JP2017203141A - 樹脂組成物および生分解性フィルム - Google Patents

樹脂組成物および生分解性フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2017203141A
JP2017203141A JP2016097150A JP2016097150A JP2017203141A JP 2017203141 A JP2017203141 A JP 2017203141A JP 2016097150 A JP2016097150 A JP 2016097150A JP 2016097150 A JP2016097150 A JP 2016097150A JP 2017203141 A JP2017203141 A JP 2017203141A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aliphatic
component
resin composition
acid
polyester copolymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016097150A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6683007B2 (ja
Inventor
市川 靖
Yasushi Ichikawa
靖 市川
秀治 木村
Hideji Kimura
秀治 木村
徹也 久保
Tetsuya Kubo
徹也 久保
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP2016097150A priority Critical patent/JP6683007B2/ja
Publication of JP2017203141A publication Critical patent/JP2017203141A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6683007B2 publication Critical patent/JP6683007B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)

Abstract

【課題】フィルムインパクト強度、ヒートシール強度、開口性、低温環境での成形時におけるブロッキング特性等が改善された、樹脂組成物および生分解性フィルムの提供。【解決手段】脂肪族ジオール成分と脂肪族二塩基酸成分との重合物である脂肪族ポリエステル共重合体(A)、ポリ乳酸系樹脂(B)、および脂肪族ジオール成分と芳香族二塩基酸成分と脂肪族二塩基酸成分との重合物である脂肪族芳香族ポリエステル(C)を含有するとともに、下記(1)〜(3)の要件をすべて満たすことを特徴とする樹脂組成物:(1)前記脂肪族ポリエステル共重合体(A)が、前記脂肪族ジオール成分および前記脂肪族二塩基酸成分の少なくとも一方が2種類以上から構成される脂肪族ポリエステル共重合体(A1)を含む;(2)前記脂肪族ポリエステル共重合体(A1)における前記脂肪族ジオール成分が2種類以上から構成されるときに、前記脂肪族ジオール成分に最も多く含まれる第一成分は、前記脂肪族ジオール成分の全量に対して55〜78モル%であり;前記脂肪族ポリエステル共重合体(A)における前記脂肪族二塩基酸成分が2種類以上から構成されるときに、前記脂肪族二塩基酸成分に最も多く含まれる第一成分は、前記脂肪族二塩基酸成分の全量に対して55〜78モル%である; (3)前記(A)+(C)の合計に対して(A)を5〜65質量%含有しており、かつ(A)+(B)+(C)の合計に対して(B)成分が31〜50質量%である。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物および生分解性フィルムに関し、更に詳しくは、生分解性を有するコンポストバッグ、農業用フィルムおよび包装材料などに好適な樹脂組成物および生分解性フィルムに関するものである。
生分解性樹脂は、水中や土中で比較的容易に分解することが知られている。そのため、ゴミ処理問題などの環境保全の面から世界的に注目されている。これらの中でも、脂肪族ポリエステル樹脂は、ポリエチレンに近い物性を有することもあって、該樹脂を成形して得られるフィルムは、農業資材、土木資材、植生資材、包装材等のフィルム用途として将来が期待されている(例えば、特許文献1および2参照)。特に包装材はフィルムをヒートシールする等、二次加工が必要であり、包装材として加工可能な生分解性樹脂に注目が集まっている。
しかしながら、上記フィルムは、いずれも引裂き強度、特にフィルムの機械(延伸)方向の引裂き強度が充分ではなかった。
また、近年オゾン層破壊による温暖化を抑止するために炭酸ガスの排出量を制限する動きが活発となり、カーボンニュートラルの考え方から生物由来樹脂としてのポリ乳酸系の樹脂の活用も盛んにおこなわれている。
しかし、ポリ乳酸系樹脂は、ガラス転移温度60℃の非晶性樹脂であり、常温では硬くもろい特性である。このため、フィルム等に用いられる場合は延伸などの処理が必要であった。また、包装材として袋状に成形した場合のヒートシール強度が弱いなど、実用的には問題を抱えている。
そこで近年、ポリ乳酸、脂肪族ポリエステル、脂肪族芳香族ポリエステル3成分系での物性改良について提案されている(特許文献3,4,5参照)。
特開平5−271377号公報 特開平6−170941号公報 特許04687129号公報 特許04842502号公報 特開2014−156541号公報
しかし、特許文献3〜5の組成物から得られるフィルムは包装材としての強度が実用には未だ十分ではなかった。また、袋成形時のヒートシール性や開口性(ブロッキング特性)等、包装材として利用する際の特性に関しては検討されてこなかった。
本発明は上記従来の実情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、カーボンニュートラルの考えからポリ乳酸系の樹脂を一定量以上使用し、炭酸ガス排出量に配慮しながら、フィルムインパクト強度、ヒートシール強度、開口性、低温環境での成形時におけるブロッキング特性等が改善された、生分解性を有する樹脂組成物および生分解性フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記[1]〜[13]を要旨とする。
[1]脂肪族ジオール成分と脂肪族二塩基酸成分との重合物である脂肪族ポリエステル共重合体(A)、ポリ乳酸系樹脂(B)、および脂肪族ジオール成分と芳香族二塩基酸成分と脂肪族二塩基酸成分との重合物である脂肪族芳香族ポリエステル(C)を含有するとともに、下記(1)〜(3)の要件をすべて満たすことを特徴とする樹脂組成物:
(1)前記脂肪族ポリエステル共重合体(A)が、前記脂肪族ジオール成分および前記脂肪族二塩基酸成分の少なくとも一方が2種類以上から構成される脂肪族ポリエステル共重合体(A1)を含む;
