JP2017184341A - 電動機ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】筐体の大型化を回避してレイアウト性に優れた電動機ユニットを提供する。【解決手段】後輪駆動装置1は、ロータ15A、15Bとステータ14A、14Bとを備える第1及び第2電動機2A、2Bと、第1及び第2電動機2A、2Bを収容するモータ室SA、SBを有するケース11と、を備える。モータ室SA、SBを区画する隔壁18A、18Bには貫通孔85が設けられ、貫通孔85には、ステータ14A、14Bの結線部75が配置されている。【選択図】図2

Description

本発明は、電動機と電動機を収容する筐体とを備えた電動機ユニットに関する。
従来の電動機ユニットとして、特許文献1には、有底筒状の左右のモータケースとモータケースの開口を塞ぐ隔壁によりそれぞれモータ室を形成し、各モータ室に電動機を配置することが記載されている。
特開2015−108439号公報
特許文献1に記載の電動機ユニットにおいて、より体格の大きい高出力型の電動機を搭載しようとすると、ステータが隔壁に干渉してしまい一回り大きな筐体を用意する必要があった。また、筐体が大型化してしまうと、例えば電動機ユニットを車両に搭載しようとすると、レイアウト上の制約により車両に搭載することができない虞がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、筐体の大型化を回避してレイアウト性に優れた電動機ユニットを提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、
ロータ(例えば、後述の実施形態のロータ15A、15B)とステータ(例えば、後述の実施形態のステータ14A、14B)とを備える電動機(例えば、後述の実施形態の第1及び第2電動機2A、2B)と、
前記電動機を収容する電動機室(例えば、後述の実施形態のモータ室SA、SB)を有する筐体(例えば、後述の実施形態のケース11)と、を備えた電動機ユニット(例えば、後述の実施形態の後輪駆動装置1)であって、
前記電動機室を区画する壁部(例えば、後述の実施形態の隔壁18A、18B)には、貫通孔(例えば、後述の実施形態の貫通孔85)が設けられ、
該貫通孔には、前記ステータの一部(例えば、後述の実施形態の結線部75)が配置されている。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加えて、
前記貫通孔には、前記ステータの結線部(例えば、後述の実施形態の結線部75)が配置されている。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加えて、
前記筐体は、有底筒状の筐体部(例えば、後述の実施形態のモータケース11A、11B)と、該筐体部の開口を覆う前記壁部と、を有し、
前記壁部には、前記筐体部と締結する締結部(例えば、後述の実施形態の締結部84)が外縁部(例えば、後述の実施形態の外縁部83)に設けられ、
前記貫通孔は、前記外縁部より径方向内側に、径方向及び円周方向に所定長さを有する領域に亙って形成されている。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記筐体の下方に、前記電動機の冷却又は潤滑に供される液状媒体(例えば、後述の実施形態のオイル)を貯留する貯留部(例えば、後述の実施形態の貯留部RT)を有し、
前記電動機ユニットが水平に載置された状態で、前記電動機が停止したとき、前記貫通孔の少なくとも一部は、前記貯留部内に位置する。
請求項1に記載の発明によれば、電動機室を区画する壁部に貫通孔が形成されているので、体格の大きい電動機を搭載した場合であっても、貫通孔に電動機のステータの一部を配置することで、電動機ユニットの大型化を回避できる。したがって、電動機ユニットを限られたスペースにも配置することができレイアウト性が良い。
請求項2に記載の発明によれば、貫通孔にはステータの結線部が配置されるので、貫通孔を全周に亘って設ける必要がなく、電動機ユニットの大型化を回避しつつ、壁部の剛性の低下を抑制できる。
請求項3に記載の発明によれば、電動機ユニットの大型化を回避しつつ、締結部の剛性の低下を抑制できる。
請求項4に記載の発明によれば、電動機が停止した状態でも電動機室の内外の液状媒体の流動が生じるので、早期に液状媒体の温度を均質化できる。
