと多結晶シリコンとが使い分けられている。例えば、大型の表示装置を構成するトランジスタの半導体層にシリコンを用いる場合、大面積基板への形成技術が確立されている非晶質シリコンを用いるのが好適である。また、駆動回路と表示部を一体形成した高機能の表示装置を構成するトランジスタの半導体層にシリコンを用いる場合、高い電界効果移動度を有するトランジスタを作製可能な多結晶シリコンを用いるのが好適である。
一方で、近年は、トランジスタの半導体層に用いる材料として、酸化物半導体が注目されている。例えば、インジウム、ガリウムおよび亜鉛を有する非晶質酸化物半導体を用いたトランジスタが知られている(特許文献1参照。)。
酸化物半導体は、スパッタリング法などを用いて形成できるため、大型の表示装置を構成するトランジスタの半導体層に用いることができる。また、非晶質シリコンを用いたトランジスタの生産設備の一部を改良して利用することが可能であるため、設備投資を抑えられる。また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、高い電界効果移動度を有するため、駆動回路と表示部を一体形成した高機能の表示装置を実現できる。
加えて、半導体層に酸化物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流が小さいことが知られている。例えば、酸化物半導体を用いたトランジスタのリーク電流が低いという特性を応用した低消費電力のCPUなどが開示されている(特許文献2参照。)。
特開2006−165528号公報 特開2012−257187号公報
本発明の一態様は、電気特性の良好なトランジスタを提供することを課題の一とする。または、電気特性の安定したトランジスタを提供することを課題の一とする。または、消費電力の少ないトランジスタを提供することを課題の一とする。または、信頼性の良好なトランジスタを提供することを課題の一とする。または、新規なトランジスタを提供することを課題の一とする。または、これらのトランジスタの少なくとも一つを有する半導体装置を提供することを課題の一とする。
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
チャネルが形成される半導体層に酸化物半導体層を用いたトップゲート構造のトランジスタにおいて、ゲート電極の形成後、ゲート電極をマスクとして用いて酸化物半導体に不純物を導入する。もしくは、不活性ガスまたは窒素ガスのプラズマ処理などを行う。続いて、加熱処理を行った後、途中で大気に曝すことなく、不純物が透過しにくい絶縁層を形成する。不純物が透過しにくい絶縁層としては、酸化アルミニウム層などを用いることができる。酸化アルミニウム層は、アルミニウムを成膜した後に酸化性雰囲気中で加熱処理またはプラズマ処理を行うことで形成できる。
本発明の一態様は、第1のゲート電極と、前記第1のゲート電極上に設けられた第1のゲート絶縁層と、前記第1のゲート絶縁層上に設けられた酸化物半導体層と、前記酸化物半導体層上に設けられた第2のゲート絶縁層と、前記第2のゲート絶縁層上に設けられた、第2のゲート電極と、前記第2のゲート電極上および前記酸化物半導体層上に設けられた第1の絶縁層と、を有し、前記第1の絶縁層の密度が3.0g/cm以下であることを特徴とするトランジスタである。
または、本発明の一態様は、第1のゲート電極を形成する工程と、前記第1のゲート電極上に第1のゲート絶縁層を形成する工程と、前記第1のゲート絶縁層上に酸化物半導体層を形成する工程と、前記酸化物半導体層上に、第2のゲート絶縁層を形成する工程と、第2のゲート絶縁層上に、第2のゲート電極を形成する工程と、第1の加熱処理を行う工程と、前記第1のゲート絶縁層上および前記酸化物半導体層上に、スパッタリング法により前記第1の絶縁層を形成する工程と、を含み、前記第1の加熱処理を行う工程から前記第1の絶縁層を形成する工程までを大気に曝すことなく行うことを特徴とするトランジスタの作製方法である。
スパッタリング法により前記第1の絶縁層を形成する場合、第1の絶縁層の形成温度は、室温以上150℃以下が好ましい。
または、本発明の一態様は、第1のゲート電極を形成する工程と、前記第1のゲート電極上に第1のゲート絶縁層を形成する工程と、前記第1のゲート絶縁層上に酸化物半導体層を形成する工程と、前記酸化物半導体層上に、第2のゲート絶縁層を形成する工程と、第2のゲート絶縁層上に、第2のゲート電極を形成する工程と、第1の加熱処理を行う工程と、前記第1のゲート絶縁層上および前記酸化物半導体層上に、金属層を形成する工程と、前記金属層を酸化して第1の絶縁層を形成する工程と、を含み、前記第1の加熱処理を行う工程から前記第1の絶縁層を形成する工程までを大気に曝すことなく行うことを特徴とするトランジスタの作製方法である。
第1の加熱処理は、不活性雰囲気中で行った後に、酸化性雰囲気中で行ってもよい。第1の絶縁層を形成するための金属層の酸化は、酸化性雰囲気下で第2の加熱処理を行うことで実現できる。または、第1の絶縁層を形成するための金属層の酸化は、酸化性雰囲気下でプラズマ処理を行うことで実現できる。なお、第2の加熱処理とプラズマ処理を同時に行ってもよい。第1の加熱処理と第2の加熱処理は、それぞれ200℃以上500℃以下で行ってもよい。
金属層は、例えば、アルミニウムを含む。第2の絶縁層は、例えば、アルミニウムと、酸素と、を含む。前記酸化物半導体層は、例えば、インジウム、ガリウム、および亜鉛を含む。
本発明の一態様によれば、電気特性の良好なトランジスタを提供することができる。または、電気特性の安定したトランジスタを提供することができる。または、消費電力の少ないトランジスタを提供することができる。または、信頼性の良好なトランジスタを提供することができる。または、新規なトランジスタを提供することができる。または、これらのトランジスタの少なくとも一つを有する半導体装置を提供することができる。
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
トランジスタを説明する図。 トランジスタを説明する図。 トランジスタを説明する図。 トランジスタを説明する図。 トランジスタの作製工程を説明する図。 トランジスタの作製工程を説明する図。 トランジスタの作製工程を説明する図。 トランジスタの作製工程を説明する図。 トランジスタの作製工程を説明する図。 トランジスタの作製工程を説明する図。 トランジスタを説明する図。 トランジスタを説明する図。 トランジスタを説明する図。 トランジスタを説明する図。 トランジスタを説明する図。 トランジスタを説明する図。 トランジスタを説明する図。 本発明に係る酸化物の原子数比の範囲を説明する図。 酸化物半導体の積層構造のバンド図。 表示装置の一例および画素の回路構成例を説明する図。 画素の回路構成例を説明する図。 駆動回路の構成例を説明する図。 表示装置の一例を説明する図。 表示装置の一例を説明する図。 表示モジュールの一例を説明する図。 電子機器の一例を説明する図。 表示装置の一例を説明する斜視図。 試料構造を説明する図。 SIMS分析結果を説明する図。 SIMS分析結果を説明する図。 試料構造、および密度の測定結果を説明する図。
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
また、図面などにおいて示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、発明の理解を容易とするため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面などに開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。例えば、実際の製造工程において、エッチングなどの処理により層やレジストマスクなどが意図せずに目減りすることがあるが、理解を容易とするために省略して示すことがある。
また、特に上面図(「平面図」ともいう。)や斜視図などにおいて、発明の理解を容易とするため、一部の構成要素の記載を省略する場合がある。また、一部の隠れ線などの記載を省略する場合がある。
本明細書等における「第1」、「第2」などの序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、工程順または積層順など、なんらかの順番や順位を示すものではない。また、本明細書等において序数詞が付されていない用語であっても、構成要素の混同を避けるため、特許請求の範囲において序数詞が付される場合がある。また、本明細書等において序数詞が付されている用語であっても、特許請求の範囲において異なる序数詞が付される場合がある。また、本明細書等において序数詞が付されている用語であっても、特許請求の範囲などにおいて序数詞を省略する場合がある。
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって設けられている場合なども含む。
なお、本明細書等において「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が直上または直下で、かつ、直接接していることを限定するものではない。例えば、「絶縁層A上の電極B」の表現であれば、絶縁層Aの上に電極Bが直接接して設けられている必要はなく、絶縁層Aと電極Bとの間に他の構成要素を含むものを除外しない。
また、ソースおよびドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合など、動作条件などによって互いに入れ替わるため、いずれがソースまたはドレインであるかを限定することが困難である。このため、本明細書においては、ソースおよびドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
また、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず、図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に記載されているものとする。
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。よって、「電気的に接続する」と表現される場合であっても、現実の回路においては、物理的な接続部分がなく、配線が延在しているだけの場合もある。
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネル幅(以下、「実効的なチャネル幅」ともいう。)と、トランジスタの上面図において示されるチャネル幅(以下、「見かけ上のチャネル幅」ともいう。)と、が異なる場合がある。例えば、ゲート電極が半導体層の側面を覆う場合、実効的なチャネル幅が、見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつゲート電極が半導体の側面を覆うトランジスタでは、半導体の側面に形成されるチャネル形成領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、見かけ上のチャネル幅よりも、実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
このような場合、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
そこで、本明細書では、見かけ上のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channel Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い込みチャネル幅などは、断面TEM像などを解析することなどによって、値を決定することができる。
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求める場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチャネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
なお、半導体の「不純物」とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物と言える。不純物が含まれることにより、例えば、半導体のDOS(Density of States)が高くなることや、キャリア移動度が低下することや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、および酸化物半導体の主成分以外の遷移金属などがあり、例えば、水素、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。
酸化物半導体の場合、水も不純物として機能する場合がある。また、酸化物半導体の場合、例えば不純物の混入によって酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体がシリコンである場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第15族元素などがある。
また、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が−30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」および「直交」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
なお、本明細書等において、計数値および計量値に関して「同一」、「同じ」、「等しい」または「均一」(これらの同意語を含む)などと言う場合は、明示されている場合を除き、プラスマイナス20%の誤差を含むものとする。
また、本明細書等において、フォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成し、その後にエッチング工程(除去工程)を行う場合は、特段の説明がない限り、当該レジストマスクは、エッチング工程終了後に除去するものとする。
また、本明細書等において、高電源電位VDD(「VDD」または「H電位」ともいう。)とは、低電源電位VSSよりも高い電位の電源電位を示す。また、低電源電位VSS(「VSS」または「L電位」ともいう。)とは、高電源電位VDDよりも低い電位の電源電位を示す。また、接地電位(「GND」または「GND電位」ともいう。)をVDDまたはVSSとして用いることもできる。例えばVDDが接地電位の場合には、VSSは接地電位より低い電位であり、VSSが接地電位の場合には、VDDは接地電位より高い電位である。
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、または、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域またはソース電極)の間にチャネル領域を有しており、チャネル形成領域を介して、ソースとドレインとの間に電流を流すことができるものである。なお、本明細書等において、チャネル領域とは、電流が主として流れる領域をいう。
また、本明細書等に示すトランジスタは、特に断りがない場合、エンハンスメント型(ノーマリーオフ型)の電界効果トランジスタとする。また、本明細書等に示すトランジスタは、特に断りがない場合、nチャネル型のトランジスタとする。よって、そのしきい値電圧(「Vth」ともいう。)は、特に断りがない場合、0Vよりも大きいものとする。
なお、本明細書等において、バックゲートを有するトランジスタのVthは、特に断りがない場合、バックゲートの電位をソースまたはゲートと同電位としたときのVthをいう。
また、本明細書等において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態(非導通状態、遮断状態、ともいう)にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態とは、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低い状態、pチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも高い状態をいう。例えば、nチャネル型のトランジスタのオフ電流とは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低いときのドレイン電流を言う場合がある。
トランジスタのオフ電流は、Vgsに依存する場合がある。従って、トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、トランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを言う場合がある。トランジスタのオフ電流は、所定のVgsにおけるオフ状態、所定の範囲内のVgsにおけるオフ状態、または、十分に低減されたオフ電流が得られるVgsにおけるオフ状態、等におけるオフ電流を指す場合がある。
一例として、しきい値電圧Vthが0.5Vであり、Vgsが0.5Vにおけるドレイン電流が1×10−9Aであり、Vgsが0.1Vにおけるドレイン電流が1×10−13Aであり、Vgsが−0.5Vにおけるドレイン電流が1×10−19Aであり、Vgsが−0.8Vにおけるドレイン電流が1×10−22Aであるようなnチャネル型トランジスタを想定する。当該トランジスタのドレイン電流は、Vgsが−0.5Vにおいて、または、Vgsが−0.5V乃至−0.8Vの範囲において、1×10−19A以下であるから、当該トランジスタのオフ電流は1×10−19A以下である、と言う場合がある。当該トランジスタのドレイン電流が1×10−22A以下となるVgsが存在するため、当該トランジスタのオフ電流は1×10−22A以下である、と言う場合がある。
トランジスタのオフ電流は、温度に依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、室温(RT:Room Temperature)、60℃、85℃、95℃、または125℃におけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃以上35℃以下の温度)におけるオフ電流、を表す場合がある。トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、RT、60℃、85℃、95℃、125℃、当該トランジスタが含まれる半導体装置の信頼性が保証される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃以上35℃以下の温度)、におけるトランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを指す場合がある。
トランジスタのオフ電流は、ドレインとソースの間の電圧Vdsに依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、Vdsが0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V、2.5V、3V、3.3V、10V、12V、16V、または20Vにおけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証されるVds、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVdsにおけるオフ電流、を表す場合がある。トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、Vdsが0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V、2.5V、3V、3.3V、10V、12V、16V、20V、当該トランジスタが含まれる半導体装置の信頼性が保証されるVds、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVds、におけるトランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを指す場合がある。
上記オフ電流の説明において、ドレインをソースと読み替えてもよい。つまり、オフ電流は、トランジスタがオフ状態にあるときのソースを流れる電流を言う場合もある。
また、本明細書等では、オフ電流と同じ意味で、リーク電流と記載する場合がある。また、本明細書等において、オフ電流とは、例えば、トランジスタがオフ状態にあるときに、ソースとドレインとの間に流れる電流を指す場合がある。
(実施の形態1)
本発明の一態様のトランジスタ100について、図面を用いて説明する。
<トランジスタ100の構造例>
図1(A)は、トランジスタ100の平面図である。図1(B)は、図1(A)に記したX1−X2の一点鎖線で示す部位の断面図である。図1(C)は、図1(A)に記したY1−Y2の一点鎖線で示す部位の断面図である。図2(A)は、図1(B)に示した部位131の拡大図である。
トランジスタ100はトップゲート型のトランジスタの一種である。トランジスタ100は、電極102、絶縁層103、絶縁層104、絶縁層105、酸化物半導体層106、絶縁層108、絶縁層109、電極112、絶縁層110、絶縁層115、電極114a、および電極114bを有する。
電極102は、基板101上に設けられている。絶縁層103は電極102を覆って設けられている。絶縁層104は、絶縁層103の上に設けられている。絶縁層105は、絶縁層104の上に設けられている。酸化物半導体層106は、絶縁層105の上に設けられている。電極102と酸化物半導体層106は、絶縁層103、絶縁層104、および絶縁層105を介して、互いに重なる領域を有する。
また、絶縁層108は、絶縁層105および酸化物半導体層106上に設けられている。絶縁層109は、絶縁層108上に設けられている。電極112は、絶縁層109上に設けられている。絶縁層108、絶縁層109、および電極112は、酸化物半導体層106と重なる領域を有する。絶縁層110は、絶縁層105、酸化物半導体層106、絶縁層108、絶縁層109、および電極112上に設けられている。絶縁層115は、絶縁層110上に設けられている。
