JP2017190791A - 複列軸受 - Google Patents

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直樹 中杤
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Abstract

【課題】二つ以上の輪部品に分割された複列内輪を備える複列軸受の組立を簡単にし、軸受寿命と複列外輪の割れ防止を両立させると共に、軸受内部の保護を再給脂時に喪失する事態を防ぐ。【解決手段】複列外輪2を、金属製のアウター部品7と、シールド部11及び軌道面12を有する金属製の二つのインナー部品8、8とに分割する。それら二つのインナー部品8、8を、それぞれアウター部品7の内周に圧入することによって固定する。それら各軌道面12、12での表面硬度をアウター部品7よりも高くする。それらシールド部11、11をそれぞれ複列内輪1の側方まで延ばし、これらと、複列内輪1の両端の輪部品4、4との係止によって、複列内輪1と複列外輪2の分離を防ぐ係止構造を設ける。【選択図】図1

Description

この発明は、複列軸受に関し、特に、複数の輪部品に分割された複列内輪を備えるものに関する。
複列軸受には、軸方向に並ぶ二つの内輪を予め締結部材で結合することによって複列内輪として一体化したものがある。この一体化の目的は、複列軸受を相手装置に組み込むまでの取り扱い性を良くすることにある。このような複列軸受では、軸を支持する使用状態のとき、二つの軌道輪が、他の軸受、間座、ハウジング、蓋、止め輪等の外部部材によって固定される。したがって、締結部材による結合は、複列軸受を相手装置に取り付けるまで維持可能な程度でよく、一般に、軸受の自重で結合が破壊されない程度になっている。
例えば、クレーンシーブ用の総ころ形複列円筒軸受において、薄い金属製の締結環を二つの輪部品の周溝に沿ってローリングプレス加工で加締めることにより、これら輪部品を結合している(特許文献1)。
特開平11−336775号公報
しかしながら、上述のような締結環を用いる場合、組立工数が大きくなる点で問題がある。
また、複列外輪に衝撃荷重が作用する場合があり、割れ対策としてある程度の靱性が必要になる一方、その複列外輪の内側に形成された軌道面には、転動体の転動により繰り返し荷重が働くため、軸受寿命を確保するのに、一定以上の表面硬度が必要になる。このため、複列外輪に熱処理を行って軌道面の表面硬度を高めているが、この際、複列外輪の靱性が犠牲になっていた。
また、軸受内部を保護するため、シールド又はシールを複列内輪もしくは複列外輪の両端に圧入することが好ましいが、この場合、再給脂する際、潤滑剤の封入圧により、シールドが脱落することがあった。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、二つ以上の輪部品に分割された複列内輪を備える複列軸受の組立を簡単にし、軸受寿命と複列外輪の割れ防止を両立させると共に、軸受内部の保護を再給脂時に喪失する事態を防ぐことにある。
上記の課題を達成するため、この発明は、複列内輪と、複列外輪と、複列に配置された転動体とを備え、前記複列内輪が、軸方向に並ぶ二つ以上の輪部品に分割されている複列軸受において、前記複列外輪が、外周及び内周を有する金属製のアウター部品と、第一のシールド部及び軌道面を有する金属製の第一のインナー部品と、第二のシールド部及び軌道面を有する金属製の第二のインナー部品とに分割されており、前記第一のインナー部品及び第二のインナー部品が、それぞれ前記アウター部品の内周に対する圧入によって固定されており、前記第一のシールド部及び前記第二のシールド部が、それぞれ前記複列内輪の側方まで延びており、前記第一のシールド部及び前記第二のシールド部と、前記複列内輪の両端の前記輪部品との係止によって、前記複列内輪と前記複列外輪の分離を防ぐ係止構造をさらに備える、という構成を採用した。
上記構成によれば、複列外輪側の軌道面とシールドを兼ねたインナー部品をアウター部品に圧入するだけで複列外輪に組み立てると共に、そのインナー部品により複列内輪を軸方向に係止する構造を設け、複列内輪と複列外輪の分離を防ぐことができる。このため、複列軸受の組立が簡単になる。インナー部品の圧入を行うだけなので、例えば、締結環のローリングプレス加工で結合する場合よりも組立工数の削減を図ることが可能である。
