JP2017202444A - 工事濁水分離システム - Google Patents

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Takanobu Sueyoshi
隆信 末吉
直 大野
Sunao Ono
直 大野
阿部 芳久
Yoshihisa Abe
芳久 阿部
拓也 荒崎
Takuya Arasaki
拓也 荒崎
毅 有馬
Takeshi Arima
毅 有馬
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Akira Nishio
章 西尾
山田 徹
Toru Yamada
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Abstract

【課題】工事濁水に含まれる泥土を効率良く分離する工事濁水分離システムを提供する。【解決手段】工事濁水分離システム1は、上流側から工事濁水Wが導入され貯留されると共に工事濁水Wが流動して下流側から排出される沈砂池7と、沈砂池7に導入される工事濁水Wに凝集沈殿剤を投入する凝集沈殿剤投入部13と、凝集沈殿剤投入部13よりも下流側において工事濁水Wを整流する整流部15と、整流部15よりも下流側に設けられ、沈砂池7の上下流方向に略平行で鉛直方向に対して傾斜した姿勢で互いに平行に配列される複数の傾斜板41を有し、傾斜板41同士の間隙に工事濁水Wを通過させて工事濁水W中の泥土の沈降を促進する沈降促進部17と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、工事濁水に含まれる泥土を分離する工事濁水分離システムに関するものである。
従来、このような分野の技術として、下記特許文献1に記載の汚濁水浄化装置が知られている。この浄化装置は、土木工事において発生する汚濁水を浄化する装置であって、流入部と流出部とを有する土粒子沈澱部と所要数の浄化部材とから構成されている。浄化部材は導電性を有する素材から形成されるとともに土粒子沈澱部の幅方向の長さより短いものとされており、これら浄化部材は土粒子沈澱部内で汚濁水が蛇行して流れるように配設されている。
特許2732353号公報
しかしながら、この種の工事濁水の処理においては、工事濁水に含まれる泥土を更に効率良く分離することが望まれている。本発明は、工事濁水に含まれる泥土を効率良く分離する工事濁水分離システムを提供することを目的とする。
(1)本発明の工事濁水分離システムは、
工事濁水に含まれる泥土を分離する工事濁水分離システムであって、
上流側から前記工事濁水が導入され貯留されると共に前記工事濁水が流動して下流側から排出される沈砂池と、
前記沈砂池に導入される前記工事濁水に凝集沈殿剤を投入する凝集沈殿剤投入部と、
前記凝集沈殿剤投入部よりも下流側において前記工事濁水を整流する整流部と、
前記整流部よりも下流側に設けられ、前記沈砂池の上下流方向に略平行で鉛直方向に対して傾斜した姿勢で互いに平行に配列される複数の傾斜板を有し、前記傾斜板同士の間隙に前記工事濁水を通過させて当該工事濁水中の前記泥土の沈降を促進する沈降促進部と、を備える。
この工事濁水分離システムによれば、上流側から沈砂池に導入される工事濁水に凝集沈殿剤投入部から凝集沈殿剤が投入され、その後、工事濁水は、整流部で整流され沈降促進部に導入される。工事濁水には凝集沈殿剤が投入されることで、工事濁水中の泥土が凝集し沈降性が向上する。その後、整流部により工事濁水が整流されることで、工事濁水は沈降促進部の断面を均一に通過し易くなり、傾斜板同士の間隙を通過する工事濁水から効率良く泥土が沈降する。
(2)また、前記整流部は、前記下流側に流動する前記工事濁水を下方に誘導する潜り堰であることとしてもよい。
この構成によれば、沈降促進部の上流側において、潜り堰である整流部を通過することで、工事濁水の流動が下方に誘導されることになる。よって、工事濁水の流動が水面近傍に偏ることが避けられ、工事濁水が沈降促進部の断面を均一に通過し易くなる。
(3)また、前記整流部は、
前記工事濁水の水面上に浮遊するフロート部と、
前記フロート部に垂下され前記上下流方向に交差するカーテン部と、を有し、
前記カーテン部の下端と前記沈砂池の底面との間に前記工事濁水を通過させるようにしてもよい。
この構成によれば、沈砂池内の水面高さが変動した場合であっても、整流部の上端であるフロート部が水面高さの変動に追従して上下するので、整流部が潜り堰としての機能を喪失することが回避される。
(4)前記沈降促進部は、
複数の前記傾斜板を保持する枠体と、当該枠体に保持される複数の前記傾斜板と、を含む沈降促進ユニットが、所定の方向に複数配列されて形成されているようにしてもよい。
この構成によれば、取扱い容易なサイズ及び重量の沈降促進ユニットを組み合わせて沈降促進部を形成することができるので、大断面の沈砂池においても沈降促進部の設置・撤去が容易になる。また、ユニットの配列個数を調整することにより沈降促進部のサイズが可変であるので、種々のサイズの沈砂池に対応することが可能になる。
(5)前記沈降促進部では、
前記沈降促進ユニットの配置位置が前記沈砂池の下流側に行くに従って、当該沈降促進ユニットの前記傾斜板の傾斜が小さくなるようにしてもよい。
