JP2017190272A - 分解構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、接合・固定された被接着体同士を容易かつ迅速に分解することができる分解構造を提供することである。【解決手段】基材の両面に粘着層を有し、少なくとも一面の粘着層が加熱剥離性粘着層である両面粘着体が一対の被接着体間に配置されてなる分解構造において、基材がカーボンナノチューブと、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類とを含有してなる発熱体であることを特徴とする分解構造。【選択図】図2
Description
本発明は、電気機器及び非電気機器の接合部や固定部を容易に分解することができる分解構造に関する。
近年、資源の再利用の要求が高まる傾向にあり、電気機器及び非電気機器を含む種々の分野において、機器を分解して構成材料ごとに分別回収している。例えば、電気機器としては、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、各種テレビジョン受像機、冷蔵庫、空調機、携帯電話、スマートフォン、コンピューター、計算機、バッテリー等が挙げられる。また、非電気機器としては、プリンタや複写機で使用されるトナーカートリッジやインクカートリッジ、ケーブルトレイ等が挙げられる。
これらの機器の外装である筺体は、ネジ、熱硬化性接着剤等で強固に接合されている。また、機器内部では、部品がネジ、熱硬化性接着剤等で強固に接合されている。そのため、資源の再利用のために分解するには、煩雑な作業が必要という課題があった。また、資源の再利用だけでなく、機器の修理をする場合においても、機器を分解する必要があるが、ネジ、熱硬化性接着剤で接合されている場合には、分解時に筐体や部品が破損するという問題があった(例えば、特許文献1及び2参照)。
これらの課題を解決するために、接合のために熱可塑性接着剤を使用し、機器を分解する際に加熱して、熱可塑性接着剤を軟化させる分解方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この方法では、熱硬化性接着剤よりも容易に分解できるが、熱硬化性接着剤の場合も、熱可塑性接着剤の場合も、筐体や部品に接着剤が残るため、再利用が難しくなるという課題があった。
この問題を解決するため、熱発泡剤含有粘着剤層が少なくとも基材の一方面に形成された両面粘着テープ又は両面粘着シートと、前記熱発泡剤含有粘着剤層を加熱して発泡させる発熱体と、前記粘着テープ又はシート、及び、発熱体を介して締結される一対の被接着体とを備えたことを特徴とする締結された被接着体同士を容易に解体することのできる解体構造、解体構造を有する電気機器及び非電気機器、並びに分解方法が提唱されている(例えば、特許文献3参照)
特許文献3では、発熱体として、金属フィルム、両面粘着テープなどを構成する樹脂性の基材に埋設される金属線、導電性カーボンのような導電性粒子を樹脂に練りこんだ導電性樹脂、金属粉を含有させた両面粘着テープなどの粘着剤層が挙げられている。しかし、これらの発熱体では、粘着剤層に含有されている熱発泡剤が熱膨張及び発泡する温度まで昇温する時間が長く、また、発熱体全体が均一に昇温しないため、熱膨張及び発泡が均一に起こらないなど、機器の分解がスムーズに行われず、分解に時間を要するという課題があった。
発熱体の厚みについて、特許文献3では発熱体の厚みについて記載はないが、カーボンブラックを用いた従来のシート状発熱体においては発熱体の厚みを500μmよりも厚くする必要があった(例えば、特許文献4参照)。このように、従来のシート状発熱体を用いる場合、解体構造を有する電気機器及び非電気機器の薄型化が困難になるという課題があった。
本発明の課題は、接合・固定された被接着体同士を容易かつ迅速に分解することができる分解構造を提供することである。
上記課題は、下記手段によって解決された。
(1)基材の両面に粘着層を有し、少なくとも一面の粘着層が加熱剥離性粘着層である両面粘着体と、発熱体とが、一対の被接着体間に配置されてなる分解構造において、発熱体がカーボンナノチューブと、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類とを含有してなることを特徴とする分解構造。
(2)基材の両面に粘着層を有し、少なくとも一面の粘着層が加熱剥離性粘着層である両面粘着体が一対の被接着体間に配置されてなる分解構造において、基材がカーボンナノチューブと、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類とを含有してなる発熱体であることを特徴とする分解構造。
(3)基材の両面に粘着層を有し、少なくとも一面の粘着層が加熱剥離性粘着層である両面粘着体が一対の被接着体間に配置されてなる分解構造において、両面粘着体の少なくとも一面の粘着層が、カーボンナノチューブと、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類とを含有してなる発熱体であることを特徴とする分解構造。
(4)発熱体が支持体と発熱層とを積層してなる構成を有する上記(1)又は(2)記載の分解構造。
(5)カーボンナノチューブ100質量部に対して、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類の総量が40〜80質量部である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の分解構造。
