JP2017184514A - ステータおよびステータの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ボビンをステータコアに固定しつつ、ステータの重量が大きくなるのを抑制することが可能なステータを提供する。【解決手段】このステータ100は、複数のティース12を含むステータコアと、複数のティース12の各々に嵌め込まれた状態で、ステータコア10に接着固定される複数のボビン20(30)と、複数のボビン20(30)の各々に巻回される複数の巻線60と、を備える。ステータ100では、ボビン20(30)は、ティース12に嵌め込まれる孔部24(34)と、孔部24(34)に設けられ、ティース12から離間する方向に窪む凹部25(35)と、を含む。【選択図】図9
Description
本発明は、ステータおよびステータの製造方法に関し、特に、複数のティースの各々に嵌め込まれるボビンを備えたステータおよびそのステータの製造方法に関する。
従来、複数のティースの各々に嵌め込まれるボビンを備えたステータが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、回転子(ロータ)と固定子(ステータ)とを備える回転電機が開示されている。この回転電機の固定子は、複数のティースが設けられた、筒状の固定子コアと、固定子コアのティースに嵌め込まれるボビンと、ボビンに巻回された固定子コイルとを含んでいる。ボビンは、2個に分割されており、各々、上下方向(ステータの軸方向)から固定子コアのティースに嵌め込まれている。また、固定子では、ボビンがティースに嵌め込まれた後、ボビンに固定子コイルが巻回され、その後、コイルエンド部、固定子コアの隙間、固定子コイルの隙間、および、固定子コアと固定子コイルとの隙間(ボビンと固定子コアの隙間)に流体状のモールド材(樹脂モールド材)を充填して固化させている。
しかしながら、上記特許文献1に記載の回転電機の固定子では、樹脂モールド材によりボビンを固定子コイルに固定することが可能であるものの、コイルエンド部、固定子コアの隙間、固定子コイルの隙間、および、固定子コアと固定子コイルとの隙間という広範囲に流体状の樹脂モールド材を充填する必要があるため、固化させる樹脂モールド材の量が多くなり、その結果、固定子の重量が大きくなるという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、ボビンをステータコアに固定しつつ、ステータの重量が大きくなるのを抑制することが可能なステータおよびそのステータの製造方法を提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面におけるステータは、複数のティースを含むステータコアと、複数のティースの各々に嵌め込まれた状態で、ステータコアに接着固定される複数のボビンと、複数のボビンの各々に巻回される複数の巻線と、を備え、ボビンは、ティースに嵌め込まれるティース嵌合孔部と、ティース嵌合孔部に設けられ、ティースから離間する方向に窪む接着剤注入用凹部と、を含む。
この発明の第1の局面によるステータでは、ボビンのティース嵌合孔部に、ティースから離間する方向に窪む接着剤注入用凹部を設けることにより、接着剤注入用凹部を介して、ボビンとステータコアとの間に接着剤を容易に充填することができる。これにより、広範囲に流体状の樹脂モールド材を充填させなくても、ボビンをステータコアに確実に接着固定させることができるので、ボビンをステータコアに固定しつつ、ステータの重量が大きくなるのを抑制することができる。
この発明の第2の局面におけるステータの製造方法は、ステータコアの複数のティースの各々に、巻線が巻回されたボビンのティース嵌合孔部を嵌め込む工程と、ティースから離間する方向に窪むように、ティース嵌合孔部に設けられた接着剤注入用凹部を介して、ステータコアとボビンとの間に接着剤を注入することによって、ボビンをステータコアに接着固定する工程と、を備える。なお、「接着剤」は、ボビンをステータコアに接着可能であれば材質は特に限定されない、「接着剤」には、たとえば、ワニスなどの塗布材料も含まれる。
この発明の第2の局面によるステータの製造方法では、ティースから離間する方向に窪むように、ティース嵌合孔部に設けられた接着剤注入用凹部を介して、ステータコアとボビンとの間に接着剤を注入する。これにより、ボビンをステータコアに接着固定することにより、上記第1実施形態と同様に、ボビンをステータコアに固定しつつ、ステータの重量が大きくなるのを抑制することができる。
