以下、図面を参照して、本発明の様々な実施形態に係る、管継手及び管継手の製造方法を説明する。
図1中、符号1は、本発明の一実施形態に係る管継手である。本実施形態では、管継手1は、一部を除いたその他の構成部品が全て、樹脂材料からなる。管継手1は、例えば、樹脂製の給水パイプが接続される止水栓として使用することができる。
符号10は、筒状の圧入部材である。圧入部材10は、第1軸O1を中心軸かつ延在軸として、第1軸O1に沿って延びている。本実施形態では、圧入部材10は、キャップを構成している。また本実施形態では、圧入部材10は、樹脂で構成されている。図2に示すように、圧入部材10の内周面には、第1の軸O1を取り囲むように、環状の係止溝11が形成されている。
符号20は、圧入部材10の内側に圧入されていると共に圧入部材10の延在軸と同軸の第1軸に沿って延びている被圧入部30を備える第1延在部21と、第1軸O1とは異なる第2軸O2を中心軸かつ延在軸として、第2軸O2に沿って第1延在部21の被圧入部30とは反対向きに延びている第2延在部22と、を備えた、本体部材である。本実施形態では、本体部材20は、樹脂で構成されている。
また、本実施形態では、被圧入部30と反対側の、第1延在部21の端部が中間部23と繋がることにより、第1延在部21の被圧入部30が本体部材20の一端部を形成しており、また、第2延在部22の一端部が中間部23に繋がることにより、第2延在部22の他端部が本体部材20の他端部(後述の端部22a)を形成している。
本実施形態では、本体部材20の、第1軸O1と第2軸O2とは、互いに平行な異なる軸である。本実施形態では、第1延在部21に形成された内部通路P1と、第2延在部22に形成された内部通路P2と、は、中間部23に形成された内部通路P3を介して連通している。
また、本実施形態では、第1延在部21は、圧入部材10の内側に配置された小径部21aと、小径部21aに繋がる大径部21bとを備えている。大径部21bは、中間部23を介して第2延在部22に繋がっている。第1延在部21の被圧入部30は、第1の軸O1に沿って延びている。本実施形態では、被圧入部30は、本体部材20と別部材の、本体カバーとして構成されている。第1延在部21の小径部21aは、被圧入部30の内側に圧入されている。本実施形態では、被圧入部30は、第1延在部21の小径部21aに押し込んで引っ掛かることによって抜け止めされている。また、本実施形態では、被圧入部30は、透明な樹脂で構成されている。
本体部材20の被圧入部30は、圧入部材10の内側に圧入されている。図2に示すように、被圧入部30の外周面には、第1の軸O1を取り囲むように、環状の係止突起31が形成されている。被圧入部30に形成された係止突起31は、圧入部材10と被圧入部30とを第1軸O1に沿って互いに近接する方向に押し込むことによって、圧入部材10に形成された係止溝11に引っ掛かって抜け止めされている。
図2中、符号40は、内部通路P3に配置されたコマパッキン(円盤状シール部材の中心にシャフトを設けたもの)であり、符号41は、コマパッキン40と共に、内部通路P3に配置されたスピンドルである。スピンドル41は、樹脂で構成されている。スピンドル41は、Oリング42を介して内部通路P3内に液体密で封止されている。また、スピンドル41は、コマパッキン40と共に、本体部材20に取り付けられたスピンドルカバー43によって内部通路P3内に収納されている。
図2中、符号50は、ステンレス鋼等の金属で構成されたロック爪である。ロック爪50は、圧入部材10と被圧入部30との間に配置されている。図3に示すように、ロック爪50は、第1軸O1の周りに並んで配置されている。図2に示すように、ロック爪50は、本体部材20の第1延在部21の小径部21aとの間に、パイプ等を挿入するための環状の隙間を形成している。ロック爪50は、本体部材20の第1延在部21の小径部21aとの間に挿入されたパイプ等に引っ掛かって、当該パイプ等を抜け止めする。
