JP2017203200A - 希土類−遷移金属系合金粉末の製造方法 - Google Patents

希土類−遷移金属系合金粉末の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】角形性が向上する希土類−遷移金属系合金粉末の製造方法を提供する【解決手段】原料の希土類−遷移金属系合金を粉砕し、レーザー回折式粒度分布測定による平均粒径は50μm以下で、且つ酸素含有量は0.1質量%以上10質量%以下である希土類−遷移金属系合金粉末を調製し、得られた合金粉末を、5体積%以上15体積%以下の酸素を含有する不活性ガスをキャリアガスとして用いて気流式分級を行うことを特徴とする希土類−遷移金属系合金粉末の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、永久磁石に用いられる希土類−遷移金属系合金粉末の製造方法に関する。
近年、希土類−遷移金属系合金粉末は、高性能な永久磁石材料、水素吸蔵合金、磁気冷凍合金などに応用されている。永久磁石材料としては、Nd−Fe−B系合金、Sm−Fe−N系合金、Sm−Co系合金がある。また、水素吸蔵合金としてはLa−Ni系合金が、磁気冷凍合金としてはLa−Fe−Si系合金、Pr−Fe合金などが挙げられる。
これらの合金は、平均粒径が50μm以下の粉末として利用され、より大きな粒度の粗粉末を微粉砕したり、目標粒径の一次粒子が焼結して粒径の大きな二次粒子となっているものを解砕したりすることで製造されている。これらの微粉砕や解砕には、ジェットミル、ブラウンミル、ボールミルなどの乾式粉砕機(解砕機)や、ボールミル、ビーズミル、湿式ジェットミルなどの湿式粉砕機(解砕機)が用いられてきた。
しかしながら、これらの微粉砕や解砕後の粉末には、目標とする粒径に対して、大粒径あるいは小粒径の粉末が混在し、装置の特性を反映した粒度分布がある。これらの材料特性は、粉末粒度によって左右されることが多い。例えば、永久磁石材料の中で、NdFe14B化合物、SmCo化合物、SmFe17化合物を主相とするニュークリエーション型の粉末においては、粒度に分布があることにより粉末の保磁力がばらつき、磁石の減磁曲線の角形性が低下する。そのため、粒度分布をシャープにするための検討がなされてきた。
例えば特許文献1には、ジェットミル時に気流分級機を併用する方法、気流分級機を1段もしくは多段で用いて一旦粉砕した粉体を分級する方法、微粒子は磁気特性が低下していることを利用して磁力分級する方法、さらに数μm径の微細な孔を有する中空糸中に溶媒中に分散した磁性粉を通すことにより、微粒子を除去する方法が開示されている。
また特許文献2には、微粒子全体のうち粒径が1μm以上5μm以下のものの占める割合が80質量%以上になるように粉砕するのが望ましく、そのために、気流分級機を備えたジェットミル粉砕機を用いて分級点を制御することを開示している。このときジェットミル粉砕に用いる不活性ガスは窒素、アルゴンの何れでもよく、粉砕効率の向上、および粉砕機の配管内壁への粉末の付着防止のために5体積%以下の酸素を混合することが望ましい、としている。これらの方法は一定の効果を示すものであるが、さらなる材料特性の改善が求められているのが実情である。
一般に、粉砕や解砕過程では、粉末と粉砕媒体、あるいは粉末同士の衝突により粉末が凝着しやすい。さらに、希土類−遷移金属系合金の中でも、永久磁石材料として用いられるNd−Fe−B系合金、Sm−Fe−N系合金は、粉末同士の磁気的な凝集も起こるため、その分級により、磁気特性を低下させる恐れもあった。
特開平05−308012号公報 特開平09−097732号公報
