JP2017188362A - 有機電子デバイスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機電子デバイスの製造における真空成膜工程において、成膜室内の水分分圧の増加を抑制可能な技術を提供する。【解決手段】有機ELデバイス10の製造方法は、可撓性の基板12上に、第1の電極14を形成する第1の電極形成工程と、第2の電極20を基板上に形成する第2の電極形成工程と、第1の電極及び第2の電極の間に設けられる機能層181を基板上に形成する機能層形成工程と、を備え、第1の電極形成工程、第2の電極形成工程及び機能層形成工程のうちの少なくとも一つの工程は、基板を含んでおり被形成対象物を支持する支持基材を搬送しながら、支持基材上に被形成対象物を真空成膜法により形成する真空成膜工程を含み、真空成膜工程では、成膜室内において、支持基材が有する基板を冷却ロールに巻き掛けて基板を冷却しながら被形成対象物を形成する。【選択図】図1

Description

本発明は、有機電子デバイスの製造方法に関する。
有機電子デバイスの例として有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)デバイス、有機太陽電池、有機トランジスタなどが挙げられる。有機電子デバイスは、所定の機能を有する機能層(有機ELデバイスでは例えば正孔注入層、発光層、電子注入層など)と、第1の電極及び第2の電極を、基板上に形成することで製造される。この製造において、第1の電極、第2の電極及び機能層の形成方法の例として、例えば、特許文献1に記載されているような真空成膜法がある。
特開2013−091711号公報
特許文献1に記載の技術のように、成膜室内で、有機電子デバイスの構成要素(例えば、電子注入層、第2の電極など)を基板(例えば可撓性フィルム)上に真空成膜法により形成する場合、成膜室内の水分分圧が高いと、製造された有機電子バイスのデバイス特性(例えばデバイス寿命)が劣化することが知られている。したがって、真空成膜のために、基板を成膜室にセットした後に、成膜室内を所望の水分分圧に調整する必要がある。この調整時間を短縮するために、特許文献1では、成膜室にセットする上記基板などを事前に乾燥させていた。しかしながら、このように事前に基板を乾燥させても、成膜中において、成膜室内の水分分圧が所望の水分分圧より高くなる場合があった。
そこで、本発明は、有機電子デバイスの製造における真空成膜工程での成膜中において成膜室内の水分分圧の増加を抑制可能な技術を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る有機電子デバイスの製造方法は、有機電子デバイスの製造方法であり、可撓性を有する長尺の基板上に形成された第1の電極上に機能層を形成する機能層形成工程と、上記機能層上に第2の電極を形成する第2の電極形成工程と、を備え、上記機能層形成工程及び上記第2の電極形成工程の少なくとも一つの工程は、上記基板を搬送しながら、上記少なくとも一つの工程で形成されるべき対象物となる膜を真空成膜法により上記基板上に形成する真空成膜工程を含み、上記真空成膜工程では、成膜室内において、上記基板の裏面を冷却ロールに巻き掛けて上記基板を冷却しながら上記膜を形成する。
上記製造方法では、真空成膜法により上記対象物となる膜を形成する際に、上記基板を冷却ロールで冷却している。よって、真空成膜時に基板の温度上昇が抑制されるので、基板からの水分放出が生じ難い。その結果、有機電子デバイスの製造における真空成膜工程での成膜中の成膜室内の水分分圧の増加を抑制可能である。
一実施形態において、上記基板上に上記第1の電極を形成する第1の電極形成工程を更に備え、上記第1の電極形成工程、上記機能層形成工程及び上記第2の電極形成工程の少なくとも一つの工程が、上記真空成膜工程を有してもよい。
一実施形態において、上記基板は、基板本体と、上記基板本体の表面に設けられた水分バリア層とを有し、上記真空成膜工程では、上記基板本体の裏面が上記冷却ロールに接するように、上記基板を上記冷却ロールに巻き掛けてもよい。
この場合、基板本体が、冷却ロールと水分バリア層で挟まれているので、成膜室内において基板(より具体的には基板本体)から水分が更に放出され難い。
一実施形態において、上記基板が上記冷却ロールに接する前の上記基板の温度をT(℃)としたとき、上記基板の温度が(T−10)℃以下になるように、上記冷却ロールにより上記基板を冷却してもよい。
一実施形態において、上記少なくとも一つの工程は、上記基板を乾燥する乾燥工程を含み、上記真空成膜工程では、上記乾燥工程で乾燥された上記基板に上記膜を形成してもよい。
この場合、真空成膜工程の前に乾燥工程で基板を乾燥させているため、真空成膜工程での成膜中において、基板から水分が更に放出され難い。
一実施形態において、上記成膜室内の水分分圧は、1×10−5Pa未満であってもよい。成膜室内の水分分圧が、1×10−5Pa未満であれば、製造される有機電子デバイスのデバイス寿命の劣化を抑制できる。
本発明によれば、有機電子デバイスの製造における真空成膜工程での成膜中において成膜室内の水分分圧の増加を抑制可能な技術を提供できる。
