JP2017199639A - 蓄電デバイス用電極構造体、蓄電デバイス、及び電極構造体の製造方法 - Google Patents
蓄電デバイス用電極構造体、蓄電デバイス、及び電極構造体の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】充放電の繰り返しにおける電極抵抗の増加ならびに放電容量の低下が抑制される高容量で長寿命の電極構造体、ならびに蓄電デバイスを提供する。また、上記電極構造体の製造方法を提供する。【解決手段】活物質、導電補助材、バインダー、集電体から成り、該バインダーがグラフトポリマーから成り、幹ポリマー部が水溶性ポリマーで、該グラフトポリマーの枝分かれポリマー部が導電性ポリマーであることを特徴とする蓄電デバイス用電極構造体、並びに該電極構造体を負極及び/又は正極に用いた蓄電デバイス。また、少なくとも活物質、導電補助材、水溶性ポリマー、該水溶性ポリマーの溶媒、重合して導電性ポリマーとなるモノマー、架橋剤及び/又は重合開始剤、を混合してスラリーを調製し、集電体に該スラリーを塗工した後、重合し乾燥する工程を有することを特徴とする電極構造体の製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、電気化学反応にてリチウムイオンを蓄積・放出できる電極構造体ならびに該電極構造体を用いる蓄電デバイス、及び該電極構造体の製造方法に関する。
近年、大気中のCO2ガス量の増加が主因の温室効果により地球の気候変動が生じている可能性が指摘されている。自動車から排出されるCO2、NOx、炭化水素などを含む大気汚染も健康への影響を指摘されている。環境保全、災害時の対応から、最近、エネルギー効率の高い、蓄電デバイスに蓄えた電気で作動させる電気モーターとエンジンを組み合わせたハイブリッド車や電気自動車、発電設備からの電力をネットワーク管理して電力需要バランスの最適化をするシステムであるスマートグリッド、蓄電システムに大きな期待が寄せられて来ている。
また、情報通信の分野でもスマートフォンなどの情報端末が情報の授受と発信が容易であることから、急激に社会に浸透しつつある。このような状況下、スマートフォン、ハイブリッド車や電気自動車、スマートグリッド等の性能を高め、コストを抑制するために、高出力密度と高エネルギー密度、長寿命を併せ持つキャパシタもしくは二次電池の蓄電デバイスの開発が期待されている。
上記蓄電デバイスとして、現在製品化されているものの中で、最もエネルギー密度が高いものは、負極の活物質に黒鉛等のカーボン、正極の活物質にはリチウムと遷移金属の化合物、を使用したリチウムイオン二次電池(通称:リチウムイオン電池)である。
リチウムイオン二次電池の電極は、一般的には活物質と導電補助材とバインダーにバインダーの溶媒を加えて混練しスラリーを形成した後、スラリーを金属箔である集電体上に塗工し、形成されている。
上記バインダーには、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレン−ブタジエンラバーゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、ポリイミドなどのポリマーが用いられている。上記バインダーに用いられているポリマーは絶縁体であり、リチウムイオン二次電池の出力特性ならびに急速充電特性を改善するために、上記バインダーの電子伝導とイオン伝導を改善する提案がなされている。
特許文献1ならびに特許文献2では、バインダーポリマーにアニリン系導電性ポリマーを混合して、電極を形成することが提案されている。特許文献3では正極活物質とカーボンブラック、アニリン系導電性ポリマーと水溶性ポリマーから成る正極が提案されている。特許文献4ではフッ素元素含有アニリン系導電性ポリマーを添加して正極を形成することが提案されている。
しかし、特許文献1〜4のいずれも、提案の導電性ポリマーは活物質ならびに集電体の金属箔への接着力が弱い点、バインダーポリマーとの均一な混合が容易ではない点から、長サイクル寿命を達成できないという問題点を有している。
現在、商用化されているリチウムイオン二次電池では、負極活物質に黒鉛やハードカーボン等のカーボン材料が使用されているが、さらなる高容量化のための新たな電極材料(活物質)として、多くのリチウムイオンを貯蔵・放出できる、スズやシリコン並びにそれらの合金が研究されている。
スズやシリコンは電気化学的により多くのリチウムイオンを蓄えることができるが、充放電により膨張と収縮を繰り返し、該活物質表面に電解液の分解から生じるSolid Electrolyte Interphase(SEI)層が成長し、電極の抵抗が増大して充放電性能は低下する。
上記SEI層の成長の抑制手段として、電解液にビニレンカーボネート(VC)やフルオロエチレンカーボネート(FEC)を添加することが提案されているが、SEI層の成長は遅くなるものの完全に成長を抑制することはできず、電極の抵抗は充放電サイクルが進むにつれ緩やかに増加する。
充放電サイクルにおける電極の抵抗増加を抑制する方法として、導電性ポリマーを用いる手法が報告されている。非特許文献1ならびに非特許文献2ではポリフルオレンにシリコンとの接着力向上のためにカルボニルとエステル結合を導入した導電性ポリマーでシリコンナノ粒子を包んで複合体電極を形成することによって、リチウム挿入時の体積膨張が小さくなり、サイクル寿命が伸びると報告されている。
非特許文献3ではガラス転移温度が低く非晶質の水素結合を有する自己修復ポリマーで被覆したミクロンサイズのシリコン粒子から成る電極を作製し、充放電サイクル時にクラックや損傷が被覆に起きても、自己修復でき、高容量を維持し長サイクル寿命を達成することが報告されている。
非特許文献4では、アニリンとフィチン酸の重合架橋ポリマーでシリコンナノ粒子を包んだシリコンナノ粒子−ポリアニリンハイドロゲル複合体電極を形成し、長期充放電サイクルにて高容量を維持することが報告されている。
上記非特許文献1〜4の導電性ポリマーの、活物質粒子ならびに集電体の金属との接着力は十分高いとは言えず、接着力を維持するために電極層中の導電性ポリマーの含有量は高くなっている。上記非特許文献の電極中のシリコン:導電性ポリマーの比率は重量比で非特許文献1ならびに非特許文献2の場合では2:1、非特許文献3の場合では1:1、非特許文献4の場合では3:1である。電極中のシリコン比率を高め、さらなる高容量を実現するには、少量で高い接着力を有する導電性ポリマーの開発が期待されている。
また、非特許文献5では、中空の硫黄微粒子の表面を導電性ポリマーで被覆した電極が高容量でサイクル寿命が長いことが報告されている。さらに導電補助材の含有比率を減じて高容量化することが期待される。
Advanced Materials 23,4679−4683(2011)
Scientific Reports 4, Aticle number: 3684(2014)
Nature Chemistry 5,1042−1048(2013)
Nature Communications 4,Aticle number: 1943(2013)
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America vol.110,no.18,7148(2013)
本発明は、長期充放電サイクルにおいても電極の抵抗の増加が小さく、放電容量の低下が小さい電極構造体とその製造方法ならびに蓄電デバイスを提供することを目的とする。なお、上記蓄電デバイスは、充放電でリチウムイオンの蓄積放出反応を伴う、キャパシタ、二次電池、キャパシタと二次電池の組み合わせたデバイス、また、それらに発電機能を組み込んだデバイスをも含む。