電極114aは、絶縁層115上に設けられている。電極114aは、絶縁層115および絶縁層110それぞれに設けられた開口において、酸化物半導体層106の一部と電気的に接続されている。電極114bは、絶縁層115上に設けられている。電極114bは、絶縁層115および絶縁層110それぞれに設けられた開口において、酸化物半導体層106の他の一部と電気的に接続されている。
絶縁層108と絶縁層109に同種の材料を用いる場合は、絶縁層108と絶縁層109の界面が明確に確認できない場合がある。したがって、本実施の形態では、絶縁層108と絶縁層109の界面を破線で示している。なお、本実施の形態では、絶縁層108と絶縁層109の2層構造について説明したが、本発明の一態様はこれに限定されず、例えば、絶縁層108または絶縁層109どちらか一方の単層構造、あるいは3層以上の積層構造としてもよい。
また、図3(B)および図3(C)に示すように、絶縁層110の上に絶縁層111を設けてもよい。図3(A)は、トランジスタ100の平面図である。図3(B)は、図3(A)に記したX1−X2の一点鎖線で示す部位の断面図である。図3(C)は、図3(A)に記したY1−Y2の一点鎖線で示す部位の断面図である。
トランジスタ100に絶縁層110と絶縁層111を設ける場合は、絶縁層110と絶縁層111の一方または両方に不純物が透過しにくい絶縁性材料を用いることが好ましい。例えば、絶縁層110と絶縁層111の少なくとも一方を、窒化シリコン層または酸化アルミニウム層などとしてもよい。また、絶縁層110と絶縁層111の一方を窒化シリコン層などとし、他方を酸化アルミニウム層などとしてもよい。
特に、絶縁層110として、酸化アルミニウム層をスパッタリング法で形成することが好ましい。酸素を含むスパッタリングガスを用いて絶縁層110を形成することで、被形成層に酸素を供給することができる。また、特に、絶縁層111として、酸化アルミニウム層をALD法で形成することが好ましい。絶縁層111をALD法で形成することで、被覆性の良好な絶縁層111を設けることができる。
酸化物半導体層106は、単層に限らず、複数層の積層でもよい。例えば、図4(A)に示すように、酸化物半導体層106を酸化物半導体層106_1および酸化物半導体層106_2の二層積層としてもよい。また、例えば、図4(B)に示すように、酸化物半導体層106を酸化物半導体層106_1、酸化物半導体層106_2、および酸化物半導体層106_3の三層積層としてもよい。もちろん、酸化物半導体層106を四層以上の積層としてもよい。なお、図4(A)および図4(B)は、どちらも図1(B)に相当する断面図である。
〔ゲート電極とバックゲート電極〕
電極102と電極112は、ゲート電極として機能できる。なお、電極102または電極112の一方を、「ゲート電極」という場合、他方を「バックゲート電極」という。例えば、図1(A)乃至図1(C)に示すトランジスタ100において、電極102を「ゲート電極」と言う場合、電極112を「バックゲート電極」と言う。電極102を「ゲート電極」として用いる場合は、トランジスタ100をボトムゲート型のトランジスタの一種と考えることができる。電極102および電極121のどちらか一方を、「第1のゲート電極」といい、他方を「第2のゲート電極」という場合がある。
一般に、ゲート電極とバックゲート電極は導電層で形成される。また、ゲート電極とバックゲート電極で半導体層(酸化物半導体層)のチャネル形成領域を挟むように配置される。言い換えると、ゲート電極とバックゲート電極で半導体層を取り囲む構成となる。このような構成を有することで、トランジスタ100に含まれる酸化物半導体層106を、ゲート電極として機能する電極112と、バックゲート電極として機能する電極102の電界によって電気的に取り囲むことができる。ゲート電極およびバックゲート電極の電界によって、チャネルが形成される半導体層を電気的に取り囲むトランジスタの構造をSurrounded channel(S−channel)構造と呼ぶことができる。
バックゲート電極はゲート電極と同様に機能させることができる。バックゲート電極の電位は、ゲート電極と同電位としてもよいし、接地電位や、任意の電位としてもよい。また、バックゲート電極の電位をゲート電極と連動させず独立して変化させることで、トランジスタのしきい値電圧を変化させることができる。
前述した通り、電極112はゲート電極として機能できる。よって、絶縁層108および絶縁層109は、ゲート絶縁層として機能できる。また、電極102も、ゲート電極として機能できる。よって、絶縁層103、絶縁層104、および絶縁層105も、ゲート絶縁層として機能できる。
酸化物半導体層106を挟んで電極102および電極112を設けることで、更には、電極102および電極112を同電位とすることで、酸化物半導体層106においてキャリアの流れる領域が膜厚方向においてより大きくなるため、キャリアの移動量が増加する。この結果、トランジスタのオン電流が大きくなると共に、電界効果移動度が高くなる。
したがって、トランジスタを占有面積に対して大きいオン電流を有するトランジスタとすることができる。すなわち、求められるオン電流に対して、トランジスタの占有面積を小さくすることができる。よって、集積度の高い半導体装置を実現することができる。
また、ゲート電極とバックゲート電極は導電層で形成されるため、トランジスタの外部で生じる電界が、チャネルが形成される半導体層に作用しないようにする機能(特に静電気などに対する電界遮蔽機能)を有する。なお、平面視において、バックゲート電極を半導体層よりも大きく形成し、バックゲート電極で半導体層を覆うことで、電界遮蔽機能を高めることができる。
電極102および電極112は、それぞれが外部からの電界を遮蔽する機能を有するため、電極112の上方および電極102の下方に生じる荷電粒子等の電荷が酸化物半導体層106のチャネル形成領域に影響しない。この結果、ストレス試験(例えば、ゲートに負の電圧を印加する−GBT(Gate Bias−Temperature)ストレス試験)での電気特性の劣化が抑制される。また、電極102および電極112は、ドレイン電極から生じる電界が半導体層に作用しないように遮断することができる。よって、ドレイン電圧の変動に起因する、オン電流の立ち上がり電圧の変動を抑制することができる。なお、この効果は、電極102および電極112に電位が供給されている場合において顕著に生じる。
なお、GBTストレス試験は加速試験の一種であり、長期間の使用によって起こるトランジスタの特性変化(経年変化)を短時間で評価することができる。特に、GBTストレス試験前後におけるトランジスタのしきい値電圧の変動量は、信頼性を調べるための重要な指標となる。GBTストレス試験前後において、しきい値電圧の変動量が少ないほど、信頼性が高いトランジスタであるといえる。
また、電極102および電極112を有し、且つ電極102および電極112を同電位とすることで、しきい値電圧の変動量が低減される。このため、複数のトランジスタ間における電気特性のばらつきも同時に低減される。
また、バックゲート電極を有するトランジスタは、ゲートに正の電圧を印加する+GBTストレス試験前後におけるしきい値電圧の変動も、バックゲート電極を有さないトランジスタより小さい。
また、バックゲート電極側から光が入射する場合に、バックゲート電極を、遮光性を有する導電膜で形成することで、バックゲート電極側から半導体層に光が入射することを防ぐことができる。よって、半導体層の光劣化を防ぎ、トランジスタのしきい値電圧がシフトするなどの電気特性の劣化を防ぐことができる。
電極114aまたは電極114bの一方は、ソース電極またはドレイン電極の一方として機能できる。電極114aまたは電極114bの他方は、ソース電極またはドレイン電極の他方として機能できる。
〔基板〕
基板101としては、ガラス基板、セラミック基板の他、本作製工程の処理温度に耐えうる程度の耐熱性を有する可撓性基板(フレキシブル基板)等を用いることができる。また、基板に透光性を要しない場合には、ステンレス合金等の金属の基板の表面に絶縁層を設けたものを用いてもよい。ガラス基板としては、例えば、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス若しくはアルミノケイ酸ガラス等の無アルカリガラス基板を用いるとよい。他に、石英基板、サファイア基板などを用いることができる。
また、基板101として、第3世代(550mm×650mm)、第3.5世代(600mm×720mm、または620mm×750mm)、第4世代(680mm×880mm、または730mm×920mm)、第5世代(1100mm×1300mm)、第6世代(1500mm×1850mm)、第7世代(1870mm×2200mm)、第8世代(2200mm×2400mm)、第9世代(2400mm×2800mm、2450mm×3050mm)、第10世代(2950mm×3400mm)等のガラス基板を用いることができる。
基板101として、可撓性基板を用いる場合、可撓性基板上に、トランジスタや容量素子などを直接作製してもよいし、他の作製基板上にトランジスタや容量素子などを作製し、その後可撓性基板に剥離、転置してもよい。なお、作製基板から可撓性基板に剥離、転置するために、作製基板とトランジスタや容量素子などとの間に剥離層を設けるとよい。
可撓性基板としては、例えば、金属、合金、樹脂もしくはガラス、またはそれらの繊維などを用いることができる。基板101に用いる可撓性基板は、線膨張率が低いほど環境による変形が抑制されて好ましい。基板101に用いる可撓性基板は、例えば、線膨張率が1×10−3/K以下、5×10−5/K以下、または1×10−5/K以下である材質を用いればよい。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリルなどがある。特に、アラミドは、線膨張率が低いため、可撓性基板として好適である。
なお、基板101としてシリコンや炭化シリコンなどを材料とした単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどを材料とした化合物半導体基板等を用いることもできる。また、SOI基板や、半導体基板上に歪トランジスタやFIN型トランジスタなどの半導体素子が設けられたものなどを用いることもできる。または、高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)に適用可能なヒ化ガリウム、ヒ化アルミニウムガリウム、ヒ化インジウムガリウム、窒化ガリウム、リン化インジウム、シリコンゲルマニウムなどを用いてもよい。すなわち、基板101は、単なる支持基板に限らず、他のトランジスタなどのデバイスが形成された基板であってもよい。この場合、トランジスタ100のゲート、ソース、またはドレインの少なくとも一つは、上記他のデバイスと電気的に接続されていてもよい。
〔絶縁層〕
絶縁層103乃至絶縁層105、絶縁層108、絶縁層109、絶縁層110、絶縁層115は、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化シリコン、酸化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、アルミニウムシリケートなどから選ばれた材料を、単層でまたは積層して用いる。また、酸化物材料、窒化物材料、酸化窒化物材料、窒化酸化物材料のうち、複数の材料を混合した材料を用いてもよい。
なお、本明細書中において、窒化酸化物とは、酸素よりも窒素の含有量が多い化合物をいう。また、酸化窒化物とは、窒素よりも酸素の含有量が多い化合物をいう。なお、各元素の含有量は、例えば、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)等を用いて測定することができる。
特に、絶縁層104および/または絶縁層110は、不純物が透過しにくい絶縁性材料を用いて形成することが好ましい。例えば、不純物が透過しにくい絶縁性材料として、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、窒化シリコンなどを挙げることができる。
絶縁層104に不純物が透過しにくい絶縁性材料を用いることで、基板101側からの不純物の拡散を防ぎ、トランジスタの信頼性を高めることができる。絶縁層110不純物が透過しにくい絶縁性材料を用いることで、絶縁層110よりも上層側からの不純物の拡散を防ぎ、トランジスタの信頼性を高めることができる。
加えて、絶縁層104および/または絶縁層110は、酸素が拡散しにくい、および/または吸収されにくい絶縁性材料を用いることが好ましい。絶縁層104および/または絶縁層110に酸素が拡散されにくい、および/または吸収されにくい絶縁性材料を用いることで、酸素の外部への拡散を防ぐことができる。
なお、絶縁層104および/または絶縁層110として、これらの材料で形成される絶縁層を複数層積層して用いてもよい。
また、酸化物半導体層106中の水素濃度の増加を防ぐために、絶縁層中の水素濃度を低減することが好ましい。特に、酸化物半導体層106に接する絶縁層中の水素濃度を低減することが好ましい。本実施の形態においては、絶縁層105、および絶縁層108の水素濃度を低減することが好ましい。具体的には、絶縁層中の水素濃度を、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)において2×1020atoms/cm以下、好ましくは5×1019atoms/cm以下、より好ましくは1×1019atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1018atoms/cm以下とする。また、酸化物半導体中の窒素濃度の増加を防ぐために、絶縁層中の窒素濃度を低減することが好ましい。具体的には、絶縁層中の窒素濃度を、SIMSにおいて5×1019atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm以下、より好ましくは1×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm以下とする。
また、絶縁層105、絶縁層108、および絶縁層109の少なくとも1つは、加熱により酸素が放出される絶縁層を用いて形成することが好ましい。具体的には、絶縁層の表面温度が100℃以上700℃以下、好ましくは100℃以上500℃以下の加熱処理で行われる昇温脱離ガス分析法(TDS:Thermal Desorption Spectroscopy)において、酸素原子に換算した酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm以上、好ましくは1×1019atoms/cm以上、より好ましくは1.0×1020atoms/cm以上である絶縁層を用いるとよい。なお、本明細書などにおいて、加熱により放出される酸素を「過剰酸素」ともいう。
また、特に、酸化物半導体層に接する絶縁層は、欠陥量が少ないことが好ましい。代表的には、電子スピン共鳴(ESR:Electron Spin Resonance)測定により、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度が3×1017spins/cm以下であることが好ましい。絶縁層に欠陥が多いと、該欠陥に酸素が結合して過剰酸素が減少する場合がある。
また、特に、酸化物半導体層に接する絶縁層は、窒素酸化物(NO:Xは0より大きく2以下、代表的にはNOまたはNO2。)に起因する準位密度が低い酸化物絶縁層を用いることが好ましい。窒素酸化物の放出量の少ない酸化窒化シリコン層とは、昇温脱離ガス分析法において、窒素酸化物の放出量よりアンモニアの放出量が多い層であり、代表的にはアンモニアの放出量が1×1018個/cm以上5×1019個/cm以下である。なお、アンモニアの放出量は、酸化物絶縁層の表面温度が50℃以上650℃以下、好ましくは50℃以上550℃以下の加熱処理による放出量とする。
窒素酸化物は、酸化物半導体層や絶縁層中で準位を形成する。当該準位は、酸化物半導体のエネルギーギャップ内に位置する。窒素酸化物が、絶縁層と酸化物半導体層の界面に到達すると、当該準位が絶縁層側において電子をトラップする場合がある。この結果、トラップされた電子が、絶縁層と酸化物半導体層の界面近傍に留まるため、トランジスタのしきい値電圧をプラス方向にシフトさせてしまう。
なお、当該窒素酸化物に起因する準位密度は、酸化物半導体層の価電子帯の上端のエネルギー(Ev_os)と酸化物半導体層の伝導帯の下端のエネルギー(Ec_os)の間に形成され得る場合がある。上記酸化物絶縁層として、窒素酸化物の放出量が少ない酸化窒化シリコン層、または窒素酸化物の放出量が少ない酸化窒化アルミニウム層等を用いることができる。
また、窒素酸化物は、加熱処理においてアンモニアおよび酸素と反応する。絶縁層に含まれる窒素酸化物は、加熱処理において、絶縁層に含まれるアンモニアと反応するため、絶縁層に含まれる窒素酸化物が低減される。このため、絶縁層と酸化物半導体層の界面において、電子がトラップされにくい。
特に、酸化物半導体層接する絶縁層に、上記酸化物絶縁層を用いることで、トランジスタのしきい値電圧のシフトを低減することが可能であり、トランジスタの電気特性の変動を低減することができる。
過剰酸素を含む絶縁層は、絶縁層に酸素を添加する処理を行って形成することもできる。酸素を添加する処理は、イオン注入法、イオンドーピング法、またはプラズマイマージョンイオン注入法などで行うことができる。また、酸素を添加する処理は、酸化性雰囲気下での加熱処理、プラズマ処理、または逆スパッタリング処理などで行うことができる。また、酸化性雰囲気下でのプラズマ処理は、例えばマイクロ波を用いた高密度プラズマを発生させる電源を有する装置を用いることが好ましい。または、基板側にRF(Radio Frequency)を印加する電源を有してもよい。高密度プラズマを用いることより高密度の酸素ラジカルを生成することができる。また、基板側にRFを印加することで、高密度プラズマによって生成された酸素ラジカルを効率よく対象となる層内に導くことができる。または、不活性雰囲気下でプラズマ処理を行った後に、脱離した酸素を補うために、酸化性雰囲気下でプラズマ処理を行ってもよい。逆スパッタリング処理による酸素の添加は、試料表面の洗浄効果も期待できる。一方で、処理条件によっては試料表面にダメージが生じる場合がある。酸素を添加するためのガスとしては、16もしくは18などの酸素ガス、亜酸化窒素ガスまたはオゾンガスなどを用いることができる。なお、本明細書では酸素を添加する処理を「酸素ドープ処理」ともいう。
また、酸素ドープ処理によって、半導体層の結晶性が高まる場合がある。また、酸素ドープ処理によって、対象となる層中の水素や水などの不純物を除去できる場合がある。つまり、「酸素ドープ処理」は、「不純物除去処理」ともいえる。特に、酸素ドープ処理として、減圧下かつ酸化性雰囲気下で酸素を含むプラズマ処理を行うことで、対象となる絶縁層または半導体層に含まれる、水素および水に関する結合が切断される。よって、対象となる層中の水素および水が脱離しやすい状態に変化する。従って、プラズマ処理による酸素ドープ処理は、加熱しながら行うことが好ましい。または、プラズマ処理後に加熱処理を行うことが好ましい。また、加熱処理後に、プラズマ処理を行い、さらに加熱処理を行うことで、対象となる層中の不純物濃度を低減することができる。
また、絶縁層115上に、トランジスタ等に起因する凹凸等を平坦化させる機能を有する絶縁層(以下、「平坦化層」ともいう。)を設けてもよい。平坦化層に用いる材料は、絶縁性材料であればよい。よって、平坦化層は無機材料または有機材料を用いて形成することができる。例えば、平坦化層として、前述した無機材料のみでなく、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エポキシ等の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁層を複数積層させることで、平坦化層を形成してもよい。
なおシロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は置換基としては有機基(例えばアルキル基やアリール基)やフルオロ基を用いても良い。また、有機基はフルオロ基を有していても良い。
平坦化層の形成方法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタ法、SOG法、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法など)、印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷など)などを用いればよい。平坦化層の焼成工程と他の熱処理工程を兼ねることで、効率よくトランジスタを作製することが可能となる。
〔電極〕
電極102、電極114a、電極114b、および電極112を形成するための導電性材料としては、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、タンタル(Ta)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、ベリリウム(Be)などから選ばれた金属元素を1種以上含む材料を用いることができる。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。
また、導電性材料として、Cu−X合金(Xは、Mn、Ni、Cr、Fe、Co、Mo、Ta、またはTi)を適用してもよい。Cu−X合金で形成した層は、ウエットエッチングプロセスで加工できるため、製造コストを抑制することが可能となる。
また、前述した金属元素および酸素を含む導電性材料を用いてもよい。また、前述した金属元素および窒素を含む導電性材料を用いてもよい。例えば、窒化チタン、窒化タンタルなどの窒素を含む導電性材料を用いてもよい。また、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、インジウム亜鉛酸化物、インジウムガリウム亜鉛酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、シリコンを添加したインジウム錫酸化物を用いてもよい。また、窒素を含むインジウムガリウム亜鉛酸化物を用いてもよい。
