JP2017202653A - 積層体 - Google Patents

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規文 三羽
倫子 甲斐
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倫子 甲斐
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Yasuyuki Ishida
康之 石田
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Abstract

【課題】生産性向上の点から、高速剥離、低速剥離のいずれでも非常に低い剥離力と、かつ高い残留接着率を両立し、さらに粘着剤貼り合わせ後、加熱処理前後の剥離力変化が低いことに加え、高い打抜性を併せ持つ積層体を提供する。【解決手段】支持基材の少なくとも一方の面に、表面層を有する積層体であって、以下の条件1から条件3のすべてを満たすことを特徴とする、積層体。条件1:原子間力顕微鏡により3μm四方の範囲について測定した、表面層表面の弾性率の平均値が15MPa以下。条件2:原子間力顕微鏡により3μm四方の範囲について測定した、表面層表面の弾性率分布の標準偏差が5MPa以下。条件3:積層体のデッドホールド性が50°以下。【選択図】なし

Description

本発明は積層体に関するものであり、特に離型フィルムに好適に用いることができる積層体に関するものである。
ポリエステルフィルムを基材とする離型フィルムが、液晶偏光板、位相差板等の光学用途フィルム製造時に用いる粘着剤保護用離型フィルムとして近年多用されている。
近年、生産性向上の観点から、ある程度高速領域での加工が考えられるが、軽剥離の離型フィルムにおいて、低速領域で低い剥離力を達成するのはもちろんのこと、それを達成しつつ、加工速度を上げてもできるだけ重剥離側の離型フィルムとの剥離力差が縮まらないことを同時に達成することが困難な状況にあった。
仮に、重剥離側離型フィルムと、軽剥離側離型フィルムとの剥離力差が縮まった場合、剥離工程において、粘着層を介して両面に貼り合わされた離型フィルムが同時に剥がれる、あるいは、剥離力差が小さくなるために粘着剤も離型フィルムと一緒に剥がれる等の不具合を生じる場合がある。
かかる問題に対する解決策として、特許文献1では「基材フィルムの少なくとも片面にシリコーン系樹脂皮膜からなる離型層を有し、該シリコーン系樹脂皮膜が、水酸基を有するシリコーンオイルとイソシアネート化合物を反応させて得られるシリコーン化合物を含有してなる離型フィルム」を提案している。
特許文献2では「ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、ポリビニルアルコールを含有する塗布層を有し、一方の面に離型層と粘着層とを順次有する積層フィルムであり、前記離型層が、少なくとも1種類以上のアルケニル基およびアルキル基を官能基として有するシリコーン樹脂を含有し、少なくとも1種類以上の分子量1000以下のシロキサンを3.0〜15.0重量%含有する積層フィルム」を提案している。
特許文献3では「アルケニル基およびアルキル基を官能基として有するシリコーン樹脂、分子量が1000以下の低分子量シリコーン化合物、および白金系触媒を含有するシリコーン系離型層を有するポリエステルフィルムであり、当該離型層の、300mm/分速度域での低速剥離力が10〜20mN/cmの範囲であり、かつ、10000mm/分速度域での高速剥離力が前記低速剥離力の2.5倍以下であり、離型フィルムのMOR値が1.5〜3.0である偏光板用離型ポリエステルフィルム」を提案している。
特許文献4では、「ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、不活性微粒子を含有する離形層を設けた離形フィルムであり、離形層表面の十点平均粗さ(Rz)が20〜500nmであることを特徴とする離形フィルム」を提案している。
特開2005−313601号公報 特開2014-226922号公報 特開2012−137568号公報 特開2004−255704号公報
本発明は、粘着剤に対する剥離力が高速剥離、低速剥離の両条件においても非常に低く、かつ高い残留接着率を両立し、さらに粘着剤貼り合わせ後、加熱処理前後の剥離力変化が低いことに加え、高い打抜性を併せ持つことを特徴とする。
本発明が解決しようとする課題は、生産性向上の点から、高速剥離、低速剥離のいずれでも十分に低い剥離力を持ち、高い残留接着率を両立し、さらに粘着剤貼り合わせ後、加熱処理前後の剥離力変化が低いことに加え、高い打抜性を併せ持つ積層体を提供することにある。上記課題に対し、前述の公知技術は次の状況にある。
まず、特許文献1の技術について、本発明者らが確認したところ、高速剥離、低速剥離のいずれでも剥離力を低減できることを確認したが、加熱処理後の剥離力が大きく上昇するものであった。
さらに、特許文献2、3の技術について、本発明者らが確認したところ、高速剥離、低速剥離のいずれでも剥離力を低減できることを確認したが、残留接着率が高く、さらに加熱処理後の剥離力が大きく上昇するものであった。
また、特許文献4の技術について、本発明者らが確認したところ、高速剥離、低速剥離のいずれでも剥離力が高くなるものであった。
打抜性については、後述のように高速剥離、低速剥離のいずれでも剥離力が低く、かつ、加熱処理後の剥離力も低い時に顕著に起きうる課題である。そのため、特許文献1から4の技術はそもそも低剥離力に特有の打抜性を高める設計はされておらず、技術思想も開示されていなかった。
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、以下の発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の通りである。
<1>
支持基材の少なくとも一方の面に、表面層を有する積層体であって、以下の条件1から条件3のすべてを満たすことを特徴とする、積層体。
条件1:原子間力顕微鏡により3μm四方の範囲について測定した、表面層表面の弾性率の平均値が15MPa以下。
条件2:原子間力顕微鏡により3μm四方の範囲について測定した、表面層表面の弾性率分布の標準偏差が5MPa以下。
条件3:積層体のデッドホールド性が50°以下。
<2>
以下の条件4を満たすことを特徴とする、<1>に記載の積層体。
条件4:積層体のテープ剥離力Rが90mN/50mm以下。
<3>
以下の条件5を満たすことを特徴とする、<1>または<2>に記載の積層体。
条件5:積層体の単位面積当たりの質量Wが45g/m以下。
本発明によれば、高速剥離、低速剥離のいずれでも十分に低い剥離力と、かつ高い残留接着率を両立し、さらに粘着剤貼り合わせ後、加熱処理前後の剥離力変化が低いことに加え、高い打抜性を併せ持つ積層体を得ることができる。
本発明の実施形態を説明する前に、従来技術の問題点、すなわち高速剥離、低速剥離の両条件でも非常に低い剥離力と、高い残留接着率とを両立し、さらに粘着剤貼り合わせ後、加熱処理前後の剥離力変化を小さくすることに加え、高い打抜性を高くすることについて、本発明者の視点で考察する。
[本発明と従来技術の比較]
まず、特許文献1に記載の従来技術の積層体が、高速剥離、低速剥離の両条件でも非常に低い剥離力と、高い残留接着率とを両立できない理由は、従来技術では水酸基を有するシリコーンオイルを、イソシアネート化合物と架橋反応させ、表面層に固定化している。シリコーンオイルの固定化により高い残留接着率は得られるが、架橋部の導入により表面層の弾性率が上昇し、特に低速剥離での剥離力が十分ではなかった。
また、特許文献2〜3に記載の技術は、アルケニル基およびアルキル基を官能基として有するシリコーン樹脂と、分子量が1,000以下の低分子量シロキサンとを混合している。低分子量シロキサンは低い剥離力を得るため、移行成分として添加されているものであり、低い剥離力は得られるが残留接着率とトレードオフの関係にあり、両立することはできない。
さらに、特許文献4に記載の技術は、表面層中にシリカ微粒子を含有している。シリカ微粒子は硬い材料であるため表面層の弾性率が上昇し、特に低速剥離での剥離力が不十分である。
