JP2019169780A - 光通信システム - Google Patents
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Abstract
【課題】小型で低コストなモード分割多重方式の光通信システムを実現すること。【解決手段】モード合分波器1A、1Bは、反射型対物レンズであり、一次ミラー10A、Bと二次ミラー11A、Bをそれぞれ有している。HMG光源3は、モード合分波器1Aの第1開口12Aに配置されている。LMG検出器6は、二次ミラー11Aの裏面に配置されている。LMG光源5は、二次ミラー11Bの裏面に配置されている。HMG検出器4は、モード合分波器1Bの第1開口12Bに配置されている。HMG光源3およびLMG検出器6の光軸と、二次ミラー11Aの光軸とが一致するように配置され、LMG光源5およびHMG検出器4の光軸と、二次ミラー11Bの光軸とが一致するように配置されている。【選択図】図1
Description
本発明は、マルチモード光導波路を用いてモード分割多重方式により通信を行う光通信システムに関するものである。特に、低次モード群と高次モード群にモードを2分割して通信を行う光通信システムに関するものである。
マルチモード光ファイバーを用い、低次モード群と高次モード群にモードを2分割して多重通信を行う光通信システムが知られている(特許文献1)。特許文献1では、多焦点の凸レンズや凹面鏡を用い、受光素子や発光素子の光軸を異ならせることで光ファイバーへの入射角が異なるようにし、これによりモード多重を実現している。
しかし、特許文献1のモード分割方法では、受光素子や発光素子の光軸が異なるように配置する必要があり、また多焦点の凸レンズや凹面鏡を配置する必要があるため、装置が大型となり、低コスト化も難しかった。
そこで本発明の目的は、低コストで小型なモード分割多重通信システムを実現することである。
本発明は、光信号を低次モード群と高次モード群とに分割してモード分割多重通信を行う光通信システムにおいて、マルチモード光導波路と、低次モード群での通信に用いる低次モード群信号を発光する低次モード群光源と、低次モード群信号を受光する低次モード群検出器と、高次モード群での通信に用いる高次モード群信号を発光する高次モード群光源と、高次モード群信号を受光する高次モード群検出器と、高次モード群信号を凹面で反射させる第1凹面ミラーを有し、マルチモード光導波路の一端と、低次モード群光源と、高次モード群検出器と、に光学的に接続し、マルチモード光導波路からの高次モード群信号を第1凹面ミラーによって反射させて高次モード群検出器に導き、低次モード群光源からの低次モード群信号をマルチモード光導波路の一端に導く第1光合分波器と、高次モード群信号を凹面で反射させる第2凹面ミラーを有し、マルチモード光導波路の他端と、高次モード群光源と、低次モード群検出器と、に光学的に接続し、マルチモード光導波路からの低次モード群信号を低次モード群検出器に導き、高次モード群光源からの高次モード群信号を第2凹面ミラーによって反射させてマルチモード光導波路の一端に導く第2光合分波器と、を有し、第1凹面ミラー、低次モード群光源および高次モード群検出器の光軸は、マルチモード光導波路の一端の光軸と一致するように配置され、第2凹面ミラー、高次モード群光源および低次モード群検出器の光軸は、マルチモード光導波路の他端の光軸と一致するように配置されている、ことを特徴とする光通信システムである。
本発明において、第1光合分波器は、第1凹面ミラーからの高次モード群信号を凸面で反射させて高次モード群検出器に導く第1凸面ミラーを有し、第1凸面ミラーの光軸は、第1凹面ミラーの光軸と一致するように配置され、第2光合分波器は、高次モード群光源からの高次モード群信号を凸面で反射させて第2凹面ミラーに導く第2凸面ミラーを有し、第2凸面ミラーの光軸は、第2凹面ミラーの光軸と一致するように配置されていてもよい。この場合、第1光合分波器および第2光合分波器は、反射型対物レンズであってもよい。
