イーサネット(登録商標)のインタフェース速度の高速化が、通信需要の増大とともに進んでいる。1リンク当たり1Mb/sクラスの低速なインタフェースから、1リンク当たり100Gb/sクラスの高速なインタフェースまで、通信回線の高速化の需要とともに多様な速度のインタフェースが標準化された。
将来の通信回線の高速化の需要に対応するため、マルチレーン伝送システムが検討されている(非特許文献1参照)。マルチレーン伝送システムは、並列に配線された複数の伝送路(マルチレーン)にクライアントデータを割り当てることによって、通信回線の高速化を実現する。
図22は、マルチレーン伝送システムの通信方式の概要を示す図である。マルチレーン伝送システムでは、伝送路データ生成部200は、1台以上のクライアント装置100のクライアントデータを、1本以上の伝送路300を介して、伝送路データ分離部400に転送する。クライアント装置100のクライアントデータの伝送速度は、クライアント装置100ごとに異なっていてもよい(例えば、10Gb/s〜100Gb/s)。伝送路300では、一律な伝送速度(例えば、100Gb/s)で転送される。伝送路300の本数は、クライアント装置100の台数や、クライアントデータの伝送速度には依存しない。
送信装置(送信ノード)の伝送路データ生成部200は、クライアント装置100−1〜100−5のクライアントデータを、固定長のデータブロックに分割する。伝送路データ生成部200は、予め定められた方法でクライアントデータのデータブロックを多重化する。同じクライアント装置100のクライアントデータのデータブロックは、複数の伝送路300に分散されてもよい。
伝送路データ生成部200は、ブロックマッピング情報を伝送路300ごとに生成する。ブロックマッピング情報とは、伝送路データにおけるデータブロックの配置(マッピング)を表す情報である。データブロックの配置は、伝送路データの先頭を基準としたブロック位置と、クライアントデータの先頭を基準としたブロック位置との対応関係によって表される。ブロック位置の対応関係は任意である。伝送路データ生成部200は、一定数のデータブロックを伝送路300−1〜300−3に割り当てることによって、伝送路300ごとに伝送路データを生成する。
伝送路データ(主信号)における、クライアントデータのデータブロック(以下、「クライアントデータブロック」という。)の列には、オーバーヘッドデータブロックが定期的に挿入される。オーバーヘッドデータブロックは、ブロックマッピング情報を格納することが可能である。伝送路データ生成部200は、ブロックマッピング情報を含むオーバーヘッドデータブロックと伝送路データのクライアントデータブロックの列とを、周期的に受信装置に送信する。
なお、マルチレーン伝送システムを制御するネットワーク制御装置は、ブロックマッピング情報を生成してもよい。ネットワーク制御装置は、ブロックマッピング情報を送信装置及び受信装置に送信してもよい。
受信装置(受信ノード)の伝送路データ分離部400は、複数の伝送路300の伝送路データを、ブロック単位で分離多重する。伝送路データ分離部400は、分離多重された伝送路データとブロックマッピング情報とに基づいて、クライアントデータを復元する。
図23は、従来のマルチレーン伝送システムの構成の第1例を示す図である。図23では、マルチレーン伝送システムは、送信装置(送信ノード)と、受信装置(受信ノード)とを備える。送信装置は、伝送路データにおけるクライアントデータブロックの列に挿入されたオーバーヘッドデータブロック(オーバーヘッド領域)を用いて、ブロックマッピング情報を受信装置に送信する。
図23では、送信装置は、複数のブロック分割部と、複数のバッファメモリと、伝送路データ生成部200と、複数のオーバーヘッド挿入部とを備える。ブロック分割部は、クライアントデータをクライアント装置から取得する。ブロック分割部は、クライアントデータを固定長の複数のクライアントデータブロックに分割する。ブロック分割部は、複数のクライアントデータブロックを、送信装置のバッファメモリに記憶させる。これによって、送信装置のバッファメモリは、クライアント装置ごとのクライアントデータの伝送速度の違いを吸収することができる。
伝送路データ生成部200は、伝送路300のクロックに同期して、クライアントデータブロックをバッファメモリから取得する。伝送路データ生成部200は、定められたブロック位置にクライアントデータブロックを配置することによって、伝送路300ごとに伝送路データを生成する。
オーバーヘッド挿入部は、オーバーヘッドデータブロックにブロックマッピング情報を格納する。オーバーヘッド挿入部は、伝送路データを用いてブロックマッピング情報を受信装置に通知する場合、伝送路データにおけるクライアントデータブロックの列にオーバーヘッドデータブロックを挿入する。オーバーヘッド挿入部は、クライアントデータブロックの列とオーバーヘッドデータブロックとを含む伝送路データを受信装置に送信する。
受信装置は、複数のオーバーヘッド分離部と、伝送路データ分離部400と、複数のバッファメモリと、複数のブロック結合部とを備える。オーバーヘッド分離部は、伝送路データのデータブロック同士を分離する。オーバーヘッド分離部は、オーバーヘッドデータブロックからブロックマッピング情報を抽出する。
伝送路データ分離部400は、伝送路データのデータブロックを分離する。伝送路データ分離部400は、ブロックマッピング情報に基づいて、クライアントデータブロックの列を復元する。伝送路データ分離部400は、宛先のクライアント装置ごとに、受信装置のバッファメモリにクライアントデータのブロックの列を記憶させる。ブロック結合部は、クライアントデータブロックの列を結合することによって、クライアントデータを復元する。
図24は、ブロックマッピング情報を格納したオーバーヘッドデータブロックを示す図である。オーバーヘッドデータブロックは、ブロックマッピング情報を格納する。オーバーヘッドデータブロックは、制御情報を更に格納してもよい。伝送路データには、ブロック位置が定められている。伝送路データにおいて、6個のクライアントデータブロックごとに1個のオーバーヘッドデータブロックが挿入される。
図24の上段に示すように、データブロックのデータ長が十分な長さである場合、1個のオーバーヘッドデータブロックは、6個のクライアントデータブロックのブロック位置に関するブロックマッピング情報を格納することができる。図24の下段に示すように、データブロックのデータ長が十分な長さでない場合、1個のオーバーヘッドデータブロックは、マルチフレーム構成に基づいて、1個のクライアントデータブロックのブロック位置に関するブロックマッピング情報を格納することができる。