この構成によれば、沈降促進部の上流側では、大きい傾斜の傾斜板によって比較的粗い泥土が沈降し、沈降促進部の下流側に行くに従って小さい傾斜の傾斜板によって細かい泥土が沈降する、といったように、沈降促進部で泥土が効率よく沈降する。
(6)本発明の工事濁水分離システムは、
前記沈降促進部と前記沈砂池の底面との間に間隙が形成される状態で前記沈降促進部を支持すると共に、当該間隙の大きさを調整可能である調整支持部を更に備えるようにしてもよい。
この構成によれば、沈降促進部の傾斜板で沈降した泥土が沈降促進部の下方に沈降し、当該沈降促進部と沈砂池の底面との間の間隙に溜まることになる。また上記間隙の大きさを調整する機能により、沈砂池の底面の不陸に対応させて沈降促進部の高さを調整することが可能である。
(7)本発明の工事濁水分離システムでは、
前記沈降促進部と前記沈砂池の底面との間に、前記沈降促進部から沈降した泥土が溜まる泥溜空間が形成される状態で前記沈降促進部が設置されており、
前記泥溜空間の下流側に設置され、前記泥土を回収する泥土回収フィルタを更に備えるようにしてもよい。
この構成によれば、泥溜空間に溜まった泥土が工事濁水の流動により下流側に押し流された場合にも、下流側に設置された泥土回収フィルタによって回収することができるので、沈砂池からの泥土の流出を抑制することができる。
(8)本発明の工事濁水分離システムでは、
前記沈降促進部と前記沈砂池の底面との間に、前記沈降促進部から沈降した泥土が溜まる泥溜空間が形成される状態で前記沈降促進部が設置されており、
前記泥溜空間に設置され、前記沈降促進部から沈降した前記泥土を回収する泥土回収容器を更に備えるようにしてもよい。
この構成によれば、沈降促進部から沈降した泥土が泥溜空間の泥土回収容器に収容されることになる。よって、泥溜空間から泥土回収容器を取り出すことにより、沈降促進部を解体することなく泥土を沈砂池から排出することができる。
(9) 本発明の工事濁水分離システムは、
前記沈降促進部よりも下流側に設けられ、前記工事濁水に浸漬され当該工事濁水中の前記泥土を捕捉する繊維材を有する泥土捕捉部を更に備えるようにしてもよい。
この構成によれば、沈降促進部を通過した工事濁水中の泥土を泥土捕捉部で捕捉することができる。
(10) 前記凝集沈殿剤投入部は、
PAC、高分子凝集剤、又は自然由来の凝集沈殿剤を、前記凝集沈殿剤として前記工事濁水に投入するようにしてもよい。
(11) 本発明の工事濁水分離システムは、
前記沈降促進部よりも下流側において前記工事濁水に自然由来の凝集沈殿剤を投入する補助凝集沈殿剤投入部を更に備えるようにしてもよい。
この構成によれば、沈降促進部を通過した工事濁水中の泥土を補助沈殿剤からの沈殿剤により沈降させることができる。
(12) 本発明の工事濁水分離システムは、
前記沈降促進部と、前記沈砂池の側面との間の水路を塞ぐ阻流部を更に備えるようにしてもよい。
この構成によれば、工事濁水が沈降促進部と沈砂池の側面との間を短絡して流動することが抑制され、工事濁水を沈降促進部により確実に導入することができる。
(13)本発明の工事濁水分離方法は、
上流側から工事濁水が導入され貯留されると共に前記工事濁水が流動して下流側から排出される沈砂池で前記工事濁水に含まれる泥土を分離する工事濁水分離方法であって、
前記沈砂池に導入される前記工事濁水に凝集沈殿剤を投入する凝集沈殿剤投入工程と、
前記凝集沈殿剤が投入される位置よりも下流側に設けられた整流部が前記工事濁水を整流する整流工程と、
前記整流部よりも下流側に設けられ、前記沈砂池の上下流方向に略平行で鉛直方向に対して傾斜する複数の平行に配列された傾斜板を有する沈降促進部が、前記傾斜板同士の間隙に前記工事濁水を通過させて当該工事濁水中の前記泥土の沈降を促進する沈降促進工程と、を備えるようにしてもよい。
この工事濁水分離方法によれば、上流側から沈砂池に導入される工事濁水に凝集沈殿剤が投入され、その下流側において、工事濁水は、整流部で整流され沈降促進部に導入される。工事濁水には凝集沈殿剤が投入されることで、工事濁水中の泥土が凝集し沈降性が向上する。その後、整流部により工事濁水が整流されることで、工事濁水は沈降促進部の断面を均一に通過し易くなり、傾斜板同士の間隙を通過する工事濁水から効率良く泥土が沈降する。
(14)本発明の工事濁水分離方法では、
前記沈降促進部と前記沈砂池の底面との間に、前記沈降促進部から沈降した泥土が溜まる泥溜空間が形成される状態で前記沈降促進部が設置されており、
前記泥溜空間の下流側に予め設置された泥土回収フィルタで前記泥土を回収すると共に、前記泥土回収フィルタを前記沈砂池外に取り出して、回収された泥土を脱水乾燥し土木資源化する工程を更に備えるようにしてもよい。
この構成によれば、泥溜空間に溜まった泥土が工事濁水の流動により下流側に押し流された場合にも、下流側に設置された泥土回収フィルタによって回収することができるので、沈砂池の下流側からの泥土の流出を抑制することができる。
(15)本発明の工事濁水分離方法では、
前記沈降促進部と前記沈砂池の底面との間に、前記沈降促進部から沈降した泥土が溜まる泥溜空間が形成される状態で前記沈降促進部が設置されており、
前記泥溜空間に予め設置された泥土回収容器で前記沈降促進部から沈降した前記泥土を回収すると共に、前記泥土回収容器を前記沈砂池外に取り出して、回収された泥土を脱水乾燥し土木資源化する工程を更に備えるようにしてもよい。