図1は、一実施形態に係る有機電子デバイスの製造方法で製造される有機電子デバイスの一例である有機ELデバイスの構成を示す模式図である。 図2は、図1に示した有機ELデバイスの製造方法の一例のフローチャートである。 図3は、真空成膜法を利用した陰極(形成すべき対象物)の形成方法を説明するための図面である。 図4は、図1に示した有機ELデバイスの変形例の構成を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。同一の要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。本発明で製造される有機電子デバイスとして例えば有機ELデバイス、有機太陽電池及び有機トランジスタが挙げられる。以下に説明する実施形態は、断らない限り、有機電子デバイスの一例である有機ELデバイスの製造方法の実施形態である。
図1に模式的に示すように、一実施形態に係る有機ELデバイスの製造方法で製造される有機ELデバイス10は、例えば照明に使用される有機EL照明パネルである。有機ELデバイス10は、基板12と、陽極(第1の電極)14と、有機EL部18と、陰極(第2の電極)20と、を備える。
有機ELデバイス10は、陰極20に電気的に接続された引出電極16を備えてもよい。有機ELデバイス10は、少なくとも有機EL部18を封止する封止部材22を備えてもよい。有機ELデバイス10は、陽極14側から光を出射する形態、又は、陰極20側から光を出射する形態を取り得る。以下では、有機ELデバイス10として、引出電極16及び封止部材22を備えており、陽極14側から光を出射する形態について説明する。
[基板]
基板12は、基板本体121を有する。基板本体121は、可視光(波長400nm〜800nmの光)に対して透光性を有する。基板本体121はフィルム状を呈してもよく、基板本体121の厚さは、例えば、30μm以上700μm以下である。
基板本体121は、可撓性を有し、基板本体121の例はプラスチックフィルム又は高分子フィルムである。基板本体121の材料としては、例えばポリエーテルスルホン(PES);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物;ポリアクリロニトリル樹脂;アセタール樹脂;ポリイミド樹脂;エポキシ樹脂が挙げられる。
基板本体121には、有機ELデバイス10を駆動するための駆動回路(例えば、薄膜トランジスタなどを含む回路)が形成されていてもよい。このような駆動回路は、通常、透明材料から構成される。
基板12は、水分バリア層122を更に有してもよい。水分バリア層122は、基板本体121の表面121a上に設けられる。水分バリア層122は、水分をバリアする機能に加えて、ガス(例えば酸素)をバリアする機能を有してもよい。水分バリア層122は、例えば、ケイ素、酸素及び炭素からなる膜、ケイ素、酸素、炭素及び窒素からなる膜、又は、金属酸化物からなる膜で有り得る。具体的には、水分バリア層122の材料の例は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム等である。水分バリア層122の厚さの例は、100nm以上10μm以下である。
本実施形態では、基板12は水分バリア層122を有する。この場合、水分バリア層122の表面122aが基板12の表面12aであり、基板本体121の裏面121bが基板12の裏面12bである。
[陽極]
陽極14は、基板12上に設けられている。陽極14には、光透過性を示す電極が用いられる。光透過性を示す電極としては、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物及び金属等の薄膜を用いることができ、光透過率の高い薄膜が好適に用いられる。陽極14は、導電体(例えば金属)からなるネットワーク構造を有してもよい。陽極14の厚さは、光の透過性、電気伝導度等を考慮して決定され得る。陽極14の厚さは、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
陽極14の材料としては、例えば酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、銅等が挙げられ、これらの中でもITO、IZO、又は酸化スズが好ましい。陽極14は、例示した材料からなる薄膜として形成され得る。陽極14の材料には、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機物を用いてもよい。この場合、陽極14は、透明導電膜として形成され得る。前述したように、陽極14は、導電体(例えば金属)からなるネットワーク構造を有してもよい。
[引出電極]
引出電極16は、陽極14と絶縁した状態で基板12上に設けられている。引出電極16は、陰極20に接続されており、陰極20を外部接続するために使用され得る。引出電極16の材料及び厚さは、陽極14と同様とし得る。
[有機EL部]
有機EL部18は、発光層181を含み、陽極14及び陰極20に印加された電力(例えば電圧)に応じて、キャリアの移動及びキャリアの再結合などの有機ELデバイス10の発光に寄与する機能部である。