また、金属製のインナー部品をアウター部品とは別個に熱処理を行い、金属製のアウター部品には熱処理をしない(又は表面硬度を抑えた熱処理をする)ようにしてアウター部品の靱性を保つことが可能である。すなわち、軸受寿命と複列外輪の割れにくさとが、両立させられる。
また、軌道面を有するインナー部品は、従来のシールドよりもアウター部品との圧入部を大幅に広げることができる。このため、インナー部品のシールド部が、再給脂時に潤滑剤の封入圧を受けても、軌道面の裏側でも圧入されているインナー部品が脱落しにくくなる。したがって、シールド部による軸受内部の保護を再給脂時に喪失する事態も防止される。
このように、この発明は、上記構成の採用により、二つ以上の輪部品に分割された複列内輪を備える複列軸受の組立を簡単にし、軸受寿命と複列外輪の割れ防止を両立させると共に、軸受内部の保護を再給脂時に喪失する事態を防ぐことができる。
この発明の第一実施例に係る複列軸受を示す断面図 図1のインナー部品の圧入前の様子を示す部分断面図 従来例を示す断面図 この発明の第二実施例に係る複列軸受を示す断面図 この発明の第三実施例に係る複列軸受を示す部分断面図 この発明の第三実施例に係る複列軸受を示す部分断面図 この発明に係る軸受を相手装置に取り付けた状態を例示する断面図
この発明の一例としての実施形態を説明する。
第一実施形態に係る複列軸受では、前記第一のインナー部品及び前記第二のインナー部品と、前記アウター部品の内周とに嵌め合い面が形成されており、これら嵌め合い面が、軸方向に軸受内部側に向かって外径側に傾斜しており、前記アウター部品に固定前の状態での前記インナー部品の嵌め合い面の傾斜角度が、対応の前記アウター部品の嵌め合い面よりも大きく設定されている。
第一実施形態によれば、アウター部品とインナー部品の圧入部を軸方向内側に向かって外径側に傾斜が付いているので、インナー部品がアウター部品から抜けにくくなる。さらに、アウター部品の嵌め合い面よりも傾斜角度の大きなインナー部品の嵌め合い面を当該アウター部品に圧入すると、インナー部品の軌道面に圧縮応力を働かせることができ、これにより、軸受寿命を延ばすこともできる。
第二実施形態に係る複列軸受では、前記転動体が、ころからなり、前記両端の輪部品が、それぞれ前記転動体を案内するつば部を有し、前記第一のシールド部及び前記第二のシールド部が、それぞれ対応の前記つば部から軸方向に軸受外部側へ離れている。
第二実施形態は、この発明をころ軸受に適用したものである。第二実施形態によれば、両端の輪部品のつば部が、対応のシールド部に最寄りの列のころの端面を案内する。その対応のシールド部が軸方向に関して対応のつば部よりも軸受外部側へ離れているので、インナー部品が軸受運転中にころからのアキシアル荷重を受けて抜け落ちることは起こらない。また、軌道面を有するインナー部品はころに外接させる部品であるから、インナー部品のうち、軌道面よりも軸受内部側の部分の内径は、ころに外接する円径よりも大きくなる。このため、インナー部品ところの端面とが接触して、これらが摩耗することも生じない。
第三実施形態に係る複列軸受では、前記アウター部品が、前記転動体の列間に中つば部を有し、前記第一のインナー部品及び前記第二のインナー部品が、それぞれ前記中つば部に突き当てられている。
第三実施形態によれば、インナー部品をアウター部品の内周に圧入する際、インナー部品を正確な位置に固定することができる。
第四実施形態に係る複列軸受では、前記両端の輪部品が、それぞれ前記複列内輪の軌道面と、前記つば部とを有する。
第五実施形態に係る複列軸受では、前記複列内輪が、軌道面を有する輪部品と、前記つば部を有する輪部品とに分割されている。
第六実施形態に係る複列軸受では、前記第一のインナー部品及び前記第二のインナー部品の各軌道面での表面硬度が、それぞれ前記アウター部品よりも高くなっている。
第六実施形態によれば、インナー部品の軌道面の表面硬度をアウター部品よりも高くすることによって軸受寿命を確保しつつ、金属製のアウター部品の靱性を保つことが可能である。
第七実施形態に係る複列軸受では、前記アウター部品の表面硬度が、HRC55以下になっている。
第七実施形態によれば、アウター部品の表面硬度をHRC(ロックウェル硬さ Cスケール)55以下としているので、アウター部品に良好な靭性を与え、アウター部品の割れを防止することができる。
第八実施形態に係る複列軸受では、前記第一のシールド部及び前記第二のシールド部が、それぞれ前記輪部品と共にラビリンスを形成している。