この構成によれば、沈降促進部から沈降した泥土が泥溜空間に設置された泥土回収容器に収容されることになる。よって、泥溜空間から泥土回収容器を取り出すことにより、沈降促進部を解体することなく泥土を沈砂池から排出することができる。
本発明によれば、工事濁水に含まれる泥土を効率良く分離する工事濁水分離システムを提供することができる。
(a)は本実施形態に係る工事濁水分離システムの鉛直断面図であり、(b)は、そのシステム1の平面図である。 (a)は、沈降促進部を示す分解斜視図であり、(b)は、上流から見た沈降促進部近傍の正面図である。 (a)は、沈降促進ユニットを示す分解斜視図であり、(b)は、上流から見た沈降促進部ユニットの正面図である。 (a),(b)は、沈降促進部の変形例を示す鉛直断面図である。 沈降促進部の他の変形例を示す斜視図である。 (a),(b)は、実験結果を示すグラフである。 (a),(b)は、実験結果を示すグラフである。
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係る工事濁水分離システム1について詳細に説明する。以下では、各図に示すように鉛直方向をZ方向、沈砂池7における工事濁水Wの流動の上下流方向をY方向、工事濁水の上下流方向に直交する方向(沈砂池7の幅方向)をX方向として、各部の位置関係等の説明にX,Y,Zを用いる場合がある。
図1(a)は、工事濁水分離システム1(以下「システム1」という)の鉛直断面図であり、図1(b)は、そのシステム1の平面図である。なお、図1(b)においては、工事濁水Wの図示が省略されている。システム1は、土木工事で発生する工事濁水Wを工事現場で処理するものであり、工事濁水Wに含まれる泥土を分離除去し濁度を放流可能な程度に低下させる。このシステム1が処理対象とする工事濁水Wは濁度50〜2000mg/L程度のものであり、システム1は、この工事濁水Wの濁度を10〜50mg/L程度まで低下させることを目的とするものである。例えば、工事濁水Wとしては、裸地面の造成を伴う工事中に降雨等の影響で発生する工事濁水等が例として挙げられる。
システム1は、処理に係る工事濁水Wが一時的に貯留される沈砂池7を備えている。またシステム1は、沈砂池7の一方の端部に接続され前池2からの工事濁水Wが導入される導入流路5と、沈砂池7の他方の端部に接続され沈砂池7から溢れる工事濁水を排出する排水流路9と、を備えている。導入流路5と排水流路9とは共に沈砂池7の上端部に接続されており、排水流路9が導入流路5よりも低い位置に存在する。沈砂池7の底面7aと側面7bとが、例えば吹付けコンクリート等で被覆されていてもよい。システム1においては、前池2から導入流路5に導入された工事濁水Wが、沈砂池7に注ぎ込まれて沈砂池7内をY方向に移動し、排水流路9に溢れ出し排出される。すなわち、導入流路5から沈砂池7を経由し排水流路9に向けて工事濁水Wが流動する。このとき沈砂池7における工事濁水Wの平均流速は、例えば10m/h程度である。
更に、システム1は、導入流路5において工事濁水Wに濁水処理用の凝集沈殿剤を投入する凝集沈殿剤投入部13を備えている。凝集沈殿剤投入部13は、凝集沈殿剤が収納されたタンクと、当該タンク内の凝集沈殿剤を導入流路5内に投入する投入装置とで構成される。凝集沈殿剤としては、例えば、無機凝集剤や、有機高分子凝集剤や、自然由来の凝集沈殿剤を用いることができる。無機凝集剤としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、硫酸アルミニウムなどが例として挙げられる。自然由来の凝集沈殿剤としては、例えば、鹿島建設株式会社製の凝集沈殿剤「K−FAST」(商品名)などが例として挙げられる。凝集沈殿剤「K−FAST」は、水前寺海苔を原料とする凝集沈殿剤である。凝集沈殿剤投入部13が工事濁水Wに対して凝集沈殿剤を投入することにより、工事濁水W中の泥土が凝集し沈降性が向上する。
また、システム1は、導入流路5の工事濁水WのpHを調整するpH調整部を更に備えてもよい。pH調整部としては、例えば、導入流路5の工事濁水Wに炭酸ガスや希硫酸や炭酸ナトリウムを供給するものであってもよい。pH調整部の存在により、工事濁水WのpHを、凝集沈殿剤が上記の効果を発揮するために適したpHに調整することができる。例えば、凝集沈殿剤としてPACを採用する場合には、工事濁水WのpHを、pH5〜pH9に調整すればよく、更に好ましくは、pH7〜pH8に調整すればよい。更に、導入流路5内には、工事濁水Wの流動方向に見て左右の壁からX方向に交互に配置された邪魔板5aが設けられている。この邪魔板5aの存在により、工事濁水Wの流路が長くなり、工事濁水Wと凝集沈殿剤とが十分に撹拌される。なお、凝集沈殿剤が効果を発揮するためには、工事濁水Wの水温を10℃以上とすることが好ましい。
