JP2017195383A - エッチング方法、物品の製造方法、及びエッチング装置 - Google Patents

エッチング方法、物品の製造方法、及びエッチング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】金属層が設けられた半導体基板をMacEtch法によりエッチングするに際し、高い選択比で半導体をエッチングする。【解決手段】貴金属以外の1以上の金属からなる金属層15によって被覆された第1領域A1と、貴金属からなる触媒層30によって被覆された第2領域A2とを有している半導体基板11に、弗化水素酸と酸化剤と緩衝剤とを含有したエッチング剤を、触媒層30と金属層15に接するように供給して、触媒層30の位置で半導体基板11のエッチングを実施する。【選択図】図5

Description

本発明の実施形態は、エッチング方法、物品の製造方法、及びエッチング装置に関する。
半導体基板のチップへの個片化には、回転するブレードによりウエハを機械的に切断するブレードダイシングが一般的に用いられている。ブレードダイシングでは、半導体基板に複数のダイシング溝を順次形成して、半導体基板をチップへと個片化する。このため、ブレードダイシングには、チップサイズを小さくして、ダイシング溝の数を多くすると、溝の数に比例してダイシング時間が長くなるという問題がある。
ところで、近年、MacEtch(Metal-Assisted Chemical Etching)法が注目を集めている。MacEtch法では、例えば、半導体基板上に貴金属からなる不連続膜を形成し、この貴金属を触媒として用いてエッチングを行う。MacEtch法によれば、例えば、高アスペクト比の深い孔を半導体基板に形成することができる。
特開2004−259872号公報 特表2013−527103号公報 特開2011−101009号公報 米国特許第6790785号明細書 米国特許第8278191号明細書
本発明が解決しようとする課題は、金属層が設けられた半導体基板をMacEtch法によりエッチングするに際し、高い選択比で半導体をエッチング可能とすることにある。
第1側面によれば、貴金属以外の1以上の金属からなる金属層によって被覆された第1領域と、貴金属からなる触媒層によって被覆された第2領域とを有している半導体基板に、弗化水素酸と酸化剤と緩衝剤とを含有したエッチング剤を、前記エッチング剤が前記触媒層と前記金属層とに接するように供給して、前記触媒層の位置で前記半導体基板のエッチングを生じさせることを含んだエッチング方法が提供される。
第2側面によれば、第1及び第2領域を有している半導体基板の前記第1領域上に、貴金属以外の1以上の金属からなる金属層を形成することと、前記第2領域上に、貴金属からなる触媒層を形成することと、第1側面に係るエッチング方法により、前記触媒層の位置で前記半導体基板をエッチングすることとを含んだ物品の製造方法が提供される。
第3側面によれば、貴金属以外の1以上の金属からなる金属層によって被覆された第1領域と、貴金属からなる触媒層によって被覆された第2領域とを有している半導体基板を収容する反応容器と、前記反応容器に、弗化水素酸と酸化剤と緩衝剤とを含有したエッチング剤を供給する供給装置と、前記反応容器中の前記エッチング剤に、前記酸化剤及び前記緩衝剤の少なくとも一方を補充する補充装置と、前記反応容器内の前記エッチング剤において、前記酸化剤及び前記緩衝剤の少なくとも一方が不足した場合に、前記不足を補充するように前記補充装置の動作を制御するコントローラとを具備したエッチング装置が提供される。
