JP2017202430A - 金属触媒、ガス拡散電極用触媒層、及び燃料電池 - Google Patents

金属触媒、ガス拡散電極用触媒層、及び燃料電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2017202430A
JP2017202430A JP2016093620A JP2016093620A JP2017202430A JP 2017202430 A JP2017202430 A JP 2017202430A JP 2016093620 A JP2016093620 A JP 2016093620A JP 2016093620 A JP2016093620 A JP 2016093620A JP 2017202430 A JP2017202430 A JP 2017202430A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal catalyst
catalyst
metal
gas diffusion
fept
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016093620A
Other languages
English (en)
Inventor
秀記 黒木
Hideki Kuroki
秀記 黒木
山口 猛央
Takehisa Yamaguchi
猛央 山口
孝敬 田巻
Takayoshi Tamaki
孝敬 田巻
仁孝 北本
Jinko Kitamoto
仁孝 北本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanagawa Academy of Science and Technology
Original Assignee
Kanagawa Academy of Science and Technology
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanagawa Academy of Science and Technology filed Critical Kanagawa Academy of Science and Technology
Priority to JP2016093620A priority Critical patent/JP2017202430A/ja
Publication of JP2017202430A publication Critical patent/JP2017202430A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Inert Electrodes (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

【課題】優れた酸素還元反応性能を有する金属触媒およびガス拡散電極用触媒層を提供することである。【解決手段】本発明にかかる金属触媒10は、焼結体よりなり、ナノ粒子が連結して電子伝導性を有するネットワーク状の金属触媒であって、金属触媒10が多結晶構造を有することを特徴としている。金属触媒10は中空カプセル形状であってもよい。また、金属触媒10の表面には原子レベルのステップ構造を有していてもよい。本発明にかかるガス拡散電極用触媒層は、このような金属触媒10と、金属触媒10と少なくとも一部が接触するイオン導電体と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、金属触媒、ガス拡散電極用触媒層、及び燃料電池に関する。
固体高分子型燃料電池の電極触媒として、電子伝導を担うカーボン担体の表面にPtまたはPtCoなどのPt合金のナノ粒子を担持させたものが用いられている。このような担持されたPt系触媒は単結晶構造を有している。
カーボン担体を用いた電極触媒を燃料電池の電極に用いた場合は、燃料電池の起動および停止を繰り返すことでカーボンが腐食し、燃料電池の性能が徐々に低下するという問題がある。このような問題を解決する技術として、本願発明者らは特許文献1において、ネットワーク状の金属触媒を用いた電極触媒を開示している。特許文献1に開示されている金属触媒は中空カプセル形状を備え、かつカーボン担体を用いないので電極触媒層の厚みが非常に薄くなり燃料電池の電極における酸素の輸送抵抗(拡散抵抗)を大幅に低減させることができる。
特開2015−92464号公報
特許文献1に開示されている技術では、燃料電池の電極にカーボン担体を用いない中空カプセル形状を備えるネットワーク状の金属触媒を用いているので、燃料電池の電極における酸素の輸送抵抗(拡散抵抗)を大幅に低減させることができる。また、特許文献1に開示されている金属触媒は、起動停止によるカーボン担体の腐食がなく優れた耐久性を有する。
しかしながら、燃料電池の電極においては、より優れた酸素還元反応(ORR:Oxygen Reduction Reaction)性能を有する金属触媒の開発が必要とされている。
上記課題に鑑み本発明の目的は、優れた酸素還元反応性能を有する金属触媒、ガス拡散電極用触媒層、及び燃料電池を提供することである。
本発明にかかる金属触媒は、焼結体よりなり、ナノ粒子が連結して電子伝導性を有するネットワーク状の金属触媒であって、金属触媒が多結晶構造を有することを特徴とする。
また、本発明にかかるガス拡散電極用触媒層は、上記の金属触媒と、当該金属触媒と少なくとも一部が接触するイオン導電体と、を備える。
更に本実施の形態にかかる燃料電池は、上記のガス拡散電極用触媒層を具備する。
本発明により、優れた酸素還元反応性能を有する金属触媒、ガス拡散電極用触媒層、及び燃料電池を提供することができる。
実施の形態にかかる金属触媒を示す模式図である。 図1のII−II切断線における断面図である。 実施の形態にかかるガス拡散電極用触媒層を示す模式図である。 実施の形態にかかる金属触媒の製造工程を説明するための図である。 実施の形態にかかる金属触媒の製造工程を説明するための図である。 実施の形態にかかる金属触媒の製造工程を説明するための図である。 実施例にかかる金属触媒の透過型電子顕微鏡像である。 実施例にかかる金属触媒のXRDパターンを示す図である。 実施例にかかる金属触媒のCVカーブを示す図である。 実施例にかかる金属触媒のLSVカーブを示す図である。 実施例および比較例にかかる金属触媒のESCA、質量活性、表面比活性を示す表である。 実施例にかかる金属触媒の球面収差補正STEM像である。 実施例にかかる金属触媒の球面収差補正STEM像である。 実施例にかかる金属触媒の球面収差補正STEM像である。 実施例および比較例にかかる金属触媒のXANESスペクトルである。 実施例および比較例にかかる金属触媒のXANESスペクトルである。 実施例および比較例にかかる金属触媒のEXAFSスペクトルである。