受信装置は、周期的に取得したオーバーヘッドデータブロックから、ブロックマッピング情報を周期的に抽出する。受信装置は、ブロックマッピング情報に基づいて、伝送路データからクライアントデータを復元することができる。
伝送路データ生成部200は、伝送路の帯域に関係なく、伝送速度の異なる複数のクライアントデータを複数の伝送路300に割り当てる。これによって、伝送路データ生成部200は、例えば10Gb/sのクライアントデータに、100GBASE−Rの一部を、サブレートとして割り当てることができる。
伝送路データ生成部200は、100GBASE−Rのイーサネット(登録商標)の3本の伝送路300を論理的に束ねることによって、300Gb/sの通信を実行する。これによって、伝送路データ生成部200は、物理インタフェースの余剰帯域を、他のトラフィックに無駄なく割り当てることができる。伝送路データ生成部200は、単一の伝送速度の伝送路300を統一的に用いることによって、コストを削減することができる。
図25は、伝送路データの切り替え手順を示すシーケンス図である。図25では、現用系伝送路データは、現用系のブロックマッピング情報に基づく3個のクライアントデータブロックから構成される伝送路データである。図25では、予備系伝送路データは、予備系のブロックマッピング情報に基づく3個のクライアントデータブロックから構成される伝送路データである。
伝送路データ生成部200は、オーバーヘッドデータブロックに基づいて、現用系のブロックマッピング情報と予備系のブロックマッピング情報とを記憶する。伝送路データ分離部400は、オーバーヘッドデータブロックに基づいて、現用系のブロックマッピング情報と予備系のブロックマッピング情報とを記憶する。
伝送路データ生成部200は、現用系伝送路データ及び予備系伝送路データを生成する。図25では、現用系伝送路データは、アクティブ状態となっているデータ(a,b,c)である。予備系伝送路データは、スタンバイ状態となっているデータ(d,e,f)である。現用系伝送路データ及び予備系伝送路データについて、アクティブ状態及びスタンバイ状態が任意のタイミングで切り替えられることによって、伝送路データの構成は変更される。
送信装置は、現用系伝送路データ又は予備系伝送路データのいずれがアクティブ状態であるかを示す制御情報をオーバーヘッドデータブロックに格納する。受信装置は、現用系伝送路データ又は予備系伝送路データのうちアクティブ状態である伝送路データを、制御情報に基づいて選択する。受信装置は、選択された伝送路データのクライアントデータブロックに格納されたブロックマッピング情報に基づいて、クライアントデータを復元する。
送信装置は、現用系伝送路データから予備系伝送路データに伝送路データを切り替える場合、予備系伝送路データを示す制御情報を送信してから、予備系伝送路データを送信する。受信装置は、予備系伝送路データを示す制御情報に基づいて、予備系のブロックマッピング情報を選択する。受信装置は、予備系のブロックマッピング情報に基づいて、予備系伝送路データからクライアントデータを復元する。これによって、現用系伝送路データはスタンバイ状態となる。予備系伝送路データはアクティブ状態となる。
図25では、送信装置は、現用系伝送路データを示す制御情報を送信する前に、現用系伝送路データをデータ(g,h,i)に変更する。送信装置は、予備系伝送路データから現用系伝送路データに伝送路データを切り替える場合、現用系伝送路データを示す制御情報を送信してから、現用系伝送路データを送信する。
図26は、従来のマルチレーン伝送システムの構成の第2例を示す図である。図26では、マルチレーン伝送システムは、伝送路データ生成部200と、伝送路データ分離部400とを備える。ネットワーク制御装置600は、現用系伝送路データ又は予備系伝送路データを示す制御情報を、送信装置及び受信装置に送信する。図26では、オーバーヘッドデータブロックは、ブロックマッピング情報を格納しなくてもよい。ネットワーク制御装置600は、ブロックマッピング情報を送信装置及び受信装置に送信する。
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、マルチレーン伝送システム10aの構成の例を示す図である。マルチレーン伝送システム10aは、複数の伝送路を介してクライアントデータを送信するシステムである。マルチレーン伝送システム10aは、送信装置20aと、伝送路30−1〜30−M(Mは、2以上の整数)と、受信装置40aとを備える。
クライアント装置50は、通信装置である。クライアント装置50−n(nは、1以上N以下の整数。Nは、1以上の整数。)は、送信装置20aと伝送路30−1〜30−Mと受信装置40aとを介して、クライアントデータをクライアント装置60−nに送信する。クライアント装置60は、通信装置である。
送信装置20a(送信ノード)は、クライアントデータに基づく伝送路データを、伝送路30−1〜30−Mを介して受信装置40aに送信するための通信装置である。送信装置20aは、伝送路30−1〜30−Mを介して、クライアントデータを受信装置40aに送信する。送信装置20aは、ブロックマッピング情報を含むオーバーヘッドデータブロックを、受信装置40aに送信する。以下、伝送路30−1〜30−Mに共通する事項については、符号の一部を省略して、「伝送路30」と表記する。以下、Mは、一例として3である。
送信装置20aは、ブロック分割部21−1〜21−Nと、バッファメモリ22−1〜22−Nと、伝送路データ生成部23と、マッピング情報更新部24と、オーバーヘッド挿入部25とを備える。
ブロック分割部21と伝送路データ生成部23とマッピング情報更新部24とオーバーヘッド挿入部25とのうち一部または全部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが、記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部である。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。
以下、クライアントデータブロック「A」は、クライアントデータブロック「A〜D」のうち最も送信優先度が高いクライアント装置50−1が送信したクライアントデータブロックである。クライアントデータブロック「B」は、クライアントデータブロック「A〜D」のうちクライアントデータブロック「A」の次に送信優先度が高いクライアント装置50−2が送信したクライアントデータブロックである。クライアントデータブロック「C」は、クライアントデータブロック「A〜D」のうちクライアントデータブロック「B」の次に送信優先度が高いクライアント装置50−3が送信したクライアントデータブロックであるクライアントデータブロック「D」は、クライアントデータブロック「A〜D」のうち最も送信優先度が低いクライアント装置50−4が送信したクライアントデータブロックである。