実施形態に係る物品の製造方法において行う金属層形成工程を概略的に示す断面図。 実施形態に係る物品の製造方法において行う保護膜形成工程を概略的に示す断面図。 実施形態に係る物品の製造方法において行う触媒層形成工程を概略的に示す断面図。 実施形態に係る物品の製造方法において行うエッチング工程を概略的に示す断面図。 図4に示す状態から一定時間経過後の状態を概略的に示す断面図。 実施形態に係る物品の製造方法によって得られる構造の一例を概略的に示す断面図。 実施形態に係る物品の製造方法によって得られる構造の他の例を概略的に示す断面図。 実施形態に係るエッチング装置を概略的に示す図。 エッチング剤における弗素濃度と、アルミニウムに対するシリコンのエッチング選択比との関係の一例を示すグラフ。 緩衝剤の代わりに弗化カリウムを含んだエッチング剤を用いてエッチングを行った場合に得られる構造の一例を示す顕微鏡写真。 エッチング剤における弗素濃度とシリコンのエッチングレートとの関係の一例を示すグラフ。 エッチング剤における弗素濃度とアルミニウムのエッチングレートとの関係の一例を示すグラフ。 エッチング剤のpHとシリコンのエッチングレートとの関係の一例を示すグラフ。 エッチング剤のpHとアルミニウムのエッチングレートとの関係の一例を示すグラフ。 エッチング剤のpHと、アルミニウムに対するシリコンのエッチング選択比との関係の一例を示すグラフ。
以下、実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には全ての図面を通じて同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
実施形態に係る物品の製造方法として、半導体チップの製造方法について説明する。ここでは、エッチングを利用して、半導体基板を半導体チップへと個片化する。
この半導体チップの製造方法では、先ず、図1に示す半導体基板11を準備する。なお、図1において、参照符号A1、A2及びA3は、それぞれ、第1領域、第2領域及び第3領域を示している。
半導体基板11は、例えば、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ化ガリウム(GaAs)及び窒化ガリウム(GaN)などのIII族元素とV族元素との化合物からなる半導体、並びに炭化シリコン(SiC)から選択される材料からなる半導体ウエハである。一例によれば、半導体基板は、シリコンを含んでいる。なお、ここで使用する用語「族」は、短周期型周期表の「族」である。
半導体基板11には、不純物がドープされていてもよく、トランジスタやダイオードなどの半導体素子が形成されていてもよい。また、半導体基板11の主面は、半導体の何れの結晶面に対して平行であってもよい。
次に、半導体基板11の領域A1上に、金属層15を形成する。これにより、図1に示すウエハ10を得る。金属層15は、例えば、電極としての役割を果たす。
金属層15は、例えば、アルミニウム、銅、及びニッケルからなる群より選択される少なくとも1つからなる。一例によれば、金属層15はアルミニウムからなる。
金属層15は、例えば、既存の半導体プロセスによって形成することができる。金属層15は、例えば、スパッタリング法などの気相堆積法による成膜と、フォトリソグラフィによるマスクの形成と、エッチングによるパターニングとによって形成することができる。
次いで、半導体基板11の領域A3上に、マスク層20を形成する。
マスク層20と金属層15とは、第1部分と第2部分とを規定している。第1部分は、半導体基板11のうち金属層15及びマスク層20の何れかによって覆われた部分である。第2部分は、半導体基板11のうち金属層15又はマスク層20によって覆われていない部分、即ち、露出した部分である。ここで説明する方法では、半導体基板11を第2部分の位置で切断する。
マスク層20の材料としては、後述する触媒が付着するのを抑制できるものであれば、任意の材料を用いることができる。そのような材料としては、例えば、ポリイミド、弗素樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、及びノボラック樹脂などの有機材料や、酸化シリコンや窒化シリコンなどの無機材料が挙げられる。