符号60は、樹脂で構成された解放リングである。図2に示すように、解放リング60は、圧入部材10の内周面に対して、第1軸O1に沿ってスライド可能に保持されている。解放リング60は、本体部材20の第1延在部21の小径部21aとの間に、パイプ等を挿入するための環状の隙間を形成している。解放リング60は、第1軸O1に沿って押し込まれることでロック爪50を押圧し、パイプ等に対するロック爪50の引っ掛かりを解除することができる。
図2中、符号44は、本体部材20の第1延在部21の小径部21aの外周面に取り付けられたOリングである。Oリング44は、本体部材20の第1延在部21の小径部21aと、被圧入部30、ロック爪50及び解放リング60と、の間に接続されたパイプ等の内周面を流体密に封止する。
更に、図4に示すように、本体部材20は、第2延在部22の側面であって、第1軸と交わらない領域の前記側面に、第1軸O1に沿って加わる力(第1の軸O1に対して平行な力)を受ける受圧部24を備える。
本実施形態では、受圧部24は、本体部材20の第2延在部22の側面であって、第1軸と交わらない領域の前記側面に備えられている。詳細には、受圧部24は、本体部材20の第2延在部22の側面に一体に設けられた突起として形成されている。従って、受圧部24は、本体部材20と同材質の樹脂で構成されている。
本実施形態では、図4に示すように、受圧部24は、第2の軸O2に沿って延びていると共に、本体部材20の第2延在部22の直径よりも幅が薄いリブ形状の突起として形作られている。更に、本実施形態では、受圧部24は、第1軸O1を法線とする平面f1を有している。本実施形態では、受圧部24は、平面f1において、第1軸O1に沿う力を受けることができる。
本実施形態では、本体部材20は、第1延在部21の被圧入部30が第1軸O1に沿って延びているのに対し、第2延在部22が第1軸O1と異なる第2軸O2に沿って延びている。具体的には、本体部材20は、第2延在部22の第2軸O2が被圧入部30の第1軸O1に対して平行にずれている。このため、本体部材20は、圧入部材10の内側に被圧入部30を圧入するときに、例えば、単に、本体部材20の端部22aを受圧部として、当該端部22aを第2軸O2に沿って押圧すると、第1軸O1と第2軸O2との間のずれに基づく回転モーメントに起因して回転力が生じるため、圧入部材10とのバランスが悪い。また、本体部材20の端部22aに圧入部材10に向かう方向の力(図2の右方向に向かう力)を加えることにより、圧入部材10の内側に被圧入部30を圧入しようすると、第2延在部22の端部22aから加わる力が第1延在部21を通して被圧入部30にうまく伝わらないため、組み立てが困難であった。
これに対し、本実施形態に係る管継手1は、本体部材20の第2延在部22の側面であって、第1軸O1と交わらない領域の前記側面に、受圧部24が設けられていることにより、本体部材20の端部22a及び受圧部24の二箇所が受圧部として機能することで、本体部材20の第2延在部22に伝わる力の中心軸が第1軸O1に一致するようにセンタリングを行う。このため、本体部材20の第2延在部22の方から第1延在部21に伝わる力が、第2延在部22の第2軸O2よりも、被圧入部30の第1軸O1に近い場所に作用することになる。また、本体部材20の被圧入部30が圧入部材10に対して多少傾いた状態で仮組みされた場合でも、圧入部材10を介して被圧入部30に入力される力の入力方向が第1軸O1に対して傾斜しても受圧部24によって受圧することができる。
このため、本実施形態に係る管継手1のように、本体部材20の第2延在部22の第2軸O2が被圧入部30の第1軸O1に対して平行にずれていても、圧入部材10の内側に本体部材20の被圧入部30を圧入するときに、圧入部材10と本体部材20とのバランスが悪くなることがない。また、受圧部24を通して本体部材20に加わる力は、第1延在部21を通して被圧入部30に効果的に伝わる。