本発明に係る電動機ユニットを搭載可能な車両の一実施形態であるハイブリッド車両の概略構成を示すブロック図である。 本発明に係る電動機ユニットの一実施形態である後輪駆動装置の縦断面図である。 図2に示す後輪駆動装置の上部部分拡大断面図である。 電動機の側面図である。 隔壁を背面側から見た斜視図である。
本発明に係る電動機ユニットは、例えば、図1に示すような駆動システムの車両に適用される。以下の説明では本発明の電動機ユニットの一実施形態である車両用駆動装置を後輪駆動用として用いる場合を例に説明するが、前輪駆動用に用いてもよい。
図1に示す車両3は、内燃機関4と電動機5とが直列に接続された駆動装置6(以下、前輪駆動装置と呼ぶ。)を車両前部に有するハイブリッド車両であり、この前輪駆動装置6の動力がトランスミッション7を介して前輪Wfに伝達される。一方、この前輪駆動装置6とは別に車両後部に設けられ、前輪駆動装置6とは機械的に接続されない駆動装置1(以下、後輪駆動装置と呼ぶ。)の動力は、後輪Wr(RWr、LWr)に伝達されるようになっている。前輪駆動装置6の電動機5と後輪駆動装置1の第1及び第2電動機2A、2Bとは、バッテリ9に接続され、バッテリ9からの電力供給と、バッテリ9へのエネルギー回生とが可能となっている。図1中、符号8は車両全体を制御するための制御装置である。
先ず、本発明に係る一実施形態の回転電機としての第1及び第2電動機2A、2Bについて、図1〜図9に基づいて説明する。
図2は、後輪駆動装置1の全体の縦断面図を示すものであり、図3は、図2の上部部分拡大断面図である。同図において、符号11は、後輪駆動装置1のケースであり、ケース11は、車幅方向略中央部に配置される中央ケース11Mと、中央ケース11Mを挟むように中央ケース11Mの左右に配置される有底筒状のモータケース11A、11Bと、から構成され、全体が略円筒状に形成される。
ケース11の内部には、後輪Wr用の車軸10A、10Bと、車軸駆動用の第1及び第2電動機2A、2Bと、この第1及び第2電動機2A、2Bの駆動回転を減速する第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bとが、同一軸線上にそれぞれ並んで配置されている。
この車軸10A、第1電動機2A及び第1遊星歯車式減速機12Aは左後輪LWrを駆動制御し、車軸10B、第2電動機2B及び第2遊星歯車式減速機12Bは右後輪RWrを駆動制御する。車軸10A、第1電動機2A及び第1遊星歯車式減速機12Aと、車軸10B、第2電動機2B及び第2遊星歯車式減速機12Bは、ケース11内で車幅方向に左右対称に配置されている。左後輪LWrは、第1電動機2Aに対して第1遊星歯車式減速機12Aと反対側に位置し、右後輪RWrも、第2電動機2Bに対して第2遊星歯車式減速機12Bと反対側に位置する。また、第1電動機2Aと第1遊星歯車式減速機12Aとは車幅方向外側からこの順序で配置され、且つ、第2電動機2Bと第2遊星歯車式減速機12Bとは車幅方向外側からこの順序で配置されることにより、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bは、第1及び第2電動機2A、2Bの間に配置される。
図5にも示すように、モータケース11A、11Bの中央ケース11M側には、それぞれ径方向内側に延びる隔壁18A、18Bが固定されている。より具体的には、隔壁18A、18Bは、中心に円筒状の空孔を有する略五角形形状とされており、それぞれの頂点がボルト81によってモータケース11A、11Bに締結されて、有底筒状のモータケース11A、11Bの開口を覆うように配置されている。モータケース11A、11Bと隔壁18A、18Bとに囲まれた空間には、モータ室SA、SBが形成され、これらモータ室SA、SB内には、それぞれ第1及び第2電動機2A、2Bが配置される。また、中央ケース11Mと隔壁18A、18Bとに囲まれた空間には、別室としての減速機室SCが形成され、当該減速機室SC内に第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bが配置されている。換言すると、隔壁18A、18Bは、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bを収容する減速機室SCと、第1及び第2電動機2A、2Bを収容するモータ室SA、SBとを区画している。
