JP2017187483A - てんぷ停止機構、時計用ムーブメント、時計 - Google Patents

てんぷ停止機構、時計用ムーブメント、時計 Download PDF

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Takahisa Konno
嵩久 今野
幸子 田邉
Sachiko Tanabe
幸子 田邉
中嶋 正洋
Masahiro Nakajima
正洋 中嶋
卓磨 川内谷
Takuma Kawachiya
卓磨 川内谷
雅行 幸田
Masayuki Koda
雅行 幸田
新輪 隆
Takashi Niwa
隆 新輪
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Abstract

【課題】時刻合わせ後の再起動時に確実にてんぷを動かすことで、時計の停止を防ぐ機構、それを有するムーブメント及び時計を提供する。【解決手段】てんぷ停止機構11は、回転停止部7及びてんぷ9に備えられる係止部2とで構成され、回転停止部7と係止部2が当接することによって、てんぷ9をポテンシャルエネルギーがゼロになるタイミングを避けて停止させることができ、再起動後に確実に時計を動かすことができる。【選択図】図1

Description

本発明は、時刻合わせの際に秒針を停止させる機構およびこれを有する機械式時計に係る。
時刻合わせの際に、秒針まで正確に調整するために秒針を停止させる機構(例えば、特許文献1を参照)がある。図17に示すように、りゅうず22を引くことで規制レバー23が動き、その規制レバーの一端24がてん輪25を抑える。これによりてんぷの動きが停止し、秒針を停止させる方法がある。
実公昭46−25429号公報
しかしながら、前記のような機構でてん輪を停止させると、てん輪を止めるタイミングがランダムになるため、ひげぜんまいが自然状態(巻き締まり、巻き広がりがない状態)になるタイミング(死点)でてんぷを止めてしまう可能性がある。死点ではひげぜんまいのポテンシャルエネルギーがゼロであるため、このタイミングでてんぷを止めてしまうと再度りゅうずを押し込んで時計を動かそうとしても、てんぷが動かず時計が停止してしまう可能性がある。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、再起動時に、確実にてんぷを動かすことで時計の停止を防ぐてんぷ停止機構とそれを有する時計用ムーブメント、時計を提供することを目的とする。
てん真を回転中心として正回転及び逆回転に振動するてんぷに配設される係止部と、前記てんぷの方向に進退して前記係止部と当接可能な回転停止部とを備え、前記てんぷの回転方向が前記てんぷの振動の中心に向かう時のみに、前記回転停止部は前記係止部に当接されることにより前記てんぷの回転を停止させることを特徴とするてんぷ停止機構を提供する。
この構成によれば、てんぷを停止させるタイミングがランダムにならず、必ず係止部と回転停止部が当接するときにのみてんぷを停止させることが可能になる。したがって、前記係止部と回転停止部が当接するタイミングを死点以外にすることで、時計の停止を防ぐことが可能になる。また、てんぷが振動の中心に向かう際にてんぷの回転運動を停止させることで、係止部が当接の際に回転停止部から受ける反発力により、その反対方向(振動の中心から離れる方向)へ回転運動をすることを防ぐことができる。これにより、てん輪の回転運動が続いてしまうことによるてんぷの停止遅れやてんぷが停止できずに時刻合わせ不能になることを防ぐことができる。
前記回転停止部は、支持部に設けられる固定部と、前記係止部に当接されることにより前記固定部側及び前記固定部と反対側に変位可能な変位部とで構成され、前記固定部側に変位された前記変位部が前記固定部に当設することにより前記てんぷを停止させることが好ましい。