本発明の他の1つは、光を低次モード群と高次モード群とに分割してモード分割多重通信を行う光通信システムにおいて、マルチモード光導波路と、低次モード群での通信に用いる低次モード群信号を発光する低次モード群光源と、低次モード群信号を受光する低次モード群検出器と、高次モード群での通信に用いる高次モード群信号を発光する高次モード群光源と、高次モード群信号を受光する高次モード群検出器と、高次モード群信号を凹面で反射させる第1凹面ミラーを有し、マルチモード光導波路の一端と、低次モード群光源と、高次モード群光源と、に光学的に接続し、高次モード群光源からの高次モード群信号を第1凹面ミラーによって反射させてマルチモード光導波路の一端に導き、低次モード群光源からの低次モード群信号をマルチモード光導波路の一端に導く第1光合分波器と、高次モード群信号を凹面で反射させる第2凹面ミラーを有し、マルチモード光導波路の他端と、低次モード群検出器と、高次モード群検出器と、に光学的に接続し、マルチモード光導波路からの低次モード群信号を低次モード群検出器に導き、マルチモード光導波路からの高次モード群信号を第2凹面ミラーによって反射させて高次モード群検出器に導く第2光合分波器と、を有し、第1凹面ミラー、低次モード群光源および高次モード群光源の光軸は、マルチモード光導波路の一端の光軸と一致するように配置され、第2凹面ミラー、低次モード群検出器および高次モード群検出器の光軸は、マルチモード光導波路の他端の光軸と一致するように配置されている、ことを特徴とする光通信システムである。
本発明の他の1つにおいて、第1光合分波器は、高次モード群光源からの高次モード群信号を凸面で反射させて第1凹面ミラーに導く第1凸面ミラーを有し、前記第1凸面ミラーの光軸は、前記第1凹面ミラーの光軸と一致するように配置され、第2光合分波器は、第2凹面ミラーからの高次モード群信号を凸面で反射させて高次モード群検出器に導く第2凸面ミラーを有し、第2凸面ミラーの光軸は、第2凹面ミラーの光軸と一致するように配置されていてもよい。この場合、第1光合分波器および第2光合分波器は、反射型対物レンズであってもよい。
本発明において、マルチモード光導波路出射端での低次モード群信号のEAF=0.75における伝搬角が、マルチモード光導波路出射端での高次モード群信号のEAF=0.25における伝搬角以下となるように設定されているとよい。このように設定すれば、簡易に安定した通信を実現することができる。
本発明において、マルチモード光導波路は20m以下であり、マルチモード光導波路への入射直後の低次モード群信号の伝搬角が、最大伝搬角の1/3以下となり、マルチモード光導波路への入射直後の高次モード群信号の伝搬角が、最大伝搬角の2/3以上となるように設定されていてもよい。このように設定すれば、簡易に安定した通信を実現することができる。
また、本発明の他の1つは、反射型対物レンズの光入射口に高次モード群信号を発光する高次モード群光源または高次モード群信号を受光する高次モード群検出器を配置し、光出射口側に低次モード群信号を発光する低次モード群光源または低次モード群信号を受光する低次モード群検出器を配置することにより、反射型対物レンズを、低次モード群信号と高次モード群信号とを分離、合波する光合分波器として使用する方法である。
本発明によれば、小型で低コストなモード分割多重方式の光通信システムを実現することができる。
以下、本発明の具体的な実施例について図を参照に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
図1は、実施例1の光通信システムの構成を示した図である。図1のように、実施例1の光通信システムは、2つのモード合分波器1A、1Bと、マルチモード光ファイバー2と、HMG光源3と、HMG検出器4と、LMG光源5と、LMG検出器6と、によって構成されている。
モード合分波器1A、1Bは、マルチモード光ファイバー2と光学的に接続し、低次モード群信号と高次モード群信号とを合波・分波する合分波器として動作する。低次モード群(LMG)信号は、マルチモード光ファイバー2において低次モード群の光として伝搬させる光信号であり、高次モード群(HMG)信号は、マルチモード光ファイバー2において高次モード群の光として伝搬させる光信号である。低次モード群信号と高次モード群信号は同一波長であってもよいし、異なっていてもよい。