(2)前記脂肪族ポリエステル共重合体(A1)における前記脂肪族ジオール成分が2種類以上から構成されるときに、前記脂肪族ジオール成分に最も多く含まれる第一成分は、前記脂肪族ジオール成分の全量に対して55〜78モル%であり;
前記脂肪族ポリエステル共重合体(A)における前記脂肪族二塩基酸成分が2種類以上から構成されるときに、前記脂肪族二塩基酸成分に最も多く含まれる第一成分は、前記脂肪族二塩基酸成分の全量に対して55〜78モル%である;
(3)前記(A)+(C)の合計に対して(A)を5〜65質量%含有しており、かつ(A)+(B)+(C)の合計に対して(B)成分が31〜50質量%である。
[2]前記脂肪族ポリエステル共重合体(A)が、1,4−ブタンジオールとコハク酸の重合物である脂肪族ポリエステル(A2)を含有する前記[1]に記載の樹脂組成物。
[3]スリップ剤(D)を含有する、前記[1]または[2]に記載の樹脂組成物。
[4]前記スリップ剤(D)が脂肪酸モノアミド、脂肪酸ビスアミドから選ばれる少なくとも1種を含有する、前記[3]に記載の樹脂組成物。
[5]前記スリップ剤(D)の量が、樹脂組成物の合計量に対して0〜5.0質量%である、前記[3]または[4]に記載の樹脂組成物。
[6]カルボジイミド化合物(E)を含む前記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[7]前記脂肪族ポリエステル共重合体(A1)において、前記脂肪族ジオール成分が、エチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールから選択される少なくとも1種である前記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[8]前記脂肪族ポリエステル共重合体(A1)において、前記脂肪族二塩基酸成分が、コハク酸およびアジピン酸から選択される少なくとも1種である前記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[9]脂肪族ポリエステル共重合体(A)は、融点が50〜190℃である前記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[10]脂肪族ポリエステル共重合体(A)は、重量平均分子量が50,000以上である前記[1]〜[9]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[11]前記脂肪族芳香族ポリエステル(C)が、ポリブチレンアジペートテレフタレートである前記[1]〜[10]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[12]前記[1]〜[11]のいずれか1項に記載の樹脂組成物を、環境温度10℃以下でインフレーション成形する、フィルムの製造方法。
[13]前記[1]〜[11]のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる生分解性フィルム。
本発明によれば、フィルムインパクト強度、ヒートシール強度、開口性、低温環境での成形時におけるブロッキング特性等が改善された、生分解性を有する樹脂組成物およびフィルムが提供される。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、脂肪族ポリエステル共重合体(A)、ポリ乳酸系樹脂(B)、および芳香族脂肪族ポリエステル(C)を必須として含有するものである。
また、本発明の樹脂組成物において、前記脂肪族ポリエステル共重合体(A)は、(A)+(C)の合計に対して5〜65質量%含むものであり、好ましくは9〜65質量%であり、さらに好ましくは50〜65質量%である。前記脂肪族ポリエステル共重合体(A)が5質量%以上であればヒートシール特性が良好であり、65質量%以下であればインパクト強度が良好である。
さらに、本発明の樹脂組成物において前記ポリ乳酸系樹脂(B)は、(A)+(B)+(C)の合計に対して31〜50質量%であり、好ましくは31〜48質量%であり、さらに好ましくは31〜46質量%である。前記ポリ乳酸系樹脂(B)が31質量%以上であればコストダウン効果やバイオマス度が良好であり、50質量%以下であればフィルム物性、成形性が良好である。
(A)脂肪族ポリエステル共重合体
本発明において用いられる脂肪族ポリエステル共重合体(A)は、脂肪族ジオール成分と脂肪族二塩基酸成分との重合物である。また、前記脂肪族ポリエステル共重合体(A)は、(1)前記脂肪族ジオール成分および前記脂肪族二塩基酸成分の少なくとも一方が2種類以上から構成される脂肪族ポリエステル共重合体(A1)を必須として含む。
また、本発明において脂肪族ポリエステル共重合体(A)は、1,4−ブタンジオールとコハク酸の重合物である脂肪族ポリエステル共重合体(A2)を含有すると好ましい。
さらに、本発明で用いる脂肪族ポリエステル共重合体(A)に、前記(A1)または前記(A2)以外の、脂肪族ジオール成分と脂肪族二塩基酸成分の含有割合が異なった他の脂肪族ポリエステル共重合体をブレンドすることも可能である。
上記した脂肪族ジオール成分と脂肪族二塩基酸成分の重合方法としては、ポリエステルの合成法として一般的に行なわれている方法でよく、例えば、脱水を伴う縮合重合法を採用することができる。本発明においては、例えば、脂肪族ジオール成分と脂肪族二塩基酸成分とを脱水縮合してエステル化反応を行う重合反応を採用するのが好ましい。
前記脂肪族ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、およびネオペンチルグリコール等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
前記脂肪族二塩基酸成分としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸およびこれらの無水物等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、前記脂肪族ポリエステル共重合体(A)は、モノマーとしては、上記の他に3官能または4官能を有する多価アルコール、オキシカルボン酸または多価カルボン酸を含有したものでも良い。
脂肪族ポリエステル共重合体(A)は、融点が50〜190℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは60〜150℃であり、さらに好ましくは70〜130℃である。また、重量平均分子量は50,000以上が好ましく、より好ましくは80,000以上であり、さらに好ましくは100,000以上である。融点が50〜190℃、および/または重量平均分子量が50,000以上であれば、フィルムなどの成形品を得るうえでインパクト強度が良好である。
(A1)脂肪族ジオール成分および脂肪族二塩基酸成分の少なくとも一方が2種類以上から構成される脂肪族ポリエステル共重合体
本発明において用いられる、前記脂肪族ジオール成分および前記脂肪族二塩基酸成分の少なくとも一方が2種類以上から構成される脂肪族ポリエステル共重合体(A1)は、以下(1)〜(2)の要件を必須とする以外に、特に制限は無い。
