JP2017200715A - 建築用棒状金物の表面加工装置及び表面加工方法 - Google Patents

建築用棒状金物の表面加工装置及び表面加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長尺の建築用棒状金物に凹凸面からなる表面加工を行う場合において、凹凸面や凹凸模様の不均一さが目立たず、表面全体に亘って多様な深さの凹凸面を比較的短時間のバレル加工時間で形成するなど、長尺部品の効率的な加工を施すことができる表面加工装置及び表面加工方法を提供する。【解決手段】前記建築用棒状金物を多数の研磨粒及び研磨水と共に缶内収容し得る多角形の筒缶状のバレル1と、バレルを所定方向へ回転駆動させる回転駆動装置5と、を備えてなり、バレル1の各内面板に片側扁平断面形状の突条11を複数個設け、前記突条11の片条面及びこれに隣り合うバレルの内面によって、研磨粒を一時貯留するポケット空間P11,P12,・・・がバレル内周部に複数個形成されたことを特徴とする。各ポケット空間P11,P12,・・・によって、一時貯留された研磨粒Aが上方まで運ばれてから落下することで、研磨効率が向上する。【選択図】図4

Description

本発明は、建築用棒状金物の棒状周面に微細な凹凸加工処理を行う表面加工装置及び表面加工方法に関し、特に、軸長2mを超える長尺の棒状一体金物についてそのほぼ全体に亘って均一な凹凸加工からなる表面処理を施す表面加工装置に関する。また本発明は、建築用棒状金物の棒状周面に微細な凹凸加工処理を行う表面加工方法に関し、特に、軸長2mを超える長尺の棒状一体金物を加工対象物とするか、或いは軸長2mを超える長尺の棒状一体金物を加工対象物の切断加工前の一次加工体とし、これらの加工対象物又は一次加工体の棒状周面のほぼ全体に亘って、均一な凹凸加工からなる表面処理を施す表面加工方法に関する。
従来、金属製洋食器の表面処理手段及び金属製洋食器のヴィンテージ感形成手段に関し、バレル研磨で用いる研磨材によって生じる打痕や凹凸痕を利用し、前記金属製洋食器表面に不連続で不均質に凹凸面や凹凸模様を形成させるものが開示される(特許文献1参照)。この形成手段においては、バレル研磨に関して、回転形バレル研磨、振動形バレル研磨、遠心流動形バレル研磨、などから選択するとされており、特に、回転形バレル研磨に関しては、バレル容器内に工作物、所定寸法で所定形状の粒子状の研磨材、コンパウンド、水等を容器の約1/2の容量を入れて回転させ、内容物の流れによって加工を行う、としている。
また一方、従来のバレル装置として、通電状態の電極部材を有するバレルを鍍金溶液中で回転させることによりバレルの部品貯留槽内の長尺棒状部品に鍍金を施す鍍金用バレル装置が開示される(特許文献2参照)。この鍍金用バレル装置においては特に、多角筒形状のバレルの多角形状の筒形成面に部品貯留槽の端から中心側に所定距離だけ離れた位置からそれぞれ多数の貫通口を形成し、一方、部品貯留槽の両端側の壁面から前記所定位置まで貫通口のない筒形成面形状とし、しかも、このバレルの軸線に沿い筒形成面の内側に板状の電極部材を複数本配設固定したものとされる。これによれば、リード線が損傷せず、棒状部品の変色等の鍍金不良もなく、更に、部品貯留槽の両端には貫通口がないので、長尺棒状部品の中央の鍍金厚さを設定厚さとすると、両端の鍍金厚さは棒状部品の中央の鍍金厚さとほぼ均一となり、棒状部品全体に均一な厚さの鍍金被膜を得ることができる、とされる。
実用新案登録第3200617号公報 特開2000−1798号公報
ここで、バレル研磨機による材料表面への凹凸加工処理を行う場合、各研磨粒の研磨性に幅があって各凹凸加工の大きさや深さが僅かずつ異なるもののほうが、独特な表面質感を得ることができる。
しかしながら、上述の表面処理手段及びヴィンテージ感形成手段においては、金属製洋食器のような小さい金属製材料の表面全体に不連続で不均質な凹凸面や凹凸模様を形成させるものとしている。このため、軸長2000mmを超えるような長尺の建築用棒状金物についてバレル研磨を行うと、凹凸面や凹凸模様の不均一さが目立ってしまい、表面全体に亘って凹凸面を形成するためには長時間のバレル加工時間を要してしまい、一方で長時間バレル加工時間をかけると凹凸加工自体が均一となってしまうなど、長尺部品の多様な深さの凹凸加工を効率的に行うには問題を有していた。
また一方、上述の鍍金用バレル装置は、バレルの部品貯留槽内の長尺棒状部品の表面加工を行うための工夫が施されるものの、これらの工夫はリード線の損傷や鍍金不良を防ぐためのものであり、部品貯留槽内の長尺部品に鍍金処理ではなく凹凸加工を施す場合には、いまだ表面全体への凹凸加工の均一性、効率性に問題を有していた。
そこで本発明は、軸長2000mmを超えるような長尺の建築用棒状金物について、各凹凸加工の大きさや深さが僅かずつ異なる表面加工を行う場合において、凹凸面や凹凸模様の不均一さが目立たず、表面全体に亘って多様な深さの凹凸面を比較的短時間のバレル加工時間で形成するなど、長尺部品の効率的な加工を施すことができる表面加工装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明では以下〔1〕〜〔7〕の手段を講じている。なお各用語に続けて記載する数字や記号は実施例としての構成を図示で理解するための符号であり、それ自体によって構成を限定するものでも実施例の構成に限定するものでもない。