そこで、本発明者らは高速剥離、低速剥離の両条件でも非常に低い剥離力を得る検討を進める上で、積層体が有する表面層表面の弾性率、および弾性率分布に着目した。
表面層は被着体を剥離する際に、被着体の変形に追従して自身が変形することにより剥離エネルギーを下げ、低い剥離力を得ている。表面層の弾性率が低い、すなわち、表面層が非常に柔軟性のある層であることにより被着体の変形に追従しやすく、結果として、より低い剥離力を得ることができる。さらに、表面層表面の弾性率は均一であることが好ましい。弾性率分布の標準偏差が大きいと、弾性率の高い箇所が変形しにくいため、被着体を剥離する際に引っかかりとなり、結果として、剥離力が高くなる。
以上から、表面層表面の弾性率を下げ、弾性率分布の標準偏差を小さくすることで、非常に低い剥離力を得ることができ、好ましい。具体的には、表面層表面の弾性率、および、弾性率分布の標準偏差を一定の値以下にすることが好ましい。
さらに、本発明者らは、積層体の表面層に好適な樹脂組成物の動的粘弾性特性、すなわち、弾性的性質を示す貯蔵弾性率と、粘性的性質を示す損失弾性率、損失弾性率を貯蔵弾性率で除した損失正接に着目した。前述の通り、表面層は被着体を剥離する際に、被着体の変形に追従して自身も変形する。その力学的応答は粘弾性特性に依存するものである。損失正接が低い、すなわち弾性的性質が強い樹脂組成物であり、さらに貯蔵弾性率を下げることにより、非常に柔らかな弾性体となり、剥離時の被着体の変形に追従しやすく、低い剥離力を得ることができる。
以上から、積層体の表面層に好適に用いられる樹脂組成物は、貯蔵弾性率、および、損失正接を小さくすることで、非常に低い剥離力を得ることができ、好ましい。具体的には、樹脂組成物の貯蔵弾性率、および、損失正接を一定の値以下にすることが好ましい。
また、本発明者らは、好適な表面層用塗料組成物は、少なくとも2種類の表面層用樹脂前駆体を含むことに着目した。具体的には、一定の値以上の粘度を有する表面層用樹脂前駆体Aと、一定の値以下の粘度を示す表面層用樹脂前駆体Bとを含むことが好ましい。粘度が高い表面層用樹脂前駆体Aは、すなわち、非常に分子量の大きい高分子量材料であり、表面層用樹脂前駆体Aと比較して粘度が低い表面層用樹脂前駆体Bは、すなわち、表面層用樹脂前駆体Aよりも分子量が低い材料である。このように分子量差のある材料を混合することにより、分子量が低い側の成分が可塑剤のように作用し、表面層の弾性率を低くすることができ、低い剥離力が得られるため好ましい。さらに、塗料組成物中、前記表面層用樹脂前駆体Bは一定の割合であることが好ましい。塗料組成物中、表面層用樹脂前駆体Bが一定の割合で存在することにより、前述の効果が得られる。
以上から、表面層用塗料組成物は、少なくとも2種類の表面層用樹脂前駆体を含むことにより、非常に低い剥離力を得ることができ、好ましい。
また、積層体を用いて製造される部材(液晶偏光板、位相差板等)の生産性向上の観点から、剥離力が十分に低いことが重要である。特に、近年では生産性向上の観点から高速生産が求められており、積層体についても、低速領域と高速領域の両方で剥離力が低いことが重要となる。低速領域と高速領域の両方で積層体の剥離力が十分に低い場合、様々な生産速度でも前記部材の製造に積層体を好ましく用いることができるため、前記部材の生産性を向上することが可能となる。
具体的には、テープ剥離力R(mN/50mm)と高速剥離力R(mN/50mm)の値を一定以下とすることが好ましい。
さらに、本発明者らは打抜性について考察した。積層体を粘着剤および粘着テープ等に貼り合わせ、場合によりさらに他の部材とも貼り合わされた後、目的の大きさとなるように打抜加工を行うことがある。打抜加工の際、瞬間的に積層体と粘着剤および粘着テープ等には負荷が発生するため、剥離が起きる場合がある。特に、低剥離力品では影響が大きく、従来以上に高い打抜性が求められる。打抜時の挙動を詳細に観察した結果、打抜時の力で積層体が変形し、打抜完了後に積層体がスプリングバックを起こし、この時の応力が剥離の原因になったものと考えている。
そこで、本発明者らが検討を進めた結果、打抜加工時の積層体のスプリングバックを抑制することで、打抜性を向上できることを見出した。スプリングバックを抑制するには、積層体の変形後の形状保持性を高めることが有効であり、例えば、支持基材に柔軟性成分を添加する、支持基材が結晶性樹脂であれば結晶化を抑制する(非晶樹脂を混ぜる、熱処理による結晶化を抑制等)、延伸配向を抑制する、支持基材の厚みを下げる等により、積層体の柔軟性を高めることが有効である。これらの一部もしくは複数を取り入れ、積層体の変形後の形状保持性を高めることにより、打抜性を向上することが可能となる。
具体的には、積層体のデッドホールド性を50°以下にすること、積層体の単位体積あたりの質量Wを(以下、単位質量Wと表すこともある)45g/m以下とすること等が好ましい。
[本発明の形態]
以下、本発明の実施の形態について具体的に述べる。
上記課題、すなわち高速剥離、低速剥離のいずれでも十分に低い剥離力と、高い打抜性を併せ持つために、本発明の積層体は、支持基材の少なくとも一方の面に、表面層を有する積層体であって、以下の条件1から条件3のすべてを満たすことが好ましい。
条件1:原子間力顕微鏡により3μm四方の範囲について測定した、表面層表面の弾性率の平均値が15MPa以下。
条件2:原子間力顕微鏡により3μm四方の範囲について測定した、表面層表面の弾性率分布の標準偏差が5MPa以下。
条件3:積層体のデッドホールド性が50°以下。
表面層表面の弾性率、表面層表面の弾性率分布の標準偏差、積層体のデッドホールド性の測定方法は後述する。
剥離力の観点から、本発明の積層体は、表面層表面の弾性率の平均値が、15MPa以下であることが好ましいが、より好ましくは10MPa以下であり、特に好ましくは8MPa以下である。弾性率は外部負荷への応答性を表し、弾性率の平均値を一定以下にすることで、剥離力を低くすることができる。
表面層表面の弾性率が小さいと、被着体の変形に追従して表面層も変形しやすく、剥離に必要なエネルギーを下げることができるため、剥離力を低くすることができる。弾性率が低いほどこの効果は大きいが、転写性などの観点からある程度の架橋構造を有する必要があるため、弾性率の平均値の下限値は1MPa程度と考えられる。一方で、弾性率の平均値が15MPaより大きくなると、表面層の変形が発生しにくいため、被着体の変形量が大きくなり、剥離力が高くなる場合がある。
表面層表面の弾性率の平均値を15MPa以下とするためには、例えば表面層に用いられる樹脂組成物が、後述の表面層用樹脂組成物とすることで可能となる。
また、本発明の積層体は、前記表面層表面の弾性率分布の標準偏差が、5MPa以下であることが好ましいが、より好ましくは4.5MPa以下であり、特に好ましくは4.0MPa以下である。弾性率分布の標準偏差を特定の値以下にすることで、剥離力を低くすることができる。ここでいう標準偏差とは、弾性率分布の広がり幅、すなわち、弾性率のばらつきを示す。算出方法については後述する。
弾性率分布の標準偏差が小さいと、表面層表面の弾性率が均一であり、被着体を剥離する際に引っかかりとなる箇所がないため、剥離力を低くすることができ好ましい。標準偏差が小さいほどこの効果は大きいが、現実的には2MPa程度と考えられる。一方で、標準偏差が5MPaより大きくなると、弾性率のばらつきが多く、弾性率が高い箇所が引っかかりとなり、剥離力が高くなる場合がある。
表面層表面の弾性率分布の標準偏差を5MPa以下とするためには、例えば表面層に用いられる樹脂組成物を、後述の表面層用樹脂組成物とすることで可能となる。
また、打抜性の観点から、本発明の積層体は、デッドホールド性が50°以下であることが好ましいが、より好ましくは40°以下である。デッドホールド性は積層体の変形後の形状保持性を表し、デッドホールド性の値を一定以上にすることで、打抜性を高めることができる。
デッドホールド性が低いと、前述の効果により、積層体を粘着剤や粘着テープと貼り合わせた状態で打抜加工する際に、打抜性が向上するため好ましい。デッドホールド性が低いほどこの効果は大きいが、下限値は3°程度と考えられる。一方で、デッドホールド性が50°より高くなると、打抜性が低下する場合がある。
