JP2017187680A - 光デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】 マルチコアフューモード通信において、マルチコアファイバに対して低損失で光を入出力することができる光デバイスを提供する。【解決手段】 LP01モード及びLP11モードの光を伝搬する第1コア11と、LP01モードの光を伝搬する第2コア12a,12bと、これらのコアの外周を囲うクラッド15と、を有する中継ファイバ10と、複数の中継ファイバの外周を囲うキャピラリ20と、を備え、中継ファイバの長手方向の一方側から他方側に向かって、縮径されるテーパ部22が形成され、テーパ部より一方側において、第1コアの各LPモードの光の伝搬定数と第2コアの各LPモードの光の伝搬定数とが不一致とされる異モード非相互作用区間が設けられ、テーパ部より他方側において、第1コアの各LPモードの光の伝搬定数と第2コアの各LPモードの光の伝搬定数とが一致する異モード相互作用区間が設けられる。【選択図】 図1
Description
本発明は光デバイスに関し、複数のモードの光をマルチコアファイバに入出力させる場合に好適なものである。
一般に普及している光ファイバ通信システムに用いられる光ファイバは、1本のコアの外周がクラッドにより囲まれた構造をしており、このコア内を光信号が伝搬することで情報が伝送される。そして、近年、光ファイバ通信システムの普及に伴い、伝送される情報量が飛躍的に増大している。
こうした光ファイバ通信システムの伝送容量増大を実現するために、複数のコアの外周が1つのクラッドにより囲まれたマルチコアファイバを用いて、それぞれのコアを伝搬する光により、複数の信号を伝送させることが知られている。
また、光ファイバ通信システムでは、LP01モード(基本モード)の光に情報を重畳させると共に、LP11モード等の高次モードの光にも情報を重畳させて情報通信を行うフューモード通信が知られている。そこで、このようなフューモード通信においても、マルチコアファイバに対して光の入出力を行うことができる光デバイスが求められている。
フューモードマルチコアファイバに対する光の入出力を行う光デバイスとして、例えば下記特許文献1に開示されたマルチコア・マルチモードファイバ結合装置がある。下記特許文献1に開示されたマルチコア・マルチモードファイバ結合装置は、第1のファイバ群からの出射光群を集光する第1の集光系と、第1の集光系にて集光された光をモード変換するモード変換器と、第2のファイバ群からの出射光群を集光する第2の集光系と、モード変換器からの光と第2集光系からの光とをマルチコアファイバへ導くマルチコアファイバ用空間結合系と、を備えている。このマルチコア・マルチモードファイバ結合装置は、第1のファイバ群からの出射光群をモード変換器によって高次モードの光に変換し、その高次モードの光と第2のファイバ群からの光とをマルチコアファイバ用空間結合系によって合波し、フューモードマルチコアファイバに導くことができる。
上記特許文献1に開示されているマルチコア・マルチモードファイバ結合装置では、光がファイバから空気中に出射されてレンズで集光されるため、ファイバと空気との界面やレンズと空気との界面等において、フレネル反射等によって光が損失されやすい。また、このマルチコア・マルチモードファイバ結合装置では、マルチコアファイバ用空間結合系としてビームスプリッターが用いられているため、その原理上、一部の光は損失される。
そこで本発明は、フューモードマルチコアファイバに対して低損失で光を入出力することができる光デバイスを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の光デバイスは、少なくともLP01モード及びLP11モードの光を伝搬する第1コアと、少なくともLP01モードの光を伝搬する第2コアと、前記第1コア及び前記第2コアの外周を囲うクラッドと、を有する中継ファイバと、複数の前記中継ファイバの外周を囲うキャピラリと、を備え、それぞれの前記中継ファイバの長手方向の一方側から他方側に向かって、それぞれの前記中継ファイバが縮径されるテーパ部が形成され、それぞれの前記中継ファイバの前記テーパ部より前記一方側において、前記第1コアの各LPモードの光の伝搬定数と前記第2コアの各LPモードの光の伝搬定数とが不一致とされる異モード非相互作用区間が設けられ、それぞれの前記中継ファイバの前記テーパ部より前記他方側において、前記第1コアの各LPモードの光の伝搬定数と前記第2コアの各LPモードの光の伝搬定数とが一致する異モード相互作用区間が設けられることを特徴とする。
上記光デバイスでは、第1コアの各LPモードの光の伝搬定数と第2コアの各LPモードの光の伝搬定数とが一致する異モード相互作用区間において、第2コアの特定のLPモードの光を第1コアの他のモードの光としてモード合波させたり、第1コアの他のLPモードの光を第2コアの特定のモードの光としてモード分波させたりすることができる。また、第1コアは、少なくともLP01モード及びLP11モードの光を伝搬することができるため、複数のモードの光を伝搬することができる。従って、第1コアは、上記特定のLPモードの光の他に当該特定のLPモードの光と異なるLPモードの光を伝搬することができる。こうして、モード合分波をすることができるのである。例えば、第1コアが2次LPモードまでの光を伝搬し、第2コアが1次LPモードまでの光を伝搬するのであれば、第2コアを伝搬するLP01モードの光と第1コアのLP11モードの光とが、異モード相互作用区間でモード合分波される。また、第1コアを伝搬するLP01モードの光は合分波されることなく第1コアを伝搬する。
一方、第1コアの各LPモードの光の伝搬定数と第2コアの各LPモードの光の伝搬定数とが不一致とされる異モード非相互作用区間では、上記モード合分波が起きることを抑制することができる。
