JP2017192961A - 摩擦撹拌接合方法、摩擦撹拌接合材および摩擦撹拌接合装置 - Google Patents

摩擦撹拌接合方法、摩擦撹拌接合材および摩擦撹拌接合装置 Download PDF

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Takeshi Ishikawa
武 石川
栄太郎 行武
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Abstract

【課題】摩擦撹拌接合に要する時間を短縮し、機械的特性に優れた摩擦撹拌接合材を提供することが可能な、新規かつ改良された摩擦撹拌接合方法、摩擦撹拌接合材および摩擦撹拌接合装置を提供することができる。
【解決手段】被接合材の接合対象断面を圧接する圧接工程と、摩擦撹拌接合により、圧接された前記接合対象断面に接合部を形成する接合部形成工程とを少なくとも含む、摩擦撹拌接合方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、摩擦撹拌接合方法、摩擦撹拌接合材および摩擦撹拌接合装置に関する。
同種または異種の被接合材を接合する方法として、摩擦撹拌接合方法が挙げられる。摩擦撹拌接合方法は、例えば、先端に突起部のある円筒状の工具(接合ツール)を回転させながら強い力で押し付けることで、突起部を接合させる被接合材の接合対象断面に貫入させ、これによって摩擦熱を発生させて被接合材を軟化させるとともに、工具の回転力によって接合対象断面の周辺を塑性流動させて練り混ぜることで、複数の被接合材を一体化させる接合法である。
摩擦撹拌接合方法としては、例えば、回転子を冷却媒体にて冷却しながらワーク同士を摩擦撹拌接合する方法が挙げられる(特許文献1)。この方法によれば、回転子の寿命を延ばすことができ、熱影響による品質面での問題のない接合部を形成することができる。
また、被接合材料に直交する3方向のそれぞれに加圧応力を同時に加えながら接合面を摩擦撹拌して接合する、摩擦撹拌接合方法が挙げられる。この方法であれば、接合ツールの通過した後に、キャビティーと呼ばれる空隙の欠陥が発生することを抑止することができる(例えば、特許文献2)。
特開平11−10367号公報 特開2003−260570号公報
このように、従来の摩擦撹拌接合方法であれば、機械的特性に優れた摩擦撹拌接合材を提供することができる。生産性向上の観点から、製造効率が向上する摩擦撹拌接合方法を確立することが好ましい。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、摩擦撹拌接合に要する時間を短縮し、機械的特性に優れた摩擦撹拌接合材を提供することが可能な、新規かつ改良された摩擦撹拌接合方法、摩擦撹拌接合材および摩擦撹拌接合装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、被接合材の接合対象断面を圧接する圧接工程と、摩擦撹拌接合により、圧接された前記接合対象断面に接合部を形成する接合部形成工程とを少なくとも含む、摩擦撹拌接合方法が提供される。
前記圧接工程は、前記接合対象断面の面圧を3.0MPa以上変形抵抗未満とする圧接段階を含むことが好ましい。
前記接合部形成工程における摩擦撹拌接合は、前記接合対象断面に、接合ツールを回転させながら押圧する押圧段階と、前記押圧段階により発生する摩擦熱によって軟化した前記接合対象断面へ、前記接合ツールのプローブを没入させる没入段階と、軟化した前記接合対象断面を撹拌しながら固相接合する固相接合段階とを少なくとも含み、前記接合ツールの回転数は、100rpm〜10000rpmであり、前記固相接合の接合速度は、1mm/分〜5000mm/分であることが好ましい。
前記圧接段階における前記接合対象断面の面圧は、40MPaであり、前記接合ツールの回転数は、1500rpmであり、前記固相接合の接合速度は、3000mm/分であることが好ましい。
前記被接合材は、アルミニウム、マグネシウム、銅、鉄、ステンレス、チタンおよびこれらの合金のいずれかから選択される同種材料または異種材料からなることが好ましい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、接合対象断面が圧接された状態で摩擦撹拌接合された接合部を少なくとも備える、摩擦撹拌接合材が提供される。