(1)前記脂肪族ジオール成分および前記脂肪族二塩基酸成分の少なくとも一方は、2種類以上から構成される。
(2)前記脂肪族ジオール成分が2種類以上から構成されるときに、前記ジオー
ル成分に最も多く含まれる第一成分は、前記脂肪族ジオール成分全体の55〜78モル%の割合であり、
前記脂肪族二塩基酸成分が2種類以上から構成されるときに、前記脂肪族二塩基酸成分に最も多く含まれる第一成分は、前記脂肪族二塩基酸成分全体の55〜78モル%の割合である。
前記脂肪族ポリエステル共重合体(A1)の脂肪族ジオール成分としては、前記脂肪族ポリエステル共重合体(A)の項での記述の他に特に制限は無い。中でも好ましくは、エチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールである。
前記脂肪族ポリエステル共重合体(A1)の前記脂肪族二塩基酸成分としては、前記(A)の脂肪族ポリエステル共重合体(A)の項での記述の他に特に制限は無い。中でも、コハク酸およびアジピン酸の組み合わせが良好なインパクト強度が得られるため好ましい。
前記脂肪族ジオール成分が2種類以上から構成されるときに、前記脂肪族ジオール成分に最も多く含まれる第一成分は、55〜78モル%であり、好ましくは55〜75モル%、より好ましくは60〜75モル%、さらに好ましくは60〜73モル%である。第一成分が55モル%以上であれば、樹脂組成物の結晶性が良好であり、78モル%以下であれば例えばフィルム等の成形品のインパクト強度が良好である。
また、前記脂肪族二塩基酸成分が2種類以上から構成されるときに、前記脂肪族二塩基酸成分に最も多く含まれる第一成分は、55〜78モル%であり、好ましくは60〜75モル%、より好ましくは65〜75モル%である。第一成分が55モル%以上であれば、樹脂組成物の結晶性が良好であり、78モル%以下であれば例えばフィルム等の成形品のインパクト強度が良好である。
(A2)1,4−ブタンジオールとコハク酸とを重合して得られる脂肪族ポリエステル共重合体
本発明において、脂肪族ポリエステル共重合体(A)には1,4−ブタンジオールとコハク酸とを縮合重合して得られる脂肪族ポリエステル共重合体(A2)を含むことが好ましい。
また(A1)、(A2)は、高分子量化や分岐構造導入のために多価のイソシアネート化合物や3官能または4官能を有する多価アルコール、オキシカルボン酸または多価カルボン酸を含有することも可能である。脂肪族ポリエステル共重合体としては、市販品があり、例えば、昭和電工株式会社製の“ビオノーレ(登録商標)”がよく知られている。
(B)ポリ乳酸系樹脂
本発明において用いられるポリ乳酸系樹脂(B)は、乳酸モノマーを50モル%超含んだ主成分として重合したものである。例えば、構造単位がL−乳酸であるポリL−乳酸、構造単位がD−乳酸であるポリD−乳酸、構造単位がL−乳酸およびD−乳酸であるポリDL−乳酸、並びにこれらの混合体を主成分とする重合体であることができる。
また、前述のポリ乳酸の構成としてはモル比として、D−乳酸:L−乳酸=100:0〜85:15または0:100〜15:85であることが好ましい。また、D−乳酸とL−乳酸との構成割合が異なった他のポリ乳酸をブレンドすることも可能である。
さらには、ポリ乳酸系樹脂(B)は、前述のポリ乳酸と、後述する他のヒドロキシカルボン酸単位との共重合体であってもよく、また少量の鎖延長剤残基を含んでもよい。他のヒドロキシカルボン酸単位としては、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対してはD−乳酸、D−乳酸に対してはL−乳酸)、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸類、およびカプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。このような他のヒドロキシカルボン酸単位は、(B)成分中15モル%未満で使用するのが好ましい。
ポリ乳酸系樹脂(B)の重合方法としては、縮合重合法、開環重合法等公知の方法を採用することができる。例えば、縮合重合法では、L−乳酸またはD−乳酸、あるいはこれらの混合物等を直接脱水縮合重合して任意の組成、結晶性を有するポリ乳酸系樹脂(B)を得ることができる。また、開環重合法(ラクチド法)では、乳酸の環状2量体であるラクチドを、必要に応じて重合調節剤等を用いながら、適当な触媒を使用してポリ乳酸系樹脂(B)を得ることができる。なお、ラクチドには、L−乳酸の2量体であるL−ラクチド、D−乳酸の2量体であるD−ラクチド、D−乳酸およびL−乳酸の2量体であるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合し、重合することによって任意の組成、結晶性を有するポリ乳酸系樹脂(B)を得ることができる。
本発明において使用されるポリ乳酸系樹脂(B)は、重量平均分子量が60,000〜700,000であることが好ましく、より好ましくは80,000〜400,000、特に好ましくは100,000〜300,000である。分子量が60,000以上であれば機械物性や耐熱性等の実用物性が良好であり、700,000以下であれば溶融粘度が低いため成形加工性が良好である。
(C)脂肪族芳香族ポリエステル
脂肪族芳香族ポリエステル(C)は、芳香族ポリカルボン酸と脂肪族ポリオールとの縮合重合体、または脂肪族ポリカルボン酸および芳香族ポリカルボン酸と脂肪族ポリオールとの縮合重合体、または脂肪族ポリカルボン酸と脂肪族ポリオールおよび芳香族ポリオールとの縮合重合体、またはそれら縮合重合体の混合物であれば特に制限はなく、化学合成系樹脂、微生物系樹脂、天然物利用系樹脂等のいずれに属する樹脂でも良い。成形性を考慮すると熱可塑性であることが好ましい。
良好な成形品を得る観点において、脂肪族芳香族ポリエステル(C)の融点が50〜180℃であり、かつ重量平均分子量が50,000以上であることが好ましく、それらは通常、脂肪族ポリカルボン酸および芳香族ポリカルボン酸と脂肪族ポリオールとを脱水共縮合、または脂肪族ポリカルボン酸と脂肪族ポリオールおよび芳香族ポリオールとを脱水共縮合させることにより得られる。
脂肪族芳香族ポリエステル(C)の融点は60〜150℃であるとより好ましく、80〜130℃であるとさらに好ましい。重量平均分子量は、80,000以上であるとより好ましく、100,000以上であるとさらに好ましい。
前記脂肪族ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
前記芳香族ポリオールとしては、ヒドロキノン、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
前記芳香族ポリカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、およびこれらの無水物等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
前記脂肪族ポリカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸並びにこれらの無水物等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