また、上記の材料で形成される導電層を複数積層して用いてもよい。例えば、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、窒素を含む導電性材料を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料、酸素を含む導電性材料、および窒素を含む導電性材料を組み合わせた積層構造としてもよい。
なお、電極114aおよび電極114bの抵抗を下げるために、電極114aおよび電極114bに銅を用いる場合は、電極114aと酸化物半導体層106の間に銅が拡散しにくい導電性材料を設けることが好ましい。また、電極114bと酸化物半導体層106の間に銅が拡散しにくい導電性材料を設けることが好ましい。銅は半導体層中で拡散しやすいため、半導体装置の動作を不安定にし、歩留まりを著しく低下させてしまう恐れがある。銅を含む配線または電極と半導体層の間に銅が拡散しにくい導電性材料を設けることで、トランジスタ100の信頼性を高めることができる。
銅が拡散しにくい導電性材料としては、例えば、タングステン、チタン、タンタルなどの銅よりも融点の高い金属材料や、それらの窒化物材料などがある。また、これらの導電性材料で銅を含む電極または配線を覆ってもよい。銅を含む配線または電極を銅が拡散しにくい導電性材料で覆うまたは包むことで、トランジスタ100の信頼性をさらに高めることができる。
また、電極114aおよび電極114bの酸化物半導体層106と接する領域を、加熱処理により水素を吸収する機能を有する導電性材料とすることで、後の加熱処理によって酸化物半導体層106中の水素濃度を低減することができる。水素を吸収する機能を有する導電性材料の一例としては、チタン、インジウム亜鉛酸化物、シリコンを添加したインジウム錫酸化物などがある。
〔酸化物半導体層〕
酸化物半導体層106として、酸化物半導体を用いることが好ましい。酸化物半導体のバンドギャップは2eV以上あるため、酸化物半導体層106に酸化物半導体を用いると、オフ電流が極めて少ないトランジスタを実現することができる。また、チャネルが形成される半導体層に酸化物半導体を用いたトランジスタ(「OSトランジスタ」ともいう。)は、ソースとドレイン間の絶縁耐圧が高い。よって、信頼性の良好なトランジスタを提供できる。また、出力電圧が大きく高耐圧なトランジスタを提供できる。また、信頼性の良好な半導体装置などを提供できる。また、出力電圧が大きく高耐圧な半導体装置を提供することができる。
本発明に係る酸化物半導体について説明する。酸化物半導体は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
ここは、酸化物半導体が、インジウム、元素Mおよび亜鉛を有するInMZnOである場合を考える。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどとする。その他の元素Mに適用可能な元素として、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
[構造]
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC−OS(c−axis aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc−OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a−like OS:amorphous−like oxide semiconductor)および非晶質酸化物半導体などがある。
CAAC−OSは、c軸配向性を有し、かつa−b面方向において複数のナノ結晶が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合がある。また、歪みにおいて、五角形、および七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC−OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリーともいう)を確認することはできない。即ち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC−OSが、a−b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
また、CAAC−OSは、インジウム、および酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛、および酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能であり、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換した場合、(In,M,Zn)層と表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換した場合、(In,M)層と表すこともできる。
nc−OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc−OSは、分析方法によっては、a−like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
a−like OSは、nc−OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。a−like OSは、鬆または低密度領域を有する。即ち、a−like OSは、nc−OSおよびCAAC−OSと比べて、結晶性が低い。
酸化物半導体は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a−like OS、nc−OS、CAAC−OSのうち、二種以上を有していてもよい。
[原子数比]
次に、図18(A)、図18(B)、および図18(C)を用いて、本発明に係る酸化物半導体が有するインジウム、元素Mおよび亜鉛の原子数比の好ましい範囲について説明する。なお、図18(A)、図18(B)、および図18(C)には、酸素の原子数比については記載しない。また、酸化物半導体が有するインジウム、元素M、および亜鉛の原子数比のそれぞれの項を[In]、[M]、および[Zn]とする。
図18(A)、図18(B)、および図18(C)において、破線は、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):1の原子数比(−1≦α≦1)となるライン、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):2の原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):3の原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):4の原子数比となるライン、および[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):5の原子数比となるラインを表す。
また、一点鎖線は、[In]:[M]:[Zn]=1:1:βの原子数比、[In]:[M]:[Zn]=5:1:βの原子数比(β≧0)となるライン、[In]:[M]:[Zn]=2:1:βの原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=1:2:βの原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=1:3:βの原子数比となるライン、および[In]:[M]:[Zn]=1:4:βの原子数比となるラインを表す。
また、二点鎖線は、[In]:[M]:[Zn]=(1+γ):2:(1−γ)の原子数比(−1≦γ≦1)となるラインを表す。また、図18(A)、図18(B)、および図18(C)に示す、[In]:[M]:[Zn]=0:2:1の原子数比、およびその近傍値の酸化物半導体は、スピネル型の結晶構造をとりやすい。
また、酸化物半導体中に複数の相が共存する場合がある(二相共存、三相共存など)。例えば、原子数比が[In]:[M]:[Zn]=0:2:1の原子数比の近傍値である場合、スピネル型の結晶構造と層状の結晶構造との二相が共存しやすい。また、原子数比が[In]:[M]:[Zn]=1:0:0を示す原子数比の近傍値である場合、ビックスバイト型の結晶構造と層状の結晶構造との二相が共存しやすい。酸化物半導体中に複数の相が共存する場合、異なる結晶構造の間において、結晶粒界(グレインバウンダリーともいう)が形成される場合がある。
図18(A)および図18(B)では、本発明の一態様の酸化物半導体が有する、インジウム、元素M、および亜鉛の原子数比の好ましい範囲の一例について示している。
酸化物半導体は、インジウムの含有率を高くすることで、酸化物半導体のキャリア移動度(電子移動度)を高くすることができる。従って、インジウムの含有率が高い酸化物半導体はインジウムの含有率が低い酸化物半導体と比較してキャリア移動度が高くなる。
一方、酸化物半導体中のインジウムおよび亜鉛の含有率が低くなると、キャリア移動度が低くなる。従って、原子数比が[In]:[M]:[Zn]=0:1:0、およびその近傍値である場合(例えば図18(C)に示す領域C)では、絶縁性が高くなる。
従って、本発明の一態様の酸化物半導体は、キャリア移動度が高く、かつ、結晶粒界が少ない層状構造となりやすい、図18(A)の領域Aで示される原子数比を有することが好ましい。
CAAC−OSは結晶性の高い酸化物半導体である。一方、CAAC−OSは、明確な結晶粒界を確認することはできないため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC−OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。従って、CAAC−OSを有する酸化物半導体は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC−OSを有する酸化物半導体は熱に強く、信頼性が高い。
なお、領域Bは、[In]:[M]:[Zn]=4:2:3から4.1、およびその近傍値を含む。近傍値には、例えば、原子数比が[In]:[M]:[Zn]=5:3:4が含まれる。また、領域Bは、[In]:[M]:[Zn]=5:1:6、およびその近傍値、および[In]:[M]:[Zn]=5:1:7、およびその近傍値を含む。
なお、酸化物半導体が有する性質は、原子数比によって一義的に定まらない。同じ原子数比であっても、形成条件により、酸化物半導体の性質が異なる場合がある。例えば、酸化物半導体をスパッタリング装置にて成膜する場合、ターゲットの原子数比からずれた原子数比の膜が形成される。また、成膜時の基板温度によっては、ターゲットの[Zn]よりも、膜の[Zn]が小さくなる場合がある。従って、図示する領域は、酸化物半導体が、特定の特性を有する傾向がある原子数比を示す領域であり、領域A乃至領域Cの境界は厳密ではない。
[酸化物半導体を有するトランジスタ]
続いて、上記酸化物半導体をトランジスタに用いる場合について説明する。
なお、上記酸化物半導体をトランジスタに用いることで、結晶粒界におけるキャリア散乱等を減少させることができるため、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
また、トランジスタには、キャリア密度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。酸化物半導体膜のキャリア密度を低くする場合においては、酸化物半導体膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性と言う。例えば、酸化物半導体は、キャリア密度が8×1011/cm未満、好ましくは1×1011/cm未満、さらに好ましくは1×1010/cm未満であり、1×10−9/cm以上とすればよい。
また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高いOSトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
[不純物]
ここで、酸化物半導体中における各不純物の影響について説明する。
酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体におけるシリコンや炭素の濃度と、酸化物半導体との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(SIMSにより得られる濃度)を、2×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1017atoms/cm以下とする。
また、酸化物半導体にアルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。具体的には、SIMSにより得られる酸化物半導体中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1016atoms/cm以下にする。
また、酸化物半導体において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を半導体に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、該酸化物半導体において、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、特に、チャネルが形成される領域の窒素はできる限り低減されていることが好ましい。例えば、酸化物半導体中の窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm以下、好ましくは5×1018atoms/cm以下、より好ましくは1×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm以下とする。
また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。特に、チャネルが形成される領域の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm未満、好ましくは1×1019atoms/cm未満、より好ましくは5×1018atoms/cm未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm未満とする。
不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、トランジスタに安定した電気特性を付与することができる。
例えば、酸化物半導体層106として、熱CVD法でInGaZnO(X>0)膜を成膜する場合には、トリメチルインジウム(In(CH)、トリメチルガリウム(Ga(CH)、およびジメチル亜鉛(Zn(CH)を用いる。また、これらの組み合わせに限定されず、トリメチルガリウムに代えてトリエチルガリウム(Ga(C)を用いることもでき、ジメチル亜鉛に代えてジエチル亜鉛(Zn(C)を用いることもできる。
例えば、酸化物半導体層106として、ALD法で、InGaZnO(X>0)膜を成膜する場合には、In(CHガスとOガスを順次繰り返し導入してInO層を形成し、その後、Ga(CHガスとOガスを順次繰り返し導入してGaO層を形成し、更にその後Zn(CHガスとOガスを順次繰り返し導入してZnO層を形成する。なお、これらの層の順番はこの例に限らない。また、これらのガスを用いてInGaO層やInZnO層、GaInO層、ZnInO層、GaZnO層などの混合化合物層を形成しても良い。なお、Oガスに代えてAr等の不活性ガスで水をバブリングしたHOガスを用いても良いが、Hを含まないOガスを用いる方が好ましい。また、In(CHガスにかえて、In(Cガスやトリス(アセチルアセトナト)インジウムを用いても良い。なお、トリス(アセチルアセトナト)インジウムは、In(acac)とも呼ぶ。また、Ga(CHガスにかえて、Ga(Cガスやトリス(アセチルアセトナト)ガリウムを用いても良い。なお、トリス(アセチルアセトナト)ガリウムは、Ga(acac)とも呼ぶ。また、Zn(CHガスや、酢酸亜鉛を用いても良い。これらのガス種には限定されない。
酸化物半導体層106をスパッタリング法で成膜する場合、パーティクル数低減のため、インジウムを含むターゲットを用いると好ましい。また、元素Mの原子数比が高い酸化物ターゲットを用いた場合、ターゲットの導電性が低くなる場合がある。インジウムを含むターゲットを用いる場合、ターゲットの導電率を高めることができ、DC放電、AC放電が容易となるため、大面積の基板へ対応しやすくなる。したがって、半導体装置の生産性を高めることができる。
酸化物半導体層106をスパッタリング法で成膜する場合、ターゲットの原子数比は、In:M:Znが3:1:1、3:1:2、3:1:4、1:1:0.5、1:1:1、1:1:2、1:1:1.2、1:4:4、4:2:4.1、1:3:2、1:3:4、5:1:6、5:1:8などとすればよい。
酸化物半導体層106をスパッタリング法で成膜する場合、ターゲットの原子数比からずれた原子数比の膜が形成される場合がある。特に、亜鉛は、ターゲットの原子数比よりも膜の原子数比が小さくなる場合がある。具体的には、ターゲットに含まれる亜鉛の原子数比の40atomic%以上90atomic%程度以下となる場合がある。
また、図4(A)および図4(B)に示したように、酸化物半導体層106を複数層の積層とする場合、酸化物半導体層106_1は、例えば、エネルギーギャップが大きい酸化物半導体を用いることが好ましい。酸化物半導体層106_1のエネルギーギャップは、例えば、2.5eV以上4.2eV以下、好ましくは2.8eV以上3.8eV以下、さらに好ましくは3eV以上3.5eV以下とする。
酸化物半導体層106_3および酸化物半導体層106_2は、酸化物半導体層106_1を構成する酸素以外の元素のうち、1種類以上の同じ金属元素を含む材料により形成されることが好ましい。このような材料を用いると、酸化物半導体層106_3と酸化物半導体層106_1の界面、ならびに酸化物半導体層106_2と酸化物半導体層106_1の界面に界面準位を生じにくくすることができる。よって、界面におけるキャリアの散乱や捕獲が生じにくく、トランジスタの電界効果移動度を向上させることが可能となる。また、トランジスタのしきい値電圧のばらつきを低減することが可能となる。よって、良好な電気特性を有する半導体装置を実現することが可能となる。
また、酸化物半導体層106_1がIn−M−Zn酸化物(Inと元素MとZnを含む酸化物)であり、酸化物半導体層106_3および酸化物半導体層106_2もIn−M−Zn酸化物であるとき、酸化物半導体層106_3および酸化物半導体層106_2をIn:M:Zn=x:y:z[原子数比]、酸化物半導体層106_1をIn:M:Zn=x:y:z[原子数比]とすると、好ましくはy/xがy/xよりも大きくなる酸化物半導体層106_3、酸化物半導体層106_2、および酸化物半導体層106_1を選択する。より好ましくは、y/xがy/xよりも1.5倍以上大きくなる酸化物半導体層106_3、酸化物半導体層106_2、および酸化物半導体層106_1を選択する。さらに好ましくは、y/xがy/xよりも2倍以上大きくなる酸化物半導体層106_3、酸化物半導体層106_2、および酸化物半導体層106_1を選択する。より好ましくは、y/xがy/xよりも3倍以上大きくなる酸化物半導体層106_3、酸化物半導体層106_2および酸化物半導体層106_1を選択する。このとき、酸化物半導体層106_1において、yがx以上であるとトランジスタに安定した電気特性を付与できるため好ましい。ただし、yがxの5倍以上になると、トランジスタの電界効果移動度が低下してしまうため、yはxの5倍未満であると好ましい。酸化物半導体層106_3および酸化物半導体層106_2を上記構成とすることにより、酸化物半導体層106_3および酸化物半導体層106_2を、酸化物半導体層106_1よりも酸素欠損が生じにくい層とすることができる。
なお、酸化物半導体層106_3がIn−M−Zn酸化物のとき、InおよびMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50atomic%より高く、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atomic%より高くする。また、酸化物半導体層106_1がIn−M−Zn酸化物のとき、InおよびMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが25atomic%より高く、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%より高く、Mが66atomic%未満とする。また、酸化物半導体層106_2がIn−M−Zn酸化物のとき、InおよびMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50atomic%より高く、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atomic%より高くとする。なお、酸化物半導体層106_2は、酸化物半導体層106_3と同種の酸化物を用いても構わない。