デッドホールド性を50°以下とするためには、例えば特定の力学特性や厚みを持つ支持基材を選択することで可能となる。
さらに、剥離性の観点から、以下の条件4を満たすことを特徴とすることが好ましい。
条件4:積層体のテープ剥離力Rが90mN/50mm以下。
テープ剥離力Rの測定方法は後述する。
剥離性の観点から、本発明の積層体は、テープ剥離力Rが90mN/50mm以下であることが好ましいが、より好ましくは80mN/50mm以下である。テープ剥離力を特定の値以下とすることで、本発明の積層体を用いて製造される製品の生産性を高めることができる。
テープ剥離力Rが低いと、本発明の積層体を用いて製造される製品の加工速度を向上することができるため、生産性が向上し好ましい。テープ剥離力Rは低いほどこの効果は大きいが、極端に低い場合、意図せぬ位置で剥離が発生し、生産効率が低下する場合があるため、下限値は5mN/50mm程度と考えられる。一方で、テープ剥離力Rが90mN/50mmより高いと、本発明の積層体を用いて製造される製品の加工速度を向上することができず、生産性が低下する場合がある。
テープ剥離力Rを90mN/50mm以下とするためには、例えば表面層が前述の条件1および条件2を満たすことで可能となる。
さらに、打抜後の搬送性の観点から、以下の条件6を満たすことを特徴とすることが好ましい。
条件5:積層体の単位面積当たりの質量Wが45g/m以下。
打抜後の搬送性の観点から、本発明の積層体は、単位面積当たりの質量Wが45g/m以下であることが好ましいが、より好ましくは30g/m以下である。単位面積当たりの質量を特定の値以下とすることで、打抜後の搬送性を高めることができる。
単位面積当たりの質量Wが小さいと、前述の効果により、打抜加工品を搬送する際に、搬送性が向上するため好ましい。単位面積当たりの質量は小さいほどこの効果は大きいが、極端に低い場合、積層体の剛性が不足して搬送性が低下し、生産効率が低下する場合があるため、下限値は1g/m程度と考えられる。一方で、単位面積当たりの質量が45g/mより大きいと、打抜加工品に発生した剥離が大きな剥離へ成長し、搬送性が低下する場合がある。
単位面積当たりの質量Wを45g/m以下とするためには、例えば特定材料や特定の厚み以下の支持基材を選択することで可能となる。
以下、本発明の実施の形態の詳細に説明する。
[積層体、および表面層]
本発明の積層体は、支持基材の少なくとも一方の面に、前述の条件を満たす表面層を有するものであればよく、支持基材の両方の面に表面層を有してもよいし、表面層の支持基材への密着性、帯電防止性、耐溶剤性等を付与するため支持基材と表面層の間に1層以上の中間層を設けてもよい。
前述の表面層の厚みは、10〜500nmであることが好ましく、20〜200nmであることがより好ましい。表面層を上記範囲とすることで、生産性を低下させにくく、安定した剥離性能を実現させることができる。
本発明の積層体の表面層は、前述の条件を満たすことができれば特に限定されないが、本発明の表面層用樹脂組成物により形成されていることが好ましく、本発明の表面層用塗料組成物を後述する積層体の製造方法により、塗布、乾燥、硬化することにより形成することが好ましい。
ここで本発明における「層」とは、前記積層体の表面から厚み方向に向かい、隣接する部位との構成元素の組成、粒子等の含有物の形状、厚み方向の物理特性が不連続な境界面を有することで区別される有限の厚さを有する部位を指す。より具体的には、前記積層体を表面から厚み方向に各種組成/元素分析装置(FT- IR、XPS、XRF、EDAX、SIMS、EPMA、EELS等)、電子顕微鏡(透過型、走査型)または光学顕微鏡にて断面観察した際、前記不連続な境界面により区別され、有限の厚さを有する部位を指す。
[表面層用樹脂組成物]
本発明における表面層用樹脂組成物は、前述の本発明の積層体の表面層に好ましい樹脂組成物を指す。表面層、または表面層用樹脂組成物として前述の条件を満たすことができればその組成は特に限定されないが、アルキッド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、長鎖アルキル基含有樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、有機系とシリコーン系の混合もしくは共重合樹脂などが好ましく、優れた離型性や耐熱性からシリコーン樹脂がより好ましく、特に硬化型シリコーン樹脂が好ましい。
硬化型シリコーン樹脂には、オルガノハイドロジェンポリロキサンとアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンとを白金触媒のもとに、加熱硬化させた「付加反応型」、オルガノハイドロジェンポリロキサンと末端に水酸基を含有するオルガノポリシロキサンとを有機錫触媒を用いて加熱硬化させた「縮重合反応型」、アルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンとメルカプト基を含有するオルガノポリシロキサンとを光重合触媒を用いて硬化させる「ラジカル付加型」、エポキシ基をオニウム塩開始剤にて光開環させて硬化させる「カチオン重合型」があり、いずれを用いてもよいが、生産性、剥離力の観点から、オルガノハイドロジェンポリロキサンとアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンとを、白金触媒のもとに加熱硬化させた付加反応型が好ましい。
本発明における表面層用樹脂組成物は、好ましくは後述する表面層用塗料組成物を必要に応じて乾燥工程で溶媒を除去の上、硬化することにより形成することができる。
[表面層用塗料組成物、表面層用樹脂前駆体]
本発明における表面層用塗料組成物は、前述の積層体の表面層、もしくは表面層用樹脂組成物を形成することができる室温にて液体の性状を示す混合物であり、少なくとも後述する積層体の製造方法によって、表面層用樹脂組成物を形成可能な材料(以降これを表面層用樹脂前駆体、または単に樹脂前駆体と呼ぶ)と、重合開始剤、硬化剤、硬化触媒を含み、さらに溶媒、粒子、帯電防止剤などの各種添加剤を含んでもよい。
表面層用塗料組成物は、前述の条件を満たすことができればその組成は特に限定されないが
前述のように離型性や耐熱性の観点から、シリコーン系樹脂、特に硬化型シリコーン系樹脂を形成可能な樹脂前駆体が好ましく、「付加反応型」、「縮重合反応型」、「ラジカル付加型」、「カチオン重合型」の樹脂前駆体、および重合開始剤、硬化剤、硬化触媒を含む塗料組成物がより好ましい。
また、本発明における表面層用塗料組成物は、樹脂前駆体Aと樹脂前駆体Bとを含むことが好ましい。樹脂前駆体Aは、オルガノハイドロジェンポリシロキサンαとアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンβとを含むことが好ましい。また、樹脂前駆体Aは、樹脂前駆体Aが固形分濃度30質量%で含まれるトルエン溶液の状態で、10,000(mPa・s)以上の粘度を有するものであることが好ましい。一方、樹脂前駆体Bは、オルガノハイドロジェンポリシロキサンX(以下、単にXと呼ぶこともある)とアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンY(以下、単にYと呼ぶこともある)とを含むことが好ましい。また、樹脂前駆体Bは、樹脂前駆体Bが固形分濃度30質量%で含まれるトルエン溶液の状態で、5,000(mPa・s)以下の粘度を有するものであることが好ましい。
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンα、およびXの具体例としては、例えば分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体が挙げられる。本発明に用いられるオルガノハイドロジェンポリシロキサンα、オルガノハイドロジェンポリシロキサンXは、同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