〔1〕本発明の表面加工装置は、凹凸加工からなる表面処理を施す建築用棒状金物を処理対象物として、
処理対象物の表面全体に亘って凹凸加工処理を施す建築用棒状金物の表面加工装置であって、
前記建築用棒状金物を多数の研磨粒及び研磨水と共に缶内収容し得る多角形の筒缶状のバレル(1)と、
バレルを所定方向へ回転駆動させる回転駆動装置と、を備えてなり、
バレル(1)の各内面板に片側扁平断面形状の突条(11)を複数個設け、
前記突条(11)の片条面及びこれに隣り合うバレルの内面によって、研磨粒を一時貯留するポケット空間(P11,P12,・・・)がバレル内周部に複数個形成されたことを特徴とする。
上記のものであれば、研磨粒を一時貯留するポケット空間P11,P12,P13、・・・18によって一時貯留された研磨粒Aが上方まで運ばれてから落下するため、他の研磨粒に対して位置エネルギーの差による僅かに大きな研磨性を得ることができる。これにより、各凹凸加工の大きさや深さが僅かずつ異ならしめることで、独特な表面質感を得ることができる。また、加工性が上がるため効率的な凹凸加工が可能となる。
〔2〕また、前記〔1〕記載の表面加工装置において、
前記複数の突条(11)はいずれも、断面視(バレルの軸断面視)にて、
一側方側に配された急傾斜面(111)と、他側方側に配された緩傾斜面(112)と、が頂部で連なった扁平山形部を有し、
前記急斜条面(111)からなる片条面及びこれに隣り合うバレルの内面によって前記ポケット空間(P11,P12,・・・)が形成されると共に、
バレルが回転駆動装置は、バレルを前記急斜条面(111)の面上方へ回転駆動させるものであり、
バレルの回転駆動の際に、バレル内の研磨粒が、各急傾斜面(111)及び各緩傾斜面(112)のそれぞれの面上を異なるタイミングないし落下速度で滑落することが好ましい。
上記のものであれば、バレルが回転して急傾斜面(111)が斜め上を向いたときに、急傾斜面(111)上に形成される片条面側のポケット空間に比較的多数の研磨粒が一時貯留され、続いてさらにバレルが回転してこの急傾斜面(111)の傾斜角度が下向きになった時に滑落によってバレル内空間に放出される。このようにして放出された研磨粒は、比較的高い位置から速度をもって落下し、バレル内下部の研磨粒や加工対象物に強く衝突するため、比較的深い凹部を形成し得ることとなる。
また、バレルが回転して緩傾斜面(112)が斜め下を向いたときに、緩傾斜面(112)上にある研磨粒はその傾斜面上で滑落によって下方にバレル内空間に落下する。このようにして落下する研磨粒は、滑落の際の傾斜角度によって、さまざまな加工性をもって大小さまざまな凹部を形成し得ることとなる。またこの滑落によって落下する研磨粒は、前記落下による研磨粒と比較して転がりをもって落下するため、比較的長さの大きな凹部を形成し得ることとなる。特に、後述の実施例では、 実施例では突条の扁平山形部が、バレルの回転方向である一側方側へ配された急傾斜面と、バレルの回転方向と逆方向である他側方側へ配された緩傾斜面と、が頂部で連なってなる。
〔3〕また、前記〔1〕〔2〕いずれか記載の表面加工装置において、
突条(11)の固定面である底面の断面視幅が、バレル(1)の各内面板の板幅よりも小さく、かつ、内面板の特定の片側に偏った位置に固定されることが好ましい。
上記のものであれば、バレル内部の空間に、突条による各傾斜面と、バレル内部の多角形空間を構成する多角形の各面とが形成される。これらは異なる角度でバレル内部の空間の外周縁を形成するため、内部に収容される研磨粒や加工対象物がこれらの外周縁の各面に押し当たることで不均一に混ざり合い、様々な(不均一性をもった)凹凸加工が対象部品の表面全体に亘って効率的に施される。
特に、後述の実施例では、突条の扁平山形部が、バレルの回転方向である一側方側へ配された急傾斜面と、バレルの回転方向と逆方向である他側方側へ配された緩傾斜面と、が頂部で連なってなり、さらに、当該突条が、八角形断面のバレルの一側面を構成する一枚の内面板において、バレルの回転方向である前記一側方側寄りにずれた位置に固定される。これにより、バレルの軸断面視において、突条の緩傾斜状面側に、内面板の一部を含む比較的大きなポケット空間が形成され、また、突条の急傾斜状面側に、隣接する他の内面板の一部を含む比較的大きなポケット空間が形成される。またこれらのポケット空間は、一の突条の緩傾斜面と、当該突条の固定面の一部分と、前記突条に隣接した他の突条の急傾斜面と、からなる、片側へ扁平変形した断面視略コ字状縁の内部に構成される。
〔4〕また、前記〔1〕〔2〕〔3〕いずれか記載の表面加工装置において、
バレル外形の回転軸長が多角形断面外形の代表直径の3倍以上であって、
回転駆動時にバレル形成面の固有振動による共振動を生じることが好ましい。
上記のものであれば、バレルの回転軸長が多角形断面の代表直径の3倍以上、すなわちバレル外形において軸/径の比率が3以上なので回転による共振動が起こりやすく、この共振動によってバレル内部の研磨粒がより不規則かつ不均一に動き、表面全体に亘って、各凹凸部の大きさや形状が異なる不均一な凹凸加工処理が可能となる。