本発明の目的は、前述した背景技術に鑑み、特定の分級条件とすることによって、材料特性に優れる希土類−遷移金属系合金粉末の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、原料の希土類−遷移金属系合金を粉砕し、レーザー回折式粒度分布測定による平均粒径は50μm以下で、且つ酸素含有量は0.1質量%以上10質量%以下である希土類−遷移金属系合金粉末を調製し、その後得られた粉砕粉末を、5体積%以上15体積%以下の酸素を含む不活性ガスをキャリアガスとして用いて気流式分級を行うことにより得られた分級粉末は、シャープな粒度分布となり、磁気特性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の希土類−遷移金属系合金粉末の製造方法により得られる合金粉末を使用して、より高品質の磁石特性を有する永久磁石を安定して作製することができ、その工業的価値は極めて大きい。また、磁石粉末以外の用途でも、水素吸蔵特性を有するLa−Ni系合金(LaNi)に適用することで、水素吸蔵量を向上するなど、様々な金属材料特性の向上に貢献できる。
以下、本発明の希土類−遷移金属系合金粉末の製造方法について説明する。
≪1.希土類−遷移金属系合金≫
本発明に係る希土類−遷移金属系合金は、希土類元素と遷移金属元素とを含む金属間化合物合金を主相とするものであれば、特に制限されない。例えば、正方晶のNdFe14B構造を有する合金、ThZn17型構造を有するSm(Co,Fe,Cu,M)17系の合金,SmFe17系の合金、PrFe17系の合金、CaCu型構造を有するSmCo系の合金、LaNi系の合金、NaZn13型構造を有するLa(Fe,Si)13系の合金などの各種合金に適用できる。
≪2.本発明の希土類−遷移金属系合金粉末の製造方法≫
本発明の希土類−遷移金属系合金粉末の製造方法は、以下の工程を含むことを特徴とする。
工程1.原料の希土類−遷移金属系合金を粉砕し、レーザー回折式粒度分布測定による平均粒径は50μm以下で、且つ酸素含有量は0.1質量%以上10質量%以下である希土類−遷移金属系合金粉末を調製する工程。
工程2.工程1により得られた合金粉末を、5体積%以上15体積%以下の酸素を含有する不活性ガスをキャリアガスとして用いて気流式分級を行う工程。
1に示した希土類−遷移金属系合金は、溶解鋳造法、還元拡散法など、公知の手法によって合金化され、これを粉砕して合金粉末を得る。溶解鋳造法によって得られる合金は一般には鋳塊であり、ストリップキャスト法などで鋳造される場合には1mm未満の厚みの薄板状である。また、還元拡散法は、希土類酸化物粉末と遷移金属粉末あるいはその酸化物粉末を含む混合原料を、金属Caを還元剤として混合熱処理することで直接合金粉末を製造する方法である。
これらの公知の方法により、遷移金属粉末原料の粒度に応じた数10μm以下の目標粒子径を持つ合金粉末を製造できるが、熱処理中に合金粉末一次粒子が焼結によりネッキングし、粗大な二次粒子を形成する場合がある。粗大粒子を含むままでは優れた磁気特性が得られないため、まず工程1として、レーザー回折式粒度分布測定による平均粒径が50μm以下の、所望の粒径まで粉砕処理して調製する。
粉砕処理方法としては、ジェットミル、ブラウンミル、ボールミルなどによる乾式粉砕や、ボールミル、ビーズミル、湿式ジェットミルなどによる湿式粉砕など、種々の公知の粉砕方法により実施できる。
≪3.分級前の粉末の平均粒径と酸素含有量≫
本発明においては、工程2の気流式分級処理に供する粉末の要件として、レーザー回折式粒度分布測定による平均粒径は50μm以下であり、粉末の酸素含有量を0.1質量%以上10質量%以下とすることが重要である。このことは粉末表面に酸素を含有する被覆膜を形成することにより達成できる。酸素を含有する被覆膜は、例えば、燐酸を含有する有機溶媒と合金粉末とを混合乾燥することで形成できる。(特開2002−124406号公報参照)。また、シリコン系被覆膜(特開平07−326508号公報参照)などでも実施できる。