本実施の形態にかかる金属触媒は、焼結体よりなり、ナノ粒子が連結して電子伝導性を有するネットワーク状の金属触媒であり、金属触媒が多結晶構造を有することを特徴としている。例えば、金属触媒は中空カプセル形状である。また、金属触媒の表面には原子レベルのステップ構造が形成されていることが好ましい。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態にかかる金属触媒を示す模式図である。図2は、図1のII−II切断線における断面図である。図1、図2に示すように、本実施の形態にかかる金属触媒10は、外郭が概ね球状の網目状骨格11を有し、その内部が中空構造12である中空カプセル形状となっている。網目状骨格11は、金属同士が融着したネットワーク状構造をとり、電子伝導性を有する。
網目状骨格11には、多数の空隙13が形成されている。空隙13は、輪郭を画定する中空カプセル形状の金属触媒10の内部と外部とを連通するように形成されている。網目状骨格11の空隙率は特に限定されない。網目状骨格11を維持でき、電子伝導性を確保できる範囲であればよく、用途や求められるニーズに応じて適宜設計することができる。
金属触媒10の外郭の厚みは、特に限定されないが、好ましくは2nm以上、50nm以下である。金属触媒10の厚みを2nm以上とすることにより、構造欠陥を抑制して安定した製造を行うことができる。なお、金属触媒10の形状は、特に限定されるものではなく、後述する鋳型粒子の形状を制御することにより形状を自在に設計できる。例えば、楕円球形状、円筒状のロッド状、又はシート状としたり、螺旋形状としたりすることが可能である。また、単一種類から構成しても、2種以上を複数融合して構成してもよい。
金属触媒10の材料は、焼結体を形成することが可能であり、少なくともその一部に電極の触媒として機能し得る金属を含有する金属系ナノ粒子であれば制限なく用いることができる。電極の触媒として機能し得る金属としては、従来公知のものを使用できる。例えば、白金、コバルト、ニッケル、パラジウム、鉄、銀、金、銅、ルテニウム、イリジウム、モリブデン、ロジウム、クロム、タングステン、マンガン、これらの金属化合物、およびこれらの金属の2種以上を含む合金からなる微粒子が挙げられる。これらのうちでも、白金や白金−鉄合金、白金−コバルト合金、白金−銅合金、白金−ルテニウム合金、白金−鉄−銅合金、白金−鉄−ニッケル合金等の白金合金が例示できる。
また、本実施の形態にかかる金属触媒10では、外郭を構成している網目状骨格11が多結晶構造を有する。このように、網目状骨格11を多結晶構造とすることで、触媒特性(特に酸素還元反応性能)を向上させることができる。なお、本実施の形態にかかる金属触媒10では、網目状骨格11の全てが多結晶構造を備える必要はなく、多結晶構造と単結晶構造とが混在した構造としてもよい。
また、本実施の形態にかかる金属触媒10では、外郭を構成している網目状骨格11の表面に原子レベルのステップ構造を備えるようにしてもよい。原子レベルのステップ構造とは、1原子〜数原子程度の段差を備えるステップ構造である。このように、網目状骨格11の表面に原子レベルのステップ構造を形成することで、触媒特性(特に酸素還元反応性能)を向上させることができる。
特に本実施の形態にかかる金属触媒では、網目状骨格11を多結晶構造とし、且つ網目状骨格11の表面に原子レベルのステップ構造を形成することで、触媒特性(特に酸素還元反応性能)を更に向上させることができる。
次に、本実施の形態にかかる金属触媒10を燃料電池のガス拡散電極用触媒層に用いる場合について説明する。図3は、本実施の形態にかかるガス拡散電極用触媒層を示す模式図である。図3に示すように、ガス拡散電極用触媒層20は金属触媒10とイオン伝導体15とで構成されている。イオン伝導体15は、金属触媒10の表面と少なくとも一部が接触している。なお、図3ではガス拡散電極用触媒層の詳細な構造を示すために、ガス拡散電極用触媒層の一部を拡大して示している。
金属触媒10の溶出性等の耐久性を高める観点からは、鉄等を含ませて、fcc規則構造、fct規則構造等の超格子構造を取るようにすることが好ましい。特に、本実施の形態にかかる金属触媒10では、L1型の規則fct構造が好ましい。ガス拡散電極用触媒層20を構成する金属触媒10は、単一種類でも、2種以上を混合して用いてもよい。
また、本実施の形態では、金属触媒10の表面における白金原子の鉄原子に対する比が、金属触媒10の内部における白金原子の鉄原子に対する比よりも大きくなるように構成してもよい。このようにすることで、触媒表面に活性の高い白金層を露出することができる。例えば、金属触媒10を形成した後に酸溶液中に含浸、または電気化学処理を施すことで、金属触媒10の表面における白金原子の鉄原子に対する比を、金属触媒10の内部における白金原子の鉄原子に対する比よりも大きくすることができる。
金属触媒10の粒径は特に限定されず、用途に応じて適宜選定することができる。金属触媒10の粒径は、後述する鋳型粒子の大きさを制御することにより容易にコントロールできる。後述するプレ鋳型粒子のサイズを考慮すると、金属触媒10の粒径は通常10nm以上となる。ガス拡散電極用触媒層20において、粒径の異なるものを複数混合してもよい。
ガス拡散電極用触媒層20の厚みは、用途に応じて適宜設計することができるが、ガス拡散性の高効率化の観点からは薄くすることが好ましい。用いる燃料電池のタイプや触媒の種類により変動し得るが、直接メタノール型等の液体燃料系の燃料電池や、水素/酸素燃料電池等のガス燃料系の燃料電池などの各種燃料電池のガス拡散電極用触媒層の厚みは、10μm以下とすることが好ましい。特に水素/酸素燃料電池等においては、ガス拡散性をより高効率で高める観点から、ガス拡散電極用触媒層の厚みは、2μm以下が好ましく、0.5μm以下とすることがさらに好ましい。
イオン伝導体15は、イオン伝導性を示すものであればよく、従来公知のものを使用できる。カチオン伝導体の場合には、通常、水素イオンを伝導するプロトン伝導体を用い、アニオン伝導体の場合には、通常、水酸化物イオンを伝導する水酸化物イオン伝導体が選定される。イオン伝導体15としては、イオン伝導性基を有する樹脂等を好適に用いることができる。例えば、フルオロカーボン系や炭化水素系のポリマーへスルホン酸基やアニオン交換基を導入したポリマー、酸性官能基を有するジルコニウム化合物等の無機プロトン伝導体、層状複水酸化物等の無機アニオン伝導体等が例示できる。酸性官能基としては、スルホン酸基、スルホ基、スルホニル基、リン酸基等を挙げることができ、ジルコニウム化合物としては、硫酸ジルコニウム、スルホフェニルホスホン酸ジルコニウム、リン酸ジルコニウム、硫酸ジルコニア等が挙げられる。また、スルホン酸基を有するポリマーとしては、パーフルオロスルホン酸ポリマー(Nafion(登録商標)、フレミオン(登録商標)、アシプレックス(商品名)等)、SPES:ポリエーテルスルホン、SPEEK:スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、SPEK:スルホン化ポリエーテルケトン等が例示できる。