本実施形態では、有機EL部18は陽極14の一部を覆うように設けられており、有機EL部18の一部は、図1に示したように、陽極14と引出電極16との間の基板12上にも配置されている。これにより、陽極14と他の電極(例えば、陰極20及び引出電極16)との短絡が防止されている。
図1に示した例では、有機EL部18は、単層構造を有する。すなわち、有機EL部18は、発光層181から構成されている。発光層181は、陽極14上に設けられている有機ELデバイス(有機電子デバイス)10用の機能層である。発光層181の厚さは、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは10nm〜200nmである。
発光層181は、通常、主として蛍光及びりん光の少なくとも一方を発光する有機物、又は、その有機物とこれを補助するドーパントとから形成される。ドーパントは、例えば発光効率の向上や、発光波長を変化させるために加えられる。発光層181に含まれる有機物は、低分子化合物でも高分子化合物でもよい。発光層181を構成する発光材料としては、下記の色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料、ドーパント材料等が挙げられる。
色素系材料としては、例えばシクロペンダミン若しくはその誘導体、テトラフェニルブタジエン若しくはその誘導体、トリフェニルアミン若しくはその誘導体、オキサジアゾール若しくはその誘導体、ピラゾロキノリン若しくはその誘導体、ジスチリルベンゼン若しくはその誘導体、ジスチリルアリーレン若しくはその誘導体、ピロール若しくはその誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン若しくはその誘導体、ペリレン若しくはその誘導体、オリゴチオフェン若しくはその誘導体、オキサジアゾールダイマー若しくはその誘導体、ピラゾリンダイマー若しくはその誘導体、キナクリドン若しくはその誘導体、クマリン若しくはその誘導体等が挙げられる。
金属錯体系材料としては、例えばTb、Eu、Dyなどの希土類金属、又はAl、Zn、Be、Pt、Ir等を中心金属に有し、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を配位子に有する金属錯体が挙げられる。金属錯体としては、例えばイリジウム錯体、白金錯体等の三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、フェナントロリンユーロピウム錯体等が挙げられる。
高分子系材料としては、例えばポリパラフェニレンビニレン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリパラフェニレン若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、ポリアセチレン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、上記色素材料及び金属錯体材料の少なくとも一方を高分子化した材料等が挙げられる。
ドーパント材料としては、例えばペリレン若しくはその誘導体、クマリン若しくはその誘導体、ルブレン若しくはその誘導体、キナクリドン若しくはその誘導体、スクアリウム若しくはその誘導体、ポルフィリン若しくはその誘導体、スチリル色素、テトラセン若しくはその誘導体、ピラゾロン若しくはその誘導体、デカシクレン若しくはその誘導体、フェノキサゾン若しくはその誘導体等が挙げられる。
図1では、有機EL部18が発光層181である形態を例示しているが、有機EL部18は、発光層181と、他の機能層を含む積層体でもよい。
陽極14と発光層181との間に設けられる機能層の例としては、正孔注入層及び正孔輸送層が挙げられる。陰極20と発光層181との間に設けられる機能層の例としては、電子注入層及び電子輸送層が挙げられる。正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層の厚さは、有機ELデバイス10のデバイス性能などに応じて適宜設定され得る。
正孔注入層は、陽極14から発光層181への正孔注入効率を改善する機能を有する層である。正孔注入層の材料には、公知の正孔注入材料が用いられ得る。正孔注入材料としては、例えば酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、及び、酸化アルミニウム等の酸化物、フェニルアミン化合物、スターバースト型アミン化合物、フタロシアニン化合物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、及び、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体を挙げることができる。
正孔輸送層は、陽極14、正孔注入層又は陽極14により近い正孔輸送層から発光層181への正孔注入効率を改善する機能を有する層である。正孔輸送層の材料には、公知の正孔輸送材料が用いられ得る。正孔輸送層の材料としては、例えばポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン若しくはその誘導体、ピラゾリン若しくはその誘導体、アリールアミン若しくはその誘導体、スチルベン若しくはその誘導体、トリフェニルジアミン若しくはその誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体等が挙げられる。正孔輸送層の材料としては、例えば特開2012−144722号公報に開示されている正孔輸層材料も挙げられる。