また、乾式粉砕する場合において、キャリアガス中に酸素を適当量含むことで粉砕粉末表面に酸化膜を形成することも可能である。
粉砕粉末の酸素含有量が0.1質量%未満であると、次工程の気流式分級機における目標粒度での分離能力が低下する。分級効果に対して、粉砕粉末の酸素濃度の上限値は特にないが、10質量%を超えると、一般に材料特性が低下するため好ましくない。たとえば永久磁石材料では、粉末の磁化が低下するので、粉砕粉末の酸素濃度の上限、は10質量%以下、好ましくは3質量%以下にするのが望ましい。
≪4.工程2の気流式分級処理≫
本発明において、工程2の気流式分級処理は、合金粉末を気流に乗せて運動させたとき、その粉末の、粒度による慣性の違いから運動の軌跡が変わることを利用して分級するものである。たとえば、マイクロンクラッシファイアー、ターボクラッシファイアー、スピンエアシーブ、エルボージェット、ターボプレックス、ミクロンセパレータなど種々の粉砕方式が挙げられる。
これらの気流式分級処理でのキャリアガスは、通常圧縮空気が用いられるが、本発明においては、例えば、希土類−遷移金属系合金微粉末は分級中に粉末が燃える危険があることから、キャリアガスとして不活性ガスを流通させる必要がある。しかし本発明者らの検討によれば、キャリアガス中の酸素濃度が気流式分級機の分級効果に大きく影響することが分かった。
本発明においては、キャリアガスである窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス中に酸素濃度が5体積%以上15体積%以下、好ましくは8体積%以上15体積%以下となるよう、酸素または空気を混合することで、微粒子や粗大粒子の解凝が促進され分離度が高められることが分かった。酸素濃度が5体積%未満では、分級効果が弱く、特に目標粒度に対して微粒側の粉末が凝集付着したまま回収されてしまうため好ましくない。一方、酸素濃度が15体積%を超えると、粉末の酸素濃度が上がるため、材料特性が低下するので好ましくない。また、分級処理中に発火の恐れがあるなど安全面での問題もある。
上記のキャリアガス中の酸素ガスの影響の詳細は不明だが、一般に合金粉末表面は酸化膜が形成され、粉末同士の凝集を防止しているが、気流式分級機の中では合金粉末同士の衝突が高頻度で起こり、その衝突により表面の酸化膜が剥がれ、生成した合金粉末の新生面が瞬間的に酸化され、再凝集しにくくなるためかと思われる。
以下、実施例及び比較例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
[実施例1]
SmFeN合金粗粉末(住友金属鉱山(株)製、平均粒径:20μm)を、オルトリン酸を混合したエタノールを溶媒とした媒体攪拌ミルで粉砕し、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社日本レーザー製,HELOS&RODOS)で測定した粒度分布が、D10=0.70μm、D50=1.92μm、D90=3.89μmである粉砕スラリーを得た。この粉砕スラリーを、酸素を2.0体積%含有するアルゴン気流中でミキサーにより攪拌しながら120℃で蒸発乾燥させた。得られた粉末の酸素含有量は1.59質量%であった。
この乾燥粉末の減磁曲線を、日本ボンド磁石工業協会のボンド磁石試験方法ガイドブックBMG−2005に準拠して、最大磁界1200kA/mの振動試料型磁力計で測定したところ、主要な磁石特性の一つである磁場(Hk)と保磁力(Hc)との比で表される角形性(Hk/Hc)は53.6%であった。
次に、酸素を9.8体積%含有する窒素ガスをキャリアガスとして、この粉末を気流式分級機ターボプレックス100ATP(ホソカワミクロン製)に5g/分で供給し、分級処理した。設定分級点を3μmとし、分級粗粉側を回収した。分級により得られた粉末の粒度分布は、D10=0.76μm、D50=2.30μm、D90=4.33μmであった。分級処理により、微粉が分離されていることがわかる。得られた粉末の酸素含有量は1.31質量%であった。また、分級後の粉末の減磁曲線を同様に測定し、角形性を計算すると角形性(Hk/Hc)は56.4%(2.8%増加)に向上した。