リチウムイオンの吸蔵放出を充放電に利用したリチウム(イオン)二次電池等の蓄電デバイスの電極は、一般的に活物質と集電体ならびにバインダーから構成されている。充放電の繰り返しにより電極抵抗が増加し放電容量が低下するが、それらを抑制するためには、活物質同士、ならびに活物質と集電体が強固に接着され、活物質同士ならびに活物質と集電体の電子伝導が良好で、かつ活物質とイオン伝導体間のリチウムイオン伝導が良好であることが重要である。
本発明者は、幹ポリマーが水溶性ポリマーで枝分かれポリマーが導電性ポリマーであるグラフトポリマーを、電極を構成するバインダーに用いることにより、活物質同士、ならびに活物質と集電体間の高い接着性を維持しながら、電子伝導ならびにイオン伝導マトリックスを電極中に形成することができることを見出した。本発明のバインダーポリマーの幹ポリマーが側鎖に−OH、−COOH、−COO−、−NH2、−CO−、−CHO、−O−、−SO3Hから成る群から選択される一種類以上の官能基を有する水溶性ポリマーであることで、活物質や集電体と強力に接着することができる。
また、本発明のバインダーポリマーの枝分かれポリマーは共役π電子系が直線的な分子鎖に沿って連なる一次元構造を有する導電性ポリマーであることで、該導電性ポリマー部が電子伝導とイオン伝導の役割を担うことができる。該導電性ポリマー部は、電界の印加で電解質中のカチオンとアニオンの電気化学的なドーピングが可能でそれによって電子伝導性が高まる。
イオン伝導体にリチウム塩の電解質を溶媒に溶解した電解液を用いる蓄電デバイスにおいて、上記枝分かれポリマーの導電性ポリマー部で被覆された活物質は、電解液と直接接することなく導電性ポリマー部を介してリチウムイオンの出し入れを行うことができるので、電解液の分解で生じるSEIの成長を抑制し得ることがわかった。
過充電時に起き易いリチウムのデンドライト成長も抑制されることがわかった。さらに、前記グラフトポリマーが水素結合を有し架橋構造を有することによって、イオン伝導体に上記電解液を用いる場合には前記グラフトポリマーがゲル化し、充放電で活物質が膨張収縮しその際発生する応力で前記グラフトポリマーが破断しても、修復することがわかった。以上のことから、前記グラフトポリマーは蓄電デバイスの負極にも正極にも活物質のバインダーとして有用であることがわかった。
前述の課題を解決する第一の発明のリチウムイオンを蓄積・放出できる蓄電デバイスの電極構造体は、少なくとも、活物質、導電補助材、バインダー、集電体から成り、該バインダーは、幹ポリマー部分が水溶性ポリマーで、枝分かれポリマー部分が分子鎖に沿って直線的に共役π電子系の連なる一次元構造を有する分子構造の導電性ポリマーであるグラフトポリマーであることを特徴とする。上記バインダー中には、活物質粒子のほかに、導電補助材、固体電解質が分散されていてもよい。上記バインダーのグラフトポリマーは架橋構造を有していることが好ましい。
上記水溶性ポリマーとしては側鎖に−OH、−COOH、−COO−、−NH2、−CO−、−CHO、−O−、−SO3Hから成る群から選択される一種類以上の官能基を有するのが好ましい。上記官能基を有することで、活物質、集電体との高い接着力を得ることができる。
上記課題を解決する第二の発明の、前記電極構造体の製造方法は、少なくとも活物質、導電補助材、水溶性ポリマー、水溶性ポリマーの溶媒、重合して共役π電子系が直線的な分子鎖に沿って連なる一次元構造を有する導電性ポリマーとなるモノマー、架橋剤及び/又は重合開始剤、を混合してスラリーを調製し、集電体に該スラリーを塗工した後、重合し乾燥する工程を有することを特徴とする。
前記モノマーとしては、アニリン、ピロール、チオフェン、フラン、エチレンジオキシチオフェン、フルオレン、フェニレンビニレン、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、ナフチリジン、キノキサリン、及びそれらの誘導体から成る群から選択される少なくとも一種類以上のモノマーであることが好ましい。さらには、前記モノマーは、アニリン、ピロール、チオフェン、フラン、エチレンジオキシチオフェン、から成る群から選択された少なくとも一種類以上のモノマーであることがより好ましい。前記モノマーとしては、アニリンが水に溶解し、安価であることから最も好ましい。前記モノマーは重合して、共役π電子系が直線的な分子鎖に沿って連なる一次元構造を有する導電性ポリマーを形成する。
上記課題を解決する第三の発明のリチウムイオンの蓄積・放出が可能な蓄電デバイスは、少なくとも負極、リチウムイオン伝導体、正極から構成され、該負極及び/又は正極が前記第一の発明の電極構造体であることを特徴とする。
前記蓄電デバイスの負極活物質が少なくともシリコン、シリコン合金、酸化シリコン、スズ合金、黒鉛、難黒鉛化性カーボン、リチウム−チタン酸化物から成る群から選択される少なくとも一種類以上の物質であることが好ましい。前記負極活物質としては、シリコン、シリコン合金、酸化シリコン、スズ合金、から選択される物質であることがより好ましく、シリコン、シリコン合金から選択される物質であることが最も好ましい。充放電で体積膨張収縮の大きい、シリコン、シリコン合金において、本発明を構成するグラフトポリマーの効果は特に大きい。
前記蓄電デバイスの正極活物質としては、遷移金属酸化物,遷移金属リン酸化合物,リチウム−遷移金属酸化物,リチウム−遷移金属リン酸化合物、硫黄、硫黄化合物から成る群から選択される少なくとも一種類以上の物質が挙げられる。
本発明の幹ポリマーが水溶性ポリマーで枝分かれポリマーが導電性ポリマーであるグラフトポリマーをバインダーに用いた電極構造体を負極及び/又は正極に用いたリチウムイオンの蓄積・放出が可能な蓄電デバイスでは、充放電時においてSEI層の生成が抑制され電極の抵抗の増加が抑えられ、初期のクーロン効率が高く、長期の充放電サイクルにおいて高出力と高容量を維持することが可能になる。
上記電極構造体の活物質にシリコン粒子もしくはシリコン合金粒子を用いた場合、枝分かれポリマーの導電性ポリマー部で被覆されていれば、活物質粒子表面及び活物質粒子間ならびに活物質粒子と集電体間の電子伝導が増すので、充電時のリチウム挿入での体積膨張が均一化され、全体的に体積膨張が小さくなる。
また、前記グラフトポリマーが水素結合に加え架橋構造を有していることで活物質の体積膨張時に発生する応力にも耐え、電極層の崩壊を抑えることができる。また、活物質の体積膨張で前記グラフトポリマーが破断したとしても前記グラフトポリマー中の水素結合により、破断は修復される。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の電極構造体は、リチウムイオンを蓄積放出可能な活物質、導電補助材、グラフトポリマーから成るバインダーから少なくとも形成され、活物質と活物資、活物質と導電補助材、活物質と集電体、導電補助材と集電体が該グラフトポリマーで結着されているのが好ましい。
前記グラフトポリマーの幹ポリマー部は水溶性ポリマーから成り、枝分かれポリマー部は共役π電子系が直線的な分子鎖に沿って連なる一次元構造を有する導電性ポリマーから成っている。上記幹ポリマー部に対する枝分かれポリマー部の重量比は、幹ポリマー部の接着力を低下させることなく電子伝導性ならびにイオン伝導性を高める必要があるため、好ましくは2〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%の範囲がよい。
本発明のリチウムイオンの蓄積・放出が可能な蓄電デバイスは、前記本発明の電極構造体を負極及び/又は正極に用いることを特徴とする。以下、本発明の実施の形態について説明する。
[本発明のグラフトポリマーをバインダーとする電極構造体]