また、上記光デバイスでは、テーパ部の一方側において、縮径前の複数の中継ファイバのそれぞれにマルチコアファイバが接続されることによって、中継ファイバのそれぞれのコアに対して光を入出力させることができる。また、テーパ部の他方側では、縮径後の複数の中継ファイバのそれぞれにフューモードマルチコアファイバの各コアを接続させることによって、当該フューモードマルチコアファイバに対して光を入出力することができる。従って、上記光デバイスは、複数のマルチコアファイバから複数の中継ファイバのそれぞれのコアに入力された光を上記のようにモード合波した後、そのモード合波した複数モードの光をそれぞれの中継ファイバからフューモードマルチコアファイバの各コアに入力させることができる。また、上記光デバイスは、フューモードマルチコアファイバから中継ファイバに出力された複数モードの光を上記のようにモード分波した後、複数の中継ファイバのそれぞれのコアからモード分波した光を複数のマルチコアファイバに入力することができる。このように上記光デバイスは、フューモードマルチコアファイバと接続されることでフューモードマルチコアファイバに対して光を入出力させることができるため、レンズやビームスプリッターを用いる場合に比べて、原理上、低損失でフューモードマルチコアファイバに対して光を入出力することができる。
また、上記光デバイスでは、少なくとも1つの前記中継ファイバの前記第1コアの中心から延びて前記第2コアの中心を通る線分が、最も近い他の前記中継ファイバの前記第1コアと重ならないことが好ましい。
上記中継ファイバ中の第1コアを伝搬する高次モードの光は、第1コアと第2コアとが並ぶ方向に広がって伝搬する傾向にある。ここで、ある1つの中継ファイバの第1コアの中心から延びて第2コアの中心を通る線分が、最も近い他の中継ファイバの第1コアと重ならないことによって、ある1つの中継ファイバにおいて光が広がって伝搬しやすい方向には、他の中継ファイバの第1コアが配置されないこととなり、互いに隣り合う中継ファイバを伝搬する光同士のクロストークを抑制することができる。
また、前記線分は、前記他の中継ファイバの前記クラッドと重ならないことがより好ましい。
ある1つの中継ファイバの第1コアの中心から延びて第2コアの中心を通る線分が、最も近い他の中継ファイバのクラッドと重ならないことによって、ある1つの中継ファイバにおいて光が広がって伝搬しやすい方向には、他の中継ファイバが配置されないこととなり、互いに隣り合う中継ファイバを伝搬する光同士のクロストークをより抑制することができる。
また、上記光デバイスでは、前記キャピラリの屈折率は、前記クラッドの屈折率よりも小さいことが好ましい。
キャピラリの屈折率がクラッドの屈折率よりも小さくされることによって、各中継ファイバ内に光が閉じ込められやすくなるため、互いに隣り合う中継ファイバを伝搬する光同士のクロストークが抑制される。
以上のように本発明によれば、フューモードマルチコアファイバに対して低損失で光を入出力することができる光デバイスが提供される。
以下、本発明に係る光デバイスの好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における光デバイスを示す図である。図1に示すように、本実施形態の光デバイス1は、複数の中継ファイバ10と、複数の中継ファイバ10の外周面を包囲するキャピラリ20と、を主な構成として備える。
図1は、本発明の第1実施形態における光デバイスを示す図である。図1に示すように、本実施形態の光デバイス1は、複数の中継ファイバ10と、複数の中継ファイバ10の外周面を包囲するキャピラリ20と、を主な構成として備える。
本実施形態の光デバイス1では、中継ファイバ10の数が7本とされる。中継ファイバ10は、キャピラリ20の一方から他方までキャピラリ20内に挿入されており、中継ファイバ10とキャピラリ20とが一体とされている。中継ファイバ10の一方側はキャピラリ20の一方側の端部から露出しており、中継ファイバ10の他方側の端部はキャピラリ20の他方側の端部と面一とされている。従って、キャピラリ20をキャピラリ20の他方側から見る場合に中継ファイバ10の他方側の端部が見える。
キャピラリ20は、長手方向に垂直な断面の外形が円形とされ、長手方向に沿って大径部21とテーパ部22と小径部23とを有している。テーパ部22は、キャピラリ20の一方側から他方側にかけて縮径されている。このような形状は次の様に形成される。まず、挿入される中継ファイバ10の数と同数の貫通孔が形成され、外径の大きさが一定であるキャピラリ20が準備される。そして、そのキャピラリ20のそれぞれの貫通孔に中継ファイバ10が個別に挿入される。その後、加熱によりキャピラリ20と中継ファイバ10とが一体とされて、キャピラリ20と中継ファイバ10との一体物が溶融延伸される。この延伸によりテーパ部22と小径部23とが形成される。従って、キャピラリ20のテーパ部22内では、上記一方側から他方側にかけて、それぞれの中継ファイバ10もキャピラリ20の縮径に伴い縮径すると共に、互いに隣り合う中継ファイバ10の間隔が小さくなる。また、小径部23内では、それぞれの中継ファイバ10は大径部21における中継ファイバ10と比べて小径化しており、互いに隣り合う中継ファイバ10の間隔は大径部21における中継ファイバ10の間隔と比べて小さくされている。
上記のような加熱によるキャピラリ20と中継ファイバ10との延伸は、酸水素バーナによる加熱で行われても良いが、放電による加熱で十分に行うことができる。例えば、アーク放電を用いる光ファイバの融着機が実用されているが、このアーク放電を延伸用の熱源として利用しても良い。密閉された空間でのアーク放電による加熱で上記一体物を延伸させることによって、一体物の溶け方を一定とすることが容易になる。また、一体物を延伸する際に融着機のモータと画像解析とが組み合わせられた延伸加工機能が用いられることによって、一体物を精度良く延伸加工することが容易になる。
図2は、光デバイス1のキャピラリ20を含む位置における長さ方向に垂直な断面の様子を示す図である。具体的には、図2(A)は当該断面における光デバイス1の構造を示し、図2(B)は当該断面におけるV−V線での屈折率分布を示す。なお、本例の場合、キャピラリ20の外径と中継ファイバ10の外径との比は、キャピラリ20の長手方向に垂直な断面であれば、大径部21、テーパ部22及び小径部23の何れの部位であっても同じである。従って、図2がキャピラリ20の何れの部位における断面図かは特定する必要がない。
