JP2017188802A - 漏洩同軸ケーブル - Google Patents

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【課題】難燃剤が添加されたシースを有する漏洩同軸ケーブルにおいて、減衰量を抑制しつつ、耐熱性能を高めるための技術を提供する。【解決手段】漏洩同軸ケーブルは、内部導体と、内部導体の外周上に配置された絶縁層と、絶縁層の外周上に配置された外部導体と、外部導体の外周上に配置され、難燃剤が添加された発泡難燃樹脂組成物で形成された発泡難燃シースと、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、漏洩同軸ケーブルに関する。
漏洩同軸ケーブル(LCX)は、一般の同軸ケーブルとアンテナ両者の特長を併せ持つケーブルであり、外部導体上に電磁波を放射するためのスロットを有する。漏洩同軸ケーブル内を伝送される電磁波の一部がスロットから放射され、外部空間にケーブル軸に沿って電磁界が形成される。これにより、移動体と固定局間の通信が可能となる。近年、通信速度の向上等を目的として、漏洩同軸ケーブルの使用周波数は高まる傾向にある。
漏洩同軸ケーブルが地下鉄や道路トンネルなどに敷設される場合、消防庁の耐熱試験に合格する必要がある(漏洩同軸ケーブルの耐熱試験について、例えば特許文献1参照)。漏洩同軸ケーブルのシースには、難燃性を高めるために難燃剤が添加されることがある。
特開平3−82204号公報
漏洩同軸ケーブルは、電磁波を積極的に漏洩させるものではあるが、同軸ケーブルとしての性能を保つために、伝送信号の減衰量は過大にならないことが望まれる。また、漏洩同軸ケーブルは、耐熱試験に合格するために、高い耐熱性能を有することが望まれる。
本願発明者の研究によれば、詳細は後述するように、難燃剤が添加されたシースを有する漏洩同軸ケーブルでは、特に、使用周波数が高くなった場合において、減衰量を抑制しつつ、耐熱性能を高めることが難しいとの知見が得られている。
本発明の一目的は、難燃剤が添加されたシースを有する漏洩同軸ケーブルにおいて、減衰量を抑制しつつ、耐熱性能を高めるための技術を提供することである。
本発明の一観点によれば、
内部導体と、
前記内部導体の外周上に配置された絶縁層と、
前記絶縁層の外周上に配置された外部導体と、
前記外部導体の外周上に配置され、難燃剤が添加された発泡難燃樹脂組成物で形成された発泡難燃シースと、
を有する漏洩同軸ケーブル
が提供される。
難燃剤が添加されたシースを有する漏洩同軸ケーブルにおいて、減衰量を抑制しつつ、耐熱性能を高めることができる。
図1(a)および図1(b)は、それぞれ、本発明の一実施形態による漏洩同軸ケーブルの概略側面図および概略断面図である。 図2(a)および図2(b)は、それぞれ、一実施形態による漏洩同軸ケーブルの、絶縁層の形成工程までを示す概略図、および、漏洩同軸ケーブルを完成させる工程までを示す概略図である。 図3(a)は、耐熱試験方法を示す概略図であり、図3(b)は、耐熱試験における温度上昇曲線を示すグラフである。
まず、漏洩同軸ケーブルの減衰量と耐熱性能について本願発明者が得た知見について説明する。
漏洩同軸ケーブルのシースには、難燃性を高めるために、難燃剤として例えば金属水酸化物が添加されることがある。難燃剤の添加により、シースに起因する誘電体損失が増える。
一方、例えば従来無線で使用されていた450MHzから今後携帯電話等での使用が増えると見込まれる2GHz以上へと、使用周波数が高まることで、漏洩同軸ケーブルからの電磁波の漏洩が増え、伝送信号の減衰量が増える。
したがって、シースに難燃剤が添加されていることに加え、使用周波数が高まることで、減衰量が過大となって、漏洩同軸ケーブルの同軸ケーブルとしての性能が低下することが懸念される。
本願発明者は、難燃剤の添加されたシースの厚さを薄くすることを試みたところ、シースに起因する減衰量を低減できるとの知見を得た。しかしながら、シースを薄くすることで減衰量を低減できるものの、シースを薄くすることに起因して、高い耐熱性能を得ることが難しくなるとの知見も得られた。薄くしたシースは、難燃剤添加により燃焼はしないものの、耐熱試験の際にベース樹脂が容易に溶融してシースとしての機能を失う。このため、漏洩同軸ケーブルは、耐熱試験に合格できなくなる。