(6)グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類の平均粒子径が5μm以上である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の分解構造。
本発明(1)及び(2)の分解構造によれば、カーボンナノチューブと、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類とを含有してなる発熱体が加熱剥離性粘着層を均一かつ迅速に加熱するため、加熱剥離性粘着層の剥離性が均一かつ迅速に生じ、接合されている被接着体同士を容易かつ迅速に分解することができる。
本発明(3)の分解構造によれば、カーボンナノチューブと、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類とを含有してなる発熱体である粘着層が均一かつ迅速に加熱されると共に、当該発熱体が加熱剥離性粘着層を均一かつ迅速に加熱するため、加熱剥離性粘着層の剥離性が均一かつ迅速に生じ、接合されている被接着体同士を容易かつ迅速に分解することができる。
図1は、本発明(1)の分解構造の一例を示す概略断面図である。本発明(1)の分解構造では、基材3の両面に粘着層2を有し、少なくとも一面の粘着層2が加熱剥離性粘着層である両面粘着体5と、発熱体4とが、一対の被接着体1間に配置されてなる。そして、発熱体が、カーボンナノチューブと、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類とを含有してなることを特徴とする。
図2は、本発明(2)の分解構造の一例を示す概略断面図である。本発明(2)の分解構造では、基材3の両面に粘着層2を有し、少なくとも一面の粘着層2が加熱剥離性粘着層である両面粘着体5が一対の被接着体1間に配置されてなる。そして、基材3がカーボンナノチューブと、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類とを含有してなる発熱体であることを特徴とする。
図3は、本発明(3)の分解構造の一例を示す概略断面図である。本発明(3)の分解構造では、基材3の両面に粘着層2を有し、少なくとも一面の粘着層2が加熱剥離性粘着層である両面粘着体5が一対の被接着体1間に配置されてなる。そして、両面粘着体5の少なくとも一面の粘着層2がカーボンナノチューブと、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類とを含有してなる発熱体であることを特徴とする。
本発明において、発熱体がカーボンナノチューブと、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類とを含有してなることにより、発熱体は、カーボンナノチューブと、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類とが接続してなる層となる。これによって、通電が可能となり、通電により、カーボンナノチューブと、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類とがジュール熱を発生し、発熱体の温度が上昇する。この発熱体への通電により発生した熱で加熱剥離性粘着層が加熱され、剥離性が発現され、被接着体が分解可能となる。
本発明におけるカーボンナノチューブの製法には、CVD法、レーザー蒸発法、アーク放電法等がある。本発明においては、いずれの製法で製造されたカーボンナノチューブも使用できる。商業的には多層カーボンナノチューブを使用することが好ましい。また、繊維径は小さく、アスペクト比の大きい方が好ましい。特に平均繊維径が20nm以下で、アスペクト比が100以上のカーボンナノチューブが好ましい。市販されている多層カーボンナノチューブとしては、商品名NC−7000(Nanocyl社製、平均繊維径9.5nm、平均長さ1.5μm)、商品名K−Nanos 100P(Kumho Petrochemical社製、平均繊維径8〜15nm、長さ26μm)、商品名フローチューブFT9111(CNano社製、平均繊維径10〜15nm、長さ26μm)等が挙げられる。
本発明におけるグラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類の製法には、黒鉛の機械的剥離法やCVD法等がある。本発明においては、いずれの製法で製造されたグラフェン類でも使用できる。商業的にはグラフェンナノプレートレットを使用することが好ましい。市販されているグラフェンナノプレートレットとしては、例えば、XG Sciences社の商品名xGnP等が挙げられる。
本発明において、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類の量が、カーボンナノチューブ100質量部に対して40質量部よりも少ないと、発熱体の導電性が不足し、発熱が不十分となる場合がある。また、該グラフェン類の量が80質量部よりも多いと、該グラフェン類同士をつなぐカーボンナノチューブによる導電ネットワークが密に形成されず、発熱体の導電性が不足し、発熱が不十分となる場合がある。したがって、カーボンナノチューブ100質量部に対して、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれるグラフェン類の量が40〜80質量部であることが好ましく、60〜70質量部であることがより好ましい。