従って、本実施形態に係る管継手1によれば、第1軸O1に沿って延びる被圧入部30を備えた第1延在部21と、第1軸O1とは異なる第2軸O2に沿って延びる第2延在部22と、を備える本体部材20の被圧入部30を、筒状の圧入部材10の内側に容易に圧入することができる。
また、本実施形態に係る管継手1によれば、第1軸O1と第2軸O1とが互いに平行な異なる軸となるような、特定形状の本体部材20の被圧入部30も、圧入部材10の内側に容易に圧入することができる。
次に、図1〜4と併せて図5を参照しつつ、管継手1の組立てを例として、本発明の一実施形態に係る、管継手1の製造方法を説明する。
本実施形態に係る、管継手1の製造方法では先ず、同軸配置ステップを実行する。同軸配置ステップでは、図5に示すように、圧入部材10の延在軸と、本体部材20の被圧入部30の第1軸O1とが同軸になるように、圧入部材10と本体部材20とを配置する。本実施形態では、圧入部材10の延在軸は、第1軸O1と同軸である。
本実施形態に係る同軸配置ステップでは先ず、圧入部材10をベース面101上に配置する。本実施形態では、圧入部材10は、圧入部材10の延在軸(第1軸O1)に沿って間隔を置いて配置された2つの端面を有し、当該2つの端面のうち、本体部材20の被圧入部30が圧入される側の端面を上向きにしてベース面101上に配置される。このとき、ロック爪50及び解放リング60は、圧入部材10の内側に予め取り付けておくことが好ましいが、圧入部材10の内側に載せ置くだけで仮組みしておくことも可能である。また、ベース面101は、圧入部材10をベース101上に乗せ置いたときに、圧入部材10の延在軸(第1軸O1)がベース面101の法線と一致するような面であることが好ましい。
更に、本実施形態に係る同軸配置ステップでは、圧入部材10の上方から、予め被圧入部30が圧入された本体部材20を、圧入部材10の延在軸と被圧入部30の第1軸O1とが同軸となるように載せ置く。このとき、本体部材20は、圧入部材10の延在軸と被圧入部30の第1軸O1とを完全に一致させることが好ましいが、ここでは、完全に一致させる必要はなく、多少の誤差をもって載せ置く程度でよい。
次に、本実施形態に係る、管継手1の製造方法では、押圧ステップを実行する。押圧ステップでは、圧入部材10と本体部材20とが互いに近接する方向に、圧入部材10と本体部材20の受圧部24とを押圧する。
本実施形態に係る押圧ステップでは、前記押圧は、本体部材20の受圧部24を押圧する冶具102を用いて行われる。図5に示すように、冶具102は、本体部材20の受圧部24を押圧する受圧部102aを有している。本実施形態では、受圧部102aは、本体部材20の第2延在部22を取り囲む周壁として形成されている。受圧部102aには、本体部材20の受圧部24に接触する環状の端面f3が形成されている。また、本実施形態では、冶具102は更に、本体部材20の第2延在部22を押圧する受圧部102bを有している。本実施形態では、受圧部102bは、冶具102の受圧部102aの端面f3と反対の他方の端面の開口を閉じる仕切壁として形成されている。受圧部102bには、本体部材20の端部22aに接触する平面f4が形成されている。また、本実施形態では、本体部材20の端部22aは平面f2を有し、受圧部102bの平面f4と接触する。
また、本実施形態に係る冶具102は、受圧部102aの内側に受圧部102bで閉じられた凹部C1が形成されている。凹部C1は、本体部材20の第2延在部22に冶具102を被せたとき、本体部材20の第2延在部22を収容する。このとき、図5に示すように、冶具102の受圧部102aの端面f3が本体部材20の受圧部24の平面f1に接触すると共に、冶具102の受圧部102bの平面f4が本体部材20の第2延在部22の端面f2に接触する。