以下、クライアント装置50−1のクライアントデータの伝送速度(伝送レート)と、クライアント装置50−2のクライアントデータの伝送速度と、クライアント装置50−3のクライアントデータの伝送速度と、クライアント装置50−4のクライアントデータの伝送速度とは、異なっていてもよい。
ブロック分割部21−nは、クライアントデータをクライアント装置50−nから取得する。ブロック分割部21は、クライアントデータを固定長の複数のクライアントデータブロックに分割する。ブロック分割部21は、複数のクライアントデータブロックを、バッファメモリ22−nに記憶させる。
バッファメモリ22は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の不揮発性の記憶媒体(非一時的な記録媒体)を有する記憶装置を用いて構成される。バッファメモリ22は、例えば、RAM(Random Access Memory)やレジスタなどの揮発性の記憶媒体を有していてもよい。バッファメモリ22は、複数のクライアントデータブロックを記憶する。これによって、バッファメモリ22は、クライアント装置50ごとのクライアントデータの伝送速度の違いを吸収することができる。
伝送路データ生成部23は、伝送路30のクロックに同期して、クライアントデータブロックをバッファメモリから取得する。伝送路データ生成部23は、いずれの伝送路30にも障害が発生していない場合、ブロックマッピング情報を生成する。伝送路データ生成部23は、生成したブロックマッピング情報において定められたブロック位置にクライアントデータブロックを配置することによって、伝送路30ごとに伝送路データを生成する。
伝送路データ生成部23は、障害レーンを検出した場合、マッピング情報更新部24によって更新されたブロックマッピング情報に基づいて、伝送路30ごとに伝送路データを再構成する。すなわち、伝送路データ生成部23は、更新されたブロックマッピング情報をマッピング情報更新部24から取得した場合、更新されたブロックマッピング情報において定められたブロック位置にクライアントデータブロックを配置することによって、伝送路30ごとに伝送路データを生成する。
マッピング情報更新部24は、複数の伝送路30の一部に障害が発生した場合、ブロックマッピング情報を更新(再構成)する。すなわち、マッピング情報更新部24は、障害レーンが検出された場合、ブロックマッピング情報を更新(再構成)する。マッピング情報更新部24は、更新されたブロックマッピング情報を、伝送路データ生成部23及びオーバーヘッド挿入部25に送信する。
オーバーヘッド挿入部25は、オーバーヘッドデータブロックにブロックマッピング情報を格納する。オーバーヘッド挿入部25は、伝送路データを用いてブロックマッピング情報を受信装置40aに通知する場合、伝送路データにおけるクライアントデータブロックの列に、オーバーヘッドデータブロックを挿入する。オーバーヘッド挿入部25は、クライアントデータブロックの列とオーバーヘッドデータブロックとを含む伝送路データを、受信装置40aに送信する。
伝送路30−1〜30−3は、送信装置20aと受信装置40aとの間に並列に配線された通信回線である。伝送路30は、例えば、光ファイバである。伝送路30は、例えば、同軸ケーブルでもよい。伝送路30は、クライアントデータに基づいて生成された伝送路データを送信する。
受信装置40a(受信ノード)は、クライアントデータに基づく伝送路データを、伝送路30−1〜30−3を介して送信装置20aから取得するための通信装置である。受信装置40aは、ブロックマッピング情報に基づいて、クライアントデータを伝送路データから復元する。受信装置40aは、伝送路データに基づいて復元したクライアントデータを、クライアント装置60−1〜60−Nに送信する。なお、受信装置40aは、伝送路30−1〜30−3を介して、通信データを送信装置20aに送信してもよい。
受信装置40aは、オーバーヘッド分離部41−1〜41−Mと、伝送路データ分離部42と、バッファメモリ43−1〜43−Nと、ブロック結合部44−1〜44−Nとを備える。オーバーヘッド分離部41と伝送路データ分離部42とブロック結合部44とのうち一部または全部は、例えば、CPU等のプロセッサが、記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部である。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSIやASIC等のハードウェア機能部であってもよい。
オーバーヘッド分離部41は、伝送路データからオーバーヘッドデータブロックを分離する。オーバーヘッド分離部41は、伝送路データのオーバーヘッドデータブロックからブロックマッピング情報を抽出する。
伝送路データ分離部42は、伝送路データのクライアントデータブロック同士を分離する。伝送路データ分離部42(ブロック列生成部)は、伝送路30を介して、ブロックマッピング情報を取得する。伝送路データ分離部42は、ブロックマッピング情報に基づいて、クライアントデータブロックの列を生成する。伝送路データ分離部42は、伝送路30を介して、更新されたブロックマッピング情報を取得する。伝送路データ分離部42は、更新されたブロックマッピング情報に基づいて、クライアントデータブロックの列を生成する。伝送路データ分離部42は、宛先のクライアント装置60ごとに、クライアントデータブロックの列をバッファメモリ43に記憶させる。
バッファメモリ43は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の不揮発性の記憶媒体(非一時的な記録媒体)を有する記憶装置を用いて構成される。バッファメモリ43は、例えば、RAMやレジスタなどの揮発性の記憶媒体を有していてもよい。
ブロック結合部44は、クライアントデータブロックの列を結合することによって、クライアントデータを復元する。ブロック結合部44−nは、復元したクライアントデータをクライアント装置60−nに送信する。
次に、ブロックマッピング情報の更新を説明する。
