JP2017203720A - 信号処理装置、異音判定装置、信号処理方法、及び信号処理プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】被検出体から発せられる異音を精度よく判定できる信号処理装置、異音判定装置、信号処理方法、及び信号処理プログラムを提供する。【解決手段】異音判定装置1は、信号処理装置20を備える。信号処理装置20は、シフトロックが発する異音に応じた振動信号を入力する入力処理部21と、入力した振動信号のエンベロープを生成し、生成されたエンベロープに基づく判定面積を生成する波形特徴抽出部24と、を備える。【選択図】図2
Description
本発明は、信号処理装置、異音判定装置、信号処理方法、及び信号処理プログラムに関する。
車両に設けられる部品に動作音の中から異音が発せられると、部品の商品価値が低くなる。このような異音を発する部品を取り除くため、部品の動作音に含まれる異音の判定が行われている。この種の異音判定方法として、従来、動作音の中から単位時間当たりの変化量を算出し、その算出した変化量としきい値との比較に基づいて、異音を判定する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
しかし、動作音の中から単位時間当たりの変化量を算出したとしても、絶対的な異音の大きさを判定することができず、異音を判定する際における判定精度が低くなることがあった。
本発明が解決しようとする課題は、被検出体から発せられる異音を精度よく判定できる信号処理装置、異音判定装置、信号処理方法、及び信号処理プログラムを提供することである。
本発明に係る信号処理装置は、異音を発する被検出体における前記異音に応じた振動信号を入力する入力部と、入力した前記振動信号のエンベロープを生成するエンベロープ生成部と、生成された前記エンベロープに基づく判定面積を生成する判定面積生成部と、を備える。
本発明に係る信号処理装置では、被検出体が発する異音に応じた振動信号のエンベロープと、エンベロープに基づく判定面積とを生成している。このため、異音判定に用いる信号として、振動信号のピークと異音発生時間との関係を用いた信号を生成することができる。したがって、振動信号のピークと発生時間との関係を用いた信号を用いた異音判定を行うことができるので、被検出体から発せられる異音を精度よく判定できる。
上記の構成において、前記エンベロープにおける立下り波形に対して遅延時間を長くする遅延処理を行う遅延処理部を備えていてもよい。
上記の構成を備える信号処理装置では、エンベロープにおける立下り波形に対して遅延時間を長くする遅延処理を行うので、立下り波形の持続時間(減衰時間)に合わせたチューニングを行うことができる。
上記の構成を備える信号処理装置では、エンベロープにおける立下り波形に対して遅延時間を長くする遅延処理を行うので、立下り波形の持続時間(減衰時間)に合わせたチューニングを行うことができる。
本発明に係る異音判定装置は、上記の信号処理装置を有し、前記信号処理装置は、前記エンベロープ生成部で生成されたエンベロープの判定面積に基づいて、前記被検出体の異音を判定する異音判定部と、を備える。
上記の構成を備える異音判定装置は、振動信号のピークと発生時間との関係を用いた信号を用いた異音判定を行うことができるので、被検出体から発せられる異音を精度よく判定できる。
上記の構成を備える異音判定装置は、振動信号のピークと発生時間との関係を用いた信号を用いた異音判定を行うことができるので、被検出体から発せられる異音を精度よく判定できる。
上記の構成において、異音を発する被検出体における前記異音に応じた振動を検出し、振動信号として前記入力部に出力する振動検出装置を備えていてもよい。
上記の構成を備える異音判定装置では、被検出体における異音を確実に検出できる。
上記の構成を備える異音判定装置では、被検出体における異音を確実に検出できる。