電子輸送層は、陰極20、電子注入層又は陰極20により近い電子輸送層からの電子注入効率を改善する機能を有する層である。電子輸送層を構成する電子輸送材料には、公知の材料が用いられ得る。電子輸送層を構成する電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、または8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体などを挙げることができる。
電子注入層は、陰極20から発光層181への電子注入効率を改善する機能を有する層である。電子注入層は、陰極20の一部を構成する場合もある。電子注入層の材料には、公知の電子注入材料が用いられ得る。電子注入層の材料としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうちの1種類以上を含む合金、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、又はこれらの物質の混合物等が挙げられる。
上述した各種の機能層を含む有機ELデバイス10の層構成の例を以下に示す。
(a)陽極/発光層/陰極
(b)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
(c)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
(d)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(e)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
(f)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
(g)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(h)陽極/発光層/電子注入層/陰極
(i)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
記号「/」は、記号「/」の両側の層同士が接合していることを意味している。上記(a)の構成が図1に示した構成に対応する。
有機ELデバイス10は単層の発光層181を有していても2層以上の発光層181を有していてもよい。上記(a)〜(i)の層構成のうちのいずれか1つにおいて、陽極14と陰極20との間に配置された積層構造を「構造単位I」とすると、2層の発光層181を有する有機ELデバイス10の構成として、例えば、下記(j)に示す層構成を挙げることができる。2個ある(構造単位I)の層構成は互いに同じであっても、異なっていてもよい。
(j)陽極/(構造単位I)/電荷発生層/(構造単位I)/陰極
ここで電荷発生層とは、電界を印加することにより、正孔と電子とを発生する層である。電荷発生層としては、例えば酸化バナジウム、ITO、酸化モリブデンなどからなる薄膜を挙げることができる。
「(構造単位I)/電荷発生層」を「構造単位II」とすると、3層以上の発光層181を有する有機ELデバイス10の構成として、例えば、以下の(k)に示す層構成を挙げることができる。
(k)陽極/(構造単位II)x/(構造単位I)/陰極
記号「x」は、2以上の整数を表し、「(構造単位II)x」は、(構造単位II)がx段積層された積層体を表す。複数ある(構造単位II)の層構成は同じでも、異なっていてもよい。
電荷発生層を設けずに、複数の発光層181を直接的に積層させて有機ELデバイス10を構成してもよい。
[陰極]
陰極20は、有機EL部18上に設けられている。本実施形態のように、有機ELデバイス10が引出電極16を有する形態では、陰極20は、引出電極16に接続されるように、有機EL部18上に設けられる。この場合、陰極20の一部は、基板12上に配置されてもよい。陰極20の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、電気伝導度、耐久性等を考慮して設定される。陰極20の厚さは、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
発光層181からの光を陽極14側に陰極20で反射するために、陰極20の材料は、可視光反射率の高い材料が好ましい。陰極20の材料としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属及び周期表の13族金属等が挙げられる。陰極20として、導電性金属酸化物及び導電性有機物等からなる透明導電性電極を用いてもよい。
[封止部材]
封止部材22は、少なくとも有機EL部18を封止するための部材である。封止部材22は、陰極20上に設けられている。本実形態において、封止部材22は、陰極20を覆うように設けられており、陽極14の一部及び引出電極16の一部が、封止部材22から突出するように設けられている。このように陽極14及び引出電極16のうち封止部材22の外部に位置する部分は、外部接続のための領域として機能する。封止部材22は、封止基材221と、粘接着層222とを有する。