[実施例2]
実施例1と同様にして得たSmFeN合金粉末の粉砕スラリーを、酸素を1.2体積%含有するアルゴン気流中でミキサーで攪拌しながら120℃で蒸発乾燥させた。得られた粉末の酸素含有量は1.03質量%であった。
次に、酸素を8.1体積%含有する窒素ガスをキャリアガスとして、この粉末を気流式分級機ターボプレックス100ATP(ホソカワミクロン製)に5g/分で供給し、分級処理した。設定分級点を3μmとし、分級粗粉側を回収した。分級により得られた粉末の粒度分布は、D10=0.76μm、D50=2.27μm、D90=4.25μmであった。得られた粉末の酸素含有量は0.98質量%であった。
実施例1と同様に、乾燥粉末及び分級粉末の減磁曲線を測定し、角形性を計算した。乾燥粉末の角形性(Hk/Hc)は53.1%で、分級粉末の角形性(Hk/Hc)は56.0%(2.9%増加)に向上した。
[実施例3]
実施例1と同様にして得たSmFeN合金粉末の粉砕スラリーを、酸素を3.2体積%含有するアルゴン気流中でミキサーで攪拌しながら120℃で蒸発乾燥させた。得られた粉末の酸素含有量は2.03質量%であった。
次に、酸素を12.9体積%含有する窒素ガスをキャリアガスとして、この粉末を気流式分級機ターボプレックス100ATP(ホソカワミクロン製)に5g/分で供給し、分級処理した。設定分級点を3μmとし、分級粗粉側を回収した。分級により得られた粉末の粒度分布は、D10=0.78μm、D50=2.24μm、D90=4.12μmであった。得られた粉末の酸素含有量は1.52質量%であった。
実施例1と同様に、乾燥粉末及び分級粉末の減磁曲線を測定し、角形性を計算した。乾燥粉末の角形性(Hk/Hc)は52.3%で、分級粉末の角形性(Hk/Hc)は60.2%(7.9%増加)に向上した。
[実施例4]
実施例1と同様にして得たSmFeN合金粉末の粉砕スラリーを、酸素を0.9体積%含有するアルゴン気流中でミキサーで攪拌しながら120℃で蒸発乾燥させた。得られた粉末の酸素含有量は0.72質量%であった。
次に、酸素を6.8体積%含有する窒素ガスをキャリアガスとして、この粉末を気流式分級機ターボプレックス100ATP(ホソカワミクロン製)に5g/分で供給し、分級処理した。設定分級点を3μmとし、分級粗粉側を回収した。分級により得られた粉末の粒度分布は、D10=0.73μm、D50=2.11μm、D90=4.01μmであった。また、得られた粉末の酸素含有量は1.12質量%であった。
実施例1と同様に、乾燥粉末及び分級粉末の減磁曲線を測定し、角形性を計算した。乾燥粉末の角形性(Hk/Hc)は55.2%で、分級粉末の角形性(Hk/Hc)は56.5%(1.3%増加)に向上した。
[実施例5]
実施例1と同様にして得たSmFeN合金粉末の粉砕スラリーを、酸素を0.4体積%含有するアルゴン気流中でミキサーで攪拌しながら120℃で蒸発乾燥させた。得られた粉末の酸素含有量は0.15質量%であった。
次に、酸素を5.2体積%含有する窒素ガスをキャリアガスとして、この粉末を気流式分級機ターボプレックス100ATP(ホソカワミクロン製)に5g/分で供給し、分級処理した。設定分級点を3μmとし、分級粗粉側を回収した。分級により得られた粉末の粒度分布は、D10=0.72μm、D50=2.04μm、D90=3.98μmであった。また、得られた粉末の酸素含有量は0.87質量%であった。
実施例1と同様に、乾燥粉末及び分級粉末の減磁曲線を測定し、角形性を計算した。乾燥粉末の角形性(Hk/Hc)は52.3%で、分級粉末の角形性(Hk/Hc)は53.5%(1.2%増加)に向上した。
[比較例1]