本発明の電極構造体を構成するグラフトポリマーは、幹ポリマーの水溶性ポリマーに、共役π電子系が直線的な分子鎖に沿って連なる一次元構造を有する導電性ポリマーの原料モノマーを重合して形成される。なお、上記グラフトポリマーの詳しい構造決定をする場合は、予め幹となるポリマーに導電性ポリマーの原料モノマーを重合させて得られたポリマーを、HBrにようる加水分解と核磁気共鳴分光法(NMR)、エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI−MS)で分析する。
本発明の電極構造体を構成するグラフトポリマーは、幹ポリマーの水溶性ポリマーに、共役π電子系が直線的な分子鎖に沿って連なる一次元構造を有する導電性ポリマーの原料モノマーを重合して形成される。なお、上記グラフトポリマーの詳しい構造決定をする場合は、予め幹となるポリマーに導電性ポリマーの原料モノマーを重合させて得られたポリマーを、HBrにようる加水分解と核磁気共鳴分光法(NMR)、エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI−MS)で分析する。
本発明のグラフトポリマーをバインダーとする電極構造体は、以下の手順で作製する。負極もしくは正極の活物質粒子、導電補助材、水溶性ポリマーに、水溶性ポリマーの溶媒、共役π電子系が直線的な分子鎖に沿って連なる一次元構造を有する導電性ポリマーの原料となるモノマー、架橋剤及び/又は重合開始剤を添加し、混練してスラリーを形成し、集電体上に該スラリーを塗工した後、所定の温度にて重合もしくは重合と架橋反応を起こし、乾燥して電極構造体は作製される。適宜、ロールプレス機等で圧力をかけて電極の厚さならびに密度を調整する。
上記水溶性ポリマーは予め溶媒に溶解して使用するのが好ましい。溶媒としては、水、水とアルコールの混合液、ジメチルサルオキシドなどが使用できる。本発明に用いる水溶性ポリマーとしては、側鎖に−OH、−COOH、−COO−、−NH2、−CO−、−CHO、−O−、−SO3Hから成る群から選択される官能基を少なくとも一種類以上有し、より好ましくは−OH、−COOH、−COO−、−NH2、から成る群から選択される官能基を少なくとも一種類以上有する。
上記水溶性ポリマーの代表例としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キトサン、ならびにその誘導体が挙げられる。上記ポリビニルアルコールには、水酸基・酢酸基以外の変性基として、カルボニル基やアセトアセチル基を含有するポリマーも含まれる。グラフト重合が容易で架橋も容易であることから、上記ポリビニルアルコールはより好ましい水溶性ポリマーである。
前記水溶性ポリマーにグラフト重合して導電性ポリマー部を形成するモノマーとしては、アニリン、ピロール、チオフェン、フラン、エチレンジオキシチオフェン、フルオレン、フェニレンビニレン、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、ナフチリジン、キノキサリン、及びそれらの誘導体から成る群から選択される少なくとも一種類以上のモノマーであることが好ましく、アニリン、ピロール、チオフェン、フラン、エチレンジオキシチオフェン、及びそれらの誘導体からなる群から選択される1種類以上のモノマーがより好ましく使用できる。上記水溶性ポリマーの溶剤に水を用いる場合、水に不溶なモノマーは、水と混合可能なテトラヒドロフラン等の有機溶媒に事前に溶解して添加する。
前記架橋剤としては、ジビニルモノマー、トリビニルモノマー、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド系架橋剤、グリオキシル酸金属塩、グリオキシル酸エステル誘導体、乳酸チタンやジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)チタン等の有機チタン化合物、フィチン酸が使用できる。前記架橋反応は、架橋剤を用いず、紫外線や電子線などのエネルギー線を照射して行っても構わない。
前記重合開始剤としては、ラジカル発生剤である、過硫酸アンモニウム、ジ−tert−ブチルペルオキシドやtert−ブチルヒドロペルオキシドや過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物(ペルオキシド)、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物を使用することができる。
前記導電補助材としては、アセチレンブラック、黒鉛粉、膨張化黒鉛粉、カーボンファイバー、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、グラフェンから成る群から選択される少なくとも一種類以上の炭素材料が好ましく、膨張化黒鉛粉もしくはグラフェンがより好ましい。上記導電補助材を本発明の電極構造体を形成するグラフトポリマー中に分散することによって、より電子伝導性を高めることができる。
前記グラフトポリマー中にはリチウムイオン固体電解質粉を分散させてもよい。上記固体電解質粉としては、Li2S−P2O5に代表さえるイオウ系非晶質電解質、イオウ含有ガラス、窒化リチウムLi3N、Li1+x+yAlxTi2−xSiyP3−yO12(x=0.3,y=0.2)に代表されるNASICON型結晶構造を有する材料、Li7La3Zr2O12に代表されるガーネット型構造を有する材料、Li10GeP2S12に代表されるリチウム−ゲルマニウム−リン−イオウ化合物、Li9.54Si1.74P1.44S11.7Cl0.3に代表されるリチウム−シリコン−リン−硫黄−塩素化合物、Li9.6P3S12が好ましい。上記固体電解質粉を本発明の電極構造体を形成するグラフトポリマー中に分散することによって、可燃性を低下させることが可能になる。
[活物質]
前記蓄電デバイスの負極活物質としては、少なくともシリコン、シリコン合金、酸化シリコン、スズ合金、黒鉛、難黒鉛化性カーボン、チタン−リチウム酸化物から成る群から選択される少なくとも一種類以上の物質であることが好ましい。前記負極活物質はシリコン、シリコン合金、酸化シリコン、スズ合金、から選択される微粉であることがより好ましく、シリコン、シリコン合金から選択される微粉であることが最も好ましい。さらに、シリコン元素主体の活物質表面には少なくともAl,Zr,Mg,Ca,Laから選択される1種以上の金属元素とLiから少なくとも形成される複合酸化物層を有しているのが好ましい。上記複合酸化物層は、充電時の不可逆量の主原因の酸化シリコンの生成を抑制する。
前記蓄電デバイスの負極活物質としては、少なくともシリコン、シリコン合金、酸化シリコン、スズ合金、黒鉛、難黒鉛化性カーボン、チタン−リチウム酸化物から成る群から選択される少なくとも一種類以上の物質であることが好ましい。前記負極活物質はシリコン、シリコン合金、酸化シリコン、スズ合金、から選択される微粉であることがより好ましく、シリコン、シリコン合金から選択される微粉であることが最も好ましい。さらに、シリコン元素主体の活物質表面には少なくともAl,Zr,Mg,Ca,Laから選択される1種以上の金属元素とLiから少なくとも形成される複合酸化物層を有しているのが好ましい。上記複合酸化物層は、充電時の不可逆量の主原因の酸化シリコンの生成を抑制する。