図2は、第1実施形態における、ブロックマッピング情報の更新の手順の例を示すフローチャートである。マッピング情報更新部24は、データブロックが割り当てられずに空きとなっているブロック位置(以下、「空きブロック位置」という。)が正常レーンの伝送路データに存在するか否かを判定する(ステップS101)。マッピング情報更新部24は、空きブロック位置が存在しない場合(ステップS101:NO)、ステップS103に処理を進める。
マッピング情報更新部24は、空きブロック位置が存在する場合(ステップS101:YES)、障害レーンの伝送路データのクライアントデータブロックのうち、送信優先度が高いクライアントデータブロックの順に、クライアントデータブロックを空きブロック位置に配置する(ステップS102)。
マッピング情報更新部24は、障害レーンの伝送路データのクライアントデータブロックのうち最も送信優先度が高いクライアントデータブロックを選択する。図2では、障害レーンの伝送路データのクライアントデータブロックのうち最も送信優先度が高いクライアントデータブロックは、一例として、クライアントデータブロック「A」である(ステップS103)。
マッピング情報更新部24は、正常レーンの伝送路データのクライアントデータブロックのうち最も送信優先度が低いクライアントデータブロックを選択する。図2では、正常レーンの伝送路データのクライアントデータブロックのうち最も送信優先度が低いクライアントデータブロックは、一例として、クライアントデータブロック「D」である(ステップS104)。
マッピング情報更新部24は、正常レーンの伝送路データのクライアントデータブロック「A」の送信優先度が障害レーンの伝送路データのクライアントデータブロック「D」の送信優先度よりも高いか否かを判定する(ステップS105)。
マッピング情報更新部24は、クライアントデータブロック「A」の送信優先度がデータブロック「D」の送信優先度よりも高い場合(ステップS105:YES)、クライアントデータブロック「A」をデータブロック「D」のブロック位置に配置する(ステップS106)。マッピング情報更新部24は、ステップS103に処理を戻す。
マッピング情報更新部24は、クライアントデータブロック「A」の送信優先度がクライアントデータブロック「D」の送信優先度よりも高い場合(ステップS105:NO)、図2に示す処理を終了する。
図3は、第1実施形態における、ブロックマッピング情報の更新の動作の第1ステップの例を示す図である。1個のデータブロックの伝送速度は、一例として、5Gbit/sである。伝送路データ生成部23は、クライアント装置50−1からクライアントデータブロック「A1」及び「A2」を含むクライアントデータ「DA」を取得する。クライアントデータ「DA」の伝送速度は、10Gbit/sである。伝送路データ生成部23は、クライアント装置50−2からクライアントデータブロック「B1」及び「B2」を含むクライアントデータ「DB」を取得する。クライアントデータ「DB」の伝送速度は、10Gbit/sである。
伝送路データ生成部23は、クライアント装置50−3からクライアントデータブロック「C1」〜「C4」を含むクライアントデータ「DC」を取得する。クライアントデータ「DC」の伝送速度は、20Gbit/sである。伝送路データ生成部23は、クライアント装置50−4からクライアントデータブロック「D1」〜「D3」を含むクライアントデータ「DD」を取得する。クライアントデータ「DD」の伝送速度は、15Gbit/sである。
伝送路データ生成部23は、いずれの伝送路30にも障害が発生していない場合、ブロックマッピング情報を生成する。伝送路データ生成部23は、ブロックマッピング情報に基づいて、クライアントデータ「DA」〜「DD」から伝送路データを伝送路30ごとに生成する。図3では、伝送路30における伝送路データの伝送速度は、20Gbit/sである。
伝送路データ分離部42は、クライアントデータをクライアント装置60ごとに復元する。障害が発生している伝送路30は複数でもよい。図3では、伝送路データ分離部42は、一例として伝送路30−2に障害が発生していることによって、一例としてクライアントデータブロック「A2」、「B1」、「C4」及び「D2」を正常に取得することができない。図3では、伝送路データ分離部42は、クライアントデータブロックを正常に取得することができないので、クライアント装置50−1〜50−4のクライアントデータを復元することができない。例えば、伝送路データ分離部42は、一部の伝送路30の障害を全ての伝送路30の障害とみなした場合、いずれのクライアント装置50についてもクライアントデータを復元することができない。
図4は、第1実施形態における、ブロックマッピング情報の更新の動作の第2ステップの例を示す図である。図1に示すマッピング情報更新部24は、空きブロック位置が正常レーンの伝送路データに存在するか否かを判定する。マッピング情報更新部24は、空きブロック位置が存在する場合、障害レーンの伝送路データのクライアントデータブロックのうち、送信優先度が高いクライアントデータブロックの順に、クライアントデータブロックを空きブロック位置に配置する。
図3では、伝送路30−3のブロック位置「4」が空きブロック位置である。マッピング情報更新部24は、クライアントデータ「A2」を、伝送路30−3のブロック位置「4」に配置する。マッピング情報更新部24は、空きブロック位置が正常レーンの伝送路データに更に存在する場合、図4に示す動作を繰り返してもよい。
図5は、第1実施形態における、ブロックマッピング情報の更新の動作の第3ステップの例を示す図である。図1に示すマッピング情報更新部24は、障害レーンにおいて最も送信優先度が高いクライアントデータブロックを選択する。図4では、クライアントデータ「B1」は、障害レーンにおける最も送信優先度が高いクライアントデータブロックである。マッピング情報更新部24は、障害レーンにおける最も送信優先度が高いクライアントデータ「B1」を選択する。
マッピング情報更新部24は、正常レーンにおける最も送信優先度が低いクライアントデータ「D1」又は「D3」を選択する。クライアントデータ「D3」は、クライアントデータ「B1」よりも送信優先度が低いクライアントデータである。マッピング情報更新部24は、正常レーンにおける最も低い送信優先度のクライアントデータブロック「D3」を、障害レーンにおける最も高い送信優先度のクライアントデータブロック「B1」で上書きする。
図6は、第1実施形態における、ブロックマッピング情報の更新の動作の第4ステップの例を示す図である。クライアントデータ「D1」は、クライアントデータ「C4」よりも送信優先度が低いクライアントデータである。図1に示すマッピング情報更新部24は、正常レーンにおける最も低い送信優先度のクライアントデータブロック「D1」を、障害レーンにおける最も高い送信優先度のクライアントデータブロック「C4」で上書きする。