また、その他成分として、トリメチロールプロパンやペンタエリスリトールのような3官能または4官能を有するポリオール、ジメチロールプロピオン酸のようなオキシカルボン酸またはブタンテトラカルボン酸やトリメリット酸のようなポリカルボン酸を少量添加することも可能である。これらは1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
前記脂肪族芳香族ポリエステル(C)の具体例としては、ポリブチレンサクシネートテレフタレート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートアジペートテレフタレート、ポリエチレンサクシネートテレフタレート、ポリエチレンアジペートテレフタレートなどを挙げることができる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いても良い。
中でも、フィルム成形性、フィルム物性を考えた場合、ポリブチレンアジペートテレフタレートを用いることが好ましい。
前記脂肪族芳香族ポリエステル(C)としては、市販品があり、例えば、BASF社製の”Ecoflex(登録商標)”がよく知られている。
(D)スリップ剤
本発明の樹脂組成物は、スリップ剤(D)を含むことができ、かつ好ましい。スリップ剤は滑剤とも呼ばれる。スリップ剤(D)は、脂肪酸モノアミドまたは脂肪酸ビスアミドであることが好ましい。
前記脂肪酸モノアミドの具体例としては、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミド、ベヘニン酸アミド、パルミトレイン酸アミド、オレイン酸アミド、エイコセン酸アミド、エルシン酸アミド、エライジン酸アミド、トランス11エイコセン酸アミド、トランス13ドコセン酸アミド、リノール酸アミド、リノレン酸アミド、リシノール酸アミド、エルカ酸アミド等がある。
前記脂肪酸ビスアミドとしては、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N‘−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’-ジステアリルセバシン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N‘-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’-ジオレイルセバシン酸アミド等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
具体的な製品としては「アルフロー(登録商標)」(日本油脂株式会社製)、「ダイヤミッド(登録商標)」(日本化成株式会社製)、「脂肪酸アマイド」(花王株式会社製)などが挙げられる。
スリップ剤(D)の配合量は、製造装置での操作性の観点から、樹脂組成物合計量に対して5.0質量%以下が好ましく、フィルム成形時の環境温度および用途に応じて変化させることができる。
農業用マルチフィルムなど、ヒートシールを必要としない場合は、全ての成形条件において、スリップ剤(D)の配合量は、樹脂組成物合計量に対して0.35質量%以上が好ましく、さらに好ましくは、0.55質量%以上である。
コンポストバッグ、レジ袋などヒートシール強度が必要な用途においては、フィルム成形時の環境温度に応じてスリップ剤(D)の配合量を変化させることが好ましい。
フィルム成形時の環境温度が10℃以下の場合、スリップ剤(D)の配合量は、樹脂組成物合計量に対して0.75質量%以上が好ましい。0.75質量%以上であれば、フィルムの開口性が良好である。
フィルム成形時の環境温度が10℃超20℃以下の場合、スリップ剤(D)の配合量は、樹脂組成物合計量に対して0.55質量%超0.75質量%未満が好ましい。0.55質量%超であれば開口性が良好であり、0.75質量%未満であればフィルムの表面物性が良好でサーフェースロールなどを使用した場合でも容易に巻き取ることが可能である。
フィルム成形時の環境温度が20℃超の場合、スリップ剤(D)の配合量は、樹脂組成物合計量に対して0.30質量%以上0.55質量%以下が好ましい。0.30質量%以上であれば開口性が良好であり、0.55質量%以下であればフィルムの表面物性が良好でサーフェースロールなどを使用した場合でも容易に巻き取ることが可能である。
また、ヒートシール強度が特に必要な用途においては、脂肪酸ビスアミドの量は樹脂組成物合計量に対して0.20質量%以下が好ましい。0.20質量%以下であればヒートシール強度が良好である。
(E)カルボジイミド化合物
本発明の樹脂組成物は、カルボジイミド化合物(E)を含むことができ、かつ好ましい。カルボジイミド化合物(E)に特に制限は無いが、両末端にイソシアナト基を有しているものが好ましい。これらは公知の方法、例えば、有機リン系化合物または有機金属化合物を触媒として用い、後で述べる各種ポリイソシアネート化合物を不活性溶媒存在下または不存在下、70℃程度またはそれ以上の温度で脱炭酸縮合反応させることより、合成することができる。
前記カルボジイミド化合物としては、モノカルボジイミド化合物、ポリカルボジイミド等が挙げられる。
前記モノカルボジイミド化合物としては、ジメチルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
これらの中で、工業的な規模で製造され、入手が容易であるという観点から、ジイソプロピルカルボジイミドまたはジシクロヘキシルカルボジイミドが好適に用いられる。
また、前記ポリカルボジイミドは、種々の方法、たとえば、特公昭47−33279号公報、USP 2941956、Journal of 0rganic Chemistry 28, 2069-2075(1963)、Chemical Review l981、Vol.81、 No.4、 p619-621等に記載されている方法により製造することができる。
ポリカルボジイミドを製造するための原料である有機ジイソシアネートとしては、例えば脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートおよびこれらの混合物が挙げられる。
カルボジイミド化合物(E)の市販品として、例えば日清紡株式会社製の「Eカルボジライト(登録商標)」、ラインケミ社製「スタバクゾール(登録商標)」がよく知られている。
カルボジイミド化合物(E)としては、例えば、脂肪族カルボジイミド、芳香族カルボジイミドが挙げられる。