上記のように本実施形態の中継ファイバ10の数は7本とされ、1本の中継ファイバ10がキャピラリ20の中心に配置され、当該中心に配置された中継ファイバ10の周囲に他の6本の中継ファイバ10が配置される。この状態で、それぞれの中継ファイバ10の中心を結ぶ線が三角格子状とされ、それぞれの互いに隣り合う中継ファイバ10の中心間距離は等しくされる。
図1、図2(A)に示すように、それぞれの中継ファイバ10は、1つの第1コア11と、2つの第2コア12a,12bと、第1コア11及び第2コア12a,12bの外周を囲うクラッド15と、を有するマルチコアファイバである。
また、図2(A)に示すように、第1コア11はクラッド15の中心に位置しており、第2コア12a,12bは、第1コア11の周囲に位置している。より具体的には、一方の第2コア12aは、第1コア11の中心から径方向に延びる第1線分L1と重なる位置に配置され、他方の第2コア12bは第1線分L1に対して90度の方向に第1コア11の中心から径方向に延びる第2線分L2と重なる位置に配置される。本実施形態の光デバイス1では、一方の第2コア12aの中心が、第1コア11の中心から径方向に延びる第1線分L1と重なり、他方の第2コア12bの中心が、第2線分L2と重なる。つまり、第1コア11の中心と一方の第2コア12aの中心とを結ぶ線L1と、第1コア11の中心と他方の第2コア12bの中心とを結ぶ線L2とがなす角度θが90度とされる。
さらに、中継ファイバ10の第1線分L1及び第2線分L2が、最も近い他の中継ファイバ10のクラッド15と重ならないように、各中継ファイバ10が配置されている。図2(A)には、キャピラリ20の中心に配置される中継ファイバ10についてのみ線分L1及び線分L2が示されているが、他の中継ファイバ10についても同様に、第1線分L1及び第2線分L2が、最も近い他の中継ファイバ10のクラッド15と重ならないように、各中継ファイバ10が配置されている。
なお、上記のようにそれぞれの中継ファイバ10はテーパ部22において大径部21側から小径部23側に向かって縮径されている。このため、小径部23における第1コア11の直径は大径部21における第1コア11の直径よりも小さく、小径部23における第2コア12a、12bの直径は大径部21における第2コア12a、12bの直径よりも小さい。
図2(B)において、実線は光デバイス1の屈折率分布を示す。図2(B)に示すように、第1コア11の屈折率及び第2コア12a、12bの屈折率は、クラッド15の屈折率よりも高く、長手方向に沿って一定である。また、キャピラリ20の屈折率は、長手方向に沿って一定であり、クラッド15の屈折率よりも低い。
図3は、中継ファイバ10の大径部21及び小径部23のそれぞれにおける長手方向に垂直な断面の様子を示す図である。具体的には、図3(A)は大径部21及び小径部23の断面における中継ファイバ10の構造を示し、図3(B)は大径部21及び小径部23の断面における中継ファイバ10屈折率分布を示す。
図3(B)において、実線は中継ファイバ10の屈折率分布を示し、破線は第1コア11及び第2コア12a,12bを伝搬する各LPモードの光の実効屈折率neffを示す。図3(B)に示すように、第1コア11は、2次LPモードまでの光を伝搬する。つまり、本実施形態の第1コア11は、LP01モードの光及びLP11モードの光を伝搬し、3次LPモードの光であるLP21モードの光の伝搬が抑制されるフューモードコアとされる。また、第2コア12a,12bは、1次LPモードまでの光を伝搬する。つまり、本実施形態の第2コア12a,12bは、LP01モードの光を伝搬しLP11モードの光の伝搬が抑制されるシングルモードコアとされる。
また、大径部21では、第1コア11の各LPモードの光の伝搬定数と第2コア12a,12bの各LPモードの光の伝搬定数とが不一致とされる。伝搬定数は実効屈折率neffと対応している。従って、本実施形態では、大径部21の第1コア11の1次LPモードの光の実効屈折率neff01及び2次LPモードの光の実効屈折率neff11と第2コア12a,12bの1次LPモードの光の実効屈折率neff01とは不一致とされる。このため、大径部21では、第1コア11を伝搬する各LPモードの光と第2コア12a,12bを伝搬する各LPモードの光とのクロストークが抑制されている。従って、大径部21では、異モードの合分波が起きることが抑制され、大径部21は異モード非相互作用区間とされる。
一方、小径部23では、上記のようにそれぞれのコアの直径が大径部21でのそれぞれのコアの直径と異なるので、実効屈折率neffも大径部21での実効屈折率neffと異なる。そして、小径部23では、第1コア11の2次LPモードの光の実効屈折率neff11と第2コア12a,12bの1次LPモードの光の実効屈折率neff01とが一致する。つまり、第1コア11の2次LPモードの光の伝搬定数と第2コア12a,12bの1次LPモードの光の伝搬定数とが一致する。このため、小径部23では、第1コア11を伝搬する2次LPモードの光と第2コア12a,12bを伝搬する1次LPモードの光とがクロストークする。従って、小径部23では、第1コア11を伝搬する2次LPモードの光と第2コア12a,12bを伝搬する1次LPモードの光とのモード合分波が起きる。このため、小径部23は、異モード相互作用区間とされる。
また、使用波長帯域におけるそれぞれのコアを伝搬する光のLPモードの数は、大径部21と小径部23とで変化しても良いが、変化しない方が好ましい。従って、本実施形態では、大径部21及び小径部23のそれぞれにおいて、第1コア11は、1次LPモードの光及び2次LPモードの光が伝搬し3次LPモードの光の伝搬が抑制され、第2コア12a,12bは、1次LPモードの光が伝搬し2次LPモードの光の伝搬が抑制されることが好ましい。
