JP2017186686A - 丸編管状構造体、その製造方法及びその製造装置 - Google Patents
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Abstract
Description
又、特許文献3に示されるような織物からなる音響吸収保護スリーブも提案されている。
a.チューブ側面から配線を格納する際にチューブにほつれが起こらず、引っ掛かり等の心配のない端面をチューブに持たせること。
b.細幅テープにカットした編地を均整がとれた綺麗な管状構造に成形するための編地構成と成形方法。
c.管状体に保形性、弾発性をもたせるための編地構成。
シングルニットを使った管状構造体の製造工程の一例を示しながら、本発明の丸編管状構造体の概要及びその製造方法を説明する。丸編地は丸編機により丸編機の下方に垂下するように円筒状に編成される。したがって、編機からでてきた丸編地の上下方向を丸編地のコース方向(長さ方向)とし、水平方向がウエール方向(幅方向)となる。本発明では編成された丸編地を編地のコース方向の編目に沿って裁断して開反し、更に適宜の幅間隔をおいて長さ方向に裁断することにより細幅テープを作製する。図1及び図2にシングル丸編地から形成された細幅テープ10を示す。各図の上下方向が細幅テープの長さ方向となり、左右方向が幅方向である。図3は、丸編管状構造体Aを形成するシングルニット丸編地の組織図である。
次にダブルニットを使った丸編管状構造体の一例を示す。図5の丸編管状構造体1Aは、ダブルニット丸編地からなる管状構造体である。図6は、丸編管状構造体1Aを形成するダブルニット丸編地の組織図である。図6において111は表ループを形成する表糸を示す。すなわち、表糸111は、シリンダ側において天竺編みにより表ループを形成する。112a、112bは裏ループを形成する裏糸であり、そのうちの裏糸112aが高収縮糸である。すなわち、裏糸112aは、ダイヤル側において天竺編みにより裏ループを形成し、裏糸112bは、ダイヤル側において天竺編みにより裏ループを形成する。なお、ダブルニット丸編地は表糸111及び裏糸112a、112b以外に、表糸111及び裏糸112a、112bに絡んで表糸111と裏糸112a、112bとを連結する係合糸113が存在する。
次に本発明の管状構造体を構成する丸編地の組成について説明していく。
本発明の編地の裏側の少なくとも一部には、表面を構成する糸に比べて熱収縮率の大きい糸(以下、高収縮糸という)を用いるのが好ましい。表糸と裏面の高収縮糸との収縮差は後述する150℃における乾熱収縮試験において、表糸よりも高収縮糸の方が3〜80%のよく収縮する糸であることがより好ましい。尚、前記収縮差は作りたい管状構造体の直径に応じて適宜選択すればよく、比較的直径が小さい2〜20mmの管状構造体であれば25〜80%の比較的収縮差を高めに設定し、20mmを超えた管状構造体であれば収縮差を比較的低く設定することが好ましい。
また、本発明では管状構造体に保形性や弾発性を持たせるために太繊度糸を用いるのが好ましい。太繊度糸には少なくとも単糸繊度が30〜2400dtexのフィラメントが含まれる。より好ましくは300〜1200dtexである。太繊度糸は上記単糸繊度のフィラメントを1〜5本を含む。好ましくは1本である。勿論、モノフィラメント単体の太繊度糸であっても構わない。太繊度糸は表面及び/又は裏面に用いればよい。
裏面に配される糸(裏糸)の素材は特に限定しないが、合成繊維フィラメントが好ましく用いられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートを主たる構成要素とするポリエステル繊維、ナイロン6及び66等のポリアミド繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維、アラミド繊維、ポリアリレート繊維等が用いられる。