本発明によれば、上記のように、ボビンをステータコアに固定しつつ、ステータの重量が大きくなるのを抑制することが可能なステータおよびそのステータの製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(ステータの構成)
図1〜図12を参照して、本発明の一実施形態によるステータ100の構成について説明する。
図1〜図12を参照して、本発明の一実施形態によるステータ100の構成について説明する。
本願明細書では、単に「周方向」と記載した場合には、ステータ100の後述するステータコア10の周方向を意味し、図1中の矢印A方向を意味する。また、単に「径方向」と記載した場合には、ステータコア10の径方向を意味し、図1中の矢印R1方向または矢印R2方向を意味する。また、単に「径方向内側」と記載した場合には、ステータコア10の内径側を意味し、図1中の矢印R1方向側を意味するものとして記載している。また、単に「径方向外側」と記載した場合には、ステータコア10の外径側を意味し、図1中の矢印R2方向側を意味するものとして記載している。また、単に「軸方向」と記載した場合は、ステータコア10の軸方向を意味し、図2中の矢印Z方向を意味する。
ステータ100は、図1に示すように、ロータ101(図1の二重鎖線部分)と共に回転電機102の一部を構成している。なお、ステータ100は、環状に形成されている。また、ロータ101は、ステータ100の径方向内側に配置されている。つまり、回転電機102は、インナーロータ型である。また、矢印Z方向に延びる回転軸線回りに回転可能なロータ101には、複数の永久磁石(図示せず)が設けられている。
ステータ100は、図1および図2に示すように、ステータコア10と、複数(本実施形態では12個)のボビン20および複数(本実施形態では12個)のボビン30と、各々のボビン20および30に巻回された複数(本実施形態では24個)の巻線60とを備えている。つまり、本実施形態のステータ100は、いわゆる集中巻の巻線60を含んでいる。
ステータコア10は、ケイ素鋼板の積層体から構成されている。また、ステータコア10は、周方向に分割されていない一体型である。
ステータコア10は、図1〜図5に示すように、ステータ100の外周縁部を構成する円環状のバックヨーク11と、バックヨーク11の内周面から径方向内側に延びる複数(本実施形態では24個)のティース12とを含んでいる。これらの24個のティース12は、略等角度間隔(約15度)でバックヨーク11に形成されている。また、複数のティース12は、いずれも同一の構成を有している。ティース12は、ステータ100の径方向内側から見て、軸方向に長い矩形状(長方形形状)に形成されている。
ボビン20および30は、樹脂などの絶縁部材から構成されており、ステータコア10の複数のティース12の各々に嵌め込まれている。また、ボビン20および30には、巻線60が巻回されている。そして、ボビン20および30は、巻回された巻線60とステータコア10との絶縁を確保する機能を有している。なお、これ以降のボビン20および30の構造の説明における「軸方向」、「径方向」、「径方向内側」および「径方向外側」は、ステータコア10のティース12にボビン20および30が嵌め込まれた状態における、軸方向、径方向、径方向内側および径方向外側をそれぞれ意味している。
ボビン20は、図6に示すように、巻回部21と、巻回部21を径方向に挟み込むように、巻回部21の径方向の両端にそれぞれ形成された外側フランジ部22および内側フランジ部23とを含んでいる。巻回部21の外周面には、巻線60を巻回する際のガイドとなるガイド溝21aが設けられている。また、巻回部21では、巻線60が径方向に並ぶように巻回されており、その結果、巻線60は、軸方向から見て矩形状になるようにボビン20に巻回されている。いる。なお、外側フランジ部22は、特許請求の範囲の「フランジ部」および「外側のフランジ部」の一例であり、内側フランジ部23は、特許請求の範囲の「フランジ部」の一例である。
また、外側フランジ部22および内側フランジ部23は、図3〜図5に示すように、それぞれ、径方向外側(バックヨーク11側)および径方向内側に配置されている。また、外側フランジ部22および内側フランジ部23は、図6に示すように、切欠き部22aおよび23aを除き、略同じ大きさに形成されている。
ボビン20の幅方向(B方向)の略中央には、外側フランジ部22から巻回部21を通過して内側フランジ部23まで径方向に貫通して延びる孔部24が形成されている。この孔部24は、径方向から見てステータコア10のティース12の形状に対応するように形成されている。つまり、孔部24は、径方向から見て、軸方向に長い矩形状(長方形状)に形成されている。これにより、図4および図5に示すように、孔部24がティース12に嵌め込まれることによってボビン20はティース12に嵌め込まれている。なお、孔部24は、特許請求の範囲の「ティース嵌合用孔部」の一例である。
