<第1実施形態>
図1〜図8を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1、2に示す通り、実施形態の荷重検出器100は、本体部100Mと、本体部100Mに被験体を導くガイド部100Gと、本体部100M及びガイド部100Gとが設置されたシート100Sを含む。
本体部100Mは、第1、第2基部11、12と、第1、第2基部11、12にそれぞれ連結されたビーム形の第1、第2ロードセル21、22と、第1、第2ロードセル21、22によって第1、第2ロードセル21、22の間に支持される載置台3とを主に有する。
以下の説明においては、ビーム形の第1、第2ロードセル21、22のビームの延在する方向を荷重検出器100の長手方向と呼び、長手方向においてガイド部100Gの位置する側を前側とする。またシート100Sの面内において長手方向と直交する方向を幅方向と呼ぶ。また、荷重検出器100が設置される面を床面という。
本体部100Mの第1基部11は第1ロードセル21を片持ち支持する部材であり、平面形状が第1ロードセル21とほぼ同形の矩形である平板部11aと、平板部11aの後端から上方向に突出する支持台部11bとを有する。
支持台部11bの頂面11btには、2つのねじ穴Thが形成されている。支持台部11bには、ねじT及びねじ穴Thを介して第1ロードセル21が固定される。
第2基部12も第1基部11と同一の形状を有し、平板部12aと支持台部12bとを有する。第2基部12は第1基部11から所定距離だけ離間して、第1基部11と対向して(この例では平行に)配置されているが、第1基部11の支持台部11bが平板部11aの後方に設けられているのに対し、第2基部12の支持台部12bは平板部12aの前方に設けられている。すなわち、第1基部11の平板部11aに支持台部11bが接続する位置と第2基部12の平板部12aに支持台部12bが接続する位置とは、長手方向において互いに反対側である。支持台部12bには、ねじT及び支持台部12bの頂面12btに形成されたねじ穴Thを介して、第2ロードセル22が固定される。
第1ロードセル21は、貫通孔hを有する角柱形状の起歪体21sと、起歪体21sに取り付けられたひずみゲージ21gとを有するビーム形のロードセルである。第1ロードセル21は、起歪体21sに生じたひずみをひずみゲージ21gの抵抗値の変化として検出し、これにより第1ロードセル21に加えられた荷重を検出する。
起歪体21sは、アルミニウムや鉄等の金属で形成された長尺の角柱である。起歪体21sの長手方向の中央部には幅方向に貫通する貫通孔hが形成されている。貫通孔hは、断面形状が円形である2つの円形孔hcと、2つの円形孔hcを長手方向に連結する、断面形状が略矩形である矩形孔hrとを有している。起歪体21sのうち、貫通孔hの上方及び下方に位置する部分には、貫通孔hの存在により上下方向の厚みが小さくなった薄肉部21thが画成されている。
起歪体21sの後端21ss近傍には、上下方向に貫通する2つのねじ穴Thが形成されている。起歪体21の後端21ssは、ねじT及びねじ穴Thを介して第1基部11の支持台部11bに固定されている。これにより起歪体21sは、後端21ssを固定端、前端21sfを自由端として、第1基部11(支持台部11b)に片持ち支持されている。
起歪体21sの前端21sf近傍にも、上下方向に貫通する2つのねじ穴Thが形成されている。起歪体21sの前端21sf近傍の下面21sdには、ねじT及びねじ穴Thを介して載置台3が固定されている。すなわち起歪体21s(第1ロードセル21)は、自由端である前端21sf近傍において、載置台3を、上下方向に移動可能に支持している。
ひずみゲージ21gは、起歪体21sの薄肉部21thに2つ取り付けられている。より詳細には、ひずみゲージ21gは、起歪体21sの長手方向の略中央部において、起歪体21sの上面21st及び下面21sdにそれぞれ1つずつ取り付けられている。またひずみゲージ21gは不図示のリード線を介して、外部の制御部と接続されている。