本発明に係る信号処理方法は、異音を発する被検出体における前記異音に応じた振動信号を入力する入力ステップと、入力した前記振動信号のエンベロープを生成するエンベロープ生成ステップと、前記エンベロープに基づく判定面積を生成する判定面積生成ステップと、を備える。
本発明に係る信号処理プログラムは、異音を発する被検出体における前記異音に応じた振動信号を入力する入力ステップと、入力した前記振動信号のエンベロープを生成するエンベロープ生成ステップと、前記エンベロープに基づく判定面積を生成する判定面積生成ステップと、をコンピュータに実行させる。
本発明に係る信号処理装置、異音判定装置、信号処理方法、及び信号処理プログラムによれば、精度よく異音判定を行うことができる。
以下、本発明の一実施形態に係る異音判定装置を、図面を参照しながら説明する。
図面において、説明の便宜上、いくつかの部分が拡大され又は省略されているが、図面に表されている各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
図面において、説明の便宜上、いくつかの部分が拡大され又は省略されているが、図面に表されている各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
図1は、一実施形態に係る異音判定装置の使用状態の斜視図、図2は、一実施形態に係る異音判定装置のブロック構成図である。図1及び図2に示すように、一実施形態に係る異音判定装置1は、振動検出装置10、信号処理装置20、及び表示装置30を備えて構成されている。振動検出装置10は、被検出体の振動を検出し、検出した振動に基づく振動信号を信号処理装置20に送信する。信号処理装置20は、送信された振動信号を入力し、信号処理を施して異音判定を行う。信号処理装置20は、異音判定の結果を表示装置30に送信する。表示装置30は、送信された異音判定に結果を表示する。
振動検出装置10は、被検出体、例えばシフトロック40を挟み込んでいる。シフトロック40は、車両のエンジンがONとなっているときに、不用意な発進を防ぐために、ブレーキペダルを踏まないとシフトレバーがPレンジから動かなくするためのアクチュエータである。シフトロック40は、作動時にパルス状の音を発しており、振動検出装置10では、作動時におけるシフトロック40の通常の音とは異なる過渡振動による発生音である異音を検出する。なお、被検出体は、シフトロック40以外のパルス状の音を発する部材であればよく、例えばステアリングの操作制御を行う操作制御機構やパワーウィンドウにおけるウィンドを上下動させるモータなどでもよい。また、車両に用いられる部材以外の部材、例えば電子機器(パソコンやスマートフォン)の作動音や、電子機器のスイッチ音等を被検出体としてもよい。
なお、振動検出装置10は、シフトロック40が発する異音を検出している。図1に示すように、振動検出装置10は、防振シート50に載置されている。防振シート50により、シフトロック40の異音判定を行う際における振動検出装置10の振動を抑制している。
図3は、一実施形態に係る振動検出装置の斜視図、図4は、一実施形態に振動検出装置の分解斜視図である。図3及び図4に示すように、振動検出装置10は、ピエゾマイク11を備えている。ピエゾマイク11としては、例えばAdeline社製 AD-20を用いることができる。ピエゾマイク11は、圧電素子を備えている。圧電素子は、圧電体に加えられた圧力を電圧に変換する素子である。ピエゾマイク11には、接触子12が取り付けられている。接触子12は、円柱形をなすポリアセタール樹脂などのエンジニアリングプラスチック等の樹脂製又はステンレス等の金属製の部材である。接触子12における底面が、ピエゾマイク11の圧電素子に対して接着されて取り付けられている。ピエゾマイク11を用いることにより、シフトロック40の振動が接触子12を介して大気を介することなく伝達されるので、シフトロック40の振動を精度よく検出することができる。