上記のように大径部21が異モード非相互作用区間とされ、小径部23が異モード相互作用区間とされるには、第1コア11及び第2コア12a,12bは、例えば、次の様に構成されれば良い。すなわち、使用される光の波長が1.55μmである場合に、第1コア11のクラッド15に対する比屈折率差が0.54%とされ、第2コア12a,12bのクラッド15に対する比屈折率差が0.35%とされ、大径部21において、第1コア11の半径が6.3μmとされ、第2コア12a,12bの半径が3.7μmとされる。そして、大径部21と小径部23との延伸比が1.4とされる。この場合には、波長が1.55μmの光が第1コア11及び第2コア12a,12bを伝搬する場合に、それぞれのコアを伝搬する光のLPモードの数は、大径部21と小径部23とで変化しない。
なお、延伸比とは、小径部23と大径部21との相似比であり、小径部23での中継ファイバ10の直径を1とする場合における大径部21での中継ファイバ10の直径と同じ値である。
本実施形態の光デバイス1では、第1コア11及び第2コア12a,12bのそれぞれに1次LPモードの光を入射すると、小径部23において、第2コア12a,12bの1次LPモードの光が第1コア11に2次LPモードの光として合波する。或いは、第1コア11に1次LPモード及び2次LPモードから成る光を入射し第2コア12a,12bに光を入射しない場合、小径部23において、第1コア11の2次LPモードの光が第2コア12a,12bに1次LPモードの光として分波する。こうしてモード合分波が達成される。しかし、大径部21では、第1コア11の各LPモードの光の伝搬定数と第2コア12a,12bの各LPモードの光の伝搬定数とが一致しないので、第1コア11と第2コア12a,12bとを離す構造とせずとも、このような合分波が生じることが抑制される。
ここで、第1コア11を伝搬する2次LPモードの光と第2コア12a,12bを伝搬する1次LPモードの光の合分波についてより詳細に説明する。
2次LPモードの光であるLP11モードの光は、当該光が伝搬するコアの中心を通り径方向に伸びる直線を基準として、一方側に正の電場が分布し他方側に負の電場が分布し、一方側と他方側とで同じエネルギーの分布となる。従って、LP11モードの光は伝搬するコアの中心を基準に180度回転させると回転前と同じエネルギー分布となるが、それ以外の角度で回転させると回転前と異なるエネルギー分布となる。そしてLP11モードの光は、互いに90度回転させた関係にある2つのLP11モードの光を合波しても、やはりLP11モードの光と呼ばれる。
そこで、互いに90度回転させた関係にある2つのLP11モードの光の一方をLP11aモードの光とし他方をLP11bモードの光として、第1コア11を伝搬するLP11モードの光が、LP11aモードの光とLP11bモードの光との足し合わせとする。そして、第1コア11を伝搬する2次LPモード(LP11モード)の光が、第2コア12a,12bを伝搬する1次LPモードの光にモード分波する場合を想定する。この場合、LP11aモードの光が第2コア12a,12bの一方を伝搬する1次LPモードの光に分波し、LP11bモードの光が第2コア12a,12bの他方を伝搬する1次LPモードの光に分波する傾向がある。また、第2コア12a,12bを伝搬するそれぞれの1次LPモードの光を第1コア11のLP11モードの光にモード合波する場合を想定する。この場合、第2コア12aを伝搬する光は、第1コア11を伝搬するLP11aモードの光及びLP11bモードの光の一方に合波し、第2コア12bを伝搬する光は、第1コア11を伝搬するLP11aモードの光及びLP11bモードの光の他方に合波する傾向がある。
従って、本実施形態のマルチコアファイバによれば、第1コア11が2次LPモードまでの光を伝搬する場合であっても、LP01モードの光、LP11aモードの光及びLP11bモードの光に情報を重畳させることができるので、より多くの情報量を有する光通信を行うことができる。
光デバイス1は、上記のように、中継ファイバ10の長手方向の一方側から他方側に向かってそれぞれの中継ファイバ10が縮径されると共に互いに隣り合う中継ファイバ10の間隔が小さくなるテーパ部22を有する。このテーパ部22の一方側では、縮径前の複数の中継ファイバ10のそれぞれに図示されていないマルチコアファイバが接続されることによって、中継ファイバ10のそれぞれのコアに対して光を入出力させることができる。また、テーパ部22の他方側では、図1に示すように、小径部23がフューモードマルチコアファイバ5に接続されて使用される。
フューモードマルチコアファイバ5は、複数のコア53とそれぞれのコア53の外周面を隙間なく包囲するクラッド55とを備える。それぞれのコア53は複数モードの光を伝搬可能であり、コア53の屈折率はクラッド55の屈折率よりも高くされる。また、光デバイス1の中継ファイバ10の数とフューモードマルチコアファイバ5のコア53の数とは同じとされる。
小径部23におけるそれぞれの中継ファイバ10の第1コア11の相対的位置は、フューモードマルチコアファイバ5におけるそれぞれのコア53の相対的位置と同じとされる。そして、光デバイス1の小径部23におけるそれぞれの第1コア11とフューモードマルチコアファイバ5の一方側の端部におけるそれぞれのコア53とが対向した状態で、光デバイス1とフューモードマルチコアファイバ5とが接続されて使用される。
従って、光デバイス1のそれぞれの第1コア11及び第2コア12a,12bを大径部21側から小径部23側に向かって上記のように伝搬する光は、上記のようにモード合波され、第1コア11からフューモードマルチコアファイバ5のそれぞれのコア53に入射し、当該コア53を伝搬する。逆にフューモードマルチコアファイバ5のそれぞれのコア53を光デバイス1に向かって伝搬する光は、光デバイス1のそれぞれの第1コア11に入射して上記のようにモード分波し、第1コア11及び第2コア12a,12bを小径部23から大径部21に向かって上記のように伝搬する。つまり、光デバイス1は、フューモードマルチコアファイバ5に対する光の入出力デバイスとして用いられる。
このように光デバイス1は、フューモードマルチコアファイバ5と接続されることでフューモードマルチコアファイバ5に対して光を入出力させることができるため、レンズやビームスプリッターを用いる場合に比べて、原理上、低損失でフューモードマルチコアファイバ5に対して光を入出力することができる。