本実施形態に係る押圧ステップでは、同軸配置ステップの後、まず本体部材20の第2延在部22に冶具102を被せる。本体部材20の第2延在部22に冶具102を被せると、冶具102の受圧部102aの端面f3が本体部材20の受圧部24の平面f1に接触すると共に、冶具102の受圧部102bの平面f4が本体部材20の第2延在部22の端面f2に接触する。次いで、本体部材20の第2管部22に被せた冶具102をベース面101に向かって押圧する。
本実施形態に係る押圧ステップでは、押圧片103を用いることにより、冶具102をベース面101に向かって押圧する。冶具102を押圧片103で押圧すれば、圧入部材10と本体部材20とを第1軸O1に沿って互いに近接する方向に押圧することができる。このとき、図5に示すように、押圧片103から冶具102を経て本体部材20の第1延在部21に伝わる力の中心は、第2延在部22の第2軸O2よりも、被圧入部30の第1軸O1に近い場所に作用することになる。
このため、本実施形態に係る、管継手の製造方法では、管継手1のように、本体部材20の第2延在部22の第2軸O2が被圧入部30の第1軸O1に対して平行にずれていても、圧入部材10の内側に本体部材20の被圧入部30を圧入するときに、圧入部材10と本体部材20とのバランスが悪くなることがない。また、本体部材20の受圧部24及び端部22aを通して本体部材20に加わる力は、第1延在部21を通して被圧入部30に効果的に伝わる。
従って、本実施形態に係る、管継手1の製造方法によれば、第1軸O1に沿って延びる被圧入部30を備えた第1延在部21と、第1軸O1とは異なる第2軸O2に沿って延びる第2延在部22と、を備える本体部材20の被圧入部30を、筒状の圧入部材10の内側に容易に圧入することができる。
特に、本実施形態に係る、管継手1の製造方法のように、押圧ステップにおいて、前記押圧を、本体部材20の受圧部24を押圧する冶具102を用いて行えば、本体部材20の被圧入部30を圧入部材10の内側に、より容易に取り付けることができる。
また、本実施形態に係る、管継手1の製造方法によれば、同実施形態の管継手1のように、第1軸O1と第2軸O1とが互いに平行な異なる軸となるような、特定形状の本体部材20の被圧入部30も、圧入部材10の内側に容易に圧入することができる。
次いで、図6中、符号2は、本発明の他の実施形態に係る管継手である。本実施形態では、管継手2は、本体部材70がエルボ管で構成されている。以下、管継手1と実質的に同一の部分は、同一の符号をもって、その説明を省略する。
本体部材70は、圧入部材10の内側に圧入されていると共に圧入部材10の延在軸と同軸の第1軸O1に沿って延びている被圧入部30を備える第1延在部71と、圧入部材10の内側に圧入されていると共に圧入部材10の延在軸と同軸の第2軸O2に沿って延びている被圧入部30を備える第2延在部72と、を備えている。本実施形態では、本体部材70は、樹脂で構成されている。
本実施形態では、第2延在部72は、第1軸O1とは異なる第2軸O2に沿って第1延在部71の被圧入部30とは反対向きに延びている。また、本実施形態では、被圧入部30と反対側の、第1延在部71の端部が中間部73と繋がることにより、第1延在部71の被圧入部30が本体部材70の一端部を形成しており、また、第2延在部72の一端部が中間部73に繋がることにより、第2延在部72の被圧入部30が本体部材70の他端部を形成している。本実施形態では、中間部73は、エルボを構成している。
本実施形態では、本体部材70の、第1軸O1と第2軸O2とは、互いに交差する異なる軸である。また、本実施形態では、第1延在部71及び第2延在部72は、第1延在部21と実質的に同一の構成であり、第1延在部71と第2延在部72とは、角度θだけ傾斜している。このため、本実施形態では、第1延在部71に形成された内部通路P1と、第2延在部72に形成された内部通路P2と、は、中間部73に形成された内部通路(図示省略)を介して連通している。なお、本実施形態では、本体部材70の被圧入部30は、第1延在部71と第2延在部72とのそれぞれに、一体に形成されている。