ここで、本実施形態では、図7に示すように、ボビン20の孔部24には、接着剤を注入するための凹部25が設けられている。この凹部25は、孔部24の上端において、上方(矢印Z1方向)に窪むように形成されている。これにより、ボビン20がティース12に嵌め込まれた状態で、凹部25は、ティース12の軸方向(矢印Z方向)の上側(矢印Z1方向側)の上端面12aから離間する方向に形成されている。なお、凹部25は、特許請求の範囲の「接着剤注入用凹部」の一例であり、上端面12aは、特許請求の範囲の「ステータコアの軸方向におけるティースの端面」の一例である。
また、凹部25は、図6に示すように、ボビン20の幅方向(B方向)における略中央において、外側フランジ部22から巻回部21を通過して内側フランジ部23まで径方向に貫通して延びるように形成されている。つまり、凹部25は、径方向に沿って延びる溝状に形成されている。これにより、凹部25によって、孔部24と軸方向におけるティース12の上端面12aとの間に接着剤注入用の空間Sが形成されている。
また、凹部25は、図7に示すように、径方向から見て、上方に向かってボビン20の幅方向における長さが小さくなる半円状に形成されているとともに、後述する紐部材51が通過可能な大きさに形成されている。また、図2に示すように、ボビン20がティース12に嵌め込まれた状態で、凹部25の径方向外側の開口部25aは、径方向外側に露出している。
図6に示すように、外側フランジ部22および内側フランジ部23のティース12とは反対側の上部には、それぞれ、切欠き部22aおよび23aが形成されている。これらの切欠き部22aおよび23aは、径方向から見て、各々略矩形状に切り欠かれている。また、切欠き部22aおよび23aは、孔部24および凹部25の直上に位置している。また、ボビン20の幅方向において、切欠き部22aおよび23aの幅W1は、凹部25の幅W2よりも大きくなるように形成されている。また、軸方向において、切欠き部22aの高さH1は、切欠き部23aの高さH2よりも大きくなるように形成されている。
ボビン30は、図8に示すように、ボビン20と同様に、巻回部31と、外側フランジ部32および内側フランジ部33とを含んでいる。巻回部31の外周面には、巻線60を巻回する際のガイドとなるガイド溝31aが設けられている。また、巻回部31では、巻線60が径方向内側から径方向外側に向かって巻回厚みが大きくなるように巻回されており、その結果、巻線60は、軸方向から見て台形状になるようにボビン30に巻回されている。なお、外側フランジ部32は、特許請求の範囲の「フランジ部」および「外側のフランジ部」の一例であり、内側フランジ部33は、特許請求の範囲の「フランジ部」の一例である。
なお、ボビン30では、外側フランジ部32が内側フランジ部33よりも大きくなるように形成されている点を除いて、ボビン20と略同様に形成されている。つまり、ボビン30には、ボビン20と同様に、ティース12に嵌め込まれる孔部34および接着剤を注入するための凹部35が設けられている。また、図2に示すように、ボビン30がティース12に嵌め込まれた状態で、凹部35の径方向外側の開口部35aは、径方向外側に露出している。なお、孔部34および凹部35は、それぞれ、特許請求の範囲の「ティース嵌合用孔部」および「接着剤注入用凹部」の一例である。
また、本実施形態では、ボビン20および30は、凹部25を介して注入された接着剤により、ステータコア10のティース12に接着固定されている。具体的には、ボビン20において、図7に示す凹部25の径方向外側に露出する開口部25aから注入された接着剤が、接着剤注入用の空間S(ティース12の上端面12a)を通過して、図9および図10に示すように、孔部24の内側面24aと、内側面24aに対向するティース12の側端面12bとの間に移動して充填されている。これにより、孔部24の内側面24aとティース12の側端面12bとが、接着剤層Cを介して互いに接着固定されている。
同様に、ボビン30において、図9に示す凹部35の径方向外側に露出する開口部35aから注入された接着剤が、接着剤注入用の空間Sを通過して、孔部34の内側面34aと、内側面34aに対向するティース12の側端面12bとの間に移動して充填されている。これにより、孔部34の内側面34aとティース12の側端面12bとが、接着剤層Cを介して互いに接着固定されている。なお、接着状態はボビン20とボビン30とで同一であるので、図9および図10に示すボビン20の接着状態のみを図示し、ボビン30の接着状態の図示は省略している。