振動検出装置10は、固定部材10Aを備えている。固定部材10Aは、ベース部材13、エアシリンダ部材15、及び押板16を備えて構成されている。ベース部材13には、接触子12を保持する接触子保持部材14が設けられている。ベース部材13は、板状の底板部13Aと、底板部13Aの外端縁に立設された板状の外壁部13Bを備えている。接触子保持部材14は、板状をなし、その中央部分に接触子12が挿通する開口が形成された部材である。接触子保持部材14は、ベース部材13の外壁部13Bに対して略平行となるように配置されている。接触子保持部材14は、ベース部材13上に固定されている。外壁部13Bと接触子保持部材14の間にシフトロック40が挟み込まれる。
接触子保持部材14は、図5に示すように、筐体部14Aを備えており、筐体部14Aにおける中央部に接触子12を挿通させる断面円形の開口部14Bが形成されている。開口部14Bは、接触子12の外形よりも大きくされている。このため、接触子12は、筐体部14Aに形成された開口部14Bに非接触状態で挿通可能であり、ここでは、接触子12は、開口部14Bに非接触状態で挿通されている。
また、開口部14Bの周り四方には、ばね部材14C1,14D1,14E1,14F1が設けられている、ばね部材14C1,14D1,14E1,14F1は、いずれも圧縮ばねであり、溝付きボルト14C2,14D2,14E2,14F2にそれぞれ形成された凹部に挿入されている。
接触子保持部材14の厚さは、接触子12の長さよりも短く(薄く)なっている。このため、接触子保持部材14の開口部14Bに外壁部13Bの反対側から挿入された接触子12におけるピエゾマイク11に取り付けられた面と反対側の面が、シフトロック40と向き合っている。また、ピエゾマイク11は、接触子保持部材14から離間した位置に配置される。
外壁部13Bにおける接触子12及びピエゾマイク11を介した反対側には、固定部材10Aのエアシリンダ部材15が設けられている。エアシリンダ部材15におけるピエゾマイク11が設けられた側には、固定部材10Aの押板16が取り付けられている。エアシリンダ部材15の内部には、図示しないエアシリンダが設けられており、エアシリンダには、エア配管15Aが接続されている。
押板16におけるピエゾマイク11側の面には、スプリング17が取り付けられており、スプリング17におけるピエゾマイク11側の端部には、クッション18が取り付けられている。スプリング17は、圧縮スプリングであり、接着剤によって押板16に接着されている。また、クッション18は、緩衝性を有する例えばゴム製の部材であり、接着剤によってスプリング17に取り付けられている。クッション18によってスプリング17、押板16、エアシリンダ等の振動を縁切りしている。
エアシリンダ部材15におけるエアシリンダにエアが供給されると、押板16がベース部材13の外壁部13Bの方向に移動させられて、ベース部材13とエアシリンダ部材15との間の距離が短くなる。この距離が短くなると、スプリング17及びクッション18を介してピエゾマイク11及び接触子12がベース部材13の外壁部13Bの方向に移動させられて、接触子12におけるピエゾマイク11に取り付けられた面と反対側の面がシフトロック40に当接させられる。このとき、スプリング17が収縮し、ピエゾマイク11及び接触子12には、シフトロック40の方向に対する付勢力が付与される。ピエゾマイク11及び接触子12は、スプリング17の付勢力によってスプリング17とシフトロック40とで保持される。ピエゾマイク11及び接触子12は、スプリング17の付勢力のみによって保持可能とされている。
振動検出装置10では、シフトロック40と、接触子12と、ピエゾマイク11と、スプリング17とがこの順で一直線上に配置され、スプリング17の付勢方向(以下、単に「付勢方向」という。)に沿って並置されている。固定部材10Aは、少なくともシフトロック40を支持している。また、固定部材10Aは、ベース部材13と押板16を介したエアシリンダ部材15によって、シフトロック40と、接触子12と、ピエゾマイク11と、スプリング17とを固定している。固定部材10Aは、エアシリンダ部材15を作動させることにより、ベース部材13とエアシリンダ部材15(押板16)との間の距離を調整可能とされている。