封止基材221は、有機ELデバイス10において基板12と反対側に位置する。封止基材221は、金属箔、透明なプラスチックフィルムの表面若しくは裏面又はその両面にバリア機能層を形成したバリアフィルム、或いはフレキシブル性を有する薄膜ガラス、プラスチックフィルム上にバリア性を有する金属を積層させたフィルム等からなり、ガスバリア機能、特に水分バリア機能を有する。金属箔としては、バリア性の観点から、銅箔、アルミニウム箔、ステンレス箔が好ましい。金属箔の厚さとしては、ピンホール抑制の観点から厚い程好ましいが、フレキシブル性の観点も考慮すると15μm〜50μmが好ましい。
粘接着層222は、封止基材221における基板12側の表面に設けられており、封止基材221を、陽極14、有機EL部18及び陰極20が形成された基板12に接着させるとともに、水分バリアのために用いられる。粘接着層222は、陽極14、有機EL部18及び陰極20からなる積層構造を埋設可能な厚さを有していればよい。
粘接着層222は、具体的には、光硬化性又は熱硬化性のアクリレート樹脂、或いは、光硬化性又は熱硬化性のエポキシ樹脂から構成される。その他一般に使用されるインパルスシーラーで融着可能な樹脂フィルム、例えばエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリブタジエンフィルム等の熱融着性フィルムを使用することもできる。粘接着層222の材料には、熱可塑性樹脂も使用することができる。
次に、図1に示した構成を有する有機ELデバイス10の製造方法の一例として、可撓性を有する長尺の基板12を用いて有機ELデバイス10を製造する方法について説明する。有機ELデバイス10の製造方法は、図2に示したように、陽極(第1の電極)形成工程S10、有機EL部形成工程S20、陰極(第2の電極)形成工程S30、封止工程S40及び切断工程S50を有する。
[陽極形成工程]
陽極形成工程S10では、長尺の基板12の長手方向に設定される複数のデバイス形成領域にそれぞれ陽極14を形成する。この際、各デバイス形成領域に陽極14とともに、引出電極16も形成する。デバイス形成領域は、有機ELデバイス10の製品サイズに対応する領域である。
陽極14及び引出電極16は、有機ELデバイス10の製造において公知の方法で形成され得る。陽極14の形成方法としては、例えば真空成膜法、イオンプレーティング法、メッキ法、塗布法等が挙げられる。塗布法としては、例えばインクジェット印刷法が挙げられるが、陽極14を形成可能な塗布法であれば、他の公知の塗布法でもよい。インクジェット印刷法以外の公知の塗布法としては、例えばマイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法及びノズルプリント法等が挙げられる。
陽極14及び引出電極16は、例えば陽極14及び引出電極16となる導電膜を形成した後に、その導電膜を、陽極14及び引出電極16それぞれのパターンにパターニングすることで形成され得る。陽極14及び引出電極16は、陽極14及び引出電極16それぞれのパターンに対応した導電膜を直接形成することで作製されてもよい。
[有機EL部形成工程]
有機EL部形成工程S20では、陽極14上に有機EL部18を形成する。図1に示した形態では、有機EL部18は発光層181であるため、有機EL部形成工程S20は、図2に示したように、陽極14上に発光層181を形成する発光層(機能層)形成工程S21を有する。発光層181の形成方法としては、例えば真空成膜法、塗布法等が挙げられる。塗布法としては、例えばインクジェット印刷法が挙げられるが、発光層181を形成可能な塗布法であれば、他の公知の塗布法でもよい。インクジェット印刷法以外の公知の塗布法としては、陽極14及び引出電極16を塗布法で形成する形態の説明で例示した塗布法が挙げられる。
有機EL部18が発光層181以外の機能層を含む場合、有機EL部18の層構成に応じて陽極14側から順に機能層を形成すればよい。各機能層の形成方法は、発光層形成工程S21と同様とし得る。
[陰極形成工程]
陰極形成工程S30では、有機EL部18上に陰極20を形成する。陰極20は、真空成膜法により形成される。陰極20を真空成膜法で形成する方法については、後述する。
[封止工程]
封止工程S40では、陰極形成工程S14を経た長尺の基板12に封止部材22を貼合することで、有機EL部18を封止する。具体的には、長尺の基板12をその長手方向に搬送しながら、粘接着層222が基板12の表面12aと対向するように長尺の封止部材22を基板12に重ねて、封止部材22及び基板12を加熱及び加圧することによって、封止部材22を基板12に貼合する。
[切断工程]
切断工程S50では、封止工程S16を経た長尺の基板12を、その長手方向に搬送しながら、デバイス形成領域毎に基板12を切断する。これにより、封止工程S16を経た長尺の基板12から製品サイズの複数の有機ELデバイス10が得られる。