特に後述の実施例では、バレル外形の回転軸長がバレルの軸断面外形の代表直径の3倍以上4倍以下(さらに言えば3.2倍以上3.7倍以下)に設定される。このように適度な軸長/軸断面径の比率のバレル缶体を形成することで、研磨効率とバレル缶体の効率的な変形を伴ったバレル回転動作を行うことができる。仮に、バレル外形の回転軸長がバレルの軸断面外形の代表直径の3倍未満であると、突条の形成によってバレル空間の断面がバレル空間の空間軸長に対して小さくなりすぎて、共振動による研磨効率の上昇効果を十分に得ることができない。なお、バレル外形の回転軸長がバレルの軸断面外形の代表直径の4倍以上であってもよいが、100分未満の比較的短時間のバレル回転動作において更なる均一的な加工効果を得るためには、バレル外形の回転軸長がバレルの軸断面外形の代表直径の4倍以上であることが好ましい。
〔5〕また、前記〔1〕〔2〕〔3〕〔4〕いずれか記載の表面加工装置において、
バレル外形の回転軸長がバレルの軸断面外形の代表直径の3倍以上であって、
バレルの少なくとも両端板が弾性材からなり、
両端板の外面に突出固定された連結ブラケットを介して、
回転軸棒が保持角度可変及び保持位置可変可能に保持されることが好ましい。
上記のものであれば、バレルが回転駆動したときに連結ブラケットによって引っ張られた弾性材の両端板が弾性変形し、回転軸棒が保持角度ないし保持位置をさまざまに可変させながら回転することとなる。特にバレルの回転軸長がバレルの軸断面外形状の代表直径の3倍以上である長尺のバレルにおいては、バレルの回転による片持ち軸のモーメントを両端板の連結ブラケットで受けるため、大きな軸位置変動を伴うこととなる。これにより、単なる高速回転ではなく、バレル内の回転軸が歪んだ不均一なバレル回転を生じさせ、不均一な回転動の付与によって研磨効率が向上するものとなる。
特に後述の実施例では、バレル外形の回転軸長がバレルの軸断面外形の代表直径の3倍以上4倍以下(さらに言えば3.2倍以上3.7倍以下)に設定される。このように適度な軸断面形状のバレル缶体を形成することで、研磨効率とバレル缶体の効率的な変形を伴ったバレル回転動作を行うことができる。このように適度な軸長/軸断面径の比率のバレル缶体を形成することで、研磨効率とバレル缶体の効率的な変形を伴ったバレル回転動作を行うことができる。仮に、バレル外形の回転軸長がバレルの軸断面外形の代表直径の3倍未満であると、突条の形成によってバレル空間の断面がバレル空間の空間軸長に対して小さくなりすぎて、回転軸棒の保持角度ないし保持位置の変動による研磨効率の上昇効果を十分に得ることができない。なお、バレル外形の回転軸長がバレルの軸断面外形の代表直径の4倍以上であってもよいが、100分未満の比較的短時間のバレル回転動作において更なる均一的な加工効果を得るためには、バレル外形の回転軸長がバレルの軸断面外形の代表直径の4倍以上であることが好ましい。
〔6〕本発明の建築用棒状金物の表面加工方法は、
前記〔1〕〔2〕〔3〕〔4〕〔5〕のいずれか記載の表面加工装置を用いて、建築用棒状金物である加工対象物の棒状周面に凹凸加工処理を行う表面加工方法であって、
加工対象物、研磨剤、及び研磨液を、所定(例えば、50%〜75%の範囲内)のバレル容積比の装入量でバレル内に装入する装入工程と、
バレル(1)を定速度回転で所定時間だけ回転させるバレル回転工程と、を順に具備してなり、
前記加工対象物は、真鍮、アルミニウム、ステンレスのうちいずれか一種を主材とする、軸長2000mmを超える金属製棒状体からなると共に、
バレル空間の空間軸長が、加工対象物の軸長の120%以上130%以下の範囲からなることを特徴とする。
発明者の確認試験によれば、真鍮、アルミニウム、ステンレスのうちいずれか一種を表面主材とし、軸長2000mmを超える金属製棒状体を加工対象物とした場合において、バレル空間の空間軸長を、加工対象物の軸長の120%以上130%以下の範囲に設定したとき、効率的な表面加工を施すことが確認された。特に、前記〔4〕〔5〕のいずれか記載の表面加工装置を用いて、建築用棒状金物である加工対象物の棒状周面に凹凸加工処理を行う場合には、バレル外形の回転軸長が多角形断面外形の代表直径の3倍以上となって、バレル回転工程が共振動/回転軸棒の角度ないし位置変動を伴うこととなり、より効率的な表面加工処理を行うことができる。
〔7〕或いは、本発明の建築用棒状金物の表面加工方法は、
前記〔1〕〔2〕〔3〕〔4〕〔5〕のいずれか記載の表面加工装置を用いて、一次加工体を切断加工してなる二次加工体の加工対象物(建築用棒状金物である加工対象物)の、切断加工前の一次加工体の棒状周面に凹凸加工処理を行う表面加工方法であって、
一次加工体、研磨剤、及び研磨液を、所定(50%〜75%の範囲内)のバレル容積比の装入量でバレル内に装入する装入工程と、
バレルを定速度回転で所定時間だけ回転させるバレル回転工程と、
バレル回転工程後の一次加工体をバレルから取り出して切断加工し、加工対象物の二次加工体を得る切断工程と、を順に具備してなり、
前記加工対象物の一次加工体は、真鍮、アルミニウム、ステンレスのうちいずれか一種を表面主材とする、軸長2000mmを超える金属製棒状体からなると共に、
バレル空間の空間軸長が、加工対象物の軸長の120%以上130%以下の範囲からなることを特徴とする。