なお、接着剤層Cには、熱硬化性のエポキシ樹脂と硬化剤成分とが含まれている。そして、孔部24(34)の内側面24a(34a)とティース12の側端面12bとの間に充填された接着剤のエポキシ樹脂が硬化剤により硬化されることによって、接着剤層Cが形成されている。なお、熱硬化性のエポキシ樹脂を接着剤層Cが含んでいることにより、高温環境下における、孔部24(34)の内側面24a(34a)とティース12の側端面12bとの間の接着強度が確保されている。
また、図3〜図5に示すように、ボビン20とボビン30とは、周方向に交互にティース12に嵌め込まれている。
また、3個の隣接するボビン20(30)に巻回されている3個の巻線60は、それぞれ、三相交流回路のU相、V相およびW相を構成している。また、図11に示すように、1個のU相の巻線60、1個のV相の巻線60および1個のW相の巻線60は、1個の中性点端子Nにより電気的に接続されている。つまり、3個の巻線60がY結線より接続されている。なお、中性点端子Nは、特許請求の範囲の「端子」の一例である。
そして、ステータ100では、図1および図2に示すように、Y結線が8個(=24/3)個設けられている。また、U相の8個の巻線60の渡線60aは、中性点端子Nとは反対側の端部において、U相端子40aにより互いに接続されている。同様に、V相の8個の巻線60の渡線60aは、中性点端子Nとは反対側の端部において、V相端子40bにより互いに接続されている。また、W相の8個の巻線60の渡線60aは、中性点端子Nとは反対側の端部において、W相端子40cにより互いに接続されている。なお、図11には、理解容易のため、1個のU相の巻線60、1個のV相の巻線60、1個のW相の巻線60および1個の中性点端子Nと、U相端子40a、V相端子40bおよびW相端子40cとを図示している。また、図3に示すように、各々の渡線60aは、ボビン20(30)の外側フランジ部22(32)に形成された切欠き部22a(32a)を通過するようにボビン20(30)から引き出されている。
また、図1に示すように、複数(8個)の中性点端子Nの各々は、絶縁材からなる楕円筒状のカバー部材50により覆われている。複数(8個)のカバー部材50は、いずれも同一の構成を有している。また、複数のカバー部材50は、略等角度間隔(約45度)で配置されている。カバー部材50は、ボビン20(30)に巻回された一対の巻線60上で、かつ、径方向内側に配置されている。
また、ステータ100は、絶縁性を有する複数(16個)の紐部材51を備えている。紐部材51は、1個のカバー部材50に対して一対設置されており、一対の紐部材51により、カバー部材50はステータ100に固定されている。具体的には、図12に示すように、紐部材51は、ボビン20の凹部25を径方向に貫通するように挿入されているとともに、外側フランジ部22の切欠き部22aおよび内側フランジ部23の切欠き部23aを通過するように配置されている。なお、ボビン30においても、ボビン20と同様に、紐部材51は、ボビン30の凹部35を径方向に貫通するように挿入されているとともに、外側フランジ部32の切欠き部32aおよび内側フランジ部33の切欠き部33aを通過するように配置されている。この結果、紐部材51は、ボビン20(30)のうち、ティース12よりも軸方向外側の上側部分(矢印Z1方向側の部分)を取り囲むように環状に配置されている。なお、紐部材51は、特許請求の範囲の「固定部材」の一例である。
また、紐部材51は、ボビン20(30)の上側部分を取り囲むように環状に配置された状態において、カバー部材50の上面(矢印Z1方向側の面)に接触している。これにより、カバー部材50およびカバー部材50に覆われた中性点端子Nは、紐部材51におけるカバー部材50との接触部分により上方への移動が抑制されることによって、ボビン20(30)およびステータ100に固定されている。また、紐部材51がカバー部材50の上面に接触した状態で、紐部材51は、ボビン20(30)に巻回された巻線60の上方に配置され、切欠き部22a(32a)を通過することによって、巻線60の一部としての渡線60aに接触している。
なお、図1〜図3に示すように、3個のボビン20(30)のうち、カバー部材50が上方に配置されていない1個のボビン20(30)には、紐部材51は固定されていない。
(ステータの製造方法)
次に、図1〜図3、図5、図9、図10および図12〜図14を参照して、本発明の一実施形態によるステータ100の製造方法について説明する。
次に、図1〜図3、図5、図9、図10および図12〜図14を参照して、本発明の一実施形態によるステータ100の製造方法について説明する。