例えば、InまたはGaを含む酸化物半導体層106_3、およびInまたはGaを含む酸化物半導体層106_2として、In:Ga:Zn=1:3:2、1:3:4、1:3:6、1:4:5、1:6:4、または1:9:6などの原子数比のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物や、In:Ga=1:9、または7:93などの原子数比のターゲットを用いて形成したIn−Ga酸化物を用いることができる。また、酸化物半導体層106_1として、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1または3:1:2などの原子数比のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物を用いることができる。なお、酸化物半導体層106_3、酸化物半導体層106_1、および酸化物半導体層106_2の原子数比はそれぞれ、誤差として上記の原子数比のプラスマイナス20%の変動を含む。
酸化物半導体層106_1は、酸化物半導体層106_3および酸化物半導体層106_2よりも電子親和力の大きい酸化物を用いることが好ましい。例えば、酸化物半導体層106_1として、酸化物半導体層106_3および酸化物半導体層106_2よりも電子親和力が0.07eV以上1.3eV以下、好ましくは0.1eV以上0.7eV以下、さらに好ましくは0.15eV以上0.4eV以下大きい酸化物を用いてもよい。なお、電子親和力は、真空準位と伝導帯下端のエネルギーとの差である。
なお、インジウムガリウム酸化物は、小さい電子親和力と、高い酸素ブロック性を有する。そのため、酸化物半導体層106_2がインジウムガリウム酸化物を含むと好ましい。ガリウム原子割合[Ga/(In+Ga)]は、例えば、70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上とする。
ただし、酸化物半導体層106_3または/および酸化物半導体層106_2が、酸化ガリウムであっても構わない。例えば、酸化物半導体層106_3として、酸化ガリウムを用いると電極102と酸化物半導体層106との間に生じるリーク電流を低減することができる。即ち、トランジスタ100のオフ電流を小さくすることができる。
このとき、ゲート電圧を印加すると、酸化物半導体層106_3、酸化物半導体層106_1、酸化物半導体層106_2のうち、電子親和力の大きい酸化物半導体層106_1にチャネルが形成される。
OSトランジスタに安定した電気特性を付与するためには、酸化物半導体層中の不純物および酸素欠損を低減して高純度真性化し、少なくとも酸化物半導体層106_1を真性または実質的に真性と見なせる酸化物半導体層とすることが好ましい。また、少なくとも酸化物半導体層106_1中のチャネル形成領域が真性または実質的に真性と見なせる半導体層とすることが好ましい。
[バンド図]
続いて、該酸化物半導体を2層構造、または3層構造とした場合について述べる。酸化物半導体S1、酸化物半導体S2、および酸化物半導体S3の積層構造、および積層構造に接する絶縁体のバンド図と、酸化物半導体S2および酸化物半導体S3の積層構造、および積層構造に接する絶縁体のバンド図と、酸化物半導体S1および酸化物半導体S2の積層構造、および積層構造に接する絶縁体のバンド図と、について、図19を用いて説明する。
図19(A)は、絶縁体I1、酸化物半導体S1、酸化物半導体S2、酸化物半導体S3、および絶縁体I2を有する積層構造の膜厚方向のバンド図の一例である。また、図19(B)は、絶縁体I1、酸化物半導体S2、酸化物半導体S3、および絶縁体I2を有する積層構造の膜厚方向のバンド図の一例である。また、図19(C)は、絶縁体I1、酸化物半導体S1、酸化物半導体S2、および絶縁体I2を有する積層構造の膜厚方向のバンド図の一例である。なお、バンド図は、理解を容易にするため絶縁体I1、酸化物半導体S1、酸化物半導体S2、酸化物半導体S3、および絶縁体I2の伝導帯下端のエネルギー準位(Ec)を示す。
酸化物半導体S1、酸化物半導体S3は、酸化物半導体S2よりも伝導帯下端のエネルギー準位が真空準位に近く、代表的には、酸化物半導体S2の伝導帯下端のエネルギー準位と、酸化物半導体S1、酸化物半導体S3の伝導帯下端のエネルギー準位との差が、0.15eV以上、または0.5eV以上、かつ2eV以下、または1eV以下であることが好ましい。すなわち、酸化物半導体S1、酸化物半導体S3の電子親和力と、酸化物半導体S2の電子親和力との差が、0.15eV以上、または0.5eV以上、かつ2eV以下、または1eV以下であることが好ましい。
図19(A)、図19(B)、および図19(C)に示すように、酸化物半導体S1、酸化物半導体S2、酸化物半導体S3において、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、連続的に変化または連続接合するともいうことができる。このようなバンド図を有するためには、酸化物半導体S1と酸化物半導体S2との界面、または酸化物半導体S2と酸化物半導体S3との界面において形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
具体的には、酸化物半導体S1と酸化物半導体S2、酸化物半導体S2と酸化物半導体S3が、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする)ことで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、酸化物半導体S2がIn−Ga−Zn酸化物半導体の場合、酸化物半導体S1、酸化物半導体S3として、In−Ga−Zn酸化物半導体、Ga−Zn酸化物半導体、酸化ガリウムなどを用いるとよい。
このとき、キャリアの主たる経路は酸化物半導体S2となる。酸化物半導体S1と酸化物半導体S2との界面、および酸化物半導体S2と酸化物半導体S3との界面における欠陥準位密度を低くすることができるため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さく、高いオン電流が得られる。
トラップ準位に電子が捕獲されることで、捕獲された電子は固定電荷のように振る舞うため、トランジスタのしきい値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。酸化物半導体S1、酸化物半導体S3を設けることにより、トラップ準位を酸化物半導体S2より遠ざけることができる。当該構成とすることで、トランジスタのしきい値電圧がプラス方向にシフトすることを防止することができる。
酸化物半導体S1、および酸化物半導体S3は、酸化物半導体S2と比較して、導電率が十分に低い材料を用いる。このとき、酸化物半導体S2、酸化物半導体S2と酸化物半導体S1との界面、および酸化物半導体S2と酸化物半導体S3との界面が、主にチャネル領域として機能する。例えば、酸化物半導体S1、酸化物半導体S3には、図18(C)において、絶縁性が高くなる領域Cで示す原子数比の酸化物半導体を用いればよい。なお、図18(C)に示す領域Cは、[In]:[M]:[Zn]=0:1:0、およびその近傍値、[In]:[M]:[Zn]=1:3:2およびその近傍値、および[In]:[M]:[Zn]=1:3:4、およびその近傍値である原子数比を示している。
特に、酸化物半導体S2に領域Aで示される原子数比の酸化物半導体を用いる場合、酸化物半導体S1および酸化物半導体S3には、[M]/[In]が1以上、好ましくは2以上である酸化物半導体を用いることが好ましい。また、酸化物半導体S3として、十分に高い絶縁性を得ることができる[M]/([Zn]+[In])が1以上である酸化物半導体を用いることが好適である。
〔成膜方法について〕
絶縁層、電極や配線を形成するための導電層、または半導体層などは、スパッタリング法、スピンコート法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法(熱CVD法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、PECVD(Plasma Enhanced CVD)法、高密度プラズマCVD(High density plasma CVD)法、LPCVD法(low pressure CVD)、APCVD法(atmospheric pressure CVD)等を含む)、ALD(Atomic Layer Deposition)法、または、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、または、PLD(Pulsed Laser Deposition)法、ディップ法、スプレー塗布法、液滴吐出法(インクジェット法など)、印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷など)を用いて形成することができる。
プラズマCVD法は、比較的低温で高品質の膜が得られる。MOCVD法、ALD法、または熱CVD法などの、成膜時にプラズマを用いない成膜方法を用いると、被形成面にダメージが生じにくい。例えば、半導体装置に含まれる配線、電極、素子(トランジスタ、容量素子など)などは、プラズマから電荷を受け取ることでチャージアップする場合がある。このとき、蓄積した電荷によって、半導体装置に含まれる配線、電極、素子などが破壊される場合がある。一方、プラズマを用いない成膜方法の場合、こういったプラズマダメージが生じないため、半導体装置の歩留まりを高くすることができる。また、成膜中のプラズマダメージが生じないため、欠陥の少ない膜が得られる。
CVD法およびALD法は、ターゲットなどから放出される粒子が堆積する成膜方法とは異なり、被処理物の表面における反応により膜が形成される成膜方法である。したがって、被処理物の形状の影響を受けにくく、良好な段差被覆性を有する成膜方法である。特に、ALD法は、優れた段差被覆性と、優れた厚さの均一性を有するため、アスペクト比の高い開口部の表面を被覆する場合などに好適である。ただし、ALD法は、比較的成膜速度が遅いため、成膜速度の速いCVD法などの他の成膜方法と組み合わせて用いることが好ましい場合もある。
CVD法およびALD法は、原料ガスの流量比によって、得られる膜の組成を制御することができる。例えば、CVD法およびALD法では、原料ガスの流量比によって、任意の組成の膜を成膜することができる。また、例えば、CVD法およびALD法では、成膜しながら原料ガスの流量比を変化させることによって、組成が連続的に変化した膜を成膜することができる。原料ガスの流量比を変化させながら成膜する場合、複数の成膜室を用いて成膜する場合と比べて、搬送や圧力調整に掛かる時間の分、成膜に掛かる時間を短くすることができる。したがって、半導体装置の生産性を高めることができる場合がある。
なお、ALD法により成膜する場合は、材料ガスとして塩素を含まないガスを用いることが好ましい。
また、スパッタリング法で酸化物半導体を形成する場合、スパッタリング装置におけるチャンバーは、酸化物半導体にとって不純物となる水等を可能な限り除去すべくクライオポンプのような吸着式の真空排気ポンプを用いて、高真空(5×10−7Paから1×10−4Pa程度まで)に排気することが好ましい。特に、スパッタリング装置の待機時における、チャンバー内のHOに相当するガス分子(m/z=18に相当するガス分子)の分圧を1×10−4Pa以下、好ましく5×10−5Pa以下とすることが好ましい。成膜温度はRT以上500℃以下が好ましく、RT以上300℃以下がより好ましく、RT以上200℃以下がさらに好ましい。
また、スパッタリングガスの高純度化も必要である。例えば、スパッタリングガスとして用いる酸素ガスやアルゴンガスは、露点が−40℃以下、好ましくは−80℃以下、より好ましくは−100℃以下、より好ましくは−120℃以下にまで高純度化したガスを用いることで酸化物半導体膜に水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
また、スパッタリング法で絶縁層、導電層、または半導体層などを形成する場合、酸素を含むスパッタリングガスを用いることで、被形成層に酸素を供給することができる。スパッタリングガスに含まれる酸素が多いほど、被形成層に供給される酸素が多くなりやすい。
<トランジスタ100の作製方法例>
トランジスタ100の作製方法例について図5(A)乃至図8(C)を用いて説明する。図5(A)乃至図8(C)に示す断面図は、図1(A)にX1−X2の一点鎖線で示す部位の断面に相当する。
[工程1]
まず、基板101上に電極102を形成するための導電層181を形成する(図5(A)参照。)。本実施の形態では、基板101としてアルミノホウケイ酸ガラスを用いる。また、本実施の形態では、導電層181として厚さ50nmのチタン層と、厚さ200nmの銅層とを、それぞれ順にスパッタリング法により形成する。
[工程2]
次に、レジストマスクを形成する(図示せず。)。レジストマスクの形成は、フォトリソグラフィ法、印刷法、インクジェット法等を適宜用いて行うことができる。レジストマスクを印刷法やインクジェット法などで形成すると、フォトマスクを使用しないため製造コストを低減できる。
フォトリソグラフィ法によるレジストマスクの形成は、感光性レジストにフォトマスクを介して光を照射し、現像液を用いて感光した部分(または感光していない部分)のレジストを除去して行なうことができる。感光性レジストに照射する光は、KrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレーザ光、EUV(Extreme Ultraviolet)光などがある。また、基板と投影レンズとの間に液体(例えば水)を満たして露光する液浸技術を用いてもよい。また、前述した光に代えて、電子ビームやイオンビームを用いてもよい。なお、電子ビームやイオンビームを用いる場合には、フォトマスクは不要となる。
当該レジストマスクをマスクとして用いて、導電層181の一部を選択的に除去して電極102を形成する(図5(B)参照。)。導電層181の除去は、ドライエッチング法や、ウェットエッチング法などを用いて行なうことができる。なお、導電層181の除去は、ドライエッチング法とウェットエッチング法の両方を用いてもよい。
導電層181の一部を除去した後、レジストマスクを除去する。レジストマスクの除去は、アッシングなどのドライエッチング法または専用の剥離液などを用いたウェットエッチング法で行うことができる。なお、レジストマスクの除去は、ドライエッチング法とウェットエッチング法の両方を用いてもよい。
また、電極102側面の断面形状をテーパー形状とすることが好ましい。電極102側面のテーパー角θは、20°以上90°未満が好ましく、30°以上80°未満がより好ましく、40°以上70°未満がさらに好ましい。なお、テーパー角θとは、テーパー形状を有する層を断面(基板の表面と直交する面)方向から観察した際に、当該層の側面と底面がなす角度を示す。
電極102の側面にテーパー形状を付与することで、その上に形成する層の段切れを防ぎ、被覆性を向上させることができる。また、電極102の側面をテーパー形状とすることで、電極102の上端部の電界集中を緩和できる。一方で、テーパー角θが小さすぎると、トランジスタの微細化が困難になる場合がある。また、テーパー角θが小さすぎると、開口の大きさや配線の幅などのばらつきが大きくなる場合がある。
また、電極102の側面を階段形状としてもよい。側面を階段状とすることで、その上に形成する層の段切れを防ぎ、被覆性を向上させることができる。なお、電極102の側面に限らず、各層の端部をテーパー形状または階段形状とすることで、その上に被覆する層が途切れてしまう現象(段切れ)を防ぎ、被覆性を良好なものとすることができる。
[工程3]
次に、絶縁層103、絶縁層104、および絶縁層105を順に形成する(図5(C)参照。)。本実施の形態では、絶縁層103として厚さ400nmの窒化シリコン層を形成し、絶縁層104として厚さ30nmの酸化アルミニウム層を形成し、絶縁層105として厚さ50nmの酸化窒化シリコン層を形成する。
なお、絶縁層103に用いる窒化シリコン層は、第1の窒化シリコン層と、第2の窒化シリコン層と、第3の窒化シリコン層とを有する三層積層構造である。該三層積層構造の一例としては、以下のように形成することができる。
第1の窒化シリコン層としては、例えば、流量200sccmのシランガス、流量2000sccmの窒素ガス、および流量100sccmのアンモニアガスを原料ガスとしてPECVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を100Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて2000Wの電力を供給して、厚さが50nmとなるように形成すればよい。
第2の窒化シリコン層としては、流量200sccmのシランガス、流量2000sccmの窒素ガス、および流量2000sccmのアンモニアガスを原料ガスとしてPECVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を100Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて2000Wの電力を供給して、厚さが300nmとなるように形成すればよい。
第3の窒化シリコン層としては、流量200sccmのシランガス、および流量5000sccmの窒素ガスを原料ガスとしてPECVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を100Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて2000Wの電力を供給して、厚さが50nmとなるように形成すればよい。
なお、上記第1の窒化シリコン層、第2の窒化シリコン層、および第3の窒化シリコン層形成時の基板温度は350℃以下とすることができる。
窒化シリコン層を上述の三層の積層構造とすることで、例えば、電極102に銅を含む導電層を用いる場合において、以下の効果を奏する。
第1の窒化シリコン層は、電極102からの銅元素の拡散を抑制することができる。第2の窒化シリコン層は、水素を放出する機能を有し、ゲート絶縁層として機能する絶縁層の耐圧を向上させることができる。第3の窒化シリコン層は、第3の窒化シリコン層からの水素放出が少なく、且つ第2の窒化シリコン層からの放出される水素の拡散を防ぐことができる。
前述した通り、絶縁層104は、不純物が透過しにくい絶縁性材料を用いて形成することが好ましい。また、絶縁層104は、酸素が拡散しにくい絶縁性材料を用いて形成することが好ましい。絶縁層104に用いる酸化アルミニウム層は、アルミニウムターゲットを用いたDCスパッタリング法で形成してもよいし、酸化アルミニウムターゲットを用いたACスパッタリング法で形成してもよい。また、ALD法で形成してもよい。
絶縁層105は、過剰酸素を含む絶縁層を用いることが好ましい。絶縁層105に酸素ドープ処理を行ってもよい。また、絶縁層105の形成後に加熱処理を行なって、絶縁層105中に含まれる水素や水分を低減させることが好ましい。加熱処理の後に酸素ドープ処理を行ってもよい。酸素ドープ処理は、例えば、基板を350℃に加熱して、アルゴンと酸素を含むガスを周波数2.45GHzで励起して行なえばよい。加熱処理と酸素ドープ処理を複数回繰り返し行なってもよい。
また、絶縁層105を、窒素や不活性ガスのプラズマ雰囲気に曝すことで、絶縁層105表面および表面近傍の水素や炭素などの不純物を低減することができる。例えば、基板を350℃に加熱して、アルゴンと窒素を含むガスを周波数2.45GHzで励起したプラズマ雰囲気に絶縁層105を曝せばよい。
加熱処理は、例えば、窒素や希ガスなどを含む不活性雰囲気下、酸化性雰囲気下、又は超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で−55℃)以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)雰囲気下で行なう。なお、「酸化性雰囲気」とは、酸素、オゾンまたは窒化酸素などの酸化性ガスを10ppm以上含有する雰囲気をいう。また、「不活性雰囲気」とは、前述の酸化性ガスが10ppm未満であり、その他、窒素または希ガスで充填された雰囲気をいう。加熱処理中の圧力に特段の制約はないが、加熱処理は減圧下で行なうことが好ましい。
加熱処理は、150℃以上基板の歪み点未満、好ましくは200℃以上500℃以下、より好ましくは250℃以上400℃以下で行えばよい。処理時間は24時間以内とする。24時間を超える加熱処理は生産性の低下を招くため好ましくない。
また、加熱処理は、電気炉、RTA装置等を用いて行なうことができる。RTA装置を用いることで、短時間に限り基板の歪み点以上の温度で熱処理を行うことができる。そのため、加熱時間を短縮することが可能となる。また、加熱処理は、窒素、酸素、超乾燥空気(水の含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)、または希ガス(アルゴン、ヘリウム等)の雰囲気下で行えばよい。なお、上記窒素、酸素、超乾燥空気、または希ガスに水素、水等が含まれないことが好ましい。
[工程4]
次に、酸化物半導体層182を形成する(図5(D)参照。)。なお、酸化物半導体層182を形成する前に、酸素ガスを供給してプラズマを発生させてもよい。このことにより、酸化物半導体層182の被形成面となる絶縁層105中に酸素を添加できる。
酸化物半導体層182としては、インジウム亜鉛酸化物や、組成がIn:Ga:Zn=5:1:7[原子数比]のターゲットを用いて形成したインジウムガリウム亜鉛酸化物や、組成がIn:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のターゲットを用いて形成したインジウムガリウム亜鉛酸化物などを用いることが好ましい。
本実施の形態では、酸化物半導体層182として、インジウムガリウム亜鉛酸化物を組成がIn:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のターゲットを用いたスパッタリング法で形成する。また、スパッタリングガスとして酸素、または、酸素と希ガスの混合ガスを用いる。本実施の形態では、スパッタリングガスとして酸素の流量比が10%の酸素とアルゴンの混合ガスを用いる。