丸編全体に対して、裏糸高収縮糸の比率は10〜80重量%が好ましい。高収縮糸がこの範囲であれば、綺麗に渦巻状の重なり部を有する筒型状に出来やすくなる。より好ましくは25〜60重量%がよい。更に好ましくは30〜60重量%である。10重量%未満の場合は、管状構造体の保形性、弾発性が低下してケーブルの十分な保護効果が出来にくくする。80重量%を超えた場合は、裏糸高収縮糸が太くなりすぎて、引っ掛かり易くなる。
本発明の管状構造体に用いる編地はニットループを横方向に順次形性しながら糸が編み込まれてなる編地が用いられる。このような編地には丸編及び横編等が挙げられる。横編地を用いると、丸編地のように開反する必要がない利点があり好ましいが、生産性の点では丸編みが有利である。
本発明の編地にシングル丸編地を使う場合は、編地の厚みは0.3〜1.0mmとするのが好ましい。厚みが0.3mmより低いと管状構造体の保形性が悪くなりやすい。また、厚みが1.0mmを超えると管状構造体を装着するときに、管状構造体を捻りにくくなるので作業性が悪くなりやすい。シングル丸編地の目付は70〜230g/m2とするのが好ましい。目付が70g/m2未満になると保形性が悪くなりやすい。目付が230g/m2を超えると、管状構造体の重量が重たくなり、車用途等の軽量性が要求される分野では不利になる場合がある。
本実施例においては、当該細幅テープ10を、その一方の端部を他方の端部に重ねて渦巻状としたときに1.3〜2.5周分の重なり部を形成するように丸編管状構造体Aを作成する。図7に示すように、重なり部が1.3周分未満の丸編管状構造体Bの場合には、図8に示すように、丸編管状構造体Bの内部に電線やケーブル等を内蔵して屈曲させた場合に、重なり部が開口して内部の電線やケーブル等が丸編管状構造体Bから露出するので適切でない。また、図9に示すように、重なり部が2.5周分を超える丸編管状構造体Cであると、丸編管状構造体Cの内部に電線やケーブル等が挿入しにくくなり、適切ではない。
本発明の丸編地で作られた管状構造体は直径2〜50mmで適用できる。直径2mm未満では渦巻き状の管状構造になりにくくなり、直径が50mmを超えると保形性が低下しやすい。直径が大きくなると内填するケーブルも大きく重くなるので、重いケーブルが要求する保護効果が得られ難くなるためである。
本発明の細幅テープは、丸編地を幅方向1〜50cmの間隔をおいて長さ方向に切断して作製することができる。好ましい細幅テープの幅は2〜30cmである。1cm未満では綺麗な筒状の管状構造物になりにくくなる。50cm以上ではできた管状構造体の保形性が悪くなりやすい。丸編地を長さ方向に切断する方法としては、切断面が硬化したり、引っ掛かりが起こりやすくなるようなことがない切断方法であればなんでもよく、例えば、鋏やナイフのような刃物を使ったり、超音波や気流、水流等を使って裁断することができる。本発明の細幅テープの側面は、上記の様な方法で裁断されたままの縁で使用に供される。これにより管状構造体の製造工程を簡易化でき、効率良く安価に製造することができる。尚、本発明では、ほつれ防止処理を行わずに裁断されたままの状態を「切れっぱなし」という。
本発明の編地は加熱することで表面と裏面の収縮差が生じて細幅テープを渦巻き状の管状構造体とすることができる。加熱の方法は、熱風乾燥機等により加熱空気の対流を利用した乾熱加熱、スチーマ等を利用した湿熱加熱、高温の金属や熱媒との接触加熱、湿赤外線放射、マイクロ波等の電磁波加熱等の繊維の加熱に利用できるものは何でも利用できるし、それらを併用してもよい。好ましくは熱風乾燥機や接触加熱を使った方法が好ましい。