まず、複数(12個)のボビン20の各々に、径方向に沿って略同じ巻回厚みになるように巻線60を巻回する。また、複数(12個)のボビン30の各々に、径方向内側から径方向外側に向かって巻回厚みが大きくなるように巻線60を巻回する。
そして、ステータコア10の複数(24個)のティース12の各々に、巻線60が巻回されたボビン20の孔部24およびボビン30の孔部34を、径方向内側から嵌め込む。ここで、ボビン20とボビン30とが周方向に交互に配置されるように、ティース12の各々にボビン20の孔部24およびボビン30の孔部34を嵌め込む。具体的には、まず、図13に示すように、ボビン30の孔部34を1個おきにティース12に嵌め込む。この際、ボビン30の外側フランジ部32が径方向外側に位置するように、ボビン30の孔部34aをティース12に嵌め込む。その後、ボビン30が嵌め込まれていないティース12にボビン20の孔部24を嵌め込む。この際、ティース12に嵌め込まれたボビン30において、大きな外側フランジ部32が径方向外側に位置し、小さな内側フランジ部33が径方向内側に位置していることによって、ボビン20および30同士の周方向の隙間が小さくても、ボビン20が既に嵌め込まれたボビン30に接触するのが抑制される。これにより、ステータ100の小型化を図ることが可能である。
その後、複数のボビン20(30)の各々に巻回された巻線60の接続等を行う。つまり、3個の隣接するボビン20(30)に巻回している3個の巻線60を中性点端子Nにおいて接続するとともに、中性点端子N(図3参照)をカバー部材50で覆う。また、図12に示すように、紐部材51を所定のボビン20(30)の凹部25(35)を通過させることによって、カバー部材50および巻線60を固定する。また、U相端子40a、V相端子40bおよびW相端子40cにおいて、それぞれ、8個のU相の巻線60の渡線60a、8個のV相の巻線60の渡線60aおよび8個のW相の巻線60の渡線60aを接続する。
ここで、本実施形態の製造方法では、図14に示すように、接着剤注入具70を用いて、径方向外側に露出する開口部25a(35a)から凹部25(35)に接着剤を注入する。これにより、凹部25(35)を介して注入された接着剤は、図5に示すように、ティース12の上端面12aおよび接着剤注入用の空間Sから、図9に示すように、孔部24(34)の内側面24a(34a)とティース12の側端面12bとの間に移動して充填される。そして、図9および図10に示すように、孔部24(34)の内側面24a(34a)とティース12の側端面12bとの間に移動した接着剤が硬化されることによって、孔部24(34a)の内側面24a(34a)とティース12の側端面12bとの間に、接着剤層Cが形成される。これにより、接着剤層Cを介して孔部24(34)の内側面24a(34a)とティース12の側端面12bとが互いに接着固定されて、ボビン20(30)がステータコア10に接着固定される。これにより、図1および図2に示すステータ100が形成される。
この際、接着剤として、約150mPa・s以上の粘度を有する接着剤を用いる。これにより、充填された接着剤が、硬化する前に、ティース12の側端面12bの下端から下方(矢印Z2方向)に垂れてしまうのを抑制することが可能である。なお、接着剤として、熱硬化性のエポキシ樹脂と硬化剤とが添加されたエポキシ系の接着剤を用いる。
[本実施形態の効果]
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、ボビン20(30)の孔部24(34)に、ティース12から離間する方向に窪む凹部25(35)を設けることにより、凹部25(35)を介して、ボビン20(30)とステータコア10との間に接着剤を充填することができる。これにより、広範囲に流体状の樹脂モールド材を充填させなくても、ボビン20(30)をステータコア10に確実に接着固定させることができるので、ボビン20(30)をステータコア10に固定しつつ、ステータ100の重量が大きくなるのを抑制することができる。さらに、広範囲に充填される樹脂モールド材と異なり、接着剤の使用量を低減させることができるので、ステータ100の製造コストを低減させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、凹部25(35)を、ステータコア10の軸方向におけるティース12の上端面12aに対向するとともに、ティース12の上端面12aとは反対側の上方向に窪むように、孔部24(34)に設ける。