前記接合部は、前記接合対象断面の面圧が3.0MPa以上変形抵抗未満の条件で圧接された状態で摩擦撹拌接合された接合部であることが好ましい。
前記摩擦撹拌接合材は、アルミニウム、マグネシウム、銅、鉄、ステンレス、チタンおよびこれらの合金のいずれかから選択される同種材料または異種材料からなることが好ましい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、被接合材を載置する載置部と、前記被接合材の接合対象断面を接合する接合ツールと、前記被接合材の接合対象断面と平行な被接合材側面を加圧する加圧治具と、前記被接合材の上部であって、当該上部の表面との間に隙間を有して配置される跳ね抑え板とを少なくとも含む、摩擦撹拌接合装置が提供される。
前記隙間が0.2mm〜1.0mmであることが好ましい。
以上説明したように本発明によれば、摩擦撹拌接合に要する時間を短縮し、機械的特性に優れた摩擦撹拌接合材を提供することが可能な、新規かつ改良された摩擦撹拌接合方法、摩擦撹拌接合材および摩擦撹拌接合装置を提供することができる。
本発明の摩擦撹拌接合装置1の概略図である。 摩擦撹拌接合材の接合部の外観を示す写真である。 接合ツール30への荷重変化を測定した結果を示す図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する場合がある。
[摩擦撹拌接合装置]
まず、本発明の摩擦撹拌接合装置について説明する。図1は、本発明の摩擦撹拌接合装置1の概略図である。図1(a)は摩擦撹拌接合装置1を上部からみた概略図、図1(b)は摩擦撹拌接合装置1を被接合材10、11の接合対象断面12と垂直な側面からみた概略図、図1(c)は摩擦撹拌接合装置1の斜視概略図である。
接合対象となる被接合材10、11は、接合対象断面12が密着した状態で載置部20へ載置される。次に、接合ツール30は、ショルダー31およびプローブ32を備え、矢印Aで示す時計回り方向に回転する。そして、加圧治具40は、例えば被接合材10、11の接合対象断面12と平行な被接合材側面13、14のみを加圧する。また、金属プレート50は、被接合材10、11の上部に配置され、ボルト51により載置部20に固定される。上部の表面15、16との間に隙間52を有して配置される。
ここで、金属プレート50は、加圧された被接合材10、11の接合中に起こりうる被接合材10、11の跳ね上がりによる材料の飛散を防止するための跳ね抑え板として配置される。また、被接合材10、11の表面15、16を加圧しないよう、隙間52を十分に確保することが好ましく、例えば、隙間52が0.2mm〜1.0mmであることが好ましい。
次に、載置部20および接合ツール30は、摩擦撹拌接合に一般的に用いられる形状や素材のものを用いることができる。そして、跳ね抑え板は、被接合材10、11の跳ね上がりを防止することができればよく、金属プレート50を用いる場合においては、鉄、ステンレス、アルミニウム等のプレートを用いることができる。また、跳ね抑え板としては、金属プレート50に限定されず、材料の飛散を防止することができるものであればよい。例えば、金属のほか、木材や樹脂等のプレート等も用いることができる。
また、加圧治具40は、加圧により変形しない耐力を有するものであればよく、被接合材10、11と同等以上の耐力を有する金属プレート等を用いることができる。加圧手段は、加圧治具40を介して被接合材10、11を加圧することのできる手段であればよい。このような手段としては、例えば、矢印Cに示すように、接合対象断面12と平行な被接合材側面14と、垂直な方向であって、当該被接合材側面14の方向へ、加圧治具40を押圧駆動する押圧駆動部60を用いることが出来る。押圧駆動部60は、例えば未図示の油圧制御装置により押圧駆動することができる。押圧駆動の態様としては、加圧治具40のいずれか一方を固定し、他方の加圧治具40を押圧駆動部60により押圧駆動する態様をとることができる。また、両方の加圧治具40を複数の押圧駆動部60により押圧駆動する態様をとることができる。
[摩擦撹拌接合方法]
次に、本発明の摩擦撹拌接合方法として、その一態様として、図1に示す摩擦撹拌接合装置1を用いた方法について説明する。