なお、図2に示すように、本実施形態では、左モータケース11Aと中央ケース11Mとは、第1電動機2A及び第1遊星歯車式減速機12Aを収容する第1ケース11Lを構成し、また、右モータケース11Bと中央ケース11Mとは、第2電動機2B及び第2遊星歯車式減速機12Bを収容する第2ケース11Rを構成している。そして、第1ケース11Lは、第1電動機2Aと動力伝達経路の少なくとも一方の潤滑及び/又は冷却に供される液状媒体としてのオイルを貯留する左貯留部RLを有し、第2ケース11Rは、第2電動機2Bと動力伝達経路の少なくとも一方の潤滑及び/又は冷却に供されるオイルを貯留する右貯留部RRを有する。左貯留部RL及び右貯留部RRは、内部で連通し貯留部RTを構成する。図2中、符号Hは、貯留部RTの油面を示している。
後輪駆動装置1には、ケース11の内部と外部とを連通するブリーザ装置40が設けられ、内部の空気が過度に高温・高圧とならないように内部の空気をブリーザ室41を介して外部に逃がすように構成される。ブリーザ室41は、ケース11の鉛直方向上部に配置され、中央ケース11Mの外壁と、中央ケース11M内に左モータケース11A側に略水平に延設された第1円筒壁43と、右モータケース11B側に略水平に延設された第2円筒壁44と、第1及び第2円筒壁43、44の内側端部同士をつなぐ左右分割壁45と、第1円筒壁43の左モータケース11A側先端部に当接するように取り付けられたバッフルプレート47Aと、第2円筒壁44の右モータケース11B側先端部に当接するように取り付けられたバッフルプレート47Bと、により形成された空間により構成される。
ブリーザ室41の下面を形成する第1及び第2円筒壁43、44と左右分割壁45とは、第1円筒壁43が第2円筒壁44より径方向内側に位置し、左右分割壁45が、第2円筒壁44の内側端部から縮径しつつ屈曲しながら第1円筒壁43の内側端部まで延設され、さらに径方向内側に延設されて略水平に延設された第3円筒壁46に達する。第3円筒壁46は、第1円筒壁43と第2円筒壁44との両外側端部より内側に且つその略中央に位置している。
中央ケース11Mには、バッフルプレート47A、47Bが、第1円筒壁43と中央ケース11Mの外壁との間の空間又は第2円筒壁44と中央ケース11Mの外壁との間の空間を第1遊星歯車式減速機12A又は第2遊星歯車式減速機12Bからそれぞれ区画するように固定されている。
また、中央ケース11Mには、ブリーザ室41と外部とを連通する外部連通路49がブリーザ室41の鉛直方向上面に接続される。外部連通路49のブリーザ室側端部49aは、鉛直方向下方を指向して配置されている。従って、オイルが外部連通路49を通って外部に排出されるのが抑制される。
第1及び第2電動機2A、2Bは、ステータ14A、14Bがそれぞれモータケース11A、11Bに固定され、このステータ14A、14Bの内周側に環状のロータ15A、15Bが回転可能に配置されている。
第1及び第2電動機2A、2Bは、三相交流電動機であり、図4に示すように、複数枚の電磁鋼板が積層されたステータコア71と、コイル72と、ステータコア71とコイル72とを支持するステータホルダ73とから構成され、ステータコア71の軸方向両端部からコイルエンド72aが張り出している。第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12B側(図4中右側)のコイルエンド72aの下部には、U相、V相、W相の結線部75が配置されており、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12B側のコイルエンド72aの下部は、コイルエンド72aの上部に比べてさらに結線部75の分だけ第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12B側に張り出している。結線部75から延びる各相のコイル72の先端部75aには接続端子76が接続されている。