ガス拡散電極用触媒層20のイオン伝導体15の含有量は、イオン伝導性が確保でき、電気抵抗値が大きくなり過ぎることがない範囲であれば特に限定されない。ガス拡散電極用触媒層20には、イオン伝導体以外のバインダー等の他の成分が含有されていてもよい。
金属触媒10は、金属触媒10の表面部において金属同士が融着しているので電子伝導性を有する。金属触媒10と他の金属触媒10との電子伝導性は、(1)金属触媒10同士を接触させることにより電子伝導性を確保する方法、(2)金属触媒10同士を粒子間で互いに融着するように連結させる方法、および/又は(3)金属触媒10の粒子間の導電性を補助するために、別の導電性粒子を添加する方法等が例示できる。前記(1)の方法としては、膜電極接合体を形成する際に、厚み方向の上方および下方から適切な圧力を加える方法が例示できる。適切な温度をかけてホットプレスすることが好ましい。前記(2)の方法としては、後述する焼結処理の際に所望の形状となるように形成する方法や、焼結体を形成する段階で金属触媒10の粒子間が融着するように接触させて処理を行う方法が例示できる。前記(3)の方法としては、導電性カーボン等の導電性粒子を添加する方法が挙げられる。この場合、ガス拡散を阻害しないように、適した粒子径を有する粒子を選定することが好ましい。例えば、粒子径が金属触媒10より小さいものや、ガス流通性に優れた多孔性のカーボン粒子が挙げられる。前記(1)〜(3)は、単独で若しくは併用して用いることができる。
次に、本実施の形態にかかる金属触媒10の製造方法について説明する。但し、本実施の形態にかかる金属触媒10は、種々の方法により製造することが可能であり、以下の製造方法に限定されるものではない。
本実施の形態にかかる金属触媒10は、以下の工程を経て製造される。
工程(a):所望の形状を有し、第1の極性を有する鋳型を形成する工程。
工程(b):鋳型表面に、第1の極性とは反対の第2の極性を有し、触媒ナノ粒子を含有する金属系ナノ粒子を吸着、若しくはその場で成長させる工程。
工程(c):焼結処理により金属触媒を得る工程。
更に、下記の工程(d)を実施することで、本実施の形態にかかる金属触媒10を含むガス拡散電極用触媒層20を形成することができる。
工程(d):イオン伝導体15が、金属触媒10と接触部位を有するように触媒層内に組み込む工程。
なお、工程(d)のイオン伝導体は、下記(i)〜(iii)の少なくともいずれかである。
(i)工程(a)によって組み込まれた鋳型に含まれている成分である。
(ii)工程(c)の後に、前記鋳型に含まれている成分を前駆体として、変換することにより得られるものである。
(iii)工程(c)の後に、新たに加えることにより導入するものである。
[工程(a)]
まず、プレ鋳型粒子の水分散液を調製する。プレ鋳型粒子の好適な材料としては、シリカ(SiO)、酸化チタン(TiO)、フッ化マグネシウム(MgF)、フッ化アルミニウム(AlF)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化ナトリウム(NaF)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニア(ZrO)、酸化ニオブ(Nb)、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、セリア(CeO)、酸化イットリウム(Y)、酸化ビスマス(Bi)、アパタイト、ガラス等の無機材料を挙げることができる。プレ鋳型粒子は、単一材料からなるものであってもよいし、複数の材料を混合した粒子であってもよい。また、予め2種類以上の材料を混練、混合し、造粒、分級した粒子でもよい。
プレ鋳型粒子の調製方法は特に限定されないが、例えば、転動造粒、流動層造粒、撹拌造粒、解砕・粉砕造粒、圧縮造粒、押出造粒、融着造粒、混合造粒、噴霧冷却造粒、噴霧乾燥造粒、沈澱・析出造粒、凍結乾燥造粒、懸濁凝集造粒、滴下冷却造粒等の物理的造粒法を用いて造粒することができる。必要に応じて分級を実施する。プレ鋳型粒子が市販品として入手できる場合は、それを使用してもよい。
プレ鋳型粒子の粒径の範囲は特に限定されないが、通常、10nm〜10μm程度である。粒径が10μmを超えるとプレ鋳型粒子が溶媒に分散しないことがある。なお、プレ鋳型粒子の形状は、特に限定されないが、通常、球形状、若しくは概ね球形状である。中空カプセル形状の金属触媒10の形状は、前述したように、プレ鋳型粒子の形状により調節することができる。
次いで、プレ鋳型粒子の表面に第1の極性を有するコーティング層(不図示)を被覆させた鋳型粒子15(図4参照)の水分散液を調製する。鋳型粒子15は、コーティング層が被覆されているので、プレ鋳型粒子より粒子径が大きくなる。コーティング層の厚みは、特に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜設定することができる。コーティング層は、必ずしもプレ鋳型粒子の表面全体に亘って被覆されている必要はなく、被覆されていない領域があってもよい。
プレ鋳型粒子へのコーティング層の被覆方法は特に限定されないが、静電結合により被覆する方法が簡便である。プレ鋳型粒子が負に帯電している粒子の場合、正に帯電しているコーティング層を被覆することができる。また、プレ鋳型粒子が正に帯電している粒子の場合、負に帯電しているコーティング層を被覆することができる。負に帯電しているコーティング層にさらに正に帯電しているコーティング層を被覆することも可能である。