この構成によれば、回転停止部の変位部が固定部側に変位すると、固定部が支えになり、変位部はわずかにしか変位しない。一方、固定部と反対側に変位すると、大きく変位できる。そのため、回転停止部の変位部が、固定部側に変位するように係止部と当接する際にのみてんぷを停止させることができる。従って、てんぷが振動の中心に向かう方向と、変位部と固定部が当接する方向を合わせることができるため、てんぷが振動の中心に向かうときにのみ、てんぷを停止させることができる。
前記回転停止部は、前記変位部と前記固定部の当接時の衝撃を緩和する緩衝構造部を備えることが好ましい。
この構成によれば、変位部と固定部が当接する際の衝撃を緩衝構造部によって緩和させることができるため、当接時の係止部が受ける反発力を軽減することができる。そのため、反発力方向へのてん輪の回転運動を防ぐことができ、変位部と固定部が当接した際に確実にてんぷを停止させることができる。
前記変位部は、前記係止部が前記てんぷの振動の中心より離れる方向から前記回転停止部に当接する側に、前記係止部に対して傾きを有する面を備えていることが好ましい。
この構成によれば、てんぷが振動の中心から離れる方向に係止部と変位部が当接した際に、変位部の傾き面によって接触抵抗を減らすことができる。そのため、係止部と回転停止部の当接の際の損傷を軽減し、両部品の耐久性を向上させることができる。
前記回転停止部は、複数の前記変位部と複数の前記固定部とで構成されていることが好ましい。
この構成によれば、回転停止部と係止部が当接するまでの時間が短くなる。そのため、回転停止部が作動してから秒針が停止するまでの時間差を小さくすることができる。
前記回転停止部は、前記支持部を中心として、1つの変位部と1つの固定部の組を複数組備えることが好ましい。
この構成によれば、てんぷの再起動の際に、回転停止部と係止部の当接位置から、てんぷの再起動後の回転方向またはその反対方向に支持部を中心とした回転動作により変位部を係止部に近づけ、変位部と係止部を当接させることができる。また、てんぷを再起動させる際も回転動作によって変位部が係止部から離れるが、その際にてんぷに対してもその方向に回転エネルギーを与えることができる。これによって、再起動の際にてんぷの残存エネルギーがわずかな場合でもてんぷを確実に再起動させることができる。
前記回転停止部は、前記係止部との当接位置を調整する当接位置調整機構を備えていることが好ましい。
この構成によれば、任意の振り角でてんぷを停止させることができるため、寸法ばらつきにより狙いの当接位置からずれてしまった場合でも後に調整することができる。また、てんぷの振り角が小さい際に、てんぷの振動の中心から離れる方向から係止部と回転停止部の変位部が当接する場合、係止部が変位部を通過できずてんぷを停止させることができない可能性があるが、この場合でも当接位置を調整することにより係止部が変位部を通過できる。
前記係止部は、前記てんぷに備えられ、前記てん真を中心とするリング状のてん輪に配設されることが好ましい。
この構成によれば、てんぷのうち最も円周の大きいてん輪に係止部を設けることにより、係止部の設置範囲が広くなる。ゆえに、係止部の位置決めを容易に行うことができる。また、係止部をより多く設置することもかのうになるため、秒停止のタイミングをより細かく制御することができる。
前記てんぷは、前記てん輪の重心を前記てん真の位置に調整するための錘部を備えることが好ましい。
この構成によれば、てん輪の重心のずれを防ぎ、時計の姿勢差による計時精度の低下を防ぐことができる。
前記係止部は、前記てんぷの振動の中心より離れる方向から前記回転停止部に当接する側に、前記変位部に対して傾きを有する面を備えていることが好ましい。
この構成によれば、てんぷが振動の中心から離れる方向に係止部と変位部が当接した場合、係止部の傾き面によって接触抵抗を減らすことができる。そのため、係止部と回転停止部の当接の際の損傷を軽減し、両部品の耐久性を向上させることができる。
前記係止部は、少なくとも2つ以上設けることが好ましい。
この構成によれば、回転停止部と係止部が当接するまでの時間が短くなる。そのため、回転停止部が作動してから秒針が停止するまでの時間差を小さくすることができる。
前記係止部は、前記てん輪の内側に設けられることが好ましい。