次に、陰極形成工程S30について具体的に説明する。陰極形成工程S30は、図2に示したように、真空成膜法により陰極20を形成する真空成膜工程S32を有する。
陰極20は、陽極14及び有機EL部18が設けられた基板12に形成されるため、陽極14及び有機EL部18が形成された長尺の基板12は、真空成膜法によって形成される対象物である陰極20を支持する長尺の支持基材(支持体)である。よって、以下の説明では、陽極14及び有機EL部18が形成された長尺の基板12を支持基材24と称す。陰極20が形成される前の長尺の支持基材24が巻かれたロール(原反ロール)を第1基材ロール26Aと称し、陰極20が形成された後の長尺の支持基材24が巻かれたロールを第2基材ロール26Bと称す。
[真空成膜工程]
真空成膜工程S32では、長尺の支持基材24を搬送しながら支持基材24上に陰極20となる導電膜20aを真空成膜法により形成する。具体的には、図3に模式的に示したように、繰出し室28内の繰出し部30にセットされた第1基材ロール26Aから支持基材24を繰り出し、搬送ローラRによって支持基材24をその長手方向に搬送する。このように支持基材24を搬送しながら、成膜室32内に設置された蒸着源34から陰極材料を支持基材24上の陰極形成領域に蒸着することで導電膜20a(陰極20)を形成する。その後、導電膜20aが形成された支持基材24を巻取り室36内の巻取り部38で巻き取り、第2基材ロール26Bを得る。図3では、支持基材24を模試的にシートとして図示している。
真空成膜工程S32において、成膜室32内は、例えば5×10−4Pa以下、好ましくは5×10−5Pa以下の減圧状態である。さらに、成膜室32内は、水分分圧が所定の水分分圧に設定されている。所定の水分分圧は、製造される有機ELデバイス10が所望のデバイス特性を得ることが可能な値に設定されていればよい。所定の水分分圧の例は、1×10−5Pa未満である。成膜室32内は、不活性ガス雰囲気(例えばアルゴン雰囲気)であってもよい。
本実施形態では、陰極20の形成領域に導電膜20aを形成する。そのため、導電膜20aが陰極20に対応する。しかしながら、陰極20の形成領域より広い範囲に導電膜20aを形成しておき、その後、陰極20のパターンに導電膜20aをパターニングしてもよい。
支持基材24には、有機EL部18が形成されているため、支持基材24は大気に曝されないことが好ましい。よって、繰出し室28、成膜室32及び巻取り室36の間の支持基材24の搬送経路が連結部40で連結されており、繰出し室28、巻取り室36及び連結部40内は、例えば減圧状態又は不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
図3では、後述するように繰出し室28と、成膜室32との間に乾燥室42が配置されている。そのため、繰出し室28と乾燥室42とが連結部40で連結され、乾燥室42と成膜室32とが連結部40で連結されている。しかしながら、乾燥室42を設けない形態では、繰出し室28と、成膜室32とが連結部40で連結されていればよい。
真空成膜工程S32では、支持基材24が有する基板12の裏面12bを成膜室32内の冷却ロール44に巻き掛けて基板12を冷却ロール44で冷却しながら導電膜20aを形成する。冷却ロール44は、例えば内部に冷媒を流すことによって冷却されたローラである。冷媒の例は水、エチレングリコール、プロピレングリコールなどである。冷却ロール44の冷却方法は、冷却ロール44を冷却できれば、例示した方法に限定されない。
蒸着源34から陰極材料を支持基材24上に蒸着する場合、基板12も加熱される。上記製造方法では、冷却ロール44で基板12を冷却しているため、基板12の温度は上がり難い。そのため、蒸着の際の加熱に起因する基板12(具体的には、基板本体121)からの水分放出が防止され、成膜中において成膜室32内の水分分圧の上昇が抑制される。その結果、成膜中の成膜室32内の水分分圧を、所定の水分分圧に維持可能であり、所望のデバイス特性を有する有機ELデバイス10を製造できる。成膜室32内の水分分圧の増加が抑制されていることから、成膜室32内を所定の水分分圧に制御することも容易である。
基板12は、裏面12bが冷却ロール44に接するように冷却ロール44に巻き掛けられている。したがって、本実施形態で例示したように、基板12が水分バリア層122を有する形態では、水分バリア層122は、冷却ロール44と反対側(換言すれば外側)に位置する。したがって、基板本体121は、冷却ロール44と水分バリア層122で挟まれた状態であることから、基板本体121から水分が基板12外に放出されにくい。よって、成膜室32内の水分分圧の上昇をより一層抑制できる。
成膜室32において、冷却ロール44で冷却される前の基板12の温度をT(℃)としたとき、基板12は、冷却ロール44により、(T−10)℃以下に冷却されることが好ましい。これにより、基板12からの水分放出をより一層抑制でき、陰極20の形成中(すなわち成膜中)において例えば成膜室32内の水分分圧を所定の水分分圧に維持し易い。
成膜室32内での基板12からの水分放出を抑制し、水分分圧の増加を防止するために、図3に示したように、成膜室32の前段に乾燥室42を設け、支持基材24を乾燥させた後、乾燥状態を維持したまま成膜室32に支持基材24を搬送してもよい。すなわち、図2に示したように、一実施形態において、陰極形成工程S30は、真空成膜工程S32の前に乾燥工程S31を有してもよい。