上記のような導入流路5から、沈砂池7の水面近傍に工事濁水Wが注ぎ込まれる。従って、沈砂池7から導入された工事濁水WのY方向への流動も、水面近傍に偏る傾向にある。そこで、システム1は、沈砂池7内に設けられ工事濁水Wを整流する整流部15を備えている。ここで「整流」とは、本来は沈砂池7内で水面近傍に偏る傾向にある工事濁水Wの流動を、沈砂池7の断面内(XZ平面に平行な面内)で均一化させようとすることを言う。本実施形態では、図1に例示するように、潜り堰の機能をもつ整流部15が採用され、整流部15としてシルトフェンスが採用されている。整流部15は、X方向に延在する長尺状をなし水面上に浮遊するフロート部15aと、当該フロート部15aから水面下に垂下されY方向(上下流方向)に直交する面内に広がる可撓性のカーテン部15bと、を有する。カーテン部15bは、例えば不透水性の材料でシート状に形成されている。またカーテン部15bは、その下端が沈砂池7の底面7aに達しないような上下幅に形成されているので、工事濁水Wは、カーテン部15bの下端と沈砂池7の底面7aとの間を通過する。なお、カーテン部15bの下端の位置を安定させるために、カーテン部15bの下端部に錘が設けられてもよい。
このように、整流部15が、工事濁水Wを下方に誘導する潜り堰として機能するので、工事濁水Wの流動が水面近傍に偏ることが避けられ、工事濁水Wの流動が断面内で均一化し、その結果、後述する沈降促進部17の断面を工事濁水Wが均一に通過し易くなる。また、整流部15がフロート部15aとカーテン部15bとを備えたシルトフェンスの構造を成すことにより、沈砂池7内の水面高さが変動した場合であっても、整流部15の上端であるフロート部15aが水面高さの変動に自動的に追従して上下するので、整流部15が潜り堰としての機能を喪失することが回避される。なお、フロート部15aは、X方向に延在する長尺状の浮体に限定されず、X方向に配列された複数の浮体を有するものであってもよい。また、整流部15としては、潜り堰には限られず、Y方向に直交する面内に広がる板状のパンチングメタルであってもよい。このようなパンチングメタルの各孔を工事濁水Wが通過することで、工事濁水Wの流動が断面内で均一化される。
更に、システム1は、整流部15の下流側において沈砂池7内に設けられた沈降促進部17を備えている。沈降促進部17は、全体として直方体形状をなし、沈砂池7の底面7a及び側面7bから離間して位置している。沈降促進部17は、その内部に工事濁水Wを通過させることにより、工事濁水W中に含まれる泥土の沈降を促進する。沈降促進部17の上端は、沈砂池7の水面から僅かに上方に突出している。この構成により、工事濁水Wが沈降促進部17の上方を素通りすることが回避される。
沈降促進部17の内部には、複数の平板状の傾斜板41が存在している。傾斜板41は、Y方向(上下流方向)に略平行で且つZ方向(鉛直方向)に対して傾斜した姿勢で、互いに平行に配列されている。沈降促進部17は、この傾斜板41同士の間隙に工事濁水Wを通過させて工事濁水W中の泥土の沈降を促進する。沈降促進部17の詳細な構成については後述する。工事濁水Wが沈降促進部17内をY方向に通過することにより、当該工事濁水W中の泥土が分離除去され、沈降促進部17の下方に沈降していく。ここで、前述の整流部15の存在により、工事濁水Wが沈降促進部17の断面に均一に流入すると共に断面内における流速も均一化されるので、沈降促進部17の性能が最大限に発揮される。
更に、システム1は、沈降促進部17の下流側において沈砂池7内に自然由来の凝集沈殿剤を投入する補助凝集沈殿剤投入部19を備えている。補助凝集沈殿剤投入部19は、凝集沈殿剤が収納されたタンクと、当該タンク内の凝集沈殿剤を沈砂池7内に投入する投入装置とで構成される。自然由来の凝集沈殿剤としては、前述の凝集沈殿剤「K−FAST」(商品名)などが例として挙げられる。補助凝集沈殿剤投入部19の存在により、沈降促進部17で沈降しなかった泥土を更に凝集させ沈殿させることができる。また、ここでは自然由来の凝集沈殿剤が用いられるので、放流される処理済みの工事濁水Wに当該凝集沈殿剤が混入したとしても、環境負荷を小さく抑えることができる。
更に、システム1は、補助凝集沈殿剤投入部19の下流側に設けられた泥土捕捉部21を備えている。泥土捕捉部21は複数の繊維材21aを有しており、複数の繊維材21aは、X方向に配列され、上方から吊下げられるなどして工事濁水Wの水面下に浸漬されている。沈降促進部17及び補助凝集沈殿剤投入部19により沈降しなかった泥土が繊維材21aに捕捉されることで工事濁水Wから除去される。繊維材21aとしては、濁水浄化用の繊維濾材(「モールコード」などと呼ばれる)を採用してもよい。なお、泥土捕捉部21と前述の補助凝集沈殿剤投入部19との位置関係(Y方向での位置)を逆にしてもよい。
更に、システム1は、泥土捕捉部21の下流側で排水流路9の直前に設けられた濁度計23を備えている。濁度計23は、排水流路9から排出される直前において工事濁水Wの濁度を計測する。また、排水流路9は、第1流路9aと第2流路9bとに分岐しており、その分岐部には、工事濁水Wの排出先を選択的に第1流路9aと第2流路9bとに切り替える切替部27が設けられている。第1流路9aに排出される工事濁水Wは河川等に放流され、第2流路9bに排出される工事濁水Wは前池2に返送される。