この構成によれば、外側に係止部を設ける場合よりも空気の粘性抵抗を減らすことができるため、粘性抵抗によるエネルギー損失を小さくすることができる。そのため、てん輪の回転運動の持続時間が延び、時計の駆動時間を長くすることができる。さらに、内側に係止部を設けることで、その他の部品をてん輪に近づける等、設計の自由度を上げることができる。
前記係止部は、前記てん真を中心とした、円盤状の振り座に配設されることが好ましい。
この構成によれば、振動の中心であるてん真に係止部を近づけることができるため、空気の粘性抵抗をより小さくし、エネルギー損失をさらに小さくすることができる。そのため、てん輪の回転運動の持続時間が延び、時計の駆動時間を長くすることができる。
前記係止部は、前記てんぷに動力を伝達するための、前記振り座に備えられる振り石であることが好ましい。
この構成によれば、係止部とする部品を新たに設ける必要がなくなり、部品点数を少なくすることができる。
本発明の時計用ムーブメントは、動力源を構成する動力ぜんまいと、前記動力ぜんまいが巻き戻されるときの回転力により回転する表輪列とを備え、前記表輪列の回転を前記てんぷ停止機構により制御することが好ましい。
この構成によれば、時刻合わせの際に死点を避けててんぷを停止させることができるため、再起動後に確実に動くムーブメントを提供することができる。
本発明の時計は、前記時計用ムーブメントを搭載することが好ましい。
この構成によれば、時刻合わせの際に死点を避けててんぷを停止させることができるため、再起動後に確実に動く時計を提供することができる。
本発明に係る機構によれば、時刻合わせの際にてんぷを停止させるタイミングがランダムにならず、確実に死点以外のタイミングでてんぷを停止させることができるため、再起動時に時計が停止することを防ぐことができる。
本発明の第1実施形態であるてんぷ停止機構を示す図である。 本発明の第1実施形態であるてんぷの変形例を示す図である。 本発明の第1実施形態である回転停止部の変形例を示す図である。 本発明の第1実施形態であるてんぷ停止機構の働きを示す図であり、(a)はてん輪が回転運動をしている状態を示す図であり、(b)は回転停止部と係止部の当接直前を示す図であり、(c)は係止部が回転停止部を通過する様子を示す図である。 本発明の第1実施形態であるてんぷ停止機構の働きを示す図であり、(a)は錘部が回転停止部を通過する様子を示す図であり、(b)はてんぷの停止を示す図である。 本発明の第1実施形態であるてんぷ停止機構を搭載したムーブメントを示す図であり、(a)はりゅうずを押し込んでいる状態を示す図であり、(b)はりゅうずを引いた状態を示す図である。 本発明の第1実施形態であるてんぷ停止機構を示す図であり、(a)は回転停止部、てん真及び係止部の位置関係を示す図であり、(b)はてんぷの停止を示す図である。 本発明の第1実施形態であるてんぷ停止機構を示す図であり、(a)はてんぷの振り角が設計通りの場合の回転停止部と係止部の位置関係であり、(b)は振り角が低下し、回転停止部の位置調整をする前を示す図であり、(c)は回転停止部の位置を調整した後を示す図である。 本発明の第2実施形態であるてんぷを示す図である。 本発明の第2実施形態であるてんぷ停止部機構の変形例を示す図である。 本発明の第3実施形態であるてんぷ停止機構を示す図である。 本発明の第3実施形態であるてんぷ停止機構の働きを示す図であり、(a)はてん輪が回転運動している状態を示す図であり、(b)は回転停止部と係止部の当接直前を示す図であり、(c)はてんぷの停止を示す図である。 本発明の第3実施形態であるてんぷ停止機構の働きを示す図であり、(a)は回転停止部の回転動作を示す図であり、(b)は再起動後のてん輪の回転運動を示す図である。 本発明の第4実施形態である回転停止部を示す図である。 本発明の第4実施形態であるてんぷ停止機構を示す図である。 本発明の第4実施形態である回転停止部の変形例を示す図である。 従来のてんぷ停止機構の一例を示す図である。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態であるてんぷ停止機構11について説明する。