前記のように本発明の編地は加熱することで表面と裏面の収縮差が生じて細幅テープを渦巻き状の管状構造体とすることができる。しかし、例えば丸編管状構造体Aの製造中に、図10に示す丸編管状構造体A’のように、細幅テープの幅方向両端が近接し、その両端が突き合わさったまま内方に湾曲した二山状になることがある。なお、この場合には、一方の端部が他方の端部の上になるように操作して渦巻状とすることも可能であるが、湾曲する力が予定されるよりも弱まって自己閉鎖機能が低下したり、重なり部の形成が不十分になりやすい。そのために、本発明の製造方法においては、後述するように、円形状の開口部分を入口とし、渦巻状に先細に形成した開口部分を出口とする円錐状の成形誘導治具を使用して、丸編地が強制的に渦巻状の形態になるように製造することが好ましい。
次に前記製造装置を使った具体的な成形条件の一例を示す。当該細幅テープ10を、その長さ方向において、細幅テープが0.8〜1.3倍の長さになる範囲で、かつ、図12に示す整形誘導治具20を通過させながら、当該細幅テープ10を70〜190℃の温度で熱処理を行うことにより前記熱収縮糸を熱収縮させて細幅テープ10の一方の端部を他方の端部に重ね合わせて渦巻状に湾曲させ、1.3〜2.5周分の重なり部が形成された丸編管状構造体Aを製造する。なお、細幅テープ10が0.8〜1.3倍の長さになる範囲とは、前記整形誘導治具20に細幅テープ10を通過させるに際して、細幅テープ10を整形誘導治具20に押し込むことによる細幅テープ10が収縮する場合の数値から細幅テープ10を整形誘導治具20から引き抜いて伸張する場合の数値の範囲である。
JIS L1013 8.3.1 正量繊度により測定する。
JIS L1013 8.5.1 フィラメント数により測定する。
上記、総繊度とフィラメント数から糸中のモノフィラメントの繊度(単糸繊度)を求める。
単糸繊度dtex=総繊度/フィラメント数
試料に1/27g/dtexの荷重を掛け、その長さL1(mm)を測定する。次いで、その荷重を取り除き、試料を乾燥機中に入れ乾燥160℃で30分間乾燥させる。乾燥後室温にて冷却し、再度1/30g/dtexの荷重を掛けて、その長さL2(mm)を測定する。上記L1、L2を下記式に代入し、160℃乾熱収縮率を算出する。尚、測定回数5回の平均値を以てその測定値とする。
乾熱収縮率%=〔(L1−L2)/L1 〕×100
JIS L1096 8.6.2に基づく編物の密度により測定する。
厚みはJIS L1096 8.4B法に基づく厚さにより測定した。
編地目付はJIS L1096 8.3B法に基づく単位面積あたりの質量にて測定した。管状構造体の目付は、管状構造体1m長さの質量を測定して、単位長さ当たりの質量とした。
管状構造体の長さ方向の切断縁(管状構造体側辺)のほつれ易さは、摩耗強さの測定法であるJIS L1096 8.19.4 D法(アクセレロータ形法)を利用して測定する。管状構造体を長さ方向に10cmの長さでカットして、カットされた縁を、長さ方向の切断縁から5mmを残して縁全体を接着で固定して試験中にほつれないようにした。この際、ほつれ易さを測定する切断縁(管状構造体側辺)には、接着剤を付けないようにする。次に管状構造体を構成する繊維材料が溶融を起こさない温度にてアイロンを掛けて、渦巻き形状を伸ばして管状構造体を平坦化して測定試料を作成した。
<管状構造体の折曲り性>
管状構造体を円形状に丸めて両端を接続したリングとしたときに、その内周上に角張った折曲り箇所が発生するかどうかで管状構造体の折曲り性を評価した。小さな円形状にしても折曲りが起こらないものほど折曲り性に優れる管状構造体である。
評価用リングの直径mm(円周長mm)は下記6種類とした。尚、直径及び円周長はリングの内径を基準とする。
100(314)、75(236)、50(53)、30(94)、15(47)、10(31)
評価基準は以下のとおりであり、評価基準5〜3は合格とし、評価基準2及び1は不合格とした。
5:ほぼ完全な円形を示し、シワや折れは見られない。
4:ほぼ完全な円形を示すが、円の内周面1個所以上のシワが認められる。
3:円の内周面にシワが多数認められる。
2:円形がくずれ、また内周面に折れが数ヵ所認められる。
1:V字形状の角張った折れが多数発生し、多角形状に変形する。
10・・・細幅テープ
11・・・表ループを形成する表糸
12・・・熱収縮率が大きい裏糸