本実施形態では、濁度計23で測定された工事濁水Wの濁度が所定の閾値以上である場合には、切替部27を操作し工事濁水Wを第2流路9b経由で前池2に返送する。また、濁度計23で測定された工事濁水Wの濁度が上記閾値未満である場合には、切替部27を操作し工事濁水Wを第1流路9a経由で放流する。この構成によれば、泥土が十分に除去されていない工事濁水Wが放流されてしまうことが回避される。なお、上記の処理を自動化するためにコンピュータ等の制御部29を設けてもよい。例えば、制御部29は、濁度計23から受信した濁度データに基づいて工事濁水Wの濁度と閾値とを大小比較し、大小比較の結果に基づいて切替部27に駆動信号を送信するようにすればよい。上記閾値は、例えば40mg/Lである。
続いて、沈降促進部17の構成について更に詳細に説明する。
図2に示されるように、沈降促進部17は、X方向,Y方向,及びZ方向に配列された複数の沈降促進ユニット31を備えている。1つの沈降促進ユニット31は、例えば、1辺が1m程度の略立方体形状をなしている。図2の例の場合には、X方向に4列、Y方向に3列、Z方向に2列の沈降促進ユニット31が配列されており、沈降促進部17は合計24個の沈降促進ユニット31で構成されている。各沈降促進ユニット31は、例えば、単管パイプや単管パイプ用のジョイント具を組み合わせてなるフレーム(図示せず)内に組み付けられることで、互いに隙間なく密に連結されている。このような沈降促進部17の構成によれば、取扱い容易なサイズ及び重量の沈降促進ユニット31を組み合わせて沈降促進部17を形成することができるので、大断面の沈砂池7においても沈降促進部17の設置・撤去が容易になる。また、ユニットの配列個数や配列構造を調整することにより沈降促進部17の構成が可変であるので、沈砂池7の断面サイズや断面形状、その他の設置条件に対応させた沈降促進部17の構築が可能になる。
沈降促進部17は、最下段の沈降促進ユニット31の下面から下方に延びる脚部33(調整支持部)によって支持されている。この脚部33の下端が沈砂池7の底面7aに接地することにより、沈降促進部17が支持されており、沈降促進部17と底面7aとの間に泥溜空間35が形成される状態となる。工事濁水Wが沈降促進部17を通過することにより、沈降促進部17から工事濁水W中の泥土が沈降し上記の泥溜空間35に堆積する。各脚部33の長さは適宜調整可能であり、底面7aの不陸に応じて各脚部33の長さを調整することで、泥溜空間35の上下幅が調整可能であり、また、沈降促進部17が沈砂池7の水面から僅かに上方に突出している状態に調整することができる。脚部33は、例えば、沈降促進ユニット31を組み付けるためのフレームを構成する単管パイプの一部であり、当該単管パイプが沈降促進部17の下方に延び出す長さを適宜調整することで、脚部33の長さが調整されてもよい。
また、沈降促進部17と沈砂池7の側面7bとの間には、沈降促進部17と、沈砂池7の側面7bとの間の水路7sを塞ぐ阻流部37が設けられている。阻流部37は、沈降促進部17の最も上流の位置において、沈降促進部17と側面7bとの間にシート状に広がっている。この阻流部37の存在により、沈砂池7内を流動する工事濁水Wが短絡して水路7sを通過することが抑制され、沈降促進部17を通過させることができる。更に、沈降促進部17の側面(YZ平面に平行な側面)の全体を塞ぐ側面阻流部39が設けられている。この側面阻流部39の存在により、沈降促進部17内を通過する工事濁水Wが水路7s側に漏出することが抑制される。また、図2(a)に示されるように、泥溜空間35の上流側を塞ぐ下部阻流部38が更に設けられてもよい。下部阻流部38の存在により、泥溜空間35に堆積した泥土が工事濁水Wの流動によって再度巻上げられることが抑制される。なお、図2(b)においては、下部阻流部38の図示が省略されている。阻流部37、下部阻流部38、及び側面阻流部39の材料としては、汎用の不透水性のシートを使用することができる。以上の構成により、工事濁水Wを確実に沈降促進部17に通過させることができる。
図3(a)は、1つの沈降促進ユニット31を示す分解斜視図であり、図3(b)は、沈降促進ユニット31をY方向の視線で見た正面図である。沈降促進ユニット31は、等間隔(例えば10cm間隔)で平行に配列された複数の傾斜板41と、これらの傾斜板41を保持する枠体43と、を備えている。枠体43は、立方体の12本の各辺に沿って延びる12本の棒材で構成されている。枠体43は例えば木製である。
傾斜板41は、枠体43の内部に形成される立方体の空間に収容され、傾斜板41は枠体43に対して着脱可能に支持される。例えば、傾斜板41は木製の平板材であり、いわゆる「コンパネ」などと呼ばれる合板を傾斜板41の材料として採用してもよい。各傾斜板41は、Y方向(上下流方向)に平行な平面内で広がり且つZ方向(鉛直方向)に対して傾斜した姿勢で枠体43に固定される。図3(b)のように、傾斜板41と水平面Hとがなす角度αを「傾斜板41の傾斜角」とすれば、傾斜角αは、0〜80°に設定することができる。傾斜角αは60°程度が好ましい。このように、Y方向に平行な傾斜板41を採用することにより、流動する工事濁水Wから沈降促進部17に作用する力は小さく抑えられるので、沈降促進部17を沈砂池7に固定する構造を簡素化することができる。