図1は、第1実施形態であるてんぷ停止機構11を表す。てんぷ停止機構11は、回転停止部7及びてんぷ9とで構成される。
てんぷ9は、てん輪1、係止部2、錘部3、てん真4、振り座5、振り石6、ひげぜんまい10で構成される。てん真4はてん輪1の中心に、振り座5はてん真4に圧入されており、振り座5には振り石6が備えられている。てん輪1は真鍮などの金属材料で形成される。
係止部2は、てん輪1の外周の側面に備えられ、停止面2aとすべり面2bとで構成される。停止面2aは、てん輪1の回転運動が停止する際に、後に説明する回転停止部7と接触する面である。一方、すべり面2bは、係止部2が回転停止部7を通過する際に回転停止部7と接触する面であり、接触抵抗を小さくするように傾斜を設けてある。係止部2は、真鍮等の金属材料等で形成される。
錘部3は、てん真4を中心として係止部2のおよそ180度反対側のてん輪1の外周の側面に設けられ、てん輪1の重心がてん真4の位置になるように調整するために設けられている。また、錘部3は係止部2よりも小さな突起となっており、回転停止部7と接触しないようになっている。そのため、錘部3には、係止部2よりも密度が高い材料を用いることが好ましい。また、錘部3は、てん輪1の一部を太くするなど、てん輪1と一体構造となっていてもよい。またさらに、図2のように係止部2を2c、2d、2e複数設けることによって、てん輪1の重心の位置調整を行ってもよい。
回転停止部7は図1のように固定部7a、変位部7b、支持部7cで構成され、支持部7cに固定部7aと変位部7bの一端がつながっている。回転停止部7は、ニッケルや鉄などの金属材料やシリコンなどの弾性変形が可能な材料で形成される。変位部7bのみ係止部2と当接できるように、固定部7aは変位部7bよりも短く形成されている。さらに、固定部7aは変位部7bと当接した際に変位しないように十分な厚みを持ち、変位部7bは大きく変位できるように薄い板バネで構成される。また図3のように、変位部7bには係止部2との当接の際に接触抵抗を小さくするためのすべり面7dを設けても良い。
(てんぷ停止機構の働き)
次に、回転停止部7と係止部2の働きについて説明する。
図4(a)から図4(c)及び図5(a)から図5(b)は、てんぷ停止機構11における、てん輪1の回転運動を停止させるまでを表している。図4(a)は、回転停止部7と係止部2が当接せずに、てん輪1が正方向または負方向に回転運動をしている状態である。ここで、正方向は図4(a)での(+)の方向、負方向は図4(a)での(−)方向と定義する。図4(b)は、正方向に回転運動しており、てん輪1の回転運動の方向が振動の中心から離れる方向であり、係止部2と回転停止部7が接触する直前を表している。変位部7bが大きく変位できる方向とてん輪1が振動の中心から離れる方向を揃えることで、回転停止部7の変位部7bと係止部2のすべり面2bが当接する際に図4(c)のように変位部7bが変位し、係止部2は変位部7bを通過することができる。次に、図5(a)のように錘部3が変位部7bに近づくが、錘部3は係止部2よりも小さく、てん輪1と変位部7bの隙間を通ることができるため、変位部7bと当接することがない。次に、てん輪1の回転方向が負方向になると、係止部2の停止面2aと変位部7bが当接するが、図5(b)のように変位部7bと固定部7aが度当たりするため、変位部7bはわずかにしか変位できない。そのため、係止部2は変位部7bを通過することができず、てん輪1は停止する。
このように、てんぷ9が振動の中心に向かう際にてんぷ9の回転運動を停止させることで、係止部2が当接の際に回転停止部7から受ける反発力により、その反対方向(振動の中心から離れる方向)へ回転運動をすることを防ぐことができる。これにより、てん輪1の回転運動が続いてしまうことによるてんぷ9の停止遅れやてんぷ9が停止できずに時刻合わせ不能になることを防ぐことができる。
(ムーブメント)