コーティング層としては、鋳型粒子15が第1の極性を発現できるものであればよく、特に限定されないが、好適な例として、イオン性ポリマー(カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー)を挙げることができる。上記イオン性ポリマーとして、荷電を有する官能基を主鎖、又は側鎖に持つ高分子を挙げることができる。正の電荷を有するイオン性ポリマーとしては、一般に、4級アンモニウム基、アミノ基などの正荷電を帯びているか、若しくは帯びることのできる官能基を有するものを挙げることができる。具体的には、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアリルアミン塩酸塩(PAH)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)、ポリビニルピリジン(PVP)、ポリリジンなどである。一方、負の電荷を有するイオン性ポリマーとしては、一般的に、スルホン酸、硫酸、カルボン酸など負電荷を帯びているか、帯びることのできる官能基を有するものを挙げることができる。具体的には、ポリスチレンスルホン酸(PSS)、ポリビニル硫酸(PVS)、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸(PMA)、ポリマレイン酸、ポリフマル酸などである。これらの工程を経て、工程(a)の鋳型が形成される。
得られた水分散液のゼータ電位は、第1の極性がプラスの場合には+5mV以上とすることが好ましい。+5mV未満では、鋳型粒子15が水中で凝集沈降してしまう恐れがある。上限は特に限定されないが、通常、+80mV以下である。一方、第1の極性がマイナスの場合には、上記と同様の理由から、−5mV以下とすることが好ましい。また、下限は特に限定されないが、通常−80mV以上である。
[工程(b)]
次に、鋳型粒子15の表面に金属触媒10の網目状骨格11を形成するために金属系ナノ粒子の材料を吸着、若しくはその場で成長させる。これにより、付着型の触媒粒子16(図5参照)を得る。具体的には、鋳型粒子15の均一な分散液中で、金属触媒10を形成するための材料を溶解させた溶液を加え、これらを鋳型粒子15に吸着、若しくはその場で成長させる。加える金属系ナノ粒子の極性は、鋳型粒子15の表面の極性とは反対の極性のものとする。即ち、金属系ナノ粒子は、鋳型粒子15の表面の第1の極性とは反対の極性を有する第2の極性のものを用いる。
金属系ナノ粒子の形状は特に限定されず、用途や目的に応じて不定形粉末、扁平状粉末、球状粉末、棒状粉末等を適宜選定できる。金属系ナノ粒子がブレンドの場合には、複数の形状のものが混在していてもよい。また、金属系ナノ粒子内には、後述する焼結工程において、除去される成分が含まれていてもよい。
金属系ナノ粒子の平均粒径は特に限定されないが、1nm以上とすることが好ましく、比表面積、若しくは質量あたりの触媒活性向上の観点から50nm以下とすることが好ましい。金属系ナノ粒子の平均粒径は、比表面積、若しくは質量あたりの触媒活性向上の観点から25nm以下とすることがより好ましく、15nm以下とすることが特に好ましい。触媒ナノ粒子の粒子径は、小さくても高い触媒能を有する材料が好ましい。触媒ナノ粒子の好ましい材料としては、前述した金属触媒10の材料を挙げることができる。触媒ナノ粒子以外の金属系ナノ粒子の平均粒径の好ましい範囲も、同様である。
[工程(c)]
続いて、付着型の触媒粒子16を焼結体に変換する。吸着、若しくはその場で成長させた金属系ナノ粒子を融着することにより、融着型の網目状骨格11(図6参照)を得る。焼結体を得る方法としては、水熱反応やアルコール熱反応を例示できる。焼成後、鋳型粒子15を溶出処理させることにより、鋳型粒子15が除去され、図1に示すような中空カプセル形状を有する金属触媒10が得られる。
焼結処理の方法は、付着型の触媒粒子16を融着型の網目状骨格11にすることができる処理であれば特に限定されないが、水熱反応やアルコール熱反応により行うことが好ましい。水熱反応やアルコール熱反応は、亜臨界状態とすることが好ましく、超臨界状態とすることが特に好ましい。亜臨界、又は超臨界状態の水中における水熱反応やアルコール熱反応の条件は、鋳型材料の種類、大きさ、及び付着型の触媒粒子16におけるナノ粒子の被覆率に依存する。
本実施の形態では、白金―鉄合金の場合、超臨界状態のエタノール中におけるアルコール熱反応の条件として、300℃〜380℃が好ましく、325℃〜335℃が更に好ましく、330℃が特に好ましい。このときの反応時間は、例えば160分間〜180分間とすることができる。このような条件で焼結処理をすることで、金属触媒10の網目状骨格11を多結晶構造とすることができる。また、金属触媒10の網目状骨格11の表面に原子レベルのステップ構造を形成することができる。
その後、上記の方法で得られた金属触媒10の内部を中空にするために、NaOH水溶液等を用いて鋳型粒子15を除去する。以上で説明した方法により、中空カプセル形状の金属触媒10を形成することができる。
更に、下記の工程(d)を実施することで、本実施の形態にかかる金属触媒10を含むガス拡散電極用触媒層20を形成することができる。
[工程(d)]
イオン伝導体15の少なくとも一部が上記で得られた金属触媒10と接触するように、イオン伝導体15を組み込む。イオン伝導体15は、前述した様な無機粒子、高分子等のイオン伝導性バインダーあるいはこれらの複合材料が好適に用いられる。組み込む方法は、金属触媒10にイオン伝導体15を加えて混練する方法や、イオン伝導体15を加熱溶融させて、金属触媒10に絡ませる方法が例示できる。なお、工程(d)は、工程(c)の後に実施される場合に限定されず、前述の(i)(ii)の方法により組み込む方法や、(i)〜(iii)を任意に併用する方法が例示できる。
以上で説明したように、本実施の形態にかかる金属触媒10は、ナノ粒子を連結してネットワーク化した構造を備えるので、触媒として利用できる表面積を高めることができる。更に、本実施の形態にかかる金属触媒10は、外郭を構成している網目状骨格11が多結晶構造を有するので、触媒特性(特に酸素還元反応性能)を向上させることができる。
また、本実施の形態にかかる金属触媒10は、外郭を構成している網目状骨格11の表面に原子レベルのステップ構造を備えていてもよく、ステップ構造を形成することで金属触媒10の触媒特性(特に酸素還元反応性能)を更に向上させることができる。
なお、本実施の形態にかかる金属触媒10では、網目状骨格11の全てが多結晶構造を備える必要はなく、多結晶構造と単結晶構造とが混在した構造としてもよい。また、本実施の形態にかかる金属触媒10では、網目状骨格11の表面の全てに原子レベルのステップ構造を形成する必要はなく、網目状骨格11の表面の一部に原子レベルのステップ構造を形成するようにしてもよい。
金属触媒中の多結晶構造と単結晶構造の割合や、金属触媒の表面に形成するステップ構造の量は、例えば、金属触媒を形成する際の上記工程(c)における超臨界状態の水熱またはアルコール熱反応の条件(温度、圧力、時間など)を変えることで制御することができる。
また、上記では金属触媒を燃料電池のガス拡散電極用触媒層に用いる場合について説明したが、本実施の形態にかかる金属触媒はこれ以外の用途に用いてもよい。
また、本実施の形態では、以下の方法を用いて金属触媒の特性を評価してもよい。