まず、接合対象となる被接合材10、11を、それぞれ接合対象断面12が密着した状態で載置部20へ載置する。そして、金属プレート50を、被接合材10、11の上部の表面15、16との間に、ボルト51を調整することにより、隙間52を有して配置する。金属プレート50を配置することにより、摩擦撹拌接合の際に被接合材10、11が跳ね上がるのを防止することができる。
次に、加圧治具40を被接合材側面13、14に密着させた後、被接合材側面13に密着する加圧治具40が動かないように固定し、被接合材側面14に密着する加圧治具40を押圧駆動部60により押圧駆動する。この操作により、被接合材10、11の接合対象断面12のみを圧接することができる(圧接工程)。
そして、接合ツール30を回転させ、接合ツール30の位置を制御して矢印Bで示す接合方向に移動することにより、接合対象断面12を摩擦撹拌接合して、圧接された接合対象断面12に接合部を形成する(接合部形成工程)。接合部形成工程により、接合対象断面12が接合されて、被接合材10および被接合材11が一体化し、摩擦撹拌接合材となる。
接合後は、接合ツール30を摩擦撹拌接合材と非接触の状態とし、回転を停止する。そして、押圧駆動部60による押圧駆動を停止し、加圧治具40を摩擦撹拌接合材と非接触状態とする。その後、ボルト51を調整して金属プレート50を取り外し、載置部20より取り出す。これらの操作により、摩擦撹拌接合材を摩擦撹拌接合装置1より取り出すことができる。
ここで、圧接工程では、接合対象断面12の面圧を3.0MPa以上変形抵抗未満とする圧接段階を含むことができる。この条件であれば、接合部における機械的特性を満足することができる。前記接合対象断面12の面圧が15.0MPa以上の条件であれば、接合部の表面の欠陥が減少し、機械的特性がより向上するため、より好ましい。
また、接合部形成工程における摩擦撹拌接合は、接合対象断面12に、接合ツール30を回転させながら押圧する段階(押圧段階)と、押圧段階により発生する摩擦熱によって軟化した接合対象断面12へ、接合ツール30のプローブ32を没入させる段階(没入段階)と、軟化した接合対象断面12を撹拌しながら固相接合する段階(固相接合段階)とを含むことができる。
ここで、接合ツール30の回転数は、100rpm〜10000rpmであることが好ましい。回転数が100rpmよりも低いと、被接合材10、11を速やかに軟化させることができない場合がある。また、回転数が10000rpmより高くなっても、被接合材10、11を速やかに軟化させる効果は向上しない。接合ツール30の回転数が100rpm〜10000rpmであることにより、押圧段階により発生する摩擦熱によって接合対象断面およびその近傍の被接合材10、11を速やかに軟化させること、および接合ツール30のプローブ32を速やかに没入させることが容易となる。また、軟化した接合対象断面12を撹拌しながら速やかに固相接合することが容易となる。
また、固相接合の接合速度は、1mm/分〜5000mm/分であることが好ましい。接合速度が1mm/分よりも遅いと、軟化しすぎてしまう場合があり、接合効率が低下するおそれがある。一方で、接合速度が5000mm/分よりも早くすると、被接合材10、11に十分な熱を伝えることができない場合があり、接合面に隙間や欠陥が多く発生してしまうおそれがある。固相接合の接合速度が1mm/分〜5000mm/分であることにより、接合面に空隙等が発生することなく、機械的特性を満足することの可能な固相接合を行うことができる。
なお、接合対象断面12に面圧を付加しない場合における、摩擦攪拌接合方法の接合条件としては、固相接合段階における接合ツールの回転数を約2000rpmとし、固相接合の接合速度を約1800mm/分とすることが一般的である。ただし、本発明の摩擦撹拌接合方法においては、圧接段階における接合対象断面12の面圧を40MPaとし、固相接合段階における接合ツールの回転数を1500rpmとすることにより、固相接合の接合速度を3000mm/分と、接合速度を速くすることができる。このように接合速度を速くしても、接合強度を満足する摩擦撹拌接合材を得ることができ、結果として摩擦撹拌接合に要する時間を短縮し、機械的特性に優れた摩擦撹拌接合材を効率的に提供することができる。