前記アルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンβ、およびYの具体例としては、例えば分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体(ジメチルシロキサン単位96モル%、メチルヘキセニルシロキサン単位4モル%)、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体(ジメチルシロキサン単位97モル%、メチルヘキセニルシロキサン単位3モル%)、分子鎖両末端ジメチルヘキセニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体(ジメチルシロキサン単位95モル%、メチルヘキセニルシロキサン単位5モル%)が挙げられる。本発明に用いられるアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンβ、アルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンYは、異なるものであることが好ましい。また、アルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンβと、アルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンYは、固形分濃度30質量%で含まれるトルエン溶液の状態で粘度差があることが好ましく、アルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンβの粘度は10,000(mPa・s)以上、アルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンYの粘度は5,000(mPa・s)以下であることが好ましい。
付加反応型シリコーン樹脂前駆体と触媒の具体例としては、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと、アルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンとを含むものが好ましく、例えば信越化学工業(株)社製のKS−3650、KS843、KS847、KS847H、KS847T、X62−2829、KS838、PL-50T、東レ・ダウコーニング(株)社製のSD7333、SRX357、SRX345、LTC310、LTC303E、LTC300B、LTC350G、LTC750A、LTC851、LTC759、LTC755、LTC761、LTC856、SRX212、などが挙げられる。
また、本発明における表面層用塗料組成物は、樹脂前駆体Aと樹脂前駆体Bとを含むことが好ましく、樹脂前駆体Aの具体例としては、例えばLTC750A、LTC851、LTC759、LTC755、LTC761、LTC856、樹脂前駆体Bの具体例としては、LTC310、LTC303E、LTC300B、LTC350G、などが挙げられる。
縮重合反応型シリコーン樹脂前駆体と触媒の具体例としては、オルガノハイドロジェンポリロキサンと末端に水酸基を含有するオルガノポリシロキサンと有機錫触媒を含むものが好ましく、例えば東レダウコーニング(株)社製SRX290やSYLOFF23が挙げられる。
ラジカル付加型シリコーン樹脂前駆体と触媒の具体例としては、アルケニル基を含むオルガノポリシロキサンとメルカプト基を含むオルガノポリシロキサンと光重合触媒を含むものが好ましく、例えば東レ・ダウコーニング(株)社製BY24−510H及びBY24−544などが挙げられる。
カチオン重合型シリコーン樹脂前駆体と触媒の具体例としては、エポキシ基を含むオルガノポリシロキサンと、オニウム塩開始剤を含むものが好ましく、例えばモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製TPR6501、UV9300及びXS56−A2775などが挙げられる。
本発明における表面層用塗料組成物の固形分濃度は、特にこれに限定されるものではないが、表面層用塗料組成物が溶媒を含む場合には、通常10質量%以下であり、更には0.5〜5質量%であることが好ましい。0.5質量%未満であると、支持基材もしくは後述する中間層上でハジキが発生しやすく、他方10質量%を超えると表面が粗くなる場合がある。
[中間層]
本発明の積層体では、支持基材と表面層間の層間密着性向上や、積層体の帯電防止、表面層の耐溶剤性や、支持基材からの低分子量成分の表面移行を抑制する(以降、オリゴマーブロック性とする)観点から、支持基材と表面層の間に1層以上の中間層を設けてもよい。
中間層の形成方法は、上記の目的を達する中間層が形成できれば、その形成方法は特に限定されない。支持基材の製膜途中で後述する中間層用塗料組成物を塗布したフィルムを作成後、別の工程で表面層を塗布してもよく、支持基材の製膜後、中間層用塗料組成物を支持基材に塗布-乾燥-巻き取りを行い、次いで表面層を塗布-乾燥-巻き取り(逐次塗布)を行ってもよいが、好ましくは、中間層用塗料組成物を塗布、溶媒除去後、直ちに表面層を塗布することが、支持基材と表面層間の密着性、塗膜品位の面から好ましい。
中間層の乾燥塗布厚みは、好ましくは10〜500nm、より好ましくは20〜200nm、さらに好ましくは20〜100nmである。塗布厚みが10nm〜500nmであると、表面層の本来の目的である離型性能が安定し、かつ中間層によって付与したい機能、即ち支持基材と表面層間の密着性向上、オリゴマーブロック性、帯電防止性、耐溶剤性と優れた塗膜品位を得ることができる。
[中間層用塗料組成物]
中間層用塗料組成物は、特に限定されないが、前述の支持基材と表面層の密着性を付与する目的からは、有機ケイ素化合物、及びまたは有機ケイ素化合物加水分解物の縮合体を含有することが好ましい。
前記有機ケイ素化合物としては、エチルシリケート、メチルシリケートなどのアルコキシシラン化合物、およびγ−メタクリロキシ基含有オルガノアルコキシシラン、エポキシ基含有オルガノアルコキシシラン、ビニル基含有オルガノアルコキシシラン、ビニル基含有アセトキシシランなどのシランカップリング剤、およびこれらの混合物が好ましい。
前記有機ケイ素化合物加水分解物の縮合体としては、前述のアルコキシシラン、もしくはシランカップリング材の加水分解物の2量体以上の縮合体で、いわゆるシリコーンオリゴマー、シリコーンレジン、シロキサンポリマーなどが挙げられる。
中間層用塗料組成物は上記有機ケイ素化合物に加えて、表面層の密着性向上や耐溶剤性付与の観点から有機金属化合物を含有してもよい。有機金属化合物としては、アルミニウム、亜鉛、コバルト、マンガン、ジルコニウム、鉄、インジウムなどの金属の有機酸塩、キレート化合物、アルコキシド、およびそのオリゴマーが好ましく、特に有機アルミニウム化合物が好ましい。
有機アルミニウム化合物としては、(MeO)Al、(EtO)Al、(n−Pro)Alなどのアルミニウムアルコラート、ナフテン酸、ステアリン酸、オクチル酸、安息香酸などのアルミニウム塩、アルミニウムアルコラートにアセト酢酸エステルまたはジアルキルマロネートを反応させて得られるアルミニウムキレート、アルミニウムオキサイドの有機酸塩、アルミニウムアセチルアセトネートなどが挙げられる。さらに有機アルミニウム化合物としては、アルミニウムキレート化合物が好ましい。具体的には、有機アルミニウム化合物として、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートヒス(エチルアセトアセテート)が挙げられる。
本発明における中間層用塗料組成物の固形分濃度は、特にこれに限定されるものではないが、中間層用塗料組成物が溶媒を含む場合には、通常10質量%以下であり、更には0.5〜5質量%であることが好ましい。0.5質量%未満であると、基材フィルム上でハジキが発生しやすくなる場合があり、他方10質量%を超えると表面が粗面化する場合がある。
[その他の塗料組成物添加剤]
前述の表面層用塗料組成物と中間層用塗料組成物は溶媒を含んでもよく、製造適性の面から溶媒を含むことが好ましい。ここで溶媒とは塗布後の乾燥工程にてほぼ全量を蒸発させることが可能な、常温、常圧で液体である物質を指す。本発明の積層体に適した塗料組成物は、溶媒を含んでもよい。溶媒の種類数としては1種類以上20種類以下が好ましく、より好ましくは1種類以上10種類以下、さらに好ましくは1種類以上6種類以下である。
溶媒の種類とは溶媒を構成する分子構造によって決まる。すなわち、同一の元素組成で、かつ官能基の種類と数が同一であっても結合関係が異なるもの(構造異性体)、前記構造異性体ではないが、3次元空間内ではどのような配座をとらせてもぴったりとは重ならないもの(立体異性体)は、種類の異なる溶媒として取り扱う。例えば、2−プロパノールと、n−プロパノールは異なる溶媒として取り扱う。
さらに、積層体に帯電防止性をする目的から、表面層、中間層は各種帯電防止材料を含有してもよい。帯電防止剤としてはアンモニウム基含有化合物に代表されるカチオン系帯電防止剤、ポリエーテル化合物、シロキサン化合物に代表されるノニオン系化合物、フッ素系化合物、スルホン酸化合物に代表されるアニオン系化合物、ベタイン化合物に代表される両性化合物等のイオン導電性高分子化合物や、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリイソチアナフテン、ポリチオフェンなどのπ電子共役系の高分子化合物、イオン性液体などが挙げられる。
また、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、表面層用塗料組成物および中間層用塗料組成物にレベリング剤、紫外線吸収剤、滑剤、等を加えてもよい。これにより、表面層はレベリング剤、紫外線吸収剤、滑剤等を含有することができる。レベリング剤の例としては、アクリル共重合体またはシリコーン系、フッ素系のレベリング剤が挙げられる。紫外線吸収剤の具体例としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シュウ酸アニリド系、トリアジン系およびヒンダードアミン系の紫外線吸収剤が挙げられる。
[支持基材]
本発明の積層体に用いられる支持基材を構成する樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよく、ホモ樹脂であってもよく、共重合または2種類以上のブレンドであってもよい。
本発明における支持基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルム等が挙げられるが、特に積層体に使用される支持基材としては、機械的強度、耐熱性、熱寸法安定性および耐薬品性に優れ、且つ経済的である二軸延伸ポリエステルフィルムが好ましい。
本発明におけるポリエステルとは、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子の総称であって、酸成分およびそのエステルとジオール成分の重縮合によって得られる。具体例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどを挙げることができる。またこれらに酸成分やジオール成分として他のジカルボン酸およびそのエステルやジオール成分を共重合したものであってもよい。これらの中で透明性、寸法安定性、耐熱性などの点でポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが特に好ましい。
また、支持基材には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが添加されていてもよい。支持基材は、単層構成、積層構成のいずれであってもよい。
支持基材の表面には、前記表面層を形成する前に各種の表面処理を施すことも可能である。表面処理の例としては、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理およびオゾン酸化処理が挙げられる。これらの中でもグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理および火焔処理が好ましく、グロー放電処理と紫外線処理がさらに好ましい。
また、支持基材の表面には、本発明の表面層とは別に易接着層、帯電防止層、アンダーコート層、紫外線吸収層などの機能性層をあらかじめ設けることも可能であり、特に易接着層を設けることが好ましい。
本発明における支持基材は、打抜性の観点から、ポリエステルA層とポリエステルB層を有するポリエステルフィルムであって、ポリエステルB層が下記(A)または(B)の少なくとも一方を満たすポリエステルフィルムであることが特に好ましい。
(A)ポリエステルB層を構成するポリエステルのジオール成分について、エチレングリコール由来の構造単位を60モル%以上90モル%以下、その他のジオール由来の構造単位を10モル%以上40モル%以下含有してなる。
(B)ポリエステルB層を構成するポリエステルのジカルボン酸成分について、テレフタル酸由来の構造単位を60モル%以上90モル%以下、その他のジカルボン酸由来の構造単位を10モル%以上40モル%以下含有してなる。
本発明における支持基材に特に好ましく用いられるポリエステルフィルムは、ポリエステルA層と上述の条件を満たすポリエステルB層とが少なくとも各1層ずつ含まれたポリエステルフィルムであればよく、ポリエステルA層とポリエステルB層以外の層が含まれていてもよいし、ポリエステルA層とポリエステルB層が複数含まれていてもよい。
さらに本発明における支持基材に特に好ましく用いられるポリエステルフィルムとしては、ポリエステルA層とポリエステルB層を有する10層以下の積層ポリエステルフィルムである。特にポリエステルB層を構成する樹脂は、ポリエステルA層を構成する樹脂より融点が低いことが好ましい。ポリエステルB層を構成する樹脂がポリエステルA層を構成する樹脂よりも融点が低いことで、フィルム製膜時の熱処理工程等でポリエステルB層の配向を緩和しやすくなり、柔軟性を高めることができる。また、リタデーションを低く制御することが可能となるため、本発明の積層体を光学部材(偏光板等)に貼り合わせ、光学部材の欠陥検査や異物検査をクロスニコル法による目視検査で行う場合、検査性が向上するため好ましい。本発明における融点としては、示差走査熱量計(DSC)を用いて、昇温速度20℃/分で測定を行った際の融解現象で発現する吸熱ピーク温度である。異なる組成のポリエステル樹脂をブレンドして使用し、フィルムとした場合などには複数の融解に伴う吸熱ピークが現れる場合があるが、その場合、熱流の絶対値が最も大きい温度を融点とする。なお、本発明におけるポリエステルB層は、フィルム製膜時の熱処理工程等で配向緩和させ、柔軟性を高めることができ、また、リタデーションを低く制御することをそれぞれ目的の1つとしているため、結晶性が低く、明確な融点を有さないポリエステルについても包含するものとする。
本発明に特に好ましく用いられるポリエステルフィルムは、ポリエステルA層とポリエステルA層より融点の低いポリエステルB層を有し、10層以下の積層ポリエステルフィルムであれば特に限定されず、その他の層を有してもよいが、製膜性、層間密着性の観点から、ポリエステルA層とポリエステルB層が交互に積層されている構成が好ましく、ポリエステルA層とポリエステルB層のみから構成された10層以下の積層ポリエステルフィルムであることが好ましい。
本発明に特に好ましく用いられるポリエステルフィルムの積層する層数は10層以下であることが好ましい。積層する層数が10層よりも多い場合には、各層の厚みが薄くなるため、製膜時の積層性が低くなり、フローマーク等が発生し、フィルム品位が低下する場合がある。本発明に好ましく用いられるポリエステルフィルムは、柔軟性を高めつつ、また、低リタデーションを保ちつつ、高い寸法安定性を両立させる必要がある場合は、ポリエステルA層をより多く有することができるため、積層する層数は、5層以上9層以下とすることが好ましい。一方、高い柔軟性、および/または、低リタデーションを達成しつつ、製造コストを抑えたい場合は、積層する層数は2層以上4層以下とすることが好ましい。
上記のとおり柔軟性を高める、および/またはリタデーションを抑制する手法としては特に限定されないが、例えばポリエステルA層とポリエステルB層を有する10層以下の積層フィルムであって、ポリエステルB層を構成する樹脂がポリエステルA層を構成する樹脂よりも融点を低くし、ポリエステルB層の配向を緩和させる方法、が挙げられる。本発明のポリエステルフィルムは、耐熱性、寸法安定性、取り扱い性の観点から二軸配向ポリエステルフィルムであることが好ましいが、二軸配向ポリエステルフィルムでポリエステルB層の配向を緩和させる方法としては、フィルムの延伸温度を高温化させ、さらに二軸延伸後の熱処理温度を高温とする方法が好ましい。二軸配向ポリエステルフィルムは、未延伸フィルムを長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などにより延伸を行うことができるが、この延伸温度を高温化することで、フィルムが配向しにくくなる。具体的には、長手方向の延伸温度としては、95℃以上130℃以下であれば好ましく、100℃以上120℃以下であればさらに好ましい。また、幅方向の延伸温度としては、100℃以上150℃以下とすることが好ましい。
また、二軸延伸後の熱処理温度としては、(ポリエステルB層の融点−10℃)以上(ポリエステルB層の融点+30℃)以下の温度で行うことが好ましい。上記のような温度範囲で熱処理を行うことで、ポリエステルB層の配向が緩和し、柔軟性を高めることができ、また、リタデーションを低く制御することが可能となる。
ポリエステルB層を構成するポリエステルのジオール成分について、エチレングリコール由来の構造単位以外のジオール由来の構造単位を10モル以上含有することで、二軸配向時のフィルム面内の屈折率を低く制御しやすくなる。同様に、ポリエステルB層を構成するポリエステルのジカルボン酸成分について、テレフタル酸由来の構造単位以外のジカルボン酸由来の構造単位を10モル以上含有することで、二軸配向時のフィルム面内の屈折率を低く制御しやすくなる。
ここで、エチレングリコール由来の構造単位以外のジオール由来の構造単位としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコールなどを挙げることができる。中でもネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソソルベート、スピログリコールが好ましく用いられる。これらのジオール由来の構造単位は、エチレングリコール由来の構造単位以外に1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
また、テレフタル酸由来の構造単位以外のジカルボン酸由来の構造単位としては、例えば、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸由来の構造単位、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸由来の構造単位とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。中でもイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸が好ましく用いられる。これらのジカルボン酸由来の構造単位は、テレフタル酸由来の構造単位以外に1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸などを一部共重合してもよい。
[積層体の製造方法]
本発明の積層体の表面に形成される前記表面層は、塗料組成物を支持基材、または中間層を設けた支持基材上に塗布することにより形成する方法が好ましい。また、表面層と支持基材と表面層の間に中間層を設ける場合も同様に、支持基材上に中間層用塗料組成物塗布することにより形成する方法が好ましい。
支持基材上への塗料組成物の塗布方法は特に限定されないが、塗料組成物をディップコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やダイコート法(米国特許第2681294号明細書)などにより支持基材等に塗布することにより層を形成することが好ましい。さらに、これらの塗布方式のうち、グラビアコート法またはダイコート法が塗布方法としてより好ましい。
塗布に次いで、支持基材等の上に塗布された液膜を乾燥する。得られる積層体中から完全に溶媒を除去することに加え、塗膜の硬化を促進する観点からも、乾燥工程では液膜の加熱を伴うことが好ましい。
乾燥方法については、伝熱乾燥(高熱物体への密着)、対流伝熱(熱風)、輻射伝熱(赤外線)、その他(マイクロ波、誘導加熱)などが挙げられる。この中でも、本発明の製造方法では、精密に幅方向でも乾燥速度を均一にする必要から、対流伝熱または輻射伝熱を使用した方式が好ましい。
さらに、熱またはエネルギー線を照射することによるさらなる硬化操作(硬化工程)を行ってもよい。硬化工程において、熱で硬化する場合には、室温から200℃であることが好ましく、硬化反応の活性化エネルギーの観点から、より好ましくは100℃以上200℃以下、さらに好ましくは130℃以上200℃以下である。
また、エネルギー線により硬化する場合には汎用性の点から電子線(EB線)および/または紫外線(UV線)であることが好ましい。また、紫外線を照射する際に用いる紫外線ランプの種類としては、例えば、放電ランプ方式、フラッシュ方式、レーザー方式、無電極ランプ方式等が挙げられる。放電ランプ方式である高圧水銀灯を用いて紫外線硬化させる場合、紫外線の照度が100〜3,000(mW/cm)、好ましくは200〜2,000(mW/cm)、さらに好ましくは300〜1,500(mW/cm)、となる条件で紫外線照射を行うことが好ましく、紫外線の積算光量が、100〜3,000(mJ/cm)、好ましくは200〜2,000(mJ/cm)、さらに好ましくは300〜1,500(mJ/cm)となる条件で紫外線照射を行うことがより好ましい。ここで、紫外線照度とは、単位面積当たりに受ける照射強度で、ランプ出力、発光スペクトル効率、発光バルブの直径、反射鏡の設計及び被照射物との光源距離によって変化する。しかし、搬送スピードによって照度は変化しない。また、紫外線積算光量とは単位面積当たりに受ける照射エネルギーで、その表面に到達するフォトンの総量である。積算光量は、光源下を通過する照射速度に反比例し、照射回数とランプ灯数に比例する。
[用途例]
本発明の積層体は、高速剥離、低速剥離のいずれでも非常に低い剥離力と、かつ高い残留接着率を両立し、さらに粘着剤貼り合わせ後、加熱処理前後の剥離力変化が小さいことに加え、高い打抜性を併せ持つ点を活かし、液晶偏光板、位相差板等の光学用途フィルム製造時に用いる粘着剤保護用の離型フィルムとして、好適に用いることができる。
次に、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。なお、同一の化合物については特記しない限り同一の製品を用いた。
[エポキシ基含有有機ケイ素化合物]
〔エポキシ基含有有機ケイ素化合物1〕
エポキシ基含有有機ケイ素化合物1として、BY24-846B(東レ・ダウコーニング株式会社製)を使用した。
[メタクリル基含有有機ケイ素化合物]
〔メタクリル基含有有機ケイ素化合物1〕
メタクリル基含有有機ケイ素化合物1として、OFS-6030(東レ・ダウコーニング株式会社製)を使用した。
[アルミニウムキレート化合物]
〔アルミニウムキレート化合物1〕
アルミニウムキレート化合物1として、BY24-846E(東レ・ダウコーニング株式会社製)を使用した。
[シリコーン樹脂前駆体A]
〔シリコーン樹脂前駆体A1〕
シリコーン樹脂前駆体A1として、KS847H(信越化学工業株式会社製)を使用した。
〔シリコーン樹脂前駆体A2〕
シリコーン樹脂前駆体A2として、LTC761(東レ・ダウコーニング株式会社製)を使用した。
〔シリコーン樹脂前駆体A3〕
シリコーン樹脂前駆体A3として、LTC759(東レ・ダウコーニング株式会社製)を使用した。
〔シリコーン樹脂前駆体A4〕
シリコーン樹脂前駆体A4として、LTC755(東レ・ダウコーニング株式会社製)を使用した。
[シリコーン樹脂前駆体B]
〔シリコーン樹脂前駆体B1〕
シリコーン樹脂前駆体B1として、LTC303E(東レ・ダウコーニング株式会社製)を使用した。
〔シリコーン樹脂前駆体B2〕
シリコーン樹脂前駆体B2として、LTC300B(東レ・ダウコーニング株式会社製)を使用した。
[白金触媒]
〔白金触媒1〕
白金触媒1として、PL-50T(信越化学工業株式会社製)を使用した。
〔白金触媒2〕
白金触媒2として、SRX212(東レ・ダウコーニング株式会社製)を使用した。
[中間層塗料組成物の作成]
[中間層用塗料組成物1]
以下の材料を混合し、2プロパノール/トルエン混合溶媒(質量混合比50/50)を用いて希釈し、固形分濃度4質量%の中間層用塗料組成物1を得た。
・エポキシ基含有有機ケイ素化合物1 5質量部
・メタクリル基含有有機ケイ素化合物1 5質量部
・アルミニウムキレート化合物1 1質量部。
[表面層用塗料組成物の作製]
[表面層用塗料組成物1]
以下の材料を混合し、n-ヘプタン/トルエン混合溶媒(質量混合比50/50)を用いて希釈し、固形分濃度2質量%の表面層用塗料組成物1を得た。
・シリコーン樹脂前駆体A1 10質量部
・白金触媒1 0.1質量部。
[表面層用塗料組成物2]
以下の材料を混合し、n-ヘプタン/トルエン(質量混合比50/50)を用いて希釈し、固形分濃度2質量%の表面層用塗料組成物2を得た。
・シリコーン樹脂前駆体A2 9質量部
・シリコーン樹脂前駆体B1 1質量部
・白金触媒2 0.1質量部。
[表面層用塗料組成物3]
以下の材料を混合し、n-ヘプタン/トルエン(質量混合比50/50)を用いて希釈し、固形分濃度2質量%の表面層用塗料組成物3を得た。
・シリコーン樹脂前駆体A2 7質量部
・シリコーン樹脂前駆体B1 3質量部
・白金触媒2 0.1質量部。
[表面層用塗料組成物4]
以下の材料を混合し、n-ヘプタン/トルエン(質量混合比50/50)を用いて希釈し、固形分濃度2質量%の表面層用塗料組成物4を得た。
・シリコーン樹脂前駆体A2 6質量部
・シリコーン樹脂前駆体B1 4質量部
・白金触媒2 0.1質量部。
[表面層用塗料組成物5]
以下の材料を混合し、n-ヘプタン/トルエン(質量混合比50/50)を用いて希釈し、固形分濃度2質量%の表面層用塗料組成物5を得た。
・シリコーン樹脂前駆体A3 9質量部
・シリコーン樹脂前駆体B1 1質量部
・白金触媒2 0.1質量部。
[表面層用塗料組成物6]
以下の材料を混合し、n-ヘプタン/トルエン(質量混合比50/50)を用いて希釈し、固形分濃度2質量%の表面層用塗料組成物6を得た。
・シリコーン樹脂前駆体A4 7質量部
・シリコーン樹脂前駆体B1 3質量部
・白金触媒2 0.1質量部。
[表面層用塗料組成物7]
以下の材料を混合し、n-ヘプタン/トルエン(質量混合比50/50)を用いて希釈し、固形分濃度2質量%の表面層用塗料組成物7を得た。
・シリコーン樹脂前駆体A2 7質量部
・シリコーン樹脂前駆体B2 3質量部
・白金触媒2 0.1質量部。
[表面層用塗料組成物8]
以下の材料を混合し、n-ヘプタン/トルエン(質量混合比50/50)を用いて希釈し、固形分濃度2質量%の表面層用塗料組成物8を得た。
・シリコーン樹脂前駆体A2 10質量部
・白金触媒2 0.1質量部。
[表面層用塗料組成物9]
以下の材料を混合し、n-ヘプタン/トルエン(質量混合比50/50)を用いて希釈し、固形分濃度2質量%の表面層用塗料組成物9を得た。
・シリコーン樹脂前駆体A2 5質量部
・シリコーン樹脂前駆体B1 5質量部
・白金触媒2 0.1質量部。
[支持基材]
[支持基材A1]
組成を表1の通りとして、原料を、酸素濃度を0.2体積%としたベント同方向二軸押出機に供給し、A層押出機シリンダー温度を280℃で溶融し、短管温度を275℃、口金温度を280℃で、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸シートを得た。次いで、長手方向への予熱温度85℃で1.5秒間予熱を行い、延伸温度115℃で長手方向に3.3倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。次いでテンター式横延伸機にて予熱温度85℃で1.5秒予熱を行い、延伸前半温度115℃、延伸中盤温度135℃、延伸後半温度145℃で幅方向に3.3倍延伸し、そのままテンター内にて、熱処理温度230℃で、幅方向に5%のリラックスを掛けながら熱処理を行い、フィルム厚み23μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。これを支持基材A1とした。
[支持基材A2]
組成を表1の通りに変更した以外は、支持基材A1と同様にして厚み20μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。これを支持基材A2とした。
[支持基材A3]
組成を表1の通りとして、原料を、それぞれ酸素濃度を0.2体積%とした別々のベント同方向二軸押出機に供給し、A層押出機シリンダー温度を280℃、B層押出機シリンダー温度を270℃で溶融し、フィードブロック内でA層/B層/A層の3層構成になるよう合流させ、合流後の短管温度を275℃、口金温度を280℃で、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸シートを得た。次いで、長手方向への予熱温度85℃で1.5秒間予熱を行い、延伸温度115℃で長手方向に3.3倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。次いでテンター式横延伸機にて予熱温度85℃で1.5秒予熱を行い、延伸前半温度115℃、延伸中盤温度135℃、延伸後半温度145℃で幅方向に3.3倍延伸し、そのままテンター内にて、熱処理温度230℃で、幅方向に5%のリラックスを掛けながら熱処理を行い、フィルム厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。これを支持基材A3とした。
[支持基材A4]
組成を表1の通りに変更した以外は、支持基材A1と同様にして厚み13μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。これを支持基材A4とした。
[支持基材A5]
組成を表1の通りに変更した以外は、支持基材A1と同様にして厚み5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。これを支持基材A5とした。
[支持基材A6]
組成を表1の通りに変更した以外は、支持基材A3と同様にして厚み40μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。これを支持基材A6とした。
[支持基材B1]
支持基材B1として、“ルミラー”(登録商標)R60R(厚み38μm、東レ株式会社製)を使用した。
[支持基材B2]
支持基材B2として、“ルミラー”(登録商標)U48(厚み125μm、東レ株式会社製)を使用した。
[積層体の製造方法]
[積層体の作成方法1]
支持基材上に、中間層用塗料組成物1を、乾燥・硬化後の塗布厚みが0.1(μm)となるようにグラビアコーターで塗布し、100℃で3秒乾燥硬化した。5分以内に表面層用塗料組成物を、乾燥後の塗布厚みが0.1(μm)となるようにグラビアコートで塗布し、120℃で30秒乾燥硬化して積層体を得た。得られた結果を表3に示した。
以上の方法により実施例1、7の積層体を作成した。
[積層体の作成方法2]
支持基材上に、表面層用塗料組成物を、乾燥後の塗布厚みが0.1(μm)となるようにグラビアコートで塗布し、120℃で30秒乾燥硬化して積層体を得た。得られた結果を表3に示した。
以上の方法により実施例2〜6、8、比較例1〜4の積層体を作成した。
各実施例・比較例に対応する上記積層体の作成方法、使用する中間層用塗料組成物、表面層用塗料組成物を表2に示した。
[積層体の評価]
作成した積層体について、次に示す性能評価を実施し、得られた結果を表3に示す。特に断らない場合を除き、測定は各実施例・比較例において、1つのサンプルにつき場所を変えて3回測定を行い、その平均値を用いた。
[表面層の弾性率の測定、および弾性率分布の標準偏差の算出]
積層体の表面層表面について、AFM(Burker Corporation製 DimensionIcon)を用い、PeakForceQNMモードにて測定を実施し、得られたフォースカーブから付属の解析ソフト「NanoScopeAnalysis V1.40」を用いて、JKR接触理論に基づいた解析を行い、弾性率分布を求めた。
具体的にはPeakForceQNMモードのマニュアルに従い、カンチレバーの反り感度、バネ定数、先端曲率の構成を行った後、下記の条件にて測定を実施し、得られたDMT Modulusチャンネルのデータを表面の弾性率として採用した。なお、バネ定数および先端曲率は個々のカンチレバーによってバラつきを有するが、測定に影響しない範囲として、バネ定数0.3(N/m)以上0.5(N/m)以下、先端曲率半径15(nm)以下の条件を満たすカンチレバーを採用し、測定に使用した。
測定条件は下記に示す。
測定装置 : Burker Corporation製原子間力顕微鏡(AFM)
測定モード : PeakForceQNM(フォースカーブ法)
カンチレバー: ブルカーAXS社製SCANASYST-AIR
(材質:Si、バネ定数K:0.4(N/m)、先端曲率半径R:2(nm))
測定雰囲気 : 23℃・大気中
測定範囲 : 3(μm)四方
分解能 : 512×512
カンチレバー移動速度: 10(μm/s)
最大押し込み荷重 : 10(nN)
次いで得られたDMT Modulusチャンネルのデータを解析ソフト「NanoScopeAnalysis V1.40」にて解析し、Roughnessにて処理することにより得られた、ResultsタブのImage Raw Meanの値を、表面層表面の弾性率とした。更に得られた弾性率のヒストグラムの各階級値および観測頻度を表計算ソフト「Microsoft Office Excel 2010」に取り込み、STDEVP関数を用いることで、弾性率分布の標準偏差を算出した。
[積層体の剥離力]
積層体の表面層表面に粘着テープ(日東電工(株)製ポリエステルテープ 商品名31B:以下31Bテープ)を、5kgのゴムローラーを1往復させて圧着し、23℃65%RH環境下にて24時間放置後、引張試験機を用いて300(mm/分)、および、100,000(mm/分)の速度で180度剥離した時の抵抗値(mN)を測定した。なお、抵抗値(mN)は粘着テープの幅(mm)で除した後に50倍し、粘着テープの幅が50mmに相当する剥離力(mN/50mm)に換算した。測定はそれぞれ引張速度を変えて行い、300(mm/分)の速度で剥離した時をテープ剥離力Rとし、100,000(mm/分)の速度で剥離した時を高速剥離力Rとした。
[デッドホールド性]
積層体を20mm幅×40mm長の矩形に切り出し、試験片とした。なお、40mm長の方向を積層体の長手方向に合わせた。23℃65%雰囲気で24時間放置後、長手方向を半分に折り、折り目に200gの重りを5秒間のせ、重りを取り除いてから5秒後にフィルムの立ち上り角度を測定した。この角度をデッドホールド性の値とした。
[積層体の剥離性]
積層体の表面層表面に粘着テープ(日東電工(株)製ポリエステルテープ 商品名31B:以下31Bテープ)を、5kgのゴムローラーを1往復させて圧着し、23℃65%RH環境下にて24時間放置した。次に、貼り合せた粘着テープと積層体を180度方向に手で剥離を行い、以下の基準に則り判定を行った。
10点: 剥離の際、引っ掛かりを感じず剥離できる。
7点: 剥離の際、僅かに引っ掛かりを感じる。
4点: 剥離の際、強めの引っ掛かりを感じる。
1点: その他(剥離できない等)。
[打抜性]
積層体の表面層表面に粘着テープ(日東電工(株)製ポリエステルテープ 商品名31B:以下31Bテープ)を、5kgのゴムローラーを1往復させて圧着し、23℃65%RH環境下にて24時間放置した。次に、市販のハンドプレス機のステージ上に、厚み0.8mmの軟質塩化ビニルシートを2枚重ねて置き、その上に、5cm×5cmに切り出した貼り合せた粘着テープと積層体を、積層体が上になるように設置した。次に、ハンドプレス機を操作し、φ24mmの丸刃で打抜を行った。打抜後の試験片の打抜部周辺を観察し、以下の基準に則り判定を行った。
10点: 打抜部周辺に剥離なし。
7点: 打抜部から、法線方向に最大1mm以下の剥離が発生。
4点: 打抜部から、法線方向に最大1mmより大きく3mm以下の剥離が発生。
1点: 上記以外(打抜部から法線方向に最大3mmより大きい剥離が発生、打抜できない等)。
[剥離力増加率]
積層体の表面層表面に粘着テープ(日東電工(株)製ポリエステルテープ 商品名31B:以下31Bテープ)を、5kgのゴムローラーを1往復させて圧着し、23℃65%RH環境下にて24時間放置後、引張り試験機を用いて300(mm/分)の速度で180度剥離した時の抵抗値を、加熱前の剥離力とした。
次に、積層体の表面層表面に粘着テープ(日東電工(株)製ポリエステルテープ 商品名31B:以下31Bテープ)を、5kgのゴムローラーを1往復させて圧着し、70℃65%RH環境下にて24時間放置後、引張り試験機を用いて300(mm/分)の速度で180度剥離した時の抵抗値を、加熱後の剥離力とし、以下の式を用いて加熱後の剥離力増加率を求めた。
加熱後の剥離力増加率(%)=A/B×100
A:加熱後の剥離力
B:加熱前の剥離力。
剥離力増加率を以下の基準に則り判定を行った。
10点: 剥離力増加率が120%以下。
7点: 剥離力増加率が120%より大きく、125%以下。
4点: 剥離力増加率が125%より大きく、130%以下。
1点: 剥離力増加率が130%より大きい。
[残留接着率]
ポリエステル粘着テープ(31Bテープ)を離型処理面に5kgのゴムローラーを1往復させて圧着し、70℃、20g/cm2の環境下で20時間静置した。その後室温で1時間冷却した後31Bテープを丁寧にはがし、これを再度銅板に貼り合わせて更に1時間静置した後、300m/分の速度で180度剥離した時の抵抗値を測定した。この値を(f)とする。同様の手順を4フッ化エチレン樹脂(東レフィルム加工株式会社製“トヨフロン”(登録商標))に貼り合わせて剥離抵抗値を測定しこの値をブランク値(fo)とした。この結果を以下の数式に当てはめて残留接着率を計算した。
残留接着率(%)=(f)/(fo)×100
残留接着率を以下の基準に則り判定を行った。
10点: 残留接着率が98%以上。
7点: 残留接着率が97%以上98%未満。
4点: 残留接着率が96%以上97%未満。
1点: 残留接着率が96%未満。
Figure 2017202653
Figure 2017202653
Figure 2017202653
本発明の積層体は、高速剥離、低速剥離のいずれでも非常に低い剥離力と、かつ高い残留接着率を両立し、さらに粘着剤貼り合わせ後、加熱処理前後の剥離力変化が小さいことに加え、高い打抜性を併せ持つ点を活かし、液晶偏光板、位相差板等の光学用途フィルム製造時に用いる粘着剤保護用の離型フィルムとして、好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. 支持基材の少なくとも一方の面に、表面層を有する積層体であって、以下の条件1から条件3のすべてを満たすことを特徴とする、積層体。
    条件1:原子間力顕微鏡により3μm四方の範囲について測定した、表面層表面の弾性率の平均値が15MPa以下。
    条件2:原子間力顕微鏡により3μm四方の範囲について測定した、表面層表面の弾性率分布の標準偏差が5MPa以下。
    条件3:積層体のデッドホールド性が50°以下。
  2. 以下の条件4を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の積層体。
    条件4:積層体のテープ剥離力Rが90mN/50mm以下。
  3. 以下の条件5を満たすことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の積層体。
    条件5:積層体の単位面積当たりの質量Wが45g/m以下。
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