発明者の確認試験によれば、真鍮、アルミニウム、ステンレスのうちいずれか一種を表面主材とし、軸長2000mmを超える一次加工体を加工対象物とした場合において、バレル空間の空間軸長を、加工対象物の軸長の120%以上130%以下の範囲に設定したとき、効率的な一次加工体の表面加工を施すことが確認された。特に、前記〔4〕〔5〕のいずれか記載の表面加工装置を用いて、建築用棒状金物である加工対象物の棒状周面に凹凸加工処理を行う場合には、バレル外形の回転軸長が多角形断面外形の代表直径の3倍以上となって、バレル回転工程が共振動/回転軸棒の角度ないし位置変動を伴うこととなり、より効率的な表面加工処理を行うことができる。
軸長2000mmを超えるような長尺の建築用棒状金物について、各凹凸加工の大きさや深さが僅かずつ異なる表面加工を行う場合において、凹凸面や凹凸模様の不均一さが目立たず、表面全体に亘って多様な深さの凹凸面を比較的短時間のバレル加工時間で形成するなど、長尺部品の効率的な加工を施すことができる表面加工装置、表面加工方法を提供するものとなった。
本発明の実施例1の表面加工装置の正面構成図。 図1のA−A側断面図。 回転駆動時のバレルの外観状態を示す正面部分説明図。 回転駆動時のバレルの内部状態を示す断面説明図。 丸棒を加工対象物とした場合の、各表面加工装置による表面加工の比較写真 角棒を加工対象物とした場合の、各表面加工装置による表面加工の比較写真 真鍮製角パイプを加工対象物とした場合の、実施例1の表面加工装置による表面加工状態の拡大写真 アルミニウム製パイプを加工対象物とした場合の、実施例1の表面加工装置による表面加工状態の拡大写真 ステンレス製丸パイプを加工対象物とした場合の、実施例1の表面加工装置による表面加工状態の拡大写真
以下本発明を実施するための形態例につき、実施例として示す各図とともに説明する。なお各用語に続けて記載する数字や記号は実施例としての構成を図示で理解するための符号であり、それ自体によって構成を限定するものでも実施例の構成に限定するものでもない。
(表面加工装置)
本発明の表面加工装置は軸長2000mmを超えるような長尺の建築用棒状金物を加工対象物とし、この加工対象物の表面全体に亘って、各凹凸加工の大きさや深さが僅かずつ異なる(すなわち、極小範囲において不均一なランダム凹凸加工からなる)表面加工を、表面全体にある程度の均一性をもって(すなわち、表面加工範囲の残りがなく且つ全体から見て表面加工の濃淡が少ないように)施すものとしている。但し、この加工対象物は、軸長2mを超える所定の部品形状に成形された長尺の棒状一体金物の建築用金属金物であるか、或いは、軸長2mを超える所定の一次加工体形状に成形された、切断加工前の長尺の棒状一体金物からなるものとする。一次加工体を加工対象物とした場合は、当該一次加工体を本発明の表面加工装置によって表面加工した後、切断加工及びその後の仕上げ加工によって、所定の切断寸法の二次加工体からなる建築用金属金物となる。建築用金属金物の具体例としては、建築用扉の取っ手、建築用手すり、支柱(ポール)、ガラス壁用枠材、配管用キャップといった化粧用金物が挙げられる。
そして、表面加工装置の基本構成として、軸長2000mmを超える長尺棒状の処理対象物(O)を、多数の研磨粒及び研磨水と共に缶内収容し得る多角形のバレル空間を有した、多角形の筒缶状のバレル(1)と、
バレル(1)を特定の一方向へ回転駆動させる回転駆動装置と、を備える(図1)。また実施例ではさらに、バレル両端から突出して固定された回転軸棒(21)と、回転軸棒を支承する保持ブラケット(32)と、回転軸棒(21)に駆動力を与える回転駆動装置と、を備える(図1)。
より具体的には、図1に示すように、バレル両端を塞ぐ両端板(21)の中央に固着され、部分球状に外方突出した連結ブラケット(21)を介して、回転軸棒(22)が軸方向へ突出し、この回転軸棒(22)を下方から保持ブラケット(32)によって挿通保持するものとしている。さらに片側の回転軸棒(22)(図1では向かって右側の回転軸棒)の軸端部には図示しない回転力伝達用のスプロケットが設けられ、スプロケットに回転駆動力を伝達させる回転ベルト部(51)及び回転モーター部(52)からなる回転駆動装置が設けられる。
また、図1ないし図4に示すように、バレル(1)は多角形(実施例では八角形)のバレル側面を構成する各内面板とその両端を塞ぐ両端板(21)とによって多角形柱状のバレル空間を有した缶状バレルが形成される。バレル(1)は多角形のバレル側面の一面が、取り外し可能な蓋部(14)で構成される。蓋部(14)はバレルの外部一方向に平行に対向突出した4組の突出ピン(141)の間であって多角形のバレル形状の一側面の蓋空間にはめ込まれた閉蓋状態で、各組の突出ピン(141)の先側の孔を挿通する連結棒(142)によって蓋外面を押えられて固定される(図1,2,4)。また、バレルはその外径が軸/径比率すなわちアスペクト比が3以上(
代表直径の3倍以上の軸長)となっており、図3に示すように、蓋部14を除くバレル側面の各内面板が、バレルの回転駆動の際に、長尺方向すなわち軸方向に対して真直ぐではなくある程度の湾曲変形を伴うものとなっている。また、両端板(21)が弾性材からなることと相まって、回転による共振動が起こり、研磨効率を向上させる。