前記蓄電デバイスの正極活物質は、遷移金属酸化物、遷移金属リン酸化合物、リチウム−遷移金属酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、硫黄、硫黄化合物から成る群から選択される少なくとも一種類以上の物質であることが好ましい。上記正極活物質に含有される遷移金属元素としては、Ni,Co,Mn,Fe,Cr,Vなどが主元素としてより好ましく用いられる。上記正極活物質は、Mo,W,Nb,Ta,V,B,Ti,Ce,Al,Ba,Zr,Sr,Th,Mg,Be,La,Ca,Yから選択される元素を主成分とする酸化物もしくは複合酸化物と複合化されていてもよい。
[蓄電デバイスの製造方法]
蓄電デバイスの作製は以下の手順で行う。 先ず、負極集電体と負極活物質層から成る負極と、正極集電体と正極活物質層から成る正極の間に、イオン伝導体をはさんで積層して電極群を形成し、十分に露点温度が管理された乾燥空気あるいは乾燥不活性ガス雰囲気下で、この電極群を電槽(ハウジング,外装)に挿入した後、各電極と各電極端子とを各々の電極リードで接続し、電槽を密閉することによって、蓄電デバイスは組み立てられる。なお、蓄電デバイスは、キャパシタ、二次電池、キャパシタと二次電池の組み合わせたデバイス、また、それらに発電機能を組み込んだデバイスをも含む。
蓄電デバイスの作製は以下の手順で行う。 先ず、負極集電体と負極活物質層から成る負極と、正極集電体と正極活物質層から成る正極の間に、イオン伝導体をはさんで積層して電極群を形成し、十分に露点温度が管理された乾燥空気あるいは乾燥不活性ガス雰囲気下で、この電極群を電槽(ハウジング,外装)に挿入した後、各電極と各電極端子とを各々の電極リードで接続し、電槽を密閉することによって、蓄電デバイスは組み立てられる。なお、蓄電デバイスは、キャパシタ、二次電池、キャパシタと二次電池の組み合わせたデバイス、また、それらに発電機能を組み込んだデバイスをも含む。
本発明で製造する蓄電デバイスの具体的なセル形状としては、例えば、扁平形、円筒形、直方体形、シート形などがある。又、セルの構造としては、例えば、単層式、多層式、スパイラル式などがある。その中でも、スパイラル式円筒形のセルは、負極と正極の間にセパレータを挟んで多重に巻くことによって、電極面積を大きくすることができ、充放電時に大電流を流すことができるという特徴を有する。また、直方体形やシート形のセルは、複数の電池を収納して構成する機器の収納スペースを有効に利用することができる特徴を有する。
[集電体]
集電体を形成する材料としては、電気伝導度が高く、且つ、電池反応に不活性な材質が望ましい。好ましい負極の集電体の材質としては、銅、ステンレス、チタン、ニッケル、アルミニウムが挙げられる。好ましい正極の集電体の材質としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレススチール、チタンが挙げられる。また、集電体の形状としては、板状であるが、この“板状”とは、厚さについては実用の範囲上で特定されず、厚さ約5μmから100μm程度の“箔”といわれる形態をも包含する。また、板状であって、例えばメッシュ状、スポンジ状、繊維状をなす部材、パンチングメタル、表裏両面に三次元の凹凸パターンが形成されたメタル、エキスパンドメタル等を採用することもできる。
集電体を形成する材料としては、電気伝導度が高く、且つ、電池反応に不活性な材質が望ましい。好ましい負極の集電体の材質としては、銅、ステンレス、チタン、ニッケル、アルミニウムが挙げられる。好ましい正極の集電体の材質としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレススチール、チタンが挙げられる。また、集電体の形状としては、板状であるが、この“板状”とは、厚さについては実用の範囲上で特定されず、厚さ約5μmから100μm程度の“箔”といわれる形態をも包含する。また、板状であって、例えばメッシュ状、スポンジ状、繊維状をなす部材、パンチングメタル、表裏両面に三次元の凹凸パターンが形成されたメタル、エキスパンドメタル等を採用することもできる。
[イオン伝導体]
本発明の蓄電デバイスがリチウム二次電池である場合には、イオン伝導体には、電解液(電解質を溶媒に溶解させて調製した電解質溶液)を保持させたセパレータ、固体電解質、電解液を高分子ゲルなどでゲル化した固形化電解質、高分子ゲルと固体電解質の複合体、イオン性液体などのリチウムイオンの伝導体が使用できる。実際には負極と正極間には電気的短絡を防ぐためにセパレータが設けられ、セパレータの微細孔にイオン伝導体が含浸されている。
本発明の蓄電デバイスがリチウム二次電池である場合には、イオン伝導体には、電解液(電解質を溶媒に溶解させて調製した電解質溶液)を保持させたセパレータ、固体電解質、電解液を高分子ゲルなどでゲル化した固形化電解質、高分子ゲルと固体電解質の複合体、イオン性液体などのリチウムイオンの伝導体が使用できる。実際には負極と正極間には電気的短絡を防ぐためにセパレータが設けられ、セパレータの微細孔にイオン伝導体が含浸されている。
セパレータとしては、ミクロポア構造あるいは不織布構造を有する樹脂フィルムが用いられ、樹脂材料としては、ポリエチレン,ポリプロピレン等のポリオレフィン,ポリイミド,ポリアミドイミド,セルロースが好ましい。上記微孔性樹脂フィルムは、耐熱性を高めるために、リチウムイオンを通過する、アルミナ、ジルコニア、チタニア等の金属酸化物粒子含有層が表面に被覆されてあってもよい。
二次電池等の蓄電デバイスに用いるイオン伝導体の導電率は、25℃における値として、1×10−3S/cm以上であることが好ましく、5×10−3S/cm以上であることがより好ましい。
前記電解質としては、例えば、リチウムイオン(Li+)とルイス酸イオン(BF4 −,PF6 −,AsF6 −,ClO4 −,CF3SO3 −,BPh4 −(Ph:フェニル基))からなる塩、及びこれらの混合塩、イオン性液体が挙げられる。上記塩は、減圧下で加熱したりして、十分な脱水と脱酸素を行なっておくことが望ましい。さらに、イオン性液体に上記リチウム塩を溶解して調製される電解質も使用できる。
上記電解質の溶媒としては、例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリル、プロピレンカーボネイト、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ニトロベンゼン、ジクロロエタン、ジエトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、クロロベンゼン、γ−ブチロラクトン、ジオキソラン、スルホラン、ニトロメタン、ジメチルサルファイド、ジメチルサルオキシド、3−メチル−2−オキダゾリジノン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−プロピルシドノン、二酸化イオウ、又は、これらの混合液が使用できる。上記溶媒の水素元素をフッ素元素で置換した構造の溶媒も利用できる。さらに、イオン性液体も使用できる。
上記溶媒は、例えば、活性アルミナ、モレキュラーシーブ、五酸化リン、塩化カルシウムなどで脱水するか、溶媒によっては、不活性ガス中のアルカリ金属共存下で蒸留して不純物除去と脱水をも行なうのがよい。前記電解質を前記溶媒に溶解して調製される電解液の電解質濃度は、0.5〜3.0モル/リットルの範囲の濃度であることが高いイオン伝導度を有するために好ましい。
また、電極と電解液との反応を抑制するために、電極表面に安定なフッ化物を形成する、フルオロエチレンカーボネートやジフルオロエチレンカーボネートなどの有機フッ素化合物、安定な電解重合膜を形成するトリエチレングリコールジビニルエーテルやポリエチレングリコールジビニルエーテルなどのジビニルエーテルを1〜5重量%添加することが好ましい。さらに、0.5〜5重量%のトリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム等のマグネシウム塩を添加することも好ましい。上記マグネシウム塩の添加は電界強度の強い内部短絡に発展しやすい箇所にマグネシウムを析出してフッ化マグネシウムを形成し絶縁化し、内部短絡を抑制する。