被接合材10、11は、アルミニウム、マグネシウム、銅、鉄、ステンレス、チタンおよびこれらの合金のいずれかから選択される同種材料または異種材料とすることができる。例えば、被接合材10と11のいずれもがアルミニウムである場合や、被接合材10がマグネシウムであり、被接合材11がマグネシウム合金である場合が挙げられる。また、被接合材10、11としては、板厚0.4mm〜5mmの板材および中空押出形材を使用することができる。
[摩擦撹拌接合材]
次に、本発明の摩擦撹拌接合材について説明する。本発明の摩擦撹拌接合材は、接合対象断面が圧接された状態で摩擦撹拌接合された接合部を少なくとも備えるものである。例えば、本発明の摩擦撹拌接合方法により製造することができる。
前記接合部は、前記接合対象断面の面圧が3.0MPa以上変形抵抗未満の条件で圧接された状態で摩擦撹拌接合された接合部であることが好ましい。この条件であれば、接合部における機械的特性を満足することができる。前記接合対象断面の面圧が15.0MPa以上の条件であれば、接合部の表面の欠陥が減少し、機械的特性がより向上するため、より好ましい。
摩擦撹拌接合材は、アルミニウム、マグネシウム、銅、鉄、ステンレス、チタンおよびこれらの合金のいずれかから選択される同種材料または異種材料とすることができる。例えば、同種材料としてアルミニウムである場合や、異種材料としてマグネシウムとマグネシウム合金である場合が挙げられる。また、被接合材10、11としては、板厚0.4mm〜5mmの板材および中空押出形材を使用することができる。
以下、実施例および比較例に基づき、本発明を更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
〈摩擦撹拌接合装置〉
図1に示す摩擦撹拌接合装置1を用いた。具体的には、日東制機(株)製の摩擦撹拌接合装置を基本とし、加圧治具40、金属プレート50、押圧駆動部60を備えるものとした。また、バックプレート(載置部20)としては、厚さ30mm、幅130mm、長さ400mmのSS400プレートを用いた。被接合材に影響しないよう、バックプレートとしては、その表面が鏡面であり、表面硬化処理したものを採用した。押圧駆動は、油圧制御により2kN〜12kNの範囲で任意の制御が可能であるものを用いた。
そして、接合ツール30としては、材質として鉄鋼材料を採用し、ショルダー直径12mm、ショルダー角度4°、プローブ直径6mm、プローブ長さ2.8mm、プローブ形状M6の右ねじを用いた。
〈被接合材〉
板厚3mm、板幅70mm、長さ200mmの難燃性マグネシウム合金(AZX612)押出材(三協マテリアル社製)を被接合材10、11とし、摩擦撹拌接合により、板厚3mm、板幅140mm、長さ200mmの摩擦撹拌接合材を製造した。
〈接合方法〉
被接合材10、11を、それぞれ接合対象断面12が密着した状態で載置部20へ載置した。次に、金属プレート50を、被接合材10、11の上部の表面15、16との間に、ボルト51を調整することにより、0.2mmの隙間52を有して配置した。そして、加圧治具40を被接合材側面13、14に密着させた後、被接合材側面13に密着する加圧治具40が動かないように固定し、被接合材側面14に密着する加圧治具40を押圧駆動部60により押圧駆動して、被接合材10、11の接合対象断面12を圧接した。そして、接合ツール30を図1(a)の矢印Aの方向に回転させ、接合ツール30の位置を制御して図1(a)の矢印Bで示す接合方向に移動することにより、接合対象断面12を摩擦撹拌接合して、圧接された接合対象断面12に接合部を形成し、摩擦撹拌接合材を製造した。
〈接合条件〉
接合速度は5mm/秒(300mm/分)〜50mm/秒(3000mm/分)、接合ツールの回転数は1000rpm〜3000rpmとし、押圧の負荷を2kN〜12kNとした。接合ツール30の前進角を3°とし、接合長さ(接合ツール30の移動距離)は180mmとして、大気雰囲気下にて接合した。プローブ32の先端はバックプレートから0.1mmの距離を維持する位置制御を行い、接合ツール30を挿入後、5秒〜10秒保持してから接合を開始した。
〈摩擦撹拌接合材の機械的特性の評価〉