バレル内部には研磨液、多数の研磨粒、及び加工対象物(O)が、加工対象物を含めてバレル容積比50%〜75%の範囲内の所定の装入量で装入される。バレル空間の空間軸長は、加工対象物の軸長の120%以上130%以下の範囲、さらにいえば加工対象物の軸長の120%以上125%以下の範囲となるように設定される。但し、加工対象物は2000mmを超える軸長の長尺の棒状体である。すなわち、装入される加工対象物は、バレル空間の空間軸長の77%以上84%以下、さらにいえば77%以上80%以下の軸長からなるとき、加工対象物の軸長に対するバレル空間の空間軸長が、効果的な表面処理のための適切な割合となる。すなわちここでバレル内部には、特に図2、図4に示すように、多角形数だけある各内面板のそれぞれに、片側扁平断面形状の突条(11)が、特定の回転方向側に偏った位置に一つずつ、内方へ突出するように固定される。これにより、前記突条(11)の片条面及びこれに隣り合うバレルの内面によって、研磨粒を一時貯留するためのポケット空間(P11,P12,・・・)がバレル内周部に等間隔に複数個形成される。これにより、図4に示すように、収容ポケット空間P11、P12、P13・・・によって、研磨粒Aがバレル空間内を上方まで運ばれてから研磨液中へ落下する。
図4に示すように、この突条(11)は具体的には、断面視にて、
急斜面111と緩斜面112とが相対方向を向いて連なった扁平傾斜形状からなる。急斜面111と緩斜面112とによって頂部(113)が形成される。また突条(11)の底面幅は、バレル(1)の各内面板の板幅よりも小さく、内面板の特定の片側(図4における各板の右回り方向)に偏った位置に固定される。バレルの構成面と同様に、蓋部14の内面にも一つの突条が形成される。
またバレルの内部全体は弾性保護材でコーティングされてなり、内部の頂部に内容物が強くあたっても衝撃破壊されにくいものとなっている。
バレルの両端板(12)は弾性材からなり、図3(a)(b)に示すように、両端板に外部固定された球冠状の連結ブラケットを介して、
回転軸棒が保持角度可変及び保持位置可変可能に保持される。保持ブラケット(32)は回転軸棒(22)の挿通孔を有すると共に回転軸棒(22)の先側に形成された貫通長孔に保持内枠が挿通される。
これにより、図3に示すようにバレルが回転駆動される際に両端板(12)がバレル及び内容物の自重によって弾性変形し、バレルの回転軸が下方湾曲する(図3a)か、上方湾曲する(図3b)。この時、バレル内部では軸方向の不規則な慣性力が生じ、内部の研磨粒Aが軸方向にランダムに移動することで凹凸加工を行う。
保持ブラケット(32)はバレルの両側部ないし下部を囲う支持フレーム(31)によって支持される。支持フレーム(31)はさらに駆動時の変形を避けるため、枠下部に台枠(4)が固定されてなる。この台枠(4)は前方へ向かって下方傾斜する傾斜台板(41)を有し、傾斜台板(41)の傾斜台面に囲まれた山側の部分凸部(42)が軸方向へ離間形成される。また支持フレーム(31)の上方を上フレーム(33)が枠状に囲い、その上部に蓋部(41)を運搬するためのブラケット(34)が固定される。
上記構成からなる表面加工装置は、径に対して軸方向に長いバレル形状の回転バレルであり、且つ回転軸棒が保持角度を傾斜可能、かつ保持位置をスライド移動としているため、図3(a)(b)又は図4の破線(符号1´のバレル外形)に示すように、蓋部を除くバレルの側面が回転時にわずかに下湾曲ないし上湾曲の変形を伴う。さらに内部のバレル空間には八個の突条が形成されるため、突条に係止して比較的高い位置まで運ばれてから落下する高速研磨粒群と、傾斜面に沿って転がり落下する低速回転研磨粒群と、が混在することで、衝撃研磨と回転摩擦研磨とからなる、異なる研磨現象がミキシングして行われ、これにより、ランダムな凹凸加工が均一にかつ効率的に行われる。
(本発明の建築用棒状金物の第一の表面加工方法)
本発明の建築用棒状金物の第一の表面加工方法は、前記表面加工装置を用いて、建築用棒状金物である加工対象物の棒状周面に凹凸加工処理を行う表面加工方法であって、
加工対象物、研磨剤、及び研磨液を、50%〜75%の範囲内の所定のバレル容積比の装入量でバレル内に装入する装入工程と、
装入後のバレル(1)を、30〜55rpmの範囲内の定速度回転で、50分〜90分の範囲内の所定時間だけ一方向回転させ、加工対象物の棒状周面に凹凸加工処理を行うバレル回転工程と、を順に具備してなる。
前記加工対象物は、真鍮、アルミニウム、ステンレスのうちいずれか一種を主材とする、軸長2000mmを超える金属製棒状体からなると共に、
バレル空間の空間軸長が、加工対象物の軸長の120%以上130%以下の範囲からなることを特徴とする。
(本発明の建築用棒状金物の第二の表面加工方法)
本発明の建築用棒状金物の第二の表面加工方法は、前記表面加工装置を用いて、一次加工体を切断加工してなる二次加工体の加工対象物(建築用棒状金物である加工対象物)の、切断加工前の一次加工体の棒状周面に凹凸加工処理を行う表面加工方法であって、
一次加工体、研磨剤、及び研磨液を、50%〜75%の範囲内の所定のバレル容積比の装入量でバレル内に装入する装入工程と、
装入後のバレル(1)を、30〜55rpmの範囲内の定速度回転で、50分〜90分の範囲内の所定時間だけ一方向回転させ、加工対象物の一次加工体の棒状周面に凹凸加工処理を行うバレル回転工程と、