このように、難燃剤が添加されたシースを有する漏洩同軸ケーブルでは、特に、使用周波数が高くなった場合において、減衰量を抑制しつつ、耐熱性能を高めることが難しいとの知見が得られた。
以上のような知見を踏まえ、以下に説明するように、本願発明者は、難燃剤が添加されたシースを有する漏洩同軸ケーブルにおいて、減衰量を抑制しつつ、耐熱性能を高めるための技術を提案する。
図1(a)および図1(b)を参照して、本発明の一実施形態による漏洩同軸ケーブル100の構成について説明する。図1(a)は、漏洩同軸ケーブル100の概略側面図であり、端部を段剥きにした状態を示す。図1(b)は、漏洩同軸ケーブル100の概略断面図である。
漏洩同軸ケーブル100は、内部導体10、絶縁層20、耐熱テープ層30、外部導体40、押えテープ層50、シース60、およびメッセンジャワイヤ70を有する。
内部導体10としては、例えばパイプ状の導体、例えば、銅ストレートパイプやスパイラル形状パイプが用いられる。
内部導体10の外周上に、絶縁層20が配置されている。絶縁層20は、漏洩同軸ケーブル100の誘電体損失低減や軽量化等のために、発泡樹脂組成物で形成されていることが好ましい。絶縁層20を形成する発泡樹脂組成物のベース樹脂としては、例えばポリオレフィン系樹脂が用いられ、より具体的には、例えばポリエチレンが用いられる。
絶縁層20の外周上に、耐熱テープを巻くことで形成された耐熱テープ層30が配置されている。耐熱テープ層30に用いられる耐熱テープとしては、例えばカプトンテープが挙げられる。
耐熱テープ層30の外周上に、外部導体40が配置されている。外部導体40は、スロット41を有しており、外部に漏洩電磁波101が放射されることが可能となっている。外部導体40は、例えば、スロット付き銅テープやスロット付アルミテープ等の導体テープにより形成される。なお、プリーツ形状を付けたテープを用いてもよい。
外部導体40の外周上に、押えテープを巻くことで形成された押えテープ層50が配置されている。押えテープ層50に用いられる押えテープとしては、例えばポリエチレンテレフタレートテープが挙げられる。
押えテープ層50の外周上に、シース(発泡難燃シース)60が配置されている。シース60に、メッセンジャワイヤ70が取り付けられている。
シース60は、難燃剤が添加された(難燃剤を含有する)発泡難燃樹脂組成物により形成されている。つまり本実施形態においては、シース60が発泡材料で形成されている。このようなシース60を用いることで、発泡材料で形成されていないシースを用いる場合と比べて、減衰量を抑制しつつ、耐熱性能を高めることができる。このことは、概略的には例えば以下のような考え方で理解される。
難燃剤が添加されたシースによる誘電体損失の多寡は、概ね、シースの厚さ方向に含まれる難燃剤の量の多寡に依存する。そこで上述のように、シースの厚さを薄くすることで、シースの厚さ方向に含まれる難燃剤の量を減少させて、減衰量を減少させることができる。しかしながら、また上述のように、シースが薄くなりすぎると、シースのベース樹脂が容易に溶融してしまい、高い耐熱性能が得られなくなる。
ここで、減衰量が過大とならない程度の厚さを有するシースを、発泡させることを考える。発泡により、シースの厚さは厚くなるが、難燃剤の量は増えないので、シースに起因する減衰量は増加しない。また発泡により、シースの断熱性が高まるので、ベース樹脂の溶融が抑制される。つまり、シースの耐熱性能が高まる。
このように、シース60を発泡材料で形成し、発泡難燃シースとして構成することで、減衰量を抑制しつつ、耐熱性能を高めることができる。
なお、シース60を形成する材料を発泡させても、ベース樹脂に対する難燃剤の添加量は変わらない。つまり、シース60の難燃性は、発泡により損なわれない。
シース60を形成する発泡難燃樹脂組成物のベース樹脂としては、例えばポリオレフィン系樹脂が用いられ、より具体的には、例えば、ポリエチレンやエチレン系共重合体が用いられる。ポリエチレンとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等が用いられる。エチレン系共重合体としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)やエチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)等が用いられる。