第2ロードセル22は、第1ロードセル21と同一の構造を有し、中央部に幅方向に貫通する貫通孔hが形成された角柱形状の起歪体22sと、起歪体22sの薄肉部22thに取り付けられた2つのひずみゲージ22gとを有する。第2ロードセル22は、第1ロードセル21から所定距離だけ離間して、第1ロードセル21と対向して(この例では平行に)配置されている。
起歪体22sの前端部22ss近傍には、上下方向に貫通する2つのねじ穴Thが形成されている。起歪体22の前端22ssは、ねじT及びねじ穴Thを介して第2基部12の支持台部12bに固定されている。これにより起歪体22sは、前端22ssを固定端、後端22sfを自由端として、第2基部12(支持台部12b)に片持ち支持されている。
起歪体22sの後端22sf近傍にも、上下方向に貫通する2つのねじ穴Thが形成されている。起歪体22sの後端22sf近傍の下面22sdには、ねじT及びねじ穴Thを介して載置台3が固定されている。すなわち起歪体22s(第2ロードセル22)は、自由端である後端22sf近傍において、載置台3を、上下方向に移動可能に支持している。起歪体21sとの配置関係でみると、起歪体22sの前端(固定端)22ssは、長手方向において起歪体21sの前端(自由端)21sfと同じ位置にあり、起歪体22sの後端(自由端)22sfは、長手方向において、起歪体21sの後端(固定端)21ssと同じ位置にある。
すなわち、起歪体21sと起歪体22sとは、互いに対向しつつ同方向に延在しているが、それらの固定端に対する自由端の向きは互いに逆である。また、起歪体21sを支持する支持台部11bと起歪体22sの後端(自由端)22sfとは長手方向において略同じ位置にあり、起歪体22sを支持する支持台部12bと起歪体21sの前端(自由端)21sfとは長手方向において略同じ位置にある。
載置台3は、荷重検出器100を用いた荷重の検出時に被験体を載置するための計量皿である。載置台3は、被験体が載置されるプレート部Pと、プレート部Pを3方向において囲む壁部Wと、壁部Wに設けられた第1連結部C1及び第2連結部C2とを備える。
プレート部Pは、長手方向を長辺方向とする矩形状である。プレート部Pの上面中央部には、転動体である被験体を拘束するための平面視矩形の凹部Rが設けられている。後述する通り、凹部Rは、載置台3の第1、第2ロードセル21、22への取付け位置A1、A2(図6)を結ぶ線分L上に被験体を拘束するような位置に設けられている。
図3に示す通り、プレート部Pの前端Pfには、幅方向に並ぶ複数の凹部rが設けられている。凹部rの詳細については後述する。なお、図1、図2においては、凹部rの図示は省略されており、図3においては壁部Wの図示は省略されている。
壁部Wは、プレート部Pに直交して設けられており、プレート部Pの一対の長辺に沿ってそれぞれ延在する第1長壁部WL1、第2長壁部WL2と、プレート部Pの後端に沿って延在して第1長壁部WL1の後端と第2長壁部WL2の後端とを繋ぐ短壁部WSとを含む。
第1長壁部WL1と第2長壁部WL2は、プレート部Pを超えて前方に突出している。以下では、第1、第2長壁部WL1、WL2の突出部を、それぞれ第1、第2突出部WL1p、WL2pと呼ぶ。第1突出部WL1pと第2突出部WL2pの互いに対向する内面は、長手方向においてプレート部Pから離間するにつれて内面間の距離が大きくなるようテーパ面として構成されている。
第1突出部WL1pの外面には、プレート部Pと平行な板状である第1連結部C1が設けられている。第1連結部C1は、平面視が略正方形であり、略中央部に2つのねじ穴Thが形成されている。第1連結部C1は、ねじT及びねじ穴Thを介して、第1ロードセル21の起歪体21sの前端21sf(自由端)近傍において、起歪体21sの下面21sdに固定されている(図1、図2)。