すなわち、本実施の形態では、作製した金属触媒について微細構造を観察し、金属触媒が網目状骨格を備えるか否か、また、網目状骨格が多結晶構造であるか否かに基づいて、金属触媒の特性を評価してもよい。つまり、金属触媒が網目状骨格を備え、且つその網目状骨格が多結晶構造を有する場合、金属触媒の特性が良好であると評価することができる。このとき、更に、金属触媒の網目状骨格の表面に原子レベルのステップ構造が形成されているか否かに基づいて、金属触媒の特性を評価してもよい。つまり、金属触媒の網目状骨格の表面に原子レベルのステップ構造が形成されている場合、金属触媒の特性が良好であると評価することができる。
作製した金属触媒の微細構造は、例えば電子顕微鏡を用いて観察することができる。このような評価方法を用いることで、金属触媒の特性を適切に評価することができる。
次に、本発明の実施例について説明する。
以下の製造方法を用いて実施例にかかる金属触媒(以下、カプセル状触媒とも記載する)を作製した。
<金属触媒の作製>
正のゼータ電位を有する鋳型粒子を以下の方法により調製した。まず、プレ鋳型粒子であるシリカ粒子(直径0.30μm)0.16gと脱イオン水5mLとを30mLビーカーに入れ、シリカ粒子を分散させた。
次に、ポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)((以下、「PDDA」と略記する)12.0gと脱イオン水19gとを遠心分離機用のチューブに入れた。このチューブに10分間超音波を照射してPDDAを溶解させた。また、シリカ粒子を分散させたビーカーに10分間超音波を照射した後に両溶液を混合し、25℃、回転数15,000rpmの条件で脱イオン水による5分間遠心分離を行い、上澄み液を捨てて洗浄を行う精製を3回繰り返した。これにより、脱イオン水に分散させたPDDA被覆シリカ粒子(鋳型粒子)の水分散液を得た。以後、このように調製したPDDA被覆シリカ粒子を「PDDA/SiO−OH」と表記する。
次に、FePtナノ粒子が吸着したPDDA被覆シリカ粒子の合成を行った。テトラエチレングルコール(Sigma-Aldrich社製)100mL、上述した工程で得たPDDA/SiO−OH水分散液をPDDA/SiOの乾燥質量が0.08gとなるように200mLのナス型フラスコに加え、エバポレーションにより水を除去した。フラスコの内容物を200mLの三口フラスコに移し替え、アセチルアセトナト鉄(III)0.15g(0.42mmol)、アセチルアセトナト白金(II)0.1512g(0.38mmol)を加え、24時間撹拌を行った。その後、還流のためのセットを組立て、Ar/Hのガス雰囲気下にした後、室温で30分間撹拌した。その後、10K/minで503Kまで昇温して、503Kで2時間加熱した。室温まで放冷後、茶色い上清溶液を捨ててエタノールで洗浄する工程を5回繰返した。その後乾燥した。
得られたFePtナノ粒子吸着PDDA被覆シリカ粒子のエタノール分散液を調整し、超音波処理を10分間行うことにより再分散させた。得られた分散液5mLを、耐圧硝子工業社製の密閉型超臨界反応容器TSC−0011(容積11mL)に入れ、トルクレンチで密栓した。予め加熱した電気炉に密栓した反応容器を入れ、超臨界処理を行った。この際、300℃で180分間、330℃で160分間、380℃で160分間の異なる条件で処理を実施し、触媒の構造制御を行った。各々の処理後、反応容器を水槽に入れ、急冷した。30分〜1時間放置した後、反応容器の栓を開け、超音波処理を10分間行い、遠心分離(25℃、15,000rpm、5分)を行った。
その後、3MのNaOH水溶液に分散させ、80℃で1〜2時間撹拌することで、シリカ粒子を溶解させた。その後、遠心分離(25℃、6,000rpm、10分)を数回行い洗浄・乾燥させ、FePt−カプセル状触媒を得た。以後、300℃で180分間、330℃で160分間、380℃で160分間の条件で超臨界処理を施したFePt−カプセル状触媒を各々「FePt−カプセル状触媒―300」、「FePt−カプセル状触媒―330」、「FePt−カプセル状触媒―380」と表記する。
<微細構造観察>
次に、上記の方法で作成した試料の微細構造を、透過型電子顕微鏡(TEM)(H-8100、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて観察した。図7にFePt−カプセル状触媒―300、FePt−カプセル状触媒―330、及びFePt−カプセル状触媒―380のTEM像を示す。図7に示すように、全ての試料において、芯材のシリカが溶解して中空カプセル形状の金属触媒が形成されていることが確認できた。
また、図7(A)に示すように、超臨界処理の条件が300℃、180分間の場合は、FePtナノ粒子同士が緩く融着したネットワーク構造が確認されたが、一部のナノ粒子同士は連結していないことも確認された。一方、図1(B)、図1(C)に示すように、超臨界処理の条件が330℃以上の場合は、FePtナノ粒子同士が融着して強固なネットワークが連続的に形成されていることが確認できた。
<XRD測定>
次に、上記の方法で作成した試料の結晶構造をX線回折(XRD)を用いて調べた。XRD測定には、X線回折装置(Ultima IV、Rigaku社製)を用い、回折角の範囲:2θ=10〜90°、スキャンスピード:2θ=1°/minの条件で測定を行った。図8に(A)FePt−カプセル状触媒―300、(B)FePt−カプセル状触媒―330、(C)FePt−カプセル状触媒―380のXRDパターンを示す。
図8に示すように、2θ=40°付近の(111)面のピークは、白金の(111)面のピーク位置よりも高角側にシフトしており、合金化が起きていることが分かった。また、超臨界処理の条件が330℃以上である(B)FePt−カプセル状触媒―330、及び(C)FePt−カプセル状触媒―380において、2θ=24°付近に(001)由来のピークと2θ=33°付近に(110)由来のピークが確認され、L1型のfct(面心正方)規則構造を有することが確認された。一方で、超臨界処理の条件が300℃の(A)FePt−カプセル状触媒―300は、2θ=24°、2θ=33°付近にピークが確認されず、fcc(面心立方)不規則構造を有することが分かった。また、ICP発光分光分析法を用いた元素分析により、FePt−カプセル状触媒はPt/Fe=0.9〜1(モル比)であることが確認できた。
<電気化学的評価>