(電槽)
電槽(ハウジング、外装)の材料としては、ステンレススチール、アルミニウム合金、チタンクラッドステンレス材、銅クラッドステンレス材、ニッケルメッキ鋼板、樹脂フィルムとアルミニウム箔との積層体であるアルミニウムラミネートフィルムなども多用される。
他の電槽の材質としては、ステンレススチール以外にも亜鉛などの金属、ポリプロピレンなどのプラスチック、または、金属もしくはガラス繊維とプラスチックの複合材、も用いることができる。
電槽(ハウジング、外装)の材料としては、ステンレススチール、アルミニウム合金、チタンクラッドステンレス材、銅クラッドステンレス材、ニッケルメッキ鋼板、樹脂フィルムとアルミニウム箔との積層体であるアルミニウムラミネートフィルムなども多用される。
他の電槽の材質としては、ステンレススチール以外にも亜鉛などの金属、ポリプロピレンなどのプラスチック、または、金属もしくはガラス繊維とプラスチックの複合材、も用いることができる。
(安全弁)
リチウム二次電池には、電池の内圧が高まった時の圧力を逃すための安全対策として、安全弁が備えられている。安全弁としては、例えば、破裂箔、ゴム、スプリング、金属ボール、などが使用できる。
リチウム二次電池には、電池の内圧が高まった時の圧力を逃すための安全対策として、安全弁が備えられている。安全弁としては、例えば、破裂箔、ゴム、スプリング、金属ボール、などが使用できる。
以下、実施例にそって、本発明をさらに詳細に説明する。
[シリコンが主成分の蓄電デバイス用負極活物質の調製]
(負極活物質調製例AM1)
粒径10μm以下の金属シリコン粉をエタノールに10重量%分散した溶液に、シリコン100重量部に対して、クエン酸リチウムを1重量部、硝酸アルミニウム(9水和物)を26.7重量部の比率となるように添加して混合液を得た。得られた混合液を粒径0.5mmのジルコニアビーズを充填した第一の湿式ビーズミルで循環しながら原料シリコンの平均粒径が0.5μm以下になるまで粉砕を行い、次いで、粒径0.03mmのジルコニアビーズを充填した、第二の湿式ビーズミルで、原料が平均粒径100nm以下になるまで循環しながら粉砕し、粉砕品分散スラリーを得た。次に、得られた粉砕品分散スラリーを窒素ガス雰囲気下でスプレードライヤーにて200℃にて噴霧乾燥してリチウム−アルミニウム複合酸化物被覆シリコンの複合体粉を得た。
[シリコンが主成分の蓄電デバイス用負極活物質の調製]
(負極活物質調製例AM1)
粒径10μm以下の金属シリコン粉をエタノールに10重量%分散した溶液に、シリコン100重量部に対して、クエン酸リチウムを1重量部、硝酸アルミニウム(9水和物)を26.7重量部の比率となるように添加して混合液を得た。得られた混合液を粒径0.5mmのジルコニアビーズを充填した第一の湿式ビーズミルで循環しながら原料シリコンの平均粒径が0.5μm以下になるまで粉砕を行い、次いで、粒径0.03mmのジルコニアビーズを充填した、第二の湿式ビーズミルで、原料が平均粒径100nm以下になるまで循環しながら粉砕し、粉砕品分散スラリーを得た。次に、得られた粉砕品分散スラリーを窒素ガス雰囲気下でスプレードライヤーにて200℃にて噴霧乾燥してリチウム−アルミニウム複合酸化物被覆シリコンの複合体粉を得た。
(負極活物質調製例AM2)
金属級シリコン粉、スズ粉、銅粉を各々、原子比で87.5:9.5:3.0の比率で混合し、水アトマイズ法にてシリコン−スズ−銅合金粉を調製した。次いで、得られたシリコン−スズ−銅合金粉、クエン酸リチウム、硝酸アルミニウム九水和物を各々100重量部、1重量部、26.7重量部を混合し、ジルコニアボールを用いた高速遊星ボールミルにて100Gで10時間処理して、リチウム−アルミニウム酸化物被覆の非晶質化シリコン−スズ−銅合金粉を調製した。
金属級シリコン粉、スズ粉、銅粉を各々、原子比で87.5:9.5:3.0の比率で混合し、水アトマイズ法にてシリコン−スズ−銅合金粉を調製した。次いで、得られたシリコン−スズ−銅合金粉、クエン酸リチウム、硝酸アルミニウム九水和物を各々100重量部、1重量部、26.7重量部を混合し、ジルコニアボールを用いた高速遊星ボールミルにて100Gで10時間処理して、リチウム−アルミニウム酸化物被覆の非晶質化シリコン−スズ−銅合金粉を調製した。
(負極活物質調製例AM3)
粒径10μm以下の金属シリコン粉をエタノールに10重量%分散した溶液を、粒径0.5mmのジルコニアビーズを充填した第一の湿式ビーズミルで循環しながら原料シリコンの平均粒径が0.3μm以下になるまで粉砕を行い、減圧乾燥してシリコン粉を得た。
粒径10μm以下の金属シリコン粉をエタノールに10重量%分散した溶液を、粒径0.5mmのジルコニアビーズを充填した第一の湿式ビーズミルで循環しながら原料シリコンの平均粒径が0.3μm以下になるまで粉砕を行い、減圧乾燥してシリコン粉を得た。
[電極構造体の作製]
負極用電極構造体の作製を行った。
(実施例N1)
負極活物質調製例AM1のシリコン粉を60重量部、膨張化黒鉛粉を27重量部、アセチレンブラックを2重量部、アセトアセチル基含有ポリビニルアルコールである日本合成化学製ゴーセネックスZ−200の10重量%水溶液を固形分として10重量部、アニリンを1重量部、グリオキシル酸エステル誘導体である日本合成化学製Saflink SPM−01を0.5重量部、過硫酸アンモニウムを0.3重量部、混合し混練して電極層形成用スラリー(スラリー状の負極合剤)を調製した。得られたスラリーをコーターで厚さ10μmの銅箔上に塗工した後、100℃で10分間乾燥の上、さらに減圧下150℃で5時間乾燥して、ロールプレス機にて厚さ及び密度を調整し、銅箔の集電体上に厚さ30μmで密度1.2g/cm3の活物質層を形成した電極構造体を得た。次いで適宜所定のサイズに電極構造体を切断後、ニッケルリードを集電体の銅箔のタブにスポット溶接機で溶接し、リード端子を取り出して電極を作製した。
負極用電極構造体の作製を行った。
(実施例N1)
負極活物質調製例AM1のシリコン粉を60重量部、膨張化黒鉛粉を27重量部、アセチレンブラックを2重量部、アセトアセチル基含有ポリビニルアルコールである日本合成化学製ゴーセネックスZ−200の10重量%水溶液を固形分として10重量部、アニリンを1重量部、グリオキシル酸エステル誘導体である日本合成化学製Saflink SPM−01を0.5重量部、過硫酸アンモニウムを0.3重量部、混合し混練して電極層形成用スラリー(スラリー状の負極合剤)を調製した。得られたスラリーをコーターで厚さ10μmの銅箔上に塗工した後、100℃で10分間乾燥の上、さらに減圧下150℃で5時間乾燥して、ロールプレス機にて厚さ及び密度を調整し、銅箔の集電体上に厚さ30μmで密度1.2g/cm3の活物質層を形成した電極構造体を得た。次いで適宜所定のサイズに電極構造体を切断後、ニッケルリードを集電体の銅箔のタブにスポット溶接機で溶接し、リード端子を取り出して電極を作製した。
(実施例N2)
負極活物質調製例AM1のシリコン粉を60重量部、膨張化黒鉛粉を27重量部、アセチレンブラックを2重量部、アセトアセチル基含有ポリビニルアルコールである日本合成化学製ゴーセネックスZ−200の10重量%水溶液を固形分として10重量部、アニリンを1重量部、グリオキシル酸エステル誘導体である日本合成化学製Saflink SPM−01を0.5重量部、フィチン酸50%水溶液を1重量部、混合し混練して電極層形成用スラリーを調製した。以降は実施例N1と同様にして電極を作製した。