マッピング情報更新部24は、障害レーンの全てのクライアントデータブロックの送信優先度が正常レーンの全てのクライアントデータブロックの送信優先度よりも低い場合、ブロックマッピング情報の更新を終了してもよい。図6では、伝送路30−2に発生した障害の影響が、最も低い送信優先度のクライアントデータ「DD」に集約されている。すなわち、伝送路30−2に発生した障害は、クライアント装置50−1〜50−3のクライアントデータ「DA」、「DB」及び「DC」の伝送に影響していない。
伝送路データ生成部23は、現用系伝送路データから予備系伝送路データに伝送路データを切り替える処理を実行する。すなわち、伝送路データ生成部23は、正常レーンの伝送路データを示す制御情報を送信する。これによって、障害レーンの伝送路データ(現用系伝送路データ)はスタンバイ状態となる。正常レーンの伝送路データ(予備系伝送路データ)はアクティブ状態となる。伝送路データ生成部23は、スタンバイ状態となる伝送路データを伝送路データ生成部23が切り替えることによって、障害レーンが検出されたことを表すアラームを伝送路データ分離部42が報知しないようにすることができる。
図7は、第1実施形態における、障害レーン検出から通信回復までの手順を示すフローチャートである。伝送路データ生成部23は、通信断が発生した場合、伝送路30−1〜30−Mのうちから障害レーンを検出する(ステップS201)。マッピング情報更新部24は、ブロックマッピング情報を更新する(ステップS202)。
マッピング情報更新部24は、障害レーンを対象から除外し、正常レーンを対象としてブロックマッピング情報を更新する(ステップS203)。伝送路データ生成部23は、現用系伝送路データから予備系伝送路データに伝送路データを切り替える処理を実行する。すなわち、伝送路データ生成部23は、正常レーンの伝送路データを示す制御情報を送信する(ステップS204)。なお、ステップS202とステップS203との実行順は逆でも良い。
以上のように、第1実施形態のマルチレーン伝送システム10aは、送信装置20aと、受信装置40aと、送信装置20a及び受信装置40aの間に並列に配線された複数の伝送路30とを備える。送信装置20aは、ブロック分割部21と、伝送路データ生成部23と、マッピング情報更新部24とを有する。ブロック分割部21は、データブロックの列を含むクライアントデータを複数のデータブロックに分割する。伝送路データ生成部23は、伝送路30を介して受信装置40aに送信される伝送路データにおけるデータブロックの配置を表すブロックマッピング情報に基づいて、複数のデータブロックを含む伝送路データを生成する。マッピング情報更新部24は、伝送路30の一部に障害が発生した場合、正常レーンを介して送信される伝送路データにおけるデータブロックに送信優先度が高いクライアントデータのデータブロックを優先的に配置するよう、ブロックマッピング情報を更新する。受信装置40aは、伝送路データ分離部42と、ブロック結合部44とを有する。伝送路データ分離部42は、更新されたブロックマッピング情報に基づいて、伝送路データからデータブロックの列を生成する。ブロック結合部44は、生成されたデータブロックの列を結合する。
これによって、第1実施形態のマルチレーン伝送システム10aは、クライアントデータ等のデータを送信するための複数の伝送路30のうち一部の伝送路30に障害が発生し、障害が発生していない残りの伝送路30を介してデータを送信する場合、送信優先度の高いデータを優先的に送信することが可能となる。
第1実施形態のマルチレーン伝送システム10aは、伝送路30の一部に障害が発生して伝送路30の伝送容量が減少した場合でも、送信優先度の高いデータを優先的に送信することが可能となる。第1実施形態のマルチレーン伝送システム10aは、障害レーンが検出されたことを表すアラームやクライアントデータが欠損したことを表すアラームを受信装置40aが報知しないようにすることが可能となる。
なお、伝送路データ生成部23は、現用系伝送路データ及び予備系伝送路データを生成した後に、現用系伝送路データ又は予備系伝送路データをセレクタによって選択してもよい。伝送路データ生成部23は、選択した伝送路データを示す制御情報と、選択した伝送路データとを送信してもよい。伝送路データ生成部23は、アクティブ状態とする伝送路データのみを生成してもよい。伝送路データ生成部23は、クライアントデータの帯域変更に応じて、伝送路データの構成を動的に変更してもよい。伝送路データ生成部23は、伝送路30の品質劣化に応じて、伝送路データの構成を動的に変更してもよい。伝送路データ生成部23は、クライアントデータの収容状況に応じて、伝送路30を切り替えてもよい。
(第2実施形態)
第2実施形態では、ネットワーク制御装置がブロックマッピング情報更新部を備える点が、第1実施形態と相違する。第2実施形態では、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
図8は、マルチレーン伝送システム10bの構成の例を示す図である。マルチレーン伝送システム10bは、複数の伝送路を介してクライアントデータを送信するシステムである。マルチレーン伝送システム10bは、送信装置20bと、伝送路30−1〜30−M(Mは、2以上の整数)と、受信装置40bとを備える。送信装置20bは、ブロック分割部21−1〜21−Nと、バッファメモリ22−1〜22−Nと、伝送路データ生成部23と、オーバーヘッド挿入部25とを備える。
マルチレーン伝送システム10bは、ネットワーク制御装置70を更に備える。ネットワーク制御装置70は、マルチレーン伝送システム10bの外部に備えられてもよい。ネットワーク制御装置70は、サーバ装置等の情報処理装置である。ネットワーク制御装置70は、送信装置20b及び受信装置40bの間の通信を制御する。ネットワーク制御装置70は、制御チャネルを介して、送信装置20b及び受信装置40bと通信する。ネットワーク制御装置70は、マッピング情報更新部24を備える。
マッピング情報更新部24は、複数の伝送路30の一部に障害が発生した場合、ブロックマッピング情報を更新(再構成)する。すなわち、マッピング情報更新部24は、障害レーンが検出された場合、ブロックマッピング情報を更新(再構成)する。マッピング情報更新部24は、伝送路データが再構成される前に、ブロックマッピング情報を更新してもよい。マッピング情報更新部24は、更新されたブロックマッピング情報を、制御チャネルを介して送信装置20b及び受信装置40bに送信する。図8では、オーバーヘッドデータブロックは、ブロックマッピング情報を格納しなくてもよい。