実施例1においては、モード合分波器1A、Bは図1に示すように動作する。すなわち、モード合分波器1Aは、HMG光源3から入力された高次モード群信号をマルチモード光ファイバー2に導き、マルチモード光ファイバー2から入力された低次モード群信号をLMG検出器6へと導く。また、モード合分波器1Bは、マルチモード光ファイバー2から入力された高次モード群信号をHMG検出器4に導き、LMG光源5から入力された低次モード群信号をマルチモード光ファイバー2へと導く。
モード合分波器1A、1Bは、反射型対物レンズであり、図1のように、一次ミラー10A、Bと二次ミラー11A、Bをそれぞれ有している。二次ミラー11A、Bは凸面で反射させる凸面ミラーであり、一次ミラー10A、Bは凹面で反射させる凹面ミラーである。反射型対物レンズの光入射側から順に、一次ミラー10A、B、二次ミラー11A、Bが配置され、一次ミラー10Aの反射面と二次ミラー11A、Bの反射面は向かい合うように配置されている。一次ミラー10A、Bの中央には孔が設けられ、これが反射型対物レンズの光入射口となっている。また、反射型対物レンズの光入射口、光出射口、一次ミラー10A、B、二次ミラー11A、Bはすべて光軸が一致するように配置されている。このような構成により、反射型対物レンズの光出射口から入射した光は、二次ミラー11A、Bの凸面によって反射されて光束が拡散して一次ミラー10A、Bの凹面に到達し、その凹面によって反射されて光束が収束し、光出射口から出射する。
なお、反射型対物レンズの光入射口、光出射口は、実施例1の利用態様においてはこれに限らない。そのため、以下では反射型対物レンズの光入射口をモード合分波器1A、1Bの第1開口12A、Bと呼び、光出射口をモード合分波器1A、1Bの第2開口13A、Bと呼ぶことにする。
マルチモード光ファイバー2は、コア径200μm、NA=0.37のステップインデックス型のマルチモード光ファイバーである。マルチモード光ファイバー2の一方の端面は、モード合分波器1Aの第2開口13Aと一定距離離れて向かい合っており、それぞれの光軸は一致するように配置されている。また、マルチモード光ファイバー2の他方の端面は、モード合分波器1Bの第2開口13Bと一定距離離れて向かい合っており、それぞれの光軸は一致するように配置されている。これにより、マルチモード光ファイバー2の一端は、モード合分波器1Aの第2開口13Aと光学的に接続されており、他端はモード合分波器1Bの第2開口13Bと光学的に接続されている。
なお、マルチモード光ファイバー2としてグレーデッドインデックス型のものを用いてもよい。また、光ファイバーに限らず、光導波路であってもよい。
HMG光源3は、高次モード群信号を発光する発光素子である。HMG光源3は、モード合分波器1Aの第1開口12Aに配置され、HMG光源3の光軸と二次ミラー11Aの光軸が一致するように配置されている。また、HMG光源3の光出射面と二次ミラー11Aの反射面(凸面)が向かい合うように配置されている。これにより、HMG光源3はモード合分波器1Aと光学的に接続されている。
LMG検出器6は、低次モード群信号を受光する受光素子である。LMG検出器6は、二次ミラー11Aの裏面(モード合分波器1Aの第2開口13A側)に配置されている。また、LMG検出器6の光検出面とマルチモード光ファイバー2の一方の端面とが光軸を一致させて向かい合うように配置されている。これにより、LMG検出器6はモード合分波器1Aと光学的に接続されている。
LMG光源5は、低次モード群信号を発光する発光素子である。発光波長はHMG光源3と同一でもよいし異なっていてもよい。LMG光源5は、二次ミラー11Bの裏面(モード合分波器1Bの第2開口13B側)に配置されている。また、LMG光源5の光出射面とマルチモード光ファイバー2の他方の端面とが光軸を一致させて向かい合うように配置されている。これにより、LMG光源5はモード合分波器1Bと光学的に接続されている。