本発明において、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類の平均粒子径が5μmよりも小さいと、発熱体の導電性が不足し、発熱が不十分となる場合があるため、該平均粒子径は5μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましい。また、50μmよりも大きいとカーボンナノチューブによる導電ネットワークが阻害され、発熱体の導電性が不足し、発熱が不十分となるため、該平均粒子径は50μm以下が好ましい。なお、平均粒子径は、電子顕微鏡で観察して得られる粒子を面積が近似する円盤と見做して粒子径を計算し、任意の数十個のグラフェン類粒子の平均値である。
本発明において、発熱体が、メチルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩及びアルキレンマレイン酸共重合体塩からなる群から選ばれる少なくとも1種のアニオン性界面活性剤(A)と、水溶性キシラン、キサンタンガム類、グアーガム類、ジェランガム類及びカルボキシメチルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種の多糖類(B)とを含有してなることが好ましい。アニオン性界面活性剤(A)と多糖類(B)とを含有することによって次の効果が得られる。本発明(1)及び(2)では、発熱体と加熱剥離性粘着層との接着性に優れ、分解時に熱の伝導が良くなると共に、少なくとも被接着体が加熱剥離性粘着層から剥離するまで発熱体上に加熱剥離性粘着層を保持し得るという効果が得られる。本発明(3)では、加熱剥離性粘着層中におけるカーボンナノチューブ並びにグラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれるグラフェン類の分散性に優れ、加熱剥離性粘着層自身が速やかに発熱して剥離性を発現するという効果が得られる。本発明において、発熱体における、アニオン性界面活性剤(A)と多糖類(B)の質量比率(A:B)が1:0.25〜4であり、アニオン性界面活性剤(A)と多糖類(B)の総量が、カーボンナノチューブと、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類との総量100質量部に対して10〜90質量部であることが好ましく、20〜90質量部であることがより好ましい。この範囲内であると、上記効果がより発現しやすくなる。
メチルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩としては、例えばメチルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩が挙げられる。メチルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩としては、例えば花王の商品名デモール(登録商標)MSが挙げられる。ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩としては、例えばβ−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩が挙げられる。β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩としては、例えば花王の商品名デモール(登録商標)Nが挙げられる。アルキレンマレイン酸共重合体塩としては、例えばジイソブチレン・無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩が挙げられる。ジイソブチレン・無水マレイン酸重合体ナトリウム塩としては、例えば花王の商品名デモール(登録商標)EPが挙げられる。
水溶性キシランとしては、例えば有限会社IPE製の水溶性キシランが挙げられる。キサンタンガム類としては、例えばキサンタンガムは三菱商事フードテックの商品名XGTが挙げられる。グアーガム類としては、例えばカルボキシメチル化グアーガムが挙げられ、三晶の商品名メイプロイド870、840Dが挙げられる。ジェランガム類としては例えば、ジェランガムは三菱商事フードテックの商品名LG−10が挙げられる。カルボキシメチルセルロースとしては例えばシーピー・ケルコ社(CP Kelco社)の商品名FINNFIX10000Pが挙げられる。
本発明(1)又は(2)において、発熱体は、バインダーを含有してなることが好ましい。バインダーとしては、具体的にはアクリル系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、ポリウレタン共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、エチレン・酢ビ共重合体等の水分散樹脂、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、変性デンプン、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂が挙げられる。バインダーの含有量としては、カーボンナノチューブと、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類との総量100質量部に対して、固形分で20〜170質量部であることが好ましい。20質量部より少ないと、バインダー効果が不十分となり、170質量部より多いと、導電性が不足し、発熱体としての性能が低くなりすぎる場合がある。本発明においては、架橋剤を用いても良い。なお、カーボンナノチューブと、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類とを含有する分散液の調製に用いる上記多糖類は、本発明に係る発熱層に用いるバインダーとしても機能するので、バインダーとしての含有量に含める。また、架橋剤の含有量は、上記バインダーの含有量に含まれる。