実施例1と同様にして得たSmFeN合金粉末の粉砕スラリーを、酸素を1.4体積%含有するアルゴン気流中でミキサーで攪拌しながら120℃で蒸発乾燥させた。得られた粉末の酸素含有量は1.17質量%であった。
次に、酸素を2.8体積%含有する窒素ガスをキャリアガスとして、この粉末を気流式分級機ターボプレックス100ATP(ホソカワミクロン製)に5g/分で供給し、分級処理した。設定分級点を3μmとし、分級粗粉側を回収した。分級により得られた粉末の粒度分布は、D10=0.70μm、D50=1.93μm、D90=3.91mであった。また、得られた粉末の酸素含有量は1.66質量%であった。
また、実施例1と同様に、乾燥粉末及び分級粉末の減磁曲線を測定し、角形性を計算した。乾燥粉末の角形性(Hk/Hc)は52.9%で、分級粉末の角形性(Hk/Hc)は52.8%(0.1%低下)となり、粒度分布も、角形性もほとんど変化なく、特性向上効果が認められなかった。
[比較例2]
実施例1と同様にして得たSmFeN合金粉末の粉砕スラリーを、酸素を0.3体積%含有するアルゴン気流中でミキサーで攪拌しながら120℃で蒸発乾燥させた。得られた粉末の酸素含有量は0.19質量%であった。
次に、酸素を1.4体積%含有する窒素ガスをキャリアガスとして、この粉末を気流式分級機ターボプレックス100ATP(ホソカワミクロン製)に5g/分で供給し、分級処理した。設定分級点を3μmとし、分級粗粉側を回収した。分級により得られた粉末の粒度分布は、D10=0.70μm、D50=1.92μm、D90=3.90mであった。また、得られた粉末の酸素含有量は0.41質量%であった。
また、実施例1と同様に、乾燥粉末及び分級粉末の減磁曲線を測定し、角形性を計算した。乾燥粉末の角形性(Hk/Hc)は50.7%で、分級粉末の角形性(Hk/Hc)は50.3%(0.4%低下)となり、粒度分布はほぼ変化なく、角形性はやや低下し、特性向上効果が認められなかった。
[比較例3]
実施例1と同様にして得たSmFeN合金粉末の粉砕スラリーを、酸素を含まないアルゴン気流中でミキサーで攪拌しながら120℃で蒸発乾燥させた。得られた粉末の酸素含有量は0.08質量%であった。
次に、酸素を10.7体積%含有する窒素ガスをキャリアガスとして、この粉末を気流式分級機ターボプレックス100ATP(ホソカワミクロン製)に5g/分で供給し、分級処理した。設定分級点を3μmとし、分級粗粉側を回収した。分級により得られた粉末の粒度分布は、D10=0.70μm、D50=1.90μm、D90=3.95μmであった。また、得られた粉末の酸素含有量は0.86質量%であった。
また、実施例1と同様に、乾燥粉末及び分級粉末の減磁曲線を測定し、角形性を計算した。乾燥粉末の角形性(Hk/Hc)は40.8%で、分級粉末の角形性(Hk/Hc)は40.7%(0.1%低下)となり、粒度分布も、角形性もほとんど変化なく、特性向上効果が認められなかった。
[実施例6]
SmFeN合金粗粉末(住友金属鉱山(株)製、平均粒径:20μm)を、オルトリン酸を混合したエタノールを溶媒とした媒体攪拌ミルで粉砕し、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社日本レーザー製,HELOS&RODOS)で測定した粒度分布が、D10=0.72μm、D50=1.99μm、D90=4.01μmである粉砕スラリーを得た。この粉砕スラリーを、酸素を2体積%含有するアルゴン気流中でミキサーにより攪拌しながら120℃で蒸発乾燥させた。得られた粉末の酸素含有量は1.43質量%であった。
この乾燥粉末の減磁曲線を、日本ボンド磁石工業協会のボンド磁石試験方法ガイドブックBMG−2005に準拠して、最大磁界1200kA/mの振動試料型磁力計で測定したところ、その磁場(Hk)と保磁力(Hc)との比で表される角形性(Hk/Hc)は53.1%であった。