シース60を形成する発泡難燃樹脂組成物の難燃剤としては、有毒ガスが発生しないことからノンハロゲン難燃剤が好ましく、例えば金属水酸化物が用いられる。金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等が用いられる。難燃剤の添加量は、所望の難燃性が得られる範囲内で適宜調整されていればよい。
シース60を形成する発泡難燃樹脂組成物を発泡させる手段は、特に限定されず、窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガスを発泡剤とする物理発泡、および、アゾジカルボンアミド(ADCA)、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)等の化学発泡剤による化学発泡のどちらを用いてもよい。発泡時の気泡径を微細にコントロール可能という観点からは、化学発泡を用いることが好ましい。
なお、シース60を形成する発泡難燃樹脂組成物の発泡度は、耐熱性能等について所望の特性が得られる範囲内で適宜調整されていればよいが、1つの目安としては、例えば、20%以上50%以下であることが好ましい。発泡度が高くなりすぎると、シース60の引張強さ等の機械的特性が低下する。発泡度は、例えば、発泡剤の量で調整することができる。
ここで、「発泡度」は、
発泡度(%)=100 −(発泡後の比重/発泡前の比重)×100
という式により求められる。
なお、発泡後の比重、発泡前の比重は、例えば、東洋精機製自動比重計D−H−100を用い、JIS Z8807に従って測定するとよい。
なお、シース60を形成する発泡難燃樹脂組成物の最大気泡径は、耐熱性能等について所望の特性が得られる範囲内で適宜調整されていればよいが、1つの目安としては、例えば、20μm以下であることが好ましい。最大気泡径が大きくなりすぎると、シース60の伸び等の機械的特性が低下する。最大気泡径は、例えば、シース60を押出成形する際のヘッド温度で調整することができる。
なお、シース60を形成する発泡難燃樹脂組成物には、必要に応じて、その他の添加剤、例えば、酸化防止剤や耐候剤等が添加されていてもよい。これらは、シース60の特性を損なわない範囲で含有させることができる。
次に、図2(a)および図2(b)を参照して、実施形態による漏洩同軸ケーブル100の製造方法の一例について説明する。図2(a)は、絶縁層20の形成工程までを示す概略図であり、図2(b)は、その後、漏洩同軸ケーブル100を完成させる工程までを示す概略図である。
図2(a)を参照する。内部導体(心線)10の送り出し機、伸線機、心線加熱機をまとめて、心線準備装置200と呼ぶこととする。心線準備装置200から内部導体10を送り出す。
発泡剤(ガス)注入ポンプ211を有する発泡押し出し機210に、ベース樹脂と発泡核剤とを供給し、発泡押し出し機210により、内部導体10の外周上に、絶縁層20を形成する。内部導体10上に絶縁層20までが形成された漏洩同軸ケーブル100Aを、巻き取りドラム220に巻き取る。
図2(b)を参照する。巻き取りドラム230から、絶縁層20までが形成された段階の漏洩同軸ケーブル100Aを送り出す。
耐熱テープ巻き機240により、絶縁層20の外周上に、耐熱テープを巻いて耐熱テープ層30を形成する。外部導体縦添え機250により、耐熱テープ層30の外周上に、導体テープを巻いて外部導体40を形成する。押えテープ巻き機260により、外部導体40の外周上に、押えテープを巻いて押えテープ層50を形成する。
シース押し出し機280に、ベース樹脂および難燃剤を含む材料と、化学発泡剤マスターバッチとを供給し、シース押し出し機280により、押えテープ層50の外周上に、シース60を形成する。この際、シース押し出し機280の手前でメッセンジャワイヤ供給機270から供給されたメッセンジャワイヤ70を、平行に配して、メッセンジャワイヤ70を同時に被覆することで、漏洩同軸ケーブル100を完成させる。漏洩同軸ケーブル100を、巻き取りドラム290に巻き取る。このようにして、漏洩同軸ケーブル100が作製される。