マスク層20は、例えば、既存の半導体プロセスによって形成することができる。有機材料からなるマスク層20は、例えば、フォトリソグラフィによって形成することができる。無機材料からなるマスク層20は、例えば、気相堆積法による絶縁層の成膜と、フォトリソグラフィによるマスクの形成と、エッチングによる絶縁層のパターニングとによって形成することができる。或いは、無機材料からなるマスク層20は、半導体基板11の表面領域の酸化又は窒化と、フォトリソグラフィによるマスクの形成と、エッチングによる絶縁層のパターニングとによって形成することができる。
次いで、半導体基板11の領域A2上に、図3に示す触媒層30を形成する。
触媒層30は、貴金属からなる。触媒層30は、例えば、不連続層であって、貴金属から各々がなる複数の触媒粒子31の集合体である。触媒層30として不連続層を用いることで、連続膜からなる触媒層を用いた場合に比べて、後述するエッチング剤40が触媒層30と半導体基板11との間に浸入する経路を短くすることができ、加工均一性を向上させることができる。
触媒層30は、それと接している半導体の酸化反応を活性化させるために用いる。貴金属は、例えば、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、及びそれらの組み合わせから選択することができる。
触媒粒子31の形状は、球状が好ましい。触媒粒子31は、他の形状、例えば棒状又は板状であっても構わない。触媒粒子31の粒径は、第2部分12の幅よりも十分に小さければ、特に限定されない。触媒粒子31の粒径は、例えば、数十nm乃至数百nmの範囲内にあり、典型的には、50nm乃至200nmの範囲内にある。また、触媒層30の上面を走査電子顕微鏡(SEM)により10000倍乃至100000倍の倍率で観察した場合、触媒粒子31の合計面積が視野の面積に占める割合、即ち、被覆率は、例えば、50%乃至90%の範囲内にあり、典型的には、75%乃至85%の範囲内にある。
なお、ここで、「粒径」は、以下の方法により得られる値である。先ず、触媒層30の主面をSEMで撮影する。倍率は、10000倍乃至100000倍の範囲内とする。次に、画像の中から全体が見えている粒子31を選び、これら粒子31の各々について面積を求める。次いで、各粒子31が球形であると仮定し、先の面積から粒子31の直径を求める。この直径を、粒子31の粒径とする。
触媒層30は、例えば、電解めっき、還元めっき、又は置換めっきによって形成することができる。触媒層30は、貴金属粒子を含む分散液の塗布、又は、蒸着及びスパッタリング等の気相堆積法を用いてもよい。これら手法の中でも、置換めっきは、領域A2上に貴金属を直接的且つ一様に析出させることができるため特に好ましい。
置換めっきによる貴金属の析出には、例えば、テトラクロロ金(III)酸カリウム水溶液又は硝酸銀溶液を用いることができる。以下に、このプロセスの一例を説明する。
置換めっき液は、例えば、テトラクロロ金(III)酸カリウム水溶液と弗化水素酸との混合液である。弗化水素酸は、半導体基板11の表面の自然酸化膜を除去する作用を有している。
ウエハ10を置換めっき液中に浸漬させると、半導体基板11の表面の自然酸化膜が除去されるのに加え、半導体基板11の表面のうちマスク層20によって覆われていない領域に、貴金属、ここでは金が析出する。これにより、触媒層30が得られる。
置換めっき液中におけるテトラクロロ金(III)酸カリウムの濃度は、0.0001mol/L乃至0.01mol/Lの範囲内にあることが好ましい。また、置換めっき液中における弗化水素濃度は、0.1mol/L乃至6.5mol/Lの範囲内にあることが好ましい。
次に、MacEtch法によるエッチングを行う。具体的には、図4に示すように、金属層15とマスク層20と触媒層30とを形成した半導体基板11を、エッチング剤40に浸漬させる。エッチング剤40は、弗化水素酸と酸化剤とを含有したエッチング液である。エッチング剤40については、後で詳しく説明する。