脂肪族カルボジイミドとして、たとえばカルボジライトLA−1(ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、日清紡ケミカル株式会社)、カルボジライトHMV‐15CA(日清紡ケミカル株式会社)などを使用することができ、芳香族カルボジイミドとして、スタバクゾールI(ワン)(N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、ラインケミー社製)、スタバクゾールI−LF(N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、ラインケミー社製)、スタバクゾールP(ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド、ラインケミー社製)、スタバクゾールP−400(ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド)、ラインケミー社製)などを使用することができる
カルボジイミド化合物(E)の配合量は、樹脂組成物合計量に対して、0.05〜1質量%が好ましい。0.05質量%以上であれば加水分解防止剤の効果を十分に発揮することができ、フィルム成形後の物性が安定する。また、1質量%以下であれば成形時の粘度上昇が抑制でき、押出成形特性が良好である。
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物の製造方法としては特に制限は無いが、例えば、脂肪族ポリエステル共重合体(A)とポリ乳酸系樹脂(B)と脂肪族芳香族ポリエステル(C)とを押出機を用いて溶融混合し、組成物ペレットとする方法が挙げられる。
なお、フィルムなどに成形する場合は、脂肪族ポリエステル共重合体(A)、ポリ乳酸系樹脂(B)および脂肪族芳香族ポリエステル(C)のそれぞれをペレット状態で混合し、直接成形してもよい。(A)、(B)及び(C)成分を押出機を用いて溶融混合する際に、スリップ剤(D)、カルボジイミド化合物(E)をそれぞれ添加することも可能である。あるいは、スリップ剤(D)とカルボジイミド化合物(E)をあらかじめ特定の樹脂に配合したマスターバッチを押出機あるいは、ロール等で作成した後、押出機あるいは、成形機で混合することも可能である。
<生分解性フィルム>
本発明の樹脂組成物を成形することで、生分解性フィルムを得ることができる。本発明の生分解性フィルムの製造方法に特に制限は無いが、例えば、上記樹脂組成物を溶融、あるいは上記樹脂組成物を構成する各成分を溶融混合し、公知の成形方法でフィルム化する方法が挙げられる。フィルムの成形方法としては、水冷または空冷インフレーション成形、Tダイ式フィルム押出成形、押出ラミネーション成形等が挙げられる。また、本発明の生分解性フィルムとしては、前記フィルムを、更に一軸または二軸延伸したものであってもよい。
インフレーション成形する場合、環境温度10℃以下で行うと好ましい。
また、本発明の生分解性フィルムは、所望により当該技術分野において通常用いられている添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進剤等を本発明の特性を損なわない範囲で添加されていてもよい。
具体的には、酸化防止剤としてはp−t−ブチルヒドロキシトルエン、p−t−ブチルヒドロキシアニソール等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;熱安定剤としてはトリフェニルホスファイト、トリスノリルフェニルホスファイト等;紫外線吸収剤としてはp−t−ブチルフェニルサリシレート、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン等;帯電防止剤としてはN,N−ビス(ヒドロキシエチル)アルキルアミン、アルキルアミン、アルキルアリルスルホネート、アルキルスルホネート等;難燃剤としてはヘキサブロモシクロドデカン、トリス−(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、ペンタブロモフェニルアリルエーテル等;結晶化促進剤としてはタルク、ホロンナイトライト、ポリエチレンテレフタレート、ポリ−トランスシクロヘキサンジメタノールテレフタレート等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は実施例により制限されるものではない。
<樹脂の測定方法>
・融点
JIS K7121に準拠し、試験片を質量5mg、加熱速度10℃/分の条件で測定した。融解温度は融解ピーク温度から求めた。
・MFR(メルトフローレート)
JIS K7210に準拠し、温度190℃、荷重21.18MPaの条件で測定した。
・Mw(重量平均分子量(以下「Mw」という))
ゲルクロマトグラフィー(昭和電工株式会社製、Shodex(登録商標) GPC System−11)を用いて下記の条件で測定した。
溶媒:酢酸アンモニウム15mmol/lを含有するヘキサフルオロイソプロピルアルコール溶液
樹脂濃度:0.1質量%
検量線:PMMA標準サンプル(昭和電工株式会社製、Shodex(登録商標) Standard M−75)
実施例1〜16及び比較例1〜9
表1に示す通りに、樹脂組成物の各成分を配合し、下記手順により樹脂組成物を製造して、評価した。
<実施例及び比較例で使用した原料>
実施例及び比較例の樹脂組成物の作製で使用した原料は以下のとおりである。
・ブタンジオールとコハク酸の重合物である脂肪族ポリエステル共重合体(A2)
(a)昭和電工株式会社製ビオノーレ(登録商標)1020MD
(融点114℃、MFR;22g/10分、Mw=140,000)
(b)昭和電工株式会社製ビオノーレ(登録商標)1001MD
(融点114℃、MFR;1.2g/10分、Mw=230,000)
(c)昭和電工株式会社製ビオノーレ(登録商標)1903D
(融点114℃、MFR;4.0g/10分、Mw=183,000)
・ポリ乳酸系樹脂(B)
(a)NatureWorks社製Ingeo2003D
(MFR;2.5g/10分、Mw=214,000、乳酸モノマー100%、モル比としてD−乳酸:L−乳酸=4.25:95.75)
(b)NatureWorks社製Ingeo4060D
(MFR;4.2g/10分、Mw=188,000、乳酸モノマー100%、モル比としてD−乳酸:L−乳酸=12:88)
・脂肪族芳香族ポリエステル(C)
BASF社製脱水縮合型脂肪族芳香族ポリエステルEcoflex(登録商標)
(融点;120℃、MFR;4.0g/10分、Mw=132,000、1,4−ブタンジオール、テレフタル酸、アジピン酸がそれぞれ50mol%、22mol%、28mol%)
・スリップ剤(D)
(a)花王株式会社製脂肪酸アミドE(エルカ酸アミド)
(b)花王株式会社製脂肪酸アミドS(ステアリン酸アミド)
(c)花王株式会社製カオーワックスEB−P(エチレンビスステアリン酸アミド)
・カルボジイミド化合物(E)
日清紡株式会社製カルボジライト(登録商標)HMC−15CA
また、脂肪族ジオール成分または前記脂肪族二塩基酸成分の少なくとも一方が2種類以上から構成される脂肪族ポリエステル共重合体(A1)は、以下の手順で合成した。
合成例1(コハク酸:アジピン酸=70:30モル/モル、(a)の合成)