第八実施形態によれば、シールド部を利用して非接触シールを設けることができる。
第九実施形態に係る複列軸受では、前記第一のシールド部及び前記第二のシールド部が、それぞれシール材によって形成されたシールリップを有し、前記シールリップが、前記輪部品に接触している。
第九実施形態によれば、シールド部を利用して接触シールを設けることができる。
以下、この発明の第一実施例に係る複列軸受を添付図面の図1、図2に基づいて説明する。図1に示すように、この複列軸受は、複列内輪1と、複列外輪2と、複列に配置された転動体3とを備える。複列内輪1は、軸方向に並ぶ二つの輪部品4、4に分割されている。複列内輪1の外周と複列外輪2の内周とで囲まれた一連の環状空間5が、軸受内部となっている。
輪部品4は、環状部品からなり、その外周側に単列の軌道面6を有する。二つの輪部品4、4は、軸方向に対称な形状のものとなっている。これら二つの輪部品4、4は、軸方向に同軸で並んでいる。複列内輪1が二分割構造になっているので、これら二つの輪部品4、4が、複列内輪1の両端に位置する輪部品となる。
ここで、軸方向とは、軸受中心軸に沿った方向のことをいい、輪部品4の中心軸に一致している。以下、その軸方向に直角な方向のことを径方向といい、その中心軸周りの円周方向のことを周方向という。
複列外輪2は、アウター部品7と、二つのインナー部品8、8とに分割されている。これら二つのインナー部品8、8は、軸方向に対称な形状のものとなっている。以下、これらインナー部品8、8を呼び分けるときは、第一のインナー部品8と、第二のインナー部品8という。また、それらの部分を呼び分けるときも同じく呼び分ける。
アウター部品7は、外周9及び内周10を有する一体の環状部品からなる。アウター部品7の外周9は、複列外輪2の外径を規定する外径面となっている。
インナー部品8は、シールド部11及び軌道面12を有する一体の環状部品からなる。シールド部11は、インナー部品8の軌道面12の延長上から曲がった内鍔状に形成されている。
第一のシールド部11及び第二のシールド部11は、それぞれ複列内輪1の側方まで延びている。
第一のインナー部品8は、アウター部品7の内周10の図中右側に圧入によって固定されている。第二のインナー部品8は、アウター部品7の内周10の図中左側に圧入によって固定されている。なお、軸方向は、図中左右方向に相当する。
転動体3は、複列内輪1の軌道面6と、複列外輪2の軌道面12との間に介在している。転動体3は、ころからなる。より具体的には、転動体3は、円筒ころになっている。このため、軌道面6、12は、それぞれ軸方向に沿った表面となっている。
両端の輪部品4、4は、それぞれ最寄りの列の転動体3を案内するつば部13を有する。つば部13は、転動体3の一方の端面14を軸方向に受ける。
一方、アウター部品7は、転動体3の列間に中つば部15を有する。中つば部15は、転動体3の端面14と反対の端面16を軸方向に受ける。アキシアル荷重は複列外輪2の中つば部15に負荷され、インナー部品8に負荷されない。このようにする限り、アキシアル荷重でインナー部品8が抜けることはなく、複列内輪については中つば部の有無を問わない。
アウター部品7の内周10のうち、中つば部15を境とした両側に、それぞれ嵌め合い面17が形成されている。一方、インナー部品8には、嵌め合い面17に対応の嵌め合い面18が形成されている。これら嵌め合い面17、18は、それぞれ軸方向に軸受内部側に向かって複列外輪2の外径側に傾斜している表面となっている。アウター部品7の嵌め合い面17と、インナー部品8の嵌め合い面18との圧入嵌合によって、インナー部品8がアウター部品7に固定される。
図2に、アウター部品7に固定する前の状態での第一のインナー部品8の様子を示す。同図に示すように、アウター部品7に固定前の状態での第一のインナー部品8の嵌め合い面18は、軸方向に対して傾斜角度α1をもった円すい面状に形成されている。一方、アウター部品7の嵌め合い面17は、軸方向に対して傾斜角度βをもった円すい面状に形成されている。傾斜角度α1は、傾斜角度βよりも大きく設定されている。
また、第一のインナー部品8の軌道面12も、軸方向に軸受内部側に向かって複列外輪2の外径側に傾斜角度α2をもった円すい面状に形成されている。傾斜角度α2は、傾斜角度α1よりも小さい。