負極活物質調製例AM1のシリコン粉を60重量部、膨張化黒鉛粉を27重量部、アセチレンブラックを2重量部、アセトアセチル基含有ポリビニルアルコールである日本合成化学製ゴーセネックスZ−200の10重量%水溶液を固形分として10重量部、アニリンを1重量部、グリオキシル酸エステル誘導体である日本合成化学製Saflink SPM−01を0.5重量部、フィチン酸50%水溶液を1重量部、混合し混練して電極層形成用スラリーを調製した。以降は実施例N1と同様にして電極を作製した。
(実施例N3)
実施例N1において、負極活物質調製例AM1のシリコン粉を負極活物質調製例AM2の非晶質化シリコン−スズ−銅合金粉に替え、膨張化黒鉛粉をグラフェンに替えて、それ以外は実施例N1と同様にして、電極を作製した。
実施例N1において、負極活物質調製例AM1のシリコン粉を負極活物質調製例AM2の非晶質化シリコン−スズ−銅合金粉に替え、膨張化黒鉛粉をグラフェンに替えて、それ以外は実施例N1と同様にして、電極を作製した。
(実施例N4)
実施例N1において、負極活物質調製例AM1のシリコン粉を負極活物質調製例AM3のシリコン粉に替え、日本合成化学製ゴーセネックスZ−200をポリビニルアルコールに替え、日本合成化学製Saflink SPM−01をマツモトファインケミカル社製乳酸チタン系TC−310に替えて、それ以外は実施例N1と同様にして、電極を作製した。
負極活物質調製例AM3のシリコン粉を60重量部、膨張化黒鉛粉を27重量部、アセチレンブラックを2重量部、ポリビニルアルコールの10重量%水溶液を固形分として10重量部、アニリンを1重量部、マツモトファインケミカル社製乳酸チタン系架橋剤TC−310を2重量部、過硫酸アンモニウムを0.3重量部、混合し混練して電極層形成用スラリーを調製した。以降は実施例N1と同様にして電極を作製した。
実施例N1において、負極活物質調製例AM1のシリコン粉を負極活物質調製例AM3のシリコン粉に替え、日本合成化学製ゴーセネックスZ−200をポリビニルアルコールに替え、日本合成化学製Saflink SPM−01をマツモトファインケミカル社製乳酸チタン系TC−310に替えて、それ以外は実施例N1と同様にして、電極を作製した。
負極活物質調製例AM3のシリコン粉を60重量部、膨張化黒鉛粉を27重量部、アセチレンブラックを2重量部、ポリビニルアルコールの10重量%水溶液を固形分として10重量部、アニリンを1重量部、マツモトファインケミカル社製乳酸チタン系架橋剤TC−310を2重量部、過硫酸アンモニウムを0.3重量部、混合し混練して電極層形成用スラリーを調製した。以降は実施例N1と同様にして電極を作製した。
(実施例N5)
実施例N4において、日本合成化学社製Saflink SPM−01にマツモトファインケミカル社製乳酸チタン系TC−310の混合を行うことなしに、それ以外は実施例N4と同様にして、電極を作製した。
実施例N4において、日本合成化学社製Saflink SPM−01にマツモトファインケミカル社製乳酸チタン系TC−310の混合を行うことなしに、それ以外は実施例N4と同様にして、電極を作製した。
(実施例N6)
実施例N4において、ポリビニールアルコールの代りに、水酸基・酢酸基以外の変性基として反応性の高いカルボニル基を有するポリビニルアルコールの日本酢ビ・ポバール社製DF−20に替え、マツモトファインケミカル社製TC−310をアジピン酸ジヒドラジドに替えて、それ以外は実施例N4と同様にして、電極を作製した。
実施例N4において、ポリビニールアルコールの代りに、水酸基・酢酸基以外の変性基として反応性の高いカルボニル基を有するポリビニルアルコールの日本酢ビ・ポバール社製DF−20に替え、マツモトファインケミカル社製TC−310をアジピン酸ジヒドラジドに替えて、それ以外は実施例N4と同様にして、電極を作製した。
(比較例N1)
実施例N1において、アニリンと過硫酸アンモニウムを混合することなく、それ以外は実施例N1と同様にして、電極を作製した。
実施例N1において、アニリンと過硫酸アンモニウムを混合することなく、それ以外は実施例N1と同様にして、電極を作製した。
(比較例N2)
実施例N3において、アニリンと過硫酸アンモニウムを混合することなく、それ以外は実施例N3と同様にして、電極を作製した。
実施例N3において、アニリンと過硫酸アンモニウムを混合することなく、それ以外は実施例N3と同様にして、電極を作製した。
(比較例N3)
実施例N4において、アニリンと過硫酸アンモニウムを混合することなく、それ以外は実施例N4と同様にして、電極を作製した。
実施例N4において、アニリンと過硫酸アンモニウムを混合することなく、それ以外は実施例N4と同様にして、電極を作製した。
(比較例N4)
実施例N5において、アニリンと過硫酸アンモニウムを混合することなく、それ以外は実施例N5と同様にして、電極を作製した。
実施例N5において、アニリンと過硫酸アンモニウムを混合することなく、それ以外は実施例N5と同様にして、電極を作製した。
(比較例N5)
実施例N6において、アニリンと過硫酸アンモニウムを混合することなく、それ以外は実施例N6と同様にして、電極を作製した。
実施例N6において、アニリンと過硫酸アンモニウムを混合することなく、それ以外は実施例N6と同様にして、電極を作製した。
正極用電極構造体の作製
(実施例P1)
固溶体材料の活物質Li1.2Ni0.13Mn0.54Co0.13O2を90重量部、バインダーとしてポリアクリル酸ナトリウム5重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム2重量部、導電補助剤としてアセチレンブラック2重量部、アニリン1重量部、過硫酸アンモニウムを0.3重量部、に水を混合してスラリー(スラリー状の正極合剤)を調製した。次いで、 厚さ14μmのアルミニウム箔上に得られたスラリーを塗布し、60℃で30分乾燥後、ロールプレス機により、アルミニウム箔と塗膜とを密着接合させ、次に、減圧下180℃で3時間加熱処理して、厚さ104μmで密度が3.0g/cm3の活物質層を形成した正極用電極構造体を作製した。蓄電デバイスの電極として使用する場合には、適宜得られた電極構造体を所定のサイズに切断後、アルミニウムリードを超音波溶接機でアルミニウム集電体タブに溶接し、電極を作製した
(実施例P1)
固溶体材料の活物質Li1.2Ni0.13Mn0.54Co0.13O2を90重量部、バインダーとしてポリアクリル酸ナトリウム5重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム2重量部、導電補助剤としてアセチレンブラック2重量部、アニリン1重量部、過硫酸アンモニウムを0.3重量部、に水を混合してスラリー(スラリー状の正極合剤)を調製した。次いで、 厚さ14μmのアルミニウム箔上に得られたスラリーを塗布し、60℃で30分乾燥後、ロールプレス機により、アルミニウム箔と塗膜とを密着接合させ、次に、減圧下180℃で3時間加熱処理して、厚さ104μmで密度が3.0g/cm3の活物質層を形成した正極用電極構造体を作製した。蓄電デバイスの電極として使用する場合には、適宜得られた電極構造体を所定のサイズに切断後、アルミニウムリードを超音波溶接機でアルミニウム集電体タブに溶接し、電極を作製した
(実施例P2)
80ミリモル/リットルのチオ硫酸ナトリウム水溶液50mLを、分子量55000のポリビニルピロリドン(PVP)0.4モル/リットル水溶液50mLと混合し撹拌しながら、濃塩酸0.4mLを滴下し、2時間室温下で反応させた。次いで、遠心分離器で反応液から沈殿物を分離し、さらに、イオン交換水で洗浄し遠心分離器で沈殿物を分離し、減圧下5時間乾燥して、中空の硫黄微粒子を得た。