図6に示すように、本実施形態では、本体部材70は、第1延在部71の側面であって、第1軸と交わらない領域の側面に、第1軸O1に沿って加わる力を受ける受圧部74を備えている。また、本体部材70は、第2延在部72の側面であって、第2軸と交わらない領域の側面に、第2軸O2に沿って加わる力を受ける受圧部75を備えている。
本実施形態では、受圧部74は、第1延在部71に一体に設けられた突起に形成されている。また、受圧部75は、第2延在部72に一体に設けられた突起に形成されている。従って、受圧部74及び受圧部75はそれぞれ、本体部材70と同材質の樹脂で構成されている。
更に本実施形態では、受圧部74は、第1延在部71の第1軸O1を取り囲むにように第1延在部71の側面に形成された環状の突起である。また、突起75は、第2延在部72の第2軸O2を取り囲むにように第2延在部72の側面面に形成された環状の突起である。更に、本実施形態では、受圧部74は、第1軸O1を法線とする環状の平面f5を有している。また、受圧部75は、第2軸O2を法線とする環状の平面f6を有している。本実施形態では、受圧部74は、平面f5において、第1軸O1に沿う力を受けることができる。また、本実施形態では、受圧部75は、平面f6において、第2軸O2に沿う力を受けることができる。
本実施形態に係る管継手2では、例えば、圧入部材10aの内側に本体部材70の被圧入部30を圧入する場合、第1延在部71の側面であって、第1軸O1と交わらない領域の側面に受圧部74が設けられていることにより、受圧部74に第1軸O1に沿った力を加えれば、本体部材70の第2延在部72に力を加えることなく、本体部材70の第1延在部71の被圧入部30をそのまま、第1軸O1に沿って、圧入部材10aに向かって押し込むことができる。圧入部材10bの内側に本体部材70の第2延在部72の被圧入部30を圧入する場合も同様であり、第2延在部72の側面であって、第2軸O2と交わらない領域の側面に受圧部75が設けられていることにより、受圧部75に第2軸O2に沿った力を加えれば、本体部材70の第1延在部71に力を加えることなく、本体部材70の第2延在部72の被圧入部30をそのまま、第2軸O2に沿って、圧入部材10bに向かって押し込むことができる。
このため、本実施形態に係る管継手2のように、本体部材70の第2延在部72の第2軸O2が第1延在部71の第1軸O1に対して湾曲することよりずれていても、圧入部材10aの内側に第1延在部71の被圧入部30を圧入するときに、圧入部材10aと本体部材70とのバランスが悪くなることがない。また、受圧部74を通して本体部材70に加わる力は、第1軸O1に沿って第1延在部71の被圧入部30に効率的に伝わる。圧入部材10bの内側に第2延在部72の被圧入部30を圧入するときも同様である。圧入部材10bの内側に第2延在部72の被圧入部30を圧入するときに、受圧部25を用いて押し込めば、圧入部材10bと本体部材70とのバランスが悪くなることがない。また、受圧部75を通して本体部材70に加わる力は、第2軸O2に沿って第2延在部72の被圧入部30に効率的に伝わる。
従って、本実施形態に係る管継手2によれば、第1軸O1に沿って延びる被圧入部30を備えた第1延在部71と、第1軸O1とは異なる第2軸O2に沿って延びる被圧入部30を備えた第2延在部72と、を備える本体部材70の被圧入部30を、それぞれ、筒状の圧入部材10a及び10bのそれぞれの内側に容易に圧入することができる。
また、本実施形態に係る管継手2によれば、第1軸O1と第2軸O2とが互いに交差する異なる軸となるような、特定形状の本体部材70も、圧入部材10の内側に容易に圧入することができる。