本発明(1)又は(2)において、発熱体の取り扱い性が良くなることから、発熱体が支持体と発熱層とを積層してなる構成を有することが好ましい。また、発熱層は支持体の両面に配置されていても良い。支持体の片面に発熱層を有する場合、発熱層は加熱剥離性粘着層と対向するように配置するのが好ましい。更に、本発明(2)では、基材である発熱体が支持体と発熱層とを積層してなる構成を有することで、粘着層が双方とも加熱剥離性粘着層であり、支持体の片面に発熱層を有する場合、2つの加熱剥離性粘着層における熱の伝わり方が変わるため、2つの加熱剥離性粘着層の剥離順番を変えることができる。支持体としては、ポリエステル、ポリアミド、アラミド、ポリカーボネート等の合成樹脂製、セルロース誘導体等の半合成樹脂製のフィルムや孔質フィルム、不織布、織布、紙等が挙げられる。
本発明における基材としては、ポリエステル、ポリアミド、アラミド、ポリカーボネート等の合成樹脂製、セルロース誘導体等の半合成樹脂製等のフィルムや孔質フィルム、不織布、織布、紙等が挙げられる。
本発明において、発熱体は、支持体に線状、各種図形状に設けられたものでも良いし、発熱体自身がシート状であってもよいが、加熱剥離性粘着層への熱伝導の点を考慮すると、シート状であることが好ましい。
本発明において、発熱体、基材、粘着層、発熱層の厚みはそれぞれ1〜60μmであることが好ましい。本発明(1)において、発熱体が支持体を有さない場合の発熱体の厚みは10〜60μmが好ましく、発熱体が支持体と発熱層とを積層してなる構成を有する場合の発熱層の厚みは1〜20μmであることが好ましい。本発明(2)において、発熱体が支持体を有さない場合の発熱体の厚みは10〜60μmが好ましく、発熱体が支持体と発熱層とを積層してなる構成を有する場合の発熱層の厚みは1〜20μmであることが好ましい。本発明(3)において粘着層が発熱体である場合の粘着層の厚みは10〜60μmであることが好ましい。本発明における発熱体、基材、粘着層、発熱層は、薄くても高い発熱性を有するため、使用される電気機器及び非電気機器の薄型化や小型化に対応できる。
次に、カーボンナノチューブと、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類とを含有する発熱体の製造方法を説明する。カーボンナノチューブ、グラフェン、グラフェンナノプレートレットは非常に凝集しやすい性質を持っており、市販品等をそのまま発熱体の形成に使用しても、十分な導電特性等の効果を得ることが難しいため、発熱体を形成する前に、予めカーボンナノチューブと、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類とを分散処理することが好ましい。
本発明では、分散媒として水を用いることが好ましい。水にアニオン性界面活性剤(A)と、多糖類(B)とを加えて水溶液とし、更にこの水溶液にカーボンナノチューブと、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類とを加えて、超音波ホモジナイザー、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等の分散装置にて、カーボンナノチューブとグラフェン類とを分散させて、カーボンナノチューブとグラフェン類とを含有する水分散液を調製する。
最終的な、カーボンナノチューブとグラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類との水分散液中における濃度は5.5質量%以上であることが好ましい。一般的に、分散装置でカーボンナノチューブとグラフェン類を分散させる場合、あまり分散を促進させると、カーボンナノチューブが切断される場合や、カーボンナノチューブやグラフェン類が構造的なダメージを受ける場合がある。また、粘度が上がりすぎて、塗工等での取り扱いが困難となる場合がある。よって、適度な分散状態を維持する必要がある。分散状態は、メジアン径や粘度によって把握することができる。例えば、レーザー回折/散乱式粒子径測定装置(MT−3300EX;日機装製、LA−920;堀場製作所製、等)を使用して測定したメジアン径は、0.1〜80μmであることが好ましく、0.2〜50μmであることがより好ましい。また、粘度に関しては、ブルックフィールド粘度計を用い、23℃、60rpmで測定した場合の粘度が5000mPa・s以下であることが好ましい。粘度が5000mPa・sを超えてしまうと、バインダーを加えて塗工液としても粘度を下げることは困難となる。バインダーは、水溶性樹脂も使用できるが、水分散樹脂を使用することが好ましい。
カーボンナノチューブとグラフェン類とを含有する水分散液に、上記水溶性樹脂又は水分散樹脂を加え、撹拌機等で撹拌することにより、塗工液ができる。必要に応じて、増粘剤や消泡剤等、他の助剤を加えても構わない。