枠体43を構成する棒材には、傾斜板41の角部を受ける板受け部(図示せず)が等間隔で形成されている。上記の板受け部は、例えば、傾斜板41の角部が着脱可能に挿入される溝であってもよく、傾斜板41の角部を当接させる突起であってもよい。ユーザは、枠体43内に対応する幅の傾斜板41を挿入し、傾斜板41の各角部を板受け部に設置することにより、沈降促進ユニット31を比較的容易に組み立てることができる。また、各傾斜板41の角部をどの板受け部に設置するかを選択することにより、傾斜板41の傾斜角αを選択的に設定することができる。また、コンパネや単管パイプといったような、工事現場で入手容易な汎用的な資材が沈降促進部17の材料として使用されることにより、工事現場で沈降促進ユニット31及び沈降促進部17を構築したり、改造したりすることが容易になる。
以上のような沈降促進部17では、各沈降促進ユニット31の上流側の開口31h(図3参照)から工事濁水Wが導入され、傾斜板41同士の間隙を流動する。このとき、工事濁水W中の泥土粒子が沈降し各傾斜板41の上面まで到達すると、この上面を滑り落ち、沈降促進ユニット31の下側の開口31j(図3参照)を通じて泥溜空間35まで到達し堆積する。これにより、沈降促進部17をY方向に通過する工事濁水W中の泥土が分離除去される。なお、沈砂池7の底面7aのうち泥溜空間35に対応する箇所には、鋼板が敷設されてもよい。この構成によれば、泥溜空間35に堆積した泥土をバックホウで除去する際に、沈砂池7の底面7aがバックホウのバケットで破損されることを抑制することができる。
また、図4(a)に示されるように、泥溜空間35の下流側に、泥土を回収する泥土回収フィルタ45が設置されてもよい。泥土回収フィルタ45は、透水性を有し且つ所定の粒径の泥土を透過させずに捕捉する。泥土回収フィルタ45は、例えばメッシュ状の材料からなり、可撓性の袋状体をなしている。そして、泥土回収フィルタ45は、上記袋状体の開口が泥溜空間35の下流側の断面全体を覆うように設置される。この構成によれば、泥溜空間35に堆積した泥土が工事濁水Wの流動により下流側に押し流された場合にも、下流側に設置された泥土回収フィルタ45によって回収することができるので、沈砂池7の下流側からの泥土の流出を抑制することができる。また、泥土回収フィルタ45を沈砂池7外に取り出して、回収された泥土を脱水乾燥し土木資源化することも可能である。
また、図4(b)に示されるように、泥溜空間35には、沈降促進部17から沈降した泥土を回収する泥土回収容器47が設置されてもよい。泥土回収容器47は、上面側が開口した有底の容器であり、平面視で、沈降促進部17と同等の形状及び面積を有している。この構成によれば、沈降促進部17から沈降した泥土が泥溜空間35に設置された泥土回収容器47に収容されることになる。よって、泥溜空間35から泥土回収容器47を取り出すことにより、沈降促進部17を解体することなく泥土を沈砂池7から排出することができる。また、泥土回収容器47を沈砂池7外に取り出して、回収された泥土を脱水乾燥し土木資源化することも可能である。
また、図2等の例では、沈降促進部17を構成する沈降促進ユニット31同士がXYZ方向に隙間なく配列されているが、沈降促進ユニット31同士の間に所定の間隔があってもよい。特に、図5に示されるように、沈降促進ユニット31同士の間にY方向に所定の間隔をあけてもよい。またこの場合、沈降促進部17においては、沈降促進ユニット31の配置位置が沈砂池7の下流側に行くに従って、当該沈降促進ユニット31の傾斜板41の傾斜が小さくなるように設定されてもよい。図5に示されるように、沈降促進部17において最も上流側に配置される沈降促進ユニット31をユニット31a、上流側から2列目に配置される沈降促進ユニット31をユニット31b、最も下流側に配置される沈降促進ユニット31をユニット31cとすれば、ユニット31aの傾斜角αが最も大きく、ユニット31cの傾斜角αが最も小さく設定されている。例えば、ユニット31aの傾斜角αは60°、ユニット31bの傾斜角αは50°、ユニット31cの傾斜角αは45°といったように設定される。この構成によれば、沈降促進部の上流では、大きい傾斜の傾斜板によって比較的粗い泥土が沈降し、沈降促進部の下流側に行くに従って小さい傾斜の傾斜板によって細かい泥土が沈降する、といったように、沈降促進部17で泥土が効率よく沈降する。
なお、上記のように下流側に行くに従って沈降促進ユニット31の傾斜板41の傾斜が小さくなるという構成を採用する場合には、図5に示されるように、沈降促進ユニット31同士の間にY方向に所定の間隔をあけることが好ましい。すなわち、傾斜角が異なる傾斜板41をY方向に近接させる場合、工事濁水Wの流動方向で傾斜板41の傾斜角が急に切替わる箇所が存在する。そして、傾斜角が急に切替わることで工事濁水Wの流動が乱され、泥土の沈降を阻害する可能性がある。これに対し、沈降促進ユニット31同士の間にY方向に所定の間隔をあけることで、上記のような泥土の沈降の阻害が避けられる。この場合、沈降促進ユニット31同士のY方向の間隔は、例えば、沈降促進ユニット31のY方向の長さと同じ程度としてもよい。