スパッタリングガスに含まれる酸素の流量比を0%以上30%以下、好ましくは5%以上20%以下として成膜すると、酸素欠乏型の酸化物半導体層が形成される。酸素欠乏型の酸化物半導体層を用いたトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られる。
また、酸化物半導体層182の形成時に、スパッタリングガスに含まれる酸素の一部が絶縁層105に供給される場合がある。スパッタリングガスに含まれる酸素が多いほど、絶縁層105に供給される酸素も増加する。絶縁層105に供給された酸素の一部は、絶縁層105中に残存する水素と反応して水となり、後の加熱処理によって絶縁層105から放出される。このようにして、絶縁層105中の水素濃度を低減することができる。また、絶縁層105中の過剰酸素を増やすことで、後の加熱処理において酸化物半導体層182(後の酸化物半導体層106)に酸素を供給することもできる。
図4(A)および図4(B)に示したように、酸化物半導体層106を二層または三層の積層とする場合、酸化物半導体層106_1を形成するための酸化物半導体層は、上記の材料および方法で形成する。
また、酸化物半導体層106_2および/または酸化物半導体層106_3を形成するための酸化物半導体層は、結晶性の高い酸化物半導体層を用いることが好ましい。例えば、CAAC−OSを用いることが好ましい。例えば、後に行なわれる絶縁層108、絶縁層109および電極112を形成するためのエッチング工程の際に、露出した酸化物半導体層がエッチングされて、酸化物半導体層にダメージが生じる場合がある。結晶性の高い酸化物半導体層は、当該エッチング工程でエッチングされにくい。酸化物半導体層183に結晶性の高い酸化物半導体層を用いることで、当該エッチング工程で酸化物半導体層に生じるダメージを低減することができる。よって、トランジスタの信頼性を高めることができる。
酸化物半導体層106_2および/または酸化物半導体層106_3を形成するための酸化物半導体層として、例えば、インジウムガリウム亜鉛酸化物を組成がIn:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比]のターゲットを用いたスパッタリング法で形成する。また、スパッタリングガスとして酸素、または、酸素と希ガスの混合ガスを用いる。例えば、スパッタリングガスとして酸素を100%の割合で用いる。酸化物半導体層106_2および/または酸化物半導体層106_3を形成するためのスパッタリングガスに含まれる酸素の流量比は、70%以上が好ましく、80%以上がさらに好ましく、100%がより好ましい。スパッタリングガスに含まれる酸素の割合(流量比)を高めることで、酸化物半導体層の結晶性を高めることができる。
なお、酸化物半導体層182の形成後に不純物元素を導入することで、トランジスタ100のしきい値電圧を変化させることができる。不純物元素の導入は、イオン注入法、イオンドーピング法、またはプラズマイマージョンイオン注入法、または不純物元素を含むガスを用いたプラズマ処理などで行うことができる。
また、酸化物半導体層182の形成後に、加熱処理を行ってもよいし、酸素ドープ処理を行なってもよい。加熱処理と酸素ドープ処理を複数回繰り返してもよい。
また、窒素または希ガス雰囲気で加熱処理を行なった後、酸素または超乾燥空気雰囲気で加熱処理を行なってもよい。この結果、酸化物半導体層に含まれる水素、水等を脱離させると共に、酸化物半導体層に酸素を供給することができる。この結果、酸化物半導体層に含まれる酸素欠損を低減することができる。
[工程5]
次に、フォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成する(図示せず。)。当該レジストマスクをマスクとして用いて、酸化物半導体層182の一部を選択的に除去して、島状の酸化物半導体層106を形成する(図6(A)参照。)。
酸化物半導体層182の除去は、ドライエッチング法や、ウェットエッチング法などを用いて行なうことができる。なお、酸化物半導体層182の除去は、ドライエッチング法とウェットエッチング法の両方を用いてもよい。
図4(A)および図4(B)に示したように、半導体層106を二層または三層の積層とする場合は、酸化物半導体層106_1の形成後、酸化物半導体層106_1および酸化物半導体層106_2の形成後、または、酸化物半導体層106_1乃至酸化物半導体層106_3の形成後に加熱処理を行ってもよいし、酸素ドープ処理を行なってもよい。加熱処理と酸素ドープ処理を繰り返してもよい。
[工程6]
次に、絶縁層108と絶縁層109を順に形成する(図6(B)参照。)。絶縁層108と絶縁層109は、途中で大気に曝すことなく連続して形成することが好ましい。
絶縁層108は過剰酸素を含む絶縁層であることが好ましい。絶縁層108の厚さは5nm以上150nm以下、好ましくは5nm以上50nm以下とすればよい。また、絶縁層108として酸素を透過することができる絶縁層を用いることで、後に形成する絶縁層109に含まれる酸素を酸化物半導体層106に移動させることができる。
例えば、絶縁層108として、PECVD法で形成した酸化窒化シリコン層を用いることができる。この場合、原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体および酸化性気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シランガス、ジシランガス、トリシランガス、フッ化シランガス等がある。酸化性気体としては、一酸化二窒素ガス、二酸化窒素ガス等がある。また、上記の堆積性気体の流量に対して酸化性気体の流量を20倍以上5000倍以下、好ましくは40倍以上100倍以下とする。
本実施の形態では、絶縁層108として、厚さ30nmの酸化窒化シリコン層を形成する。具体的には、基板温度を350℃とし、流量20sccmのシランガスおよび流量3000sccmの一酸化二窒素ガスを原料ガスとし、処理室内の圧力を200Paとし、平行平板電極に供給する高周波電力を13.56MHz、100WとするPECVD法を用いて、酸化窒化シリコン層を形成する。
絶縁層109は、過剰酸素を含む絶縁層であることが好ましい。絶縁層109の厚さは30nm以上500nm以下、好ましくは50nm以上400nm以下とすればよい。
また、絶縁層109は、欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定により、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度が1.5×1018spins/cm未満、さらには1×1018spins/cm以下であることが好ましい。なお、絶縁層109は、絶縁層108と比較して酸化物半導体層106から離れているため、絶縁層108よりも欠陥密度が多くてもよい。
絶縁層109として、PECVD法で形成した酸化シリコン層または酸化窒化シリコン層を用いることができる。例えば、PECVD装置の真空排気された処理室内に載置された基板を180℃以上400℃以下に保持し、処理室に原料ガスを導入して処理室内における圧力を100Pa以上250Pa以下、さらに好ましくは100Pa以上200Pa以下とし、処理室内に設けられる電極に0.17W/cm以上0.5W/cm以下、さらに好ましくは0.25W/cm以上0.35W/cm以下の高周波電力を供給する条件により、酸化シリコン層または酸化窒化シリコン層を形成する。
絶縁層109の形成において、上記圧力の反応室内で上記パワー密度の高周波電力を供給することで、プラズマ中で原料ガスの分解効率が高まる。すなわち、反応室内の酸素ラジカルが増加し、原料ガスの酸化が進む。このため、形成される絶縁層109中の酸素含有量が化学量論的組成よりも多くなる。
また、上記の基板温度で形成された絶縁層では、シリコンと酸素の結合力が弱いため、後の工程の加熱処理により絶縁層中の酸素の一部が脱離する。この結果、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含み、加熱により酸素の一部が脱離する酸化物絶縁層を形成することができる。
本実施の形態では、絶縁層109として、厚さ100nmの酸化窒化シリコン層を形成する。具体的には、基板温度を220℃とし、流量160sccmのシランガスおよび流量4000sccmの一酸化二窒素ガスを原料ガスとし、処理室内の圧力を200Paとし、平行平板電極に供給する高周波電力を13.56MHz、1500WとするPECVD法を用いて、酸化窒化シリコン層を形成する。
なお、絶縁層109の形成工程において、絶縁層108が酸化物半導体層106の保護層となる。したがって、酸化物半導体層106へのダメージを低減しつつ、パワー密度の高い高周波電力を用いて絶縁層109を形成することができる。
なお、絶縁層109の形成条件において、酸化性気体に対するシリコンを含む堆積性気体の流量を増加することで、絶縁層109の欠陥量を低減することが可能である。代表的には、ESR測定により、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度が6×1017spins/cm未満、好ましくは3×1017spins/cm以下、好ましくは1.5×1017spins/cm以下である欠陥量の少ない酸化物絶縁層を形成することができる。この結果、トランジスタの信頼性を高めることができる。
[工程7]
絶縁層109上に電極112を形成するための導電層185を形成する(図6(C)参照。)。本実施の形態では、導電層185としてインジウムガリウム亜鉛酸化物層を用いる。より具体的には、導電層185としてインジウムガリウム亜鉛酸化物の二層積層を用いる。
まず、組成がIn:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のターゲットと、酸素が100%のスパッタリングガスと、を用いて、厚さ10nmのインジウムガリウム亜鉛酸化物層を形成する。次に、組成がIn:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のターゲットと、酸素の割合が10%でアルゴンの割合が90%のスパッタリングガスと、を用いて、厚さ90nmのインジウムガリウム亜鉛酸化物層を形成する。
[工程8]
次に、フォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成する(図示せず。)。当該レジストマスクをマスクとして用いて、導電層185の一部を選択的に除去して、電極112を形成する。この時、電極112をマスクとして用いて、絶縁層108と絶縁層109の一部も選択的に除去する(図6(D)参照。)。工程8により、酸化物半導体層106の一部が露出する。
導電層185、絶縁層108、および絶縁層109の除去は、ドライエッチング法や、ウェットエッチング法などを用いて行なうことができる。なお、導電層185、絶縁層108、および絶縁層109の除去は、ドライエッチング法とウェットエッチング法の両方を用いてもよい。
[工程9]
次に、酸化物半導体層106の工程8で露出した領域に不純物171を導入する(図7(A)参照。)。不純物の導入は、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法などで行ってもよい。当該領域に窒素などの不純物を導入することにより、当該領域の抵抗値を低下させることができる。
また、当該領域を窒素や不活性ガスのプラズマ雰囲気に曝してもよい。当該領域をプラズマ雰囲気に曝すことにより、当該領域に欠陥を生じさせて、当該領域の抵抗値を低下させることができる。
酸化物半導体層106の不純物が導入された領域、またはプラズマ雰囲気に曝された領域は、トランジスタのソース領域またはドレイン領域として機能できる。また、酸化物半導体層106の電極112と重なる領域は、チャネル形成領域として機能できる。すなわち、トランジスタのソース領域とドレイン領域を、自己整合(セルフアライン)で形成することができる。
本実施の形態では、アルゴンと窒素を含む雰囲気中でプラズマ処理を行う。
[工程10]
次に、不活性雰囲気下で加熱処理を行ない、酸化物半導体層106、絶縁層108および絶縁層109中に含まれる水素や水分などを低減する。また、工程9の後に加熱処理を行うことで、酸化物半導体層106のソース領域とドレイン領域の抵抗値が低下する場合がある。なお、加熱処理は不活性ガスなどのガス供給を行なわず、減圧下で行なってもよい。本実施の形態では、窒素雰囲気中で350℃、1時間の加熱処理をおこなう。
[工程11]
続けて、酸化性雰囲気中で加熱処理を行なってもよい。本実施の形態では、酸素雰囲気中で350℃、1時間の加熱処理をおこなう。例えば、工程8で酸化物半導体層106に窒素を導入した場合、酸素雰囲気中で加熱処理を行うことで、ソース領域およびドレイン領域のNOが増加し、抵抗値が低下する場合がある。なお、工程10または工程11の一方を省略してもよい。
[工程12]
次に、絶縁層110を形成する(図7(B)参照。)。前述した通り、絶縁層110は、不純物が透過しにくい絶縁性材料を用いて形成することが好ましい。また、絶縁層110は、酸素が拡散しにくい絶縁性材料を用いて形成することが好ましい。絶縁層110の厚さは5nm乃至40nmであればよい。
本実施の形態では、絶縁層110として厚さ30nmの酸化アルミニウム層をスパッタリング法で形成する。スパッタリング法で絶縁層110を形成する場合、形成温度(基板温度)はRT以上400℃以下が好ましく、RT以上300℃以下がより好ましく、RT以上150℃以下がさらに好ましい。また、スパッタリングガスとして酸素、または、酸素と希ガスの混合ガスを用いる。スパッタリングガスに含まれる酸素の流量比は、70%以上が好ましく、80%以上がさらに好ましく、100%がより好ましい。酸素を含むスパッタリングガスを用いることで、被形成層(絶縁層108)に酸素を供給することができる。スパッタリングガスに含まれる酸素が多いほど、被形成層に供給される酸素が多くなりやすい。本実施の形態では、スパッタリングガスとして100%酸素を用いる。
絶縁層110に用いる酸化アルミニウム層は、アルミニウムターゲットを用いたDCスパッタリング法で形成してもよいし、酸化アルミニウムターゲットを用いたACスパッタリング法で形成してもよい。絶縁層110の形成後、絶縁層110に酸素ドープ処理を行ってもよい。
また、絶縁層110として、水素を含まない、または、ほとんど含まない窒化シリコン層を用いてもよい。このような窒化シリコン層は、例えば、スパッタリング法などで形成することができる。
なお、絶縁層110の上に、図3で図示したトランジスタ100のように、絶縁層111を形成する場合は、絶縁層111として酸化アルミニウム層をスパッタリング法またはALD法で形成することが好ましい。絶縁層111の厚さは5nm乃至40nmであればよい。特に、酸化アルミニウム層をALD法で形成することで、被覆性の良好な酸化アルミニウム層を設けることができる。よって、トランジスタの信頼性を高めることができる。また、絶縁層111として窒化シリコン層を用いてもよい。
また、スパッタリング法で形成する酸化アルミニウム層は、成膜温度によってその密度を変化させることができる。例えば、酸化アルミニウム層をRT以上130℃以下で成膜すると、密度が2.8以上2.9g/cm以下程度の酸化アルミニウム層が得られる。また、酸化アルミニウム層を250℃で成膜すると、密度が3.3g/cm程度の酸化アルミニウム層が得られる(実施例2参照。)。
酸化アルミニウム層は加熱により水素を吸収する場合がある。よって絶縁層110として酸化アルミニウム層を形成し、その後、加熱処理を行うと、隣接する層中の水素濃度や水分が低減する場合がある。酸化アルミニウム層の水素吸収量は、密度が小さいほど多くなる。特に、密度が3.0g/cm以下の酸化アルミニウム層は、水素吸収量が多く好ましい。密度が3.0g/cm以下の酸化アルミニウム層の形成は、スパッタリング法に限らず、アルミニウム層を酸化性雰囲気下で加熱処理またはプラズマ処理することによっても実現可能である。
工程10から工程12までは、途中で大気に曝すことなく連続して行なう。このようにすることで、水素や水分などの酸化物半導体層106への吸着を防ぎ、トランジスタの信頼性を高めることができる。また、絶縁層110で酸化物半導体層106を覆うことで、外部から水素や水分などの浸入を防ぐことができる。加えて、酸素の外部への拡散を防ぐことができる。
[工程13]
次に、絶縁層115を形成する(図7(C)参照。)。本実施の形態では、絶縁層115として厚さ300nmの酸化窒化シリコン層を形成する。具体的には、基板温度を220℃とし、流量160sccmのシランガスおよび流量4000sccmの一酸化二窒素ガスを原料ガスとし、処理室内の圧力を200Paとし、平行平板電極に供給する高周波電力を13.56MHz、1500WとするPECVD法を用いて、酸化窒化シリコン層を形成する。
[工程14]
次に、フォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成する(図示せず。)。当該レジストマスクをマスクとして用いて、絶縁層115および絶縁層110それぞれの一部を選択的に除去して、開口186を形成する(図8(A)参照。)。この時、酸化物半導体層106の一部が露出する。
[工程15]
次に、導電層186を形成する(図8(B)参照。)。特に導電層186は、酸化物半導体層106と接するため、加熱処理により水素を吸収する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。導電層186にこのような材料を用いることで、後の加熱処理によって、酸化物半導体層106中の水素濃度を低減することができる。水素を吸収する機能を有する導電性材料の一例として、チタン、インジウム亜鉛酸化物、シリコンを添加したインジウム錫酸化物などがある。
本実施の形態では、導電層186としてチタン層と銅層の積層を用いる。具体的には、厚さ30nmのチタン層を形成し、その上に厚さ200nmの銅層を形成する。
[工程16]
次に、フォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成する(図示せず。)。当該レジストマスクをマスクとして用いて、導電層186の一部を選択的に除去して、電極114aおよび電極114bを形成する(図8(C)参照。)。
導電層186の除去は、ドライエッチング法や、ウェットエッチング法などを用いて行なうことができる。なお、導電層186の除去は、ドライエッチング法とウェットエッチング法の両方を用いてもよい。
レジストマスクを除去した後、加熱処理を行ってもよい。例えば、窒素雰囲気中で250℃、1時間の加熱処理を行う。
〔変形例〕
ここで、工程12で説明した絶縁層110の形成方法と異なる形成方法の一例について説明しておく。
例えば、絶縁層110として金属酸化物層をスパッタリング法で形成する場合、形成条件によってはスパッタリング装置内でパーティクルが発生する場合がある。該パーティクルは、トランジスタの製造歩留まり低下の一因となる。
以下、パーティクルが発生しにくい金属酸化物層の形成方法の一例を説明する。ここでは、絶縁層110として酸化アルミニウム層を形成する場合を説明する。
金属酸化物層の形成は、スパッタリング法やALD法など以外にも、金属層を形成し、該金属層を酸化させる方法により実現可能である。
まず、金属層188を形成する。ここでは、金属層188として厚さ10nmのアルミニウム層を形成する(図9(A)参照。)。この時、金属層188と接する酸化物半導体層106中に、金属層188に含まれる金属元素の一部が供給される。酸化物半導体層106の該金属元素が供給された領域は抵抗値が低下する。よって、該領域は、ソース領域またはドレイン領域として機能できる。すなわち、トランジスタのソース領域とドレイン領域を、自己整合(セルフアライン)で形成することができる。よって、前述した工程9を省略することもできる。
次に、酸化性雰囲気下で加熱処理、または酸化性雰囲気下でプラズマ処理を行う(図9(B)参照。)。金属層188に前述した酸素ドープ処理を行ってもよい。すると、金属層188が酸化されて、金属酸化物層(絶縁層110)となる(図9(C)参照。)。なお、酸化性雰囲気下で加熱処理を行いながらプラズマ処理を行ってもよい。特に、金属層187を酸化する工程は、酸化性雰囲気下でのプラズマ処理が好ましい。金属層187を酸化する工程として、酸化性雰囲気下でプラズマ処理を行うことで、絶縁層108または絶縁層109にも酸素を供給することが可能となる。
なお、金属層188と酸化物半導体層106を接して加熱処理を行うことで、酸化物半導体層106中の酸素および/または絶縁層105中の酸素が金属層188に吸収されて(図10(A)参照。)、金属酸化物層(絶縁層110)となる場合がある(図10(B)参照。)。この現象は、酸化物半導体層106および/または絶縁層105が過剰酸素を含む場合に顕著となる。また、酸素が吸収された領域の酸化物半導体層106は、酸素欠損が増加して抵抗値が低下する場合がある。
上記の金属酸化物層の形成方法は、酸化アルミニウムに限らず、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、または酸化タンタルなどに用いることもできる。
よって、金属層188としては、アルミニウム、マグネシウム、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウム、またはタンタルなどのうち、少なくとも1つを用いることができる。
なお、上記の方法で絶縁層110を形成した後、絶縁層111を設けてもよい。前述したように、絶縁層111はALD法や、スパッタリング法などで形成することができる。また、絶縁層111を、上記の方法で形成してもよい。
また、上記の方法で絶縁層110を形成した後、酸素を含むスパッタリングガスを用いたスパッタリング法で絶縁層111を形成すると、絶縁層110に酸素を供給することができる。よって、絶縁層110を、過剰酸素を含む絶縁層とすることができる。
また、金属層188の形成後に、酸素を含むスパッタリングガスを用いたスパッタリング法で絶縁層111を形成することで、金属層188を金属酸化物層(絶縁層110)とすることも可能である。
<トランジスタ100の変形例>
トランジスタ100の変形例について図面を用いて説明する。
〔変形例1〕