次に、得られた中空の硫黄微粒子74重量部、導電補助材としてアセチレンブラック15重量部、バインダーとしてポリアクリル酸ナトリウム7重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム3重量部、3,4−エチレンジオキシチオフェン1重量部、過硫酸アンモニウムを0.4重量部、にイオン交換水を混合し混練して電極層形成用スラリー(スラリー状の正極合剤)を調製した。次いで、得られたスラリーを厚さ14μmのアルミニウム箔に塗工し、60℃で30分乾燥後、減圧下90℃で10時間乾燥し、厚さ20μmで密度が0.75g/cm3の活物質層を形成した正極用電極構造体を得た。以降は実施例P1と同様にして電極を作製した。
80ミリモル/リットルのチオ硫酸ナトリウム水溶液50mLを、分子量55000のポリビニルピロリドン(PVP)0.4モル/リットル水溶液50mLと混合し撹拌しながら、濃塩酸0.4mLを滴下し、2時間室温下で反応させた。次いで、遠心分離器で反応液から沈殿物を分離し、さらに、イオン交換水で洗浄し遠心分離器で沈殿物を分離し、減圧下5時間乾燥して、中空の硫黄微粒子を得た。
次に、得られた中空の硫黄微粒子74重量部、導電補助材としてアセチレンブラック15重量部、バインダーとしてポリアクリル酸ナトリウム7重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム3重量部、3,4−エチレンジオキシチオフェン1重量部、過硫酸アンモニウムを0.4重量部、にイオン交換水を混合し混練して電極層形成用スラリー(スラリー状の正極合剤)を調製した。次いで、得られたスラリーを厚さ14μmのアルミニウム箔に塗工し、60℃で30分乾燥後、減圧下90℃で10時間乾燥し、厚さ20μmで密度が0.75g/cm3の活物質層を形成した正極用電極構造体を得た。以降は実施例P1と同様にして電極を作製した。
(比較例P1)
実施例P1において、アニリンと過硫酸アンモニウムの混合をしないで、アセチレンブラックを3重量部に変更して、その他は、実施例P1と同様にして、電極を作製した。
実施例P1において、アニリンと過硫酸アンモニウムの混合をしないで、アセチレンブラックを3重量部に変更して、その他は、実施例P1と同様にして、電極を作製した。
(比較例P2)
80ミリモル/リットルのチオ硫酸ナトリウム水溶液50mLを、分子量55000のポリビニルピロリドン(PVP)0.4モル/リットル水溶液50mLと混合し撹拌しながら、濃塩酸0.4mLを滴下し、2時間室温下で反応させた。次いで、遠心分離器で反応液から沈殿物を分離し、さらに、0.8モル/リットルのPVP水溶液で洗浄し遠心分離器で沈殿物を分離した。次に分離して得られたPVP被覆硫黄微粒子を100mLのイオン交換水に分散し、3,4−エチレンジオキシチオフェン110μL、10−カンファースルホン酸0.1g、過硫酸アンモニウム0.6gを添加し、室温下で10時間撹拌し反応させた。その後、遠心分離器で反応溶液から沈殿物を分離し、減圧下で5時間乾燥して、ポリエチレンジオキシチオフェン被覆の中空硫黄微粒子を得た。
得られたポリエチレンジオキシチオフェン被覆の中空硫黄微粒子70重量部、アセチレンブラック20重量部、ポリフッ化ビリニデン(PVDF)10重量部に、N−メチル−2−ピロリドンを加え混練し、スラリーを調製した。次いで、得られたスラリーをアルミニウム箔に塗工し、40℃で3時間乾燥し、厚さ20μmで密度が0.75g/cm3の正極用電極構造体を得た。以降は実施例P2と同様にして電極を作製した。
80ミリモル/リットルのチオ硫酸ナトリウム水溶液50mLを、分子量55000のポリビニルピロリドン(PVP)0.4モル/リットル水溶液50mLと混合し撹拌しながら、濃塩酸0.4mLを滴下し、2時間室温下で反応させた。次いで、遠心分離器で反応液から沈殿物を分離し、さらに、0.8モル/リットルのPVP水溶液で洗浄し遠心分離器で沈殿物を分離した。次に分離して得られたPVP被覆硫黄微粒子を100mLのイオン交換水に分散し、3,4−エチレンジオキシチオフェン110μL、10−カンファースルホン酸0.1g、過硫酸アンモニウム0.6gを添加し、室温下で10時間撹拌し反応させた。その後、遠心分離器で反応溶液から沈殿物を分離し、減圧下で5時間乾燥して、ポリエチレンジオキシチオフェン被覆の中空硫黄微粒子を得た。
得られたポリエチレンジオキシチオフェン被覆の中空硫黄微粒子70重量部、アセチレンブラック20重量部、ポリフッ化ビリニデン(PVDF)10重量部に、N−メチル−2−ピロリドンを加え混練し、スラリーを調製した。次いで、得られたスラリーをアルミニウム箔に塗工し、40℃で3時間乾燥し、厚さ20μmで密度が0.75g/cm3の正極用電極構造体を得た。以降は実施例P2と同様にして電極を作製した。
[電極構造体の電気化学的リチウム挿入量の評価]
上記蓄電デバイスの電極用電極構造体の単極としての電気化学的リチウム挿入量の評価は、以下の手順で行った。
上記実施例N1、実施例N2、実施例N3、実施例N4、実施例N5、実施例N6、比較例N1、比較例N2、比較例N3、比較例N4、比較例N5、実施例P1、実施例P2、比較例P1、比較例P2、の各電極を作用極として、対極として金属リチウムを組み合わせたセルを作製して、電気化学的なリチウムの挿入量を評価した。リチウム極は、ニッケルリード付きニッケル箔のエキスパンドメタルに厚さ140μmの金属リチウム箔を圧着して作製した。評価セルとしては、パウチセルを用いた。
上記蓄電デバイスの電極用電極構造体の単極としての電気化学的リチウム挿入量の評価は、以下の手順で行った。
上記実施例N1、実施例N2、実施例N3、実施例N4、実施例N5、実施例N6、比較例N1、比較例N2、比較例N3、比較例N4、比較例N5、実施例P1、実施例P2、比較例P1、比較例P2、の各電極を作用極として、対極として金属リチウムを組み合わせたセルを作製して、電気化学的なリチウムの挿入量を評価した。リチウム極は、ニッケルリード付きニッケル箔のエキスパンドメタルに厚さ140μmの金属リチウム箔を圧着して作製した。評価セルとしては、パウチセルを用いた。
パウチセルの評価セルは、以下の手順で作製した。パウチセル(ラミネートタイプのセル)は、露点−50℃以下の水分を管理した乾燥雰囲気下で全て行なった。ポリエチレン/アルミニウム箔/ナイロン構造のアルミラミネートフィルムをポケット状にした電槽に、作用極/セパレータ/リチウム極の電極群を挿入し、電解液を注入し、電極リードを取り出し、ヒートシールして評価用のセルを作製した。上記アルミラミネートフィルムの外側はナイロンフィルム、その内側はポリエチレンフィルムとする。上記セパレータとしては厚さ17μmで気孔率40%のミクロポア構造のポリエチレンフィルムを使用した。
上記実施例N1〜N6と実施例P1ならびに比較例N1〜比較例N5と比較例P1の電極構造体を作用極に用いたセルの電解液には、十分に水分を除去したエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比3:7で混合した溶媒に、六フッ化リン酸リチウム塩(LiPF6)を1M(モル/リットル)溶解して得られた溶液を使用した。上記実施例P2と比較例P2を作用極に用いたセルの電解液には、十分に水分を除去した1,3−ジオキソランと1,2−ジメトキシエタンの容積比1:1の混合溶媒にリチウムビス(トリフルオロメタンサルフォニル)イミドを1モル/リットル、硝酸リチウムを0.1モル/リットル、各々溶解した電解液を使用した。