次に、図5及び図6と併せて図7及び8を参照しつつ、管継手2の組立てを例として、本発明の他の実施形態に係る、管継手2の製造方法を説明する。ここでは、圧入部材10aに本体部材70の第1延在部71の被圧入部30を圧入する場合を例にとる。なお、以下の説明では、図7及び8に示す圧入部材10a及び10bは、本実施形態に係る、管継手2の製造方法の実施当初は、図面上存在しないものとし、本体部材70のみであると仮定して説明する。また、図5では、圧入部材10、被圧入部30、ロック爪50、解放リング60及びベース面101のみを用いて説明を行う。
本実施形態に係る同軸配置ステップでは先ず、図5を引用して説明するように、先の実施形態に係る、管継手1の製造方法と同様、圧入部材10aのみをベース面101上に配置する。圧入部材10aは、本体部材70が圧入される側の圧入部材10aの端面を上向きにしてベース面101上に配置される。このとき、ロック爪50及び解放リング60は、圧入部材10aの内側に予め取り付けておくことが好ましいが、圧入部材10aの内側に載せ置くだけで仮組みしておくことも可能である。
また、本実施形態に係る同軸配置ステップでは、圧入部材10aの上方から、被圧入部30を備える本体部材70を、圧入部材10aの延在軸と本体部材70の第1延在部71の被圧入部30の第1軸O1とが同軸となるように載せ置く。このとき、本体部材70は、圧入部材10aの延在軸と被圧入部30の第1軸O1とを完全に一致させることが好ましいが、ここでは、完全に一致させる必要はなく、多少の誤差をもって載せ置く程度でよい。
圧入部材10aをベース面101に載せ置くことに前後して、本実施形態に係る、管継手2の製造方法では、図7及び8に示すように、冶具105を用いて、圧入部材10aの延在軸と、本体部材70の第1延在部71の被圧入部30の第1軸O1とが同軸になるように、圧入部材10と本体部材70とを配置する。
図8に示すように、冶具105は、本体部材70の受圧部74及び75を押圧する受圧部105aを有している。本実施形態では、受圧部105aは、平板形状の板壁で形作られている。図7に示すように、受圧部105aは、本体部材70を通す切り欠き部C2を有し、切り欠き部C2を除いた板壁が受圧部105aとして形成されている。本実施形態では、受圧部105aは、切り欠き部C2に本体部材70の第1延在部71又は第2延在部72を挿入したとき、本体部材70の受圧部74の平面f5又は受圧部75の平面f6に接触する平面f7を有している。
また、本実施形態に係る冶具105は、受圧部105aの平面f7と反対側の面に、周壁105bを有している。周壁105bは、受圧部105aの切り欠き部C2に、本体部材70の第1延長部71又は第2延長部72を挿入したとき、第1延長部71又は第2延長部72を取り囲むように配置されている。図8に示すように、本実施形態では、周壁105bは、切り欠き部C2の側を開放することで、本体部材70の第1延在部71の一部及び第2延在部72を圧入部材10bと共に収納し、又は、本体部材70の第2延在部72の一部及び第1延在部71を圧入部材10aに収納することができる。
更に、本実施形態に係る冶具105は、周壁105bの一方の端面(受圧部105aと結合する端面)と反対の他方の端面に仕切壁105cを有している。仕切壁105cは、周壁105bの他方の開口を閉じると共に、少なくとも、受圧部105aの切り欠き部C2に、本体部材70の第1延長部71又は第2延長部72を挿入したとき、本体部材70に圧入された圧入部材10b又は10aと接触しない形状である。本実施形態では、仕切壁105cは、平板形状の板壁であり、周壁105bの高さを確保することにより、本体部材70に圧入させた圧入部材10a又は10bと接触することがない。
本実施形態に係る同軸配置ステップにおいて、冶具105に本体部材70を配置するには先ず、図7の矢印に示すように、冶具105の切り欠き部C2に、本体部材70の第1延在部71の一部及び第2延在部72を挿入する。冶具105の切り欠き部C2に本体部材70を挿入すると、本体部材70の受圧部74が冶具105の受圧部105aに引っ掛かる。