このようにして得られたカーボンナノチューブとグラフェン類とを含有する塗工液を発熱体に成型する方法として、ポリエステル、ポリアミド、アラミド、ポリカーボネート等の合成樹脂製のフィルム基材、セルロース誘導体等の半合成樹脂製のフィルム基材等の支持体に、塗工液を塗工し、乾燥させて支持体上に、カーボンナノチューブとグラフェン類とを含有する層を形成させる方法;多孔質フィルム、不織布、織布、紙など吸液性のある基材に塗工液を含浸させて、基材とカーボンナノチューブとグラフェン類とを含有する層とを一体化させる方法;剥離性のあるシート基材に塗工液を塗布し、乾燥後、シート基材を剥離して、カーボンナノチューブとグラフェン類とを含有する層のシートを形成する方法等が挙げられる。
加熱剥離性粘着層としては、例えば、加熱軟化型剥離性粘着層、加熱発泡型剥離性粘着層、加熱分解型剥離性粘着層等が挙げられる。基材の両面の粘着層が、共に加熱剥離性粘着層である場合、剥離性を発現する温度は同じであっても良いし、異なっていても良い。
加熱発泡型剥離性粘着層としては、粘着層が熱発泡剤を含有する粘着剤で構成されることが好ましい。粘着剤としては、アクリル系粘着剤が好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
本発明の実施例における物性等は以下の方法で測定・評価した。
(1)通電後の剥離速度
発熱体、基材、加熱剥離性粘着層、被接着体から成る分解構造における発熱体に通電を行い、加熱剥離性粘着層の剥離速度を目視で観察し、下記基準で評価した。なお、剥離速度は、通電してから加熱剥離性粘着層の熱膨潤が止まるまでの時間(秒)の逆数とした。
発熱体、基材、加熱剥離性粘着層、被接着体から成る分解構造における発熱体に通電を行い、加熱剥離性粘着層の剥離速度を目視で観察し、下記基準で評価した。なお、剥離速度は、通電してから加熱剥離性粘着層の熱膨潤が止まるまでの時間(秒)の逆数とした。
「×」通電しても温度が上昇せず加熱剥離性粘着層の熱膨潤も起こらず全く剥離しない。
「△」比較例1の剥離速度を1.0とした場合、剥離速度が1.0超2.0以下である。
「○」比較例1の剥離速度を1.0とした場合、剥離速度が2.0超3.0以下である。
「◎」比較例1の剥離速度を1.0とした場合、剥離速度が3.0超。
「△」比較例1の剥離速度を1.0とした場合、剥離速度が1.0超2.0以下である。
「○」比較例1の剥離速度を1.0とした場合、剥離速度が2.0超3.0以下である。
「◎」比較例1の剥離速度を1.0とした場合、剥離速度が3.0超。
(2)通電後の剥離の均一性
発熱体、基材、加熱剥離性粘着層、被接着体から成る分解構造における発熱体に通電を行い、加熱剥離性粘着層の剥離の均一性を目視で観察し、下記基準で評価した。
発熱体、基材、加熱剥離性粘着層、被接着体から成る分解構造における発熱体に通電を行い、加熱剥離性粘着層の剥離の均一性を目視で観察し、下記基準で評価した。
「×」加熱剥離性粘着層が全く剥離せず被接着体上に残っている。
「△」加熱剥離性粘着層の一部が剥離せず被接着体上に残っている。
「◎」加熱剥離性粘着層が全て剥離している。
「△」加熱剥離性粘着層の一部が剥離せず被接着体上に残っている。
「◎」加熱剥離性粘着層が全て剥離している。
(3)発熱層の厚み
ポリエステルフィルムに塗布・乾燥後の発熱層/ポリエステルフィルムの厚みを、厚み計を用いて測定し、得られた値からポリエステルフィルムの厚みを差し引いた値を発熱層の厚みとした。
ポリエステルフィルムに塗布・乾燥後の発熱層/ポリエステルフィルムの厚みを、厚み計を用いて測定し、得られた値からポリエステルフィルムの厚みを差し引いた値を発熱層の厚みとした。
(実施例1)
蒸留水82質量部に対して、アニオン性界面活性剤(A)としてジイソブチレン・無水マレイン酸重合体ナトリウム塩2.3質量部、多糖類(B)としてカルボキシメチルセルロース0.7質量部を添加し、攪拌機を用いて撹拌して水溶液を調製した。この水溶液に、多層カーボンナノチューブ(平均繊維径8〜15nm、長さ26μm)10質量部及びグラフェンナノプレートレット(直径25μm)5質量部を添加し、超音波分散機を用いて分散処理することによって、カーボンナノチューブとグラフェンナノプレートレットとを含有する分散液を得た。カーボンナノチューブ+グラフェンナノプレートレットとの総量100質量部に対してバインダーの固形分が85質量部となるように、バインダーである水系アクリルエマルション樹脂と上記分散液とを混合・撹拌し、カーボンナノチューブとグラフェンナノプレートレットとを含有する塗工液を得た。卓上自動バーコーターを用いて、支持体であるポリエステルフィルム(厚さ20μm)に上記塗工液を塗布・乾燥することによって、カーボンナノチューブとグラフェンナノプレートレットとを含有する発熱層(厚さ5μm)と支持体を積層してなる構成を有する発熱体を得た。得られた発熱体の両面に、アクリル系粘着剤と熱膨張性マイクロカプセルとを含有する加熱剥離性粘着層を設けることで、両面粘着体を得た。この両面粘着体の両面に被接着体を貼り付けることで分解構造を構築した。