700Lの反応器を窒素置換してから、1,4−ブタンジオール(大連化学株式会社製)194.3kg、コハク酸(川崎化成工業株式会社製)173kg、アジピン酸(旭化成ケミカルズ株式会社製)91.8kgを仕込んだ。引き続いて、触媒のテトライソプロポキシチタン(日本曹達株式会社製)46gを添加した。窒素ガス気流中において昇温を行い、192〜220℃にて3.5時間、更に窒素ガスを停止して260〜2600Paの減圧下に3.5時間にわたり脱水縮合によるエステル化反応を行った。採取された試料は、酸価が25mg/g、重量平均分子量(Mw)が12670であった。温度を上昇させ、温度215〜220℃で26〜1940MPaの減圧下に5.5時間、脱グリコール反応を行った。脱グリコール反応終了後、抗酸化剤としてイルガノックス1010(BASFジャパン株式会社製)を190gおよび滑剤としてステアリン酸カルシウム(淡南化学工業株式会社製)190gを加えて、更に30分間撹拌を続けた。採取された試料の重量平均分子量(Mw)が69600であった。このポリエステルは凝縮水を除くと収量は380kgであった。ポリエステル380kgを入れた反応器に160℃で亜燐酸(関東化学株式会社製)57gを投入し、更に30分間攪拌を続けた。次いで反応器に攪拌下でヘキサメチレンジイソシアナート(旭化成ケミカルズ株式会社製)4180gを添加し、160〜190℃で1時間カップリング反応を行った。粘度は急速に増大したが、ゲル化は生じなかった。この反応生成物をギヤポンプにて水中に押出し、カッターで裁断してペレットにした。70℃で3時間、除湿空気循環式の乾燥機で乾燥した後のポリエステルの収量は350kgであった。得られたポリエステルは白色ペレット状で、融点が76℃、重量平均分子量(Mw)が210000、MFRは2.3g/10分であった。
比較合成例1(コハク酸:アジピン酸=80:20モル/モル,(b)の合成)
700Lの反応器を窒素置換してから、1,4−ブタンジオール(大連化学株式会社製)174kg、コハク酸(川崎化成工業株式会社製)173kg、アジピン酸(旭化成ケミカルズ株式会社製)54kgを仕込んだ。引き続いて、触媒のテトライソプロポキシチタン(日本曹達株式会社製)46gを添加した。窒素気流中において昇温を行い、192〜220℃にて3.5時間、更に窒素を停止して260〜2600Paの減圧下に3.5時間にわたり脱水縮合によるエステル化反応を行った。採取された試料は、酸価が9.6mg/g、重量平均分子量(Mw)が12670であった。温度を上昇させ、温度215〜220℃で26〜1940MPaの減圧下に5.5時間、脱グリコール反応を行った。脱グリコール反応終了後、抗酸化剤としてイルガノックス1010(BASFジャパン株式会社製)を190gおよび滑剤としてステアリン酸カルシウム(淡南化学工業株式会社製)190gを加えて、更に30分間撹拌を続けた。採取された試料の重量平均分子量(Mw)が69600であった。このポリエステルは凝縮水を除くと収量は325kgであった。ポリエステル325kgを入れた反応器に160℃で着色防止剤として亜燐酸(関東化学株式会社製)57gを投入し、更に30分間攪拌を続けた。次いで反応器に攪拌下でヘキサメチレンジイソシアナート(旭化成ケミカルズ株式会社製)3600gを添加し、160〜190℃で1時間カップリング反応を行った。粘度は急速に増大したが、ゲル化は生じなかった。この反応生成物をギヤポンプにて水中に押出し、カッターで裁断してペレットにした。70℃で3時間、除湿空気循環式の乾燥機で乾燥した後のポリエステルの収量は300kgであった。得られたポリエステルは白色ペレット状で、融点が92℃、重量平均分子量(Mw)が230000、MFRは1.2g/10分であった。なお、比較合成例で使用した原料は前記合成例と同一である。
<実施例および比較例の樹脂組成物の製造方法>
表1に組成物の種類と配合量を示す。実施例1〜16および比較例1〜9は、樹脂及び添加剤をすべて、タンブラーにて30分間混合した後、スクリュー径30mmの同方向二軸押出機を用いて190℃で溶融混練し、組成物ペレットを得た。得られた各実施例のペレットを温度80℃で3時間、除湿空気循環式乾燥機で乾燥後、吉井鉄工社製40mmΦインフレーション成形機を用いて厚さ20ミクロン、折幅260mm(ブローアップ比=2.8相当)のフィルムを成形した。成形機のダイスは60mmΦ、Lip gap1.2mmで、押出機およびダイスの設定温度は180℃、巻き取りスピードは10m/minに設定した。
Figure 2017203141
以下、実施例及び比較例における樹脂組成物及びフィルムの各種測定方法を示す。
<樹脂組成物のインフレーションフィルム成形性評価方法>
以下の通り3段階評価とした。
○:バブルが安定し所定の寸法のフィルムが得られた場合
△:バブルが不安定で所定の寸法のフィルムを調節できなかった場合
×:バブルが立ち上がらずあるいはパンクが生じて成形できなかった場合
<フィルムの開口性評価方法>
成形後のフィルム開口性を評価した。以下の通り4段階評価とした。環境温度(気温)は5℃、16℃、28℃でそれぞれ行った。
◎:成形直後にすぐにフィルムが口開きする場合
○:成形直後はすぐに口開きできないが、2〜5分後に口開きする場合
△:成形直後はすぐに口開きできないが、8〜12時間に口開きする場合
×:12時間以上経過しても口開きできない場合
<フィルムのヒートシール強度評価方法>
JIS Z 1711に準拠し、測定を行った。試験片の作成は、130℃片面加熱1秒、ゲージ圧力0.4MPaにておこなった。
以下の通り4段階評価とした。
◎:シール強度が15N/15mm幅以上の場合
○:シール強度が10以上15N/15mm幅未満の場合
△:シール強度が5以上10N/15mm幅未満の場合
×:シール強度が5N/15mm幅未満、あるいは、全くシールしていない場合
<フィルム強度評価方法>
フィルム強度はインパクト強度で評価し、JIS P−8134に準じて測定した。フィルム成形性の評価が○あるいは△であり、フィルムが得られた場合のみ測定を行った。なお、一般的に生分解樹脂のインパクト強度は40kJ/m以上であれば十分実用に耐えられると言われている。
<フィルムの耐加水分解性評価方法>
各フィルムサンプルを60℃、95%RHの恒温恒湿器に入れ、1週間後に引張試験を実施し、MD引張破断伸度について初期物性(成形直後の物性)に対する保持率を求めた。これを元に以下の3段階の評価を行った。
○:1週間後の保持率が80%以上
△:1週間後の保持率が50%以上、80%未満
×:1週間後の保持率が50%未満
引張破断伸度はJIS Z−1702に準じて測定した。
<フィルムの生分解性評価方法>
昭和電工(株)龍野事業所内の地面から約10cmの深さのところに10cm角に裁断したフィルムをナイロンメッシュに挟んで1ヶ月埋設した後、フィルムの質量減少量を測定し、その減少割合を次の4段階で評価した。
◎:80%以上
○:50以上80%未満
△:10以上50%未満
×:10%未満
表1に示されている結果から、本発明の生分解性樹脂組成物および生分解性フィルムは比較例のものと比べてフィルム成形性、開口性、および機械的強度において優れていることがわかる。
本発明の生分解性樹脂組成物および生分解性フィルムは適度な生分解速度および加水分解速度を有しており、フィルムインパクト強度、ヒートシール強度、開口性、低温環境での成形時におけるブロッキング特性等が良好であり、コンポストバッグ、農業用フィルムおよび包装材料などとして好適に使用される。