B・・・・比較例1の丸編管状構造体
C・・・・比較例2の丸編管状構造体
1A・・・ダブル丸編地による丸編管状構造体
111・・表ループを形成する表糸
112a・裏ループを形成する熱収縮率が大きい裏糸
112b・裏ループを形成する裏糸
113・・係合糸
A’・・・二山状の丸編管状構造体
20・・・整形誘導治具
21・・・平坦な開口部分
22・・・渦巻状の開口部分
D・・・・丸編管状構造体の製造装置
30・・・加熱炉
E・・・・アクセレロータ形摩耗試験機
a・・・・金属製回転羽根
b・・・・円筒
c・・・・ゴム膜
d・・・・ガラス板
e・・・・蓋
Claims (9)
- コース方向を長さ方向とした丸編細幅テープからなり、前記丸編細幅テープは、その長さ方向の切断縁が切れっぱなしになっていて、且つ幅方向に渦巻状の管形状をなして重なり部を有することを特徴とする丸編管状構造体。
- 前記丸編細幅テープは、表面を構成する糸が配され、当該糸より高い熱収縮性を有する高収縮糸が裏面に配された丸編地からなり、前記丸編細幅テープの重なり部が渦巻円周の1.3〜2.5周分であることを特徴とする請求項1に記載の丸編管状構造体。
- 丸編地がシングルニットであり、前記高収縮糸が幅方向に挿入されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の丸編管状構造体。
- 丸編地がダブルニットであり、前記高収縮糸が少なくとも裏面組織の一部に配されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の丸編管状構造体。
- 丸編地の表面を構成する糸と前記高収縮糸との乾熱収縮率の差が3〜80%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の丸編管状構造体。
- 単糸繊度30〜2400dtexのモノフィラメント及び/又は単糸繊度30〜2400dtexのマルチフィラメントを含んだ糸が丸編地の裏面に配されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の丸編管状構造体。
- 丸編地の表面を構成するニットループが2種以上のループ長で構成されており、単位面積当たりの全ループに対してループ長が最も短いループの割合が20〜75%であり、且つループ長が最も短いループの長さはループ長が最も長いループの長さの20〜80%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の丸編管状構造体。
- 表糸と、当該表糸より熱収縮率が大きい裏糸とを使用し、丸編機によって、表糸により表ループを形成すると共に裏糸が表ループの裏側に配されるように丸編地を編成し、
前記編成した丸編地を、コース方向を長さ方向として、幅方向1〜30cmの間隔をおいて、編地の長さ方向に裁断して細幅テープを作成し、
細幅テープの長さが0.8〜1.3倍になる範囲で、かつ、円形状の開口部分を入口とし、渦巻状に先細に形成された開口部分を出口とする円錐状の成形誘導治具に当該細幅テープを通過させながら、乾燥状態にある70〜190℃の加熱炉に通して細幅テープの一方の端部を他方の端部に重ねた渦巻状に形成し、前記渦巻状の重なり部が渦巻円周の1.3〜2.5周分となるように製造したことを特徴とする丸編管状構造体の製造方法。 - 丸編地よりなる細幅テープを加熱するための加熱炉と、当該細幅テープを成形する成形誘導治具とから構成され、前記成形誘導治具は、円形状の開口部分を入口とし、渦巻状に先細に形成された開口部分を出口とする円錐状の構成であって、当該成形誘導治具の入口から出口へ引き出される細幅テープを、一方の端部を他方の端部に重ねた渦巻状に形成すると共に加熱炉による加熱により前記渦巻状の形態を固定することを特徴とする丸編管状構造体の製造装置。
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