ベース部材13とエアシリンダ部材15(押板16)との間の距離を調整することで、シフトロック40と、接触子12と、ピエゾマイク11と、スプリング17とが配置される距離が調整される。例えば、エアシリンダ部材15が作動して押板16がベース部材13の方向に移動すると、ベース部材13とエアシリンダ部材15(押板16)との間の距離が短くなる。この場合には、スプリング17による付勢力が大きくなる。逆に、押板16がベース部材13から離れる方向に移動すると、ベース部材13とエアシリンダ部材15(押板16)との間の距離が長くなる。この場合には、スプリング17による付勢力が小さくなる。
また、溝付きボルト14C2,14D2,14E2,14F2は、筐体部14Aにねじ込まれて固定されている。溝付きボルト14C2,14D2,14E2,14F2の凹部は、開口部14B側に向けて形成されており、溝付きボルト14C2,14D2,14E2,14F2の凹部に収容されるばね部材14C1,14D1,14E1,14F1は、開口部14Bにおいて、開口部14Bの半径方向に沿って配置されている。開口部14Bの半径方向は、付勢方向に交差する方向、さらに言えば付勢方向に直交する方向である。このため、ばね部材14C1,14D1,14E1,14F1は、付勢方向に対して交差する(直交する)方向に突出して設けられている。
接触子12は、ばね部材14C1,14D1,14E1,14F1によって付勢方向に対して交差(直交)する方向から位置決めされて保持されている。このため、接触子12は、接触子保持部材14によって弾性的に保持されており、接触子12からピエゾマイク11に向かう方向には、大きな抵抗がない状態で保持されている。こうして、接触子保持部材14は、接触子保持部材14に対するピエゾマイク11の微小移動を許容したばね部材14C1〜14F1によって接触子12を保持している。
振動検出装置10によってシフトロック40が発する音に応じた振動を検出すると、ピエゾマイク11は、検出した振動に応じた振動信号を信号処理装置20に送信する。信号処理装置20では、送信された振動信号を入力し、入力した振動信号に基づいて異音判定を行う。
次に、信号処理装置20について説明する。図2に示すように、信号処理装置20は、入力部である入力処理部21、ノイズ除去部22、絶対値変換部23、エンベロープ生成部、判定面積生成部、及び遅延処理部である波形特徴抽出部24、異音判定部25、及び出力処理部26を備えている。入力処理部21は、振動検出装置10から送信された振動信号を入力し、ノイズ除去部22に出力する。
図6は、信号処理装置20の回路図である。図6に示すように、ノイズ除去部22は、インピーダンス変換を行うバッファとしてのアンプAを備えている。また、フィルター回路として抵抗RとコンデンサCとを備えている。インピーダンス変換を行うことにより、ピエゾマイク11から送信された振動信号の安定化を図っている。また、フィルター回路によって広域帯ノイズのカット及び検出対象を抽出している。フィルター回路は、ローパスフィルターであり、遮蔽周波数fcは、下記(1)式で表される。
fc=1/(2πr)=1/(2πRC) ・・・(1)
ここで、R:抵抗
C:コンデンサ容量
fc:遮蔽周波数(Hz)
r:時定数(s)
fc=1/(2πr)=1/(2πRC) ・・・(1)
ここで、R:抵抗
C:コンデンサ容量
fc:遮蔽周波数(Hz)
r:時定数(s)
絶対値変換部23は、ノイズ除去部22でノイズが除去された振動信号を絶対値変換する。図6に示すように、絶対値変換部23は、抵抗R1,R2及びアンプA1,A2を備えて構成されている。図6に示す例では、レイルtoレイルOPアンプを単電源で駆動した例を示している。
波形特徴抽出部24は、絶対値変換部23で絶対値変換された振動信号から波形特徴を抽出する。図6に示すように、波形特徴抽出部24における回路は、アンプAと、その出力に接続されたダイオードD、抵抗R1,R2、及びコンデンサCを備えて構成されている。波形特徴抽出部24は、異音判定に用いる波形特徴を生成する。波形特徴は、エンベロープ波形及びエンベロープ波形の持続時間である。エンベロープ波形の持続時間は、例えば5〜100msである。エンベロープ波形の持続時間がこの範囲に限定されるものではない。波形特徴抽出部24は、生成した波形特徴を異音判定部25に出力する。