図11(A)は、トランジスタ100Aの平面図である。図11(B)は、図11(A)に記したX1−X2の一点鎖線で示す部位の断面図である。図11(C)は、図11(A)に記したY1−Y2の一点鎖線で示す部位の断面図である。
トランジスタ100Aは、絶縁層115上に電極114cを有する点がトランジスタ100と異なる。電極114cは、電極114aおよび電極114bと同様の材料および方法を用いて、同じ工程で設けることができる。電極114cは、絶縁層115および絶縁層110それぞれに設けられた開口において、電極112と電気的に接続されている。
また、トランジスタ100Aは、平面図で見た場合に、酸化物半導体層106の外側を囲む領域123を有する点が、トランジスタ100と異なる。領域123では絶縁層105が除去され、絶縁層104と絶縁層110が接している。
領域123を設けることで、外部から水素や水分などの浸入を防ぐ効果を高めることができる。加えて、酸素の外部への拡散を防ぐ効果を高めることができる。
〔変形例2〕
図12(A)は、トランジスタ100Bの平面図である。図12(B)は、図12(A)に記したX1−X2の一点鎖線で示す部位の断面図である。図12(C)は、図12(A)に記したY1−Y2の一点鎖線で示す部位の断面図である。図13(A)は、図12(B)に示した部位131Bの拡大図である。図13(B)は、図12(C)に示した部位132Bの拡大図である。
トランジスタ100Bは、トランジスタ100と絶縁層105の形状が異なる。トランジスタ100Aは酸化物半導体層106と重畳する島状の絶縁層105を有する。島状の絶縁層105は、工程5で酸化物半導体層106を形成する際に、露出した絶縁層105の一部を続けて除去することで形成できる。
また、トランジスタ100Bにおいて、絶縁層110と絶縁層104は酸化物半導体層106の端部および絶縁層105の端部を越えて延伸し、互いに接する領域を有する。このような構成とすることで、外部からの水素や水分などの浸入を防ぐ効果を高めることができる。加えて、酸素の外部への拡散を防ぐ効果を高めることができる。
〔変形例3〕
図14(A)は、トランジスタ100Cの平面図である。図14(B)は、図14(A)に記したX1−X2の一点鎖線で示す部位の断面図である。図14(C)は、図14(A)に記したY1−Y2の一点鎖線で示す部位の断面図である。
トランジスタ100Cは、トランジスタ100と、絶縁層108および絶縁層109の形状が異なる。トランジスタ100Cでは、絶縁層108および絶縁層109が酸化物半導体層106を覆う構造を有する。トランジスタ100Cは、工程8において電極112を形成する際に、絶縁層108および絶縁層109をエッチングせずに残している。
絶縁層108および絶縁層109で酸化物半導体層106を覆うことで、絶縁層108および絶縁層109から酸化物半導体層106に供給する酸素の量を増やすことができる。
〔変形例4〕
図15(A)は、トランジスタ100Dの平面図である。図15(B)は、図15(A)に記したX1−X2の一点鎖線で示す部位の断面図である。図15(C)は、図15(A)に記したY1−Y2の一点鎖線で示す部位の断面図である。
トランジスタ100Dは、トランジスタ100から電極102を除去した構成を有する。トランジスタに求められる性能や目的などによっては、電極102を設けなくてもよい。電極102を設けないことで、トランジスタの作製工程数が減るため、製造コストを低減できる。また、トランジスタの製造歩留まりを高めることができる。
〔変形例5〕
図16(A)は、トランジスタ100Eの平面図である。図16(B)は、図16(A)に記したX1−X2の一点鎖線で示す部位の断面図である。図16(C)は、図16(A)に記したY1−Y2の一点鎖線で示す部位の断面図である。図17は、図16(B)に示した部位131Eの拡大図である。
トランジスタ100Eは、絶縁層109と電極112の間に絶縁層118を有する点がトランジスタ100と異なる。絶縁層118は、絶縁層108または絶縁層109と同様の材料および方法で形成すればよい。
例えば、絶縁層118として、厚さ20nmの酸化窒化シリコン層を形成する。具体的には、基板温度を350℃とし、流量20sccmのシランガスおよび流量3000sccmの一酸化二窒素ガスを原料ガスとし、処理室内の圧力を200Paとし、平行平板電極に供給する高周波電力を13.56MHz、100WとするPECVD法を用いて、酸化窒化シリコン層を形成する。
また、絶縁層118として過剰酸素を含む絶縁層を用いることで、酸化物半導体層106に供給する酸素の量を増やすことができる。
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本明細書等に開示したトランジスタを用いた半導体装置の一例として、表示装置および表示モジュールについて説明する。
<表示装置>
上述したトランジスタを用いることができる表示装置の一例を説明する。図20(A)は、表示装置500の構成例を説明するブロック図である。
図20(A)に示す表示装置500は、駆動回路511、駆動回路521a、駆動回路521b、および表示領域531を有している。なお、駆動回路511、駆動回路521a、および駆動回路521bをまとめて「駆動回路」または「周辺駆動回路」という場合がある。
駆動回路521a、駆動回路521bは、例えば走査線駆動回路として機能できる。また、駆動回路511は、例えば信号線駆動回路として機能できる。なお、駆動回路521a、および駆動回路521bは、どちらか一方のみとしてもよい。また、表示領域531を挟んで駆動回路511と向き合う位置に、何らかの回路を設けてもよい。
また、図20(A)に例示する表示装置500は、各々が略平行に配設され、且つ、駆動回路521a、および/または駆動回路521bによって電位が制御されるp本の配線535と、各々が略平行に配設され、且つ、駆動回路511によって電位が制御されるq本の配線536と、を有する(p、qは、ともに1以上の自然数。)。さらに、表示領域531はマトリクス状に配設された複数の画素532を有する。画素532は、画素回路534および表示素子を有する。
また、3つの画素532を1つの画素として機能させることで、フルカラー表示を実現することができる。3つの画素532は、それぞれが赤色光、緑色光、または青色光の、透過率、反射率、または発光光量などを制御する。なお、3つの画素532で制御する光の色は赤、緑、青の組み合わせに限らず、黄、シアン、マゼンタであってもよい。
また、赤色光、緑色光、青色光を制御する画素に、白色光を制御する画素532を加えて、4つの画素532をまとめて1つの画素として機能させてもよい。白色光を制御する画素532を加えることで、表示領域の輝度を高めることができる。また、1つの画素として機能させる画素532を増やし、赤、緑、青、黄、シアン、およびマゼンタを適宜組み合わせて用いることにより、再現可能な色域を広げることができる。
画素を1920×1080のマトリクス状に配置すると、いわゆるフルハイビジョン(「2K解像度」、「2K1K」、「2K」などとも言われる。)の解像度で表示可能な表示装置500を実現することができる。また、例えば、画素を3840×2160のマトリクス状に配置すると、いわゆるウルトラハイビジョン(「4K解像度」、「4K2K」、「4K」などとも言われる。)の解像度で表示可能な表示装置500を実現することができる。また、例えば、画素を7680×4320のマトリクス状に配置すると、いわゆるスーパーハイビジョン(「8K解像度」、「8K4K」、「8K」などとも言われる。)の解像度で表示可能な表示装置500を実現することができる。画素を増やすことで、16Kや32Kの解像度で表示可能な表示装置500を実現することも可能である。
g行目の配線535_g(gは1以上p以下の自然数。)は、表示領域531においてp行q列に配設された複数の画素532のうち、g行に配設されたq個の画素532と電気的に接続される。また、h列目の配線536_h(hは1以上q以下の自然数。)は、p行q列に配設された画素532のうち、h列に配設されたp個の画素532に電気的に接続される。
〔表示素子〕
表示装置500は、様々な形態を用いること、または様々な表示素子を有することが出来る。表示素子の一例としては、EL(エレクトロルミネッセンス)素子(有機EL素子、無機EL素子、または、有機物および無機物を含むEL素子)、LED(白色LED、赤色LED、緑色LED、青色LEDなど)、トランジスタ(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、液晶素子、電子インク、電気泳動素子、グレーティングライトバルブ(GLV)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を用いた表示素子、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、DMS(デジタル・マイクロ・シャッター)、MIRASOL(登録商標)、IMOD(インターフェアレンス・モジュレーション)素子、シャッター方式のMEMS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子、エレクトロウェッティング素子、圧電セラミックディスプレイ、カーボンナノチューブを用いた表示素子、など、電気的または磁気的作用により、コントラスト、輝度、反射率、透過率などが変化する表示媒体を有するものがある。また、表示素子として量子ドットを用いてもよい。
EL素子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。電子放出素子を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)又はSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface−conduction Electron−emitter Display)などがある。量子ドットを用いた表示装置の一例としては、量子ドットディスプレイなどがある。液晶素子を用いた表示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ)などがある。電子インク、電子粉流体(登録商標)、又は電気泳動素子を用いた表示装置の一例としては、電子ペーパーなどがある。また、表示装置はプラズマディスプレイパネル(PDP)であってもよい。また、表示装置は網膜走査型の投影装置であってもよい。
なお、半透過型液晶ディスプレイや反射型液晶ディスプレイを実現する場合には、画素電極の一部、または、全部が、反射電極としての機能を有するようにすればよい。例えば、画素電極の一部、または、全部が、アルミニウム、銀、などを有するようにすればよい。さらに、その場合、反射電極の下に、SRAMなどの記憶回路を設けることも可能である。これにより、さらに、消費電力を低減することができる。
なお、LEDを用いる場合、LEDの電極や窒化物半導体の下に、グラフェンやグラファイトを配置してもよい。グラフェンやグラファイトは、複数の層を重ねて、多層膜としてもよい。このように、グラフェンやグラファイトを設けることにより、その上に、窒化物半導体、例えば、結晶を有するn型GaN半導体層などを容易に成膜することができる。さらに、その上に、結晶を有するp型GaN半導体層などを設けて、LEDを構成することができる。なお、グラフェンやグラファイトと、結晶を有するn型GaN半導体層との間に、AlN層を設けてもよい。なお、LEDが有するGaN半導体層は、MOCVDで成膜してもよい。ただし、グラフェンを設けることにより、LEDが有するGaN半導体層は、スパッタ法で成膜することも可能である。
図20(B)、図20(C)、図21(A)、および図21(B)は、画素532に用いることができる回路構成例を示している。
〔発光表示装置用画素回路の一例〕
図20(B)に示す画素回路534は、トランジスタ461と、容量素子463と、トランジスタ468と、トランジスタ464と、を有する。また、図20(B)に示す画素回路534は、表示素子として機能できる発光素子469と電気的に接続されている。
トランジスタ461、トランジスタ468、およびトランジスタ464にOSトランジスタを用いることができる。特に、トランジスタ461にOSトランジスタを用いることが好ましい。
トランジスタ461のソースおよびドレインの一方は、配線536_hに電気的に接続される。さらに、トランジスタ461のゲートは、配線535_gに電気的に接続される。配線536_hからはビデオ信号が供給される。
トランジスタ461は、ビデオ信号のノード465への書き込みを制御する機能を有する。
容量素子463の一対の電極の一方は、ノード465に電気的に接続され、他方は、ノード467に電気的に接続される。また、トランジスタ461のソースおよびドレインの他方は、ノード465に電気的に接続される。
容量素子463は、ノード465に書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
トランジスタ468のソースおよびドレインの一方は、電位供給線VL_aに電気的に接続され、他方はノード467に電気的に接続される。さらに、トランジスタ468のゲートは、ノード465に電気的に接続される。
トランジスタ464のソースおよびドレインの一方は、電位供給線V0に電気的に接続され、他方はノード467に電気的に接続される。さらに、トランジスタ464のゲートは、配線535_gに電気的に接続される。
発光素子469のアノードまたはカソードの一方は、電位供給線VL_bに電気的に接続され、他方は、ノード467に電気的に接続される。
発光素子469としては、例えば有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子ともいう)などを用いることができる。ただし、発光素子469としては、これに限定されず、例えば無機材料からなる無機EL素子を用いても良い。
例えば、電位供給線VL_aまたは電位供給線VL_bの一方には、高電源電位VDDが与えられ、他方には、低電源電位VSSが与えられる。
図20(B)の画素回路534を有する表示装置500では、駆動回路521a、および/または駆動回路521bにより各行の画素532を順次選択し、トランジスタ461、およびトランジスタ464をオン状態にしてビデオ信号をノード465に書き込む。
ノード465にデータが書き込まれた画素532は、トランジスタ461、およびトランジスタ464がオフ状態になることで保持状態になる。さらに、ノード465に書き込まれたデータの電位に応じてトランジスタ468のソース電極とドレイン電極の間に流れる電流量が制御され、発光素子469は、流れる電流量に応じた輝度で発光する。これを行毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
また、図21(A)に示すように、トランジスタ461、トランジスタ464、およびトランジスタ468として、バックゲートを有するトランジスタを用いてもよい。図21(A)に示すトランジスタ461、およびトランジスタ464は、ゲートがバックゲートと電気的に接続されている。よって、ゲートとバックゲートが常に同じ電位となる。また、トランジスタ468はバックゲートがノード467と電気的に接続されている。よって、バックゲートがノード467と常に同じ電位となる。
トランジスタ461、トランジスタ468、およびトランジスタ464の少なくとも一つに、上記実施の形態に示したトランジスタを用いることができる。
〔液晶表示装置用画素回路の一例〕
図20(C)に示す画素回路534は、トランジスタ461と、容量素子463と、を有する。また、図20(C)に示す画素回路534は、表示素子として機能できる液晶素子462と電気的に接続されている。トランジスタ461にOSトランジスタを用いることが好ましい。
液晶素子462の一対の電極の一方の電位は、画素回路534の仕様に応じて適宜設定される。例えば、液晶素子462の一対の電極の一方に、共通の電位(コモン電位)を与えてもよいし、後述する容量線CLと同電位としてもよい。また、液晶素子462の一対の電極の一方に、画素532毎に異なる電位を与えてもよい。液晶素子462の一対の電極の他方はノード466に電気的に接続されている。液晶素子462は、ノード466に書き込まれるデータにより配向状態が設定される。
液晶素子462を備える表示装置の駆動方法としては、例えば、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード、VAモード、ASM(Axially Symmetric Aligned Micro−cell)モード、OCB(Optically Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モード、MVAモード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、IPSモード、FFSモード、またはTBA(Transverse Bend Alignment)モードなどを用いてもよい。また、表示装置の駆動方法としては、上述した駆動方法の他、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード、PNLC(Polymer Network Liquid Crystal)モード、ゲストホストモードなどがある。ただし、これに限定されず、液晶素子およびその駆動方式として様々なものを用いることができる。
表示素子として、液晶素子を用いる場合、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
また、配向膜を用いないブルー相(Blue Phase)を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善するために5重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を液晶層に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が1msec以下と短く、光学的等方性であるため配向処理が不要であり、かつ、視野角依存性が小さい。また配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができる。よって液晶表示装置の生産性を向上させることが可能となる。
また、画素(ピクセル)をいくつかの領域(サブピクセル)に分け、それぞれ別の方向に分子を倒すよう工夫されているマルチドメイン化あるいはマルチドメイン設計といわれる方法を用いることができる。
また、液晶材料の固有抵抗は、1×10Ω・cm以上であり、好ましくは1×1011Ω・cm以上であり、さらに好ましくは1×1012Ω・cm以上である。なお、本明細書における固有抵抗の値は、20℃で測定した値とする。
g行h列目の画素回路534において、トランジスタ461のソースおよびドレインの一方は、配線536_hに電気的に接続され、他方はノード466に電気的に接続される。トランジスタ461のゲートは、配線535_gに電気的に接続される。配線536_hからはビデオ信号が供給される。トランジスタ461は、ノード466へのビデオ信号の書き込みを制御する機能を有する。
容量素子463の一対の電極の一方は、特定の電位が供給される配線(以下、容量線CL)に電気的に接続され、他方は、ノード466に電気的に接続される。なお、容量線CLの電位の値は、画素回路534の仕様に応じて適宜設定される。容量素子463は、ノード466に書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
例えば、図20(C)の画素回路534を有する表示装置500では、駆動回路521a、および/または駆動回路521bにより各行の画素回路534を順次選択し、トランジスタ461をオン状態にしてノード466にビデオ信号を書き込む。
ノード466にビデオ信号が書き込まれた画素回路534は、トランジスタ461がオフ状態になることで保持状態になる。これを行毎に順次行うことにより、表示領域531に画像を表示できる。
また、図21(B)に示すように、トランジスタ461にバックゲートを有するトランジスタを用いてもよい。図21(B)に示すトランジスタ461は、ゲートがバックゲートと電気的に接続されている。よって、ゲートとバックゲートが常に同じ電位となる。
〔周辺回路の構成例〕
図22(A)に駆動回路511の構成例を示す。駆動回路511は、シフトレジスタ512、ラッチ回路513、およびバッファ514を有する。また、図22(B)に駆動回路521aの構成例を示す。駆動回路521aは、シフトレジスタ522、およびバッファ523を有する。駆動回路521bも駆動回路521aと同様の構成とすることができる。
シフトレジスタ512およびシフトレジスタ522にはスタートパルスSP、クロック信号CLKなどが入力される。
〔表示装置の構成例〕
上記実施の形態に示したトランジスタを用いて、シフトレジスタを含む駆動回路の一部または全体を画素部と同じ基板上に一体形成して、システムオンパネルを形成することができる。
本実施の形態では、液晶素子を用いた表示装置の構成例と、EL素子を用いた表示装置の構成例について説明する。図23(A)において、第1の基板4001上に設けられた画素部4002を囲むようにして、シール材4005が設けられ、第2の基板4006によって封止されている。図23(A)においては、第1の基板4001上のシール材4005によって囲まれている領域とは異なる領域に、別途用意された基板上に単結晶半導体または多結晶半導体で形成された信号線駆動回路4003、および走査線駆動回路4004が実装されている。また、信号線駆動回路4003、走査線駆動回路4004、または画素部4002に与えられる各種信号および電位は、FPC4018a(FPC:Flexible printed circuit)、FPC4018bから供給されている。