[乾燥工程]
乾燥工程S31では、図3に示したように、繰出し部30にセットされた第1基材ロール26Aから繰り出された支持基材24を乾燥室42内で乾燥させる。乾燥室42では、赤外線を支持基材24に照射して支持基材24を搬送しながら乾燥させてもよいし、乾燥室42内において支持基材24に接する搬送ローラRに加熱ローラを採用し、支持基材24を搬送しながら加熱ローラである搬送ローラRによって加熱してもよいし、支持基材24の搬送経路上に加熱装置(例えばホットプレート)を設け、加熱装置上で支持基材24の搬送を一定時間止めて支持基材24を加熱乾燥してもよい。例示した乾燥方法のうち、赤外線加熱又は加熱ローラによって支持基材24を加熱する形態では、支持基材24の搬送を停止しなくてよいため、生産性の向上が図れる。
乾燥室42内は、例えば不活性ガス雰囲気であってもよく、更に、排気装置により乾燥室42内を減圧状態にするとともに、基板12から放出された水分を排気してもよい。
一実施形態では、乾燥室42で乾燥された支持基材24の乾燥状態を維持したまま成膜室32に搬送するために、図3に示したように、乾燥室42と成膜室32とは連結部40で連結されていてもよい。この場合、乾燥室42における乾燥工程で基板12から放出された水分が成膜室32に流れ込まないように、排気装置により乾燥室42及び連結部40内を減圧状態にするとともに、基板12から放出された水分を排気してもよい。乾燥室42における乾燥工程で基板12から放出された水分が成膜室32に流れ込まないために、連結部40から成膜室32への搬入口は、小さい方が好ましい。
乾燥室42で乾燥された支持基材24の乾燥状態を維持したまま成膜室32に搬送するための他の方法として、乾燥室42で乾燥した支持基材24を、一旦、ロール状に巻き取って原反ロールを形成した後、その原反ロールを気密容器内に入れて搬送してもよい。この形態では、成膜室32には連結部40を介して繰出し室28が直結されているので、気密容器内に収容された、乾燥済みの支持基材24からなる原反ロールを、繰出し室28内の繰出し部30に、セットする。
乾燥室42で乾燥された支持基材24の乾燥状態を維持したままとは、支持基材24が有する基板12の含水率が、乾燥工程S31の終了時の含水率から増加分が0.1%以下であることを意味する。
このように乾燥工程S31を備え、乾燥室42で支持基材を一度乾燥させておけば、成膜室32内での水分分圧の上昇がより一層抑制される。
ここで、成膜室32内の水分分圧の所定の水分分圧は、1×10―5Pa未満であれば、製造された有機ELデバイス10のデバイス特性の一つであるデバイス寿命の劣化が抑制される点についての検証実験について説明する。
[有機ELデバイスの製造]
実験に使用した有機ELデバイスは、次のようにして製造した。まず、ガラス基板上に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層を形成した支持基材を真空成膜装置内にセットした。真空成膜装置内の水分分圧を所定に水分分圧に調整した状態で、電子注入層上に陰極を蒸着法によって形成することによって、有機ELデバイスを製造した。
実験では、上記所定の水分分圧を1×10−5Paとして有機ELデバイス(以下、「有機ELデバイスA」と称す)を製造するとともに、上記所定の水分分圧を1.7×10−6Paとして有機ELデバイス(以下、「有機ELデバイスB」と称す)を製造した。有機ELデバイスA及び有機ELデバイスBの製造方法は、真空成膜装置で陰極を形成する際の水分分圧が異なる点以外は、同じである。よって、有機ELデバイスAと有機ELデバイスBの構成は同じであった。水分分圧は、四重極型質量分析装置(QMS)により測定した値である。
[デバイス特性の評価]
有機ELデバイスA及び有機ELデバイスBのデバイス特性としてデバイス寿命を評価した。具体的には、製造した有機ELデバイスA及び有機ELデバイスBをそれぞれ発光させ、初期輝度の95%に輝度が低下するまでの時間を有機ELデバイスのデバイス寿命と定義して評価した。初期輝度には8knitを用いた。評価結果は、表1のとおりであり、有機ELデバイスA及び有機ELデバイスBのそれぞれのデバイス寿命は、69時間及び149時間であった。
Figure 2017188362
有機ELデバイスA及び有機ELデバイスBの構成は同じである一方、表1に示したように、デバイス寿命は、水分分圧が1×10―5Pa以上である有機ELデバイスAに対して水分分圧が1×10−5Pa未満である有機ELデバイスBの方がデバイス寿命の劣化が一層抑制されている。よって、真空成膜法で、有機ELデバイスの構成要素を形成する際の水分分圧が1×10―5Pa未満であることで、デバイス寿命の劣化を一層抑制できることが検証された。
以上、本発明の種々の実施形態及び実施例について説明した。しかしながら、本発明は上述した種々の実施形態及び実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