次に、酸素を8.9体積%含有する窒素ガスをキャリアガスおよび二次側気流として、この粉末を気流式分級機ミクロンセパレータMS−1(ホソカワミクロン製)に3g/分で供給し、分級処理した。設定分級点を5μmとし、分級粗粉側を回収した。
分級により得られた粉末の粒度分布は、D10=0.79μm、D50=2.47μm、D90=4.37μmであった。分級処理により、微粉が分離されていることがわかる。得られた粉末の酸素含有量は1.27質量%であった。また、分級後の粉末の減磁曲線を同様に測定し、角形性を計算すると角形性(Hk/Hc)は55.4%(2.3%増加)に向上した。
[実施例7]
実施例6と同じ分級原料粉末を使用して、気流式分級機としてエルボージェットEJ−LABO(日鉄鉱業製)を用いて、窒素キャリアガスの酸素濃度9.3体積%、分級設定点を2μmと10μmとして2μm以上と10μm以下の分級粉を回収した。
分級により得られた粉末の粒度分布は、D10=0.75μm、D50=2.28μm、D90=4.30μmであった。分級処理により、微粉が分離されていることがわかる。得られた粉末の酸素含有量は1.37質量%であった。また、分級後の粉末の減磁曲線を同様に測定し、角形性を計算すると角形性(Hk/Hc)は56.3%(3.2%増加)に向上した。
[実施例8]
実施例6と同じ分級原料粉末を使用して、気流式分級機としてマイクロンクラッシファイアーMC−50(セイシン企業製)を用いて、キャリアガスと二次側気流として酸素濃度12.1体積%含有する窒素ガスを用いて、分級設定点を5μmとして分級し、分級粗粉側を回収した。
分級により得られた粉末の粒度分布は、D10=0.83μm、D50=2.51μm、D90=5.27μmであった。分級処理により、微粉が分離されていることがわかる。得られた粉末の酸素含有量は1.50質量%であった。また、分級後の粉末の減磁曲線を同様に測定し、角形性を計算すると角形性(Hk/Hc)は57.8%(4.7%増加)に向上した。
[比較例4]
工程2の分級条件で、分級のキャリアガスにおいて、酸素を8.9体積%含有する窒素ガスを酸素を2.3体積%含有する窒素ガスに変更した以外は実施例6と同条件で分級処理し分級粉末を回収した。得られた粉末の粒度分布は、D10=0.71μm、D50=1.98μm、D90=4.11mであった。また、得られた粉末の酸素含有量は1.53質量%であった。
また、実施例6と同様に、乾燥粉末及び分級粉末の減磁曲線を測定し、角形性を計算した。分級粉末の角形性(Hk/Hc)は52.5%(0.6%低下)となり、粒度分布はほぼ変化なく、角形性は低下し、特性向上効果が認められなかった。
[比較例5]
工程2の分級条件で、分級のキャリアガスにおいて、酸素を9.3体積%含有する窒素ガスを酸素を3.8体積%含有する窒素ガスに変更した以外は実施例7と同条件で分級処理し分級粉末を回収した。得られた粉末の粒度分布は、D10=0.73μm、D50=2.00μm、D90=3.99mであった。また、得られた粉末の酸素含有量は1.71質量%であった。
また、実施例6と同様に、乾燥粉末及び分級粉末の減磁曲線を測定し、角形性を計算した。分級粉末の角形性(Hk/Hc)は53.0%(0.1%低下)となり、粒度分布も、角形性もほとんど変化なく、特性向上効果が認められなかった。
[比較例6]
工程2の分級条件で、分級のキャリアガスにおいて、酸素を12.1体積%含有する窒素ガスを酸素を1.4体積%含有する窒素ガスに変更した以外は実施例8と同条件で分級処理し分級粉末を回収した。得られた粉末の粒度分布は、D10=0.69μm、D50=1.95μm、D90=4.18mであった。また、得られた粉末の酸素含有量は1.48質量%であった。
また、実施例6と同様に、乾燥粉末及び分級粉末の減磁曲線を測定し、角形性を計算した。分級粉末の角形性(Hk/Hc)は50.3%(2.8%低下)となり、粒度分布はほぼ変化なく、角形性は低下し、特性向上効果が認められなかった。