HMG検出器4は、高次モード群信号を受光する受光素子である。HMG検出器4は、モード合分波器1Bの第1開口12Bに配置され、HMG検出器4の光軸と二次ミラー11Bの光軸が一致するように配置されている。また、HMG検出器4の光検出面と二次ミラー11Bの反射面(凸面)が向かい合うように配置されている。これにより、HMG検出器4はモード合分波器1Bと光学的に接続されている。
なお、HMG光源3は、図7に示すように、二次ミラー11Aの凸面上に光軸を一致させて設け、HMG光源3の光出射面と一次ミラー10Aとが向かい合うように配置されていてもよい。ただしこの場合、HMG光源3として光束が十分に広がるものを用いることが好ましい。また、HMG検出器4についても同様にしてもよい。
このように、実施例1の光通信システムでは、モード合分波器1A、1Bとして反射型対物レンズを利用している。そして、受発光素子(HMG光源3、HMG検出器4、LMG光源5、およびLMG検出器6)とマルチモード光ファイバー2の光軸を全て一致させ、さらに受発光素子とモード合分波器1A、1Bとを一体化した構成としている。そのため、装置の小型化、軽量化、低コスト化を図ることができる。
次に、実施例1の光通信システムの動作について説明する。
まず、高次モード群の通信について説明する。モード合分波器1Aの第1開口12Aに配置されたHMG光源3から放射された高次モード群信号は、モード合分波器1Aの二次ミラー11Aによって反射されて光束が拡散する。そして、モード合分波器1Aの一次ミラー10Aによって反射されてモード合分波器1Aの第2開口13Aから外部へと放射され、光束が収束していく。マルチモード光ファイバー2の一方の端面は、この光束の収束点に配置されている。そのため、マルチモード光ファイバー2の一方の端面からコア内部へと効率的に高次モード群信号が入射する。ここで、入射時の高次モード群信号の伝搬角θは、マルチモード光ファイバー2の最大伝搬角をθmaxとして、2θmax/3からθmaxの範囲となるように設定されている(図2参照)。マルチモード光ファイバー2のNAは0.37であるから、θmax=21.7°である。たとえば一次ミラー10Aや二次ミラー11Aの焦点距離によって2θmax/3からθmaxの範囲となるように設定することができる。
なお、図2中、横軸は伝搬角、縦軸はEAF(Encircled Angular flux)である。伝搬角は、マルチモード光ファイバー2の光軸に対する光の進行方向の角度(対空気の値)である。EAFは国際規格IEC61300−3−53で規定された伝送モード分布の表記方法である。EAFは伝搬角θの関数であり、EAF(θ)は、全光エネルギーを1とした、伝搬角θ以下の光エネルギーの総和を示している。
マルチモード光ファイバー2の一方の端面からコアに入射した高次モード群信号は、コア内を高次モードで伝搬し、マルチモード光ファイバー2の他方の端面から外部へと放射される。
マルチモード光ファイバー2の他方の端面から放射された高次モード群信号は、光束が広がりながらモード合分波器1Bの第2開口13Bを介してモード合分波器1B内へと入射する。入射した高次モード群信号は、モード合分波器1Bの一次ミラー10Bによって反射されて光束が収束していき、さらに二次ミラー11Bによって反射されておよそコリメート光となる。そして、このコリメート光はモード合分波器1Bの第1開口12Bに配置されたHMG検出器4に到達し、高次モード群信号を検出する。このようにして、モード合分波器1A側からモード合分波器1B側へと高次モード群信号が伝送される。
次に、低次モード群の通信について説明する。モード合分波器1Bの第2開口13Bに配置されたLMG光源5から放射された低次モード群信号は、モード合分波器1Bの第2開口13Bからのそのまま放射され、マルチモード光ファイバー2の他方の端面からコア内部へと低次モード群信号が入射する。ここで、入射時の低次モード群信号の伝搬角θは、0からθmax/3の範囲となるように設定されている。これは、たとえばLMG光源5として放射角の小さな光源を選ぶことで可能となる。図2のように、マルチモード光ファイバー2への入射時においてθmax/3から2θmax/3の範囲で伝搬する信号が存在しないようにすることで、低次モード群信号と高次モード群信号の分離を容易とし、安定した通信を実現できるようにしている。