異音判定部25は、出力された波形特徴に基づいて、異音判定を行う。異音判定部25は、判定結果を出力処理部26に出力する。出力処理部26は、異音判定部25から出力された異音判定の判定結果を出力処理して、表示装置30に送信する。表示装置30では、送信された判定結果を表示する。
次に、振動検出装置10におけるシフトロック40の振動検出の手順について説明する。振動検出装置10によってシフトロック40の振動検出を行う際には、図3及び図4に示すベース部材13の外壁部13Bと接触子保持部材14によってシフトロック40を挟み込む。
こうして、ベース部材13の外壁部13Bと接触子保持部材14によってシフトロック40を挟み込んだら、図示しないエアポンプによってエア配管15Aを介してエアシリンダ部材15に設けられたエアシリンダにエアを供給する。エアシリンダにエアが供給されることで、押板16とベース部材13外壁部13Bの間の距離が調整されて短くされる。こして、固定部材10Aによって、シフトロック40、接触子12、ピエゾマイク11、及びスプリング17が固定される。押板16とベース部材13外壁部13Bの間の距離が調整されて短くされると、スプリング17は、その付勢力によってピエゾマイク11及び接触子12を押圧する。その結果、接触子12には、シフトロック40に対する接触圧力が付与される。
このとき、接触子12は、スプリング17により、適度な接触圧力でシフトロック40に対して押圧されている。また、スプリング17とピエゾマイク11との間にクッション18が介在されていることにより、ピエゾマイク11とクッション18よりもエアシリンダ部材15側の部材との間の振動伝達が縁切りされている。
エアシリンダ部材15におけるエアシリンダにエアを供給し、シフトロック40に対する接触圧力を接触子12に付与したら、シフトロック40を作動させる。シフトロック40を作動させると、シフトロック40からは音が発生する。ピエゾマイク11は、シフトロック40から発せられる音に応じた振動を検出して、振動信号として信号処理装置20に出力する。
振動の検出を開始した後、所定時間が経過したら、シフトロック40を停止させて、エア配管15Aからエアシリンダ内のエアを排気する。こうして、シフトロック40、接触子12、ピエゾマイク11、及びスプリング17は、固定部材10Aによる固定から解放される。シフトロック40の挟み込みが解除される。それから、シフトロック40を取り外して、シフトロック40の振動検出を終了する。
次に、信号処理装置20における振動信号の処理の手順について説明する。信号処理装置20では、振動検出装置10から送信された振動信号を、図2に示す入力処理部21で入力処理し、ノイズ除去部22に出力する。ノイズ除去部22では、出力された振動信号をインピーダンス変換して増幅する。
それから、ノイズ除去部22では、増幅された振動信号をローパスフィルターにかけて高周波成分を除去するノイズ除去を行う。ここでの高周波は、例えば20kHz以上の人間の可聴域を超える周波数とすることができる。人間の可聴域を外れる周波数のノイズは、人間の不快感に大きな影響を与えないので、人間の可聴域を外れる周波数成分を除去することで、ノイズによる不快感の判定に与える影響を少なくしながら、演算処理の負担を軽減できる。
図7(A)は、増幅され、高周波成分が除去された振動信号の波形を示すグラフである。図7(A)〜(D)及び図9に示すグラフでは、縦軸を振幅、横軸を時間としている。ノイズ除去部22でノイズを除去する処理が行われることにより、図7(A)に示すグラフの振動波形が生成される。図7(A)に示すように、増幅された振動信号は、振幅が徐々に小さくなるパルス状の波形である。なお、増幅前の振動信号も同様の形状の波形である。