このようなエッチング剤40を使用した場合、半導体基板11のうち触媒粒子31と近接している領域A2においてのみ半導体が酸化され、これによって生じた酸化物は弗化水素酸により溶解除去される。そのため、触媒粒子31と近接している部分のみが選択的にエッチングされる。触媒粒子31は、化学的に変化せず、エッチングの進行とともに下方へ移動し、そこで上記と同様のエッチングが行われる。その結果、図5に示すように、触媒粒子31の下方において、半導体基板11の上面に対して垂直な方向にエッチングが進む。このエッチングを更に進行させると、図6に示す半導体チップ10’が得られる。
なお、このエッチングは、第2部分の一部のみが除去された時点で停止してもよい。第2部分の一部を除去すると、この位置において半導体基板11の機械的強度が低下する。従って、例えば、この位置で半導体基板11を機械的手法によって切断した場合、半導体基板11を容易且つ高速に切断することができる。
また、ここでは、半導体基板の半導体チップへの個片化について説明したが、上述した技術は、図7に示すように、凹部Rを有する半導体装置10”の製造に利用することもできる。
上記の通り、エッチング剤40は、弗化水素酸と酸化剤とを含有している。
エッチング剤40における弗素イオンの濃度は、2.0mol/L乃至15mol/Lの範囲内にあることが好ましく、5mol/L乃至10mol/Lの範囲内にあることがより好ましく、7.5mol/L乃至10mol/Lの範囲内にあることが更に好ましい。弗素イオン濃度を高くすると、金属層15を構成している金属に対する、半導体基板11を構成している半導体のエッチング選択比が高くなる。なお、弗素イオン濃度に上限はないが、通常は、15mol/L以下である。
酸化剤は、例えば、過酸化水素、硝酸、AgNO3、KAuCl4、HAuCl4、K2PtCl6、H2PtCl6、Fe(NO33、Ni(NO32、Mg(NO32、Na228、K228、KMnO4、及びK2Cr27から選択することができる。有害な副生成物が発生せず、半導体素子の汚染も生じないことから、酸化剤としては過酸化水素が好ましい。
エッチング剤40における過酸化水素などの酸化剤の濃度は、0.01mol/L以上であることが好ましく、0.05mol/L以上であることがより好ましく、0.5mol/L以上であることが更に好ましい。この濃度が低い場合、高いエッチングレートを達成することが難しい。但し、この濃度が過剰に高い場合、過剰なサイドエッチングを生じる可能性がある。
このエッチング剤は、緩衝剤を更に含有している。緩衝剤は、エッチング剤のpHを高め、金属層15を構成している金属に対する、半導体基板11を構成している半導体のエッチング選択比を高める。
緩衝剤は、例えば、弗化アンモニウム及びアンモニアの少なくとも一方を含んでいる。一例によれば、緩衝剤は、弗化アンモニウムである。他の例によれば、緩衝剤は、弗化アンモニウムとアンモニアとの混合物である。
エッチング剤40における緩衝剤の濃度は、5.5mol/L乃至26mol/Lの範囲内にあることが好ましく、10mol/L乃至26mol/Lの範囲内にあることがより好ましく、13mol/L乃至17.5mol/Lの範囲内にあることが更に好ましい。緩衝剤濃度が低い場合、高いエッチング選択比を達成することが難しい。緩衝剤濃度が高い場合、高いエッチングレートを達成することが難しい。
緩衝剤が弗化アンモニウム及びアンモニアの少なくとも一方を含んでいる場合、エッチング剤40におけるアンモニウムイオン濃度MNH4+とエッチング剤40における弗素イオン濃度MFとの比MNH4+/MF-は、0.4乃至1.0の範囲内にあることが好ましく、0.6乃至0.99の範囲内にあることがより好ましく、0.7乃至0.9の範囲内にあることが更に好ましい。この比が小さい場合、高いエッチング選択比を達成することが難しい。この比が大きい場合、高いエッチングレートを達成することが難しい。
エッチング剤40のpHは、好ましくは2.5乃至5の範囲内にあり、より好ましくは3乃至5の範囲内にある。pHが低い場合、高いエッチング選択比を達成することが難しい。pHが高い場合、高いエッチングレートを達成することが難しい。
エッチング剤40は、上述した成分に加え、他の成分を更に含むことができる。