中継ファイバ10では、第1コア11を伝搬する高次モードの光は第2コア12a,12bとが並ぶ方向に広がって伝搬する傾向にある。ここで、光デバイス1では、中継ファイバ10の第1コア11の中心から延びて第2コア12a,12bの中心を通る線分L1,L2が、最も近い他の中継ファイバ10と重ならないことによって、中継ファイバ10において光が広がって伝搬しやすい方向には、他の中継ファイバ10が配置されないこととなり、互いに隣り合う中継ファイバ10を伝搬する光同士のクロストークを抑制することができる。
また、光デバイス1では、上記のようにキャピラリ20の屈折率が各中継ファイバ10のクラッド15の屈折率よりも小さいくされることによって、各中継ファイバ10内に光が閉じ込められやすくなるため、互いに隣り合う中継ファイバ10を伝搬する光同士のクロストークが抑制される。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。また、本実施形態の光デバイスは、中継ファイバの構造以外は第1実施形態の光デバイス1と同様であるため、中継ファイバのみ図示して説明する。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。また、本実施形態の光デバイスは、中継ファイバの構造以外は第1実施形態の光デバイス1と同様であるため、中継ファイバのみ図示して説明する。
図4は、本実施形態の光デバイスに備えられる1つの中継ファイバ110の大径部21及び小径部23における長手方向に垂直な断面の様子を示す図である。具体的には、図4(A)は大径部21及び小径部23の断面における構造の様子を示し、図4(B)は大径部21及び小径部23の断面における屈折率分布の様子を示す。
本実施形態の中継ファイバ110は、第2コア12bが備えられていない点において第1実施形態の光デバイス1と異なる。つまり、クラッド15の中心に第1コア11が配置されると共に、第1コアの周囲に第2コア12aが1つだけ備えられる。
従って、第1コア11及び第2コア12aのそれぞれに1次LPモードの光を入射すると、小径部23において、第2コア12aの1次LPモードの光が第1コア11に2次LPモードの光として合波する。また、第1コア11に1次LPモード、2次LPモードから成る光を入射し第2コア12aに光を入射しない場合、小径部23において、第1コア11の2次LPモードの光が第2コア12aに1次LPモードの光として分波する。本実施形態の中継ファイバ110では、第2コア12aが1つだけであることから、上記LP11a及びLP11bのうち一方のモードの光について上記のようにモード合分波される。また、大径部21では、第1コア11の各LPモードの光の伝搬定数と第2コア12aの各LPモードの光の伝搬定数とが一致しないので、第1コア11と第2コア12aとの間でモード合分波が生じることが抑制される。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。また、本実施形態の光デバイスは、中継ファイバの構造以外は第1実施形態の光デバイス1と同様であるため、中継ファイバのみ図示して説明する。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。また、本実施形態の光デバイスは、中継ファイバの構造以外は第1実施形態の光デバイス1と同様であるため、中継ファイバのみ図示して説明する。
図5は、本実施形態の光デバイスに備えられる中継ファイバ120の大径部21及び小径部23における長手方向に垂直な断面の様子を示す図である。具体的には、図5(A)は大径部21及び小径部23の断面における構造の様子を示し、図5(B)は大径部21及び小径部23の断面における屈折率分布の様子を示す。
本実施形態の第1コア11は、3次LPモードまでの光を伝搬する。つまり、本実施形態の第1コア11は、LP01モードの光、LP11モードの光及びLP21モードの光を伝搬し、4次LPモードの光であるLP02モードの光の伝搬が抑制されるフューモードコアとされる。
また、第2コア12aは、1次LPモードまでの光を伝搬する。ただし、本実施形態では、第1実施形態の中継ファイバ10と異なり、小径部23において、第2コア12aの1次LPモードの光の伝搬定数が、第1コア11の3次LPモードの光の伝搬定数と一致する。つまり、小径部23において、第2コア12aの1次LPモードの光の実効屈折率neff01が、第1コア11の3次LPモードの光の実効屈折率neff21と一致する。また、大径部21では、第1コア11の各LPモードの光の伝搬定数と第2コア12aの各LPモードの光の伝搬定数とが一致しない構成とされる。
また、本実施形態の中継ファイバ120は、第1コア11の中心を基準として第2コア12aと45度異なる位置に配置される第2コア12cを更に備える。つまり、第1コア11の中心と第2コア12aの中心とを結ぶ線と、第1コア11の中心と第2コア12cの中心とを結ぶ線とがなす角度θ3が45度とされる。第2コア12cの構成は、配置される位置を除き第2コア12aの構成と同様とされる。従って、第1コア11及び第2コア12a,12cのそれぞれに1次LPモードの光を入射すると、小径部23において、第2コア12a,12cの1次LPモードの光が第1コア11に3次LPモードの光として合波する。また、第1コア11に1次LPモード、2次LPモード及び3次LPモードから成る光を入射し第2コア12a,12cに光を入射しない場合、小径部23において、第1コア11の3次LPモードの光が第2コア12a,12cにそれぞれ1次LPモードの光として分波する。また、大径部21では、第1コア11の各LPモードの光の伝搬定数と第2コア12a,12cの各LPモードの光の伝搬定数とが一致しないので、第1コア11と第2コア12a,12cとの間でモード合分波が生じることが抑制される。
なお、本実施形態においても、それぞれのコアを伝搬する光のLPモードの数は、大径部21と小径部23とで変化しないことが好ましい。