ノイズ除去部22におけるノイズ除去が済んだら、絶対値変換部23において、絶対値変換を行う。図7(B)は、(A)に示す波形を絶対値変換した波形を示すグラフである。絶対値変換が行われることで、図7(B)に示すように、図7(A)に示す波形における負の領域の波形が正の領域に折り返された波形が生成される。
絶対値変換部23における絶対値の変換が済んだら、波形特徴抽出部24において、波形特徴の抽出が行われる。波形特徴としては、絶対値変換部23で生成された波形のエンベロープを波形としたエンベロープ波形及びエンベロープ波形の持続時間が用いられる。波形特徴抽出部24において、エンベロープ波形を生成する際の動作について説明する。波形特徴抽出部24の動作は、波形の立上り時と立下り時の2つの異なる動作に分けられる。
波形の立上り時には、抵抗R1を通してコンデンサCを充電する動作が行われ、波形の立下り時には、コンデンサCに充電された電荷を、抵抗R1,R2を経由してGNDに放電する動作が行われる。波形の立上り時には、図8(A)に示すように、電流Iは、電流I1と電流I2とに分かれる。コンデンサCには、抵抗R1を経由した電流によって充電される。コンデンサCと抵抗R1で構成された回路により、波形の立上りの遅延速度が決定される。抵抗R1を可変することでコンデンサCに対しての充電電流を調整して波形の立上りの応答速度追従性を制御できる。ここでは波形の立上りの遅延速度が遅くなるように、遅延時間を長くする遅延処理を行っている。
また、波形の立下り時には、図8(B)に示すように、アンプAの出力が低下してもダイオードDがあるため、コンデンサCに充電された電荷は、電流Ixとなり抵抗R1,R2を経由してGNDに電流Ixとして放電される。コンデンサCの放電は、抵抗R1,R2が放電経路にあることによって放電電流を制限し立下り波形の遅延速度を制御する動作となる。
ダイオードDが含まれない一般的なCR回路の場合には単なる積分動作となるが、ダイオードDが含まれることにより、波形立下りの時には抵抗R1+抵抗R2とコンデンサCのみの放電経路となる。波形の立上りと立下りでは放充電経路が異なるため特性を独立させて調整と制御を行うことができる。
波形の立上りまたは立下りの遅延時間調整は、抽出したい波形の主な周波数と持続時間で決定することとなる。波形特徴としての抽出要素は、絶対値変換部23から出力された波形のピーク値検出と波形の面積である。このうち、波形のピーク値の検出には立上りの追従性が重要であるため、波形の立上りの遅延時間調整は、波形の周波数によって決定される。また、波形の立下りの遅延時間調整は、絶対値変換部23から出力された波形の持続時間に合わせて行われる。
図7(C)に示すように、抽出される波形のピーク値をつないでいくと、図7(D)に示すエンベロープ波形が生成される。また、エンベロープ波形が形成されることから、エンベロープ波形の始端から終端まで(いずれも周波数=0となる時間)の経過時間をエンベロープ波形の持続時間として求めることができる。
波形特徴抽出部24では、こうして抽出した波形をA/Dコンバータでデジタルデータの数値に変換する。変換後のデータは、エンベロープ波形の最大値をピーク値とし、電圧の積算値をエンベロープ波形の面積として数値化する。エンベロープ波形の面積は、例えば、下記(2)式によって求めた測定面積によって求めることができる。
測定面積(1サンプリング)=A/D測定電圧×サンプリング時間 ・・・(2)
測定面積(1サンプリング)=A/D測定電圧×サンプリング時間 ・・・(2)
上記(2)式で求めた1サンプリングにおける測定面積をエンベロープ波形の持続時間分求め、エンベロープ波形の持続時間分の1サンプリングにおける測定面積の合算値がエンベロープ波形の面積(総面積)となる。図9は、エンベロープ波形からエンベロープ波形の面積を求めたグラフを示している。図9に示すエンベロープ波形では、ピーク値がP(dB)である。また、エンベロープ波形の持続時間はエンベロープ波形の始端T1から終端T2までの経過時間である。波形特徴抽出部24は、こうして求めた波形特徴となるエンベロープ波形のピーク値及びエンベロープ波形の面積を異音判定部25に出力する。