これにより、重力により、凹部25(35)に注入された接着剤をティース12の上端面12aから下方(矢印Z2方向)に向かって移動させることができるので、ティース12の上端面12aよりも下方に位置する、ボビン20(30)の内側面24a(34a)とステータコア10のティース12の側端面12bとの間に、接着剤をより確実に充填させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、凹部25(35)を、ティース12の上端面12aとの間に接着剤注入用の空間Sを形成するように、ステータコア10の径方向に沿って溝状に延びるように形成する。これにより、径方向に沿って溝状に延びるように形成された接着剤注入用の空間Sにより、径方向の広範囲に接着剤を行き渡らせることができる。この結果、径方向の広範囲において、ボビン20(30)とステータコア10のティース12との間に接着剤を充填させることができるので、ボビン20(30)とステータコア10のティース12との間の接着面積を大きくして接着強度を十分に確保することができる。
また、本実施形態では、上記のように、凹部25(35)を介して接着剤を注入するとともに、注入した接着材を、孔部24(34)の内側面24a(34a)とティース12の側端面12bとの間に充填させる。これにより、孔部24(34)の内側面24a(34a)とティース12の側端面12bとの間に接着剤層Cが形成されることにより、ボビン20(30)をステータコア10に接着固定する。この結果、ボビン20(30)をステータコア10のティース12に確実に接着固定することができる。
また、本実施形態では、上記のように、紐部材51におけるカバー部材50との接触部分を、凹部25(35)に挿入された状態で、カバー部材50およびカバー部材50に覆われた中性点端子Nを固定するように構成する。これにより、凹部25(35)を接着剤を注入するためだけでなく、中性点端子Nを固定するためにも用いることができるので、中性点端子Nを固定するための専用の部材をステータ100に設ける必要がない。この結果、ステータ100の構造を簡略化することができる。また、樹脂モールド材で中性点端子Nを固定しなくても、紐部材51により中性点端子Nを固定することによって、中性点端子Nが意図せずに移動するのを抑制することができる。これにより、ステータ100を備える回転電機102において、移動した中性点端子Nによりロータ101の回転が阻害されるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、外側フランジ部22(32)のティース12側に凹部25(35)を設け、ティース12とは反対側に、紐部材51と巻線60の渡線60aとを接触させる切欠き部22a(32a)を設ける。これにより、凹部25(35)に挿入された状態で中性点端子Nを固定する紐部材51と、巻線60とを接触させることができるので、紐部材51により、中性点端子Nだけでなく、巻線60の移動も規制することができる。この結果、中性点端子Nだけでなく巻線60も意図せずに移動するのを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、接着剤の粘度を約150mPa・s以上にすることによって、充填された接着剤が、硬化する前に、ティース12の下端から下方(矢印Z2方向)に垂れてしまうのを抑制することができる。これにより、ボビン20(30)をステータコア10に確実に接着固定することができる。さらに、垂れた接着剤がステータ100と他の部材とを接着固定してしまうのを抑制することができるので、ステータ100および回転電機102の生産効率を向上させることができる。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、巻線60が巻回されたボビン20(30)が各々嵌め込まれるティース12を、ステータ100に24個設けた例を示したが、本発明は、これに限られない。本発明のステータでは、巻線が巻回されたボビンが各々嵌め込まれるティースを24個以外の複数個設けてもよい。
また、上記実施形態では、凹部25(35)(接着剤注入用凹部)をティース12の上端面12aに対向するとともに、ティース12の上端面12aとは反対側の上方向に窪むように孔部24(34)に設けた例を示したが、本発明は、これに限られない。たとえば、本発明では、接着剤注入用凹部を、ティースの上端面以外の側端面または下端面に対向する位置に、ティースから離間する方向に窪むように設けてもよい。この際、接着剤注入用凹部は、ステータの外部に露出しているのが好ましい。また、上端面、側端面および下端面のいずれか2箇所に設けた接着剤注入用凹部を連結してもよい。これにより、ボビンとステータコアのティースとの間の広範囲に接着剤を確実に充填させることが可能である。