短壁部WSの、プレート部Pの位置する側とは反対側を向く外面には、プレート部Pと平行な板状である第2連結部C2が設けられている。第2連結部C2は幅方向を長手方向とする矩形状であり、第2長壁部WL2を超えて突出した突出部に2つのねじ穴Thが形成されている。第2連結部C2は、ねじT及びねじ穴Thを介して第2ロードセル22の起歪体22sの後端22sf(自由端)近傍において起歪体22sの下面22sdに固定されている(図1、図2)。図6に示すように、第1連結部C1のねじ穴Thと第2連結部C2のねじ穴とは、プレート部Pをその対角線方向において挟むように配置されている。
ガイド部100Gは、くさび形(又は三角柱形)の部材であり、その上面がキャスターCT(図5)等の転動体を床面から載置台3上へと案内する傾斜面(スロープ)Sである。傾斜面Sの上端Stには、幅方向に並ぶ複数の凸部pが設けられている(図3)。凸部pの詳細については後述する。なお、図1、図2においては凸部pは図示が省略されている。
ガイド部100Gの傾斜面Sの上端Stは、プレート部Pの前端Pfと対向し、且つ傾斜面Sの幅方向の両側に第1、第2突出部WL1p、WL2pが延在するように位置づけられている。したがって、傾斜面Sによって被験体をプレート部Pへとガイドする時、被験体は、第1、第2突出部WL1p、WL2pの内側のテーパ面によって幅方向にもガイドされ、傾斜面Sを昇るにつれて幅方向中央部に導かれる。
シート100Sは、床面からの振動を遮蔽すると共に、本体部100M、ガイド部100Gの床面に対するすべりを防止する矩形の弾性シートであり、第1、第2基部11、12の底面、及びガイド部100Gの底面に貼り付けられている。したがって、本体部100Mとガイド部100Gはシート100Sを介して連結している。シート100Sは、例えば、ウレタンゴムやシリコーンゴム等の合成ゴムで形成することができる。
ここで、前端Pfに複数の凹部rを有する載置台3のプレート部Pと、上端Stに複数の凸部pを有するガイド部100Gの傾斜面Sとの対向部について、図3、図4を参照して説明する。
図3に示す通り、ガイド部100Gの複数の凸部pは、それぞれ、傾斜面Sの上端Stから後方に向けて水平に突出している。各凸部pは、平面視において、長手方向を長辺方向とする矩形の先端側(後端側)短辺を半円とした形状を有し、厚さ(上下寸法)はプレート部Pの厚さに略等しい。以下では、凸部pの側面を含む傾斜面Sの上端St側の端面をスロープ端面Seと呼ぶ。スロープ端面Seは長手方向を往復しながらジグザグ状に延びる垂直面である。
プレート部Pの複数の凹部rは、それぞれ、前端Pfから後方に向けて窪んでいる。各凹部rは、平面視においては凸部pと相似の形状を有しており、その寸法は凸部pの寸法よりも少し大きい。以下では、凹部rを画成する面を含むプレート部Pの前端Pf側の端面をプレート端面Peと呼ぶ。プレート端面Peはスロープ端面Seと同様に、長手方向を往復しながらジグザグ状に延びる垂直面である。
本体部100Mとガイド部100Gとがシート100Sによって繋がれた状態において、スロープ端面Seとプレート端面Peとは、複数の凸部pが複数の凹部rの内部にそれぞれ位置する状態で、互いに接触することなく対向している(図4(a))。即ち、シート100Sが本体部100Mとガイド部100Gとを、図4(a)に示すような非接触の状態を維持するように、位置決めしている。凸部pの上面はプレート部Pの上面と面一である。図4(a)に示すように、長手方向に延びるスロープ端面Seと長手方向に延びるプレート端面Peとが幅方向に対向している領域、換言すれば長手方向において凸部pがプレート部Pと重複して位置している領域を非接触係合領域Enと呼ぶ。非接触係合領域Enにおいては、載置台3のプレート部Pの端部の一部が、ガイド部100Gの傾斜面Sの端部の一部に非接触で侵入している。
このように、傾斜面と載置台とが、「互いに接触することなく、且つ傾斜面の上端と載置台の一端とが長手方向において重なり合うように配置されている部分」を、本明細書において「非接触係合部」と呼び、非接触係合部により実現された状態を「非接触係合」状態と呼ぶ。なお、この定義において傾斜面の上端は傾斜面の上端に傾斜面と一体に設けられた部分を含み、載置台の一端は載置台の一端に載置台と一体に設けられた部分を含む。非接触係合部の他の例は後述する。