以上のような工事濁水分離システム1を用いた工事濁水分離方法は、沈砂池7に導入される工事濁水Wに対して凝集沈殿剤投入部13から凝集沈殿剤を投入する凝集沈殿剤投入工程と、凝集沈殿剤が投入される位置よりも下流側に設けられた整流部15が工事濁水Wを整流する整流工程と、整流部15よりも下流側に設けられた沈降促進部17が工事濁水W中の泥土の沈降を促進する沈降促進工程と、を備える。また、前述の泥土回収フィルタ45(図4(a)参照)を採用する場合には、予め設置された泥土回収フィルタ45で泥土を回収すると共に、泥土回収フィルタ45を沈砂池7外に取り出して、回収された泥土を脱水乾燥し土木資源化する工程を更に備えてもよい。また、前述の泥土回収容器47(図4(b)参照)を採用する場合には、泥溜空間35に予め設置された泥土回収容器47で沈降促進部17から沈降した泥土を回収すると共に、泥土回収容器47を沈砂池7外に取り出して、回収された泥土を脱水乾燥し土木資源化する工程を更に備えてもよい。
以上説明した工事濁水分離システム1及び工事濁水分離方法によれば、上流側から沈砂池7に導入される工事濁水Wに凝集沈殿剤投入部13から凝集沈殿剤が投入され、その下流側において、工事濁水Wは、整流部15で整流され沈降促進部17に導入される。工事濁水Wには凝集沈殿剤が投入されることで、工事濁水中の泥土が凝集し沈降性が向上する。その後、整流部15により工事濁水Wが整流されることで、工事濁水Wは沈降促進部17の断面を均一に通過し易くなり、傾斜板41同士の間隙を通過する工事濁水Wから効率良く泥土が沈降する。また、阻流部37、下部阻流部38、及び側面阻流部39により、工事濁水Wが確実に沈降促進部17を通過するようにすることができる。更に下流側では、沈降促進部17で沈降しなかった泥土は、補助凝集沈殿剤投入部19からの凝集沈殿剤によって沈降し、また、繊維材21aに捕捉されることで工事濁水Wから除去される。更に下流側では、濁度計23により工事濁水Wの濁度が計測され、所定の濁度基準を満たしていない場合に、工事濁水Wが前池2に返送される。
以上のように工事濁水分離システム1及び工事濁水分離方法によれば、凝集沈殿剤の投入により泥土の沈降性を高めるといった化学的な処理と、傾斜板41の間を通過させるといった物理的な処理とを併せて、効率良く工事濁水Wの処理を行うことが可能になる。
続いて、本発明者らが行った実験について説明する。
〔実験1〕
平面視矩形の同じサイズ・形状の2つの試験用沈砂池(区別する場合には「第1沈砂池」及び「第2沈砂池」と呼ぶ)を準備した。試験用沈砂池の底面及び側面を不透水性のシートで被覆した。試験用沈砂池のサイズは次の通りである。
長さ(Y方向の長さ):8m
幅(X方向の長さ):2.5m
水の深さ:1.5m
容積:20m
第1沈砂池には、前述した整流部15、沈降促進部17、阻流部37、下部阻流部38、及び側面阻流部39を設置した。整流部15は潜り堰の構成を有するものとし、この整流部15を第1沈砂池の上流端から2.5mの位置に配置した。整流部15の下端と第1沈砂池の底面との隙間の上下幅を0.5mとした。
沈降促進部17の上流端の位置を第1沈砂池の上流端から3mの位置とし、沈降促進部17の下端と第1沈砂池の底面との隙間(泥溜空間)の上下幅を0.3mとした。沈降促進部17は、沈降促進ユニット31をY方向に2個配列して構築した。1つの沈降促進ユニット31の寸法は1m×1m×1mである。上流側の沈降促進ユニット31には、10cmの間隔で傾斜角60°の傾斜板41を15枚設置した。傾斜板41の材料には、厚さ12mmのコンパネを使用した。
一方、第2沈砂池には、整流部15、沈降促進部17、阻流部37、下部阻流部38、及び側面阻流部39を設置していない。
準備した工事濁水の原水に対して1m当たり1.5kgのPACを投入し攪拌した後、pHを7に調整した上で、第1沈砂池及び第2沈砂池のそれぞれの上流端から6m/hの流量で流入させた。第1及び第2沈砂池の上流端及び下流端の水面近傍に濁度計を設置し、それぞれ工事濁水中の泥土の粒度分布を測定した。また、PAC投入前の原水についても粒度分布を測定した。原水の粒度分布、第1沈砂池の上流端の粒度分布、及び第1沈砂池の下流端の粒度分布の測定結果を図6(a)に示す。同様に、原水の粒度分布、第2沈砂池の上流端の粒度分布、及び第2沈砂池の下流端の粒度分布の測定結果を図6(b)に示す。
図6(a)と図6(b)において、各試験用沈砂池の上流端では、PACの作用によって泥土の粒度分布が原水に比較して大粒径側に偏っていることが判る。また、図6(a)と図6(b)との比較により、第1沈砂池では、第2沈砂池に比較して、6.35〜20.0μmの粒子がより除去されていることが判る。よって、第1沈砂池で採用した整流部15及び沈降促進部17による泥土の分離除去効果が確認された。
〔実験2〕
第1沈砂池及び第2沈砂池のそれぞれの上流端からPAC投入後の原水を流入させる際に、流量を15m/hとした。それ以外の条件については、実験1と同じである。原水の粒度分布、第1沈砂池の上流端の粒度分布、及び第1沈砂池の下流端の粒度分布の測定結果を図7(a)に示す。同様に、原水の粒度分布、第2沈砂池の上流端の粒度分布、及び第2沈砂池の下流端の粒度分布の測定結果を図7(b)に示す。図7(a)と図7(b)との比較により、第1沈砂池では、第2沈砂池に比較して、0.6〜63.2μmの粒子がより除去されていることが判る。よって、第1沈砂池で採用した整流部15及び沈降促進部17による泥土の分離除去効果が確認された。