上記実施形態では、陰極形成工程S30が真空成膜工程を有する形態を説明した。しかしながら、有機EL部を構成する機能層の形成工程、陽極の形成工程及び陰極の形成工程の少なくとも一つの工程が真空成膜工程を有していればよい。機能層の形成工程及び陽極の形成工程の少なくとも一方が真空成膜工程を有する場合、それらの工程で形成すべき対象物(機能層又は陽極)となるべき膜を真空成膜法で形成する。機能層又は陽極の形成域より広い範囲に膜を形成した後、その膜をパターニングして機能層又は陽極を得てもよい点は、陰極形成の場合と同様である。
具体的には、例えば、機能層の一つである電子注入層を形成する工程が真空成膜工程を有してもよい。この場合、支持基材は、基板と、陽極と、有機EL部において電子注入層より下方に配置される機能層を含み、その支持基材上に、電子注入層(機能層)となる膜を真空成膜法により形成すればよい。電子注入層となる膜を真空成膜法で形成する際、電子注入層用の成膜室の後段に陰極形成用の成膜室を配置してもよい。このような形態において、乾燥室で支持基材を乾燥させる場合には、例えば電子注入層用の成膜室の前に支持基材を乾燥させる乾燥室を配置しておけば、電子注入層用の成膜室と陰極形成用の成膜室との間には、乾燥室は設けなくてもよい。
上記実施形態では、基板に陽極、有機EL部及び陰極を順に形成する形態を説明したが、例えば、陽極が予め形成された基板から有機ELデバイスを製造してもよい。この場合、有機ELデバイスの製造方方は、有機EL部形成工程及び陰極形成工程を備えていればよい。
真空成膜工程での真空成膜法の例は、真空蒸着法の他、例えばスパッタリング法であってもよい。
図4に示した有機ELデバイス10Aのように、有機ELデバイス10Aは、陰極20上に保護膜46を有してもよい。保護膜46は、有機EL部18に水分が浸入することを防止するための膜である。保護膜46の例は、窒化酸化シリコン(SiON)膜であり、その厚さの例は10nm〜1μmである。このように保護膜46を形成する場合、保護膜46を図3で説明した真空成膜法で形成してもよい。
これまでの説明では、第1の電極を陽極とし、第2の電極を陰極として説明したが、第1の電極が陰極であって、第2の電極が陽極であってもよい。
有機電子デバイスの一例である有機ELデバイスについて、その製造方法を説明したが本発明に係る有機電子デバイスの製造方法は、例えば有機太陽電池、有機トランジスタの製造方法にも適用可能である。有機トランジスタを製造する場合、第1の電極は、例えばソース電極、ドレイン電極及びゲート電極の何れかであり、第2の電極は、ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極のうちの第1の電極以外の電極である。有機トランジスタを製造する場合の機能層は、ゲート絶縁層又は有機半導体層で有り得る。
10,10A…有機ELデバイス(有機電子デバイス)、12…基板、12b…裏面(基板の裏面)、14…陽極(第1の電極)、20…陰極(第2の電極)、20a…導電膜(膜)、22…封止部材、32…成膜室、44…冷却ロール、121…基板本体、121a…表面(基板本体の表面)、121b…裏面(基板本体の裏面)、122…水分バリア層、181…発光層(機能層)。

Claims (6)

  1. 有機電子デバイスの製造方法であって、
    可撓性を有する長尺の基板上に形成された第1の電極上に機能層を形成する機能層形成工程と、
    前記機能層上に第2の電極を形成する第2の電極形成工程と、
    を備え、
    前記機能層形成工程及び前記第2の電極形成工程の少なくとも一つの工程は、前記基板を搬送しながら、前記少なくとも一つの工程で形成されるべき対象物となる膜を真空成膜法により前記基板上に形成する真空成膜工程を含み、
    前記真空成膜工程では、成膜室内において、前記基板の裏面を冷却ロールに巻き掛けて前記基板を冷却しながら前記膜を形成する、
    有機電子デバイスの製造方法。
  2. 前記基板上に前記第1の電極を形成する第1の電極形成工程を更に備え、
    前記第1の電極形成工程、前記機能層形成工程及び前記第2の電極形成工程の少なくとも一つの工程が、前記真空成膜工程を有する、
    請求項1に記載の有機電子デバイスの製造方法。
  3. 前記基板は、基板本体と、前記基板本体の表面に設けられた水分バリア層とを有し、
    前記真空成膜工程では、前記基板本体の裏面が前記冷却ロールに接するように、前記基板を前記冷却ロールに巻き掛ける、
    請求項1又は2に記載の有機電子デバイスの製造方法。
  4. 前記基板が前記冷却ロールに接する前の前記基板の温度をT(℃)としたとき、前記基板の温度が(T−10)℃以下になるように、前記冷却ロールにより前記基板を冷却する、
    請求項1〜3の何れか一項に記載の有機電子デバイスの製造方法。
  5. 前記少なくとも一つの工程は、前記基板を乾燥する乾燥工程を含み、
    前記真空成膜工程では、前記乾燥工程で乾燥された前記基板上に前記膜を形成する、
    請求項1〜4の何れか一項に記載の有機電子デバイスの製造方法。
  6. 前記成膜室内の水分分圧が1×10−5Pa未満である、
    請求項1〜5の何れか一項に記載の有機電子デバイスの製造方法。
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