また、上記実施形態では、凹部25(35)(接着剤注入用凹部)を、外側フランジ部22(32)から巻回部21(31)を通過して内側フランジ部23(33)まで径方向に貫通して延びるように形成した例を示したが、本発明は、これに限られない。たとえば、本発明では、接着剤注入用凹部を、ボビンの径方向の途中まで延びるように形成する一方、内側フランジ部まで形成しなくてもよい。つまり、凹部をボビンに貫通しないように形成してもよい。
また、上記実施形態では、ステータ100に、中性点端子Nを固定する紐部材51(紐状の固定部材)を設けた例を示したが、本発明は、これに限られない。たとえば、本発明では、紐状の固定部材は中性点端子以外の端子を固定するように構成してもよいし、端子以外の部材を固定するように構成してもよい。また、紐状の固定部材をステータに設けなくてもよい。
また、上記実施形態では、接着剤として、熱硬化性のエポキシ樹脂を含むエポキシ系の接着剤を用いた例を示したが、本発明は、これに限られない。たとえば、本発明では、接着剤として、エポキシ系の接着剤以外の接着剤を用いてもよい。この際、熱を生じやすい回転電機の性質上、耐熱性の高い接着剤層を形成することが可能な接着剤を用いることが好ましい。たとえば、耐熱性および機械的強度の高い熱可塑性のPPS(ポリフェニレンスルファイド)などを含む接着剤を用いてもよい。
また、接着剤の粘度は、ステータコアのティースとティース嵌合用孔部との間に充填することが可能な粘度であれば、ティースおよびティース嵌合用孔部の形状や位置などにより適宜選択することが可能である。その際、接着剤の選択される粘度が約150mPa・s未満になってもよい。この場合であっても、接着剤の粘度は、下方に垂れるのが抑制されることが可能な粘度であるのが好ましい。
また、上記実施形態では、ボビン20(30)における孔部24(34)の内側面24a(34a)と、ステータコア10におけるティース12の側端面12bとを接着固定した例を示したが、本発明は、これに限られない。本発明では、他の部分を接着固定してもよい。たとえば、孔部の内周面とティースの上端面とを接着固定してもよい。また、孔部の内周面とティースの端面とを接着固定することに加えて、たとえば、ボビンにおける外側のフランジ部とステータコアの内周面とを接着固定してもよい。
また、上記実施形態では、軸方向から見て矩形状になるように巻線60が巻回されるボビン20と、軸方向から径方向外側に向かって巻回厚みが大きくなるように巻線60が巻回されるボビン30とを設けた例を示したが、本発明は、これに限られない。たとえば、本発明では、軸方向から見て矩形状になるように巻線が巻回されるボビンのみを用いるように構成してもよいし、径方向に巻回厚みが異なるボビンのみを用いるように構成してもよい。
また、上記実施形態では、ステータ100において、ティース12が径方向内側に延びるように形成した例を示したが、本発明は、これに限られない。本発明では、ステータにおいて、ティースが径方向外側に延びるように形成してもよい。なお、このステータを備える回転電機は、ステータの径方向外側にロータが配置されるアウターロータ型になる。
10 ステータコア
12 ティース
12a 上端面(ステータコアの軸方向におけるティースの端面)
12b 側端面
20、30 ボビン
21、31 巻回部
22、32 外側フランジ部(フランジ部、外側のフランジ部)
22a、32a 切欠き部
23、33 内側フランジ部(フランジ部、外側のフランジ部)
24、34 孔部(ティース嵌合用孔部)
24a、34a 内側面
25、35 凹部(接着剤注入用凹部)
51 紐部材(固定部材)
60 巻線
100 ステータ
N 中性点端子(端子)
S 接着剤注入用の空間
12 ティース
12a 上端面(ステータコアの軸方向におけるティースの端面)
12b 側端面
20、30 ボビン
21、31 巻回部
22、32 外側フランジ部(フランジ部、外側のフランジ部)
22a、32a 切欠き部
23、33 内側フランジ部(フランジ部、外側のフランジ部)
24、34 孔部(ティース嵌合用孔部)
24a、34a 内側面
25、35 凹部(接着剤注入用凹部)
51 紐部材(固定部材)
60 巻線
100 ステータ
N 中性点端子(端子)
S 接着剤注入用の空間
Claims (10)
- 複数のティースを含むステータコアと、
前記複数のティースの各々に嵌め込まれた状態で、前記ステータコアに接着固定される複数のボビンと、
前記複数のボビンの各々に巻回される複数の巻線と、を備え、
前記ボビンは、前記ティースに嵌め込まれるティース嵌合孔部と、前記ティース嵌合孔部に設けられ、前記ティースから離間する方向に窪む接着剤注入用凹部と、を含む、ステータ。 - 前記接着剤注入用凹部は、前記ステータコアの軸方向における前記ティースの端面に対向するとともに、前記軸方向における前記ティースの端面とは反対側に窪むように、前記ティース嵌合孔部に設けられている、請求項1に記載のステータ。