電気化学的なリチウムの挿入量は、上記作製したセルのリチウム極を負極に、上記実施例N1〜N6と比較例N1〜比較例N5を作用極とした場合には0.01V〜1.8Vの範囲で、上記実施例P1と比較例P1を作用極とした場合は2.0V〜4.8Vの範囲で、上記実施例P2と比較例P2を作用極とした場合は1.5V〜2.6Vの範囲で、0.2C程度の定電流で充放電することによって評価した。充放電で、リチウムが挿入するのに利用された電気量、リチウムが放出されるのに利用された電気量を計測し、その電極層重量当たりの電気量、充放電時のクーロン効率、1回目の放電量の70%を切る充放電回数(サイクル寿命回数)に関して、対応する実施例と比較例の電極の性能を比較評価とした。
1回目の放電量、1回目のクーロン効率、サイクル寿命回数、各々において、比較例の電極の値に対する実施例の電極の値が1.0を超えるかどうかで、本発明の効果があるかどうかを評価した。その結果、実施例N1/比較例N1、実施例N2/比較例N1、実施例N3/比較例N2、実施例N4/比較例N3、実施例N5/比較例N4、実施例N6/比較例N5、実施例P1/比較例P1、実施例P2/比較例P2、において、1回目の放電量、1回目のクーロン効率、サイクル寿命回数の各項目において、全て1.0の値を超えることがわかった。
なお、実施例N1〜N6と比較例N1〜比較例N5を作用極とした場合のセル評価では、放電量が最も高かったのは実施例N1の電極であり、1回目のクーロン効率も最も優れていた。サイクル寿命回数の最も多かったは、実施例N3の電極で、次いで実施N1であった。
[蓄電デバイスの作製]
前記結果から、実施例N1〜N6から選択される電極を負極に、実施例P1とP2から選択される電極を正極に用いて、蓄電デバイスを作製することで、高エネルギー密度で長寿命の蓄電デバイスが実現できる。
前記結果から、実施例N1〜N6から選択される電極を負極に、実施例P1とP2から選択される電極を正極に用いて、蓄電デバイスを作製することで、高エネルギー密度で長寿命の蓄電デバイスが実現できる。
(実施例B1)
本発明の蓄電デバイスとして、実施例N1を負極に実施例P2を正極に用い、負極と正極の間に多孔性ポリエチレンフィルムをセパレータとしてはさみ、ポリエチレン/アルミニウム箔/ナイロン構造のアルミラミネートフィルムをポケット状にした電槽に挿入し、電解液を注入し、電極リードを取り出し、ヒートシールして評価用のセルを作製した。電解液はエチレンカーボネートとジエチルカーボネート(体積比3:7)の混合溶媒に、六フッ化リン酸リチウム塩(LiPF6)を1M(モル/リットル)溶解して得られた溶液を使用した。
本発明の蓄電デバイスとして、実施例N1を負極に実施例P2を正極に用い、負極と正極の間に多孔性ポリエチレンフィルムをセパレータとしてはさみ、ポリエチレン/アルミニウム箔/ナイロン構造のアルミラミネートフィルムをポケット状にした電槽に挿入し、電解液を注入し、電極リードを取り出し、ヒートシールして評価用のセルを作製した。電解液はエチレンカーボネートとジエチルカーボネート(体積比3:7)の混合溶媒に、六フッ化リン酸リチウム塩(LiPF6)を1M(モル/リットル)溶解して得られた溶液を使用した。
(比較例B1)
比較例N1の電極を負極に比較例P2の電極を正極に用い、上記実施例B1の蓄電デバイスと同様な方法で作製した。
充放電を行い、実施例B1と比較例B1の蓄電デバイスの性能を1.0Cの定電流で充放電することによって比較したところ、実施例B1の方が、放電量、クーロン効率、サイクル寿命のすべての点で上回ることがわかった。
比較例N1の電極を負極に比較例P2の電極を正極に用い、上記実施例B1の蓄電デバイスと同様な方法で作製した。
充放電を行い、実施例B1と比較例B1の蓄電デバイスの性能を1.0Cの定電流で充放電することによって比較したところ、実施例B1の方が、放電量、クーロン効率、サイクル寿命のすべての点で上回ることがわかった。
以上、説明してきたように、本発明によれば、高出力密度、高エネルギー密度の、充放電の繰り返し寿命もある蓄電デバイス、該蓄電デバイスの電極、ならびに該電極用電極構造体の製造方法を提供することができる。
Claims (8)
- リチウムイオンの蓄積・放出が可能な蓄電デバイス用電極構造体において、該電極構造体が、少なくとも活物質、導電補助材、バインダー、集電体から成り、該バインダーがグラフトポリマーから成り、該グラフトポリマーの幹ポリマー部が水溶性ポリマーで、該グラフトポリマーの枝分かれポリマー部が共役π電子系が直線的な分子鎖に沿って連なる一次元構造を有する導電性ポリマーであることを特徴とする蓄電デバイス用電極構造体。
- 前記グラフトポリマーが架橋構造を有していることを特徴とする蓄電デバイス用電極構造体。
- 前記活物質が少なくともシリコン、シリコン合金、酸化シリコン、スズ合金、黒鉛、難黒鉛化性カーボン、リチウム−チタン酸化物から成る群から選択される少なくとも一種類以上の物質から構成されていることを特徴とする請求項1〜2記載の蓄電デバイス用電極構造体。
- 前記活物質が遷移金属酸化物、遷移金属リン酸化合物、リチウム−遷移金属酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、硫黄、硫黄化合物から成る群から選択される少なくとも一種類以上の物質から構成されていることを特徴とする請求項1〜2記載の蓄電デバイス用電極構造体。
- 請求項1〜4記載の電極構造体の製造方法において、少なくとも活物質、導電補助材、水溶性ポリマー、該水溶性ポリマーの溶媒、重合して共役π電子系が直線的な分子鎖に沿って連なる一次元構造を有する導電性ポリマーとなるモノマー、架橋剤及び/又は重合開始剤、を混合してスラリーを調製し、集電体に該スラリーを塗工した後、重合し乾燥する工程を有することを特徴とする電極構造体の製造方法。
- 少なくとも負極、リチウムイオン伝導体、正極から構成されるリチウムイオンの蓄積・放出が可能な蓄電デバイスにおいて、負極が請求項3記載の電極構造体であることを特徴とする蓄電デバイス。
- 少なくとも負極、リチウムイオン伝導体、正極から構成されるリチウムイオンの蓄積・放出が可能な蓄電デバイスにおいて、正極が請求項4記載の電極構造体であることを特徴とする蓄電デバイス。
- 少なくとも負極、リチウムイオン伝導体、正極から構成されるリチウムイオンの蓄積・放出が可能な蓄電デバイスにおいて、負極が請求項3記載の電極構造体であり、かつ正極が請求項4記載の電極構造体あることを特徴とする蓄電デバイス。
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JP2016092205A JP2017199639A (ja) | 2016-05-01 | 2016-05-01 | 蓄電デバイス用電極構造体、蓄電デバイス、及び電極構造体の製造方法 |
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JP2020009548A (ja) * | 2018-07-03 | 2020-01-16 | 川上 総一郎 | 蓄電デバイス |
CN112349907A (zh) * | 2019-08-08 | 2021-02-09 | 珠海冠宇电池股份有限公司 | 一种复合粘结剂材料及其制备方法和用途 |
WO2022210745A1 (ja) * | 2021-03-30 | 2022-10-06 | 三菱ケミカル株式会社 | 被覆炭素材、負極及び二次電池 |
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2016
- 2016-05-01 JP JP2016092205A patent/JP2017199639A/ja active Pending
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