以上のように、第2実施形態のネットワーク制御装置70は、マッピング情報更新部24を備える。第2実施形態の受信装置40bの伝送路データ分離部42(ブロック列生成部)は、制御チャネルを介して、更新されたブロックマッピング情報を取得する。これによって、第2実施形態のマルチレーン伝送システム10bは、クライアントデータ等のデータを送信するための複数の伝送路30のうち一部の伝送路30に障害が発生し、正常レーンのみを介してデータを送信する場合、送信優先度の高いデータを優先的に送信することが可能となる。
(第3実施形態)
第3実施形態では、送信装置がレート制限部を備える点が、第1及び第2実施形態と相違する。第3実施形態では、第1及び第2実施形態との相違点についてのみ説明する。
図9は、マルチレーン伝送システム10cの構成の例を示す図である。マルチレーン伝送システム10cは、複数の伝送路を介してクライアントデータを送信するシステムである。マルチレーン伝送システム10cは、送信装置20cと、伝送路30−1〜30−Mと、受信装置40cとを備える。
送信装置20cは、ブロック分割部21−1〜21−Nと、バッファメモリ22−1〜22−Nと、伝送路データ生成部23と、マッピング情報更新部24と、オーバーヘッド挿入部25と、レート制限部26−1〜26−Nとを備える。マッピング情報更新部24は、図8に示す場合と同様に、ネットワーク制御装置70に備えられてもよい。レート制限部26は、シェーピング(Shaping)又はポリシング(Policing)等の処理によって、クライアントデータの伝送速度を制限する。
図10は、第3実施形態における、レート制限の動作とブロックマッピング情報の更新の動作とを実行する第1ステップの例を示す図である。伝送路データ生成部23は、クライアント装置50−1からクライアントデータブロック「A1」〜「A3」を含むクライアントデータ「DA」を取得する。クライアントデータ「DA」の伝送速度は、15Gbit/sである。伝送路データ生成部23は、クライアント装置50−2からクライアントデータブロック「B1」及び「B2」を含むクライアントデータ「DB」を取得する。クライアントデータ「DB」の伝送速度は、10Gbit/sである。
伝送路データ生成部23は、クライアント装置50−3からクライアントデータブロック「C1」〜「C4」を含むクライアントデータ「DC」を取得する。クライアントデータ「DC」の伝送速度は、20Gbit/sである。伝送路データ生成部23は、クライアント装置50−4からクライアントデータブロック「D1」〜「D3」を含むクライアントデータ「DD」を取得する。クライアントデータ「DD」の伝送速度は、15Gbit/sである。
伝送路データ分離部42は、クライアントデータをクライアント装置60ごとに復元する。障害が発生している伝送路30は複数でもよい。図10では、伝送路データ分離部42は、一例として伝送路30−2に障害が発生していることによって、一例としてクライアントデータブロック「A2」、「B1」、「D1」及び「D2」を正常に取得することができない。図10では、伝送路データ分離部42は、クライアントデータブロックを正常に取得することができないので、クライアント装置50−1、50−2及び50−3のクライアントデータを復元することができない。例えば、伝送路データ分離部42は、一部の伝送路30の障害を全ての伝送路30の障害とみなした場合、いずれのクライアント装置50についてもクライアントデータを復元することができない。
図11は、第3実施形態における、レート制限の動作とブロックマッピング情報の更新の動作とを実行する第2ステップの例を示す図である。図9に示すマッピング情報更新部24は、空きブロック位置が正常レーンの伝送路データに存在するか否かを判定する。図10では、空きブロック位置が正常レーンの伝送路データに存在していない。
図9に示すマッピング情報更新部24は、障害レーンにおいて最も送信優先度が高いクライアントデータブロックを選択する。図4では、クライアントデータ「B1」は、障害レーンにおける最も送信優先度が高いクライアントデータブロックである。マッピング情報更新部24は、障害レーンにおける最も送信優先度が高いクライアントデータ「B1」を選択する。
マッピング情報更新部24は、正常レーンにおける最も送信優先度が低いクライアントデータ「C4」又は「D1」を選択する。クライアントデータ「D1」は、クライアントデータ「B1」よりも送信優先度が低いクライアントデータである。マッピング情報更新部24は、正常レーンである伝送路30−1における最も低い送信優先度のクライアントデータブロック「D1」を、障害レーンにおける最も高い送信優先度のクライアントデータブロック「B1」で上書きする。
クライアントデータ「C4」は、クライアントデータ「A2」よりも送信優先度が低いクライアントデータである。マッピング情報更新部24は、正常レーンである伝送路30−3における最も低い送信優先度のクライアントデータブロック「C4」を、障害レーンにおける最も高い送信優先度のクライアントデータブロック「A2」で上書きする。
図11では、伝送路30−2に発生した障害の影響が、低い送信優先度のクライアントデータ「DC」と、最も低い送信優先度のクライアントデータ「DD」とに集約されている。すなわち、伝送路30−2に発生した障害は、クライアント装置50−1〜50−2のクライアントデータ「DA」及び「DB」の伝送に影響していない。
図12は、第3実施形態における、レート制限の動作とブロックマッピング情報の更新の動作とを実行する第3ステップの例を示す図である。図9に示すレート制限部26は、クライアントデータ「DC」のクライアントデータブロックが欠損することが見込まれる場合、シェーピング等の処理によって、クライアントデータ「DC」の伝送速度を制限する。
レート制限部26は、例えば、5Gbit/相当のレート制限を実行する。図12では、レート制限部26は、クライアントデータ「DC」からクライアントデータブロック「C4」を破棄して、クライアントデータブロック「C1」〜「C3」を取得する。
伝送路データ分離部42は、更新されたブロックマッピング情報に基づいて、クライアントデータブロック「C1」〜「C3」の列を復元する。ブロック結合部44は、クライアントデータブロック「C1」〜「C3」の列を結合することによって、伝送速度が制限されたクライアントデータ「DC」を復元する。