図23(B)および図23(C)において、第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004とを囲むようにして、シール材4005が設けられている。また画素部4002と、走査線駆動回路4004の上に第2の基板4006が設けられている。よって画素部4002と、走査線駆動回路4004とは、第1の基板4001とシール材4005と第2の基板4006とによって、表示素子と共に封止されている。図23(B)および図23(C)においては、第1の基板4001上のシール材4005によって囲まれている領域とは異なる領域に、別途用意された基板上に単結晶半導体または多結晶半導体で形成された信号線駆動回路4003が実装されている。図23(B)および図23(C)においては、信号線駆動回路4003、走査線駆動回路4004、または画素部4002に与えられる各種信号および電位は、FPC4018から供給されている。
また図23(B)および図23(C)においては、信号線駆動回路4003を別途形成し、第1の基板4001に実装している例を示しているが、この構成に限定されない。走査線駆動回路を別途形成して実装しても良いし、信号線駆動回路の一部または走査線駆動回路の一部のみを別途形成して実装しても良い。
なお、別途形成した駆動回路の接続方法は、特に限定されるものではなく、ワイヤボンディング、COG(Chip On Glass)、TCP(Tape Carrier Package)、COF(Chip On Film)などを用いることができる。図23(A)は、COGにより信号線駆動回路4003、走査線駆動回路4004を実装する例であり、図23(B)は、COGにより信号線駆動回路4003を実装する例であり、図23(C)は、TCPにより信号線駆動回路4003を実装する例である。
また、表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコントローラを含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含む場合がある。
また第1の基板上に設けられた画素部および走査線駆動回路は、トランジスタを複数有しており、上記実施の形態で示したトランジスタを適用することができる。
図24(A)および図24(B)は、図23(B)中でN1−N2の鎖線で示した部位の断面構成を示す断面図である。図24(A)は、表示素子として液晶素子を用いた液晶表示装置の一例である。また、図24(B)は、表示素子として発光素子を用いた発光表示装置(「EL表示装置」ともいう。)の一例である。
図24(A)および図24(B)に示す表示装置は電極4015を有しており、電極4015はFPC4018が有する端子と異方性導電層4019を介して、電気的に接続されている。また、電極4015は、絶縁層4112に形成された開口において配線4014と電気的に接続されている。
電極4015は、第1の電極層4030と同じ導電層から形成され、配線4014は、トランジスタ4010、およびトランジスタ4011のソース電極およびドレイン電極と同じ導電層で形成されている。
また、第1の基板4001上に設けられた画素部4002と走査線駆動回路4004は、トランジスタを複数有しており、図24(A)および図24(B)では、画素部4002に含まれるトランジスタ4010、および走査線駆動回路4004に含まれるトランジスタ4011を例示している。図24(A)では、トランジスタ4010およびトランジスタ4011の半導体層を覆って、絶縁層4110、および絶縁層4111が設けられ、図24(B)では、絶縁層4112の上に隔壁4510が形成されている。
また、トランジスタ4010およびトランジスタ4011は、絶縁層4102上に設けられている。また、トランジスタ4010およびトランジスタ4011は、絶縁層4102上に形成された電極4017を有し、電極4017上に絶縁層4104および絶縁層4103が形成されている。なお、電極4017はバックゲート電極として機能することができる。
トランジスタ4010およびトランジスタ4011は、上記実施の形態で示したトランジスタを用いることができる。トランジスタ4010およびトランジスタ4011としてOSトランジスタを用いることが好ましい。OSトランジスタは、電気特性変動が抑制されており、電気的に安定である。よって、図24(A)および図24(B)で示す本実施の形態の表示装置を信頼性の高い表示装置とすることができる。
また、OSトランジスタは、オフ状態における電流値(オフ電流値)を低くすることができる。よって、画像信号等の電気信号の保持時間を長くすることができ、電源オン状態では書き込み間隔も長く設定できる。よって、リフレッシュ動作の頻度を少なくすることができるため、消費電力を抑制する効果を奏する。
また、OSトランジスタは、比較的高い電界効果移動度を得ることも可能であるため、高速駆動が可能である。よって、表示装置の駆動回路部や画素部に上記トランジスタを用いることで、高画質な画像を提供することができる。また、同一基板上に駆動回路部または画素部を作り分けて作製することが可能であるため、表示装置の部品点数を削減することができる。
また、図24(A)および図24(B)に示す表示装置は、容量素子4020を有する。容量素子4020は、トランジスタ4010のバックゲート電極と同じ工程で形成された電極4021と、ゲート電極と同じ工程で形成された電極と、を有する。それぞれの電極は、絶縁層4103を介して重なっている。
一般に、表示装置の画素部に設けられる容量素子の容量は、画素部に配置されるトランジスタのリーク電流等を考慮して、所定の期間の間電荷を保持できるように設定される。容量素子の容量は、トランジスタのオフ電流等を考慮して設定すればよい。
例えば、液晶表示装置の画素部にOSトランジスタを用いることにより、容量素子の容量を、液晶容量に対して1/3以下、さらには1/5以下とすることができる。OSトランジスタを用いることにより、容量素子の形成を省略することもできる。
画素部4002に設けられたトランジスタ4010は表示素子と電気的に接続する。図24(A)において、表示素子である液晶素子4013は、第1の電極層4030、第2の電極層4031、および液晶層4008を含む。なお、液晶層4008を挟持するように配向膜として機能する絶縁層4032、絶縁層4033が設けられている。第2の電極層4031は第2の基板4006側に設けられ、第1の電極層4030と第2の電極層4031は液晶層4008を介して重畳する。
またスペーサ4035は絶縁層を選択的にエッチングすることで得られる柱状のスペーサであり、第1の電極層4030と第2の電極層4031との間隔(セルギャップ)を制御するために設けられている。なお球状のスペーサを用いていても良い。
また、表示装置において、ブラックマトリクス(遮光層)、偏光部材、位相差部材、反射防止部材などの光学部材(光学基板)などを適宜設けてもよい。例えば、偏光基板および位相差基板による円偏光を用いてもよい。また、光源としてバックライト、サイドライトなどを用いてもよい。
また、絶縁層4111および絶縁層4104として、不純物元素を透過しにくい絶縁層を用いる。絶縁層4111と絶縁層4104でトランジスタの半導体層を挟むことで、外部からの不純物の浸入を防ぐことができる。また、画素部4002の外側で絶縁層4111と絶縁層4104が接することで、外部からの不純物の浸入を防ぐ効果を高めることができる。
絶縁層4104は、例えば、絶縁層104と同様の材料および方法で形成すればよい。絶縁層4111は、例えば、絶縁層110と同様の材料および方法で形成すればよい。
また、表示装置に含まれる表示素子として、エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子(「EL素子」ともいう。)を適用することができる。EL素子は、一対の電極の間に発光性の化合物を含む層(「EL層」ともいう。)を有する。一対の電極間に、EL素子の閾値電圧よりも大きい電位差を生じさせると、EL層に陽極側から正孔が注入され、陰極側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層において再結合し、EL層に含まれる発光物質が発光する。
また、EL素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
有機EL素子は、電圧を印加することにより、一方の電極から電子、他方の電極から正孔がそれぞれEL層に注入される。そして、それらキャリア(電子および正孔)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
なお、EL層は、発光性の化合物以外に、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、またはバイポーラ性の物質(電子輸送性および正孔輸送性が高い物質)などを有していてもよい。
EL層は、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法などの方法で形成することができる。
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。分散型無機EL素子は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有するものであり、発光メカニズムはドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー−アクセプター再結合型発光である。薄膜型無機EL素子は、発光層を誘電体層で挟み込み、さらにそれを電極で挟んだ構造であり、発光メカニズムは金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光である。なお、ここでは、発光素子として有機EL素子を用いて説明する。
発光素子は発光を取り出すために少なくとも一対の電極の一方が透明であればよい。そして、基板上にトランジスタおよび発光素子を形成し、当該基板とは逆側の面から発光を取り出す上面射出(トップエミッション)構造や、基板側の面から発光を取り出す下面射出(ボトムエミッション)構造や、両面から発光を取り出す両面射出(デュアルエミッション)構造の発光素子があり、どの射出構造の発光素子も適用することができる。
表示素子である発光素子4513は、画素部4002に設けられたトランジスタ4010と電気的に接続している。なお発光素子4513の構成は、第1の電極層4030、発光層4511、第2の電極層4031の積層構造であるが、この構成に限定されない。発光素子4513から取り出す光の方向などに合わせて、発光素子4513の構成は適宜変えることができる。
隔壁4510は、有機絶縁材料、または無機絶縁材料を用いて形成する。特に感光性の樹脂材料を用い、第1の電極層4030上に開口部を形成し、その開口部の側面が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。
発光層4511は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。
発光素子4513に酸素、水素、水分、二酸化炭素等が侵入しないように、第2の電極層4031および隔壁4510上に保護層を形成してもよい。保護層としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、DLC(Diamond Like Carbon)などを形成することができる。また、第1の基板4001、第2の基板4006、およびシール材4005によって封止された空間には充填材4514が設けられ密封されている。このように、外気に曝されないように気密性が高く、脱ガスの少ない保護フィルム(貼り合わせフィルム、紫外線硬化樹脂フィルム等)やカバー材でパッケージング(封入)することが好ましい。
充填材4514としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を用いることができ、PVC(ポリビニルクロライド)、アクリル系樹脂、ポリイミド、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA(エチレンビニルアセテート)などを用いることができる。また、充填材4514に乾燥剤が含まれていてもよい。
シール材4005には、ガラスフリットなどのガラス材料や、二液混合型の樹脂などの常温で硬化する硬化樹脂、光硬化性の樹脂、熱硬化性の樹脂などの樹脂材料を用いることができる。また、シール材4005に乾燥剤が含まれていてもよい。
また、必要であれば、発光素子の射出面に偏光板、または円偏光板(楕円偏光板を含む)、位相差板(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよい。また、偏光板または円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により反射光を拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
また、発光素子をマイクロキャビティ構造とすることで、色純度の高い光を取り出すことができる。また、マイクロキャビティ構造とカラーフィルタを組み合わせることで、映り込みが低減し、表示画像の視認性を高めることができる。
表示素子に電圧を印加する第1の電極層および第2の電極層(画素電極層、共通電極層、対向電極層などともいう)においては、取り出す光の方向、電極層が設けられる場所、および電極層のパターン構造によって透光性、反射性を選択すればよい。
第1の電極層4030、第2の電極層4031は、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、インジウム錫酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いることができる。
また、第1の電極層4030、第2の電極層4031はタングステン(W)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)などの金属、またはその合金、もしくはその金属窒化物から一種以上を用いて形成することができる。
また、第1の電極層4030、第2の電極層4031として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子を用いることができる。例えば、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、または、アニリン、ピロールおよびチオフェンの2種以上からなる共重合体若しくはその誘導体などがあげられる。
また、トランジスタは静電気などにより破壊されやすいため、駆動回路保護用の保護回路を設けることが好ましい。保護回路は、非線形素子を用いて構成することが好ましい。
上記実施の形態で示したシフトレジスタを用いることで、信頼性のよい表示装置を提供することができる。また、上記実施の形態で示したトランジスタを用いることで、表示装置の信頼性をさらに高めることができる。また、上記実施の形態で示したトランジスタを用いることで、高精細化や、大面積化が可能で、表示品質の良い表示装置を提供することができる。また、消費電力が低減された表示装置を提供することができる。
<表示モジュール>
上述したトランジスタを使用した半導体装置の一例として、表示モジュールについて説明する。図25に示す表示モジュール6000は、上部カバー6001と下部カバー6002との間に、FPC6003に接続されたタッチセンサ6004、FPC6005に接続された表示パネル6006、バックライトユニット6007、フレーム6009、プリント基板6010、バッテリ6011を有する。なお、バックライトユニット6007、バッテリ6011、タッチセンサ6004などは、設けられない場合もある。
本発明の一態様の半導体装置は、例えば、タッチセンサ6004、表示パネル6006、プリント基板6010に実装された集積回路などに用いることができる。例えば、表示パネル6006に前述した表示装置を用いることができる。
上部カバー6001および下部カバー6002は、タッチセンサ6004や表示パネル6006などのサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
タッチセンサ6004は、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチセンサを表示パネル6006に重畳して用いることができる。表示パネル6006にタッチセンサの機能を付加することも可能である。例えば、表示パネル6006の各画素内にタッチセンサ用電極を設け、静電容量方式のタッチパネル機能を付加することなども可能である。または、表示パネル6006の各画素内に光センサを設け、光学式のタッチセンサの機能を付加することなども可能である。また、タッチセンサ6004を設ける必要が無い場合は、タッチセンサ6004を省略することができる。
バックライトユニット6007は、光源6008を有する。光源6008をバックライトユニット6007の端部に設け、光拡散板を用いる構成としてもよい。また、表示パネル6006に発光表示装置などを用いる場合は、バックライトユニット6007を省略することができる。
フレーム6009は、表示パネル6006の保護機能の他、プリント基板6010側から発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。また、フレーム6009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
プリント基板6010は、電源回路、ビデオ信号およびクロック信号を出力するための信号処理回路などを有する。電源回路に電力を供給する電源としては、バッテリ6011であってもよいし、商用電源であってもよい。なお、電源として商用電源を用いる場合には、バッテリ6011を省略することができる。
また、表示モジュール6000に、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を追加して設けてもよい。
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態3)
本発明の一態様に係るトランジスタおよび/または半導体装置は、様々な電子機器に用いることができる。図26および図27に、本発明の一態様に係るトランジスタおよび/または半導体装置を用いた電子機器の例を示す。
本発明の一態様に係る半導体装置を用いた電子機器として、テレビ、モニタ等の表示装置、照明装置、デスクトップ型或いはノート型のパーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、DVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体に記憶された静止画又は動画を再生する画像再生装置、ポータブルCDプレーヤ、ラジオ、テープレコーダ、ヘッドホンステレオ、ステレオ、置き時計、壁掛け時計、コードレス電話子機、トランシーバ、携帯電話、自動車電話、携帯型ゲーム機、タブレット型端末、パチンコ機などの大型ゲーム機、電卓、携帯情報端末、電子手帳、電子書籍端末、電子翻訳機、音声入力機器、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、電気シェーバ、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器、電気洗濯機、電気掃除機、温水器、扇風機、毛髪乾燥機、エアコンディショナー、加湿器、除湿器などの空調設備、食器洗い器、食器乾燥器、衣類乾燥器、布団乾燥器、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気冷凍冷蔵庫、DNA保存用冷凍庫、懐中電灯、チェーンソーなどの工具、煙感知器、透析装置などの医療機器などが挙げられる。さらに、誘導灯、信号機、ベルトコンベア、エレベータ、エスカレータ、産業用ロボット、電力貯蔵システム、電力の平準化やスマートグリッドのための蓄電装置などの産業機器が挙げられる。
また、蓄電装置からの電力を用いて電動機により推進する移動体なども、電子機器の範疇に含まれるものとする。上記移動体として、例えば、電気自動車(EV)、内燃機関と電動機を併せ持ったハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、これらのタイヤ車輪を無限軌道に変えた装軌車両、電動アシスト自転車を含む原動機付自転車、自動二輪車、電動車椅子、ゴルフ用カート、小型又は大型船舶、潜水艦、ヘリコプター、航空機、ロケット、人工衛星、宇宙探査機や惑星探査機、宇宙船などが挙げられる。
図26(A)乃至図26(G)に示す電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有する。
図26(A)乃至図26(G)に示す電子機器は、様々な機能を有する。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々なコンピュータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信または受信を行う機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して表示部に表示する機能、等を有することができる。なお、図26(A)乃至図26(G)に示す電子機器が有することのできる機能はこれらに限定されず、様々な機能を有することができる。また、図26(A)乃至図26(G)には図示していないが、電子機器には、複数の表示部を有する構成としてもよい。また、該電子機器にカメラ等を設け、静止画を撮影する機能、動画を撮影する機能、撮影した画像を記録媒体(外部またはカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
図26(A)は、テレビジョン装置9100を示す斜視図である。テレビジョン装置9100は、表示部9001を大画面、例えば、50インチ以上、または100インチ以上の表示部9001を組み込むことが可能である。