次いで、図8に示すように、本体部材70を冶具105ごと逆さまにして、本体部材70の第1延在部71を下に向けた後、圧入部材10aの上方から、圧入部材10aの延在軸と本体部材70の第1延在部71の第1軸O1とが同軸となるように載せ置く。このとき、本体部材70は、圧入部材10aの延在軸と本体部材70の第1延在部71の第1軸O1とを完全に一致させることが好ましいが、ここでは、完全に一致させる必要はなく、多少の誤差をもって載せ置く程度でよい。
次に、本実施形態に係る、管継手2の製造方法では、押圧ステップを実行する。押圧ステップでは、圧入部材10と本体部材70とが互いに近接する方向に、圧入部材10と本体部材70の受圧部74とを押圧する。
本実施形態に係る押圧ステップでは、前記押圧は、本体部材70の受圧部74を押圧する冶具105を用いて行われる。図8に示すように、冶具105は、本体部材70の一部を切り欠きC2に挿入して逆さまにすると、受圧部105aの平面f7が本体部材70の受圧部74の平面f5に接触する。次いで、冶具105をベース面101上の圧入部材10に向かって押圧する。本実施形態では、押圧片103を用いて仕切壁105cを押圧することにより、冶具105をベース面101上の圧入部材10に向かって押圧する。
本実施形態では、第1延在部71の側面であって、第1軸O1と交わらない領域の側面に受圧部74が設けられていることにより、受圧部74に第1軸O1に沿った力を加えれば、本体部材70の第2延在部72に力を加えることなく、本体部材70の第1延在部71の被圧入部30をそのまま、第1軸O1に沿って、圧入部材10aに向かって押し込むことができる。
圧入部材10bの内側に本体部材70の第2延在部72の被圧入部30を圧入する場合も、同様である。まず同軸配置ステップとして、冶具105の切り欠き2cに本体部材70の第2延在部72の一部及び第1延在部71を通して本体部材70の一部を冶具105に収納した後、冶具105と共に本体部材70を逆さまにした後、圧入部材10bの上方から、圧入部材10bの延在軸と本体部材70の第2延在部72の被圧入部30の第2軸O2とが同軸となるように、被圧入部30を圧入部材10bに載せ置く。次いで、押圧ステップとして、冶具105をベース面101に向かって押圧する。この場合も、第2延在部72の側面であって、第2軸O2と交わらない領域の側面に受圧部75が設けられていることにより、受圧部75に第2軸O2に沿った力を加えれば、本体部材70の第1延在部71に力を加えることなく、本体部材70の第2延在部72をそのまま、第2軸O2に沿って、圧入部材10bに向かって押し込むことができる。
このため、本実施形態に係る、管継手2の製造方法のように、本体部材70の第2延在部72の第2軸O2が第1延在部71の第1軸O1に対して傾斜することよりずれていても、圧入部材10aの内側に第1延在部71の被圧入部30を圧入するときに、圧入部材10aと本体部材70とのバランスが悪くなることがない。また、受圧部74を通して本体部材70に加わる力は、第1軸O1に沿って第1延在部71の被圧入部30に効率的に伝わる。圧入部材10bの内側に第2延在部72の被圧入部30を圧入するときも同様である。圧入部材10bの内側に第2延在部72の被圧入部30を圧入するときに、受圧部75を用いて押し込めば、圧入部材10bと本体部材70とのバランスが悪くなることがない。また、受圧部75を通して本体部材70に加わる力は、第2軸O2に沿って第2延在部72の被圧入部30に伝わる。
従って、本実施形態に係る、管継手2の製造方法によれば、第1軸O1に沿って延びる被圧入部30を備えた第1延在部71と、第1軸O1とは異なる第2軸O2に沿って延びる被圧入部30を備えた第2延在部72と、を備える本体部材70の被圧入部30を、それぞれ、筒状の圧入部材10a及び10bのそれぞれの内側に容易に圧入することができる。