ロータ15A、15Bの内周部には車軸10A、10Bの外周を囲繞する円筒軸16A、16Bが結合され、この円筒軸16A、16B(回転軸)が車軸10A、10Bと同軸上に相対回転可能となるようにモータケース11A、11Bの端部壁17A、17Bと隔壁18A、18Bとに、それぞれ第1軸受19A、19B、第3軸受34A、34Bを介して支持されている(図5も参照)。また、円筒軸16A、16Bの一端側の外周であって端部壁17A、17Bには、ロータ15A、15Bの回転位置情報を第1及び第2電動機2A、2Bの制御コントローラ(図示せず)にフィードバックするためのレゾルバ20A、20Bが設けられている。
ステータ14A、14B、及びロータ15A、15Bを含む第1及び第2電動機2A、2Bは、同一径とされ、第1及び第2電動機2A、2Bの回転軸線は同一線X上に配置され(以下、符号Xを回転軸線Xとして付す。)、また、第1及び第2電動機2A、2Bは互いに鏡対称に配置される。また、車軸10A及び円筒軸16Aは、第1電動機2A内を貫通して、第1電動機2Aの両端部から延出しており、車軸10B及び円筒軸16Bも、第2電動機2B内を貫通して、第2電動機2Bの両端部から延出している。
また、左後輪LWrと第1電動機2Aとの動力伝達経路上に配置された第1遊星歯車式減速機12A、及び右後輪RWrと第2電動機2Bとの動力伝達経路上に配置された第2遊星歯車式減速機12Bは、サンギヤ21A、21Bと、このサンギヤ21A、21Bに噛合される複数のプラネタリギヤ22A、22Bと、これらのプラネタリギヤ22A、22Bを支持するプラネタリキャリア23A、23Bと、プラネタリギヤ22A、22Bの外周側に噛合されるリングギヤ24A、24Bと、を備え、サンギヤ21A、21Bから第1及び第2電動機2A、2Bの駆動力が入力され、減速された駆動力がプラネタリキャリア23A、23Bを通して車軸10A、10Bに出力されるようになっている。
サンギヤ21A、21Bは円筒軸16A、16Bに一体に形成されている。即ち、円筒軸16A、16Bによって、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bのサンギヤ21A、21Bと第1及び第2電動機2A、2Bのロータ15A、15Bとが機械的に接続されている。
また、プラネタリギヤ22A、22Bは、サンギヤ21A、21Bに直接噛合される大径の第1ピニオン26A、26Bと、この第1ピニオン26A、26Bよりも小径の第2ピニオン27A、27Bと、を有する2連ピニオンである。これらの第1ピニオン26A、26Bと第2ピニオン27A、27Bは、同軸にかつ回転軸線X方向(以下、軸方向と呼ぶ。)にオフセットした状態で一体に形成されている。また、プラネタリギヤ22A、22Bはニードルベアリング31A、31Bを介してプラネタリキャリア23A、23Bのピニオンシャフト32A、32Bに支持される。
プラネタリキャリア23A、23Bは、軸方向内側端部が径方向内側に伸びて車軸10A、10Bにスプライン嵌合され一体回転可能に支持されるとともに、第2軸受33A、33Bを介して隔壁18A、18Bに支持されている。プラネタリキャリア23A、23Bは、図2に示すように、鉛直方向下方の一部が貯留部RTに浸漬しており、プラネタリキャリア23A、23Bが一周する際に、プラネタリギヤ22A、22Bも貯留部RTに貯留するオイルを通過するようになっている。
リングギヤ24A、24Bは、その内周面が小径の第2ピニオン27A、27Bに噛合されるギヤ部28A、28Bと、ギヤ部28A、28Bより小径でケース11の中間位置で互いに対向配置される小径部29A、29Bと、ギヤ部28A、28Bの軸方向内側端部と小径部29A、29Bの軸方向外側端部を径方向に連結する連結部30A、30Bと、を備えて構成されている。
ギヤ部28A、28Bは、中央ケース11Mの左右分割壁45の内径側端部に形成された第3円筒壁46を挟んで軸方向に対向している。小径部29A、29Bは、その外周面がそれぞれ後述する一方向クラッチ50のインナーレース51とスプライン嵌合し、リングギヤ24A、24Bは一方向クラッチ50のインナーレース51と一体回転するように互いに連結されて構成されている。