図26(B)は、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は、例えば電話機、手帳又は情報閲覧装置等から選ばれた一つ又は複数の機能を有する。具体的には、スマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ9003、接続端子9006、センサ9007等を設けてもよい。また、携帯情報端末9101は、文字や画像情報をその複数の面に表示することができる。例えば、3つの操作ボタン9050(操作アイコンまたは単にアイコンともいう)を表示部9001の一の面に表示することができる。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することができる。なお、情報9051の一例としては、電子メールやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や電話などの着信を知らせる表示、電子メールやSNSなどの題名、電子メールやSNSなどの送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ受信の強度などがある。または、情報9051が表示されている位置に、情報9051の代わりに、操作ボタン9050などを表示してもよい。
図26(C)は、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えば、携帯情報端末9102の使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、その表示(ここでは情報9053)を確認することができる。具体的には、着信した電話の発信者の電話番号又は氏名等を、携帯情報端末9102の上方から観察できる位置に表示する。使用者は、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく、表示を確認し、電話を受けるか否かを判断できる。
図26(D)は、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末9200は、移動電話、電子メール、文章閲覧および作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006を有し、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また接続端子9006を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は接続端子9006を介さずに無線給電により行ってもよい。
図26(E)、図26(F)、および図26(G)は、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、図26(E)が携帯情報端末9201を展開した状態の斜視図であり、図26(F)が携帯情報端末9201を展開した状態または折り畳んだ状態の一方から他方に変化する途中の状態の斜視図であり、図26(G)が携帯情報端末9201を折り畳んだ状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では、継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。ヒンジ9055を介して2つの筐体9000間を屈曲させることにより、携帯情報端末9201を展開した状態から折りたたんだ状態に可逆的に変形させることができる。例えば、携帯情報端末9201は、曲率半径1mm以上150mm以下で曲げることができる。
次に、図26(A)乃至図26(G)に示す電子機器と異なる電子機器の一例を図27(A)、図27(B)に示す。図27(A)、図27(B)は、複数の表示パネルを有する表示装置の斜視図である。なお、図27(A)は、複数の表示パネルが巻き取られた形態の斜視図であり、図27(B)は、複数の表示パネルが展開された状態の斜視図である。
図27(A)、図27(B)に示す表示装置9500は、複数の表示パネル9501と、軸部9511と、軸受部9512と、を有する。また、複数の表示パネル9501は、表示領域9502と、透光性を有する領域9503と、を有する。
また、複数の表示パネル9501は、可撓性を有する。また、隣接する2つの表示パネル9501は、それらの一部が互いに重なるように設けられる。例えば、隣接する2つの表示パネル9501の透光性を有する領域9503を重ね合わせることができる。複数の表示パネル9501を用いることで、大画面の表示装置とすることができる。また、使用状況に応じて、表示パネル9501を巻き取ることが可能であるため、汎用性に優れた表示装置とすることができる。
また、図27(A)、図27(B)においては、表示領域9502が隣接する表示パネル9501で離間する状態を図示しているが、これに限定されず、例えば、隣接する表示パネル9501の表示領域9502を隙間なく重ねあわせることで、連続した表示領域9502としてもよい。
本実施の形態において述べた電子機器は、何らかの情報を表示するための表示部を有することを特徴とする。ただし、本発明の一態様の半導体装置は、表示部を有さない電子機器にも適用することができる。
本実施例では、酸化物半導体層と絶縁層を積層した試料900A、試料900B、試料900C、試料900D、試料900E、試料900F、試料900G、および試料900Hを作製し、各試料の深さ方向の水素濃度分布について、SIMSを用いて調査した結果を説明する。
<1.各試料の構成と作製方法>
試料900A乃至試料900Hは、共通の積層構造を有する。図28に、試料900A乃至試料900Hの積層構造を示す。試料900A乃至試料900Hは、基板901と、基板901上の絶縁層902と、絶縁層902上の酸化物半導体層903と、酸化物半導体層903上の絶縁層904と、絶縁層904上の絶縁層905と、を有する。
次に、試料900A乃至試料900Hの作製方法について説明する。
まず、基板901として、シリコン基板を準備した。続いて、基板901上に、絶縁層902として、熱酸化膜を100nm形成した。
次に、絶縁層902上に、DCスパッタリング法を用いて、50nmのIn、Ga、およびZnを含む酸化物半導体層903を成膜した。酸化物半導体層903は、In、Ga、およびZnを含む酸化物半導体(原子数比In:Ga:Zn=4:2:4.1)ターゲットを用い、スパッタリングガスとして、流量40sccmのアルゴン(Ar)、および流量5sccmの酸素(O)を用い、成膜圧力を0.7Paとし、成膜電力を500Wとし、基板温度を130℃とし、ターゲット−基板間距離を60mmとして、成膜した。
続いて、窒素雰囲気下で400℃、1時間の加熱処理を行った後、酸素雰囲気に切り替え、酸素雰囲気下で400℃、1時間の加熱処理を行った。
次に、酸化物半導体層903上に、絶縁層904として、RFスパッタリング法を用いて、20nmの酸化アルミニウム層を成膜した。絶縁層904は、Alターゲットを用い、成膜ガスとして、流量25sccmのアルゴン(Ar)、および流量25sccmの酸素(O)を用い、成膜圧力を0.4Paとし、成膜電力を2500Wとし、ターゲット−基板間距離を60mmとして、成膜した。
ここで、試料900A、試料900C、試料900E、および試料900Gは、絶縁層904の成膜時の基板温度を130℃とした。また、試料900B、試料900D、試料900F、および試料900Hは、絶縁層904の成膜時の基板温度を250℃とした。
絶縁層904の成膜後、試料900C、試料900D、試料900G、および試料900Hに対して加熱処理を行った。具体的には、窒素雰囲気下で400℃、1時間の加熱処理を行った後、酸素雰囲気に切り替え、酸素雰囲気下で400℃、1時間の加熱処理を行った。絶縁層904の成膜後に行う加熱処理を「加熱処理A」という。
次に、絶縁層904上に、絶縁層905として、ALD法を用いて、5nmの酸化アルミニウムを成膜した。絶縁層905は、プリカーサとしてトリメチルアルミニウム(Al(CH)と、オゾン(O)と、酸素(O)と、を用い、基板温度250℃で、成膜した。
絶縁層905の成膜後、試料900E、試料900F、試料900G、および試料900Hに対して加熱処理を行った。具体的には、窒素雰囲気下で400℃、1時間の加熱処理を行った後、酸素雰囲気に切り替え、酸素雰囲気下で400℃、1時間の加熱処理を行った。絶縁層905の成膜後に行う加熱処理を「加熱処理B」という。
以上の工程により、本実施例の試料900A乃至試料900Hを作製した。試料900A乃至試料900Hは、絶縁層904の成膜温度、加熱処理Aの有無、および加熱処理Bの有無の組み合わせが異なる。試料900A乃至試料900Hの試料作製上の相違点を表1に示す。表1中の「○(丸印)」は加熱処理を行ったことを意味し、「×(バツ印)」は加熱処理を行っていないことを意味する。
<2.各試料のSIMS分析>
試料900A乃至試料900Hのそれぞれについて、深さ方向の水素濃度分布を調べるためのSIMSを行った。分析装置は、CAMECA社製ダイナミックSIMS装置IMS−7fを用いた。SIMSは基板側から試料表面に向かって行った。図28中の矢印は、SIMSの分析方向を示している。
試料900A乃至試料900HのSIMS分析結果を図29(A)、図29(B)、図30(A)、および図30(B)に示す。図29(A)、図29(B)、図30(A)、および図30(B)の横軸は、試料表面を基準(ゼロ)とした時の、試料表面からのおおよその深さを示している。縦軸は、水素(H)濃度を示している。なお、水素濃度の定量値は、酸化物半導体層903中に対してのみ有効である。
また、それぞれの図中に、バックグラウンドレベル(BGL)を示す破線と、各層の境界位置を示す一点鎖線を記している。なお、SIMSにおいて、深さは目安であり、各層の厚さとは必ずしも一致するものではない。それぞれの図中に示した各層の境界位置は、分析時に同時に取得したアルミニウムイオンの強度変化(図示せず)などから推定している。
図29(A)に実線で示すプロファイル910Aは、試料900AのSIMS分析結果である。また、図29(A)に破線で示すプロファイル910Bは、試料900BのSIMS分析結果である。
加熱処理Aおよび加熱処理Bを行なわない場合、絶縁層904の成膜温度に違いがあっても、酸化物半導体層903中の水素濃度に大きな違いは見られなかった。
図29(B)に実線で示すプロファイル910Cは、試料900CのSIMS分析結果である。また、図29(B)に破線で示すプロファイル910Dは、試料900DのSIMS分析結果である。
図29(A)のプロファイル910Aおよびプロファイル910Bと比較すると、プロファイル910Cおよびプロファイル910Dは、酸化物半導体層903中の水素濃度が大きく低減していることがわかる。また、絶縁層904中の水素濃度が大きく増加していることがわかる。
すなわち、加熱処理Aを行うことにより、酸化物半導体層903中の水素が絶縁層904に移動して、酸化物半導体層903中の水素濃度が低減されていることが推測される。特に、絶縁層904の成膜温度が低い場合において(プロファイル910C)、酸化物半導体層903中の水素濃度がBGLまで低減されていることがわかる。
なお、成膜温度が低い絶縁層904(酸化アルミニウム層)の密度は2.9g/cm程度であり、成膜温度が高い絶縁層904の密度は3.3g/cm程度である(実施例2参照。)。密度が小さい方が水素吸収量が多いと推測される。
図30(A)に実線で示すプロファイル910Eは、試料900EのSIMS分析結果である。また、図30(A)に破線で示すプロファイル910Fは、試料900FのSIMS分析結果である。
図29(B)に示したプロファイル910Cおよびプロファイル910Dと同様に、プロファイル910Eおよびプロファイル910Fにおいても酸化物半導体層903中の水素濃度が大きく低減していることがわかる。また、絶縁層904中の水素濃度が大きく増加していることがわかる。
すなわち、加熱処理Bを行うことによっても、酸化物半導体層903中の水素が絶縁層904に移動して、酸化物半導体層903中の水素濃度が低減されることがわかった。さらに、プロファイル910Eおよびプロファイル910Fでは、どちらも酸化物半導体層903中の水素濃度がBGLまで低減されている。加熱処理Bを行うことによって、絶縁層904の成膜温度によらず、酸化物半導体層903中の水素濃度を大きく低減できることがわかる。
図30(B)に実線で示すプロファイル910Gは、試料900GのSIMS分析結果である。また、図30(B)に破線で示すプロファイル910Hは、試料900HのSIMS分析結果である。
図29(A)に示すプロファイル910Aおよびプロファイル910Bと比較すると、プロファイル910Cおよびプロファイル910Dは、酸化物半導体層903中の水素濃度が大きく低減していることがわかる。
一方で、図29(B)に示すプロファイル910Cおよびプロファイル910D、ならびに、図30(A)に示すプロファイル910Eおよびプロファイル910Fと比較すると、プロファイル910Gおよびプロファイル910Hの方が、酸化物半導体層903中の水素濃度が高いことがわかる。すなわち、加熱処理Aまたは加熱処理Bのどちらか一方を行う場合に比べて、加熱処理Aおよび加熱処理Bの両方を行う方が酸化物半導体層903中の水素濃度が高くなっている。
この現象について、次のように考察する。加熱処理Aを行うことで、絶縁層904中に酸化物半導体層903中の水素が移動し、絶縁層904中の水素が増加する。また、絶縁層905は、ALD法により成膜しているため、水素含有量が多い。絶縁層904中の水素が増加した状態で、水素が多い絶縁層905を積層し、加熱処理Bを行った場合、絶縁層904中の水素は、絶縁層905よりも水素濃度が低い酸化物半導体層903へと拡散すると考えられる。
本実施例によれば、成膜温度が低い酸化アルミニウム層を酸化物半導体層に接して成膜した後、加熱処理を行うことで、酸化物半導体中の水素を低減できることが分かる。特に、酸化物半導体層上に、スパッタリング法を用いて成膜した酸化アルミニウム層、およびALD法を用いて成膜した酸化アルミニウム層を積層した後に加熱処理を行うことで、酸化物半導体層中の水素を効果的に低減できることが分かる。
以上、本実施例に示す構成は、他の実施例または他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例では、スパッタリング法を用いて成膜した酸化アルミニウムの密度を、X線反射率分析法(XRR:X−ray Reflectmetry Analysis)を用いて分析した結果を説明する。なお、本実施例においては、試料950A、試料950B、および試料950Cを作製し、各試料の加熱処理前後の密度を測定した。
<1.各試料の構成と作製方法>
試料950A乃至試料950Cは、共通の積層構造を有する。図31に、試料950A乃至試料950Cの積層構造を示す。試料950A乃至試料950Cのそれぞれは、基板952と、基板952上の酸化物半導体層954と、酸化物半導体層954上の絶縁層956と、を有する。
ここで、試料950Aは、絶縁層956の成膜時における基板温度をRTとした。試料950Bは、絶縁層956の成膜時における基板温度を130℃とした。試料950Cは、絶縁層956の成膜時における基板温度を250℃とした。
次に、各試料の作製方法について、説明する。
まず、基板952として、シリコン基板を準備する。続いて、基板952上に、酸化物半導体層954として、DCスパッタリング法を用いて、100nmのIn、Ga、およびZnを含む酸化物半導体層954を成膜した。酸化物半導体層954は、In、Ga、およびZnを含む酸化物(原子数比In:Ga:Zn=4:2:4.1)ターゲットを用い、成膜ガスとして、流量30sccmのアルゴン(Ar)、および流量15sccmの酸素(O)を用いた。また、成膜圧力を0.7Paとし、成膜電力を500Wとし、基板温度を200℃とし、ターゲット−基板間距離を60mmとして、成膜した。
続いて、窒素雰囲気下で400℃、1時間の加熱処理を行った後、酸素雰囲気に切り替え、酸素雰囲気下で400℃、1時間の加熱処理を行った。
次に、酸化物半導体層954上に、絶縁層956として、RFスパッタリング法を用いて、20nmの酸化アルミニウムを成膜した。絶縁層956は、Alターゲットを用い、成膜ガスとして、流量25sccmのアルゴン(Ar)、および流量25sccmの酸素(O)を用いた。また、成膜圧力を0.4Paとし、成膜電力を2500Wとし、ターゲット−基板間距離を60mmとして、成膜した。
ここで、試料950Aは、加熱せずに基板温度をRTのままとした。試料950Bは、基板温度を130℃とした。また、試料950Cは、基板温度を250℃とした。
以上の工程により、本実施例の試料1A乃至試料1Cを作製した。
<2.密度の測定>
次に、試料950A乃至試料950Cそれぞれについて、加熱処理前の絶縁層956の密度と、加熱処理後の絶縁層956の密度を測定した。
まず、加熱処理前の絶縁層956の密度を、X線反射率分析法(XRR:X−ray Reflectmetry Analysis)を用いて測定した。
続いて、試料950A乃至試料950Cに加熱処理を行った。具体的には、窒素雰囲気下で400℃、1時間の加熱処理を行った後、酸素雰囲気に切り替えて、酸素雰囲気下で400℃、1時間の加熱処理を行った。その後、絶縁層956の密度を、XRRを用いて測定した。
表2および図31(B)に、密度の測定結果を示す。
試料950Aにおける絶縁層956の密度は、加熱処理前、加熱処理後ともに2.8g/cmであった。試料950Bにおける絶縁層956の密度は、加熱処理前、加熱処理後ともに2.9g/cmであった。また、試料950Cにおける絶縁層956の密度は、加熱処理前、加熱処理後ともに3.3g/cmであった。
従って、絶縁層956は、成膜時の基板温度が高いほど、密度が高くなる傾向があることが分かった。また、絶縁層956の成膜後に行った加熱処理前後において、絶縁層956の密度に変化は見られなかった。
本実施例に示す構成は、他の実施例または他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
100 トランジスタ
101 基板
102 電極
103 絶縁層
104 絶縁層
105 絶縁層
106 酸化物半導体層
108 絶縁層
109 絶縁層
110 絶縁層

Claims (14)

  1. 第1のゲート電極と、
    前記第1のゲート電極上に設けられた第1のゲート絶縁層と、
    前記第1のゲート絶縁層上に設けられた酸化物半導体層と、
    前記酸化物半導体層上に設けられた第2のゲート絶縁層と、
    前記第2のゲート絶縁層上に設けられた、第2のゲート電極と、
    前記第2のゲート電極上および前記酸化物半導体層上に設けられた第1の絶縁層と、
    を有し、
    前記第1の絶縁層の密度が3.0g/cm以下であることを特徴とするトランジスタ。
  2. 前記第1の絶縁層は、
    アルミニウムと、酸素と、を含むことを特徴とする
    請求項1に記載のトランジスタ。
  3. 前記酸化物半導体層は、インジウム、ガリウム、および亜鉛を含むことを特徴とする
    請求項1または請求項2に記載のトランジスタ。
  4. 前記ゲート電極は、銅を含むことを特徴とする
    請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載のトランジスタ。
  5. 前記ソース電極および前記ドレイン電極は、銅を含むことを特徴とする
    請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載のトランジスタ。
  6. 第1のゲート電極を形成する工程と、
    前記第1のゲート電極上に第1のゲート絶縁層を形成する工程と、
    前記第1のゲート絶縁層上に酸化物半導体層を形成する工程と、
    前記酸化物半導体層上に、第2のゲート絶縁層を形成する工程と、
    第2のゲート絶縁層上に、第2のゲート電極を形成する工程と、
    第1の加熱処理を行う工程と、
    前記第1のゲート絶縁層上および前記酸化物半導体層上に、
    スパッタリング法により前記第1の絶縁層を形成する工程と、
    を含み、
    前記第1の加熱処理を行う工程から前記第1の絶縁層を形成する工程までを
    大気に曝すことなく行うことを特徴とするトランジスタの作製方法。
  7. 前記第1の絶縁層の形成温度は、室温以上150℃以下であることを特徴とする
    請求項6に記載のトランジスタの作製方法。
  8. 第1のゲート電極を形成する工程と、
    前記第1のゲート電極上に第1のゲート絶縁層を形成する工程と、
    前記第1のゲート絶縁層上に酸化物半導体層を形成する工程と、
    前記酸化物半導体層上に、第2のゲート絶縁層を形成する工程と、
    第2のゲート絶縁層上に、第2のゲート電極を形成する工程と、
    第1の加熱処理を行う工程と、
    前記第1のゲート絶縁層上および前記酸化物半導体層上に、金属層を形成する工程と、
    前記金属層を酸化して第1の絶縁層を形成する工程と、
    を含み、
    前記第1の加熱処理を行う工程から前記第1の絶縁層を形成する工程までを
    大気に曝すことなく行うことを特徴とするトランジスタの作製方法。
  9. 前記第1の加熱処理は、
    不活性雰囲気中で行った後に、酸化性雰囲気中で行うことを特徴とする
    請求項6乃至請求項8のいずれか一に記載のトランジスタの作製方法。
  10. 前記第1の加熱処理は、200℃以上500℃以下で行われることを特徴とする
    請求項6乃至請求項9のいずれか一に記載のトランジスタの作製方法。
  11. 前記金属層は、アルミニウムを含むことを特徴とする
    請求項8乃至請求項10のいずれか一に記載のトランジスタの作製方法。
  12. 前記金属層を酸化して第1の絶縁層を形成する工程は、
    酸化性雰囲気下で行う第2の加熱処理を含むことを特徴とする
    請求項8乃至請求項11のいずれか一に記載のトランジスタの作製方法。
  13. 前記第2の加熱処理は、200℃以上500℃以下で行われることを特徴とする
    請求項12に記載のトランジスタの作製方法。
  14. 前記金属層を酸化して第1の絶縁層を形成する工程は、
    酸化性雰囲気下で行うプラズマ処理を含むこと特徴とする
    請求項8乃至請求項13のいずれか一に記載のトランジスタの作製方法。
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