なお、A/Dコンバータの変換速度は、対象となるエンベロープ波形の持続時間に対して細かくサンプリングするのが高分解能となる。その例として、エンベロープ波形の持続時間が10msであった場合には、10倍〜100倍程度の測定レートが望ましい。ただし、他の測定レートとしてもよい。
異音判定部25は、波形特徴抽出部24から出力された波形特徴のうち、エンベロープ波形の面積(以下「判定面積」という)に基づいて、異音判定を行う。異音判定部25は、判定面積に設定された所定のしきい値を記憶しており、判定面積が第1しきい値以下の場合には、異音判定の結果を「良」、判定面積が第1しきい値を超えた場合には、異音判定の結果を「不良」とする。また、しきい値を2つ設け、判定面積が第1しきい値以下の場合には、異音判定の結果を「良」、判定面積が第1しきい値を超え第2しきい値以下の場合には、異音判定の結果を「再判定」、第1しきい値を超えた場合には、異音判定の結果を「不良」のようにしておいてもよい。「再判定」と判定された場合には、他の基準による異音判定、例えば、ピーク値を用いた異音判定を行ってもよい。また、最初から、判定面積とピーク値の両方で異音判定を行ってもよい。この場合、より正確に異音判定が可能となる。
人間が異音と認識する要因には、周波数のピークのほか、異音発生の持続時間がある。例えば、異音判定を周波数のピークに基づいて異音判定を行うと、実際に人間が感じる異音と異音判定の結果に齟齬が生じる可能性が高める。この点、判定面積を用いて異音判定を行うことで、異音発生の持続時間が判定基準に含まれるので、人間が感じる異音と、異音判定の結果を近づけることができる。また、周波数のピークを用いると、異音の検出タイミングのずれによってピークに誤差が生じ得るが、判定面積を用いることにより、異音の検出タイミングのズレによる誤差を抑制することができる。したがって、異音判定の判定精度を高めることができる。
異音判定部25は、エンベロープ波形及び異音判定の結果を出力処理部26に出力する。出力処理部26は、エンベロープ波形及び異音判定の結果を表示装置30に送信する。こうして、信号処理装置20における振動信号の処理を終了する。
次に、異音判定についての結果について説明する。ここでは、本発明の一実施形態として判定面積を用い、他の例として異音判定の結果としてエンベロープ波形のピーク値(以下「音圧ピーク」という)を用いて異音判定を行った。その結果を図10に示す。
一実施形態の異音判定では、判定面積が第1面積しきい値Sth1以下の場合「良」、第1面積しきい値Sth1を超えた場合「不良」と判定する。また、音圧ピークによる異音判定では、音圧ピークが第1音圧しきい値Mth1以下の場合「良」、第1音圧しきい値Mth1を超えた場合「不良」と判定する。
図10に示すように、ケース番号12〜20の異音判定の結果は、一実施形態の異音判定では、判定面積が第1面積しきい値Sth1を超えており異音判定が「不良」と判定されるケースである。これに対して、音圧ピークによる判定結果では、ケース12〜16では「良」と判定される結果となった。また、音圧ピークのしきい値をMth2としても、ケース13,15では、「良」と判定される結果となる。この結果から、音圧ピークによる異音判定では判定できない異音についても、一実施形態の判定面積による異音判定では、異音と判定ができた。
以上の説明の通り、本発明の一実施形態に係る異音判定装置1における信号処理装置20では、波形特徴抽出部24において、シフトロック40が発する異音に応じた振動信号のエンベロープと、エンベロープに基づく判定面積とを生成している。このため、異音判定に用いる信号として、シフトロック40の異音に基づく振動信号のピークと異音発生時間との関係を用いた信号を生成することができる。したがって、シフトロック40の異音に基づく振動信号のピークと発生時間との関係を用いた判定面積の信号を用いた異音判定を行うことができるので、シフトロック40から発せられる異音を精度よく判定できる。