バレル回転工程後の一次加工体をバレル内から取り出して切断加工し、加工対象物の二次加工体を得る切断工程と、を順に具備してなる。
前記加工対象物の一次加工体は、真鍮、アルミニウム、ステンレスのうちいずれか一種を表面主材とする、軸長2000mmを超える金属製棒状体からなると共に、
バレル空間の空間軸長が、加工対象物の軸長の120%以上130%以下の範囲からなることを特徴とする。
上記のように、加工対象物又は加工対象物の一次加工体が、真鍮、アルミニウム、ステンレスのいずれか一種を表面主材(表面材の重量比80%以上が当該材で構成されることをいう)とした、軸長2000mmを超える金属製棒状体からなり、かつ、バレル空間が2400mmを超える、加工対象物の軸長の120%以上130%以下の範囲の空間軸長からなることで、加工対象物の軸長に亘ってその端部から中央部にかけて、比較的均一な表面加工を施すことができる。特に、前記条件に加えて、バレルの回転軸長が多角形断面の代表直径の3倍以上からなる場合、並びに、前記条件に加えてバレルの回転軸長が多角形断面の代表直径の3倍以上からなり、さらにバレル回転工程においてバレル軸長方向への振動を伴ってバレル回転が行われる場合には、軸方向への動きによる表面加工の影響が適度な範囲で表れ、効率的かつ均一な表面加工を行うことができる。
仮に、バレル空間の空間軸長が加工対象物の軸長の120%未満であると、バレル端面の影響によって、加工対象物の軸長端部寄りの部分の表面加工が軸長中央寄りの部分の表面加工よりも過度となり、軸長に亘って不均一な表面加工状態となってしまう。また、仮に、バレル空間の空間軸長が加工対象物の軸長の130%を超えると、加工対象物の軸長全体に亘って比較的均一な表面加工を施すのに100分以上の時間を要してしまい、効率的な表面加工ができないものとなってしまう。
具体例として、真鍮
・アルミ・ステンレス製の建築用棒状金物(建材製品を含む)を加工対象物とし、表面加工においてバレル容積比を60%〜75%の比較的低範囲内の値に調整すると共に、バレル回転速度を40rpm〜55rpmの比較的低範囲内の値に調整し、かつ、加工時間を60分〜90分の範囲内の各値に調整してバレル回転工程を行った場合には、凹凸模様を均一に施し、建築用金物全体に亘って、濃淡の変化の少ない独自の網様の曇り表面加工を形成することができる(図8、図9)。図8、図9のような網様の曇り表面加工は、指紋の付着を防止することができ、また、経年による表面の傷付きや汚れ曇りの影響を受けにくいため、長期間使用による表面劣化の影響を受けないという利点がある。また、前記網様の曇り表面加工の後に、電鋳メッキ加工、ないし塗装仕上げを施すことで、さらに異なる表情を有した独自の意匠を呈することができる。
(比較試験)
本発明の効果を確認すべく、実施例1の表面加工装置による表面加工と、突条を有さない表面加工装置による表面加工の比較試験を行った。ステンレス(SUS304)製、径30mm、軸長2100mmの丸棒を加工対象物とした場合の比較写真を図5に、ステンレス(SUS304)製、一辺35mm、軸長2100mmの角棒を加工対象物とした場合の比較写真を図6に、それぞれ示す。いずれの表面加工においても、表面加工装置はバレル長2500mm、バレル代表径700mmの八角形バレルを使用し、装入量をバレル容積比55%とし、30rpmの定速回転で90分間表面加工装置を稼働させた。
図5(a)の実施例の表面写真と、図5(b)の比較例の表面写真とを比べると、実施例の表面加工のほうが全体的な表面加工の均一度が大きく、かつ、加工ムラないし反射ムラが少ないことが明らかである。図5の(a)に示す、本発明の実施例による表面加工状態では、細かな点描傷が比較的均等に分散形成されており、各点描傷はすべて代表径0.6mm未満、傷深さ0.3mm未満となっている。また、これらの点描傷の間に点描傷よりも少量の線描傷が分散形成されており、各線描傷は全て長さ2.0mmm未満、傷深さ0.1mm未満となっている。これに対し、図5の(b)に示す、本発明の突条を有さない比較例による表面加工状態では、細かな点描傷Dが比較的不均一に分散形成されており、各点描傷Dは代表径1.0mmを超えるもの、傷深さ0.5mmを超えるもののいずれかが、900mm当たり1つ以上散見される。また、これらの点描傷Dの間に形成される線描傷Lは点描傷Dと同程度或いは点描傷Dよりも大量に形成されており、各線描傷Lは長さ2.0mmmを超えるもの、傷深さ0.1mmを超えるもののいずれかが、900mm当たり1つ以上散見される。また特に、図5(b)では表面加工量の不均一さが目立ち、これによって写真撮影時の暗色領域部である反射ムラv(加工ムラに基づくもの)が生じてしまっている。