次に、図3(a)および図3(b)を参照して、実施形態による漏洩同軸ケーブル100に対する耐熱試験について説明する。この耐熱試験は、消防法施行規則(昭和三十六年自治省令第六号)第十二条第一項第五号ロただし書の規定に基づく「耐熱電線の基準」(平成九年十二月十八日 消防庁告示第十一号)に準拠したものである。図3(a)は、耐熱試験方法を示す概略図であり、図3(b)は、耐熱試験における温度上昇曲線を示すグラフである。
この耐熱試験では、図3(a)に示すように、漏洩同軸ケーブル100の長さ1.3mの試験片をケーブル固定板300に固定し、試験片中央部に荷重310を加えるとともに、試験片の両端に設けられたコネクタ110を介して内部導体10と外部導体40との間に電源320から600V、50Hzの交流を印加した状態で、炎330により試験片を加熱する。
荷重310は、試験片とした漏洩同軸ケーブル100の自重の2倍である。また、加熱は、図3(b)に示すように、JIS 1304に規定される耐火試験の加熱曲線、すなわち、30分で室温から840℃まで加熱する曲線の、1/2の曲線、すなわち、30分で室温から420℃まで加熱する曲線にしたがって行う。
以上説明したように、漏洩同軸ケーブル100のシース60を、難燃剤が添加された発泡難燃樹脂組成物で形成することで、つまり発泡材料で形成することで、発泡材料で形成されていないシースを用いる場合と比べて、減衰量を抑制しつつ、耐熱性能を高めることができる。
減衰量は、使用周波数が高い場合、例えば2GHz以上である場合に顕著に増える。このため、難燃剤が添加された発泡難燃樹脂組成物で形成されたシース60を用いることは、例えば2GHz以上の高い使用周波数で用いられる漏洩同軸ケーブル100において、より好ましい。なお、必要に応じて、このようなシース60を、使用周波数が2GHzより低い場合に用いてもよい。
実施例として、ベース樹脂であるポリエチレンもしくはエチレン系共重合体に、難燃剤として金属水酸化物を添加し、発泡剤としてADCA、OBSH、もしくはこれらの混合物を添加し、酸化防止剤を添加した発泡難燃樹脂組成物により、シースのサンプルを作製した。酸化防止剤としては、イオウ系酸化防止剤またはヒンダートフェノール系酸化防止剤を用いた。表1に、発泡難燃樹脂組成物の配合例を示す。
表1に配合例を示したサンプルについて、発泡させてもシースに適した機械的特性が得られるかどうか調べるために、JIS C 3005に準拠して引張試験を行ったところ、引張強さは10MPa以上の基準を満たすとともに、伸びは350%以上の基準を満たしていた。サンプルの発泡度は30%であり、最大気泡径は20μmであった。
以上、実施形態に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
以下、本発明の好ましい形態について付記する。
(付記1)
内部導体と、
前記内部導体の外周上に配置された絶縁層と、
前記絶縁層の外周上に配置された外部導体と、
前記外部導体の外周上に配置され、難燃剤が添加された発泡難燃樹脂組成物で形成された発泡難燃シースと、
を有する漏洩同軸ケーブル。
(付記2)
使用周波数が2GHz以上である付記1に記載の漏洩同軸ケーブル。
(付記3)
前記発泡難燃樹脂組成物の発泡度は、50%以下である付記1または2に記載の漏洩同軸ケーブル。
(付記4)
前記発泡難燃樹脂組成物の最大気泡径は、20μm以下である付記1〜3のいずれか1つに記載の漏洩同軸ケーブル。
10 内部導体
20 絶縁層
30 耐熱テープ層
40 外部導体
41 スロット
50 押えテープ層
60 シース(発泡難燃シース)
70 メッセンジャワイヤ
100 漏洩同軸ケーブル
101 漏洩電磁波

Claims (1)

  1. 内部導体と、
    前記内部導体の外周上に配置された絶縁層と、
    前記絶縁層の外周上に配置された外部導体と、
    前記外部導体の外周上に配置され、難燃剤が添加された発泡難燃樹脂組成物で形成された発泡難燃シースと、
    を有する漏洩同軸ケーブル。
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