図13は、第3実施形態における、レート制限の動作とブロックマッピング情報の更新の動作とを実行する第4ステップの例を示す図である。図9に示すレート制限部26は、クライアントデータ「DD」のクライアントデータブロックが欠損することが見込まれる場合、クライアントデータブロックが欠損しているクライアントデータ「DD」の伝送速度を、シェーピング等の処理によって制限してもよい。
図12では、クライアントデータ「DD」の全てのクライアントデータブロックが欠損している。図9に示すレート制限部26は、例えば、15Gbit/相当のレート制限をクライアントデータ「DD」に対して実行する。レート制限部26は、全てのクライアントデータブロックが欠損しているクライアントデータ「DD」を取得せずに、クライアントデータ「DA」、「DB」及び「DC」を取得する。
図14は、第3実施形態における、障害レーン検出から通信回復までの手順を示すフローチャートである。障害レーン検出から通信回復までの手順を示すフローチャートである。伝送路データ生成部23は、通信断が発生した場合、伝送路30−1〜30−Mのうちから障害レーンを検出する(ステップS301)。マッピング情報更新部24は、ブロックマッピング情報を更新する(ステップS302)。
マッピング情報更新部24は、障害レーンを対象から除外し、正常レーンを対象としてブロックマッピング情報を更新する(ステップS303)。レート制限部26は、クライアントデータブロックが欠損することが見込まれる場合、クライアントデータブロックが欠損しているクライアントデータの伝送速度を、シェーピング等の処理によって制限する(ステップS304)。
伝送路データ生成部23は、現用系伝送路データから予備系伝送路データに伝送路データを切り替える処理を実行する。すなわち、伝送路データ生成部23は、正常レーンの伝送路データを示す制御情報を送信する(ステップS305)。なお、ステップS302とステップS303との実行順は逆でも良い。
図15は、第3実施形態における、障害が発生した場合にレート制限を実行せずにクライアントデータのフレームを復元する動作を示す図である。障害が発生した場合にレート制限部26がレート制限を実行しない場合、欠損するクライアントデータブロックは多い。図15では、6個のクライアントデータブロックが欠損している。図15では、3個のクライアントデータのデータフレームがエラーとなる。
図16は、第3実施形態における、障害が発生した場合にレート制限を実行してクライアントデータのフレームを復元する動作を示す図である。障害が発生した場合にレート制限部26がレート制限を実行した場合、欠損するクライアントデータブロックは多い。図15では、6個のクライアントデータブロックが欠損している。図16では、1個のクライアントデータのデータフレームがエラーとなる。
マルチレーン伝送システム10cは、レート制限処理を考慮した通信サービスをクライアント装置60に提供してもよい。例えば、レート制限部26は、クライアントデータの送信優先度に応じて、クライアントデータの伝送速度を制限してもよい。例えば、レート制限部26は、伝送路30の一部に障害が発生した場合でも、送信優先度が高いクライアントデータの要求帯域を確保してもよい。
以上のように、第3実施形態のマルチレーン伝送システム10cの送信装置20cは、レート制限部26を備える。レート制限部26は、伝送路データの伝送速度をクライアントデータごとに制限する。これによって、第3実施形態のマルチレーン伝送システム10cは、クライアントデータ等のデータを送信するための複数の伝送路30のうち一部の伝送路30に障害が発生し、正常レーンのみを介してデータを送信する場合、アラームを報知させることなく、送信優先度の高いデータを優先的に送信することが可能となる。
第3実施形態のマルチレーン伝送システム10cは、エラーとなるクライアントデータのデータフレームを少なくすることが可能となる。
(第4実施形態)
第4実施形態では、マルチレーン伝送システムが中継装置を備える点が、第1〜第3実施形態と相違する。第4実施形態では、第1〜第3実施形態との相違点についてのみ説明する。
図17は、マルチレーン伝送システム10dの構成の例を示す図である。マルチレーン伝送システム10dは、複数の伝送路を介してクライアントデータを送信するシステムである。マルチレーン伝送システム10dは、送信装置20dと、伝送路30−1〜30−Mと、受信装置40dと、中継装置80と、中継装置90とを備える。
送信装置20dは、ブロック分割部21−1〜21−Nと、バッファメモリ22−1〜22−Nと、伝送路データ生成部23と、マッピング情報更新部24と、オーバーヘッド挿入部25とを備える。マッピング情報更新部24は、図8に示す場合と同様に、ネットワーク制御装置70に備えられてもよい。
受信装置40dは、オーバーヘッド分離部41−1〜41−Mと、伝送路データ分離部42と、バッファメモリ43−1〜43−Nと、ブロック結合部44−1〜44−Nとを備える。
中継装置80(第1中継ノード)は、例えば、送信装置20d及び受信装置40dがIPルータである場合、ITU−T G.709のOTN規格に準拠した伝送装置である。中継装置80は、未使用ブロック破棄部81を伝送路30ごとに備える。
中継装置90(第2中継ノード)は、例えば、送信装置20d及び受信装置40dがIPルータである場合、ITU−T G.709のOTN規格に準拠した伝送装置である。中継装置90は、未使用ブロック復元部91を伝送路30ごとに備える。
図18は、第4実施形態における、未使用ブロックを破棄する動作及び復元する動作を示す図である。未使用ブロックとは、送信装置20dが送信した伝送路データのデータブロックのうち、クライアントデータ以外のデータブロックである。未使用ブロックは、例えば、未使用ブロックであることを表す識別情報を含む。
中継装置80の未使用ブロック破棄部81は、受信装置40dから伝送路データを取得する。未使用ブロック破棄部81は、伝送路30の伝送容量が送信装置20d及び受信装置40dの間の伝送容量よりも小さい場合、受信装置40dから取得した伝送路データの未使用ブロックを破棄することによって、伝送路データのデータブロックの数を削減する。
未使用ブロック破棄部81は、伝送路データ以外のデータの伝送に伝送路30を割り当てる場合、受信装置40dから取得した伝送路データの未使用ブロックを破棄することによって、伝送路データのデータブロックの数を削減する。伝送路データ以外のデータは、例えば、制御情報である。未使用ブロック破棄部81は、未使用ブロックが破棄された伝送路データを、伝送路30(中継区間)を介して中継装置90に送信する。伝送路30では、伝送速度が減少する。