製造した摩擦撹拌接合材より、平行部幅12.5mm、評点間距離50mmの引張試験片を、接合方向に対して垂直方向から採取し、引張試験機を用いて、大気雰囲気下にて引張速度3mm/分で一定の条件で引張試験を実施し、機械的特性を破断強度として評価した。引張試験片は機械加工により作製し、平行部の端面は♯1500で切削痕が目視できない程度まで研磨した。また、接合部の表面状態は接合痕(接合ピッチ痕)のある状態のままで試験評価した。結果を表1に示す。
Figure 2017192961
〈評価結果〉
(機械的特性)
摩擦撹拌接合方法における一般的な接合条件は、接合ツール30の回転数が2000rpm、接合速度が30mm/秒(1800mm/分)程度であるところ(表1試験No.4)、接合対象断面の面圧を40MPaにした場合、接合ツール30の回転数を1500rpmとし、接合速度を50mm/秒(3000mm/分)の条件として接合することも可能であり(表1試験No.11)、破断強度を満足し、また、接合部分に欠陥が認められないことが確認された。これは、接合時の摩擦熱による発熱温度(約623k)での被接合材の耐力が50MPa程度であり、接合時に耐力と同程度(40MPa)のc方向の圧接負荷を加えることにより、欠陥の発生が抑制されたものと考えられる。
(接合部外観)
図2は、摩擦撹拌接合材の接合部の外観を示す写真である。接合ツール30の回転数を3000rpm、接合速度を20mm/秒(1200mm/分)とし、5kN、7.5kN、10kNの圧接負荷にて接合した場合についての結果である。ここで、接合対象断面の面圧は、圧接負荷が5kNの場合は約8.3MPa、圧接負荷が7.5kNの場合は約12.5MPa、圧接負荷が10kNの場合は約16.7MPaであり、接合中の接合部の温度(約623k)における接合材料の耐力(変形抵抗)より小さいため、圧接方向における接合材の変形はしない。
圧接負荷が5kNおよび7.5kNの場合は、接合部分に欠陥が接合方向と同一方向に接合開始から終了の間に観察される。一方で、圧接負荷が10kNの場合は、欠陥が減少することが確認された。ただし、これらの欠陥は機械的特性に影響するものではない。
(接合ツールへの荷重変化)
接合時に接合ツール30に加わる押し込み方向(図1(b)の矢印Z方向)および接合方向(図1(a)の矢印X方向)の負荷の変化を測定した。負荷の変化は、摩擦撹拌接合装置1が備えるロードセル(荷重検出器)(図示せず)により測定することが可能である。図3は、接合ツール30への荷重変化を測定した結果を示す図である。接合ツール30の回転数は1000rpm、接合速度は10mm/秒(600mm/分)、面圧は20MPaの条件により接合したときのZ方向およびX方向の荷重変化を示している。すなわち、接合ツール30を挿入してから、接合を開始するまでの範囲での荷重変化である。
結果として、接合ツールを被接合材へ挿入した直後にZ方向の荷重が上昇して約16kNまで上昇し、保持時間の5秒間で6kNまで減少した(約50%の減少)。そして、接合ツール30がX方向へ移動を開始する接合開示と同時に、約13kNまで上昇した。
一方、X方向の荷重は、接合ツール挿入直後から接合開始の間まで大きな変化はなく、接合開始と同時に2kNに上昇した。
Z方向の荷重およびX方向の荷重の増減の変化については、圧接した条件において同様の挙動が認められた。特に、図1(a)のc方向の圧接負荷が大きくなると、X方向およびZ方向の荷重は共に大きくなる傾向がみられた。特に、X方向の荷重はc方向の圧接負荷を2倍にすると、同様に2倍となることが確認された。これは、c方向の圧接負荷が、接合ツール30のプローブ32が移動する抵抗となり、X方向の荷重が上昇することが考えられた。また、これにより接合時の入熱量が増加することが考えられた。
[まとめ]
以上の結果より、本発明であれば、摩擦撹拌接合に要する時間を短縮することが可能であると共に、機械的特性に優れた摩擦撹拌接合材を提供することが可能である。特に、本発明の摩擦撹拌接合方法であれば、被接合材の接合対象断面を圧接する圧接工程を含むことにより、接合対象断面に接合ツールを挿入する際に被接合材が動いて接合不良となることを防止することができる。その結果として、摩擦攪拌接合を行う実施者の違いに起因する、接合後の摩擦攪拌接合材の機械的強度等の性能にばらつきが生じることを防止することができる。また、跳ね抑え板により、被接合材の跳ね上がりによる材料の飛散を防止することができる。以上より、本発明であれば、摩擦攪拌接合の作業性および安定性を向上させることができる。