蒸留水82質量部に対して、アニオン性界面活性剤(A)としてジイソブチレン・無水マレイン酸重合体ナトリウム塩2.3質量部、多糖類(B)としてカルボキシメチルセルロース0.7質量部を添加し、攪拌機を用いて撹拌して水溶液を調製した。この水溶液に、多層カーボンナノチューブ(平均繊維径8〜15nm、長さ26μm)10質量部及びグラフェンナノプレートレット(直径25μm)5質量部を添加し、超音波分散機を用いて分散処理することによって、カーボンナノチューブとグラフェンナノプレートレットとを含有する分散液を得た。カーボンナノチューブ+グラフェンナノプレートレットとの総量100質量部に対してバインダーの固形分が85質量部となるように、バインダーである水系アクリルエマルション樹脂と上記分散液とを混合・撹拌し、カーボンナノチューブとグラフェンナノプレートレットとを含有する塗工液を得た。卓上自動バーコーターを用いて、支持体であるポリエステルフィルム(厚さ20μm)に上記塗工液を塗布・乾燥することによって、カーボンナノチューブとグラフェンナノプレートレットとを含有する発熱層(厚さ5μm)と支持体を積層してなる構成を有する発熱体を得た。得られた発熱体の両面に、アクリル系粘着剤と熱膨張性マイクロカプセルとを含有する加熱剥離性粘着層を設けることで、両面粘着体を得た。この両面粘着体の両面に被接着体を貼り付けることで分解構造を構築した。
(実施例2)
蒸留水を80.8質量部とし、アニオン性界面活性剤(A)であるジイソブチレン・無水マレイン酸重合体ナトリウム塩を2.4質量部とし、多糖類(B)であるカルボキシメチルセルロースを0.8質量部とし、グラフェンナノプレートレット(直径25μm)を6質量部とした以外は、実施例1と同様の方法で、分解構造を構築した。
蒸留水を80.8質量部とし、アニオン性界面活性剤(A)であるジイソブチレン・無水マレイン酸重合体ナトリウム塩を2.4質量部とし、多糖類(B)であるカルボキシメチルセルロースを0.8質量部とし、グラフェンナノプレートレット(直径25μm)を6質量部とした以外は、実施例1と同様の方法で、分解構造を構築した。
(実施例3)
蒸留水を79.6質量部とし、アニオン性界面活性剤(A)であるジイソブチレン・無水マレイン酸重合体ナトリウム塩を2.6質量部とし、多糖類(B)であるカルボキシメチルセルロースを0.8質量部とし、グラフェンナノプレートレット(直径25μm)を7質量部とした以外は、実施例1と同様の方法で、分解構造を構築した。
蒸留水を79.6質量部とし、アニオン性界面活性剤(A)であるジイソブチレン・無水マレイン酸重合体ナトリウム塩を2.6質量部とし、多糖類(B)であるカルボキシメチルセルロースを0.8質量部とし、グラフェンナノプレートレット(直径25μm)を7質量部とした以外は、実施例1と同様の方法で、分解構造を構築した。
(実施例4)
グラフェンナノプレートレット(直径25μm)をグラフェンナノプレートレット(直径15μm)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、分解構造を構築した。
グラフェンナノプレートレット(直径25μm)をグラフェンナノプレートレット(直径15μm)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、分解構造を構築した。
(実施例5)
グラフェンナノプレートレット(直径25μm)をグラフェンナノプレートレット(直径15μm)に代えた以外は、実施例2と同様の方法で、分解構造を構築した。
グラフェンナノプレートレット(直径25μm)をグラフェンナノプレートレット(直径15μm)に代えた以外は、実施例2と同様の方法で、分解構造を構築した。
(実施例6)
グラフェンナノプレートレット(直径25μm)をグラフェンナノプレートレット(直径15μm)に代えた以外は、実施例3と同様の方法で、分解構造を構築した。
グラフェンナノプレートレット(直径25μm)をグラフェンナノプレートレット(直径15μm)に代えた以外は、実施例3と同様の方法で、分解構造を構築した。
(実施例7)
グラフェンナノプレートレット(直径25μm)をグラフェンナノプレートレット(直径5μm)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、分解構造を構築した。
グラフェンナノプレートレット(直径25μm)をグラフェンナノプレートレット(直径5μm)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、分解構造を構築した。
(実施例8)
グラフェンナノプレートレット(直径25μm)をグラフェンナノプレートレット(直径5μm)に代えた以外は、実施例2と同様の方法で、分解構造を構築した。
グラフェンナノプレートレット(直径25μm)をグラフェンナノプレートレット(直径5μm)に代えた以外は、実施例2と同様の方法で、分解構造を構築した。
(実施例9)
グラフェンナノプレートレット(直径25μm)をグラフェンナノプレートレット(直径5μm)に代えた以外は、実施例3と同様の方法で、分解構造を構築した。
グラフェンナノプレートレット(直径25μm)をグラフェンナノプレートレット(直径5μm)に代えた以外は、実施例3と同様の方法で、分解構造を構築した。
(比較例1)
蒸留水88質量部に対して、アニオン性界面活性剤(A)としてジイソブチレン・無水マレイン酸重合体ナトリウム塩1.5質量部、多糖類(B)としてカルボキシメチルセルロース0.5質量部を添加し、攪拌機を用いて撹拌して水溶液を調製した。この水溶液に、カーボンブラック10質量部添加し、超音波分散機を用いて分散処理することによって、カーボンブラックを含有する分散液を得た。カーボンブラック100質量部に対してバインダーの固形分が85質量部となるように、バインダーである水系アクリルエマルション樹脂と上記分散液とを混合・撹拌し、カーボンブラックを含有する塗工液を得た。卓上自動バーコーターを用いて、支持体であるポリエステルフィルム(厚さ25μm)に上記塗工液を塗布・乾燥することによって、カーボンブラックを含有する発熱層(厚さ25μm)と支持体を積層してなる構成を有する発熱体を得た。得られた発熱体の両面に、アクリル系粘着剤と熱膨張性マイクロカプセルとを含有する加熱剥離性粘着層を設けることで、両面粘着体を得た。この両面粘着体の両面に被接着体を貼り付けることで分解構造を構築した。