ここで、第1コア11を伝搬する3次LPモードの光と第2コア12a,12cを伝搬する1次LPモードの光の合分波についてより詳細に説明する。
3次LPモードの光であるLP21モードの光は、当該光が伝搬するコアの中心を通り径方向に伸びる互いに垂直な2つの直線で区切られる4つの領域において、互いに隣り合う領域での電場の分布は、正負が逆の状態となり、それぞれの領域で同じエネルギーの分布となる。従って、LP21モードの光は伝搬するコアの中心を基準に90度回転させると回転前と同じエネルギー分布となるが、それ以外の角度で回転させると回転前と異なるエネルギー分布となる。そしてLP21モードの光は、互いに45度や135度といった具合に45+90n度(nは0以上の整数)回転させた関係にある2つのLP21モードの光を合波しても、やはりLP21モードと呼ばれる。
そこで、例えば、互いに45度回転させた関係にある2つのLP21モードの光の一方をLP21aモードの光とし他方をLP21bモードの光として、第1コア11を伝搬するLP21モードの光が、LP21aモードの光とLP21bモードの光との足し合わせとする。そして、第1コア11を伝搬する3次LPモード(LP21モード)の光が、第2コア12a,12cを伝搬する1次LPモードの光にモード分波する場合を想定する。この場合、LP21aモードの光が第2コア12a,12cの一方を伝搬する1次LPモードの光に重畳し、LP21bモードの光が第2コア12a,12cの他方を伝搬する1次LPモードの光に分波する傾向がある。また、第2コア12a,12cを伝搬するそれぞれの1次LPモードの光を第1コア11のLP21モードの光にモード合波する場合を想定する。この場合、第2コア12aを伝搬する光は、第1コア11を伝搬するLP21aモードの光及びLP21bモードの光の一方に合波し、第2コア12cを伝搬する光は、第1コア11を伝搬するLP21aモードの光及びLP21bモードの光の他方に合波する傾向がある。
従って、本実施形態のマルチコアファイバによれば、第1コア11が3次LPモードまでの光を伝搬する場合であっても、LP01モードの光、LP21aモードの光及びLP21bモードの光に情報を重畳させることができるので、より多くの情報量を有する光通信を行うことができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。また、本実施形態の光デバイスは、中継ファイバの構造以外は第1実施形態の光デバイス1と同様であるため、中継ファイバのみ図示して説明する。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。また、本実施形態の光デバイスは、中継ファイバの構造以外は第1実施形態の光デバイス1と同様であるため、中継ファイバのみ図示して説明する。
図6は、本実施形態の光デバイスが備える中継ファイバ130の大径部21及び小径部23における長手方向に垂直な断面の様子を示す図である。具体的には、図6(A)は大径部21及び小径部23の断面における構造の様子を示し、図6(B)は大径部21及び小径部23の断面における屈折率分布の様子を示す。
本実施形態の第1コア11は、第3実施形態の第1コア11と同様の構成とされ、3次LPモードまでの光を伝搬する。
また、中継ファイバ130は、第1コア11の中心を基準として第2コア12a側と反対側に第2コア12dを備える。第2コア12dは、1次LPモードまでの光を伝搬する。本実施形態の第2コア12dは、第3実施形態の第2コア12cと配置位置が異なる点を除き同様の構成とされる。従って、小径部23において、第2コア12dの1次LPモードの光の伝搬定数が、第1コア11の3次LPモードの光の伝搬定数と一致する。つまり、小径部23において、第2コア12dの1次LPモードの光の実効屈折率neff01が、第1コア11の3次LPモードの光の実効屈折率neff21と一致する。また、大径部21では、第1コア11の各LPモードの光の伝搬定数と第2コア12dの各LPモードの光の伝搬定数とが一致しない構成とされる。
このような構成の中継ファイバ130において、第1コア11及び第2コア12a,12dのそれぞれに1次LPモードの光を入射すると、小径部23において、第2コア12aの1次LPモードの光が第1コア11に2次LPモードの光として合波すると共に第2コア12dの1次LPモードの光が第1コア11に3次LPモードの光として合波する。また、第1コア11に1次LPモード、2次LPモード及び3次LPモードから成る光を入射し、第2コア12a,12dに光を入射しない場合、小径部23において、第1コア11の2次LPモードの光が第2コア12aに1次LPモードの光として分波すると共に第1コア11の3次LPモードの光が第2コア12dに1次LPモードの光として分波する。また、大径部21では、第1コア11の各LPモードの光の伝搬定数と第2コア12a,12dの各LPモードの光の伝搬定数とが一致しないので、第1コア11と第2コア12a,12dとの間でモード合分波が生じることが抑制される。
なお、本実施形態においてもそれぞれのコアを伝搬する光のLPモードの数は、大径部21と小径部23とで変化しないことが好ましい。
本実施形態の中継ファイバ130によれば、小径部23において、第1コア11を伝搬する2次LPモードの光と第2コア12a伝搬する1次LPモードの光とを合分波することができ、さらに、第1コア11を伝搬する3次LPモードの光と第2コア12d伝搬する1次LPモードの光とを合分波することができるので、さらに多くの光のモード合分波を行うことができる。なお、上記のように、小径部23において、第1コア11を伝搬する2次LPモードの光と第2コア12a伝搬する1次LPモードの光とを合分波させると共に、第1コア11を伝搬する3次LPモードの光と第2コア12d伝搬する1次LPモードの光とを合分波させる観点からは、第2コア12a、12dの配置は図6に示す例に限定されない。図6には、第1コア11を中心として一方に第2コア12aが配置されると共に他方に第2コア12dが配置される例が示されている。すなわち、第1コア11の中心と第2コア12aの中心とを結ぶ線と第1コア11の中心と第2コア12dの中心とを結ぶ線とのなす角が180度である例が示されている。しかし、第1コア11の中心と第2コア12aの中心とを結ぶ線と第1コア11の中心と第2コア12dの中心とを結ぶ線とのなす角は特に限定されず、例えば図5に示す形態のように45度とされても良く、他の角度とされても良い。