また、図6(b)と図7(b)とを比較すると、PAC投入のみを行う第2沈砂池においては、特に流入流量が15m/hと大きくなったときに泥土の除去率が悪化することが判る。これに対し、図6(a)と図7(a)とを比較すると、PAC投入後に整流部15及び沈降促進部17を通過させる第1沈砂池においては、流入流量が15m/hと大きくなった場合にも、泥土が確実に除去されることが判った。
本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。また、上述した実施形態に記載されている技術的事項を利用して、実施例の変形例を構成することも可能である。各実施形態の構成を適宜組み合わせて使用してもよい。例えば、実施形態では、沈砂池7の底面7aは水平であるが、底面7aは、上流側が低く下流側が高くなるような下り坂であってもよい。この構成によれば、底面7aに沈降した泥土が沈砂池7の底面7aの上流側に集められる。また、傾斜板41を帯電させて、工事濁水W中の泥土を誘引し易くするようにしてもよい。
また、実施形態では、制御部29が濁度計23の測定値に基づいて切替部27を制御しているが、制御部29が、濁度計23の測定値に基づいて他の部分の操作を行うようにしてもよい。例えば、制御部29は、濁度計23の測定値が示す濁度が大きい場合には、凝集沈殿剤投入部13又は補助凝集沈殿剤投入部19からの凝集沈殿剤の投入量を増加させるといった操作や、整流部15の操作等を行ってもよい。
沈降促進部17を底面7aから離間させて支持する構造としては、脚部33には限定されない。例えば、沈降促進部17の上方及び下方にガイドロープを架設し、当該ガイドロープに対して沈降促進部17をロープで接続し固定してもよい。このとき、沈降促進部17の上端部にフロートを設けることで、工事濁水Wの水面の変動に追従して沈降促進部17が上下に移動するようにしてもよい。これにより、沈降促進部17の上端が水面から僅かに上方に突出した状態が自動的に維持される。またこのとき、沈降促進部17の下端部に錘を設けて沈降促進部17の姿勢の安定化を図ってもよい。またこのとき、下部阻流部38を折畳み可能又は展張可能なシートとして、泥溜空間35の上流側が下部阻流部38で塞がれた状態を維持するようにしてもよい。また、泥溜空間35に排泥管を挿入し、体積した泥土をポンプ等で沈砂池7外に排出してもよい。
また、工事濁水Wが沈降促進部17の上方を素通りすることを回避する構成としては、沈降促進部17の天板に上下に伸縮可能なシート(例えば、蛇腹状のシート)を設け、当該シートの上端にフロートを設けてもよい。この構成によれば、フロートが工事濁水Wの水面の変動に追従して上下することにより、沈降促進部17と水面との間がシートで塞がれた状態が維持される。また、実施形態では、沈降促進部17を構成する沈降促進ユニット31が、XYZの3方向に3次元的に配列されているが、沈降促進ユニット31は、XY方向、YZ方向、XZ方向など2次元的に配列されてもよい。また、沈降促進ユニット31は、X方向、Y方向、Z方向など1次元的に配列されてもよい。また、沈降促進部17を直方体形状にすることも必須ではなく、沈砂池7の断面サイズや断面形状、その他の設置条件に応じて他の形状にしてもよい。また、実施形態では、沈降促進部17を構成する沈降促進ユニット31同士が隙間なく配列されているが、前述したとおり、沈降促進ユニット31同士の間に所定の間隔があってもよい。
1…工事濁水分離システム、7…沈砂池、7a…底面、7b…側面、13…凝集沈殿剤投入部、15…整流部、15a…フロート部、15b…カーテン部、17…沈降促進部、41…傾斜板、43…枠体、W…工事濁水。

Claims (5)

  1. 工事濁水に含まれる泥土を分離する工事濁水分離システムであって、
    上流側から前記工事濁水が導入され貯留されると共に前記工事濁水が流動して下流側から排出される沈砂池と、
    前記沈砂池に導入される前記工事濁水に凝集沈殿剤を投入する凝集沈殿剤投入部と、
    前記凝集沈殿剤投入部よりも下流側において前記工事濁水を整流する整流部と、
    前記整流部よりも下流側に設けられ、前記沈砂池の上下流方向に略平行で鉛直方向に対して傾斜した姿勢で互いに平行に配列される複数の傾斜板を有し、前記傾斜板同士の間隙に前記工事濁水を通過させて当該工事濁水中の前記泥土の沈降を促進する沈降促進部と、を備える工事濁水分離システム。
  2. 前記整流部は、前記下流側に流動する前記工事濁水を下方に誘導する潜り堰である、請求項1に記載の工事濁水分離システム。
  3. 前記整流部は、
    前記工事濁水の水面上に浮遊するフロート部と、
    前記フロート部に垂下され前記上下流方向に交差するカーテン部と、を有し、
    前記カーテン部の下端と前記沈砂池の底面との間に前記工事濁水を通過させる、請求項2に記載の工事濁水分離システム。
  4. 前記沈降促進部は、
    複数の前記傾斜板を保持する枠体と、当該枠体に保持される複数の前記傾斜板と、を含む沈降促進ユニットが、所定の方向に複数配列されて形成されている、請求項1〜3の何れか1項に記載の工事濁水分離システム。
  5. 前記沈降促進部では、
    前記沈降促進ユニットの配置位置が前記沈砂池の下流側に行くに従って、当該沈降促進ユニットの前記傾斜板の傾斜が小さくなる、請求項4に記載の工事濁水分離システム。
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