なお、信号が存在しない伝搬角θの範囲は必ずしもθmax/3から2θmax/3の範囲である必要はなく、マルチモード光ファイバー2の長さ、屈曲、中継コネクタの数などに応じて範囲幅を拡大してもよい。ただし、マルチモード光ファイバー2の長さが20m以下である場合には、信号が存在しない伝搬角θの範囲をこのように設定することで簡易に安定した通信を実現できる。
マルチモード光ファイバー2の他方の端面からコアに入射した低次モード群信号は、コア内を低次モードで伝搬し、マルチモード光ファイバー2の一方の端面から外部へと放射される。
マルチモード光ファイバー2の一方の端面から放射された低次モード群信号は、モード合分波器1Aの第2開口13Aを介してモード合分波器1A内部へと入射する。入射した低次モード群信号は、直接LMG検出器6に到達し、低次モード群信号を検出する。このようにして、モード合分波器1B側からモード合分波器1A側へと低次モード群信号が伝送される。
以上のように、実施例1の光通信システムでは、低次モード群と高次モード群とにモード分割して双方向の通信を行うことができる。
次に、実施例1の光通信システムに関する各種実験結果を説明する。
低次モード群信号と高次モード群信号とを十分に分離可能な条件を検討した。低次モード群信号について、マルチモード光ファイバー2への入射直後のEAF=0.75における伝搬角θIN,L,0.75 として、N個の中継コネクタが挿入されM箇所の90°屈曲を有したマルチモード光ファイバー2を伝搬して出射する低次モード群信号のEAF=0.75における伝搬角θOUT,L,0.75は、下記式(1)で表される。
θOUT,L,0.75=θIN,L,0.75 +Δθl,L +N・Δθc,L +M・Δθb,L ・・・(1)
θOUT,L,0.75=θIN,L,0.75 +Δθl,L +N・Δθc,L +M・Δθb,L ・・・(1)
式(1)において、Δθl,L はマルチモード光ファイバー2の伝搬距離に応じたEAF=0.75における伝搬角θの変化を表し、Δθc,L は中継コネクタ1つ当たりのEAF=0.75における伝搬角θの変化を表し、Δθb,L は90°の屈曲1つ当たりのEAF=0.75における伝搬角θの変化を表している。
高次モード群信号について、マルチモード光ファイバー2への入射直後のEAF=0.25における伝搬角θIN,H,0.25 として、N個の中継コネクタが挿入されM箇所の90°屈曲を有したマルチモード光ファイバー2を伝搬して出射する高次モード群信号のEAF=0.25における伝搬角θOUT,H,0.25は、下記式(2)で表される。
θOUT,H,0.25=θIN,H,0.25 −Δθl,H −N・Δθc,H −M・Δθb,H ・・・(2)
θOUT,H,0.25=θIN,H,0.25 −Δθl,H −N・Δθc,H −M・Δθb,H ・・・(2)
式(2)において、Δθl,H はマルチモード光ファイバー2の伝搬距離に応じたEAF=0.25における伝搬角θの変化を表し、Δθc,H は中継コネクタ1つ当たりのEAF=0.25における伝搬角θの変化を表し、Δθb,H は90°の屈曲1つ当たりのEAF=0.25における伝搬角θの変化を表している。
図3は、式(1)、(2)のEAFの遷移を模式的に示したグラフである。図3(a)は低次モード群信号のEAF遷移、図3(b)は高次モード群信号のEAF遷移を示している。
低次モード群信号と高次モード群信号とを十分に分離して安定した通信を行うためには、SN比4dB以上が必要である。ここで、10・log(0.75/0.25)=4.7dBであるから、下記(3)を満たせば安定した通信を行うことが可能である。
θOUT,L,0.75≦θOUT,H,0.25 ・・・(3)
θOUT,L,0.75≦θOUT,H,0.25 ・・・(3)
次に、各種の伝搬角θを実測し、式(3)による判定を試みた。図4は、マルチモード光ファイバー2を伝搬後のEAF変化を示したグラフである。図4(a)は低次モード群信号のEAF変化を示し、図4(b)は高次モード群信号のEAF変化を示している。伝搬距離は1m、10m、20m、50mとし、低次モード群信号と高次モード群信号の波長は852nmとした。