以上、本発明について、上記実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、第1実施形態では、全ての中継ファイバ10について、第1線分L1及び第2線分L2が、最も近い他の中継ファイバ10のクラッド15と重ならないように、各中継ファイバ10が配置される例を挙げて説明したが、第1線分L1又は第2線分L2が他の中継ファイバ10のクラッド15に重なるように配置されても良い。ただし、互いに隣り合う中継ファイバを伝搬する光同士でのクロストークを抑制しやすくする観点からは、少なくとも1つの中継ファイバの第1コアの中心から延びて第2コアの中心を通る線分が、最も近い他の中継ファイバの第1コアと重ならないことが好ましいく、当該線分が他の中継ファイバのクラッドと重ならないことがより好ましい。
また、第1実施形態では、第1コア11を伝搬する2次LPモードの光と第2コア12a,12bを伝搬する1次LPモードの光とがモード合分波する中継ファイバ10を例に説明した。しかし、合分波するモードの組み合わせが第1コア11を伝搬する光と第2コアを伝搬する光とで異なっていればよい。例えば、第1コア11が3次LPモードまでの光を伝搬し、第2コア12a,12bが2次LPモードまでの光を伝搬し、第1コア11を伝搬する3次LPモードの光が、第2コアを伝搬する1次LPモードの光或いは2次LPモードの光とモード合分波することとしても良い。ただし、本実施形態のように、第1コア11が1次LPモードの光及び2次LPモードの光を伝搬し、第2コア12a,12bが1次LPモードまでの光を伝搬する場合、次数が最も低いLPモードの光の組み合わせとなり、光を容易に扱うことができる。
また、中継ファイバの数や中継ファイバが有する第2コアの数および配置は適宜変更可能である。例えば、以下に説明するように、合分波される光のモードに合わせて第2コアの数および配置を適切に変更することができる。
例えば、第1実施形態では、第2コア12aと、第1コア11の中心を基準として第2コア12aと90度異なる位置に第2コア12bと、が備えられる中継ファイバ10を例に説明し、第3実施形態では、第2コア12aと、第1コア11の中心を基準として第2コア12aと45度異なる位置に第2コア12cが配置される中継ファイバ120を例に説明した。しかし、第1コア11を伝搬する光が他のLPモードの光の場合には、各第2コアの適切な位置は異なる場合がある。また、第1コア11を伝搬する光とモード合分波する第2コアを伝搬する光は1次LPモードの光に限られない。例えば、第3実施形態において、第1コア11を伝搬する3次モードの光とモード合分波する第2コア12a,12cを伝搬する光は2次LPモードの光であっても良い。
また、第3実施形態において、第1コア11を伝搬する3次LPモードの光が第2コア12a,12cを伝搬する1次LPモードの光とモード合分波するものとした。しかし、第1コアを伝搬する光とモード合分波する第2コア12a,12cを伝搬する光が、第2コア12aと第2コア12cとで同じLPモードである必要はない。例えば、第3実施形態の変形例として、次の様なマルチコアファイバを挙げることができる。この変形例のマルチコアファイバは、第1コア11、第2コア12a,12cが第3実施形態のように配置されるが、第2コア12cが2次LPモードまでの光を伝搬する。そして、第1コア11を伝搬する3次LPモードの光が、第2コア12aを伝搬する1次LPモードの光とモード合分波すると共に第2コア12cを伝搬する2次LPモードの光とモード合分波する。
また、第4実施形態では、第1コア11を伝搬する2次LPモードの光が第2コア12aを伝搬する1次LPモードの光とモード合分波し、第1コア11を伝搬する3次LPモードの光が第2コア12dを伝搬する1次LPモードの光とモード合分波するものとした。しかし、第1コア11を伝搬する光とモード合分波する第2コア12a,12dを伝搬する光が、第2コア12aと第2コア12dとで同じLPモードである必要はない。例えば、第4実施形態の変形例として、次の様なマルチコアファイバを挙げることができる。このマルチコアファイバは、第2コア12dが2次LPモードまでの光を伝搬する点において、第4実施形態の中継ファイバ130と異なる。そして、第1コア11を伝搬する2次LPモードの光が第2コア12aを伝搬する1次LPモードの光とモード合分波し、第1コア11を伝搬する3次LPモードの光が第2コア12dを伝搬する2次LPモードの光とモード合分波する。
また、第1〜第4実施形態や上記変形例を組み合わせることも可能である。
図7は、複数の2次LPモードの光と1次LPモードの光、及び、3次LPモードの光と1次LPモードの光とをモード合分波する中継ファイバを示す図である。なお、本例を説明するに当たり、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。
図7に示すように、本例の中継ファイバ140は、第1コア11を基準として第2コア12aと対称となる位置に第3実施形態の中継ファイバ120の第2コア12cと同じ構成の第2コア12eを更に備える。また、第1コア11は、3次LPモードまでの光を伝搬する構成とされる。また、第1コア11を伝搬する2次LPモードの光は、第1実施形態と同様とされる。
従って、本例の中継ファイバ140は、小径部23において、第1コア11を伝搬する2つの2次LPモードの光(LP11aモードの光、LP11bモードの光)と第2コア12a及び第2コア12bを伝搬する1次LPモードの光とがそれぞれモード合分波し、さらに、第1コア11を伝搬する3次LPモードの光と第2コア12eを伝搬する1次LPモードの光とがモード合分波する。