また、以上に示した実施形態に係る信号処理装置20の機能を実現するための信号処理プログラムをコンピュータに実行させるようにしてもよい。なお、ここで言う「コンピュータ」とは、オペレーティング・システムや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、波形特徴抽出部24では、エンベロープにおける立下り波形に対して遅延時間を長くする遅延処理を行っている。このため、立下り波形の持続時間(減衰時間)に合わせたチューニングを行うことができる。
なお、本発明は上記の一実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の信号処理装置20では、判定面積を求めた後に異音判定まで行っているが、判定面積を求めて、当該判定面積を出力するようにしてもよい。この場合、表示装置30に表示された判定面積を視認した作業員が判定面積に基づいて異音判定を行ってもよいし、異音判定を行う装置を別途用いて異音判定を行ってもよい。
また、上記の一実施形態では判定面積で異音判定を行っているが、判定面積と音圧ピークとを用いて異音判定を行ってもよい。例えば、判定面積及び音圧ピークのそれぞれにしきい値を設定し、双方のしきい値を超えた場合には「不良」、一方のしきい値を超える場合には「やや不良」、両方のしきい値以下のときに「良」と判定してもよい。また、上記の一実施形態では、ピエゾマイク11を用いてシフトロック40の振動を検出しているが、他の集音装置を用いてシフトロック40の振動を検出してもよい。
1…異音判定装置、10…振動検出装置、11…ピエゾマイク、12…接触子、13…ベース部材、13A…底板部、13B…外壁部、14…接触子保持部材、14A…筐体部、14B…開口部、14C1〜14F1…ばね部材、14C2〜14F2…ボルト、15…エアシリンダ部材、15A…エア配管、16…押板、17…スプリング、18…クッション、20…信号処理装置、21…入力処理部(入力部)、22…ノイズ除去部、23…絶対値変換部、24…波形特徴抽出部(エンベロープ生成部、判定面積生成部、遅延処理部)、25…異音判定部、26…出力処理部、30…表示装置、40…シフトロック、50…防振シート
Claims (6)
- 異音を発する被検出体における前記異音に応じた振動信号を入力する入力部と、
入力した前記振動信号のエンベロープを生成するエンベロープ生成部と、
生成された前記エンベロープに基づく判定面積を生成する判定面積生成部と、
を備える信号処理装置。 - 前記エンベロープにおける立下り波形に対して遅延時間を長くする遅延処理を行う遅延処理部を備える請求項1に記載の信号処理装置。
- 請求項1または2に記載の信号処理装置を有し、
前記信号処理装置は、前記エンベロープ生成部で生成されたエンベロープの判定面積に基づいて、前記被検出体の異音を判定する異音判定部と、
を備える異音判定装置。 - 前記被検出体における前記異音に応じた振動を検出し、前記振動信号として前記入力部に出力する振動検出装置を備える請求項3に記載の異音判定装置。
- 異音を発する被検出体における前記異音に応じた振動信号を入力する入力ステップと、
入力した前記振動信号のエンベロープを生成するエンベロープ生成ステップと、
前記エンベロープに基づく判定面積を生成する判定面積生成ステップと、
を備える信号処理方法。 - 異音を発する被検出体における前記異音に応じた振動信号を入力する入力ステップと、
入力した前記振動信号のエンベロープを生成するエンベロープ生成ステップと、
前記エンベロープに基づく判定面積を生成する判定面積生成ステップと、
をコンピュータに実行させるための信号処理プログラム。
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- 2016-05-12 JP JP2016096359A patent/JP2017203720A/ja active Pending
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