中継装置90の未使用ブロック復元部91は、中継装置80から伝送路データを取得する。未使用ブロック復元部91は、伝送路データの未使用ブロックを中継装置80が破棄した場合、中継装置80が破棄した未使用ブロックを復元する。未使用ブロック復元部91は、未使用ブロックが復元された伝送路データを、伝送路30(中継区間)を介して受信装置40dに送信する。
図19は、第4実施形態における、空きブロックを確保せずにブロックマッピング情報を再構成する動作の例を示す図である。例えば、図10に示す動作に続いて、マッピング情報更新部24は、正常レーンにおける最も送信優先度が低いクライアントデータ「C4」又は「D1」を選択する。クライアントデータ「C4」は、クライアントデータ「B1」よりも送信優先度が低いクライアントデータである。マッピング情報更新部24は、正常レーンである伝送路30−3における最も低い送信優先度のクライアントデータブロック「C4」を、障害レーンにおける最も高い送信優先度のクライアントデータブロック「B1」で上書きする。
クライアントデータ「D1」は、クライアントデータ「A2」よりも送信優先度が低いクライアントデータである。マッピング情報更新部24は、正常レーンである伝送路30−1における最も低い送信優先度のクライアントデータブロック「D1」を、障害レーンにおける最も高い送信優先度のクライアントデータブロック「A2」で上書きする。
図19では、伝送路30−2に発生した障害の影響が、低い送信優先度のクライアントデータ「DC」と、最も低い送信優先度のクライアントデータ「DD」とに集約されている。すなわち、伝送路30−2に発生した障害は、クライアント装置50−1〜50−2のクライアントデータ「DA」及び「DB」の伝送に影響していない。
図20は、第4実施形態における、空きブロックを確保してブロックマッピング情報を再構成する動作の例を示す図である。マッピング情報更新部24は、未使用ブロック破棄部81によって破棄されなかった未使用ブロックの数と同じ数だけ、空きブロック位置を確保する。図20では、マッピング情報更新部24は、ブロック破棄中断要求信号を送信することによって、未使用ブロックを破棄しないことを未使用ブロック破棄部81に要求する。図10に示す動作に続いて、マッピング情報更新部24は、伝送路30−3の新たなブロック位置「5」を確保する。
例えば、マッピング情報更新部24は、正常レーンにおける最も送信優先度が低いクライアントデータ「D1」を選択する。クライアントデータ「D1」は、クライアントデータ「B1」よりも送信優先度が低いクライアントデータである。マッピング情報更新部24は、正常レーンである伝送路30−1における最も低い送信優先度のクライアントデータブロック「D1」を、障害レーンにおける最も高い送信優先度のクライアントデータブロック「B1」で上書きする。マッピング情報更新部24は、正常レーンである伝送路30−3の新たなブロック位置「5」に、障害レーンにおける最も高い送信優先度のクライアントデータブロック「A2」を配置する。
図20では、伝送路30−2に発生した障害の影響が、最も低い送信優先度のクライアントデータ「DD」に集約されている。すなわち、伝送路30−2に発生した障害は、クライアント装置50−1〜50−2のクライアントデータ「DA」、「DB」及び「DC」の伝送に影響していない。
未使用ブロック破棄部81は、伝送路データ生成部23から取得した制御情報に応じて、未使用ブロックの破棄を中断してもよい。制御情報は、例えば、未使用ブロックの破棄を中断することを要求する信号を含む。マッピング情報更新部24は、未使用ブロックが破棄されない場合、未使用ブロックのブロック位置を空きブロック位置として使用してもよい。例えば、マッピング情報更新部24は、更新されたブロックマッピング情報に基づいて、未使用ブロックのブロック位置にクライアントデータブロックを配置してもよい。
図21は、第4実施形態における、ブロック破棄を中断する動作の例を示すシーケンス図である。送信装置20dのマッピング情報更新部24は、ブロックマッピング情報を再構成する前に、中継装置80の未使用ブロック破棄部81にブロック破棄中断要求信号を送信する(ステップS401)。マッピング情報更新部24は、中継装置90の未使用ブロック復元部91にブロック破棄中断要求信号を送信する(ステップS402)。
未使用ブロック復元部91は、伝送路30(中継区間)において破棄しなくてもよいクライアントデータブロックの識別情報を検出する。未使用ブロック復元部91は、伝送路30において破棄しなくてもよいクライアントデータブロックの識別情報(ブロック破棄可否結果)を、未使用ブロック破棄部81に送信する(ステップS403)。
未使用ブロック破棄部81は、伝送路30において破棄しなくてもよいクライアントデータブロックの識別情報を検出する。未使用ブロック破棄部81は、伝送路30において破棄しなくてもよいクライアントデータブロックの識別情報(ブロック破棄可否結果)を、未使用ブロック破棄部81に送信する(ステップS404)。
マッピング情報更新部24は、伝送路30において破棄しなくてもよいクライアントデータブロックの識別情報に基づいて、ブロックマッピング情報を再構成する。マッピング情報更新部24は、ブロックマッピング情報をオーバーヘッド挿入部25に送信する(ステップS405)。オーバーヘッド挿入部25は、ブロックマッピング情報を含むオーバーヘッドデータブロックを、中継装置80に送信する(ステップS406)。
中継装置80の未使用ブロック破棄部81は、ブロックマッピング情報を含むオーバーヘッドデータブロックを、中継装置90に送信する(ステップS407)。中継装置90の未使用ブロック復元部91は、ブロックマッピング情報を含むオーバーヘッドデータブロックを、受信装置40dに送信する(ステップS408)。
なお、マッピング情報更新部24は、図8に示すようにネットワーク制御装置70がマッピング情報更新部24を備える場合、伝送路30において破棄しなくてもよいクライアントデータブロックの識別情報を、送信装置20d、受信装置40d、中継装置80及び中継装置90に問い合わせてもよい。
以上のように、第4実施形態のマッピング情報更新部24は、正常レーンのみを介して送信される伝送路データにおける未使用データブロックに送信優先度が高いクライアントデータのデータブロックを配置するよう、ブロックマッピング情報を更新する。
これによって、第4実施形態のマルチレーン伝送システム10dは、伝送路30に発生した障害の影響を受けるクライアント装置50の数を少なくすることが可能となる。
上述した実施形態におけるマルチレーン伝送システムの少なくとも一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。