上記のようにして作製したカプセル状触媒について、回転ディスク電極を用いて電気化学的評価を行った。電気化学的評価を行うにあたり、アルミニウムで磨いたグラッシーカーボン(幾何学的領域:0.196cm)を用いた。触媒の分散液は25%のIPA溶液6.25mLに2.5mgの触媒を分散させたものと、12.5μLのパーフルオロカーボン材料(ナフィオン(登録商標)、5wt%)とを混合して作製した。次いで、10μLの触媒の分散液をグラッシーカーボンの表面に塗布し、乾燥した。以上の工程を経て、グラッシーカーボンにFePt−カプセル状触媒―300、FePt−カプセル状触媒―330、FePt−カプセル状触媒―380が担持された電極を其々作製した。
得られたカプセル状触媒の電極について、窒素雰囲気下、0.1Mの過塩素酸電解液で電気化学処理を行った。電極を作用電極とし、対極に白金ワイヤを用い、基準電極に可逆水素電極(RHE)を用いて、0.05〜1.2V、掃引速度50mV/s、室温でCV(Cyclic voltammetry)測定を50サイクル行うことで電気化学処理を実施した。
電気化学処理後の電極についてCV測定を行い、水素脱着ピーク面積より電気化学的比表面積(Electrochemical Surface Area:ECSA)を算出した。CV測定は、窒素雰囲気下、0.1Mの過塩素酸電解液を用い、0.05〜1.2V、掃引速度20mV/s、室温で行った。図9に電気化学処理後のFePt−カプセル状触媒―300、FePt−カプセル状触媒―330、FePt−カプセル状触媒―380の電極を用いたCV測定結果を示す。図9より、FePt−カプセル状触媒は白金特有の応答を示すことが分かった。
電気化学処理後の電極について、以下の条件でLSV(Linear sweep voltammetry)測定を行い、酸素還元反応活性を算出した。即ち、電極回転速度1600回転/分において、電位走査を0.05Vから1.2Vへ掃引速度20mV/sで行い、電圧0.9Vにおける電流値から、白金単位質量あたりの酸素還元反応活性である質量活性と、白金表面積あたりの酸素還元反応活性である表面比活性を評価した。図10に電気化学処理後のFePt−カプセル状触媒―300、FePt−カプセル状触媒―330、FePt−カプセル状触媒―380の電極を用いたLSV測定結果を示す。図10のLSVカーブから各々の触媒の質量活性と表面比活性を計算した結果を図11の表に示す。比較例として、白金ナノ粒子がカーボンブラック上に担持された市販品Pt/C(田中貴金属工業社製、TEC10E50E)の活性を図11に示す。
図11に示すように、全てのFePt−カプセル状触媒において、Pt/Cよりも非常に高い表面比活性を示した。また、FePt−カプセル状触媒―330およびFePt−カプセル状触媒―380の表面比活性は、FePt−カプセル状触媒―300よりも高いことがわかった。透過型電子顕微鏡を用いた観察結果とXRD測定の結果を踏まえると、強固なネットワーク形成と超格子化が酸素還元活性向上に寄与していることが示唆された。質量活性に関しては、330℃で超臨界処理したFePt−カプセル状触媒―330が最も高い値を示しており(図11参照)、これは高いECSAと高い表面比活性とを両立したことによるものと考えられる。
<FePt−カプセル状触媒―330の評価>
電気化学的評価において最も高い酸素還元反応活性を示したFePt−カプセル状触媒―330について、日本電子社製JEM-2100Fを用いて球面収差補正走査透過型電子顕微鏡Cs-corrected STEM(spherical aberration corrected Scanning Transmission Electron Microscope)観察を行った。図12に電気化学処理を行っていないFePt−カプセル状触媒―330の球面収差補正STEM像を示す。図12に示す球面収差補正STEM像では、ナノ粒子が連結した数珠状のネットワークが観察され、さらに、そのネットワークの内部では様々な方向を向いた格子縞が確認された。このことから、カプセル状触媒のネットワーク構造は、複数の結晶子で構成された多結晶構造であることが分かった。
図13に、電気化学処理後のFePt−カプセル状触媒―330の球面収差補正STEM像を示す。図13に示す球面収差補正STEM像により、電気化学処理後においてもFePtナノ粒子が繋がったネットワーク構造は破壊されず、カプセル形状を維持していることが確認された。また、電気化学処理後においてもネットワークは多結晶構造を有していることが分かった。電気化学処理後はネットワーク内部にナノサイズの窪みも観察された。
図14は、電気化学処理後のFePt−カプセル状触媒―330における表面近傍の球面収差補正STEM像である。図14の球面収差補正STEM像に示すように、触媒表面の金属原子の並びに着目すると、原子レベルの多段状のステップ構造が確認された。これらのステップ構造は、例えばFePt合金の(111)面、(112)面、(113)面などで形成される。
以上の電子顕微鏡観察から、FePt−カプセル状触媒―330では、FePtのナノ粒子が連結した数珠状のネットワーク構造が多結晶構造を有し、その表面には原子レベルの多段状のステップ構造が形成されていることがわかった。
続いて、FePt−カプセル状触媒―330について、0.1Mの過塩素酸電解液中でのX線吸収微細構造解析を行った。図15および図16の各々に、「Pt-L3 edge」と「Pt-L2 edge」のX線吸収端近傍構造(XANES:X-ray Absorption Near Edge Structure)スペクトルを示す。比較例として、Pt/Cの測定結果も示す。図15および図16の測定結果から、FePt−カプセル状触媒―330はPt/Cよりも白金5d軌道の空孔数が多く、異なる電子状態を持つことが分かった。また、図17に示す広域X線吸収微細構造(EXAFS:Extended X-ray Absorption Fine Structure)スペクトルの解析から、FePt−カプセル状触媒―330の白金間結合距離は2.72Åであり、Pt/Cの2.77Åよりも短いことがわかった。
以上の結果から、FePt−カプセル状触媒の高い酸素還元反応活性には、ナノ粒子が連続的に繋がった強固なネットワーク構造が重要であり、そのネットワーク構造が多結晶構造を有し、表面には原子レベルの多段状のステップ構造が形成されていることが重要であることが分かった。また、FePt−カプセル状触媒は、Pt/Cと比べて、白金間結合距離が短く、白金5d軌道空孔数が多いことも分かった。また、FePt−カプセル状触媒の多結晶構造やステップ構造は、金属触媒を形成する際の超臨界状態の水熱またはアルコール熱反応の条件(温度、圧力、時間など)を変えることで制御することができた。
以上、本発明を上記実施の形態および実施例に即して説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
10 金属触媒
11 網目状骨格
12 中空構造
13 空隙
15 イオン伝導体
16 付着型の触媒粒子
20 ガス拡散電極用触媒層