以上、添付図面等を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 摩擦撹拌接合装置
10、11 被接合材
12 接合対象断面
13、14 被接合材側面
15、16 表面
20 載置部
30 接合ツール
31 ショルダー
32 プローブ
40 加圧治具
50 金属プレート
51 ボルト
52 隙間
60 押圧駆動部

Claims (10)

  1. 被接合材の接合対象断面を圧接する圧接工程と、
    摩擦撹拌接合により、圧接された前記接合対象断面に接合部を形成する接合部形成工程と
    を少なくとも含む、摩擦撹拌接合方法。
  2. 前記圧接工程は、前記接合対象断面の面圧を3.0MPa以上変形抵抗未満とする圧接段階を含む、請求項1に記載の摩擦撹拌接合方法。
  3. 前記接合部形成工程における摩擦撹拌接合は、
    前記接合対象断面に、接合ツールを回転させながら押圧する押圧段階と、
    前記押圧段階により発生する摩擦熱によって軟化した前記接合対象断面へ、前記接合ツールのプローブを没入させる没入段階と、
    軟化した前記接合対象断面を撹拌しながら固相接合する固相接合段階と
    を少なくとも含み、
    前記接合ツールの回転数は、100rpm〜10000rpmであり、
    前記固相接合の接合速度は、1mm/分〜5000mm/分である、請求項1または2に記載の摩擦撹拌接合方法。
  4. 前記圧接段階における前記接合対象断面の面圧は、40MPaであり、
    前記接合ツールの回転数は、1500rpmであり、
    前記固相接合の接合速度は、3000mm/分である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の摩擦撹拌接合方法。
  5. 前記被接合材は、アルミニウム、マグネシウム、銅、鉄、ステンレス、チタンおよびこれらの合金のいずれかから選択される同種材料または異種材料からなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の摩擦撹拌接合方法。
  6. 接合対象断面が圧接された状態で摩擦撹拌接合された接合部
    を少なくとも備える、摩擦撹拌接合材。
  7. 前記接合部は、前記接合対象断面の面圧が3.0MPa以上変形抵抗未満の条件で圧接された状態で摩擦撹拌接合された接合部である、請求項6に記載の摩擦撹拌接合材。
  8. 前記摩擦撹拌接合材は、アルミニウム、マグネシウム、銅、鉄、ステンレス、チタンおよびこれらの合金のいずれかから選択される同種材料または異種材料からなる、請求項6または7項に記載の摩擦撹拌接合材。
  9. 被接合材を載置する載置部と、
    前記被接合材の接合対象断面を接合する接合ツールと、
    前記被接合材の接合対象断面と平行な被接合材側面を加圧する加圧治具と、
    前記被接合材の上部であって、当該上部の表面との間に隙間を有して配置される跳ね抑え板と
    を少なくとも含む、摩擦撹拌接合装置。
  10. 前記隙間が0.2mm〜1.0mmである、請求項9に記載の摩擦撹拌接合装置。
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KR20220062774A (ko) * 2020-11-09 2022-05-17 한국생산기술연구원 마찰교반공정용 지그 장치 및 이를 이용한 마찰교반 공정방법

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20220062774A (ko) * 2020-11-09 2022-05-17 한국생산기술연구원 마찰교반공정용 지그 장치 및 이를 이용한 마찰교반 공정방법
KR102420231B1 (ko) * 2020-11-09 2022-07-14 한국생산기술연구원 마찰교반공정용 지그 장치 및 이를 이용한 마찰교반 공정방법

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