第一のインナー部品8の圧入時、第一のインナー部品8が図2中に二点鎖線で描いた状態(図1の状態)に変形させられる。すなわち、第一のインナー部品8の嵌め合い面18がアウター部品7の嵌め合い面17に圧入されると、第一のインナー部品8の嵌め合い面18が嵌め合い面17に倣い(嵌め合い面18の傾斜角度がβになる。)、かつ第一のインナー部品8の軌道面12が軸方向に沿った状態となる。これにより、第一のインナー部品8の軌道面12に圧縮応力を働かせた状態が得られる。なお、図2では第一のインナー部品8を例示したが、図1中左側の第二のインナー部品8とアウター部品7の嵌め合い関係については、図2の場合と軸方向に対称な関係となるだけなので、図示説明を省略する。
図1に示すように、二つのインナー部品8、8は、前述の圧入により、それぞれ中つば部15に突き当てられている。この突き当てでは、インナー部品8の軌道面12と嵌め合い面18間を繋ぐ端面19が中つば部15に軸方向に接し、インナー部品8の軸方向の固定位置が決まる。
シールド部11は、対応の輪部品4と軸方向に少しの隙間をもって対向する係止端面20を有する。二つのシールド部11の係止端面20、20により、両端の輪部品4、4の軸方向移動が規制される。
したがって、アウター部品7の内側に輪部品4及び転動体3の列を同軸に配置し、転動体3とアウター部品7の嵌め合い面17との間にインナー部品8を端面19から挿入して嵌め合い面18を圧入することにより(図2参照)、インナー部品8をアウター部品7に固定すると共に、当該輪部品4がアウター部品7に対して軸方向に軸受外部側へ分離することを防ぐことができる。したがって、二つのインナー部品8、8が同時又は別々に圧入されると、それら固定された二つのインナー部品8、8のシールド部11、11と、複列内輪1の両端の輪部品4、4との係止によって複列内輪1と複列外輪2の分離を防ぐ係止構造が設けられる。これにより、図1に示す複列軸受に組み立てられる。
シールド部11は、対応の輪部品4と軸方向及び径方向に僅かな隙間をもって対向しており、内径面21と嵌め合い面18との間は、周方向全周に亘って連続している。このため、シールド部11は、シールドに相当の保護機能を奏することができる。
上述のアウター部品7は、金属製のものである。アウター部品7の表面硬度は、HRC55以下になっている。このロックウェル硬さは、アウター部品7の全面で確保されている。アウター部品7の材料としては、例えば、炭素鋼が挙げられる。
また、インナー部品8は、金属製のものである。二つのインナー部品8、8の各軌道面12での表面硬度は、それぞれアウター部品7よりも高くなっている。軸受が疲労破壊する一因として、軌道面に引張応力が繰り返し作用して剥離が生じることが挙げられる。先に圧縮応力を加えておくと、寿命が延伸できることが知られている。例えば、浸炭熱処理を施すことで表面に圧縮応力を加えることが好適である。
インナー部品8は、プレス加工によって成形されている。例えば、しぼり加工、底穴あけ加工、フランジ抜き加工でインナー部品8を成形する。プレス加工でインナー部品8を成形する場合、インナー部品8の材料としては、例えば、みがき鋼(JISで規定のみがき棒鋼、みがき特殊帯鋼)のように、表面粗さが良好な部材を使用することが好ましい。これにより、研磨加工を削減することができる。
上述のように、第一実施例に係る複列軸受は、複列外輪2側の軌道面12とシールドを兼ねたインナー部品8、8をアウター部品7に圧入するだけで複列外輪2に組み立てると共に、そのインナー部品8、8により複列内輪1を軸方向に係止する構造を設け、複列内輪1と複列外輪2の分離を防ぐことができる。このため、第一実施例に係る複列軸受は、簡単に組み立てることができる。
また、第一実施例に係る複列軸受は、金属製のインナー部品8、8をアウター部品7とは別個に熱処理を行い、インナー部品8の軌道面12の表面硬度をアウター部品7よりも高くすることによって軸受寿命を確保する一方、金属製のアウター部品7には熱処理をしない(又は表面硬度を抑えた熱処理をする)ようにしてアウター部品7の靱性を保つことが可能である。このように、第一実施例に係る複列軸受は、軸受寿命と複列外輪2の割れにくさとを両立させることができる。
また、軌道面12を有するインナー部品8は、従来のシールドよりもアウター部品7との圧入部を大幅に広げることができる。このため、インナー部品8のシールド部11が、再給脂時に潤滑剤の封入圧を受けても、軌道面12の裏側の嵌め合い面18でも圧入されているインナー部品8は容易には脱落しない。したがって、第一実施例に係る複列軸受は、シールド部11による軸受内部の保護を再給脂時に喪失する事態を防ぐことができる。