Claims (8)

  1. 焼結体よりなり、ナノ粒子が連結して電子伝導性を有するネットワーク状の金属触媒であって、
    前記金属触媒が多結晶構造を有することを特徴とする、
    金属触媒。
  2. 前記金属触媒が中空カプセル形状である、請求項1に記載の金属触媒。
  3. 前記金属触媒の表面が原子レベルのステップ構造を有する、請求項1または2に記載の金属触媒。
  4. 前記金属触媒は白金−鉄合金を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の金属触媒。
  5. 前記金属触媒はL1型の規則fct構造を有する白金−鉄合金を含む、請求項4に記載の金属触媒。
  6. 前記金属触媒の表面における白金原子の鉄原子に対する比は、前記金属触媒の内部における白金原子の鉄原子に対する比よりも大きい、請求項4または5に記載の金属触媒。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の金属触媒と、
    前記金属触媒と少なくとも一部が接触するイオン導電体と、を備える、
    ガス拡散電極用触媒層。
  8. 請求項7に記載のガス拡散電極用触媒層を具備する燃料電池。
JP2016093620A 2016-05-09 2016-05-09 金属触媒、ガス拡散電極用触媒層、及び燃料電池 Pending JP2017202430A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016093620A JP2017202430A (ja) 2016-05-09 2016-05-09 金属触媒、ガス拡散電極用触媒層、及び燃料電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016093620A JP2017202430A (ja) 2016-05-09 2016-05-09 金属触媒、ガス拡散電極用触媒層、及び燃料電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017202430A true JP2017202430A (ja) 2017-11-16