特に、本実施形態に係る、管継手2の製造方法のように、押圧ステップにおいて、前記押圧を、本体部材70の受圧部74又は75を押圧する冶具105を用いて行えば、本体部材70の被圧入部30を圧入部材10の内側に、より容易に圧入することができる。
また、本実施形態に係る、管継手2の製造方法によれば、同実施形態の管継手2のように、第1軸O1と第2軸O2とが互いに交差する異なる軸となるような、特定形状の本体部材70も、圧入部材10の内側に容易に圧入することができる。
更に、本実施形態に係る、管継手2の製造方法では、図7に示した状態で、圧入部材10の内側に本体部材70の被圧入部30を圧入することも可能である。この場合、本体部材70を冶具105の切り欠きC2を通して本体部材70を吊り下げた状態のまま、冶具105の受圧部105aから突出した本体部材70の被圧入部30に圧入部材10を載せ置くことで、同軸配置ステップが実行される。次いで、冶具105の受圧部105aから突出した本体部材70の被圧入部30に載せ置いた圧入部材10を、この圧入部材10の上から押圧することにより、押圧ステップが実行される。
この管継手2の製造方法では、押圧ステップにおいて、前記押圧は、圧入部材10を押圧する冶具を用いて行うことが好ましい。この場合、本体部材70の被圧入部30を圧入部材10の内側に、より容易に取り付けることができる。図8には、押圧ステップにおいて、圧入部材10を押圧する冶具106を破線で示している。冶具106は、圧入部材10aの端面f8又は圧入部材10bの端面f9を押圧する。本実施形態では、冶具106は、平板部材として形作られている。このように、前記押圧を圧入部材10を押圧する冶具106を用いて行えば、本体部材70の被圧入部30を圧入部材10の内側に、より容易に圧入することができる。
上述したところは、本発明の例示的な実施形態を開示したにすぎず、特許請求の範囲に従えば、様々な変更が可能となる。例えば、本実施形態に係る受圧部は、本体部材の側面であって、第1軸(第2軸)と交わらない領域の前記側面に設けることができる。このため、前記領域を満たす本体部材の側面であれば、例えば、管継手1では、中間部23の側面に、管継手2では、中間部73の側面に、それぞれ、前記受圧部を設けることができる。また、本実施形態に係る管継手1では、第2延在部22を被圧入部として構成し、配管等に接続される機能を有しているが、第2延在部22の構成は適宜、管継手1の用途等に応じて変更することができる。また、管継手2では、管継手1と同様、本体部材70は、第1延在部71と第2延在部72との少なくとも一方に、圧入部材10に圧入される被圧入部30を備えればよい。
また、上述の実施形態に係る、受圧部24、22a、74及び75は、それぞれ、平面f1、f2、f5及びf6で形作られているが、曲面で形作ることもできる。また、受圧部24、22a、74及び75は、複数の点(微視的に見れば面)や、平面又は曲面に形成した、少なくとも1つの突起とすることもできる。
また、上述の実施形態において、「圧入部材10に被圧入部30を圧入する」とは、「しまりばめ」等の、はめあいの意味で用いられることは勿論、上述の実施形態のように、第1軸O1又は第2軸O2に対して押し込んだときに、第1軸O1又は第2軸O2の方向に対して抜けないように引っ掛ける意味も含む、広い意味に解釈される。更に、「圧入部材10に被圧入部30を圧入する」とは、圧入部材10の内側に圧入される場合だけでなく、圧入部材10の外側に圧入される場合、或いは、圧入部材10の外側と内側の両方に圧入される場合も含む意味である。
更に、上述したそれぞれの実施形態に係る、管継手の各構成部分及び管継手の製造方法の各ステップの様々な工程は、適宜、互いに置き換えて、或いは、他の実施形態に対して付加することができる。