次に、荷重検出器100の使用方法について、被験体がベッド上の被験者であり、載置台3にはベッドの脚部BL(図5)の下端部に取り付けられた移動用のキャスターCTが載置される場合を例に挙げて説明する。なお、この場合は、キャスターCTも被験体の一部である。
荷重検出器100を用いた荷重検出を行う場合は、まず、床面上の、脚部BLに対応する4ヶ所に荷重検出器100を設置し、次いでキャスターCTを載置台3のプレート部P上に載置する。キャスターCTの載置は、床面上のキャスターCTを、床面上からガイド部100Gの傾斜面S上に導き、傾斜面S上を斜め上方に転動させた後、非接触係合領域Enを介してプレート部P上に移動させることにより行う。
ここで、キャスターCTの荷重は、キャスターCTが傾斜面Sにあるときはその全てがガイド部100Gに加えられ、キャスターCTがプレート部Pにあるときはその全てが本体部100Mに加えられる。一方で、キャスターCTが非接触係合領域Enにある時は、キャスターCTはガイド部100Gに設けられた凸部pとプレート部Pとに同時に支持されているため、キャスターCTの荷重はガイド部100Gと本体部100Mとに分散して加えられる。したがって、キャスターCTを非接触係合領域Enを介してプレート部Pに移動させることで、キャスターCTの全荷重の本体部100Mへの急激な付加を防ぐことができる。
また、本実施形態においては、非接触係合領域Enにおいて、スロープ端面Seとプレート端面Peとがジグザグ状に対向するよう構成されており、スロープ端面Seとプレート端面Peとの対向部が幅方向に直線状に延びる長さは、キャスターCTの幅よりも小さい。したがって、傾斜面と載置台との対向部に幅方向に渡る直線状の隙間が形成されている態様とは異なり、傾斜面Sからプレート部Pに移動するキャスターCTが隙間に落ち込み、被験体に衝撃を与えてしまうことがない。
プレート部P上に移動したキャスターCTは、プレート部P上を後方に移動し、凹部R内に嵌入して停止する。これによりキャスターCTのプレート部P上への載置が完了する。キャスターCTは凹部Rにより拘束されて移動が制限された状態に維持される。
ベッドが有するその他の脚部に取り付けられたキャスターも、それぞれ同様にして、他の荷重検出器100の上に載置される。
ベッド上の被験体の荷重は、ベッドの脚BL、キャスターCT、載置台3を介して、載置台3を支持する第1ロードセル21の起歪体21s及び第2ロードセル22の起歪体22sに伝達される。荷重検出時には、被験体の荷重を受けて載置台3が下方に移動するが、この時も、非接触係合領域Enにおいて傾斜面Sの上端Stのスロープ端面Seと載置台3のプレート部Pのプレート端面Peとが接触することはなく、傾斜面Sとプレート部Pとの非接触状態が維持される。
荷重が伝達された起歪体21s及び起歪体22sにはそれぞれひずみが生じ、ひずみゲージ21g、22gはこのひずみを抵抗値の変化として検出する。検出された抵抗値の変化は、リード線(不図示)を介して外部又は第1基部11若しくは第2基部12に設けられた制御部(不図示)に出力される。制御部において演算処理を施すことで、被験体の荷重を求めることができる。
ここで、本実施形態の荷重検出器100において、第1ロードセル21と第2ロードセル22とを用いて載置台3を2点支持する理由を説明する。
本実施形態の荷重検出器100においては、図6に示す通り、載置台3は、第1連結部C1を介して第1ロードセル21の起歪体21sの前端21sf近傍に上下移動可能に支持されており、第2連結部C2を介して第2ロードセル22の起歪体22sの後端22sf近傍に上下移動可能に支持されている。
ここで、第1連結部C1の起歪体21sへの取り付けの中心点を取付中心A1とし、第2連結部C2の起歪体22sへの取り付けの中心点を取付中心A2とすると、載置台3は、取付中心A1と取付中心A2とを最短距離で結ぶ線分L上において最もたわみにくい。したがって、線分L上にベッドのキャスターCTを配置することで、載置台3のたわみの影響を抑制した状態で、ベッド上の被験者の荷重を検出することができる。