図8は、複数の2次LPモードの光と1次LPモードの光、及び、複数の3次LPモードの光と1次LPモードの光とをモード合分波する中継ファイバを示す図である。なお、本例を説明するに当たり、図7の例と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。
図8に示すように、本例の中継ファイバ140は、第1コア11を基準として第2コア12eと45度となる位置に第3実施形態の中継ファイバ120の第2コア12cと同じ構成の第2コア12fを更に備える。また、図8に示すθ1は図3のθと同じ意味であり90度とされ、図8に示すθ2は図5のθ3と同じ意味であり45度とされる。また、第1コア11を伝搬する3次LPモードの光は、第3実施形態と同様とされる。
従って、本例の中継ファイバ140は、小径部23において、第1コア11を伝搬する2つの2次LPモードの光(LP11aモードの光、LP11bモードの光)と第2コア12a,12bを伝搬する1次LPモードの光とがそれぞれモード合分波し、さらに、第1コア11を伝搬する2つの3次LPモードの光(LP21aモードの光、LP21bモードの光)と第2コア12e,12fを伝搬する1次LPモードの光とがモード合分波する。
また、これまでに説明した例において、第1コア11はクラッド15の中心に位置するものとしたが、第1コア11はクラッド15の中心に位置しなくても良い。
また、これまでに説明した例において、クラッド15の屈折率はキャピラリ20の屈折率より高くされたが、クラッド15の屈折率とキャピラリ20の屈折率とが互いに等しくされても良い。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
第1実施形態の光デバイス1と同様の光デバイスを作製した。まず、第1コア11のクラッド15に対する比屈折率差Δ1が0.54%、第1コア11の半径r1が6.3μm、2つの第2コア12a、12bのそれぞれのクラッド15に対する比屈折率差Δ2が0.35%、2つの第2コア12a、12bのそれぞれの半径r2が3.7μm、クラッド15の直径が125μm、第1コア11の中心と第2コア12a、12bの中心との距離が25.0μmである中継ファイバ10を7本用意した。次に、六角形の各頂点と中心とに重なる位置に合計7つ貫通孔を有するキャピラリ20を用意し、この7つ貫通孔のそれぞれに中継ファイバ10を挿入した。キャピラリ20は、クラッド15よりも屈折率が低くなるように、フッ素が添加された低屈折率ガラスで作製した。その後、酸水素バーナで加熱してキャピラリ20と中継ファイバ10とを一体化させると共に溶融延伸させて光デバイス1を得た。延伸比は1.4とした。
上記のようにして作製した光デバイス1の中心に配置された中継ファイバ10の第2コア12a、12bにLP01モードの光を入力し、小径部23側の端部においてNFP(ニアフィールドパターン)を測定した。その結果、光を入力した中継ファイバ10の第1コア11において、LP11モードの光が励振されていることを確認できた。
なお、光を入力した第2コア12a、12bにはモード変換されなかった光が残っていたが、これらの光は光デバイス1をフューモードマルチコアファイバ5に接続した際にフューモードマルチコアファイバ5のクラッド55に入射して放射されるため、実用上問題がないと考えられる。
また、キャピラリ20の屈折率をクラッド15の屈折率よりも低くしたことによって、キャピラリ20とクラッド15との界面において光の漏れが抑制されていた。
本発明に係る光デバイスは、フューモードマルチコアファイバに対して低損失で光を入出力することができ、フューモードマルチコアファイバを用いる光通信の分野等で利用することができる。
1・・・光デバイス
5・・・フューモードマルチコアファイバ
10,110,120,130,140,150・・・中継ファイバ
11・・・第1コア
12,12b,12c,12d,12e,12f・・・第2コア
15・・・クラッド
20・・・キャピラリ
21・・・大径部
22・・・テーパ部
23・・・小径部
53・・・コア
55・・・クラッド
5・・・フューモードマルチコアファイバ
10,110,120,130,140,150・・・中継ファイバ
11・・・第1コア
12,12b,12c,12d,12e,12f・・・第2コア
15・・・クラッド
20・・・キャピラリ
21・・・大径部
22・・・テーパ部
23・・・小径部
53・・・コア
55・・・クラッド
Claims (4)
- 少なくともLP01モード及びLP11モードの光を伝搬する第1コアと、少なくともLP01モードの光を伝搬する第2コアと、前記第1コア及び前記第2コアの外周を囲うクラッドと、を有する複数の中継ファイバと、
前記複数の中継ファイバの外周を囲うキャピラリと、
を備え、
それぞれの前記中継ファイバの長手方向の一方側から他方側に向かって、それぞれの前記中継ファイバが縮径されるテーパ部が形成され、
それぞれの前記中継ファイバの前記テーパ部より前記一方側において、前記第1コアの各LPモードの光の伝搬定数と前記第2コアの各LPモードの光の伝搬定数とが不一致とされる異モード非相互作用区間が設けられ、
それぞれの前記中継ファイバの前記テーパ部より前記他方側において、前記第1コアの各LPモードの光の伝搬定数と前記第2コアの各LPモードの光の伝搬定数とが一致する異モード相互作用区間が設けられる
ことを特徴とする光デバイス。 - 少なくとも1つの前記中継ファイバの前記第1コアの中心から延びて前記第2コアの中心を通る線分は、最も近い他の前記中継ファイバの前記第1コアと重ならない
ことを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。 - 前記線分が、前記他の中継ファイバの前記クラッドと重ならない
ことを特徴とする請求項2に記載の光デバイス。 - 前記キャピラリの屈折率は、前記クラッドの屈折率よりも小さい
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光デバイス。
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