図6は、前記てんぷ停止機構11を備えたムーブメント26を表す。ムーブメントとは、時計の駆動部を指す。なお、図5は本発明であるてんぷ停止機構11のみを記載し、他の部品を省略している。
図6(a)に示すように、回転停止部7の支持部7cの一端は、ツヅミ車13の二枚の歯車13a及び13bの間に組み込まれている。りゅうず12を引いていない状態では、回転停止部7と係止部2は接触せず、てん輪1は回転運動をする。りゅうず12を引くと、ツヅミ車13はてん輪1の方向Aへ移動する。この時に回転停止部7も方向Aへ移動し、回転停止部7の変位部7bは係止部2と当接可能な位置まで移動する。この操作により図6(b)のように係止部2と変位部7bが当接し、てん輪1の回転運動は停止する。その後、りゅうず12を押し込むと回転停止部7は方向Bへ移動するため、てん輪1は再び回転運動をするようになる。
(係止部の位置決め)
前述の係止部2と回転停止部7の当接のタイミングは、死点以外である必要がある。死点とは、ひげぜんまい10の自然状態(巻き締まり、巻き広がりがない状態)を指す。ひげぜんまい10は、てん輪1の回転運動に伴い巻き締まりと巻き広がりを繰り返すため、死点での停止を避けるために係止部2の位置決めが重要になる。ひげぜんまい10は、てんぷ9をムーブメント26に組み込む際は自然状態であるため、組み込む際の係止部2の位置調整が必要である。
図7(a)及び図7(b)は、ひげぜんまい10が自然状態における係止部2と回転停止部7の位置関係を表している。なお、ひげぜんまい10の状態を見やすくするために振り座5や振り石6等は省略している。
図7(a)の破線Cは、回転停止部7の変位部7bとてん真4を結ぶ線である。図7(a)の破線C上に係止部2を配置するようにてんぷ9を組み込んでしまうと、回転停止部7と係止部2が当接する際に、ひげぜんまい10が必ず自然状態になってしまい、てんぷ9は死点で停止してしまう。そのため、係止部2を図7(a)のように破線Cから外れるようにてんぷ9を組み込む必要がある。このようにてんぷ9を組み込むことで、回転停止部7と係止部2が当接する際には、図7(b)のようにひげぜんまい10は自然状態ではないため、死点での停止を防ぐことができる。
(回転停止部の位置調整)
経時劣化によって、例えばてんぷ9の回転運動の範囲(振り角と定義する)が低下した場合、係止部2と回転停止部7が当接できない可能性がある。そのため、回転停止部7の位置を、係止部2と当接可能な位置に調整できるようにする必要がある。
図8に回転停止部7に調整機構を設けた場合の回転停止部7の動きを表す。なお、同一の構成については同一符号を設け、説明を省略する。
てんぷ9の振り角が図8(a)の矢印Dに示す範囲の場合、回転停止部7と係止部2は当接できるが、振り角が、図8(b)の矢印D’のように小さくなった場合、係止部2と回転停止部7は当接できない。そのためてんぷ9を停止させることができない。そのために図8(c)のように、回転停止部7を矢印Eの方向に調整することによって係止部2と回転停止部7が当接可能になる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態であるてんぷ停止機構14について説明する。なお、同一の構成については同一符号を設け、説明を省略する。
図9は、第2実施形態であるてんぷ21を表す。振り座5の側面には係止部16と錘部17が備えられている。錘部17は、てん真4を中心として係止部16のおよそ180度反対側の振り座5の側面に設けられ、てん輪1の重心がてん真4の位置になるように調整するために設けられている。振り座5や係止部16、錘部17は真鍮などの金属材料で形成される。また、錘部17は係止部16よりも小さな突起となっており、回転停止部7と接触しないようになっている。係止部16の停止面16aと回転停止部7の変位部7bが当接することで、てん輪1の回転運動を停止させることができる。
このように、係止部16を振動の中心であるてん真4に近づけることによって空気の粘性抵抗を小さくし、エネルギー損失を小さくすることができる。そのため、てん輪1の回転運動の持続時間を延ばすことができる。