上述の通り、載置台3のプレート部Pには、凹部Rが被験体を線分L上で拘束するように形成されている。したがって、キャスターCTを凹部R内に配置するだけで、線分L上又はその近傍にキャスターCTを安定的に配置して、被験者の荷重を安定して正確に検出することができる。
ここで、本発明の荷重検出器が従来のビーム形ロードセルを用いた荷重検出器に比べて荷重を安定に正確に検出できる理由を図7に示す従来形のロードセルを用いた荷重検出器900を参照しながら説明する。図7に示すように、ビーム形ロードセルLCの端部に載置板PTを取り付けた荷重検出器900においては、偏置誤差は、被験体の載置位置pnがビーム形ロードセルLCと載置板PTとの連結位置A0の近傍である場合は比較的小さいが、載置位置pnが連結位置A0から離れるにしたがって大きくなる。これは、載置位置pnがビーム形ロードセルLCの長手方向において連結位置A0から離間するに従って、ビーム形ロードセルLCの幅方向に延びる軸を中心とした、離間距離に応じた大きさの曲げモーメントがビーム形ロードセルLCの起歪体に作用し、この曲げモーメントによるひずみによってビーム形ロードセルLCのひずみゲージに偏置誤差が生じるためである。また載置位置pnがビーム形ロードセルLCの幅方向において連結位置A0から離間するに従って、ビーム形ロードセルLCの長手方向に延びる軸まわりの、離間距離に応じた大きさのねじりモーメントがビーム形ロードセルLCの起歪体に作用し、このねじりモーメントによるひずみによってビーム形ロードセルLCのひずみゲージに偏置誤差が生じるためである。
これに対して、本実施形態の荷重検出器100では、図8に示す通り、載置台3のプレート部P上に載置される被験体の載置位置PNと取付中心A1との長手方向の距離をxP1、載置位置PNと取付中心A2との長手方向の距離をxP2とすると、xP1とxP2との合計は、載置台3のプレート部P上の略全域において一定となる。したがって本実施形態の荷重検出器100においては、載置位置PNが前後方向に移動しても、第1ロードセル21に生じる曲げモーメントによる偏置誤差と第2ロードセル22に生じる曲げモーメントによる偏置誤差との合計は常に略一定となる。したがって、例えば制御部(不図示)において第1ロードセル21と第2ロードセル22の検出値を加算し、かつ偏置誤差として所定の値を減算することで、曲げモーメントに起因する偏置誤差の影響を実質的に取り除いた状態で被験体の荷重を安定的に検出することができる。
また、図8に示す通り、載置台3のプレート部P上に載置される被験体の載置位置PNと取付中心A1との幅方向の距離をyP1、載置位置PNと取付中心A2との幅方向の距離をyP2とすると、yP1とyP2との合計は、載置台3のプレート部P上の略全域において一定となる。したがって本実施形態の荷重検出器100においては、載置位置PNが幅方向に移動しても、第1ロードセル21に生じるねじりモーメントによる偏置誤差と第2ロードセル22に生じるねじりモーメントによる偏置誤差との合計は常に略一定となる。したがって、例えば制御部(不図示)において第1ロードセル21と第2ロードセル22の検出結果を加算し、かつ偏置誤差として所定の一定値を減算することで、ねじりモーメントに起因する偏置誤差の影響を実質的に取り除いた状態で、計測対象の荷重を安定的に検出することができる。
本実施形態の荷重検出器100の効果を以下にまとめる。
本実施形態の荷重検出器100は、傾斜面Sを有するガイド部100Gを有するため、キャスターCT等の転動体である被験体を、容易に載置台3の上に導入することができる。なおかつ、ガイド部100Gのスロープ端面Seと載置台3のプレート端面Peとが非接触で対向しており、ガイド部100Gが載置台3に接触していないため、ガイド部100Gの干渉に起因する計測誤差が生じない。
本実施形態の荷重検出器100は、本体部100Mとガイド部100Gとがシート100Sにより一体に繋がれているため、持ち運びが容易である。