第2遊星歯車式減速機12B側であって、ケース11を構成する中央ケース11Mの第2円筒壁44とリングギヤ24Bのギヤ部28Bとの間には、リングギヤ24Bに接続されて制動手段を構成する油圧ブレーキ60が第1ピニオン26Bと径方向でオーバーラップし、第2ピニオン27Bと軸方向でオーバーラップするように配置されている。油圧ブレーキ60は、第2円筒壁44の内周面にスプライン嵌合された複数の固定プレート35と、リングギヤ24Bのギヤ部28Bの外周面にスプライン嵌合された複数の回転プレート36とが軸方向に交互に配置され、これらのプレート35、36が環状のピストン37によって締結及び解放操作されるようになっている。ピストン37は、中央ケース11Mの左右分割壁45と第3円筒壁46との間に形成された環状のシリンダ室に進退自在に収容されており、さらに第3円筒壁46の外周面に設けられた受け座38に支持される弾性部材39によって、常時、固定プレート35と回転プレート36とを解放する方向に付勢される。
また、さらに詳細には、左右分割壁45とピストン37の間はオイルが直接導入される作動室Sとされ、作動室Sに導入されるオイルの圧力が弾性部材39の付勢力に勝ると、ピストン37が前進(右動)し、固定プレート35と回転プレート36とが相互に押し付けられて締結することとなる。また、弾性部材39の付勢力が作動室Sに導入されるオイルの圧力に勝ると、ピストン37が後進(左動)し、固定プレート35と回転プレート36とが離間して解放することとなる。なお、油圧ブレーキ60は不図示の電動オイルポンプに接続されている。
この油圧ブレーキ60の場合、固定プレート35がケース11を構成する中央ケース11Mの左右分割壁45から伸びる第2円筒壁44に支持される一方で、回転プレート36がリングギヤ24Bのギヤ部28Bに支持されているため、両プレート35、36がピストン37によって押し付けられると、両プレート35、36間の摩擦締結によってリングギヤ24Bに制動力が作用し固定される。その状態からピストン37による締結が解放されると、リングギヤ24Bの自由な回転が許容される。なお、上述したように、リングギヤ24A、24Bは互いに連結されているため、油圧ブレーキ60が締結することによりリングギヤ24Aにも制動力が作用し固定され、油圧ブレーキ60が解放することによりリングギヤ24Aも自由な回転が許容される。
また、軸方向で対向するリングギヤ24A、24Bの連結部30A、30B間にも空間部が確保され、その空間部内に、リングギヤ24A、24Bに対し一方向の動力のみを伝達し他方向の動力を遮断する一方向クラッチ50が配置されている。一方向クラッチ50は、インナーレース51とアウターレース52との間に多数のスプラグ53を介在させたものであって、そのインナーレース51がスプライン嵌合によりリングギヤ24A、24Bの小径部29A、29Bと一体回転するように構成されている。またアウターレース52は、第3円筒壁46により位置決めされるとともに、回り止めされている。
次に、図5を参照し、本実施形態の隔壁18A、18Bの構成について詳細に説明する。隔壁18A、18Bは、軸方向で第1及び第2電動機2A、2Bの内側に第1及び第2電動機2A、2Bと近接して配置される。また、本実施形態では、隔壁18A、18Bは、同一緒元を有する同一部材からなり、隔壁18Bは、隔壁18Aを軸方向と直交し隔壁18Aと隔壁18Bとの間に位置する中間面M(図2参照)に対し反転移動させ且つ回転軸線Xに対し回転移動させた態様で配置されることで、中間面Mに対し鏡対称となるように配置されている。したがって、以下の説明においては、一方の隔壁18Aのみを示して説明する。
本実施形態の隔壁18Aは、減速機室SC側(図5中手前側)の表面82と、この表面82(図3参照。)と反対に位置する背面93と、を有し、第1遊星歯車式減速機12Aが表面82と対向し、第1電動機2Aが背面93と対向するように配置されている。表面82及び背面93は、径方向外側から回転軸線Xに向かうにしたがってモータ室SA側(図5中奥側)に傾斜するように形成されている。より具体的に説明すると、この隔壁18Aの表面82及び背面93は、第1遊星歯車式減速機12Aと離間する方向の回転軸線X上に頂点を有する仮想円錐の円錐斜面をなす傾斜面を含んでいる。表面82の傾斜面を構成する仮想円錐の頂点に対し、背面93の傾斜面を構成する仮想円錐の頂点は、より第1遊星歯車式減速機12Aと離間する方向に位置しており、これにより同じ周方向位置における隔壁18Aの厚さは、径方向内側から外側まで略一様厚さとなっている。
隔壁18Aは外縁部83が肉厚となっており、外縁部83には略六角形形状の頂点にボルト81が挿通する締結部84が設けられている。隔壁18Aには、回転軸線Xよりも下部に、外縁部83より径方向内側に、径方向及び円周方向に所定長さを有する領域に亙って表面82と背面93とを貫通する貫通孔85が形成されている。また、貫通孔85の少なくとも一部は、後輪駆動装置1が水平に載置された状態で、第1電動機2Aが停止したとき、オイルの貯留部RT内に位置している。