また、第一実施例に係る複列軸受は、インナー部品8の圧入時に軌道面12に圧縮応力を働かせているので、軸受寿命を延ばすとともに、その圧入による固定状態では、アウター部品7とインナー部品8の嵌め合い面17、18が傾斜角度βで軸方向に軸受内部側に向かって外径側に傾斜しているので、インナー部品8がアウター部品7から抜けにくくすることができる。
また、第一実施例に係る複列軸受は、アウター部品7が転動体3、3の列間に中つば部15を有し、二つのインナー部品8、8が、それぞれ中つば部15に突き当てられているので、これらインナー部品8、8をアウター部品7の内周に圧入する際、インナー部品8が中つば部15に突き当るまで挿入するだけで、正確な位置に固定することができる。
一方、図3に従来例を示すように、複列外輪31の軌道面32の延長上にシールド33を圧入する一般的なシールド付複列ころ軸受の場合、複列内輪34や複列外輪31が、正規の位置関係(図中に実線で描いた。)から大きな軸方向変位を生じたとき(図中に一点鎖線で描いた。)、シールド33の軸方向内側の端面35と、ころの端面36とが接触して、これら端面35、36が摩耗する可能性がある。これに対し、第一実施例に係る複列軸受では、インナー部品8の端面19と転動体3との接触が生じず、従来例のような摩耗が生じる懸念がない点で優れる。
また、第一実施例に係る複列軸受は、アウター部品7の表面硬度がHRC55以下になっているので、アウター部品7に良好な靭性を与え、アウター部品7の割れを防止することができる。
なお、第一実施例では、複列内輪1を列ごとに分割し、両端の輪部品4、4がそれぞれ軌道面6とつば部13とを有するものとしたが、複列内輪を他の分割構造にしてもよい。その一例としての第二実施例を図4に基づいて説明する。なお、以下では、第一実施例との相違点を述べるに留める。
第二実施例に係る複列内輪40は、中央の輪部品41と、両端の輪部品42、42とに分割されている。中央の輪部品41は、二列の軌道面43、43を有する円筒状のものとなっている。両端の輪部品42、42は、それぞれつば部44を有する。両端の輪部品42、42は、中央の輪部品41に軸方向に突き合せられている。二つのインナー部品8、8の各シールド部11、11と、両端の輪部品42、42との軸方向及び径方向の係止によって、複列内輪40と複列外輪2の分離が防止される。
前述の第一実施例や第二実施例では、インナー部品8を単にシールドとしたが、インナー部品を利用して複列内輪及び複列外輪間を密封するシールを設けることも可能である。その一例としての第三実施例を図5に基づいて説明する。
第三実施例に係る複列軸受は、複列内輪50の端の輪部品51に、軸方向に深さをもった周溝部52が形成されている。シールド部11の係止端面20は、周溝部52の内側に入り込んでおり、周溝部52の溝底面と軸方向に対向する。このため、シールド部11の係止端面20付近と端の輪部品51の周溝部52付近とが、軸方向に凹凸状の流路からなるラビリンスを形成しており、ここを通る流れの圧力損失を増大させ、潤滑剤の漏れ量を減少させる。このように、第三実施例に係る複列軸受は、シールド部11を利用して非接触シールを設けることができる。
第四実施例に係る複列軸受を図6に基づいて説明する。
第四実施例に係る複列軸受は、シールド部11に設けられたシールリップ61を有する。複列内輪60の端の輪部品62は、シールリップ61と接触する円筒面状のシール面63を有する。シールリップ61は、シールド部11の内径面21に付着しているシール材によって形成されている。シール材は、ゴムのような弾性をもったエラストマーからなる。シール材は、軸受用の接触シールとして一般的な各種材料を適宜に採用することができる。金属製のシールド部11は、芯金の役割を果たす。このように、第四実施例は、シールド部11を利用して接触シールを設けることができる。
なお、前述の各実施例では総ころ形複列円筒ころ軸受を例示したが、この発明は、他形式の複列軸受に採用してもよい。