[実施例9]
原料粉末として異方性のNdFeB系磁石粉末(愛知製鋼製、MFP−12)を用いて、酸素を2.4体積%含有する窒素気流中でピンミルで粉砕し、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社日本レーザー製,HELOS&RODOS)で測定した粒度分布が、D10=8.2μm、D50=43.1μm、D90=101.5μmである粉砕粉末を得た。得られた粉末の酸素含有量は0.43質量%であった。
この粉末の減磁曲線を、実施例1と同様に測定したところ、その磁場(Hk)と保磁力(Hc)との比で表される角形性(Hk/Hc)は40.1%であった。
次に、酸素を8.1体積%含有する窒素ガスをキャリアガスおよび二次側気流として、この粉末を気流式分級機ミクロンセパレータMS−1(ホソカワミクロン製)に15g/分で供給し、分級処理した。設定分級点を13μmとし、分級粗粉側を回収した。
分級により得られた粉末の粒度分布は、D10=17.0μm、D50=48.7μm、D90=103.2μmであった。分級処理により、微粉が分離されていることがわかる。得られた粉末の酸素含有量は0.27質量%であった。また、分級後の粉末の減磁曲線を同様に測定し、角形性を計算すると角形性(Hk/Hc)は44.2%(4.1%増加)に向上した。
[比較例7]
工程1の条件で、酸素を2.4体積%含有する窒素ガスを酸素を0.2体積%含有する窒素ガスに変更した以外は実施例9と同条件でピンミルで粉砕し、得られた粉砕粉末の粒度分布は、D10=9.5μm、D50=45.3μm、D90=104.8μmであった。また、粉砕粉末の酸素含有量は0.09質量%であった。
その後も実施例9と同様に分級処理して分級粉末を回収した。得られた粉砕粉末の粒度分布は、D10=9.5μm、D50=45.2μm、D90=106.8μmであった。また、粉砕粉末の酸素含有量は0.43質量%であった。
また、実施例9と同様に、粉砕粉末及び分級粉末の減磁曲線を測定し、角形性を計算した。粉砕粉末及び分級粉末の角形性(Hk/Hc)は、それぞれ39.7%、40.1%(0.4%増加)となり、粒度分布も、角形性もほとんど変化なく、特性向上効果が認められなかった。
[比較例8]
工程2の分級条件で、酸素を8.1体積%含有する窒素ガスを酸素を3.9体積%含有する窒素ガスに変更した以外は実施例9と同条件で分級した。
得られた分級粉末の粒度分布は、D10=8.0μm、D50=44.3μm、D90=105.5μmであった。また、分級粉末の酸素含有量は0.63質量%であった。
また、実施例6と同様に、粉砕粉末及び分級粉末の減磁曲線を測定し、角形性を計算した。粉砕粉末及び分級粉末の角形性(Hk/Hc)は、それぞれ40.1%、40.3%(0.2%増加)であり、粒度分布も、角形性もほとんど変化なく、特性向上効果が認められなかった。

Claims (2)

  1. 永久磁石用の希土類−遷移金属系合金粉末の製造方法であって、下記の工程を含むことを特徴とする希土類−遷移金属系合金粉末の製造方法。
    工程1.原料の希土類−遷移金属系合金を粉砕し、レーザー回折式粒度分布測定による平均粒径は50μm以下で、且つ酸素含有量は0.1質量%以上10質量%以下である希土類−遷移金属系合金粉末を調製する工程。
    工程2.工程1により得られた合金粉末を、5体積%以上15体積%以下の酸素を含有する不活性ガスをキャリアガスとして用いて気流式分級を行う工程。
  2. 前記希土類−遷移金属系合金粉末は、Nd−Fe−B系合金粉末、Sm−Fe−N系合金粉末の群から選ばれるいずれか一種であることを特徴とする希土類−遷移金属系合金粉末の製造方法。

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