図4(a)のように、低次モード群信号がマルチモード光ファイバー2を1m伝搬した後のEAFは、θmax/3(=7.2°)でEAFがおよそ1となっていた。これは、マルチモード光ファイバー2に入射直後の低次モード群信号のEAFとほぼ同一である。また、EAFが0.75となる伝搬角θは約4.5°であった。この伝搬角θを伝搬角θIN,L,0.75 とする。伝搬距離が延びて10mとなると、EAFが0.75となる伝搬角θは約3.3°増加し、伝搬距離が20m、50mとなると、EAFが0.75となる伝搬角θはさらに増加し、それぞれ3.9°、6.2°増加していた。これらの変化分をΔθl,L とする。
図4(b)のように、高次モード群信号がマルチモード光ファイバー2を1m伝搬した後のEAFは、2θmax/3(=14.4°)以下でEAFがおよそ0となっていた。これは、マルチモード光ファイバー2に入射直後の高次モード群信号のEAFとほぼ同一である。また、全光エネルギーの約2割はクラッドモード(マルチモード光ファイバー2のクラッドと外部の空気との界面で反射して伝搬するモード)として伝搬していることがわかった。また、EAFが0.25となる伝搬角θは約18.6°であった。この伝搬角θを伝搬角θIN,H,0.25 とする。また、伝搬距離が長くなるにつれてEAFが0.25となる伝搬角θは変化し、10mで0.4°、20mで−0.3°、50mで0.8°の変化であった。これらの変化分をΔθl,H とする。
次に、マルチモード光ファイバー2に中継コネクタを挿入することを考慮し、それによりEAFがどのように変化するかを考察した。中継コネクタの挿入によりギャップが0.1mm生じ、角度が2°ずれることを想定した。その結果、低次モード群信号では、EAFが0.75となる伝搬角θはおよそ1.3°変化し、高次モード群信号では、EAFが0.25となる伝搬角θはおよそ−1.0°変化した。
次に、マルチモード光ファイバー2の屈曲によるEAFの変化を考察した。屈曲は90°の曲げ半径20mmとして評価した。その結果、低次モード群信号では、EAFが0.75となる伝搬角θはおよそ0.1°変化し、高次モード群信号では、EAFが0.25となる伝搬角θはおよそ−0.05°変化した。
以上の実測値を用いて、式(1)、(2)によってθOUT,L,0.75、θOUT,H,0.25を算出し、式(3)を満たすかどうか判定を行った。図5は、それら実測値、θOUT,L,0.75、θOUT,H,0.25、式(3)による判定結果をまとめた表である。
図5のように、マルチモード光ファイバー2の長さが1m〜10mでは安定した通信を行うことができると判定できた。また、長さ20mにおいてはθOUT,L,0.75=θOUT,H,0.25となり、安定した通信を行うことができる境界付近であると判定された。また、長さ50mでは安定した通信を行うことができないと判定された。よってマルチモード光ファイバー2が20mよりも長い場合には、入射時における信号が存在しない伝搬角θの範囲の幅をより広げる必要がある。
以上のように、式(3)を用いることにより、実施例1の光通信システムにおける通信の安定性を簡易に評価することができる。
図6は、実施例2の光通信システムの構成を示した図である。実施例2の光通信システムは、実施例1の光通信システムにおけるLMG光源5とLMG検出器6を入れ換えた構成であり、他の構成は実施例1の光通信システムと同様である。
実施例2では、モード合分波器1A、1Bは図6のように動作する。すなわち、モード合分波器1Aは、HMG光源3から入力された高次モード群信号と、LMG光源5から入力された低次モード群信号とを合波してマルチモード光ファイバー2へと導く。また、モード合分波器1Bは、マルチモード光ファイバー2から入力された高次モード群信号と低次モード群信号とをそれぞれ分離して、高次モード群信号はHMG検出器4へと導き、低次モード群信号はLMG検出器6へと導く。
実施例2の光通信システムによれば、モード合分波器1A側からモード合分波器1B側へと一方向に低次モード群信号と高次モード群信号とを多重化して通信を行うことができる。