図7に、前述の各実施例のいずれかに係る複列軸受Bを相手装置に取り付けた状態を例示する。図示の相手装置は、クレーンシーブ101の支持装置となっている。複列軸受Bは、支持軸100をクレーンシーブ101に対して回転自在に支持する。支持軸100は、一対のハウジング側板102の軸孔に通されている。一対のハウジング側板102は、ボルト103及びナット104によって軸方向の固定が強化されている。支持軸100は、一対のハウジング側板102に対して止め輪105によって抜け止めされている。複列軸受Bは、クレーンシーブ101ごとに対で配置されている。支持軸100に沿って複列軸受Bが軸方向に多数並んでいる。この軸受列は、一対のハウジング側板102によって軸方向の移動が規制されている。このため、個々の複列軸受Bは、隣接する他の複列軸受Bと、ハウジング側板102の外部部材によって固定される。複列軸受Bを支持軸100に取り付ける際、上述の係止による複列内輪と複列外輪の非分離性があるため、取り付けを容易化することができる。また、その軸受使用状態では、外部部品により、複列内輪が軸方向に固定されるため、その複列軸受Bにアキシアル荷重が作用した場合にも、インナー部品が軸方向に力を受けることがなく、シールド部が破壊されたり、インナー部品が抜けたりする懸念はない。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1、40、50、60 複列内輪
2 複列外輪
3 転動体
4、41、42、51、62 輪部品
5 環状空間
6、43 軌道面
7 アウター部品
8 インナー部品
9 外周
10 内周
11 シールド部
12 軌道面
13、44 つば部
14 端面
15 中つば部
16 端面
17 嵌め合い面
18 嵌め合い面
19 端面
20 係止端面
21 内径面
52 周溝部
61 シールリップ
63 シール面
B 複列軸受

Claims (10)

  1. 複列内輪と、複列外輪と、複列に配置された転動体とを備え、前記複列内輪が、軸方向に並ぶ二つ以上の輪部品に分割されている複列軸受において、
    前記複列外輪が、外周及び内周を有する金属製のアウター部品と、第一のシールド部及び軌道面を有する金属製の第一のインナー部品と、第二のシールド部及び軌道面を有する金属製の第二のインナー部品とに分割されており、
    前記第一のインナー部品及び第二のインナー部品が、それぞれ前記アウター部品の内周に対する圧入によって固定されており、
    前記第一のシールド部及び前記第二のシールド部が、それぞれ前記複列内輪の側方まで延びており、
    前記第一のシールド部及び前記第二のシールド部と、前記複列内輪の両端の前記輪部品との係止によって、前記複列内輪と前記複列外輪の分離を防ぐ係止構造をさらに備えることを特徴とする複列軸受。
  2. 前記第一のインナー部品及び前記第二のインナー部品と、前記アウター部品の内周とに嵌め合い面が形成されており、これら嵌め合い面が、軸方向に軸受内部側に向かって外径側に傾斜しており、
    前記アウター部品に固定前の状態での前記インナー部品の嵌め合い面の傾斜角度が、対応の前記アウター部品の嵌め合い面よりも大きく設定されている請求項1に記載の複列軸受。
  3. 前記転動体が、ころからなり、
    前記両端の輪部品が、それぞれ前記転動体を案内するつば部を有し、
    前記第一のシールド部及び前記第二のシールド部が、それぞれ対応の前記つば部から軸方向に軸受外部側へ離れている請求項1又は2に記載の複列軸受。
  4. 前記アウター部品が、前記転動体の列間に中つば部を有し、前記第一のインナー部品及び前記第二のインナー部品が、それぞれ前記中つば部に突き当てられている請求項3に記載の複列軸受。
  5. 前記両端の輪部品が、それぞれ前記複列内輪の軌道面と、前記つば部とを有する請求項3又は4に記載の複列軸受。
  6. 前記複列内輪が、軌道面を有する輪部品と、前記つば部を有する輪部品とに分割されている請求項3又は4に記載の複列軸受。
  7. 前記第一のインナー部品及び前記第二のインナー部品の各軌道面での表面硬度が、それぞれ前記アウター部品よりも高くなっている請求項1から6のいずれか1項に記載の複列軸受。
  8. 前記アウター部品の表面硬度が、HRC55以下になっている請求項1から7のいずれか1項に記載の複列軸受。
  9. 前記第一のシールド部及び前記第二のシールド部が、それぞれ前記輪部品と共にラビリンスを形成している請求項1から8のいずれか1項に記載の複列軸受。
  10. 前記第一のシールド部及び前記第二のシールド部が、それぞれシール材によって形成されたシールリップを有し、前記シールリップが、前記輪部品に接触している請求項1から8のいずれか1項に記載の複列軸受。
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