蒸留水88質量部に対して、アニオン性界面活性剤(A)としてジイソブチレン・無水マレイン酸重合体ナトリウム塩1.5質量部、多糖類(B)としてカルボキシメチルセルロース0.5質量部を添加し、攪拌機を用いて撹拌して水溶液を調製した。この水溶液に、カーボンブラック10質量部添加し、超音波分散機を用いて分散処理することによって、カーボンブラックを含有する分散液を得た。カーボンブラック100質量部に対してバインダーの固形分が85質量部となるように、バインダーである水系アクリルエマルション樹脂と上記分散液とを混合・撹拌し、カーボンブラックを含有する塗工液を得た。卓上自動バーコーターを用いて、支持体であるポリエステルフィルム(厚さ25μm)に上記塗工液を塗布・乾燥することによって、カーボンブラックを含有する発熱層(厚さ25μm)と支持体を積層してなる構成を有する発熱体を得た。得られた発熱体の両面に、アクリル系粘着剤と熱膨張性マイクロカプセルとを含有する加熱剥離性粘着層を設けることで、両面粘着体を得た。この両面粘着体の両面に被接着体を貼り付けることで分解構造を構築した。
(比較例2)
発熱層の厚さを5μmとした以外は、比較例1と同様の方法で、分解構造を構築した。
発熱層の厚さを5μmとした以外は、比較例1と同様の方法で、分解構造を構築した。
(比較例3)
カーボンブラックをグラフェンナノプレートレット(直径25μm)に代えた以外は、比較例1と同様の方法で、分解構造を構築した。
カーボンブラックをグラフェンナノプレートレット(直径25μm)に代えた以外は、比較例1と同様の方法で、分解構造を構築した。
(比較例4)
カーボンブラックをグラフェンナノプレートレット(直径25μm)に代え、発熱層の厚さを5μmとした以外は、比較例1と同様の方法で、分解構造を構築した。
カーボンブラックをグラフェンナノプレートレット(直径25μm)に代え、発熱層の厚さを5μmとした以外は、比較例1と同様の方法で、分解構造を構築した。
(比較例5)
カーボンブラックをカーボンナノチューブ(平均繊維径8〜15nm、長さ26μm)とし、発熱層の厚さを5μmとした以外は、比較例1と同様の方法で、分解構造を構築した。
カーボンブラックをカーボンナノチューブ(平均繊維径8〜15nm、長さ26μm)とし、発熱層の厚さを5μmとした以外は、比較例1と同様の方法で、分解構造を構築した。
(実施例10)
蒸留水を85.6質量部とし、アニオン性界面活性剤(A)であるジイソブチレン・無水マレイン酸重合体ナトリウム塩を1.8質量部とし、多糖類(B)であるカルボキシメチルセルロースを0.6質量部とし、グラフェンナノプレートレット(直径25μm)を2質量部とした以外は、実施例1と同様の方法で、分解構造を構築した。
蒸留水を85.6質量部とし、アニオン性界面活性剤(A)であるジイソブチレン・無水マレイン酸重合体ナトリウム塩を1.8質量部とし、多糖類(B)であるカルボキシメチルセルロースを0.6質量部とし、グラフェンナノプレートレット(直径25μm)を2質量部とした以外は、実施例1と同様の方法で、分解構造を構築した。
(実施例11)
蒸留水を76質量部とし、アニオン性界面活性剤(A)であるジイソブチレン・無水マレイン酸重合体ナトリウム塩を3質量部とし、多糖類(B)であるカルボキシメチルセルロースを1質量部とし、グラフェンナノプレートレット(直径25μm)を10質量部とした以外は、実施例1と同様の方法で、分解構造を構築した。
蒸留水を76質量部とし、アニオン性界面活性剤(A)であるジイソブチレン・無水マレイン酸重合体ナトリウム塩を3質量部とし、多糖類(B)であるカルボキシメチルセルロースを1質量部とし、グラフェンナノプレートレット(直径25μm)を10質量部とした以外は、実施例1と同様の方法で、分解構造を構築した。
(実施例12)
グラフェンナノプレートレット(直径25μm)をグラフェンナノプレートレット(直径2μm)に代えた以外は、実施例2と同様の方法で、分解構造を構築した。
グラフェンナノプレートレット(直径25μm)をグラフェンナノプレートレット(直径2μm)に代えた以外は、実施例2と同様の方法で、分解構造を構築した。
(実施例13)
基材として厚さ25μmのポリエステルフィルムの両面に、アクリル系粘着剤と熱膨張性マイクロカプセルとを含有する加熱剥離性粘着層を設けることで、両面粘着体を得た。次に、実施例1で作製したカーボンナノチューブとグラフェンナノプレートレットとを含有する発熱層(厚さ5μm)と支持体を積層してなる構成を有する発熱体を用い、支持体の発熱層と反対面にアクリル系粘着剤と熱膨張性マイクロカプセルとを含有する加熱剥離性粘着層を設けた。これらのシートを被接着体、両面粘着体、発熱層、支持体、加熱剥離性粘着層、被接着体の順で積層させる分解構造を構築した。
基材として厚さ25μmのポリエステルフィルムの両面に、アクリル系粘着剤と熱膨張性マイクロカプセルとを含有する加熱剥離性粘着層を設けることで、両面粘着体を得た。次に、実施例1で作製したカーボンナノチューブとグラフェンナノプレートレットとを含有する発熱層(厚さ5μm)と支持体を積層してなる構成を有する発熱体を用い、支持体の発熱層と反対面にアクリル系粘着剤と熱膨張性マイクロカプセルとを含有する加熱剥離性粘着層を設けた。これらのシートを被接着体、両面粘着体、発熱層、支持体、加熱剥離性粘着層、被接着体の順で積層させる分解構造を構築した。