Claims (13)

  1. 脂肪族ジオール成分と脂肪族二塩基酸成分との重合物である脂肪族ポリエステル共重合体(A)、ポリ乳酸系樹脂(B)、および脂肪族ジオール成分と芳香族二塩基酸成分と脂肪族二塩基酸成分との重合物である脂肪族芳香族ポリエステル(C)を含有するとともに、下記(1)〜(3)の要件をすべて満たすことを特徴とする樹脂組成物:
    (1)前記脂肪族ポリエステル共重合体(A)が、前記脂肪族ジオール成分および前記脂肪族二塩基酸成分の少なくとも一方が2種類以上から構成される脂肪族ポリエステル共重合体(A1)を含む;
    (2)前記脂肪族ポリエステル共重合体(A1)における前記脂肪族ジオール成分が2種類以上から構成されるときに、前記脂肪族ジオール成分に最も多く含まれる第一成分は、前記脂肪族ジオール成分の全量に対して55〜78モル%であり;
    前記脂肪族ポリエステル共重合体(A)における前記脂肪族二塩基酸成分が2種類以上から構成されるときに、前記脂肪族二塩基酸成分に最も多く含まれる第一成分は、前記脂肪族二塩基酸成分の全量に対して55〜78モル%である;
    (3)前記(A)+(C)の合計に対して(A)を5〜65質量%含有しており、かつ(A)+(B)+(C)の合計に対して(B)成分が31〜50質量%である。
  2. 前記脂肪族ポリエステル共重合体(A)が、1,4−ブタンジオールとコハク酸の重合物である脂肪族ポリエステル(A2)を含有する請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. スリップ剤(D)を含有する、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記スリップ剤(D)が脂肪酸モノアミド、脂肪酸ビスアミドから選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項3に記載の樹脂組成物。
  5. 前記スリップ剤(D)の量が、樹脂組成物合計量に対して0〜5.0質量%である、請求項3または4に記載の樹脂組成物。
  6. カルボジイミド化合物(E)を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 前記脂肪族ポリエステル共重合体(A1)において、前記脂肪族ジオール成分が、エチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールから選択される少なくとも1種である請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. 前記脂肪族ポリエステル共重合体(A1)において、前記脂肪族二塩基酸成分が、コハク酸およびアジピン酸から選択される少なくとも1種である請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. 脂肪族ポリエステル共重合体(A)は、融点が50〜190℃である請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  10. 脂肪族ポリエステル共重合体(A)は、重量平均分子量が50,000以上である請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  11. 前記脂肪族芳香族ポリエステル(C)が、ポリブチレンアジペートテレフタレートである請求項1〜10のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物を、環境温度10℃以下でインフレーション成形する、フィルムの製造方法。
  13. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる生分解性フィルム。
JP2016097150A 2016-05-13 2016-05-13 樹脂組成物および生分解性フィルム Expired - Fee Related JP6683007B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016097150A JP6683007B2 (ja) 2016-05-13 2016-05-13 樹脂組成物および生分解性フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016097150A JP6683007B2 (ja) 2016-05-13 2016-05-13 樹脂組成物および生分解性フィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017203141A true JP2017203141A (ja) 2017-11-16
JP6683007B2 JP6683007B2 (ja) 2020-04-15