なお、実施例2の光通信システムにおいても、図7のようにHMG光源3を二次ミラー11Aの凸面上に光軸を一致させて設け、HMG光源3の光出射面と一次ミラー10Aとが向かい合うように配置してもよいし、HMG検出器4について同様に配置してもよい。
本発明によりモード分割多重通信システムを容易に構築することができる。
1A、B:モード合分波器
2:マルチモード光ファイバー
3:HMG光源
4:HMG検出器
5:LMG光源
6:LMG検出器
10A、B:一次ミラー
11A、B:二次ミラー
2:マルチモード光ファイバー
3:HMG光源
4:HMG検出器
5:LMG光源
6:LMG検出器
10A、B:一次ミラー
11A、B:二次ミラー
Claims (8)
- 光信号を低次モード群と高次モード群とに分割してモード分割多重通信を行う光通信システムにおいて、
マルチモード光導波路と、
低次モード群での通信に用いる低次モード群信号を発光する低次モード群光源と、
低次モード群信号を受光する低次モード群検出器と、
高次モード群での通信に用いる高次モード群信号を発光する高次モード群光源と、
高次モード群信号を受光する高次モード群検出器と、
高次モード群信号を凹面で反射させる第1凹面ミラーを有し、前記マルチモード光導波路の一端と、前記低次モード群光源と、前記高次モード群検出器と、に光学的に接続し、前記マルチモード光導波路からの高次モード群信号を前記第1凹面ミラーによって反射させて前記高次モード群検出器に導き、前記低次モード群光源からの低次モード群信号を前記マルチモード光導波路の一端に導く第1光合分波器と、
高次モード群信号を凹面で反射させる第2凹面ミラーを有し、前記マルチモード光導波路の他端と、前記高次モード群光源と、前記低次モード群検出器と、に光学的に接続し、前記マルチモード光導波路からの低次モード群信号を前記低次モード群検出器に導き、高次モード群光源からの高次モード群信号を前記第2凹面ミラーによって反射させて前記マルチモード光導波路の一端に導く第2光合分波器と、
を有し、
前記第1凹面ミラー、前記低次モード群光源および前記高次モード群検出器の光軸は、前記マルチモード光導波路の一端の光軸と一致するように配置され、
前記第2凹面ミラー、前記高次モード群光源および前記低次モード群検出器の光軸は、前記マルチモード光導波路の他端の光軸と一致するように配置されている、
ことを特徴とする光通信システム。 - 前記第1光合分波器は、前記第1凹面ミラーからの高次モード群信号を凸面で反射させて前記高次モード群検出器に導く第1凸面ミラーを有し、前記第1凸面ミラーの光軸は、前記第1凹面ミラーの光軸と一致するように配置され、
前記第2光合分波器は、前記高次モード群光源からの高次モード群信号を凸面で反射させて前記第2凹面ミラーに導く第2凸面ミラーを有し、前記第2凸面ミラーの光軸は、前記第2凹面ミラーの光軸と一致するように配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の光通信システム。 - 光を低次モード群と高次モード群とに分割してモード分割多重通信を行う光通信システムにおいて、
マルチモード光導波路と、
低次モード群での通信に用いる低次モード群信号を発光する低次モード群光源と、
低次モード群信号を受光する低次モード群検出器と、
高次モード群での通信に用いる高次モード群信号を発光する高次モード群光源と、
高次モード群信号を受光する高次モード群検出器と、
高次モード群信号を凹面で反射させる第1凹面ミラーを有し、前記マルチモード光導波路の一端と、前記低次モード群光源と、前記高次モード群光源と、に光学的に接続し、高次モード群光源からの高次モード群信号を前記第1凹面ミラーによって反射させて前記マルチモード光導波路の一端に導き、前記低次モード群光源からの低次モード群信号を前記マルチモード光導波路の一端に導く第1光合分波器と、
高次モード群信号を凹面で反射させる第2凹面ミラーを有し、前記マルチモード光導波路の他端と、前記低次モード群検出器と、前記高次モード群検出器と、に光学的に接続し、前記マルチモード光導波路からの低次モード群信号を前記低次モード群検出器に導き、前記マルチモード光導波路からの高次モード群信号を前記第2凹面ミラーによって反射させて前記高次モード群検出器に導く第2光合分波器と、