なお、図10のように振り座5に設けられている振り石6を係止部としても良い。振り石6は、ルビーなどの硬度が高く低摩擦である材料で構成される。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態であるてんぷ停止機構15について説明する。なお、同一の構成については同一符号を設け、説明を省略する。
図11は、本発明の第3実施形態であるてんぷ停止機構15を表す。回転停止部8は、支持部8iと複数の固定部8a、8c、8e、8gと複数の変位部8b、8d、8f、8hで構成され、それぞれの固定部と変位部の一端は支持部8iにつながっている。支持部8iの持つ4つの側面の各面には、固定部と変位部がそれぞれ一つずつ設けられている。それぞれの変位部は、同一面内にある固定部にしか当接できず、異なる面に設けられた固定部と変位部が当接することはない。回転停止部8は、ニッケルや鉄などの金属材料やシリコンなどの弾性変形が可能な材料で形成される。変位部8b、8d、8f、8hのみ係止部2と当接できるように、固定部8a、8c、8e、8gは変位部8b、8d、8f、8hよりも短く形成されている。さらに、固定部8a、8c、8e、8gは、それぞれ変位部8a、8c、8e、8gと当接した際に変位しないように十分な厚みを持ち、変位部8a、8c、8e、8gは大きく変位できるように薄い板バネで構成される。
(てんぷ停止機構の働き)
図12(a)から図12(c)及び図13(a)から図13(b)は、第3実施形態であるてんぷ停止機構15の働きを表している。図10(a)は、てん輪1が正方向または負方向に回転運動をしており、係止部2は回転停止部8と接触しない状態を表している。ここで、正方向は図12(a)での(+)の方向、負方向とは図12(a)での(−)方向と定義する。また、回転停止部8は、方向Dに回転することができ、この動きによって図12(a)の状態から図12(b)のように回転停止部8の変位部8bは、係止部2と当接可能な位置まで近づくことができる。図12(b)に示すように、てん輪1の回転方向が負方向の場合、係止部2の停止面2aと回転停止部8の変位部8bが当接することで、図12(c)のように、てん輪1の回転運動を停止させることができる。その後、てんぷ9を再起動させる際には、図13(a)のように回転停止部8が方向Dへ回転することで、てん輪1は正方向へ動く。その後、てん輪1は図13(b)のように負方向への回転運動をする。
このように回転停止部8の回転動作によって、回転するためのエネルギーをてん輪1へ与えることで、てんぷ9の残存エネルギーがわずかな場合でもてんぷ9を確実に再起動させることができる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態であるてんぷ停止機構20について説明する。なお、同一の構成については同一符号を設け、説明を省略する。
図14は、本発明の第4実施形態のである回転停止部18を表す。回転停止部18は、固定部18a、変位部18b、支持部18c、及び緩衝構造部19で構成される。変位部18bのみ係止部2と当接できるように、固定部18aは変位部18bよりも短く形成されている。さらに、固定部18aは変位部18bと当接した際に変位しないように十分な厚みを持ち、変位部18bは大きく変位できるように薄い板バネで構成される。緩衝構造部19は、支持部19aと接触部19bとで構成される。緩衝構造部19の支持部19aの一端は、変位部18bにつながっており、接触部19bの一端は支持部19aにつながっている。接触部19bは、変位部18b側に変位することができるように薄い板バネで構成される。回転停止部18は、ニッケルや鉄などの金属材料やシリコンなどの弾性変形が可能な材料で形成される。
(てんぷ停止機構の働き)
図15は、第4実施形態であるてんぷ停止機構20を表す。係止部2の停止面2aと変位部18bが当接することにより、てん輪1の回転運動は停止する。その際に、変位部18bが固定部18a側に変位するが、緩衝構造部19の接触部19bが固定部18aと接触した後に変位部18b側に変位する。この接触部19bの変位によって衝撃を緩和し、反発力が変位部18bに伝わることを防ぐことができる。なお、図16の19cのように、グリース等を塗布することによって衝撃を緩和させても良い。