また、図6(a)の実施例の表面写真と、図6(b)の比較例の表面写真とを比べてみても、全体的な表面加工の均一性の差が明らかである。図6の(a)に示す、本発明の実施例による表面加工状態では、細かな点描傷Dが比較的均等に分散形成されており、各点描傷はすべて代表径0.6mm未満、傷深さ0.3mm未満となっている。また、これらの点描傷Dの間に点描傷Dよりも少量の線描傷Lが分散形成されており、各線描傷Lは全て長さ1.0mmm未満、傷深さ0.05mm未満となっている。これに対し、図6の(b)に示す、突条を有さないバレルを用いた比較例の表面加工装置による表面加工状態では、細かな点描傷Dが比較的不均一に分散形成されており、各点描傷Dは代表径1.0mmを超えるもの、傷深さ0.5mmを超えるもののいずれかが、900mm当たり1つ以上散見される。また、これらの点描傷Dの間に形成される線描傷Lは点描傷Dと同程度或いは点描傷Dよりも大量に形成されており、各線描傷Lは長さ2.0mmmを超えるもの、傷深さ0.1mmを超えるもののいずれかが、900mm当たり1つ以上散見される。また特に、図6(b)では表面加工量の不均一さが目立ち、これによって写真撮影時の暗色領域部である反射ムラv(加工ムラに基づくもの)が生じてしまっている。
また、本発明の実施例1の表面加工装置による表面加工状態の例を、図7、図8、図9にそれぞれ示す。図7は一辺35mm、軸長2100mmの真鍮製角パイプ、図8は径30mm、軸長2100mmのアルミニウム製丸パイプ、図9は径30mm、軸長2100mmのステンレス(SUS304)製丸パイプを加工対象物とする。
図7では装入量をバレル容積比50%とし、60分という比較的短い時間で50rpmの比較的大きい定速度回転による稼動を行うことで、濃点描傷D1、薄点描傷D2、線描傷Lといった、異なる種類の紋状傷をランダムに形成したものとなっている。特に図5や図6の実施例と比べて線描傷Lが多量に形成され、かつ、きわめて浅い衝突窪みからなる薄点描傷D2が線描傷Lよりもさらに多量に形成される。また、線描傷Lは平均長さ1.8mmという比較的長くかつ点描の連続による凹凸部を伴って形成されることで、よりアクセント性の高い細描模様として形成される。
図8では装入量をバレル容積比60%とし、60分という比較的短い時間で40rpmの定速度回転による稼動を行うことで、濃点描傷D1、薄点描傷D2、線描傷Lといった、異なる種類の紋状傷をランダムに形成したものとなっている。特に図5や図6のような、装入量及び回転数の比較的小さい実施例と比べて、細かな線描傷Lが多量に形成され、かつ、きわめて浅い衝突窪みからなる薄点描傷D2が線描傷Lと同定とまたはそれ以上に多量に形成された、独特の網様の曇り表面加工となっている。また、濃点描傷D1、薄点描傷D2、のいずれも、代表径0.10mm以下という極めて小さくかつ真円形に近い形状で形成されることで、より均一性の高い細描模様として形成される。本加工は特に、指紋が目立ちにくく経年劣化しても変化が少ない表面加工を、長尺サイズの対象物に対して均一に施すことができるものとなっている。
図9では装入量をバレル容積比75%とし、90分という、60分を超えた時間で55rpmの比較的大きい定速度回転による稼動を行うことで、濃点描傷D1、薄点描傷D2、線描傷Lといった、異なる種類の紋状傷をランダムに形成したものとなっている。特に図5や図6のような、装入量及び回転数の比較的小さい実施例、或いは、図8のような、装入量及び回転数を若干大きくした実施例と比べて、細かな線描傷Lが極めて多量に形成され、かつ、きわめて浅い衝突窪みからなる薄点描傷D2が線描傷Lよりもさらに多量に形成された、独特の網様の曇り表面加工となっている。また、濃点描傷D1、薄点描傷D2、のいずれも、代表径0.06mm以下という極めて小さくかつ真円形に近い形状で形成されることで、より均一性の高い細描模様として形成される。本加工は特に、指紋が目立ちにくく経年劣化しても変化が少ない表面加工を、長尺サイズの対象物に対して均一に施すことができるものとなっている。
図7ないし9のように異なる加工対象物を用いてバレル容積比を50%〜75%の範囲内の値に調整すると共に、バレル回転速度を30rpm〜55rpmの範囲内の値に調整し、かつ、加工時間を50分〜90分の範囲内の各値に調整することで、様々な表情を有した独自の意匠を呈することができる。特に、各凹凸加工の大きさや深さが僅かずつ異なる表面加工を行う場合において、凹凸面や凹凸模様の不均一さが目立たず、表面全体に亘って多様な深さの凹凸面を、加工時間90分以内という比較的短時間のバレル加工時間で形成することができる。加工対象物として、軸長20000mmの長尺部品を用いた場合でも均一な加工ができることで、長尺部品からなる製品だけでなく、当該長尺部品を半製品としてこれを切断加工等することで、表面加工済みの短尺加工部品を多量に製造することができる。
また特に、真鍮
・アルミ・ステンレス製のうちいずれかの建築用棒状金物(建材製品を含む)を加工対象物とし、バレルへの加工対象物、研磨剤及び研磨液の総装入において、バレル容積比を60%〜75%の比較的高範囲内の値に調整すると共に、バレル回転速度を40rpm〜55rpmの比較的高範囲内の値に調整し、かつ、加工時間を60分〜90分の範囲内の各値に調整してバレル回転工程を行い、バレル内部で、複数形成した突条に基づく研磨剤の高所からの衝突を繰り返すことで、凹凸模様を均一に施し、建築用金物全体に亘って、濃淡の変化の少ない独自の網様の曇り表面加工を形成することができる(図8、図9)。このような網様の曇り表面加工は、指紋の付着を防止することができ、また、経年による表面の傷付きや汚れ曇りの影響を受けにくいため、長期間使用による表面劣化の影響を受けないという利点がある。