を有し、
前記第1凹面ミラー、前記低次モード群光源および前記高次モード群光源の光軸は、前記マルチモード光導波路の一端の光軸と一致するように配置され、
前記第2凹面ミラー、前記低次モード群検出器および前記高次モード群検出器の光軸は、前記マルチモード光導波路の他端の光軸と一致するように配置されている、
ことを特徴とする光通信システム。 - 前記第1光合分波器は、前記高次モード群光源からの高次モード群信号を凸面で反射させて前記第1凹面ミラーに導く第1凸面ミラーを有し、前記第1凸面ミラーの光軸は、前記第1凹面ミラーの光軸と一致するように配置され、
前記第2光合分波器は、前記第2凹面ミラーからの高次モード群信号を凸面で反射させて前記高次モード群検出器に導く第2凸面ミラーを有し、前記第2凸面ミラーの光軸は、前記第2凹面ミラーの光軸と一致するように配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の光通信システム。 - 前記第1光合分波器および前記第2光合分波器は、反射型対物レンズである、ことを特徴とする請求項2または請求項4に記載の光通信システム。
- 前記マルチモード光導波路出射端での低次モード群信号のEAF=0.75における伝搬角が、前記マルチモード光導波路出射端での高次モード群信号のEAF=0.25における伝搬角以下となるように設定されている、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の光通信システム。 - 前記マルチモード光導波路は20m以下であり、
前記マルチモード光導波路への入射直後の低次モード群信号の伝搬角が、最大伝搬角の1/3以下となり、
前記マルチモード光導波路への入射直後の高次モード群信号の伝搬角が、最大伝搬角の2/3以上となるように設定されている、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の光通信システム。 - 反射型対物レンズの光入射口に高次モード群信号を発光する高次モード群光源または高次モード群信号を受光する高次モード群検出器を配置し、光出射口側に低次モード群信号を発光する低次モード群光源または低次モード群信号を受光する低次モード群検出器を配置することにより、反射型対物レンズを、低次モード群信号と高次モード群信号とを分離、合波する光合分波器として使用する方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2018054494A JP2019169780A (ja) | 2018-03-22 | 2018-03-22 | 光通信システム |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2018054494A JP2019169780A (ja) | 2018-03-22 | 2018-03-22 | 光通信システム |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP4030206A1 (en) | 2021-01-15 | 2022-07-20 | Yazaki Corporation | Optical fiber and optical transmission module |
-
2018
- 2018-03-22 JP JP2018054494A patent/JP2019169780A/ja active Pending
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US11506836B2 (en) | 2021-01-15 | 2022-11-22 | Yazaki Corporation | Optical fiber and optical transmission module |
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