このように、変位部18bに反発力が伝わることを防ぐことで、てん輪1が反対方向に回転運動をすることを防ぐことができる。これにより、てん輪1の回転運動が続いてしまうことによるてんぷ9の停止遅れやてんぷ9が停止できずに時刻合わせ不能になることを防ぐことができる。
すなわち、以上の実施形態に係るてんぷ停止機構は、てん真を回転中心として正回転及び逆回転に振動するてんぷに配設される係止部と、前記てんぷの方向に進退して前記係止部と当接可能な回転停止部とを備え、前記てんぷの回転方向が前記てんぷの振動の中心に向かう時のみに、前記回転停止部は前記係止部に当接されることにより前記てんぷの回転を停止させることを特徴とする。
また、以上の実施形態に係るてんぷ停止機構は、前記回転停止部は、支持部に設けられる固定部と、前記係止部に当接されることにより前記固定部側及び前記固定部と反対側に変位可能な変位部とで構成され、前記固定部側に変位された前記変位部が前記固定部に当設することにより前記てんぷを停止させることを特徴とする。
また、以上の実施形態に係るてんぷ停止機構は、前記回転停止部は、前記変位部と前記固定部の当接時の衝撃を緩和する緩衝構造部を備えることを特徴とする。
また、以上の実施形態に係るてんぷ停止機構は、前記変位部は、前記係止部が前記てんぷの振動の中心より離れる方向から前記回転停止部に当接する側に、前記係止部に対して傾きを有する面を備えていることを特徴とする。
また、以上の実施形態に係るてんぷ停止機構は、前記回転停止部は、複数の前記変位部と複数の前記固定部とで構成されていることを特徴とする。
また、以上の実施形態に係るてんぷ停止機構は、前記回転停止部は、前記支持部を中心として、1つの変位部と1つの固定部の組を複数組備えることを特徴とする。
また、以上の実施形態に係るてんぷ停止機構は、前記回転停止部は、前記支持部を中心として、1つの変位部と1つの固定部の組を複数組備えることを特徴とする。
また、以上の実施形態に係るてんぷ停止機構は、前記回転停止部は、前記係止部との当接位置を調整する当接位置調整機構を備えていることを特徴とする。
また、以上の実施形態に係るてんぷ停止機構は、前記係止部は、前記てんぷに備えられ、前記てん真を中心とするリング状のてん輪に配設されることを特徴とする。
また、以上の実施形態に係るてんぷ停止機構は、前記てんぷは、前記てん輪の重心を前記てん真の位置に調整するための錘部を備えることを特徴とする。
また、以上の実施形態に係るてんぷ停止機構は、前記係止部は、前記てんぷの振動の中心より離れる方向から前記回転停止部に当接する側に、前記変位部に対して傾きを有する面を備えていることを特徴とする。
また、以上の実施形態に係るてんぷ停止機構は、前記係止部は、少なくとも2つ以上設けることを特徴とする。
また、以上の実施形態に係るてんぷ停止機構は、前記係止部は、前記てん輪の内側に設けられることを特徴とする。
また、以上の実施形態に係るてんぷ停止機構は、前記係止部は、前記てん真を中心として、前記てん輪よりも内側に備えられる、円盤状の振り座に配設されることを特徴とする。
また、以上の実施形態に係るてんぷ停止機構は、前記係止部は、前記てんぷに動力を伝達するための、前記振り座に備えられる振り石であることを特徴とする。
また、以上の実施形態に係る時計用ムーブメントは、上記てんぷ停止機構と、動力源を構成する動力ぜんまいと、前記動力ぜんまいが巻き戻されるときの回転力により回転する表輪列とを備え、前記表輪列の回転を前記てんぷ停止機構により制御することを特徴とする。
また、以上の実施形態に係る時計は、上記時計用ムーブメントを搭載することを特徴とする。
1 てん輪
2、2a、2b、2c、2d、16、16a、16b 係止部
3、17 錘部
4 てん真
5 振り座
6 振り石