本実施形態の荷重検出器100においては、ガイド部100Gとプレート部Pとの対向部に、ガイド部100Gの複数の凸部pとプレート部Pとが長手方向において重複している領域である非接触係合領域Enが画成されている。したがって、傾斜面Sからプレート部P上に移動する被験体の全荷重が、急激にプレート部Pに付加されることが防止されている。これは、荷重検出器100の長寿命化につながる。また、傾斜面Sとプレート部Pとの間に、キャスターCTの幅を超える直線状の隙間、即ち通過時にキャスターCTが嵌入し得る隙間が存在しないため、キャスターCTをプレート部P上にスムーズに移動できる。
本実施形態の荷重検出器100は、シート100Sを有するため、床面の振動による計測誤差が抑制されている。また、本体部100Mの床面に対するすべりによって生じ得る計測誤差も抑制されている。
本実施形態の荷重検出器100においては、載置台3は、第1連結部C1、第2連結部C2を介して第1ロードセル21、第2ロードセル22に2点支持されている。したがって、2つの支持点を結ぶ線分L上に被験体を配置することで、載置台3(特にプレート部P)のたわみの影響を抑えて良好に被験体の荷重を検出することができる。また、プレート部Pに凹部Rが設けられているため、被験体を容易に線分L上に配置できる。
本実施形態の荷重検出器100においては、曲げモーメントに起因して第1、第2ロードセル21、22に生じる偏置誤差の合計値、及びねじりモーメントに起因して第1、第2ロードセル21、22に生じる偏置誤差の合計値は、それぞれ常に略一定である。したがって、第1ロードセル21の計測値と第2ロードセル22の計測値とを加算して偏置誤差を減算することで、実質的に偏置誤差の影響を取り除き、正確且つ安定した荷重検出を行うことができる。
<変形例>
上記の実施形態の荷重検出器100において、次の変形態様を用いることもできる。
シート100Sは、上述した弾性シートに代えて、金属やプラスチック等の剛性を有する部材で形成された剛性シートであっても良い。この場合、キャスターCTを荷重検出器100の載置台3へ載置するに際して、載置台3と傾斜面Sとの間の相対的な位置ズレがより発生し難いため、非接触係合状態をより確実に維持でき好適である。なお、本発明において剛性シートとは、本体部100Mのみを持ち上げた際に、曲がりを生じることなくガイド部100Gを一体に持ち上げる程度の剛性を有するシートを意味し、弾性シートとは、本体部100Mのみを持ち上げた際に、弾性変形して曲がりを生じつつガイド部100Gを一体に持ち上げ、本体部100Mを再び床面に載置した際には弾性変形前の状態に戻る程度の弾性を有するシートを意味する。
シート100Sに代えて、ガイド部100Gを本体部100Mの第1基部11又は第2基部12の側面、上面等に、棒状、板状等の接続部材により固定的に接続することにより本体部100M(プレートP)とガイド部100G(傾斜面S)との位置決めを行っても良い。その他、ガイド部100Gと本体部100Mとの接続は、両者を直接接続する任意の方法又は接続用の他の部材を介して両者を接続する任意の方法で行うことができる。ガイド部100Gと本体部100Mとの接続は両者を固定的に接続する態様に限られず、後述する「非接触係留」も両者を接続する方法の1つである。また、荷重検出器100において、本体部100Mとガイド部100Gとは一体に繋がれておらず分離可能であってもよい。
非接触係合部の他の例を図4(b)を参照して説明する。図4(b)に示す非接触係合部は、上記実施形態の非接触係合部とほぼ同一であるが、傾斜面Sの凸部pとプレート部Pの凹部rの形状が、上記実施形態の凸部p、凹部rとは異なり二等辺三角形である。このように、凸部pと凹部rの形状を変更しても、上記実施形態と同様に非接触係合部を構成することができる。すなわち、凸部pの形状と凹部rの形状は凸部pが凹部r内に非接触で侵入し得る限り任意であり、例えば丸形であってもよい。また、凸部pの形状と凹部rの形状とは必ずしも相似である必要はなく、凸部pが凹部r内に非接触で侵入し得る限り任意の異なる形状とし得る。また、傾斜面S側に凹部を設け、プレート部P側に凸部を設けても良い。