Family

ID=60323106

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016093620A Pending JP2017202430A (ja) 2016-05-09 2016-05-09 金属触媒、ガス拡散電極用触媒層、及び燃料電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017202430A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019153478A (ja) * 2018-03-05 2019-09-12 地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所 ナノ粒子連結触媒およびその製造方法、ガス拡散電極用触媒層、膜電極接合体並びに燃料電池

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005120703A1 (ja) * 2004-06-10 2005-12-22 Sumitomo Electric Industries, Ltd. 金属触媒とその製造方法
JP2006045582A (ja) * 2004-07-30 2006-02-16 Univ Of Miyazaki 白金ないし白金を含む貴金属からなるスポンジ状ナノ粒子及びその製造方法
JP2015092464A (ja) * 2013-10-04 2015-05-14 国立大学法人東京工業大学 ガス拡散電極用触媒層、その製造方法、膜電極接合体および燃料電池

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005120703A1 (ja) * 2004-06-10 2005-12-22 Sumitomo Electric Industries, Ltd. 金属触媒とその製造方法
JP2006045582A (ja) * 2004-07-30 2006-02-16 Univ Of Miyazaki 白金ないし白金を含む貴金属からなるスポンジ状ナノ粒子及びその製造方法
JP2015092464A (ja) * 2013-10-04 2015-05-14 国立大学法人東京工業大学 ガス拡散電極用触媒層、その製造方法、膜電極接合体および燃料電池

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
TAMAKI, T. ET AL., ENERGY & ENVIRONMENTAL SCIENCE, vol. 8, JPN6020004204, 2015, GB, pages 3545 - 3549, ISSN: 0004208078 *
中西志歩ほか: "PEFCカソード触媒用PtFe中空ナノカプセルの構造制御および酸素還元活性評価", 化学工学会 第47回秋季大会 研究発表講演プログラム集, JPN6020004207, 9 September 2015 (2015-09-09), JP, ISSN: 0004320711 *
中西志歩ほか: "PEFC用白金鉄合金中空カプセル酸素還元触媒の高活性要因解明へ向けた構造制御", 化学工学会 第81年会 研究発表講演プログラム集, JPN6020004205, 13 March 2016 (2016-03-13), JP, ISSN: 0004320710 *

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019153478A (ja) * 2018-03-05 2019-09-12 地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所 ナノ粒子連結触媒およびその製造方法、ガス拡散電極用触媒層、膜電極接合体並びに燃料電池
JP7113422B2 (ja) 2018-03-05 2022-08-05 地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所 ナノ粒子連結触媒の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Cai et al. Nanostructuring noble metals as unsupported electrocatalysts for polymer electrolyte fuel cells
US9799894B2 (en) Catalyst layer for gas diffusion electrode, method for manufacturing the same, membrane electrode assembly, and fuel cell
US9647275B2 (en) Bi-functional catalysts for oxygen reduction and oxygen evolution
Bharti et al. Surfactant assisted synthesis of Pt-Pd/MWCNT and evaluation as cathode catalyst for proton exchange membrane fuel cell
CA3021498C (en) High activity alloy-based electrode catalyst, and membrane electrode assembly and fuel cell using high activity alloy-based electrode catalyst
Venarusso et al. Carbon-supported metal nanodendrites as efficient, stable catalysts for the oxygen reduction reaction
Sun et al. Inorganic non-carbon supported Pt catalysts and synergetic effects for oxygen reduction reaction
KR101951612B1 (ko) 촉매 입자, 그리고 이것을 사용하여 이루어지는 전극 촉매, 전해질막-전극 접합체 및 연료 전지
Thiagarajan et al. Pt nanoparticles supported on NiTiO3/C as electrocatalyst towards high performance Methanol Oxidation Reaction
JP6603396B2 (ja) 燃料電池用炭素粉末ならびに当該燃料電池用炭素粉末を用いる触媒、電極触媒層、膜電極接合体および燃料電池
Wu et al. Carbon supported PdO with improved activity and stability for oxygen reduction reaction in alkaline solution
JP6056963B2 (ja) 燃料電池用触媒及びその製造方法
JP7113422B2 (ja) ナノ粒子連結触媒の製造方法
Zheng et al. A facile and environmentally friendly one-pot synthesis of Pt surface-enriched Pt-Pd (x)/C catalyst for oxygen reduction
Zhang et al. Low Platinum fuel cell technologies
JP6881747B2 (ja) 水電気分解装置、膜電極接合体、Ru系ナノ粒子連結触媒およびRu系ナノ粒子連結触媒層の製造方法、燃料電池並びにメタンの水素化用触媒
Ramachandran et al. Recent developments in electrode materials for oxygen reduction reaction
JP6956851B2 (ja) 燃料電池用電極触媒及びそれを用いた燃料電池
WO2012127540A1 (ja) 金属酸化物・白金複合触媒およびその製造方法
JP2017202430A (ja) 金属触媒、ガス拡散電極用触媒層、及び燃料電池
JP2022045885A (ja) ナノ粒子連結触媒およびその製造方法、電極用触媒層、膜電極接合体、燃料電池並びに水電気分解装置
CN102325602A (zh) 用于碱性膜燃料电池的催化剂涂层膜(ccm)和催化剂膜/催化层及其制备方法
CA3133120C (en) Method for preparation of a supported noble metal-metal alloy composite, and the obtained supported noble metal-metal alloy composite
JP6245066B2 (ja) 固体高分子形燃料電池用の触媒粒子、及びこれを用いた触媒並びに固体高分子形燃料電池
Guo et al. Construction and Prospect of Noble Metal‐Based Catalysts for Proton Exchange Membrane Water Electrolyzers

Legal Events

Date Code Title Description
A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20160608

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20170905

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20170921

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190425

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200212

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20200811