7、7’、7a、7b、7c、7d、8、8a、8b、8c、8d、8e、8f、8g、8h、8i、18、18a、18b、18c 回転停止部
9、21 てんぷ
10 ひげぜんまい
11、14、15、20 てんぷ停止機構
12 りゅうず
13、13a、13b ツヅミ車
19、19a、19b、19c 緩衝構造部
26 ムーブメント

Claims (16)

  1. てん真を回転中心として正回転及び逆回転に振動するてんぷに配設される係止部と、前記てんぷの方向に進退して前記係止部と当接可能な回転停止部とを備え、前記てんぷの回転方向が前記てんぷの振動の中心に向かう時のみに、前記回転停止部は前記係止部に当接されることにより前記てんぷの回転を停止させることを特徴とするてんぷ停止機構。
  2. 前記回転停止部は、支持部に設けられる固定部と、前記係止部に当接されることにより前記固定部側及び前記固定部と反対側に変位可能な変位部とで構成され、前記固定部側に変位された前記変位部が前記固定部に当設することにより前記てんぷを停止させることを特徴とする、請求項1に記載のてんぷ停止機構。
  3. 前記回転停止部は、前記変位部と前記固定部の当接時の衝撃を緩和する緩衝構造部を備えることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のてんぷ停止機構。
  4. 前記変位部は、前記係止部が前記てんぷの振動の中心より離れる方向から前記回転停止部に当接する側に、前記係止部に対して傾きを有する面を備えていることを特徴とする 、請求項2または請求項3に記載のてんぷ停止機構。
  5. 前記回転停止部は、複数の前記変位部と複数の前記固定部とで構成されていることを特徴とする、請求項2から請求項4のいずれかに記載のてんぷ停止機構。
  6. 前記回転停止部は、前記支持部を中心として、1つの変位部と1つの固定部の組を複数組備えることを特徴とする、請求項2から請求項5のいずれかに記載のてんぷ停止機構。
  7. 前記回転停止部は、前記係止部との当接位置を調整する当接位置調整機構を備えていることを特徴とする、請求項2から請求項6のいずれかに記載のてんぷ停止機構。
  8. 前記係止部は、前記てんぷに備えられ、前記てん真を中心とするリング状のてん輪に配設されることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれかに記載のてんぷ停止機構。
  9. 前記てんぷは、前記てん輪の重心を前記てん真の位置に調整するための錘部を備えることを特徴とする、請求項8に記載のてんぷ停止機構。
  10. 前記係止部は、前記てんぷの振動の中心より離れる方向から前記回転停止部に当接する側に、前記変位部に対して傾きを有する面を備えていることを特徴とする、請求項2から請求項9のいずれかに記載のてんぷ停止機構。
  11. 前記係止部は、少なくとも2つ以上設けることを特徴とする、請求項1から請求項10のいずれかに記載のてんぷ停止機構。
  12. 前記係止部は、前記てん輪の内側に設けられることを特徴とする、請求項2から請求項11のいずれかに記載のてんぷ停止機構。
  13. 前記係止部は、前記てん真を中心とした、円盤状の振り座に配設されることを特徴とする、請求項2から請求項12のいずれかに記載のてんぷ停止機構。
  14. 前記係止部は、前記てんぷに動力を伝達するための、前記振り座に備えられる振り石であることを特徴とする、請求項13に記載のてんぷ停止機構。
  15. 請求項1から請求項14のいずれかに記載のてんぷ停止機構と、動力源を構成する動力ぜんまいと、前記動力ぜんまいが巻き戻されるときの回転力により回転する表輪列とを備え、前記表輪列の回転を前記てんぷ停止機構により制御することを特徴とする時計用ムーブメント。
  16. 請求項15に記載の時計用ムーブメントを搭載することを特徴とする時計。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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