加工対象物として他に、各種板状体/丸パイプ体/角パイプ体/異形管/丸棒/角棒/異形棒といった各種形状、ないし、鋳物成形品/鍛造成形品といった各種材料のものを用いることができる。また、加工後にダイキャスト/ロストワックス等の加工やメッキ加工、ないし塗装仕上げを施すことで、さらに異なる表情を有した独自の意匠を呈することができる。
特に、方形断面の角パイプ、真円形断面の丸パイプからなる加工対象物の場合は、本願の表面加工方法によってパイプ周面の軸方向位置全体に亘って、各凹凸加工の大きさや深さが僅かずつ異なる(すなわち、極小範囲において不均一なランダム凹凸加工からなる)表面加工を、表面全体にある程度の均一性をもって(すなわち、表面加工範囲の残りがなく且つ全体から見て表面加工の濃淡が少ないように)施すことができる。
本発明の表面加工装置ないし表面加工方法は上述した通りであるが、上述の実施例の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜技術要素の抽出、一部削除、公知の他の構成への置換、或いは形状、加工時の設定値の変更が可能である。例えばバレル回転を定速度ではなく可変速度で運転してもよく、バレル回転方向を正逆両方向に交互に運転させてもよく、また、突条の断面形状を片側扁平の扇形状、片扁平の円弧形状、片扁平の台形状としたり、バレルの筒缶形状を6角形、5角形、10角形にしたり、異なる突条を組み合わせて形成したり、突条の数を減らしたりすることもできる。
(1)バレル
(11)突条
(P11,P12,・・・)ポケット空間
(111)急傾斜面
(112)緩傾斜面
(113)頂部
(31)支持フレーム
(32)保持ブラケット
(34)ブラケット
(4)台枠
(41)傾斜台板
(42)部分凸部

Claims (7)

  1. 凹凸加工からなる表面処理を施す建築用棒状金物の表面加工装置であって、
    前記建築用棒状金物を多数の研磨粒及び研磨水と共に缶内収容し得る多角形の筒缶状のバレルと、
    バレルを所定方向へ回転駆動させる回転駆動装置と、を備えてなり、
    バレルの各内面板に、バレル軸断面視にて回転方向と同方向の特定の片側へ偏った形状からなる、片側扁平断面形状の突条を複数個設け、
    前記突条の片条面及びこれに隣り合うバレルの内面によって、研磨粒を一時貯留するポケット空間がバレル内周部に複数個形成されたことを特徴とする表面加工装置。
  2. 前記複数の突条はいずれも、断面視にて、
    一側方側へ配された急傾斜面と、他側方側へ配された緩傾斜面と、が頂部で連なった扁平山形部を有し、
    前記急斜条面からなる片条面及びこれに隣り合うバレルの内面によって前記ポケット空間が形成されると共に、
    バレルが回転駆動装置は、バレルを前記急斜条面の面上方へ回転駆動させるものであり、
    バレルの回転駆動の際に、バレル内の研磨粒が、各急傾斜面及び各緩傾斜面のそれぞれの面上を異なるタイミングないし落下速度で滑落する請求項1記載の表面加工装置。
  3. 突条の固定面である底面の断面視幅が、バレルの各内面板の板幅よりも小さく、かつ、内面板の特定の片側に偏った位置に固定される請求項1又は2に記載の表面加工装置。
  4. バレル外形の回転軸長が多角形断面外形の代表直径の3倍以上であって、
    回転駆動時にバレル形成面の固有振動による共振動を生じる請求項1,2又は3のいずれか記載の表面加工装置。
  5. バレル外形の回転軸長が多角形断面外形の代表直径の3倍以上であって、
    バレルの両端板が弾性材からなり、
    両端板の外面に突出固定された連結ブラケットを介して、
    回転軸棒が角度可変及び保持位置可変可能に保持される請求項1,2,3又は4のいずれか記載の表面加工装置。
  6. 請求項1、2、3、4、又は5のいずれか記載の表面加工装置を用いて、建築用棒状金物である加工対象物の棒状周面に凹凸加工処理を行う表面加工方法であって、
    加工対象物、研磨剤、及び研磨液を、所定のバレル容積比の装入量でバレル内に装入する装入工程と、
    バレルを定速度回転で所定時間だけ回転させるバレル回転工程と、を順に具備してなり、
    前記加工対象物は、真鍮、アルミニウム、ステンレスのうちいずれか一種を表面主材とする、軸長2000mmを超える金属製棒状体からなると共に、
    バレル空間の空間軸長が、加工対象物の軸長の120%以上130%以下の範囲からなる、建築用棒状金物の表面加工方法。
  7. 請求項1、2、3、4、又は5のいずれか記載の表面加工装置を用いて、建築用棒状金物である加工対象物の、切断加工前の一次加工体の棒状周面に凹凸加工処理を行う表面加工方法であって、
    一次加工体、研磨剤、及び研磨液を、所定のバレル容積比の装入量でバレル内に装入する装入工程と、
    バレルを定速度回転で所定時間だけ回転させるバレル回転工程と、
    バレル回転工程後の一次加工体をバレルから取り出して切断加工し、加工対象物の二次加工体を得る切断工程と、を順に具備してなり、
    前記加工対象物の一次加工体は、真鍮、アルミニウム、ステンレスのうちいずれか一種を表面主材とする、軸長2000mmを超える金属製棒状体からなると共に、
    バレル空間の空間軸長が、加工対象物の軸長の120%以上130%以下の範囲からなる、建築用棒状金物の表面加工方法。
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