但し、エッチング剤40は、アルカリ金属濃度が十分に低いことが好ましい。アルカリ金属イオン濃度は、2mol/L未満であることが好ましい。エッチング剤40中のアルカリ金属は、MacEtch法によるエッチングを阻害する可能性がある。
以上の通り、上述した方法によると、金属層が設けられた半導体基板をMacEtch法によりエッチングするに際し、高い選択比で半導体をエッチングすることが可能となる。
次に、上述したMacEtch法によるエッチングに利用可能なエッチング装置について説明する。
図8は、実施形態に係るエッチング装置を概略的に示す図である。
このエッチング装置100は、反応容器110と、カセット(又はホルダ)120と、搬送装置(図示せず)と、供給装置130と、導管131と、補充装置140と、導管141と、バルブ150と、導管151と、センサ160と、コントローラ170とを含んでいる。
反応容器110は、反応容器110内にエッチング剤40及び補充液をそれぞれ供給するための第1及び第2供給口と、反応容器110内のエッチング剤40を外部へと排出するための排出口とを有している。また、反応容器110は、その上部に、カセット120を搬入及び搬出するための扉又は蓋を有している。
カセット120は、図3に示すウエハ10を、その触媒層30側の面が露出するように保持している。カセット120は、ウエハ10を1つのみ保持してもよく、複数のウエハ10を保持してもよい。なお、ウエハ10には、触媒層30側の面の裏面に、この面をエッチングから保護するために剥離シートを貼り付けておいてもよい。
搬送装置は、反応容器110の扉又は蓋の開閉と、カセットステーション(図示せず)から反応容器110内へのカセット120の搬入と、反応容器110からカセットステーションへのカセット120の搬出とを行う。
供給装置130は、導管131の一端に接続されている。導管131の他端は、反応容器110の第1供給口に接続されている。供給装置130は、導管131を介して、反応容器110にエッチング剤40を供給する。
補充装置140は、導管141の一端に接続されている。導管141の他端は、反応容器110の第2供給口に接続されている。補充装置140は、導管141を介して、反応容器110に、酸化剤及び緩衝剤の少なくとも一方を補充する。なお、ここでは、一例として、酸化剤は過酸化水素であるとする。
バルブ150は、導管151に取り付けられている。ここでは、バルブ150は電動バルブである。導管151の一端は、反応容器110の排出口に接続されている。導管151の他端は、反応容器110の外部と連絡している。例えば、導管151の他端は、廃液タンク(図示せず)に接続されている。
センサ160は、反応容器110内に設置されている。センサ160は、反応容器110に収容されたエッチング剤40の組成の変化又はこれに伴う性質の変化を検知する。センサ160は、例えば、エッチング剤40のpHを検知するpHセンサである。
コントローラ170は、搬送装置と供給装置130と補充装置140とバルブ150とセンサ160とに電気的に接続されている。コントローラ170は、これが記憶している情報及びオペレータの操作に伴って供給される信号の少なくとも一方と、センサ160が出力する信号とに基づいて、搬送装置、供給装置130、補充装置140及びバルブ150の動作を制御する。
具体的には、コントローラ170は、エッチングの開始時には、バルブ150が閉じ、続いて、供給装置130が規定量のエッチング剤40を反応容器110内へと供給するように、それらの動作を制御する。
次に、コントローラ170は、搬送装置が、反応容器110の扉又は蓋を開き、エッチング前のウエハ10を保持したカセット120をカセットステーションから反応容器110内へと搬入してエッチング剤40に浸漬させ、その後、反応容器110の扉又は蓋を閉じるように、その動作を制御する。そして、コントローラ170は、一定時間経過後、搬送装置が、反応容器110の扉又は蓋を開き、カセット120を反応容器110からカセットステーションへと搬出し、その後、反応容器110の扉又は蓋を閉じるように、その動作を制御する。