Family

ID=60322065

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016097150A Expired - Fee Related JP6683007B2 (ja) 2016-05-13 2016-05-13 樹脂組成物および生分解性フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6683007B2 (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005023128A (ja) * 2003-06-30 2005-01-27 Showa Highpolymer Co Ltd 樹脂組成物および生分解性フィルム
JP2008195784A (ja) * 2007-02-09 2008-08-28 Mitsubishi Chemicals Corp ポリエステル系樹脂組成物及びその成形体
CN101993584A (zh) * 2009-08-10 2011-03-30 东丽纤维研究所(中国)有限公司 透明韧性聚乳酸组合物
JP2013040321A (ja) * 2011-02-02 2013-02-28 Mitsubishi Chemicals Corp ポリエステル樹脂組成物、該樹脂組成物を成形してなるフィルム、および該フィルムを成形してなる袋
WO2013073403A1 (ja) * 2011-11-15 2013-05-23 昭和電工株式会社 生分解性樹脂組成物及び生分解性フィルム
JP2014077062A (ja) * 2012-10-10 2014-05-01 Mitsubishi Chemicals Corp 樹脂組成物、および、該樹脂組成物を成形してなる成形品
JP2014156541A (ja) * 2013-02-15 2014-08-28 Mitsubishi Chemicals Corp ポリエステル樹脂組成物及び該ポリエステル樹脂組成物を成形してなるフィルム

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005023128A (ja) * 2003-06-30 2005-01-27 Showa Highpolymer Co Ltd 樹脂組成物および生分解性フィルム
JP2008195784A (ja) * 2007-02-09 2008-08-28 Mitsubishi Chemicals Corp ポリエステル系樹脂組成物及びその成形体
CN101993584A (zh) * 2009-08-10 2011-03-30 东丽纤维研究所(中国)有限公司 透明韧性聚乳酸组合物
JP2013040321A (ja) * 2011-02-02 2013-02-28 Mitsubishi Chemicals Corp ポリエステル樹脂組成物、該樹脂組成物を成形してなるフィルム、および該フィルムを成形してなる袋
WO2013073403A1 (ja) * 2011-11-15 2013-05-23 昭和電工株式会社 生分解性樹脂組成物及び生分解性フィルム
JP2014077062A (ja) * 2012-10-10 2014-05-01 Mitsubishi Chemicals Corp 樹脂組成物、および、該樹脂組成物を成形してなる成形品
JP2014156541A (ja) * 2013-02-15 2014-08-28 Mitsubishi Chemicals Corp ポリエステル樹脂組成物及び該ポリエステル樹脂組成物を成形してなるフィルム

Also Published As

Publication number Publication date
JP6683007B2 (ja) 2020-04-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4585749B2 (ja) 黄変を抑えたカルボジイミド組成物、耐加水分解安定剤及び熱可塑性樹脂組成物
US7652085B2 (en) Biodegradable resin composition
JP5060739B2 (ja) 生分解性プラスチック組成物、成形品及び生分解速度制御方法
JP4084953B2 (ja) 生分解性プラスチック組成物とその成形品及び生分解速度制御方法
US20220041823A1 (en) Polyhydroxyalkanoate resin composition, molded body of the same, and film or sheet of the same
JP2005082642A (ja) エステル基を有する樹脂用の耐加水分解安定剤及び熱可塑性樹脂組成物
JP2004155993A (ja) 生分解性プラスチック組成物、その成形品及びこれを利用した生分解速度制御方法
JP4634235B2 (ja) 生分解性樹脂組成物及びフィルム
JPWO2013038770A1 (ja) フィルム
KR101412516B1 (ko) 폴리락트산을 포함하는 생분해성 수지 조성물 및 그의 제조방법
JP6102315B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物及び該ポリエステル樹脂組成物を成形してなるフィルム
JP4493993B2 (ja) 生分解性ポリエステル樹脂組成物、成形物及び農業用マルチフィルム
JP6683007B2 (ja) 樹脂組成物および生分解性フィルム
JP2010150385A (ja) ポリ乳酸樹脂組成物
JP2008195784A (ja) ポリエステル系樹脂組成物及びその成形体
JP2006143829A (ja) ポリ乳酸系樹脂成形品及びその製造方法
JP2009079188A (ja) ポリ乳酸樹脂組成物
JP2004352987A (ja) 水蒸気バリヤー性が改善された生分解性フィルムおよび水蒸気バリヤー性のコントロール方法
JP2007284595A (ja) 脂肪族ポリエステルフィルム
KR20140120771A (ko) 폴리유산 수지 필름
JP4318495B2 (ja) 樹脂組成物および生分解性フィルム
JP2005002165A (ja) 生分解性樹脂組成物、農業用マルチフィルムおよび生分解性の抑制方法
JP7090523B2 (ja) 樹脂組成物及び成形体
JP2010150384A (ja) ポリ乳酸樹脂組成物
JP2006152102A (ja) 乳酸系樹脂組成物、当該組成物を用いて得られる成形品及びフィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190205

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191121

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191126

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200124

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200225

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200309

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6683007

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees