JP2017202476A - フィルタ、浄水器、及び浄水システム - Google Patents
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Abstract
【課題】フィルタ内の中空糸膜を十分に洗浄する。
【解決手段】フィルタ1は、筒状容器14内に配置された中空糸膜モジュール3と、筒状容器14内に格納された、比重の異なる2種類以上の粒状物16とを備えている。粒状物16のうち、少なくとも比重の小さい方の軽粒子17の径が、筒状容器14の内壁の一部の凸状部と中空糸膜モジュール3との距離が最大となる箇所の距離に対して、1.1倍以上、2倍以下である。
【選択図】図1
【解決手段】フィルタ1は、筒状容器14内に配置された中空糸膜モジュール3と、筒状容器14内に格納された、比重の異なる2種類以上の粒状物16とを備えている。粒状物16のうち、少なくとも比重の小さい方の軽粒子17の径が、筒状容器14の内壁の一部の凸状部と中空糸膜モジュール3との距離が最大となる箇所の距離に対して、1.1倍以上、2倍以下である。
【選択図】図1
Description
本発明は、水を浄化するフィルタ、当該フィルタを備えた浄水器、及び当該浄水器を備えた浄水システムに関する。
近年、システムキッチンの省スペース化や引出型キッチンの普及に伴い、浄水装置をシンクの下に配置した、いわゆるアンダーシンク型の浄水システムが広く用いられている。このような浄水システムとして、特許文献1及び2に記載された浄水システムが知られている。浄水システムにおいては、フィルタ交換の煩雑さを回避するために、フィルタの高寿命化が特に求められている。特許文献1及び2の浄水システムでは、フィルタを取りつけた状態で洗浄可能にすることで、フィルタ交換の煩雑さを回避しつつ、フィルタの高寿命化を図っている。
特許文献1の浄水システムでは、水をフィルタにより浄化して浄水を吐水させる状態と、フィルタ内に湯を逆流させてフィルタを洗浄する逆洗状態とを、ユーザが切換えレバーを操作することにより切り替えられるように構成されている。
特許文献2の浄水システムは、専用水栓と一般水栓とを設け、専用水栓の開栓により浄水器で浄化された浄水を専用水栓から出水し、一般水栓の開栓によりフィルタを洗浄した洗浄水を一般水栓から出水することで、ユーザが特に意識することなくフィルタの洗浄を行うように構成されている。そして、特許文献2の浄水システムでは、一般水栓の開栓時に、フィルタ内に流入する水の流れや、この水流により流動するフィルタ内の粒状物により、フィルタ内の中空糸膜を揺動することで、中空糸膜に付着した濁質を洗い流すようになっている。
しかしながら、特許文献1の浄水システムでは、フィルタを洗浄するための原水が浄水流路を通水するため、浄水器や浄水流路に原水に含まれる残留塩素、微生物、赤錆等が残留し、それらが浄水に混ざる可能性がある。
また、特許文献2の浄水システムでは、フィルタ内に流入する水の流れにより中空糸膜を洗浄する場合、十分な洗浄効果が得られず、早期に目詰まりが生じてしまう可能性がある。さらに、特許文献2の浄水システムでは、フィルタ内の粒状物により中空糸膜を揺動して洗浄する場合、粒状物の形状、比重等により粒状物の動きが大きく異なるため、流動した粒状物が中空糸膜と容器との間に絡まる虞がある。そのため、粒状物が中空糸膜モジュールの揺動に効果的に寄与せず、所望の洗浄効果が得られない可能性がある。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、フィルタ内の中空糸膜を十分に洗浄することが可能なフィルタを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明に係るフィルタは、水を浄化するためのフィルタであって、筒状容器と、前記筒状容器の内部に水を流入させる入水口と、前記筒状容器内に配置されており、柱状に束ねられた中空糸膜を有し、前記入水口から前記筒状容器内に流入した水を浄化する中空糸膜モジュールと、前記中空糸膜モジュールで浄化した浄水を排出する浄水出口と、前記中空糸膜モジュールを洗浄した水を排出する洗浄水出口と、前記筒状容器内に格納された、比重の異なる2種類以上の粒状物と、を備え、前記筒状容器の内壁の一部が、他の箇所より内側に凸状に形成されており、前記粒状物のうち、少なくとも比重の小さい方の粒状物の径が、前記凸状に形成された箇所のうち、中空糸膜モジュールとの距離が最大となる箇所の当該距離に対して1.1倍以上、2倍以下である。
上記の構成によれば、粒状物は、筒状容器内に流入した水の流れに乗って、筒状容器内を流動する。このとき、比重の小さいほうの粒状物は、流入した水の流速が遅い場合でも流動し、筒状容器内でより広範囲に広がる。このとき、筒状容器の内壁にさらに凸状に形成された箇所があると、中空糸膜モジュールと当該箇所における内壁との距離が他の箇所より狭くなるため、粒状物が詰まることが懸念される。そして、比重の大きい粒状物よりも比重の小さい粒状物の方が、筒状容器と中空糸膜モジュールとの間に絡まる虞がある。
本発明に係るフィルタによれば、粒状物のうち、少なくとも比重の小さいほうの粒状物の径が、筒状容器の内側の凸状に形成された箇所のうち、中空糸膜モジュールとの距離が最大となる箇所の当該距離に対して、1.1倍以上、2倍以下であるため、比重の小さいほうの粒状物が水の流れに乗って、筒状容器内の全体に広がったとしても、筒状容器と中空糸膜モジュールとの間に絡まることがない。その結果、粒状物が中空糸膜モジュールの揺動に効果的に寄与するため、所望の洗浄効果を得ることができ、フィルタを長寿命化することができる。また、粒状物の中空糸膜への噛み込み及びつまりも防止することもできる。
本発明に係るフィルタは、前記粒状物として、比重1以上、1.5以下の軽粒子と、比重2以上、3以下の重粒子とを含み、前記軽粒子に対する前記重粒子の重量比が、1:3であることが好ましい。
これにより、軽粒子は、水流がない場合には沈殿して中空糸膜モジュールに絡まることを防ぐと共に、流速が遅い場合でも流動し、中空糸膜モジュールを揺動することができる。また、重粒子は、流速が遅い場合には流動しないが、流速が早い場合には水流により好適に流動し、中空糸膜モジュールを揺動することができる。そして、軽粒子に対する重粒子の重量比が上記範囲内であるため、筒状容器内に流入する水の流速が遅い場合と早い場合との両方において、好適に粒状物を流動させることできる。
特に、フィルタを家庭用浄水器として使用する実使用環境下においては、一般的な使用圧力が0.07MPa以上、0.35MPa以下であるため、このような実使用環境下においても、上記の構成であれば、好適に粒状物を流動させ、中空糸膜モジュールを揺動することができる。
本発明に係るフィルタは、前記粒状物を、前記筒状容器内の空隙の体積1ccあたり、0.06g以上、0.3g以下含むことが好ましい。
これにより、上述したような実使用環境下においても、粒状物を安定的に流動させ、中空糸膜モジュールを十分に揺動することができる。
本発明に係るフィルタは、筒状容器に流入した水を、前記筒状容器内で旋回させる螺旋流形成部をさらに備えることが好ましい。
これにより、筒状容器の内部に流入する水を螺旋流に変換することができ、当該螺旋流により粒状物をより好適に流動させることができる。
本発明に係るフィルタにおいて、前記螺旋流形成部は、前記筒状容器の側面に設けられた流入孔であり、当該流入孔は、前記筒状容器の径方向に対して傾斜した方向に、前記筒状容器の外側から内側に貫通していることが好ましい。
これにより、筒状容器の内部に流入する水を螺旋流に好適に変換することができ、当該螺旋流により粒状物をより好適に流動させることができる。
本発明に係るフィルタは、前記流入孔の孔径が、2.0mm以上、3.0mm以下であることが好ましい。
これにより、筒状容器内に流入する水を好適な流速とすることができる。例えば、上記の孔径2.0mm以上、3.0mm以下の流入孔から、上述した一般的な使用圧力で水を流入させることによって、流入孔における流速を100cm/s以上、600cm/s以下とすることができる。これにより、粒状物の流動速度が上がり、中空糸膜の洗浄効果を高めることができる。
本発明に係るフィルタにおいて、前記筒状容器は、底を塞ぐ底蓋を備えており、前記流入孔が、前記底蓋の側面に設けられていることが好ましい。
これにより、筒状容器の底側から螺旋流が生じ、粒状物全体を好適に回転浮上させることができる。
本発明に係る浄水器は、前記いずれかのフィルタを備えている。
これにより、本発明に係るフィルタと同様の効果を奏する。
本発明に係る浄水システムは、第1水栓と、当該第1水栓とは異なる第2水栓と、前記浄水器と、を備え、前記第1水栓が開いたときに、前記浄水器の前記中空糸膜モジュールにおいて浄化した浄水を前記第1水栓から出水し、前記第2水栓が開いたときに、前記浄水器の前記中空糸膜モジュールの前記中空糸膜を洗浄した洗浄水を前記第2水栓から出水する。
これにより、本発明に係るフィルタと同様の効果を奏する。
本発明に係るフィルタによれば、粒状物が中空糸膜モジュールと筒状容器との間に絡まらず、粒状物を安定的に流動させて中空糸膜モジュールを揺動することができるので、中空糸膜に付着した濁質を効果的にふるい落とすことが可能である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るフィルタの断面図である。図2は、本発明の一実施形態に係るフィルタの上面図である。図1に示すフィルタ1は、図2に示すフィルタ1のVI−VI断面図であり、フィルタ1の洗浄時における、フィルタ1を洗浄した水の排出を示している。また、図3は、図2に示すフィルタ1のIV−IV断面図であり、フィルタ1による水の浄化時及びフィルタ1の洗浄時における、フィルタ1への水の流入を示している。さらに、図4は、図2に示すフィルタ1のV−V断面図であり、フィルタ1による水の浄化時における、フィルタ1により浄化された浄水の流出を示している。
〔フィルタ1〕
図1〜4に示すように、フィルタ1は、筒状容器14と、筒状容器14の内部に設けられた中空糸膜モジュール3とを備えている。また、フィルタ1は、筒状容器14の上部に、入水口管(入水口)8、浄水出口管(浄水出口)10、及び、洗浄水出口管(洗浄水出口)11を備えている。そして、筒状容器14内には、軽粒子17及び重粒子18を含む粒状物16が格納されている。フィルタ1は、後述するように、図9に示すヘッダ92に取り付けて浄水器81を構成する。
図1〜4に示すように、フィルタ1は、筒状容器14と、筒状容器14の内部に設けられた中空糸膜モジュール3とを備えている。また、フィルタ1は、筒状容器14の上部に、入水口管(入水口)8、浄水出口管(浄水出口)10、及び、洗浄水出口管(洗浄水出口)11を備えている。そして、筒状容器14内には、軽粒子17及び重粒子18を含む粒状物16が格納されている。フィルタ1は、後述するように、図9に示すヘッダ92に取り付けて浄水器81を構成する。
(筒状容器14)
フィルタ1において、筒状容器14は、容器本体4及び容器キャップ5備える外側容器2内に設けられている。容器本体4は、一端が開放され、他端が閉鎖された円筒状であり、容器本体4の開放端には、容器キャップ5が取り付けられている。容器キャップ5は、容器本体4に対して取り外し可能なように螺合式(図示せず)で構成されている。また、容器キャップ5の一端は、ヘッダ92に嵌め込み可能なように突出しており、Oリング6を介してヘッダ92に対してフィルタ1を液密に固定できるように構成されている。
フィルタ1において、筒状容器14は、容器本体4及び容器キャップ5備える外側容器2内に設けられている。容器本体4は、一端が開放され、他端が閉鎖された円筒状であり、容器本体4の開放端には、容器キャップ5が取り付けられている。容器キャップ5は、容器本体4に対して取り外し可能なように螺合式(図示せず)で構成されている。また、容器キャップ5の一端は、ヘッダ92に嵌め込み可能なように突出しており、Oリング6を介してヘッダ92に対してフィルタ1を液密に固定できるように構成されている。
筒状容器14は、容器キャップ5を容器本体4から取り外すことによって、外側容器2から取り出せるようになっている。筒状容器14は、中空糸膜モジュール3の外周を囲むように配置され、その一端に容器キャップ5内に取り付け可能なキャップ7を備えており、他端に筒状容器14の底を塞ぐ底蓋19が設けられている。キャップ7の中央には、上下方向に伸びる入水口管8が設けられている。
また、筒状容器14は、その内部に中空糸膜モジュール3を好適に固定するために、その内壁の一部が、他の箇所より内側に凸状に形成された凸状部21を備えている。
(入水口管8)
入水口管8は、フィルタ1をヘッダ92に取り付けた時に、ヘッダ92内の水排出口(図示せず)と連結される。入水口管8は、図8に示すバルブ86からヘッダ92を介して送られた水を、フィルタ1内に流入させる。
入水口管8は、フィルタ1をヘッダ92に取り付けた時に、ヘッダ92内の水排出口(図示せず)と連結される。入水口管8は、図8に示すバルブ86からヘッダ92を介して送られた水を、フィルタ1内に流入させる。
(浄水出口管10)
浄水出口管10は、入水口管8よりもキャップ7の周方向外側に上下方向に伸びるように設けられており、中空糸膜モジュール3により浄化された浄水をフィルタ1外に排出する。浄水出口管10は、浄水出口管10から排出される浄水を、図8に示す専用水栓(第1水栓)83に送るように、ヘッダ92の水流入口(図示せず)に連結される。
浄水出口管10は、入水口管8よりもキャップ7の周方向外側に上下方向に伸びるように設けられており、中空糸膜モジュール3により浄化された浄水をフィルタ1外に排出する。浄水出口管10は、浄水出口管10から排出される浄水を、図8に示す専用水栓(第1水栓)83に送るように、ヘッダ92の水流入口(図示せず)に連結される。
(洗浄水出口管11)
洗浄水出口管11は、入水口管8と浄水出口管10との間に上下方向に伸びるように設けられており、中空糸膜モジュール3を洗浄した水をフィルタ1外に排出する。洗浄水出口管11は、洗浄水出口管11から排出される洗浄水を、図8に示す一般水栓(第2水栓)82に送るように、ヘッダ92の水流入口(図示せず)に連結される。
洗浄水出口管11は、入水口管8と浄水出口管10との間に上下方向に伸びるように設けられており、中空糸膜モジュール3を洗浄した水をフィルタ1外に排出する。洗浄水出口管11は、洗浄水出口管11から排出される洗浄水を、図8に示す一般水栓(第2水栓)82に送るように、ヘッダ92の水流入口(図示せず)に連結される。
(中空糸膜モジュール3)
中空糸膜モジュール3は、筒状容器14内に取り出し可能に設けられており、柱状に束ねられた多数本の中空糸膜12を備えている。入水口管8からフィルタ1内に流入した水は、中空糸膜モジュール3の中空糸膜12を通過することで浄化される。
中空糸膜モジュール3は、筒状容器14内に取り出し可能に設けられており、柱状に束ねられた多数本の中空糸膜12を備えている。入水口管8からフィルタ1内に流入した水は、中空糸膜モジュール3の中空糸膜12を通過することで浄化される。
(中空糸膜12)
中空糸膜12の各々は、U字状に曲げられてその両端がポッティング材13により保持されている。そして、多数の中空糸膜12をU字状に曲げてその端部をポッティング材13に固定することによって、多数の中空糸膜12が柱状体を構成している。また、中空糸膜12の端部は開口しており、中空糸膜12で浄化された水をポッティング材13よりも一端側にある空間15に向けて流せるように構成されている。この空間15は、浄水出口管10と連結されており、浄化された水は、空間15を通過して浄水出口管10に流れる。
中空糸膜12の各々は、U字状に曲げられてその両端がポッティング材13により保持されている。そして、多数の中空糸膜12をU字状に曲げてその端部をポッティング材13に固定することによって、多数の中空糸膜12が柱状体を構成している。また、中空糸膜12の端部は開口しており、中空糸膜12で浄化された水をポッティング材13よりも一端側にある空間15に向けて流せるように構成されている。この空間15は、浄水出口管10と連結されており、浄化された水は、空間15を通過して浄水出口管10に流れる。
中空糸膜12としては、例えば、セルロース系、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリビニルアルコール系、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリエーテル系、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)系、ポリスルフォン系、ポリアクリロニトリル系、ポリ弗化エチレン(テフロン(登録商標))系、ポリカーボネート系、ポリエステル系、ポリアミド系、芳香族ポリアミド系等の各種材料からなるものを使用することが好ましい。これらの材料の中でも、特に、膜の強伸度や耐屈曲性、洗浄性、取扱性や耐薬品性の高さ等を考慮すると、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系中空糸膜を使用することが好ましい。これらの材料の中でも、膜の強伸度、耐屈曲性、洗浄性又は流量及び濁りろ過性能を考慮すると、ポリエチレン系中空糸膜を使用することが好ましい。
(底蓋19)
底蓋19は、図5及び6に記載されているように、円盤形状の底面22と、底面22の周囲に沿って形成された壁23とを備えている。図5は、本発明の一実施形態に係るフィルタが備える底蓋の断面図であり、図6は、図5に示す底蓋の上面図である。底蓋19の壁23には、筒状容器14内に水を流入させるための孔(流入孔)24が形成されており、入水口管8から流入した水を筒状容器14内に流入させるようになっている。
底蓋19は、図5及び6に記載されているように、円盤形状の底面22と、底面22の周囲に沿って形成された壁23とを備えている。図5は、本発明の一実施形態に係るフィルタが備える底蓋の断面図であり、図6は、図5に示す底蓋の上面図である。底蓋19の壁23には、筒状容器14内に水を流入させるための孔(流入孔)24が形成されており、入水口管8から流入した水を筒状容器14内に流入させるようになっている。
(水の流れ)
<フィルタ1に流入する水の流れ>
ヘッダ92を介してバルブ86からフィルタ1に流れてきた水は、図3に示す矢印Aのように、入水口管8を通じて外側容器2の内部に流れ込む。また、キャップ7は、入水口管8の下部に受け部9を有しており、受け部9は、入水口管8から流れてきた水を受けて、図3に示す矢印Bに示すように、外側容器2の周方向に水を流すようになっている。外側容器2の周方向に流れた水は、図3に示す矢印Cに示すように、容器本体4と筒状容器14とのすき間20に流れ込み、図3に示す矢印Dに示すように、すき間20を通過し、図3に示す矢印Eに示すように、筒状容器14の他端に設けられた底蓋19から筒状容器14内に流入する。
<フィルタ1に流入する水の流れ>
ヘッダ92を介してバルブ86からフィルタ1に流れてきた水は、図3に示す矢印Aのように、入水口管8を通じて外側容器2の内部に流れ込む。また、キャップ7は、入水口管8の下部に受け部9を有しており、受け部9は、入水口管8から流れてきた水を受けて、図3に示す矢印Bに示すように、外側容器2の周方向に水を流すようになっている。外側容器2の周方向に流れた水は、図3に示す矢印Cに示すように、容器本体4と筒状容器14とのすき間20に流れ込み、図3に示す矢印Dに示すように、すき間20を通過し、図3に示す矢印Eに示すように、筒状容器14の他端に設けられた底蓋19から筒状容器14内に流入する。
<フィルタ1により浄化する水の流れ>
フィルタ1により水を浄化する場合、底蓋19から筒状容器14内に流入した水は、図4に示す矢印Fに示すように、中空糸膜モジュール3に向かって流れ、図4に示す矢印Gに示すように中空糸膜12内を通過して浄化される。そして、中空糸膜12により浄化された浄水は、図4に示す矢印Hに示すように、浄水出口管10からフィルタ1外に送られる。
フィルタ1により水を浄化する場合、底蓋19から筒状容器14内に流入した水は、図4に示す矢印Fに示すように、中空糸膜モジュール3に向かって流れ、図4に示す矢印Gに示すように中空糸膜12内を通過して浄化される。そして、中空糸膜12により浄化された浄水は、図4に示す矢印Hに示すように、浄水出口管10からフィルタ1外に送られる。
<フィルタ1を洗浄する水の流れ>
中空糸膜12を洗浄するとき、底蓋19の孔24から筒状容器14内に流入した水は、図1に示す矢印Iに示すように、筒状容器14と中空糸膜モジュール3との間を通過して、図1に示す矢印Jに示すように、洗浄水出口管11に向かって流れながら、後述する粒状物16を筒状容器14内で流動させる。そして、流動した粒状物16が中空糸膜モジュール3に接触することで、中空糸膜12を揺動し、中空糸膜12に付着した濁質をふるい落とす。ふるい落とされた濁質は、洗浄水出口管11に向かう水と共に洗浄水出口管11からフィルタ1外に排出される。
中空糸膜12を洗浄するとき、底蓋19の孔24から筒状容器14内に流入した水は、図1に示す矢印Iに示すように、筒状容器14と中空糸膜モジュール3との間を通過して、図1に示す矢印Jに示すように、洗浄水出口管11に向かって流れながら、後述する粒状物16を筒状容器14内で流動させる。そして、流動した粒状物16が中空糸膜モジュール3に接触することで、中空糸膜12を揺動し、中空糸膜12に付着した濁質をふるい落とす。ふるい落とされた濁質は、洗浄水出口管11に向かう水と共に洗浄水出口管11からフィルタ1外に排出される。
なお、バルブ86からフィルタ1に水が送られるシステム、フィルタ1から浄水が排出されるシステム、及びフィルタ1から洗浄水が排出されるシステムについては後述する。
このように、フィルタ1では、中空糸膜12により浄化された水と、中空糸膜12を洗浄する水との流路が異なっており、中空糸膜12を洗浄した水が中空糸膜12を通過することがない。また、フィルタ1では、原水が浄水の流路を通過することもない。したがって、中空糸膜12を洗浄した水や原水に含まれる不純物により浄水が汚染されることがない。
(粒状物16)
底蓋19内には、比重の異なる2種類の粒状物16が格納されている。粒状物16は、孔24から筒状容器14内に流入した水の流れに乗って流動し、中空糸膜モジュール3に接触することで、中空糸膜モジュール3を揺動するようになっている。そして、中空糸膜モジュール3が粒状物16により揺動されることによって、中空糸膜12に付着した濁質をふるい落とすことができる。
底蓋19内には、比重の異なる2種類の粒状物16が格納されている。粒状物16は、孔24から筒状容器14内に流入した水の流れに乗って流動し、中空糸膜モジュール3に接触することで、中空糸膜モジュール3を揺動するようになっている。そして、中空糸膜モジュール3が粒状物16により揺動されることによって、中空糸膜12に付着した濁質をふるい落とすことができる。
このように、中空糸膜モジュール3を揺動することで、中空糸膜12に付着した濁質をふるい落とすため、中空糸膜12の外層近辺だけでなく、中空糸膜12の中心部に付着した濁質もふるい落とすことができ、より効果的に中空糸膜12を洗浄することができる。
また、孔24から流入する水の流れにより流動する粒状物16により中空糸膜12を洗浄するため、流入時に一般的な原水圧があればよく、中空糸膜12を洗浄するための電源等が不要である。また、中空糸膜12を洗浄するための薬品や界面活性剤を必要としないため、水の味、環境、及び安全面に影響を及ぼさない。
粒状物16として、比重の異なる2種類の粒状物が底蓋19内に格納されているので、孔24から筒状容器14内に流入する水の流速が遅い場合には、比重の小さい粒状物が中空糸膜モジュール3に接触し、流速が早い場合には、比重の大きい粒状物も中空糸膜モジュール3に接触するようになっている。これにより、中空糸膜モジュール3をより効果的に揺動でき、中空糸膜12に付着した濁質をより効果的にふるい落とすことが可能である。
粒状物16は、比重の小さいほうの粒状物として、軽粒子17を、比重の大きいほうの粒状物として、重粒子18を含む。そして、粒状物16のうち、少なくとも軽粒子17の径は、筒状容器14の凸状部21と中空糸膜モジュール3との距離が最大となる箇所の距離Lに対して、1.1倍以上、2倍以下である。ここで、軽粒子17の径は、軽粒子17の最大径を意味している。
粒状物16は、孔24から筒状容器14内に流入した水の流れに乗って、底蓋19から筒状容器14の上部に向かって巻き上げられる。このとき、より比重の小さい軽粒子17は、流入した水の流速が遅い場合でも流動し、筒状容器14内でより広範囲に広がる。このとき、筒状容器14のように、その内壁にさらに凸状に形成された凸状部21があると、中空糸膜モジュールと凸状部21における内壁との距離が他の箇所より狭くなるため、粒状物16が詰まることが懸念される。そして、重粒子18よりも軽粒子17の方が、凸状部21と中空糸膜モジュール3との間に絡まる虞がある。
しかし、フィルタ1においては、粒状物16のうち、少なくとも軽粒子17の径が、筒状容器14の凸状部21と中空糸膜モジュールとの距離が最大となる箇所の距離Lに対して、1.1倍以上、2倍以下であるため、軽粒子17が水の流れに乗って、筒状容器14内の全体に広がったとしても、筒状容器14の凸状部21と中空糸膜モジュール3との間に軽粒子17が詰まることがない。その結果、粒状物16が中空糸膜モジュール3の揺動により効果的に寄与するため、所望の洗浄効果を得ることができ、フィルタ1を長寿命化することができる。
なお、粒状物16のうち、少なくとも軽粒子17の径が、距離Lに対して1.1倍以上、2倍以下であればよいが、軽粒子17及び重粒子18の両方の径が、距離Lに対して1.1倍以上、2倍以下であることがより好ましい。これにより、筒状容器14の凸状部21と中空糸膜モジュール3との間への粒状物16の詰まりをより確実に防ぐことができる。
また、軽粒子17は、比重が1以上、1.5以下であり、重粒子18は、比重が2以上、3以下であり、軽粒子17に対する重粒子18の重量比が、1:3であることが好ましい。
軽粒子17の比重が1以上、1.5以下であることによって、水流がない場合には沈殿して中空糸膜モジュール3に絡まることを防ぐと共に、流速が遅い場合でも流動し、中空糸膜モジュール3を揺動することができる。重粒子18の比重が2以上、3以下であることによって、流速が遅い場合には流動しないが、流速が早い場合には水流により好適に流動し、中空糸膜モジュール3を揺動することができる。そして、筒状容器14内の軽粒子17に対する重粒子18の重量比が、1:3であることにより、孔24から筒状容器14内に流入する水の流速が遅い場合と早い場合との両方において、好適に粒状物16を流動させることできる。
特に、フィルタ1を家庭用浄水器において使用する実使用環境下においては、一般的な使用圧力が0.07MPa以上、0.35MPa以下である。したがって、軽粒子17は、比重が1以上、1.5以下であり、重粒子18は、比重が2以上、3以下であり、軽粒子17に対する重粒子18の重量比が、1:3であれば、このような実使用環境下においても、好適に粒状物16を流動させ、中空糸膜モジュール3を揺動することができる。
また、軽粒子17と重粒子18とを、上述した比重及び混合比とすることで、中空糸膜12の最適な洗浄を実現できるため、カートリッジの形状を変更しても、同等の効果を得ることができる。
なお、軽粒子17の総量に対する重粒子18の総量の重量比は、1:3であることが好ましいが、軽粒子17と重粒子18との1個当たりの重量比は、特に限定されない。したがって、軽粒子17と重粒子18との1個当たりの重量比は、例えば、1:1から1:5であってもよい。
さらに、粒状物16は、筒状容器14内の空隙の体積1ccあたり、0.06g以上、0.3g以下含まれていることが好ましい。粒状物16が、筒状容器14内の空隙の体積1ccに対して、0.06g以上、0.3g以下含まれていることによって、上述したような実使用環境下においても、粒状物16を安定的に流動させ、中空糸膜モジュール3を十分に揺動することができる。
軽粒子17は、孔24から筒状容器14内に流入する水の流速が遅い場合でも、中空糸膜モジュール3に接触するように流動し、中空糸膜モジュール3を揺動させることができる。このような軽粒子17として、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂製の粒状物を用いることができる。
重粒子18は、孔24から筒状容器14内に流入する水の流速が遅い場合には、流動せずに沈殿した状態であるが、流速が早い場合には、中空糸膜モジュール3に接触するように流動 すると共に、筒状容器14の全体に広がりにくいため、筒状容器14と中空糸膜モジュール3との間に絡まりにくい。このような重粒子18として、例えば、砕石を用いることができるが、軽粒子17よりも比重の大きいものであれば特に限定されない。
粒状物16の形状としては、ハート型、星型、球状、立方体状、直方体状、円筒状、円錐状などが挙げられるが、これらに限定されない。また、中空糸膜12を傷つけないようにするために、粒状物16は、尖った形状を有していないことが好ましい。
(孔24)
図5及び6に示すように、底蓋19の壁23には複数の孔24が設けられており、これらの孔24は、筒状容器14の径方向に対して傾斜した方向に貫通していることが好ましい。すなわち、孔24は、筒状容器14の径方向に対して、例えば30度傾斜した方向に伸びている。言い換えると、孔24は、底蓋19の外表面に形成された入口から内表面に形成された出口まで伸びており、孔24の出口は、入口に対して、筒状容器14の周方向にずれた位置に形成されている。これによって、孔24から筒状容器14の内部に流入する水を、筒状容器14内で旋回する螺旋流に変換することができ、当該螺旋流により粒状物16をより好適に流動させることができる。したがって、孔24は、螺旋流形成部と称することもできる。
図5及び6に示すように、底蓋19の壁23には複数の孔24が設けられており、これらの孔24は、筒状容器14の径方向に対して傾斜した方向に貫通していることが好ましい。すなわち、孔24は、筒状容器14の径方向に対して、例えば30度傾斜した方向に伸びている。言い換えると、孔24は、底蓋19の外表面に形成された入口から内表面に形成された出口まで伸びており、孔24の出口は、入口に対して、筒状容器14の周方向にずれた位置に形成されている。これによって、孔24から筒状容器14の内部に流入する水を、筒状容器14内で旋回する螺旋流に変換することができ、当該螺旋流により粒状物16をより好適に流動させることができる。したがって、孔24は、螺旋流形成部と称することもできる。
孔24の孔径は、2.0mm以上、3.0mm以下が好ましく、2.4mm以上、2.6mm以下であることがより好ましい。これにより、筒状容器14内に流入する水を好適な流速とすることができる。例えば、孔径が2.0mm以上、3.0mm以下の孔24から、水圧0.07MPa以上、0.35MPa以下で水を流入させることによって、孔24における流速を100cm/s以上、600cm/s以下とすることができる。孔24における流速を100cm/s以上、600cm/s以下とすることによって、粒状物16の流動速度が上がり、中空糸膜12の洗浄効果を高めることができる。
孔24は、筒状容器14の底蓋19の側面に設けられていることが好ましい。これにより、筒状容器14の底部側から生じる螺旋流により、粒状物16全体を好適に回転浮上させることができる。
(孔の他の形態)
筒状容器14内に水を流入させる孔は、図7に示す孔72のように、筒状容器14の側面に設けられていてもよい。図7は、本発明の他の実施形態に係るフィルタの側面図である。
筒状容器14内に水を流入させる孔は、図7に示す孔72のように、筒状容器14の側面に設けられていてもよい。図7は、本発明の他の実施形態に係るフィルタの側面図である。
図7に示すように、孔72は、筒状容器14の外表面に形成された入口73から内表面に形成された出口71まで伸びている。そして、孔72の出口71は、入口73に対して、筒状容器14の周方向にずれた位置に形成されていることが好ましい。そして、水が筒状容器14内に流入するときに、複数の孔72を通過することによって、筒状容器14内の水の流れを螺旋状にすることができる。そして、螺旋状の水流により粒状物16を好適に流動させることにより、中空糸膜12の洗浄効果をより一層高めることができる。
〔浄水システム80〕
図8は、本発明の一実施形態に係る浄水システムの概略図である。浄水システム80は、水を浄化するための浄水器81と、浄水器81にそれぞれ接続された一般水栓82及び専用水栓83を備えている。浄水器81は、フィルタ1を備えており、一般水栓82のレバー84、及び専用水栓83のレバー85の状態に応じて、バルブ86から流れてきた水を一般水栓82及び専用水栓83に流すように構成されている。
図8は、本発明の一実施形態に係る浄水システムの概略図である。浄水システム80は、水を浄化するための浄水器81と、浄水器81にそれぞれ接続された一般水栓82及び専用水栓83を備えている。浄水器81は、フィルタ1を備えており、一般水栓82のレバー84、及び専用水栓83のレバー85の状態に応じて、バルブ86から流れてきた水を一般水栓82及び専用水栓83に流すように構成されている。
専用水栓83は、浄水器81を介してバルブ86と接続されている。そして、専用水栓83のレバー85を操作することによって、専用水栓83が開閉するようになっており、専用水栓83が開いているときに浄水器81で浄化された浄水が出水するようになっている。なお、上述したように、一般水栓82は、浄水器81を介してバルブ86に接続されているが、バルブ86から一般水栓82に流れる水は、浄水器81で浄化されずに流れるようになっている。
〔浄水器81〕
図9は、本発明の一実施形態に係る浄水器を示す斜視図である。浄水器81は、プレフィルタカートリッジ91と、吸着剤カートリッジ93と、中空糸膜カートリッジ94とを備え、バルブ86がある上流側から専用水栓83がある下流側に向けて、プレフィルタカートリッジ91、吸着剤カートリッジ93、及び中空糸膜カートリッジ94の順で接続されている。そして、バルブ86から流れてきた水は、プレフィルタカートリッジ91、吸着剤カートリッジ93、及び中空糸膜カートリッジ94で順次浄化されて専用水栓83に向けて流れる。
図9は、本発明の一実施形態に係る浄水器を示す斜視図である。浄水器81は、プレフィルタカートリッジ91と、吸着剤カートリッジ93と、中空糸膜カートリッジ94とを備え、バルブ86がある上流側から専用水栓83がある下流側に向けて、プレフィルタカートリッジ91、吸着剤カートリッジ93、及び中空糸膜カートリッジ94の順で接続されている。そして、バルブ86から流れてきた水は、プレフィルタカートリッジ91、吸着剤カートリッジ93、及び中空糸膜カートリッジ94で順次浄化されて専用水栓83に向けて流れる。
プレフィルタカートリッジ91は、バルブ86と接続されているヘッダ92と、ヘッダ92に対して着脱可能なフィルタ1とを備えている。また、ヘッダ92は、プレフィルタカートリッジ91の下流側にあり、プレフィルタカートリッジ91に隣接する吸着剤カートリッジ93、及び一般水栓82に接続されている。プレフィルタカートリッジ91で浄化された浄水は、吸着剤カートリッジ93に流入する。
吸着剤カートリッジ93は、プレフィルタカートリッジ91から流れてきた浄水を、吸着剤モジュール(図示せず)を通過させてさらに浄化するように構成されている。吸着剤モジュールは、吸着剤カートリッジ93内に固定されており、内部に吸着剤を収容している。吸着剤モジュール内に収容されている吸着剤としては、活性炭、イオン交換体等を用いることができる。
活性炭としては、粉末状活性炭、粒状活性炭、繊維状活性炭、ブロック状活性炭、押出成形活性炭、成形活性炭、合成物系粒状活性炭、合成物系繊維状活性炭等が挙げられる。吸着剤として活性炭を用いると、水中の残留塩素やカビ臭、トリハロメタン等の有機化合物を除去することができる。
また、イオン交換体としては、イオン交換繊維、アルミノケイ酸塩系無機イオン交換体等が挙げられる。イオン交換繊維としては、スルホン酸基を交換基とする強酸型、カルボン酸基を交換基とする弱酸型、4級アンモニウム基を交換基とする強塩基型、アミン基を交換基とする弱塩基型等が挙げられる。イオン交換繊維を用いると、反応性が高く、取り扱いやすい。アルミノケイ酸塩系無機イオン交換体としては、合成ゼオライトであるモレキュラーシーブ3A、モレキュラーシーブ4A、モレキュラーシーブ5A、モレキュラーシーブ13X、フォージャサイト型ゼオライト、モルデナイト型ゼオライト等が挙げられる。これらの合成ゼオライトは、重金属イオンの吸着能力が高く、特にモレキュラーシーブ5Aは、溶解性鉛イオンの吸着性に優れている。
吸着剤カートリッジ93でさらに浄化された浄水は、中空糸膜カートリッジ94に流入する。中空糸膜カートリッジ94は、吸着剤モジュールの代わりに中空糸膜モジュールを有している以外は、吸着剤カートリッジ93と同様に構成されている。中空糸膜カートリッジ94が有する中空糸膜モジュールは、フィルタ1内に設けられた中空糸膜モジュール3と同様に構成されている。したがって、上流のプレフィルタカートリッジ91のフィルタ1が有する中空糸膜12と、下流の中空糸膜カートリッジ94のフィルタが有する中空糸膜とが、同様の膜孔径であるため、下流の中空糸膜カートリッジ94のフィルタの目詰まりを大幅に抑制することができる。
〔浄水システムの作用〕
ここで、浄水システム80の作用について詳述する。
ここで、浄水システム80の作用について詳述する。
まず、専用水栓83から浄水を出す場合について説明する。専用水栓83から浄水を出す場合、一般水栓82が閉じているので、バルブ86から浄水システム80に流れ込んだ水は、浄水器81を通って専用水栓83に流れる。具体的には、一般水栓82が閉じている状態では、バルブ86から浄水器81のプレフィルタカートリッジ91に流れ込み、プレフィルタカートリッジ91のフィルタ1に到達し、フィルタ1の入水口管8からフィルタ1内に流入する。
専用水栓83を使用する場合には、一般水栓82は閉じられているので、一般水栓82と接続されている洗浄水出口管11内部の水圧は、開いている専用水栓83と接続されている浄水出口管10内部の水圧よりも高くなっている。したがって、フィルタ1内に流入した原水は、洗浄水出口管11の方向、すなわち、筒状容器14と中空糸膜モジュール3との間を通過する方向には流れずに、浄水出口管10の方向、すなわち、中空糸膜モジュール3の中空糸膜12を通過する方向に流れる。
そして、中空糸膜12を通過した水に含まれる濁質は、中空糸膜12によって捕捉される。これにより原水が浄化され、浄化された浄水は、浄水出口管10からヘッダ92を経て、プレフィルタカートリッジ91の下流側にある吸着剤カートリッジ93に送られる。プレフィルタカートリッジ91において浄化された浄水は、吸着剤カートリッジ93及び中空糸膜カートリッジ94によりさらに浄化され、専用水栓83から出水される。
次に、一般水栓82から水を出す場合について説明する。一般水栓82から水を出す場合には、専用水栓83が閉じているので、フィルタ1の浄水出口管10内の水圧が、洗浄水出口管11内の水圧よりも高くなっている。したがって、バルブ86からフィルタ1内に流入した原水は、浄水出口管10の方向には流れずに、洗浄水出口管11の方向、すなわち、筒状容器14と中空糸膜モジュール3との間を通過する方向に流れる。そして、洗浄水出口管11の方向に流れる水により流動する粒状物16が、中空糸膜モジュール3を揺動することで中空糸膜12に付着した濁質をふるい落とす。ふるい落とされた濁質は、筒状容器14と中空糸膜モジュール3との間を通過して洗浄水出口管11方向に流れる洗浄水と共に流れる。濁質を含む洗浄水は、中空糸膜12を通過することなく、洗浄水出口管11からヘッダ92を経て一般水栓82に送られ、一般水栓82から出水される。
このように、浄水システム80では、一般水栓82を開くことによって、流動した粒状物16により中空糸膜12を洗浄することができる。これにより、ユーザが特に意識することなく、フィルタ1内の中空糸膜12から濁質をふるい落とすことができる。そして、浄水システム80では、一般水栓82を開くたびにフィルタ1内の中空糸膜12を洗浄することができるので、フィルタ1から中空糸膜モジュール3を取り出して中空糸膜12を手もみ洗いする必要がない。また、フィルタ1を開閉する必要がなくなるので、常にフィルタ1内の水圧が高い、いわゆるI型浄水器において、水漏れを防ぐのに特に効果的である。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔実施例〕
有効膜面積0.28mm2の中空糸膜(EX270TH−25、三菱レイヨン社製)を用いて、径30mmの中空糸膜モジュールを作製し、内径45mmの筒状容器内に取り付けた。筒状容器内に、比重1.1、外径14mmのハート型粒状物を5g、及び、比重2.3、外径10mmの砕石を15g格納した。筒状容器内の空隙体積127.3ccに対して格納した粒状物は、20g(0.16g/cc)、内容積9.8%であった。筒状容器の底蓋として、傾斜角30度の方向に伸びた、孔径2.5mmの孔が3か所設けられた底蓋を用いた。筒状容器の凸状部と中空糸膜モジュールとの間の距離が最大となる箇所の距離は、7.5mmであった。
有効膜面積0.28mm2の中空糸膜(EX270TH−25、三菱レイヨン社製)を用いて、径30mmの中空糸膜モジュールを作製し、内径45mmの筒状容器内に取り付けた。筒状容器内に、比重1.1、外径14mmのハート型粒状物を5g、及び、比重2.3、外径10mmの砕石を15g格納した。筒状容器内の空隙体積127.3ccに対して格納した粒状物は、20g(0.16g/cc)、内容積9.8%であった。筒状容器の底蓋として、傾斜角30度の方向に伸びた、孔径2.5mmの孔が3か所設けられた底蓋を用いた。筒状容器の凸状部と中空糸膜モジュールとの間の距離が最大となる箇所の距離は、7.5mmであった。
上述のように作製した筒状容器を10インチのハウジングに嵌め込み、フィルタを作製した。作製したフィルタ内に、高濁質模擬水(三菱レイヨン株式会社豊橋事業所防火用水)を原水として、原水圧力を200kPaで一定にし、ろ過5分及び洗浄5分を、ろ過水の瞬時流量が1.0L/minに到達するまで繰り返し、通水試験を実施した。
〔比較例1〕
実施例1の筒状容器において、粒状物を格納せず、実施例1と同様にろ過及び洗浄を繰り返す、比較例1の通水試験を実施した。
実施例1の筒状容器において、粒状物を格納せず、実施例1と同様にろ過及び洗浄を繰り返す、比較例1の通水試験を実施した。
〔比較例2〕
実施例1の筒状容器において、粒状物を格納せず、さらに、ろ過のみを行う、比較例2の通水試験を実施した。
実施例1の筒状容器において、粒状物を格納せず、さらに、ろ過のみを行う、比較例2の通水試験を実施した。
〔結果〕
結果を図10に示す。図10は、実施例及び比較例のフィルタを用いた実験結果を示すグラフである。図10に示すように、瞬時流量1.0L/min到達時の積算流量を実施例、比較例1及び2間で比較すると、実施例は、比較例1に対して1.3倍、比較例2に対して2倍の処理能力があり、フィルタを高寿命化させることができた。
結果を図10に示す。図10は、実施例及び比較例のフィルタを用いた実験結果を示すグラフである。図10に示すように、瞬時流量1.0L/min到達時の積算流量を実施例、比較例1及び2間で比較すると、実施例は、比較例1に対して1.3倍、比較例2に対して2倍の処理能力があり、フィルタを高寿命化させることができた。
1 フィルタ
3 中空糸膜モジュール
8 入水口管(入水口)
10 浄水出口管(浄水出口)
11 洗浄水出口管(洗浄水出口)
12 中空糸膜
14 筒状容器
16 粒状物
17 軽粒子
18 重粒子
19 底蓋
24 孔(流入孔、螺旋流形成部)
80 浄水システム
81 浄水器
82 一般水栓(第2水栓)
83 専用水栓(第1水栓)
L 距離
3 中空糸膜モジュール
8 入水口管(入水口)
10 浄水出口管(浄水出口)
11 洗浄水出口管(洗浄水出口)
12 中空糸膜
14 筒状容器
16 粒状物
17 軽粒子
18 重粒子
19 底蓋
24 孔(流入孔、螺旋流形成部)
80 浄水システム
81 浄水器
82 一般水栓(第2水栓)
83 専用水栓(第1水栓)
L 距離
Claims (9)
- 水を浄化するためのフィルタであって、
筒状容器と、
前記筒状容器の内部に水を流入させる入水口と、
前記筒状容器内に配置されており、柱状に束ねられた中空糸膜を有し、前記入水口から流入した水を浄化する中空糸膜モジュールと、
前記中空糸膜モジュールで浄化した浄水を排出する浄水出口と、
前記中空糸膜モジュールを洗浄した水を排出する洗浄水出口と、
前記筒状容器内に格納された、比重の異なる2種類以上の粒状物と、を備え、
前記筒状容器の内壁の一部が、他の箇所より内側に凸状に形成されており、
前記粒状物のうち、少なくとも比重の小さい方の粒状物の径が、前記凸状に形成された箇所のうち、中空糸膜モジュールとの距離が最大となる箇所の当該距離に対して1.1倍以上、2倍以下である、フィルタ。 - 前記粒状物として、比重1以上、1.5以下の軽粒子と、比重2以上、3以下の重粒子とを含み、
前記軽粒子に対する前記重粒子の重量比が、1:3である、請求項1に記載のフィルタ。 - 前記粒状物を、前記筒状容器内の空隙の体積1ccあたり、0.06g以上、0.3g以下含む、請求項1又は2に記載のフィルタ。
- 前記筒状容器に流入した水を、前記筒状容器内で旋回させる螺旋流形成部をさらに備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルタ。
- 前記螺旋流形成部は、前記筒状容器の側面に設けられた流入孔であり、当該流入孔は、前記筒状容器の径方向に対して傾斜した方向に貫通している、請求項4に記載のフィルタ。
- 前記流入孔の孔径が、2.0mm以上、3.0mm以下である、請求項5に記載のフィルタ。
- 前記筒状容器は、底を塞ぐ底蓋を備えており、
前記流入孔が、前記底蓋の側面に設けられている、請求項5又は6に記載のフィルタ。 - 請求項1から7のいずれか1項に記載のフィルタを備えた浄水器。
- 第1水栓と、
当該第1水栓とは異なる第2水栓と、
請求項7に記載の浄水器と、を備え、
前記第1水栓が開いたときに、前記浄水器の前記中空糸膜モジュールにおいて浄化した浄水を前記第1水栓から出水し、
前記第2水栓が開いたときに、前記浄水器の前記中空糸膜モジュールの前記中空糸膜を洗浄した洗浄水を前記第2水栓から出水する、浄水システム。
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