その後、コントローラ170は、バルブ150が開くように、その動作を制御する。これにより、使用済みのエッチング剤40を、反応容器110からその外部へと排出させる。以上のようにして、エッチングを終了する。
エッチング剤40中の過酸化水素は、エッチングの進行に伴って消費される。それ故、1回のエッチング処理の間に、エッチング剤40における過酸化水素の濃度が想定している下限値を下回り、所望のエッチングレートを達成できないことがある。
そこで、コントローラ170は、例えば、エッチングを開始してからの経過時間が予め定められた値に達したときに、補充装置140が反応容器110内のエッチング剤40へと過酸化水素を供給するように、その動作を制御する。補充する過酸化水素の量は、例えば、エッチングを開始してからの経過時間と過酸化水素の消費量との関係を予め調べておき、この消費量とほぼ等しい量又はそれよりも多い量とする。
エッチングの進行に伴って濃度の変化を生じるのは、過酸化水素だけではなく、緩衝剤も濃度に変化を生じ得る。また、過剰量の過酸化水素を補充した場合には、エッチング剤の組成が想定している範囲から外れる可能性がある。
そこで、コントローラ170は、過酸化水素の補充を行った場合に、センサ160からの出力に基づいて、反応容器110内のエッチング剤40への緩衝剤の補充の要否を判断する。例えば、センサ160がpHセンサである場合、エッチング剤40のpHが第1閾値以上であったときには、コントローラ170は、エッチング剤40への緩衝剤の補充は不要であると判断する。そして、エッチング剤40のpHが第1閾値未満であったときには、コントローラ170は、エッチング剤40への緩衝剤の補充が必要であると判断し、補充装置140がエッチング剤40への緩衝剤の補充を開始するように、その動作を制御する。エッチング剤40のpHが第1閾値よりも高い第2閾値に達すると、コントローラ170は、緩衝剤の更なる補充は不要であると判断し、補充装置140がエッチング剤40への緩衝剤の補充を停止するように、その動作を制御する。
なお、過酸化水素及び緩衝剤の補充の各々は、1回のエッチングにおいて、1回のみ行ってもよく、複数回行ってもよい。
以上から明らかなように、このエッチング装置100によると、高いエッチング選択比を実現できるのに加え、エッチングに要する時間を短縮することができる。また、エッチング剤40の組成の変動がエッチングの進行に及ぼす影響を最小化できるため、高い歩留まりを達成できる。
以下に、試験例を記載する。
(試験1)
シリコン基板上に金粒子からなる触媒層を形成したサンプルを準備した。以下、このサンプルを、「サンプルA」と呼ぶ。また、シリコン基板上にスパッタリング法によりアルミニウム層を形成したサンプルを準備した。以下、このサンプルを、「サンプルB」と呼ぶ。
次に、エッチング剤を調製した。具体的には、バッファード弗酸と過酸化水素水とを混合した。バッファード弗酸としては、弗化水素と弗化アンモニウムとを3.6:8.2のモル比で含有しているものを使用した。エッチング剤における過酸化水素の濃度は0.5mol/Lとした。エッチング剤としては、弗素イオン濃度が異なる4種の溶液を調製した。
次いで、これらエッチング剤の各々にサンプルA及びBを浸漬させて、シリコンのエッチングレートとアルミニウムのエッチングレートとを調べた。そして、これらエッチングレートから、アルミニウムに対するシリコンのエッチング選択比を求めた。
また、弗化水素酸と過酸化水素水とを混合して、エッチング剤を調製した。エッチング剤における過酸化水素の濃度は0.5mol/Lとした。エッチング剤としては、弗素イオン濃度が異なる3種の溶液を調製した。
次いで、これらエッチング剤の各々にサンプルA及びBを浸漬させて、シリコンのエッチングレートとアルミニウムのエッチングレートとを調べた。そして、これらエッチングレートから、アルミニウムに対するシリコンのエッチング選択比を求めた。
これらの結果を図9に示す。