さらに、貫通孔85を区画する内周側壁部86と外周側壁部87とが回転軸線Xを中心とした円弧形状をなしており、内周側壁部86と外周側壁部87とが両端部で滑らかな湾曲部88で接続されている。
このように隔壁18Aに貫通孔85が形成され、ステータ14Aの結線部75が貫通孔85に配置されるので、ケース11を大型化することなく、ケース11内に第1電動機2Aを配置することが可能となっている。
以上説明したように、本実施形態によれば、モータ室SA、SBを区画する隔壁18A、18Bには貫通孔85が設けられ、貫通孔85には、ステータ14A、14Bの結線部75が配置されているので、体格の大きい第1及び第2電動機2A、2Bを搭載した場合であっても、後輪駆動装置1の大型化を回避できる。したがって、後輪駆動装置1を限られたスペースにも配置することができレイアウト性が良い。
また、貫通孔85は、外縁部83より径方向内側に、径方向及び円周方向に所定長さを有する領域に亙って形成されているので、後輪駆動装置1の大型化を回避しつつ、締結部84の剛性の低下を抑制できる。
また、貫通孔85を区画する内周側壁部86と外周側壁部87とが滑らかな湾曲部88で接続されているので応力が集中するのを回避できる。
また、貫通孔85の少なくとも一部は、後輪駆動装置1が水平に載置された状態で、第1及び第2電動機2A、2Bが停止したとき、オイルの貯留部RT内に位置しているので、第1及び第2電動機2A、2Bが停止した状態でもモータ室SA、SBの内外のオイルの流動が生じ、早期にオイルの温度を均質化できる。
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
例えば、上記実施形態では、電動機ユニットとして、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bを搭載した後輪駆動装置1を例示したが、これに限らず、本発明の電動機ユニットは、電動機と、電動機を収容する筐体と、を備えたものであればよい。電動機の数は1つでもよく、2つ以上でもよい。
また、貫通孔85の位置は、回転軸線Xの下部に限らず上部であってもよく、結線部75との位置関係で規定してもよい。
また、貫通孔85に配置される部分は、結線部75に限らず、コイルエンドの一部が配置されてもよい。
さらに、貫通孔85の形状は任意形状に設定できる。
1 後輪駆動装置(電動機ユニット)
11 ケース(筐体)
11A、11B モータケース(筐体部)
2A 第1電動機(電動機)
2B 第2電動機(電動機)
14A、14B ステータ
15A、15B ロータ
18A、18B 隔壁(壁部)
75 結線部
83 外縁部
84 締結部
85 貫通孔
SA、SB モータ室
X 回転軸線

Claims (4)

  1. ロータとステータとを備える電動機と、
    前記電動機を収容する電動機室を有する筐体と、を備えた電動機ユニットであって、
    前記電動機室を区画する壁部には、貫通孔が設けられ、
    該貫通孔には、前記ステータの一部が配置されている、電動機ユニット。
  2. 請求項1に記載の電動機ユニットであって、
    前記貫通孔には、前記ステータの結線部が配置されている、電動機ユニット。
  3. 請求項1又は2に記載の電動機ユニットであって、
    前記筐体は、有底筒状の筐体部と、該筐体部の開口を覆う前記壁部と、を有し、
    前記壁部には、前記筐体部と締結する締結部が外縁部に設けられ、
    前記貫通孔は、前記外縁部より径方向内側に、径方向及び円周方向に所定長さを有する領域に亙って形成されている、電動機ユニット。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電動機ユニットであって、
    前記筐体の下方に、前記電動機の冷却又は潤滑に供される液状媒体を貯留する貯留部を有し、
    前記電動機ユニットが水平に載置された状態で、前記電動機が停止したとき、前記貫通孔の少なくとも一部は、前記貯留部内に位置する、電動機ユニット。
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