- 前記接着剤注入用凹部は、前記軸方向における前記ティースの端面との間に接着剤注入用の空間を形成するように、前記ステータコアの径方向に沿って延びるように形成されている、請求項2に記載のステータ。
- 前記軸方向に延びる前記ティース嵌合孔部の内側面と、前記ティースの側端面との間に、前記接着剤注入用凹部を介して接着剤が充填されていることによって、前記ボビンが前記ステータコアに接着固定されている、請求項2または3に記載のステータ。
- 前記巻線に接続される端子を前記ボビンに固定するための紐状の固定部材をさらに備え、
前記紐状の固定部材の少なくとも一部は、前記接着剤注入用凹部に挿入された状態で、前記端子を固定するように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のステータ。 - 前記端子は、中性点端子を含む、請求項5に記載のステータ。
- 前記ボビンは、前記巻線が巻回される巻回部と、前記ステータコアの径方向において前記巻回部を挟み込むように形成された一対のフランジ部とをさらに含み、
前記一対のフランジ部のうち、前記径方向の外側のフランジ部は、前記ティース側に設けられた前記接着剤注入用凹部と、前記ティースとは反対側に設けられ、前記紐状の固定部材と前記巻線とを接触させる切欠き部とを有する、請求項5または6に記載のステータ。 - ステータコアの複数のティースの各々に、巻線が巻回されたボビンのティース嵌合孔部を嵌め込む工程と、
前記ティースから離間する方向に窪むように、前記ティース嵌合孔部に設けられた接着剤注入用凹部を介して、前記ステータコアと前記ボビンとの間に接着剤を注入することによって、前記ボビンを前記ステータコアに接着固定する工程と、を備える、ステータの製造方法。 - 前記接着剤の粘度は、150mPa・s以上である、請求項8に記載のステータの製造方法。
- 前記ボビンを前記ステータコアに接着固定する工程は、前記接着剤注入用凹部を介して前記接着剤を注入するとともに、注入した前記接着材を、前記ステータコアの軸方向に延びる前記ティース嵌合孔部の内側面と、前記ティース嵌合孔部の内側面に対向する前記ティースの側端面との間に充填させる工程を含む、請求項8または9に記載のステータの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016070266A JP2017184514A (ja) | 2016-03-31 | 2016-03-31 | ステータおよびステータの製造方法 |
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Family
ID=60006623
Family Applications (1)
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JP2016070266A Pending JP2017184514A (ja) | 2016-03-31 | 2016-03-31 | ステータおよびステータの製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110867995A (zh) * | 2018-08-28 | 2020-03-06 | 株式会社日立产机系统 | 电动机 |
DE102022201249A1 (de) | 2021-02-19 | 2022-08-25 | Nidec Corporation | Stator und motor |
-
2016
- 2016-03-31 JP JP2016070266A patent/JP2017184514A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN110867995A (zh) * | 2018-08-28 | 2020-03-06 | 株式会社日立产机系统 | 电动机 |
CN110867995B (zh) * | 2018-08-28 | 2021-10-22 | 株式会社日立产机系统 | 电动机 |
DE102022201249A1 (de) | 2021-02-19 | 2022-08-25 | Nidec Corporation | Stator und motor |
US11916454B2 (en) | 2021-02-19 | 2024-02-27 | Nidec Corporation | Stator and motor |
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