図9において、横軸は弗素イオン濃度を表し、縦軸はエッチング選択比を表している。また、図9において、「BHF」はバッファード弗酸を用いて調製したエッチング剤を使用した場合に得られたデータを示し、「HF」は弗化水素酸を用いて調製したエッチング剤を使用した場合に得られたデータを示している。
図9に示すように、バッファード弗酸を用いて調製したエッチング剤を使用した場合、弗化水素酸を用いて調製したエッチング剤を使用した場合と比較して、遥かに高いエッチング選択比を達成することができた。また、バッファード弗酸を用いて調製したエッチング剤を使用した場合、弗素イオン濃度を高くするほど、エッチング選択比は高くなった。
(試験2)
図3に示すウエハ10を準備した。ここでは、半導体基板11としてシリコン基板を使用した。マスク層20は、フォトレジストを用いて形成した。マスク層20には、幅が20μmの直線状の開口部を設けた。触媒層30は、マスク層20の開口部の位置に形成した。触媒層30の材料としては金を使用した。なお、金属層15は省略した。
フッ化水素酸と弗化カリウム水溶液と過酸化水素水とを混合して、エッチング剤を調製した。このエッチング剤は、弗化水素濃度が20mol/Lであり、弗化カリウム濃度が7.5mol/Lであり、過酸化水素濃度が0.5mol/Lであった。なお、このエッチング剤のpHは2.1であった。
次いで、このエッチング剤に、上記のウエハ10を十分な時間に亘って浸漬させた。そして、エッチングの進行状況を調べた。
図10は、緩衝剤の代わりに弗化カリウムを含んだエッチング剤を用いてエッチングを行った場合に得られる構造の一例を示す電子顕微鏡写真である。図10に示すように、緩衝剤の代わりに弗化カリウムを含んだエッチング剤を用いた場合、シリコンのエッチングは殆ど進行しなかった。
(試験3)
バッファード弗酸と過酸化水素水とを混合して、エッチング剤を調製した。バッファード弗酸としては、弗化水素と弗化アンモニウムとを3.6:8.2のモル比で含有しているものを使用した。エッチング剤としては、弗素イオン濃度及び過酸化水素濃度が異なる9種の溶液を調製した。
次いで、これらエッチング剤の各々に上記のサンプルA及びBを浸漬させて、シリコンのエッチングレートとアルミニウムのエッチングレートとを調べた。結果を図11及び図12に示す。
図11において、横軸はエッチング剤における弗素イオン濃度を表し、縦軸はシリコンのエッチングレートを表している。図12において、横軸はエッチング剤における弗素イオン濃度を表し、縦軸はアルミニウムのエッチングレートを表している。そして、図11及び図12において、「H2O2_0.05」、「H2O2_0.5」及び「H2O2_1.0」は、それぞれ、エッチング剤における過酸化水素濃度が0.05mol/L、0.5mol/L及び1.0mol/Lであることを表している。
図11及び図12に示すように、弗素イオン濃度を高めた場合、シリコンのエッチングレートは高くなるか又は僅かに低くなったのに対し、アルミニウムのエッチングレートは大幅に低下した。以上から、弗素イオン濃度を高めると、エッチング選択比が高まることが分かる。特に、過酸化水素濃度が0.5mol/L以上の場合には、弗素イオン濃度を高めると、シリコンのエッチングレートも高まった。
(試験4)
バッファード弗酸と過酸化水素水とを混合して、5種のエッチング剤E1乃至E5を調製した。これらエッチング剤の組成は、以下の表に示す通りとした。
次いで、これらエッチング剤の各々に上記のサンプルA及びBを浸漬させて、シリコンのエッチングレートとアルミニウムのエッチングレートとを調べた。そして、これらエッチングレートから、アルミニウムに対するシリコンのエッチング選択比を求めた。結果を、以下の表及び図13乃至図15に示す。
図13において、横軸はエッチング剤のpHを表し、縦軸はシリコンのエッチングレートを表している。図14において、横軸はエッチング剤のpHを表し、縦軸はアルミニウムのエッチングレートを表している。図15において、横軸はエッチング剤のpHを表し、縦軸はエッチング選択比を表している。
図13及び図14に示すように、エッチング剤のpHを高くすると、シリコンのエッチングレート及びアルミニウムのエッチングレートの双方が低下した。エッチング剤のpHに対するシリコンのエッチングレートの変化は直線で近似できるのに対し、エッチング剤のpHに対するアルミニウムのエッチングレートの変化は二次曲線で近似できる。その結果、図15に示すように、pHに対するエッチング選択比の変化の傾きは、pHが3.5未満では大きく、pHが3.5以上では小さかった。
また、図15に示すように、pHを2.5以上とした場合、特にはpHを3以上とした場合には、非常に高いエッチング選択比を達成できた。
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
10…ウエハ;10’…半導体チップ;10”…半導体装置;11…半導体基板;15…金属層;20…マスク層;30…触媒層;31…触媒粒子;40…エッチング剤;100…エッチング装置;110…反応容器;120…カセット;130…供給装置;131…導管;140…補充装置;141…導管;150…バルブ;151…導管;160…センサ;170…コントローラ;A1…第1領域;A2…第2領域;A3…第3領域;R…凹部。

Claims (12)

  1. 貴金属以外の1以上の金属からなる金属層によって被覆された第1領域と、貴金属からなる触媒層によって被覆された第2領域とを有している半導体基板に、弗化水素酸と酸化剤と緩衝剤とを含有したエッチング剤を、前記エッチング剤が前記触媒層と前記金属層とに接するように供給して、前記触媒層の位置で前記半導体基板のエッチングを生じさせることを含んだエッチング方法。
  2. 前記酸化剤は、過酸化水素、硝酸、AgNO3、KAuCl4、HAuCl4、K2PtCl6、H2PtCl6、Fe(NO33、Ni(NO32、Mg(NO32、Na228、K228、KMnO4、及びK2Cr27の少なくとも1つを含んだ請求項1に記載のエッチング方法。
  3. 前記緩衝剤は、弗化アンモニウム及びアンモニアの少なくとも一方を含んだ請求項1に記載のエッチング方法。
  4. 前記緩衝剤は弗化アンモニウムを含んだ請求項1に記載のエッチング方法。
  5. 前記金属層は、アルミニウム、銅、及びニッケルからなる群より選択される少なくとも1つからなる請求項1又は2に記載のエッチング方法。
  6. 前記金属層はアルミニウムからなる請求項1又は2に記載のエッチング方法。
  7. 前記半導体基板は、シリコンを含んだ材料からなる請求項1乃至4の何れか1項に記載のエッチング方法。
  8. 前記エッチング剤のpHは2.5乃至5の範囲内にある請求項1乃至5の何れか1項に記載のエッチング方法。
  9. 前記エッチング剤のpHは3乃至5の範囲内にある請求項1乃至5の何れか1項に記載のエッチング方法。
  10. 前記エッチング剤における前記酸化剤の濃度は0.5mol/L以上である請求項1乃至7の何れか1項に記載のエッチング方法。
  11. 第1及び第2領域を有している半導体基板の前記第1領域上に、貴金属以外の1以上の金属からなる金属層を形成することと、
    前記第2領域上に、貴金属からなる触媒層を形成することと、
    請求項1乃至8の何れか1項に記載のエッチング方法により、前記触媒層の位置で前記半導体基板をエッチングすることとを含んだ物品の製造方法。
  12. 貴金属以外の1以上の金属からなる金属層によって被覆された第1領域と、貴金属からなる触媒層によって被覆された第2領域とを有している半導体基板を収容する反応容器と、
    前記反応容器に、弗化水素酸と酸化剤と緩衝剤とを含有したエッチング剤を供給する供給装置と、
    前記反応容器中の前記エッチング剤に、前記酸化剤及び前記緩衝剤の少なくとも一方を補充する補充装置と、
    前記反応容器内の前記エッチング剤において、前記酸化剤及び前記緩衝剤の少なくとも一方が不足した場合に、前記不足を補充するように前記補充装置の動作を制御するコントローラとを具備したエッチング装置。
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