非接触係合部においては、傾斜面の上端の上面と載置台の一端の上面とを面一とすることは、被験体のスムーズな移動という点及び載置台への急激な荷重付加の防止という点から好ましいが、これには限られない。
非接触係合部の更に他の例を図9を参照して説明する。図9に示す非接触係合部は、プレート部Pの前端Pfにプレート部Pと一体に設けられた側面視略U字状の第1カギ部L1と、傾斜面Sの上端Stに傾斜面Sと一体に設けられた側面視略L字状の第2カギ部L2とにより構成されている。この構成においても、傾斜面Sと載置台3とは互いに接触しておらず、且つ傾斜面Sの上端Stに一体に設けられた第2カギ部L2と載置台3のプレート部Pの前端Pfに一体に設けられた第1カギ部L1とが長手方向において重なり合うように配置されている。より具体的には、第2カギ部L2に第1カギ部L1が、上下方向に侵入している。第1カギ部L1は第2カギ部L2の下方にあるため、荷重検出時にプレート部P上に被験体が載置されプレート部Pが下方に移動した場合も、第1カギ部L1と第2カギ部L2とが接触することはない。荷重検出器100を持ち運ぶ際には、第1カギ部L1が第2カギ部L2に引っかかるように本体部100Mを持ちあげることで、傾斜面Sと載置台3とを一体に移動することができる。この態様の非接触係合部を有する荷重検出器によれば、傾斜面Sを用いて被験体を容易に載置台上に載置することができる。
上記実施形態の荷重検出器100は非接触係合部を有さなくてもよい。例えば傾斜面Sの上端Stは凸部pを有さなくても良く、プレート部Pの前端Pfは凹部rを有さなくてもよい。この場合は、傾斜面Sとプレート部Pとの対向部においては、幅方向に直線状に延びる平坦なスロープ端面Seと、幅方向に直線状に延びる平坦なプレート端面Peとが、幅方向に直線状に延びる隙間を有して非接触で対向する。
本実施形態の荷重検出器100は、非接触係合部に代えて、「非接触係留部」を備えても良い。本明細書において「非接触係留部」とは、傾斜面Sと本体部100Mとが、「互いに接触することなく、且つ長手方向に所定距離まで離間可能な状態で繋がれている部分」を意味するものとする。非接触係留部により実現された状態を非接触係留状態と呼ぶ。
非接触係留部の一例は、傾斜面Sと本体部100Mとの、紐、鎖等による連結部である。紐、鎖等は、本体部100Mの第1、第2基部11、12、第1、第2ロードセル21、22、載置台3のいずれに連結されていてもよい。また、非接触係留部の他の例は、傾斜面Sと本体部100Mの一部とが長手方向に伸縮可能なロッドにより連結された連結部である。ロッド等は、例えば本体部100Mの第1、第2基部11、12に連結し得る。
本実施形態の荷重検出器100において、プレート部Pは第1、第2突出部WL1p、WL2pの前端まで延びていてもよい。この場合、ガイド部100Gは、第1、第2ロードセル21、22の前端21sf、22ssよりも前方に配置される。この場合、ガイド部100Gは、被験体を幅方向中央部に向けてガイドするテーパ状のガイド壁を、傾斜面Sの幅方向両側に有しても良い。
上記実施形態の載置台3が有する第1連結部C1及び第2連結部C2は、図10に示すように構成し得る。即ち第1連結部C1は、第1長壁部WL1と平行に上方に延びる垂直部C1vと、垂直部C1vの上端部から、垂直部C1vに直交する水平方向に延びる水平部C1hとを有する。また、第2連結部C2は、短壁部WSから水平方向に延びる平面視矩形の第1水平部C2h1と、第1水平部C2h1の第2長壁部WL2側の短辺から上方に延びる垂直部C2vと、垂直部C2vの上端部から、垂直部C2vに直交する水平方向に延びる第2水平部C2h2とを有する。そして、第1連結部C1は、第1ロードセル21の起歪体21sの前端21sf近傍において、起歪体21sの上面21stに結合され、第2連結部C2は、第2ロードセル22の起歪体22sの後端22sf近傍において、起歪体22sの上面22stに結合される。
上記実施形態の本体部100Mにおいて、次の変形態様を用いることもできる。
上記実施形態の本体部100Mにおいて、第1基部11の平板部11a、第2基部12の平板部12aを省略して支持台部11b、12bをシート100Sに取り付けても良い。また、第1基部11と第2基部12とは一体であってよい。
上記実施形態の本体部100Mにおいて、支持台部11b、12bと第1、第2ロードセル21、22の連結方法は任意であり、例えば第1、第2ロードセル21、22の後端面に連結してもよい。第1、第2ロードセル21、22と載置台3との連結も同様である。
上記実施形態の本体部100Mにおいては第1ロードセル21と第2ロードセル22とは平行に対向していたが、第1ロードセル21と第2ロードセル22とは、5°程度より小さい角度を有して対向していてもよい。また、各ロードセルに取り付けられるひずみゲージの数は任意である。
なお、上記の実施形態の荷重検出器100において、載置台3のプレート部Pに凹部Rが形成されていなくてもよい。また載置台3は壁部Wを有さなくてもよい。
上記実施形態の本体部100Mにおいては、載置台3の第1連結部C1を第1ロードセル21の起歪体21sの前端21sf近傍に取り付けられていたが、載置台3の第1連結部C1は起歪体21sの長手方向中央よりも前側(自由端側)に取り付けれられていればよい。また、載置板3の第1連結部C1を起歪体21sの薄肉部21thよりも自由端側の任意の位置に取り付けることもできる。第2連結部C2の第2ロードセル22の起歪体22sへの取り付けも同様である。
なお、上記の実施形態では、載置台3の第1、第2連結部C1、C2は、載置台3の長手方向の両端部に形成されていたがこれには限られない。第1、第2連結部C1、C2は、載置台3の長手方向において、長手方向中央を挟んでそれぞれ反対側に設けられていればよい。
上記実施形態の本体部100Mは、図6に示すような、単ロードセル型荷重検出器900であってもよく、特許文献1に示すような3つのロードセルセンサを有する荷重スケールであってもよい。
<第2実施形態>
第2実施形態の荷重検出システム500について、図11を参照して説明する。
荷重検出システム500は、4つの荷重検出器100と、制御器CONTを主に有する。4つの荷重検出器100と制御器CONTとは配線で接続されている。
荷重検出システム500を使用する際には、4つの荷重検出器100の載置台3の上に、ベッドBDの4本の脚に取り付けられたキャスターCTをそれぞれ載置する(図11)。これにより、4つの荷重検出器100の各々は、ベッドBDの脚を介して加えられるベッドBD上の被験者の荷重の一部を検出する。
4つの荷重検出器100に接続された制御器CONTは、各荷重検出器100の第1ロードセル21からの出力と第2ロードセル22からの出力とを加算し、偏置誤差に相当する所定値を減算する荷重算出処理と、各荷重検出器100により検出された荷重を加算する荷重合算処理とを行う。また制御器CONTによってその他の任意の処理を行ってもよい。
本実施形態の荷重検出システムは、第1実施形態の荷重検出器100を使用しているため、第1実施形態の荷重検出器100と同様の効果を得ることができる。特に、ベッドBDを一方向に移動させてベッドBDの4つのキャスターCTのそれぞれを転動させ傾斜面S上を昇らせるだけでベッドBDを4つの載置台3の上に載置できるため、ベッドBDの荷重検出器100上への配置を手間なく行うことができるという効果を奏する。
なお、本実施形態の荷重検出システムにおいて、荷重検出器100の数は4つには限られず、3つ以下でもよく、5つ以上でもよい。
なお、本実施形態の荷重検出システムにおいて、荷重検出器100からの出力を、配線ではなく無線により制御器CONTに送信してもよい。また制御器CONTには、制御器CONTによって求められた荷重を表示するための表示器や、求められた荷重に基づいて所定の報知を行うための報知機が接続されていてもよい。
本発明の特徴を維持する限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。