(実施例14)
実施例1で調製したカーボンナノチューブとグラフェンナノプレートレットとを含有する分散液に、更にアクリル系粘着剤と熱膨張性マイクロカプセルを添加し、カーボンナノチューブ及びグラフェンナノプレートレット並びに粘着剤を含有する分散液を得た。卓上自動バーコーターを用いて、基材であるポリエステルフィルム(厚さ25μm)の両面に上記分散液を塗布・乾燥することによって、基材の両面にカーボンナノチューブとグラフェンナノプレートレットとを含有する加熱剥離性粘着層(厚さ20μm)を有する両面粘着体を得た。この両面粘着体の両面に被接着体を貼り付けることで分解構造を構築した。
実施例1で調製したカーボンナノチューブとグラフェンナノプレートレットとを含有する分散液に、更にアクリル系粘着剤と熱膨張性マイクロカプセルを添加し、カーボンナノチューブ及びグラフェンナノプレートレット並びに粘着剤を含有する分散液を得た。卓上自動バーコーターを用いて、基材であるポリエステルフィルム(厚さ25μm)の両面に上記分散液を塗布・乾燥することによって、基材の両面にカーボンナノチューブとグラフェンナノプレートレットとを含有する加熱剥離性粘着層(厚さ20μm)を有する両面粘着体を得た。この両面粘着体の両面に被接着体を貼り付けることで分解構造を構築した。
実施例1〜14と比較例1〜5の比較から、カーボンブラックのみの場合、グラフェンナノプレートレットのみの場合、カーボンナノチューブのみの場合は、十分な剥離速度と剥離の均一性を得ることができないのに対し、発熱体が、カーボンナノチューブと、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類とを含有してなることによって、発熱層の厚みが5μmという非常に薄い場合であっても、剥離速度が速く、剥離の均一性の良好な分解構造を構築することができる。
実施例1〜11の比較から、カーボンナノチューブ100質量部に対して、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類の量が40〜80質量部である実施例1〜9では、より剥離速度の速い分解構造を構築することができる。
実施例2、5、8及び12の比較から、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類の直径が5μm以上である実施例2、5及び8では、より剥離速度の速い分解構造を構築することができる。
本発明は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、各種テレビジョン受像機、冷蔵庫、空調機、携帯電話、スマートフォン、コンピューター、計算機、バッテリー等の電気機器やプリンタや複写機で使用されるトナーカートリッジやインクカートリッジ、ケーブルトレイ等の非電気機器に利用可能である。これらの機器に適用することによって、従来よりも製品の厚みを薄くすることができる。また、剥離速度の速さと良好な剥離の均一性によって、迅速かつ容易に機器を分解することができる。
1 被接着体
2 粘着層
3 基材
4 発熱体
5 両面粘着体
2 粘着層
3 基材
4 発熱体
5 両面粘着体
Claims (6)
- 基材の両面に粘着層を有し、少なくとも一面の粘着層が加熱剥離性粘着層である両面粘着体と、発熱体とが、一対の被接着体間に配置されてなる分解構造において、発熱体がカーボンナノチューブと、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類とを含有してなることを特徴とする分解構造。
- 基材の両面に粘着層を有し、少なくとも一面の粘着層が加熱剥離性粘着層である両面粘着体が一対の被接着体間に配置されてなる分解構造において、基材がカーボンナノチューブと、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類とを含有してなる発熱体であることを特徴とする分解構造。
- 基材の両面に粘着層を有し、少なくとも一面の粘着層が加熱剥離性粘着層である両面粘着体が一対の被接着体間に配置されてなる分解構造において、両面粘着体の少なくとも一面の粘着層が、カーボンナノチューブと、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類とを含有してなる発熱体であることを特徴とする分解構造。
- 発熱体が支持体と発熱層とを積層してなる構成を有する請求項1または2記載の分解構造。
- カーボンナノチューブ100質量部に対して、グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類の量が40〜80質量部である請求項1〜4のいずれかに記載の分解構造。
- グラフェン及びグラフェンナノプレートレットからなる群から選ばれる少なくとも1種のグラフェン類の平均粒子径が5μm以上である請求項1〜5のいずれかに記載の分解構造。
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2016
- 2016-04-15 JP JP2016082019A patent/JP2017190272A/ja active Pending
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